| (1) 前 文,凡 例 | (2) 参考文献 | (3) 略人名索引 |
| (4) 会誌出版年 | (5) 種名一覧(和名と学名) | (6) 本 文 |
****************************
******** 更新日 2010年7月3日 ********
2010年6月に『クモ分布図』CDに収録のための改訂を行った.
地方同好会(三重,中部,和歌山,大阪)会誌の記事は新海明氏が入力して下さった.
Acta arachnologica,Kishidaiaの既発行分を入力,2008年の前文で「順次」入力予定と記した分を一部入力した.分類学的な記述は
『日本産クモ類』に譲る(ナミハグモの一部とマシラグモの一部は未入力).本事典の分類学的記述は統一されていない.(2010年7月3日記)
2008年5月に増補改訂作業を行った.主に谷川(2008)の日本産クモ類目録を参照して配列した.
前回は1999年で増補作業がストップし,
2000年から2008年までのデータを入力できていなかったが,Kishidaia全号と,
Acta arachnologica, 53(2)と56(2)の日本語部分を除いて入力し終えたところである.
ただし,記述がAtypus,Acta,Kishidaiaに限定されていて他の記載論文や他の同好会誌までは
入力できていない.
順次,八木沼健夫(1986)の図鑑と千国安之輔(1989,2008)の図鑑,新海栄一の図鑑(2006)の他,
吉田哉・小野展嗣・谷川明男らの記載文や安藤昭久の「サラグモ屋敷」を参照し,入力する予定である.
(2008年5月28日記)
この事典の初版を1987年に自費出版したときには,多くの人々にこれほど利用されるとは思っていなかった.
プロとアマの別なく研究者の論文を検索するための種ごとの短文つき記述という前版のスタイルはそのままである.
図を盛り込みたい.記述を整理したい.正確性を再検討したい.もっと多くの文献を参照したいといった希望はあったが,
編者に時間がなく,とりあえずのものとなってしまったことをおわびしたい.
しかし,コンピューターやインターネットのお蔭で,情報の利用や検索は容易になったので,
修正も更新も日々行なわれる可能性が出てきたと思っている.多くの人に利用してほしいと思う.
ただ,利用する方は文献引用をきちんと明示していただきたい.
資料は日本蜘蛛学会会誌と東京クモ談話会会誌に偏っているが,各々の会に入会するなりして
過去の文献も利用していただきたいと思っている.
他に情報を発見された方はメールでお知らせいただければ有り難い.
(1998年9月15日記)
この事典はこれまで調べられた生理生態記事を種ごとにまとめたものである.
編纂の動機は高校の生物部を指導するに当たって生徒に研究の指針を与えるためであった.
あるクモを目前にした時,その種についてどれほどのことが今まで調べられているのかがわかれば,
研究の目やすもつけやすい.
とはいうものの私の手元にある資料には限りがあった.完全を期すよりも,
ともかくクモ学会の会誌を中心にして作成することにした.
その他,いくつかの論文及び単行本も参考にしたが,完全なものではない.
原則として活字になったものを収録した.
学名や和名の変更等で以前の目録にあって,
正体不明のものや変更を要するものなどについては資料不足の為,今後の検討課題としたい.
いくつかは記しておいたが記述に統一がとれていない.
また種毎の分類学的記述及び生態的記述はもとの論文の記述量とは比例していない.
総じて長い論文ほど短くなった傾向がある.
専門的に研究される方は是非,原文にも当たっていただきたい.省略したところに貴重な示唆があることが多い.
また八木沼健夫著「原色日本クモ類図鑑」(1986年,保育社)には種毎に生態記事や分布が記されている.
この事典ではそれらのほとんどを省略した.
なぜならこの事典を利用する人は八木沼の図鑑も持っていることを前提としているからである.
図鑑と合せて利用するものと思っていただきたい.
折りよく吉倉真著「クモの生物学」(1987年,学会出版センター)も出版された.
日本のクモ研究も網羅した本である.この事典と重なる記述も数多い.
もとの生態記事には貴重な図が含まれているが,ワープロでまとめる関係上,それらはすべて割愛した.
今度改訂するときはできるだけ図を盛りこみたいと思う.また,できる限りの文献に当たって記述したいと考えている(初版1987年10月10日).
ひとつの種に関して参考文献のすべてを列挙してあるわけではない.
たとえば一例をあげると,フクログモの項にミノムシのミノの利用に関する文献として,
この事典では[徳本.鍛冶AT82]しかあげていないが,実際にはもっとある.
しかし,それらの文献についてはこの両名の論文の参考文献としてあげられているので,省略している.
これと同じようなことがいくつかあるので,本事典からの孫引きで参考文献すべてを網羅することはできない.
また分布については発表された採集リストのすべてを網羅しているわけではないこともお断わりしておく.
八木沼の図鑑(1986)に出ていないクモもある.
その種の記述は,そのクモについて書かれた当時の文献のものであり,なかには正体不明のものもある.
学名が八木沼の図鑑に一致していない種もあるが(たとえばサラグモの項),
これは生態記事の書かれた当時の学名を記録しておいたためである.
命名者で「YAG.」は八木沼である.
種名一覧から本文の各種へ飛ぶリンクは設定していない.
設定が大変なので個人の手にあまった.
利用者各人のソフトの検索機能を活用していただければ十分な検索ができるはずである.
本ページにないクモ類については,以下(および後尾)のリンクをご確認下さい.
チクニアシヨレグモ Weintrauboa chikunii (OI, 1979)
=Labulla chikunii OI, 1979
雌7〜8mm,雄5〜6mm〔小野09〕.チクニアシヨレグモを復活〔谷川LIST〕.
アシヨレグモ Weintrauboa contortipes (KARSCH, 1881)
=Labulla controtipes (KARSCH, 1881)
雌5.5〜7.5mm,雄5〜6mm,成体出現期10〜6月.平地から山地にかけて生息.神社・寺院の林,樹林地,林道などのスギ,ヒノキ,マツ,サク
ラ,クリなどの樹皮の隙間,
割れ目に潜み,そこから20〜50cmの大型のシート網を斜めに張り出す.崖地,石灯篭などにも見られる.危険が迫ると樹皮下に逃げ込む〔新海06〕.
雄の第一歩脚しょ節がふくらんでねじれている〔新海06〕
成体は11〜6月,雌5.5〜7.5mm,雄5〜6mm,北海道・本州・四国・九州.木の皮の隙間に簡単な住居を作り,そこから斜めにシート網を張り出す
〔学研76〕.
夜に網の中央に出て来る〔山川・熊田73〕.
必ず姿をかくしている〔新海AT44〕.
自然環境指標種Aランク〔新海98〕.
エゾアシヨレグモ Weintrauboa insularis (S. SAITO, 1935)
雌6〜7mm,雄4〜5mm.ロシア樺太南部が基準山地〔小野09〕.
コトヒザグモ Agyneta lila (DOEN. et STR., 1906)
=Erigone lila DOEN. et STR., 1906
原記載は図のみ.体長など不詳.本州に分布〔小野09〕.テングヌカグモ,コテングヌカグモ,コトヒザグモの3種を丹沢から記録〔山川・熊田79〕
サイトウヌカグモ Ainerigone saitoi (ONO, 1991)
雌1.6〜2.1mm,雄1.6〜1.8mm.成体は初夏から夏.平地から山地の森林内の草本に生息〔小野09〕.
カナダサラグモ Allomengea dentisetis (GRUBE, 1861)
雌5mm,雄4.0〜4.5mm,イルクーツクで雄記載〔斎藤博H3(2)〕.湿った草地を好むが,秋にはリター層から採集されることもある.成体は8
月〜11月に出現,ロシアから北米にかけて広く知られる〔小野09〕.
コサラグモ Aprifrontalia mascula (KARSCH, 1879)
=シシヌカグモ
雌雄3.8〜4.2mm,成体出現期6〜7月.山地に生息.草原,樹林地の周辺,林道などに多く見られる.
樹木の枝の間,葉裏,草間の根元付近,クマザサの葉裏などに「シート網」を張る.枝葉間や草間を歩きまわっている個体もよく見られる.体色には変異が多
く,赤色から黒褐色まで様々なものがある〔新海06〕.
雄の頭胸部は前方に突出している.触肢の径節にある大きなかぎ状の突起が特徴的〔新海06〕.国外ではロシア極東地域,韓国,台湾から記録〔小野09〕.
5月頃,多産する〔池田〕.1987年5月三浦半島猿島で10mの道ぞいに雌雄90頭採集,切り開かれた道ぞいのササや下草,アオキなど低木の葉裏や茎葉
間に斜めに10cm程度のシート網〔熊田K56〕.
クマザサの葉裏にシート網を張る〔山川・熊田79〕.
コサラグモモドキ Araeoncus humilis (BLACKWALL, 1841)
雌雄1.4〜1.8mm.エトロフ島から記録がある.ヨーロッパ,ニュージーランドに分布〔小野09〕.
アシュウヤミサラグモ Arcuphantes ashifuensis (OI, 1960)
=アシフヤミサラグモ
雌雄2.8mm前後,基準産地は京都市美山町芦生.雄は図示されず基準標本も行方不明〔小野09〕.
アワヤミサラグモ Arcuphantes awanus ONO et SAITO, 2001
雌雄2.5〜2.8mm.基準産地は徳島県山城町〔小野09〕.
チクニヤミサラグモ Arcuphantes chikunii OI, 1980
雌雄2.2〜2.6mm.基準産地は長野県安曇野郡掘金村〔小野09〕.
ナガトヤミサラグモ Arcuphantes concheus ONO et SAITO, 2001
雌雄2.1〜2.3mm.基準産地は山口県菊川町〔小野09〕.
オツヌヤミサラグモ Arcuphantes delicatus (CHIKUNI, 1955)
=オツヌグモ Otsunus delicatus KISHIDA ?
雌雄3mm前後〔小野09〕.1908年8月2日石川県白山の雄にて岸田記載.1953年8月2日,千国が白馬岳頂上2933mのハイマツの根元の岩間
に出来た薄暗い凹んだ穴に住む.
穴の口もとに水平に直径15〜20cm程の薄い膜状の網を作って,その中央下面に仰向けに座す.雌3・6mm.千国仮称はハイマツヒメグモ〔千国
AC14(1)〕.
ロクショヤミサラグモ Arcuphantes digitatus H. SAITO, 1992
雌2〜2.5mm,雄2.5〜2.7mm,成体出現期5〜8月.愛知県周辺の山地に生息.洞窟の中,岩壁,石垣,崖地の隙間,祠,くぼみ,湿った崖地の
草間,
区林内の落葉の中,石や倒木の隙間などに5〜15cmほどの「シート網」を張る〔新海06〕.雄2.7mm,雌2.2mm,基準産地は愛知県豊田市六升
山.チクニヤミサラグモ A. chikunii OI, 1980によく似る〔SAITO92〕.
トクシマヤミサラグモ Arcuphantes elephantis ONO et SAITO, 2001
雌雄2.1〜2.5mm,基準産地は徳島県神山町野間谷〔小野09〕.ヤミサラグモ属は発達した外雌器を持つが,広い分布域をもつ本種は
外雌器のサイズや形態に地理的変異が認められる.同所的に分布する2種は外雌器サイズが異なる組あわせになっている〔井原AC58(2)〕.
フジヤミサラグモ Arcuphantes fujiensis YAGINUMA, 1972
雌雄2.5〜2.8mm,基準産地は山梨県上九一色村本栖第ニ風穴〔小野09〕.
ハマダヤミサラグモ Arcuphantes hamadai OI, 1980
雌雄2.0〜2.8mm,基準産地は宮崎県えびの高原〔小野09〕.
イトイヤミサラグモ Arcuphantes hastatus ONO et SAITO, 2001
雌2.4mm前後,基準産地は兵庫県和田山町糸井渓谷〔小野09〕.
ヒコサンヤミサラグモ Arcuphantes hikosanensis H. SAITO, 1992
雄2.1mm,雌2.3mm,基準産地は福岡県宮古郡.他に彦山と大分県にも分布〔SAITO92〕.
エゾヤミサラグモ Arcuphantes hokkaidanus H. SAITO, 1992
雄2.6mm,雌2.7mm,基準産地は北海道函館市函館山〔SAITO92〕.
イリエヤミサラグモ Arcuphantes iriei H. SAITO, 1992
雄2.4mm,雌2.6mm,基準産地は宮崎県東臼杵郡椎葉村松木稲荷の穴.福岡.熊本.大分にも分布〔SAITO92〕.
コバヤシヤミサラグモ Arcuphantes kobayashii OI, 1980
雌雄1.7〜1.9mm,基準産地は長野県安曇野郡堀金村〔小野09〕.
ブンゴホラヤミサラグモ Arcuphantes longissimus H. SAITO, 1992
雄不明,雌2.4mm,基準産地は大分県臼杵市河原内の穴.他にも大分県の洞窟から〔SAITO92〕.
イヨヤミサラグモ Arcuphantes orbiculatus H. SAITO, 1992
雄2.4mm,雌2.1mm,基準産地は愛媛県松山市〔SAITO92〕.
オオスギヤミサラグモ Arcuphantes osugiensis (OI, 1960)
雌雄2.1〜2.7mm.基準産地は三重県多気郡大杉谷〔小野09〕.地表近くに棚状の網をはっている.この属のクモは網の中央に静止している〔新海
AT44〕.
トゴウチヤミサラグモ Arcuphantes rostratus ONO et SAITO, 2001
雌雄2.5〜3.1mm,基準産地は広島県戸河内町蝙蝠穴〔小野09〕.
ハクヤミサラグモ Arcuphantes paiki H. SAITO, 1992
雄2.3mm,雌2.6mm,基準産地は新潟県〔SAITO92〕.
ヤマカワヤミサラグモ Arcuphantes yamakawai (OI, 1960)
雌2.6mm前後,雄は未知.基準産地は三重県久居市榊原町〔小野09〕.
サラガミネヤミサラグモ Arcuphantes saragaminensis ONO et SAITO, 2001
雌2.5〜2.6mm,雄は未知.基準産地は愛媛県松山市皿が嶺風穴〔小野09〕.
タマヤミサラグモ Arcuphantes tamaensis (OI, 1960)
雌雄2.5〜3mm,成体出現期10〜6月.東京都・神奈川県・埼玉県の山間部に生息.下草の地表より5cm前後の場所に「シート網」を張る.石垣や崖
地の隙間やくぼみにも見られる.6月頃,網の近くの石の下などに白色球状の卵のうを作る〔新海06〕.
アシフヤミサラグモ・オオスギヤミサラグモともに,地表より5cm前後の所にシート網を張り,
網の下面中央に平行背位に占座している.
アシフとオオスギが春期に採集されるのに対して,タマヤミは10〜11月にかけて局地的に多産するようである.
また年2回の発生も考えられる〔新海69〕.
タマヤミについて.成体は10〜6月,2.5〜3mm,本州.白色球形の卵のうを作る〔東海84〕.
6月頃,網の付近の石の下などに白色円形(2〜2.5mm)の卵のうを作る〔山川・熊田79〕.
自然環境指標種Bランク〔新海98〕.
ホラヤミサラグモ Arcuphantes troglodytarum (OI, 1960)
雌雄2.4mm前後.基準産地は滋賀県多賀町河内・佐目の風穴.ヤミサラグモ属でない可能性がある〔小野09〕.
ツシマヤミサラグモ Arcuphantes tsushimanus ONO et SAITO, 2001
雌2.5mm前後,雄は未知.基準産地は長崎県対馬〔小野09〕.
ウエノヤミサラグモ Arcuphantes uenoi H. SAITO, 1992
雄2.0mm,雌2.2mm,基準産地は栃木県栃木市大師の岩屋洞〔SAITO92〕.
キタザラアカムネグモ Asperthorax borealis ONO et SAITO, 2001
雌2.5〜2.6mm,雄2.2〜2.3mm,北海道およびロシア極東地域に分布〔小野09〕.
ザラアカムネグモ Asperthorax communis OI, 1960
雌2〜2.5mm,雄1.5〜2mm,成体一年中.里山から山地にかけて生息.草原,樹林地の中や周辺,林道沿いの下草の根元付近,枯れ草の間,落葉上
などに目の粗い
5〜7cmのシート網を張る.ジャノヒゲ,カンスゲなどのスゲ科植物の根元近くや石垣,崖地の隙間などにも見られる〔新海06〕.
頭胸部は橙赤色で前方は褐色.腹部は赤褐色または褐色.歩脚は橙色で膝節より先端は褐色になる〔新海06〕.
成体は1年中,雌2〜2.5mm,雄1.5〜2mm,北海道・本州・四国・九州〔東海84〕.沿海地方やサハリンからも記録があるが,それらはキタザラア
カムネグモの可能性がある〔小野09〕.
石垣,崖地に目の荒いシート網を張り,網の奥に平行背位に静止する〔新海69〕.
落葉層の表面やくぼみ,ジャノヒゲ(リュウノヒゲ)のような植物の根元あたりにシート網を張る〔山川・熊田79〕.
体長2mm前後,草上や落葉間に4〜8cm四方の網を張る.卵のうは皿状(幼体16頭)〔安藤08〕.
ヒメウスイロサラグモ Asthenargus matsudae SAITO et ONO, 2001
体長1.3〜2.1mm〔小野09〕.体長1.3mm,森の中の落葉下に1cm四方の網を張る.成体越冬〔安藤08〕.
ニホンウスイロサラグモ Asthenargus niphonius SAITO et ONO, 2001
体長1.9〜2.1mm〔小野09〕,
グンバイヌカグモ Baryphyma kulczynskii (ESKOV, 1979)
雌雄1.5〜2.0mm,北海道の平地から山地に分布,ロシアからも記録〔小野09〕.スウェーデン,英国,グリーンランドより記録〔斎藤博
H3(2)〕.
カマクラヌカグモ Baryphymmula kamakuraensis (OI, 1960)
雌雄1.5〜2.0mm〔小野09〕.
テナガグモ Bathyphantes gracilis (BLACKWALL, 1841)
=syn. Bathyphantes orientis OI, 1960
雌2〜2.3mm,雄1.6〜1.8mm,成体一年中.平地から高山まで広く生息.河原,草原,樹林地の中や周辺,林道などの下草の地表付近,芝生の
中,枯れ草の間,落葉の間,
石や倒木の隙間,地表のくぼみなどに「シート網」を張る.ジャノヒゲ,カンスゲなどのスゲ科植物の根元近くや石垣,崖地の隙間などにも見られる〔新海
06〕.
後にダイセツテナガグモと同種であることが分ったが,大雪山から都市部まで広く分布していることから和名はテナガグモを使用〔新海06〕.
河原・草原などの石の下の隙間に小さなシート網を張る.網の中央にはおらず,姿を隠している〔新海69〕.全北区に分布〔小野09〕.
都市環境指標種〔新海98〕.
クロテナガグモ Bathyphantes robustus OI, 1960
雌雄2〜2.5mm,成体出現期10〜6月.山地に多く生息.河原,草原,林道,渓流沿いの岩場,石の間,草の葉や花の間,
樹木の根元付近などに「シート網」を張る.古木の樹皮面,苔むした岩場や石垣では,樹皮の隙間に潜んで,そこから斜めにシート網を張り出す〔新海06〕.
頭胸部・腹部は褐色または赤褐色.歩脚は暗赤色で先端は褐色が強い〔新海06〕.
成体は10〜6月,2〜3mm,本州.山間部に多い.河原の石の下,岩場,石垣の隙間に潜み,そこから斜め下方にむけてシート網を張る〔東海84〕.国外
では韓国から記録〔小野09〕.
自然環境指標種Bランク〔新海98〕.原記載の雄は本当はタテヤマテナガグモの雄だった〔松田AC53(2)〕.
ヨドテナガグモ Bathyphantes yodoensis OI, 1960
雌2.1〜2.2mm,雄1.7〜1.8mm.ヨドは淀川〔小野09〕.
ヤマトテナガグモ Bathylinyphia major (KULCZYNSKI, 1885)
雌雄4.5〜6mm,成体出現期は夏から秋.北海道では平地の小さな流れから山地渓流まで生息.本州では山地の渓流に生息.流木や石の間,草間に「シー
ト網」を張る.国外ではロシア東部,中国,韓国から記録〔小野09〕.
キテナガグモ Bathyphantes alticeps (SUNDEVALL, 1832)
雌4.5〜5.0mm,雄4.0〜4.5mm.成体は9月,亜高山帯の針葉樹林の枝葉に生息.ユーラシア大陸北部に広く分布〔小野09〕.
タイワンコブヌカグモ Callitrichia formosana OI, 1977
=Atypena formosana OI, 1977
雌1.8〜2.6mm,雄1.7〜2.2mm,草むらや水田の周囲に見られる.八重山諸島,台湾,中国,タイ,バヌグラデシュなどに広く見られる〔小野
09〕.西表島で12〜1月に雄,5・12・1月に雌〔谷川K70〕.
マエキグモ Caracladus pauperulus BOES. et STR., 1906
雌1.45mm,雄は未知.原記載以来,採集記録が無い〔小野09〕.
ヤマトクビナガコサラグモ Caracladus tsurusakii H. SAITO, 1988
雌雄2.3〜2.6mm,成体は初夏から秋.林床のリター層やコケ層から採集される.基準産地は北海道の羊蹄山〔小野09〕.
キタホラヌカグモ Caviphantes pseudosaxetorum WUNDERLLICH, 1979
雌1.7〜1.9mm,雄1.5〜1.8mm.平地から山地の落葉層やコケ層に生息.国外では中国,ネパールから記録〔小野09〕.
ホラヌカグモ Caviphantes samensis OI, 1960
雌2mm前後,雄1.7mm前後.基準産地は滋賀県多賀町河内洞だが,広く生息.国外では中国から記録〔小野09〕.
マルサラグモ Centromerus sylvaticus (BLACKWALL1841)
雌雄2.6〜3.4mm.成体は秋に多いが,春にも見られる.森林の落葉中に生息.全北区に広く分布〔小野09〕.9月,利尻島および豊富からシフティ
ングで多数の雌雄を得た〔熊田K44〕.
エゾマルサラグモ Centromerus terrigenus YAGIMNUMA, 1972
雌雄1.8〜2.4mm.成体は春から秋に出現.山地の落葉層に生息.海外ではサハリンからも記録〔小野09〕.
イソヌカグモ Ceratinopsis setoensis (OI, 1960)
=Anacotyle setoensis OI, 1960
雌2.2〜2.6mm,雄1.8〜2.0mm.和歌山県白浜の満潮線付近のれきの間で発見された.好塩性かどうか不明.韓国からも記録〔小野09〕.
「満潮線付近のれきの間に群棲し,海辺に打ち上げられた海藻の間にいる小虫を補食していると思われる(大井60)」〔新海69〕.
チビクロマルハラカタグモ Ceratinella brevis (WIDER, 1834)
雌雄1.6〜2.2mm,成体一年中.山地に多く生息.樹林地内の落葉の下,地表のくぼみ,石の下などに1〜3cmの小さな「シート網」を張る.
微小なクモでみつけ取りは難しい〔新海06〕.頭胸部・腹部は光沢のある黒色または褐色,歩脚は黄褐色〔新海06〕.
和名は小さく黒い腹部の堅いクモの意味〔新海06〕.
ケムリハラカタグモ Ceratinella fumifera S. SAITO, 1939
雌1.5mm(雄は未知)原記載以来,採集例がない.別属の可能性がある〔小野09〕.
ハラカタグモ Ceratinella subulata BOES. et STR., 1906
雄1.3mm(雌は未知),佐賀県唐津で採集,原記載以来,採集例がない〔小野09〕.タイプを再記載,原記では1884年8月10日,雄成体〔小野
H2(1)〕.
エゾヤマコサラグモ Collinsia ezoensis (H. SAITO, 1986)
雌2.1〜2.9mm,雄2.0〜2.8mm,北海道では平地から山地まで生息〔小野09〕.
ハクサンコサラグモ Collinsia japonica (OI, 1964)
雌2.0〜2.6mm,雄2.0〜2.3mm,ハクサンコサラグモ Scotargus japonicus OI,
1964として記載された.基準産地は石川県白山.山岳地帯の湿ったコケ層などに生息〔小野09〕.
いったんCollinsia innerrans (O. P.-CAMBRIDGE, 1886)のシノニムとなったが不適当〔松田AC53(2)〕.
オクエゾコサラグモ Collinsia sachalinensis ESKOV, 1990
雌1.8〜2.1mm,雄1.8〜2.0mm,湿ったところを好み,地表・草地・コケ層などに生息.成体は春から秋.北海道・サハリンに分布〔小野
09〕.北海道に分布する〔松田AC53(2)〕.
アリサラグモ Cresmatoneta nipponensis H. SAITO, 1988
雌雄2.4〜2.6mm,韓国からも記録.アリに似るが生態は不明〔小野09〕.
ヒゲナガコサラグモ Dicymbium salaputium H. SAITO, 1986
=シュジュコサラグモ
雌2.5〜3.2mm,雄2.4〜2.8mm,成体は春から秋.平地から山地の林床に生息ほか高山からも記録〔小野09〕.
ヤギヌマコサラグモ Dicymbium yaginumai ESKOV et MARUSIK, 1994
雌2.5〜3.2mm,雄2.0〜2.6mm,成体は春から秋.基準産地は南千島の国後島.北海道(上士幌町と陸別町の風穴地),沿海地方,サハリンに
分布〔小野09〕.
ヒコサンヌカグモ Dicornua hikosanensis OI, 1960
雌1.8〜2.1mm,雄1.5〜1.9mm〔小野09〕.
ムナキグモ Diplocephalus bicurvatus BOES. et STR., 1906
雌未知,雄2mm,佐賀県で採集されて以来,記録が無い〔小野09〕.
ハラビロムナキグモ Diplocephalus gravidus STRAND in BOES. et STR., 1906
雌1.8mm,雄未知m,佐賀県で採集されて以来,記録が無い.ムナキグモとペアの可能性を考慮して命名されたがおそらく別種〔小野09〕.
フサムナキグモ Diplocephalus hispidulus SAITO et ONO, 2001
雌2.0〜2.2mm,雄1.7〜1.8mm〔小野09〕.
ハラジロムナキグモ Diplocephaloides saganus (BOES. et STR., 1906)
雌3〜3.5mm,雄3.5〜4mm,成体出現期4〜8月.平地から山地まで広く生息.河原,草原,水田,樹林地の中や周辺,林道などによく見られる.
草間の根元付近に小さな(1.5〜3cm)「シート網」を張る.草間を歩いている個体も見かける.年数回の発生が見られる〔新海06〕.
頭胸部は橙黄色,腹部は黄色,灰白色から褐色まで変異が多く,淡色の腹部の場合は褐色のまだら紋が目立つ〔新海06〕.
成体は4〜8月,雌1.8〜2.1mm,雄1.5〜1.8mm,北海道・本州・四国・九州.草原,河原や山道の草間に生息〔東海84〕.韓国からも記録
〔小野09〕.
デーニッツサラグモ Doenitzius peniculus OI, 1960
雌3〜3.5mm,雄3.5〜4mm,成体出現期8〜12月.平地から山地まで広く生息.
河原,池や沼の周辺,草原,樹林地の中や周辺,林道などの草や木の根元付近,落葉の中や土,土壌の隙間,石や倒木の下の隙間,地表のくぼみ,崖地などに
3〜10cmの「シート網」を張る.見つけ取りでも採集できる〔新海06〕.韓国からも記録〔小野09〕.
全体褐色または暗赤褐色で,頭胸部と歩脚はやや色が薄い〔新海06〕.
成体は8〜12月,雌3〜3.5mm,雄3.5〜4mm,本州〔東海84〕.
河原の崖地のくぼみや草間にシート網を張り,中央に平行背位に静止する.
大型のサラグモで雌より,雄の方が大きく,雄の触肢膝節背面に長大な一剛毛を持つ〔新海69〕.
伊豆七島の地上徘徊性種としてカチドキナミハグモと共に冬期によく採集された〔国見AT87〕.
体長3〜4mmの黒色や褐色のクモ,数cm四方の網を張る〔安藤08〕.
自然環境指標種Cランク〔新海98〕.
コデーニッツサラグモ Doenitzius pruvus OI, 1960
=Doenitzius purvus
雌雄2〜3mm,成体一年中.平地から山地まで広く生息.
公園,河原,樹林地の中やその周辺,林道などに見られる.落葉の間,土壌の隙間,石や倒木の下の隙間などに小さな(1〜3cm)の「シート網」を張る.シ
フティングで採集されることが多い〔新海06〕.国外ではロシア極東,中国,韓国から記録〔小野09〕.
全体褐色または黒褐色で,頭胸部と歩脚はやや色が薄い〔新海06〕.
樹の根元・崖地などの地表近くにシート網を張る〔新海70〕.触肢先端がやや太く,雄の幼体に見えるが外雌器をもつ個体を3例観察〔永井均,蜘蛛29〕.
体長2mm,場所により大きさはさまざま.森の中の落葉間や地表面に2〜3cm四方の網を張る.
生えている木の種類に関係なく色色な場所で見つかる.成体越冬.
卵のうは丸い饅頭型(幼体9頭)〔安藤08〕.
ムレサラグモ Drapetisca socialis (SUNDEVALL, 1832)
雌雄3.2〜4mm,成体出現期8〜9月.網を張らず樹皮上で生活する.北海道では平地から山地に,本州では高山地域に生息.主にシラカンバ,ダケカン
バなどの樹皮面にはりつくように静止し,
接近してくる昆虫を捕える.樹林地や公園内にある建物の壁面にも生息する.静止場所の周囲に数本の糸を引いて獲物を待つ〔新海06〕.
ムレサラグモとして,北海道に生息.樹皮上に張り付くように網を張っている〔新海明K85〕.成体は8〜10月,旧北区に分布〔小野09〕.
オノツノサラグモ Eldonia kayaensis (PAIK, 1965)
=syn. Wubanoides onoi H. SAITO, 1992
雌雄2.2〜2.3mm〔小野09〕.
コウライホテイヌカグモ Entelecara dabudongensis PAIK, 1983
雌2.0mm前後,雄1.6mm前後,本州・九州のほか,シベリア・中国・韓国でも記録〔小野09〕.韓国で雄記載〔斎藤博H3(2)〕.
イリオモテヌカグモ Entelecara tanikawai TAZOE, 1993
西表島から記載.雄1.4〜1.5mm,雌1.5〜1.7mm〔田副AC42(1)〕.
4・8・12・1月に雄,3・4・12・1月に雌〔谷川K70〕.
キタヤミサラグモ Epibellowia septentrionalis (OI, 1960)
雌雄1.9〜2.5mm,成体は春から晩秋に出現.北海道では普通種,本州では高地から知られる.沿海地方,サハリンからも記録〔小野09〕.
クロヒザグモ Erigone atra (BLACKWALL, 1841)
=syn. Erigone hakusanensis OI, 1964 ハクサンノコギリグモ
雌雄1.8〜2.8mm,全北区に分布〔小野09〕.
マルムネヒザグモ Erigone edentata SAITO et ONO, 2001
雌雄1.3〜1.4mm〔小野09〕.愛知県,京都府,東京都(自然教育園)から記録.雄1.3mm〔小野・新海01〕.ヒザグモ属は頭胸部の周縁にギ
ザギザの小突起があり,上顎の前面にものこぎり歯状の突起がある〔新海06〕.
カラツヒザグモ Erigone koratsensis STRAND, 1918
原記載(佐賀県唐津)は雄だが,体長などは不明.ヒザグモ属ではない〔小野09〕.
カワリノコギリグモ Erigone koshiensis OI, 1960
ヒザグモ属は頭胸部の周縁にギザギザの小突起があり,上顎の前面にものこぎり歯状の突起がある〔新海06〕.国外では中国,韓国,台湾から記録〔小野
09〕.
体長1.4〜1.8mm,若齢では1/5日,その後は1/3日の給餌をした.粘性のないシート網を張り,下面から上面の獲物にかみつく.
3雌の例で,産卵時期は5月下旬〜7月と9〜10月,産卵回数は5ないし10回,1卵のう内の卵数は2〜7個,1雌当りの総ふ化卵数は23,26個だっ
た.
夏世代はほぼ4回脱皮,越冬世代はほぼ5回脱皮で成体になった.越冬世代は(夏世代より大きい)年内に成体になり,交尾する.
求愛は網の下面で,雌雄の第TU脚の接触,身体の震動,第U脚による網を弾く動作,雄の網の補強,雄は脚で雌の腹部側面をたたく,
補強と叩きをくり返す,その後交尾に至る.交尾時間は88.3分+37.2分であった.未交尾個体は春に交尾,亜成体は成体になる〔佐藤幸AT95〕.
ヒゲナガヒザグモ Erigone longipalpis (SUNDEVALL, 1829)
雌雄2.4〜3.5mm,旧北区に分布〔小野09〕.
ノコギリヒザグモ Erigone prominens BOES. et STR., 1906
雌雄1.5〜2.1mm,成体一年中.平地に多く生息.バルーニングによって飛んで来た個体を都市部から山地まで広く見つけることができる.
庭園,水田,河原,畑地などの下草の根元付近や地表のくぼみなどに「シート網」を張る〔新海06〕.国外ではアフリカ,アジア,ニュージーランドから記
録〔小野09〕.
全体黒褐色だが,個体により濃淡がある.ヒザグモ属は頭胸部の周縁にギザギザの小突起があり,上顎の前面にものこぎり歯状の突起がある〔新海06〕.
コサラグモ類では最も多く生息している〔新海69〕.
コクサグモの古巣で越冬しているものがみられる〔松山他AT43〕.
高知県夜須町でニイニイゼミの空巣にいた〔笹岡K72〕.
〔安藤08〕.
ダイセツサラグモ Estrandia grandaeva (KEYSERLING, 1886)
=syn. Linyphia tridens SCENKEL, 1930
=syn. Estrandia nearctica (BANKS, 1910)
雌雄2.4〜5.0mm(概ね3mm前後),成体は春から秋.北海道では約1000m以上,本州では約1500m以上の針葉樹林やハイマツ林に生息し,
ササのは裏裏や低木の枝葉などに網を張る.全北区も寒冷な地域に分布〔小野09〕.
アリノスヌカグモ Evansia merens O. P.-CAMBRIDGE, 1900
雌2.5〜2.8mm,雄2.0〜2.5mm,アリの巣中に見出されるが形態的な擬態は無い.ヨーロッパから日本にかけて広く分布〔小野09〕.
ハナサラグモ Floronia exornata (L. KOCH, 1878)
=mis. Floronia bucculenta (CLERCK, 1758)
雌雄5〜6mm,成体出現期8〜10月.里山から山地にかけて生息.
農家周辺の竹やぶ,樹林地の中や周辺,林道などの草間(特にクマザサの間に多い)の下部に見られる.
地表面から5〜10cmの位置に,20〜40cmほどの大型の「シート網」を張り,下面に静止する〔新海06〕.
腹部は白色または灰白色の地に細い網目状斑が入り,後方に2対の黒斑があるが,刺激を受けると網目状斑が太くなり全体黒褐色に変化する〔新海06〕.
成体は8〜10月,5〜6mm,北海道・本州・四国.草間の下方に大型(10〜40cm)のシート網を張る.刺激を与えると,白色の腹部が黒色に変化する
〔東海84〕.
ヨーロッパから日本まで広く分布している.本州では平地で見られるが,四国では高地に多い〔学研76〕.国外ではロシア東部,韓国から記録〔小野09〕.
クマザサの群生地に多い〔新海・原AT65,新海K40〕.
杉の枝先に好んで造網する.皿網は浅い.平行背位に占座〔中平AT23/24〕.
日本産の種はヨーロッパ産に同定されてきたが差異があり別種だった.KOCHの記載した種を復活させた〔Saaristo, AC45(1)〕.
Fbucculentaは瞬間的体色変化が最も早く報告された種である〔池田10〕.
体長5〜6mm,藪の中に20〜30cm四方の水平なシート網を張る.9月頃成体が見られる〔安藤08〕.
自然環境指標種Cランク〔新海98〕.
ヒバヤミサラグモ Fusciphantes hibanus (H. SAITO, 1992)
=Arcuphantes hibanus H. SAITO, 1992
雄2.4mm,雌2.9mm,基準産地は広島県比婆郡道後山〔SAITO92〕.
アキヤミサラグモ Fusciphantes iharai (H. SAITO, 1992)
=Arcuphantes iharai H. SAITO, 1992
雄2.5mm,雌2.6mm,基準産地は広島県甲奴郡上下町.他に鳥取.岡山.山口にも分布〔SAITO92〕.
ナガエヤミサラグモ Fusciphantes longiscapus OI, 1960
=Arcuphantes longiscapus
中国四国地方に分布するナガエヤミサラグモ種群に属する種を地理的分布と生殖器の形態によって分類し直した結果,次の8種になった.ナガエヤミサラグモ
A. longiscapus (OI, 1960),ヒバヤミサラグモ A. hibanus SAITO, 1992,アキヤミサラグモ A. iharai
SAITO, 1992の3既知種と
イズモヤミサラグモ A. saitoi,セトヤミサラグモ A. setouchi,ツルサキヤミサラグモ A. tsurusakii,ハリマヤミサラグモ
A. nojimai,オキヤミサラグモ A. okiensisの5新種であった〔井原AC44(2)〕.
ハリマヤミサラグモ Fusciphantes nojimai (IHARA, 1995)
=Arcuphantes nojimai IHARA, 1995
雌雄2.3〜2.4mm,基準産地は兵庫県宍栗町〔小野09〕.
オキヤミサラグモ Fusciphantes okiensis (IHARA, 1995)
=Arcuphantes okiensis IHARA, 1995
雌雄2.4〜2.5mm,基準産地は島根県隠岐郡都万村〔小野09〕.
イズモヤミサラグモ Fusciphantes saitoi (IHARA, 1995)
=Arcuphantes saitoi IHARA, 1995
雌雄2.4〜2.5mm,基準産地は島根県伯太町〔小野09〕.
セトヤミサラグモ Fusciphantes setouchi (IHARA, 1995)
=Arcuphantes setouchi IHARA, 1995
雌雄2.3〜2.4mm,基準産地は香川県小豆島〔小野09〕.
ツルサキヤミサラグモ Fusciphantes tsurusakii (IHARA, 1995)
=Arcuphantes tsurusaii IHARA, 1995
雌雄2.5〜2.8mm,基準産地は岡山県新見市〔小野09〕.
ミズゴケサラグモ Glyphesis cottonae (LA TOUCHE, 1945)
雌雄0.9〜1.0mm,日本産雄は1.4mm.旧北区に分布〔小野09〕.雄1.4mm,大雪山にて記録〔斉藤博・保田
AT96〕.Eskov(1994)により誤同定との指摘〔谷川LIST〕.
ヤマアカムネグモ Gnathonarium dentatum (WIDER, 1834)
雌2.2〜3.0mm,雄2.2〜2.5mm.旧北区に広く分布〔小野09〕.河口湖畔より記録〔斉藤AT83〕.2.5mm前後の小さなクモ,鶴見川
沿いの水田にいた〔安藤08〕.
ニセアカムネグモ Gnathonarium exsiccatum (BOES. et STR., 1906)
=Gnathonarium dentatum (WIDER)
雌1.7〜2.3mm,雄1.3〜2.0mm.日本固有種.ヤマアカムネグモと酷似するが,本種のほうが多い〔小野09〕.本州・四国・九州に分布〔八
木沼77〕.
雌雄1.5〜2mm,成体一年中.平地に多く生息.水田のクモの代表的種類.
水田とその周辺,河原,池や沼の周辺などの草間の地表付近,枯れ草の間,落葉の間,地表のくぼみなどに
小さな「シート網」を張る.周辺に引きまわした糸の状体で不規則網に見えることもある〔新海06〕.
冬期は稲株や下草の根元付近,切り株の間,落葉の下,地表の隙間などで越冬する〔新海06〕.
本種はG. dentatumではない.北海道・本州・四国・九州の水田・河辺付近から採集されている〔斉藤AT83〕.
稲の株元付近に不規則網を張り,数個体が群棲することが多い.成体は年間を通じてみられ,越冬は大部分が成体.
越冬場所は本田の土中や雑草の根元,稲の切株中.宇都宮市水田の最優占種.峰町(6月にスミチオン乳剤散布)では
10月に最高密度37頭前後.G. dentatumとして記録〔浜村AC22(2)〕.
体長2.5mm,水田にいる〔安藤08〕.
セムシアカムネグモ Gnathonarium gibberum OI, 1960
雌2.7〜2.8mm,雄2.3〜2.4mm.国外ではロシア極東地域,中国,韓国から記録〔小野09〕.本州に分布〔八木沼77〕.河川や湿地に生息
〔斉藤AT83〕.
アリマケズネグモ Gonatium arimaense OI, 1960
雌2.5〜3.1mm,雄2.5〜2.7mm.韓国でも記録〔小野09〕.10月下旬雌雄成体.木の根元,落葉の下などから採集〔新海69〕.本州に分
布〔八木沼77〕.
ヤマトケズネグモ Gonatium japonicum SIMON in BOES. et STR., 1906
=syn. Gonatium opimum OI, 1960 ケズネグモ
雌2.8〜3.2mm,雄2.6〜3mm,成体出現期9〜10月.平地から山地まで生息.
草地,河原,樹林地の周辺,林道などの草間,樹木の枝葉間,根元付近,落葉の間などに「シート網」を張る.網を張らず歩き回っている個体もある.冬期は落
葉の下,石や倒木の下から採集される〔新海06〕.
頭胸部と歩脚は黄褐色または赤褐色.腹部は卵形で赤褐色または褐色.近似種にアリマケズネグモがいる〔新海06〕.
10月下旬雌雄成体.木の根元,落葉の下などから採集〔新海69〕.
植物の覆いかぶさった斜面の地面近くにシート網を張っていた〔山川・熊田79〕.
北海道・本州・九州に分布〔八木沼77〕.国外ではロシア極東地域,中国,韓国から記録〔小野09〕.
体長3mm〔安藤08〕.
オニノカナボウケズネグモ Gonatium nipponicum MILLIDGE, 1981
雌2.5〜3.0mm,雄2.5〜2.6mm.沿海地方,サハリンからも記録〔小野09〕.
シッチヌカグモ Gongylidiellum murcidum SIMON, 1884
雌雄1.3〜1.9mm.ユーラシアに広く知られる〔小野09〕.
ナミズキンヌカグモ Gongylidioides communis SAITO et ONO, 2001
雌雄3.1〜3.2mm〔小野09〕.
ズキンヌカグモ Gongylidioides cucullatus OI, 1960
雌雄1.1〜1.4mm〔小野09〕.
チョンマゲズキンヌカグモ Gongylidioides galeritus SAITO et ONO, 2001
雌雄2.5〜2.9mm,成体出現期5〜7月.里山から山地にかけて生息.
樹林地内の落葉の中,崖地の草間,林道の草間の地表付近に小さな「シート網」を張る〔新海06〕.
頭胸部は黄褐色で中央部は褐色が強い.腹部は黄褐色で中央部から周辺にかけては黒色.歩脚は赤色の強い黄褐色.
頭部には長毛が生えており,それが束ねて前方に曲がっていることで,ちょんまげのように見える〔新海06〕.
体長3mm,森の中のうす暗い草間に4〜5cm四方のシート網を張る.5月下旬〜6月頃成体〔安藤08〕.
カイホツズキンヌカグモ Gongylidioides kaihotsui SAITO et ONO, 2001
雌雄2.9〜3.1mm〔小野09〕.
イッカクズキンヌカグモ Gongylidioides monocornis SAITO et ONO, 2001
雌雄2.3〜2.9mm〔小野09〕.
オノヌカグモ Gongylidioides onoi TAZOE, 1994
雄2.1mm,雌1.9〜2.7mm,西表島産〔田副AC43(2)〕.
キヌキリグモ Herbiphantes cericeus (S. SAITO, 1934)
=Lepthyphantes cericeus (S. SAITO, 1934)
雌4.5〜5mm,雄3〜4mm,成体出現期7〜10月.北海道ではほぼ全域に分布,本州では600m以上の山地から亜高山帯にかけて生息.クマザサ,
下草の間,樹木の葉裏などに
10〜20cmの「シート網」を張る.昼間は葉裏に潜んでいることが多く,夜間は網の中央にいて獲物がかかるのを待つ〔新海06〕.
サラグモ類の中ではもっとも体型が細長く,アシナガグモのように見える〔新海06〕.
成体は7〜9月,4〜5mm,北海道・本州・四国.平野部や低山では殆ど見ることができない.
ササ,下草の間,樹木の葉裏にシート網を張る〔東海84〕.国外ではロシア極東地域,韓国から記録〔小野09〕.
キハダキヌキリグモ Herbiphantes longiventris Tanasevitch, 1992
=キノボリキヌキリグモ〔小野09〕
=mis. Drapetisca socialis (SUNDEVALL, 1832) ムレサラグモ
雌4〜4.5mm,雄3〜3.5mm,成体出現期7〜10月.山地に生息する.ムレサラグモ同様,皿網を張らずに樹皮上で生活する.樹皮面のコケの中に
潜み,周囲に不規則に糸を引き回して受信糸とする.
接近する昆虫が糸に触れた瞬間,飛びかかって捕える〔新海06〕.
一部の文献にキノボリキヌキリグモと和名がつけられているが最初に命名されたキハダキヌキリグモに戻す〔新海06〕.
ムレサラグモとして,北海道に生息.樹皮上に張り付くように網を張っている〔新海明K85〕.成体は8〜9月,北海道・本州,ロシア沿海州に分布〔小野
09〕.
アズミヤセサラグモ Himalaphantes azumiensis (OI, 1980)
雌5.5〜6.5mm,雄4.5〜5mm,成体出現期7〜9月.1000m以上の山地に生息.
湿った岩場,滝や渓流沿いの岩場,太い樹木の付け根,樹木の洞.古木の根の間,樹木の間などに,5〜40cmほどの「シート網」を張る.
クモは岩や樹皮の割れ目,隙間,苔の下などに潜んでいて,獲物がかかると網の下面に飛び出して来て捕える〔新海06〕.国外ではロシア極東地域,中国から
記録〔小野09〕.
クロナンキングモ Hylyphantes graminicola (SUNDEVALL, 1829)
=Erigonidium graminicola (SUNDEVALL, 1829)
=syn. Erigone hua DOEN. et STR., 1906
雌雄2.1〜2.6mm〔小野09〕.中国湖北省で年間最高6世代を完了する.第4〜6世代の混性個体郡で成体も幼体も越冬できる.水分が必要である.
10℃に上がると活動を開始する.幼生は4〜5回脱皮,5〜6令がある.
令期は温度が上がると短くなり,33℃を越えると長くなる.
35℃になるとふ化できない.最後の脱皮を終えるとすくに交接できる.
雌雄とも数回交接できるが,雌は1回の交接で受精卵を産むには十分である.
雌は卵のうを守る.8〜17個,平均12個の卵のうを産み,1卵のうに17〜473個の卵(平均241)がある.
ふ化率は90%を越える.温度が25〜28℃の時,産卵量が最も多い.
長江流域綿田では5〜9月にわたって優占種である〔チョウAT81〕.熊本県にて左が雌,右が雄の性モザイク〔入江AC58(2)〕
イリオモテナンキングモ Hylyphantes tanikawai ONO et SAITO, 2001
雌雄1.9〜2.0mm〔小野09〕.
フタコブヌカグモ Hypomma affine SCHENKEL, 1930
雌2.2〜2.6mm,雄2.1〜2.3mm.国外ではサハリン,千島列島,カムチャッカから記録〔小野09〕.
ツノタテグモ Hypselistes asiaticus BOES. et STR., 1906
雌1.8〜2.2mm,雄1.7〜1.9mm.成体は春から秋.湿地に生息〔小野09〕.1980年3月16日,足利市迫間で雄成体,同年4月26日,
雌成体を採集.雌1.75mm,雄1.70mm〔斉藤K47〕.
ミナミツノタテグモ Hypselistes australis SAITO et ONO, 2001
雌2.0〜2.1mm,雄1.8〜1.9mm.成体は春から秋.ロシア極東地域からも記録〔小野09〕.
シベリアツノタテグモ Hypselistes semiflavus (L. KOCH, 1879)
雌2.0〜2.6mm,雄2.0〜2.2mm.成体は春から秋.ロシア(ウラル以東)からも記録〔小野09〕.
ツノウデヤセサラグモ Improphantes biconicus (TANASEVITSCH, 1992)
雌未知,雄1.9mm前後.北海道に分布〔小野09〕.
クロシッチサラグモ Kaestneria pullata (O. P.-CAMBRIDGE, 1863)
成体は春から秋に出現,1.9〜2.5mm.湿地に生息.全北区に分布〔小野09〕.
カグラゴマグモ Kagurargus kikuyai ONO, 2007
雌雄1.2〜1.4mm.基準産地は大分県佐伯市の神楽山〔小野09〕.
クボミケシグモ Lepthyphantes concavus (OI, 1960)
=Meioneta concava OI, 1960
成体は1年中,2〜2.5mm,本州・四国・九州.落葉中にシート網を張る〔東海84〕.
体長2mm前後の小さなクモ,草地で見つかる.草間や落葉上に3〜4cm四方の網を張る〔安藤08〕.
ヤセサラグモ Lepthyphantes japonicus OI, 1960
=ヤセグモ
雌雄2.0〜2.2mm〔小野09〕.落葉の表面等にシート網を張る〔山川・熊田79〕.
キアシヤセサラグモ Lepthyphantes luteipes (L. KOCH, 1879)
キアシヤセグモとして,シベリア産の雌で記載〔斎藤博H3(2)〕.雌雄3.0mm前後,北海道に分布〔小野09〕.
ノコバヤセサラグモ Lepthyphantes serratus OI, 1960
=ノコバヤセグモ
=syn. ハガタヤセサラグモ Lepthyphantes clarus OI, 1960
=syn. ヒムロホソサラグモ Lepthyphantes himuronis H. SAITO, 1992
雌雄1.9〜2.5mm〔小野09〕.落葉の表面等にシート網を張る〔山川・熊田79〕.体長2mmほどの小さなクモ,森の中の落葉間,草の根元などに
2〜3cm四方の網を張る.成体越冬〔安藤08〕.ハガタヤセサラグモ L. clarus OI, 1960,エビノヤセサラグモ,ヒムロホソサラグモ
L. himuronis H. SAITO, 1992はすべて本種〔松田AC53(2)〕.
ミダガハラサラグモ Leptorhoptrum robustum (WESTRING, 1851)
=syn. ヤスダモリヒメグモ Robertus yasudai YOSHIDA, 2001
=ヤスダサラグモ
雌雄3.0〜4.8mm〔小野09〕.BlickやMarusik,Tanikawaの示唆があり,モリヒメグモではなく,サラグモの一種だっ
た.L. robustumはヨーロッパから樺太,千島列島まで広く分布する種だが,日本では未記録だった〔吉田哉AC53(2)〕.雄
3.74〜3.82mm,雌不明,大雪山トムラウシ(標高197m)でのピットフォールで採取〔吉田哉AC50(1)〕
ニッコウミヤマケシグモ Maro lautus H. SAITO, 1984
雌雄1.1〜1.5mm.国外ではロシア極東地域から記録〔小野09〕.
スンデファルコサラグモ Maso sundevalli (WESTRING, 1881)
雌雄1.3〜1.8mm,全北区に広く分布〔小野09〕.
トクモトコサラグモ Mecopisthes tokumotoi OI, 1964
雌1.8〜1.9mm,雄1.5〜1.6mm,日本固有〔小野09〕.
オガサワラケシグモ Meioneta boninensis H. SAITO, 1982
雌雄1.7〜1.8mm,小笠原諸島(母島)に分布〔小野09〕.
キアシケシグモ Meioneta flavipes ONO, 1991
雌未知,雄2.1〜2.2mm,北海道に分布〔小野09〕.
キタケシグモ Meioneta gulosa (L. KOCH, 1869)
雌雄1.6〜2.2mm,北海道に分布〔小野09〕.
サダヨリケシグモ Meioneta ignorata H. SAITO, 1982
雌雄1.7mm前後,小笠原諸島(父島・母島)に分布〔小野09〕.
シマケシグモ Meioneta insulana (TANASEVITCH, 2000)
雌未知,雄1.7〜1.8mm,北海道に分布〔小野09〕.
ヒメケシグモ Meioneta mollis (O. P.-CAMBRIDGE, 1871)
雌1.4〜2.1mm,雄1.2〜1.6mm,成体は春から秋.十勝地方の湖沼周辺の湿地帯やそれに隣接する森林の落葉層に生息.旧北区に分布〔小野
09〕.
クロケシグモ Meioneta nigra OI, 1960
雌2〜2.2mm,雄1.7〜2mm,成体一年中.平地から山地まで広く生息.河原,草地,畑地,樹林地の周辺などの下草の根元付近,枯れ草の間,落葉
上,地表のくぼみなどに小さな「シート網」を張る.網にかかる小昆虫を捕えると思われるが習性は調べられていない〔新海06〕.
5月に生体を見ることが出来る.河原に生えた植物の根元や地面に地階葉,根出葉の下の地面にシート網を張る〔山川・熊田79〕.国外ではロシア,モンゴ
ル,中国,韓国から記録〔小野09〕.
アシボソケシグモ Meioneta tenuipes ONO, 2007
雌1.9〜2.0mm,雄1.4〜1.5mm,本州に分布〔小野09〕.
ナニワナンキングモ Mermessus naniwaensis (OI, 1960)
=Erigonidium naniwaensis OI, 1960
雌雄2.7〜3.0mm.中国からも記録〔小野09〕.成体は1年中,雌1.7〜2.8mm,雄1.6〜2.7mm.4化性である.
神奈川県横浜市で室内温度での飼育の記録である.ヘルメット状の卵のう(2.3〜4mm直径,0.4〜1.5mm厚さ)は白いが,
製作後10分もするとニカワ質に変化し,1時間後には褐色となる.雌19個体の調査で産卵回数は2〜11回(平均5.6回)で
,産卵の間隔は2〜19日(平均8.6日),1卵のうの卵数は3〜29個(平均8.5個)である.産卵からふ化までは9〜10日,ふ化から出のうまでは4
日である.
出のうは昼夜に関わりなく2令期で行われ,最初の1匹があけた穴からみんな出る.団居はない.土壌の間にシート網を張る.
餌は幼体にはオオヒメグモの2令を,他にはトビムシ,カ,ショウジョウバエを7〜10日に1度与えた.糸を使用せずに噛み付く.
食べカスは網から取り除く.雄は交接後殆ど食べない.時に共食いがあるが,その例は少ない.
交接した雌雄は長い同居生活を送る.雄は雌より先に死ぬ.脱皮回数は4〜7回で雌雄ともに5回脱皮して成体になる例が多い.
3〜7月の第4世代は5回が多いが,11〜3月の第3世代には6回の個体もかなりあった.同じ卵のうから出た個体でも脱皮回数はバラつく.
交接は雌雄の第1第2脚のDirect Contactの後,雄が網を補強してから行う.
時間がかかると雌は雄の体に触れて催促をする.
片方2秒ずつ,35〜185分(平均78分)挿入される.
途中で精液が不足すると精網を作り,補充する(30秒以内).精網はシート網に糸をx字型にかける.
あわさった中央部に精液を出す.普通交接は1回だが,雌雄ともに2回の例もある.10日前後に産卵する.雄は雌より早く成体になる〔佐藤
AT81,K50〕.
タイリクトガリヌカグモ Metopobactrus prominulus (O. P.-CAMBRIDGE, 1872)
雄1.8〜2.0mm,雌2.1〜2.5mm,北海道にて記録〔斉藤博・保田AT96〕.成体は春から秋.草地に生息.全北区に分布〔小野09〕.
キタゴマグモ Micrargus apertus (O. P.-CAMBRIDHE, 1870)
雌1.7〜2.2mm,雄1.6〜1.9mm,ユーラシア北部から記録〔小野09〕.
ホラゴマグモ Micrargus cavernicola WUNDERLICH, 1995
雌雄1.7〜1.9mm,岩手県大船渡市関谷洞窟から採集〔小野09〕.
クサチゴマグモ Micrargus herbigradus (BLACKWALL, 1884)
雌1.8〜2.2mm,雄1.5〜1.8mm,ユーラシア北部から記録〔小野09〕.
エゾゴマグモ Micrargus hokkaidoensis WUNDERLICH, 1995
雌雄1.9mm前後,北海道中央高地から採集〔小野09〕.
アカシロカグラグモ Micrargus niveoventris (KOMATSU, 1942)
=アカジロカグラグモ
雌雄1.8mm前後,長野県南佐久郡最勝洞から採集〔小野09〕.
オガサワラテナガグモ Microbathyphantes aokii (H. SAITO, 1982)
雌雄1.7〜2.2mm,小笠原諸島(父島・母島)から知られ,国外では中国,ベトナムから記録〔小野09〕.
タテヤマテナガグモ Microbathyphantes tateyamaensis (OI, 1960)
=Bathyphantes tateyamaense
=タテヤマサラグモ Porrhomma tateyamaense OI, 1960
=syn. キソサラグモ Porrhomma kisoense OI, 1960
=Bathyphantes tateyamaensis (OI, 1960)
雌雄2〜2.5mm,成体一年中.都市部から山地まで広く生息.神社・寺院の林,庭園,公園,樹林地の中,林道などの落葉の中や土,石や倒木の下,土壌
の隙間などに「シート網」を張る.
見つけ取りでの採集は難しく,多くはシフテイングにより採集される〔新海06〕.
種名は富山県立山にちなむ.同色・同形のクモが多く注意が必要〔新海06〕.
クロテナガグモの原記載の雄は本種〔松田AC53(2)〕.
成体は1年中,2〜2.5mm,本州.落葉の上や隙間にシート網を張り,微少昆虫を捕らえる〔東海84〕.
ナナメケシグモ同様の習性を持つ.本州に分布〔新海77〕.
3月上旬,地表3cmの草花の間やブロックと地表の間にいた.
6月上旬,陽のあたらない湿気の多い場所(テラスと芝が密着している所,
落葉や枯枝の中)に生息.網は糸を引きまわしただけのものだが,中央を地表につけている.
1〜4cmの高い所から糸をひいている.地表の網に獲物がふれると走り下りて捕獲,かみつく.
必ず空間で食べる.飼育容器のふたに産卵した.7月24日17卵を産卵,30日ふ化(14頭),
8月1日脱皮,7月30日産卵15卵(ふ化せず).
別の雌は7月27日15卵産卵,8月1日ふ化(7頭),脱皮(1頭),
4日分散;8月1日16卵産卵,8月7日ふ化(8頭);8月12日11卵産卵,17日ふ化(6頭),19日脱皮(3頭),20日分散〔佐藤K45〕.
キソサラグモの記録として,半原・飯山で採集〔山川・熊田79〕.
体長2mm前後,沢沿いの森や湿った草地で見つかる.草間や落葉上に3〜4cm四方の網を張る〔安藤08〕.
コノハサラグモ Microneta viaria (BLACKWALL, 1841)
雌雄2.0〜2.9mm,成体は春から秋に出現,落葉層に生息,全北区に分布〔小野09〕.
チビアカサラグモ Nematogmus sanguinolentus (WALCKENAER, 1837)
雌1.7〜2.2mm,雄1.5〜2mm,成体出現期5〜9月.平地から山地まで広く生息.
庭園,草地,河原,樹林地の中やその周辺,林道などに見られる.草間の根元付近,下草の間や葉裏,落葉の中や上,芝生の中,地表のくぼみなどに
小さな(2〜5cm)の「シート網」を張る.年に数回の発生が見られる普通種〔新海06〕.
雄の大きな黒色の触肢が目立つ〔新海06〕.
成体は5〜6月,8〜9月,雌1.7〜2.2mm,雄1.5〜2mm.本州・四国・九州.
下草の地表より1〜2cmの所にシート網を張る.各地に見られる普通種〔東海84〕.ユーラシアに広く分布〔小野09〕.
7月24日,円錐形の白色卵のうを作り,7月30日ふ化,8月1日子グモが出のう〔鈴木勝K46〕.
体長2mm前後,芝草などの間に数cm四方のシート網を張る.円錐形の卵のう(幼体15頭)〔安藤08〕.
コアカサナダグモ Nematogmus rutilus OI, 1960
雌1.9〜2.0mm,雄1.7〜1.8mm,日本固有〔小野09〕.
ズダカサラグモ Nematogmus stilytus (BOES. et STR., 1906)
=ヅダカグモ
雌1.6〜1.7mm,雄1.5〜1.6mm,中国からも記録〔小野09〕.
ヤガスリサラグモ Neriene albolimbata (KARSCH, 1879)
=Linyphia albolimbata KARSCH, 1879
=syn. Linyphia pennata OI, 1960
雌5〜5.5mm,雄4.5〜5.5mm,成体出現期5〜8月.山地に生息.東北地方に多く見られる.草地,池や沼の周辺,スキー場の周辺,樹林地の中
や周辺,
林道の草間や低木の下部などの地上5〜40cmの所に「シート網」を張り,下面に静止する〔新海06〕.
雌雄ともに頭胸部は赤褐色または橙褐色.雌の腹部は褐色の地に中央に縦に黒色の矢がすり模様が入り,腹部周縁には白色の不連続斑が目立つ〔新海06〕.
採集例が少ない.北海道・本州・九州.ヘリジロサラグモ同様,草間の地表5cm前後の所にシート網を張ると思われる〔新海77〕.国外ではロシア極東地
域,中国,韓国,台湾から記録〔小野09〕.
積雪上で採集されるクモとして記録が多い〔新海明K86〕.
ハンモックサラグモ Neriene angulifera (SCHENKEL, 1953)
=Linyphia angulifera (SCHENKEL, 1953)
=mis. Neolinyphia peltata (WIDER, 1834)
雌3.5〜4mm,雄2.8〜3mm,成体出現期6〜8月.北海道では平地から山地まで広く分布する普通種.本州では700m以上の山地に生息.
林道や渓流沿いの樹木の枝葉間,背丈の高い草の葉や花の間に「ハンモック網」(直径7〜10cm)を張る〔新海06〕.
成体は7〜8月,3〜4mm,北海道・本州・四国・九州.北海道以外では700m以下の地域では殆ど見られない.網型,造網環境はヤガスリサラグモと同じ
〔東海84〕.国外ではロシア極東地域,中国から記録〔小野09〕.
NeolinyphiaからLinyphiaに転属〔保育86〕.
チビサラグモ Neriene brongersmai (HELSDINGEN, 1969)
=Linyphia brongersmai (HELSDINGEN, 1969)
=Linyphia limbtinella BOES. et STR., 1906
雌3〜4.5mm,雄4〜5mm,成体出現期4〜6月.山地に生息.林道や樹林内の下草の根元(地表より2〜10cm)付近,
落葉の間,倒木や石の間,露出した樹木の根の間などに「シート網」を張り,網の下面に静止する〔新海06〕.
雌雄とも4.5〜5.0mm.ヘリジロサラグモによく似るが,腹部後端が丸みがある.
山地の林内や山道の石の間,落葉間,下草の根元などでシート網を張っている.4〜6月に成体.分布は本州.四国・九州〔千国89〕.
5月11日,鴨川市のスギ林床(1平方m当たり雌3.7頭と高密度)で雌網上で雄2頭が闘争,第1脚を広げて接しては
離れるを繰り返していた.大小に差があると小さい方がすぐに追い出される〔高田まゆらK88〕.
自然環境指標種Aランク〔新海98〕.
コウシサラグモ Neriene clathrata (SUNDEVALL, 1829)
=Linyphia clathrata SUNDEVALL, 1830
雌4〜5mm,雄4.5〜5mm,成体出現期6〜8月.山地に生息するが,個体数は少ない.林道や樹林内の下草の根元付近,
落葉の間,岸のくぼみ,倒木や石の間などに「シート網」を張る.
他のコウシサラグモ属のクモより腹部の黒色がやや薄く,斑紋が格子状に見えることからこの名前が付いた〔新海06〕.
スギなどの根元や枯枝の落ちたもの,落葉のくぼみ等に比較的大きなシート網を張る〔山川・熊田79〕全北区から知られる〔小野09〕.
クスミサラグモ Neriene fusca (OI, 1960)
=Linyphia fusca (OI, 1960)
雌4.5〜5.5mm,雄3.5〜4mm,成体出現期4〜6月.山地に多く生息する.林道や渓流上の樹木の枝葉間に多く見られる.ユノハマサラグモとと
もに春先一番早く出現するクモ.
新芽の出ていない落葉樹の枝先,針葉樹の枝葉間,背丈の高い枯れ草の茎枝などに「ハンモック網」を張る.網は二重構造になっていることが多く,網の上下に
は
複雑に糸が引き回され,そこにかかった獲物が網の上に落ちる〔新海06〕.
成体は4〜6月,5〜6mm,本州・四国・九州.山地の道添,渓流上などに多く,新芽の出ていない枝先,針葉樹枝先,
枯枝などにハンモック網を張る〔東海84〕.日本固有種〔小野09〕.
平地にはみられない.産卵期は5〜6月で,白色の半球状の卵のうを,絹のような防水性のある糸で覆う.
産卵場所および1卵のう中の卵数は不明.枝先に葉があると,網を張るのに邪魔になり,
また獲物がかかる率が低くなるために,このクモは植物の萌芽に合せて成長する.
樹木の新芽が出てこない春先に,最も餌をとる必要のある亜成体期から成体期を迎える.
クモは網の最下部,つまり底にある部分の下側に止まる〔森林87〕.
千葉県清澄山では5〜7月産卵・ふ化,7〜10月幼生,10〜4月亜成体,4〜6月成体.網は成長につれて大きくなる.
主に沢添いの枯枝先端に造網し,粘性はなく糸は弱い.獲物は不規則状の糸にぶつかり皿網上に落ちた所をガブリと補食される.
あまり敏捷でない虫,蚊,ガガンボ,カワゲラ,カゲロウ,アリマキ(有羽)が餌となる〔新海明AT70,蜘蛛40〕.
冬期にも造網している例がある〔新海明K88〕.
精網作成行動を観察〔新海明K66〕.
丹沢大倉付近で1989年4月29日で交尾を数例観察.1ケ月後には雌のみ.雄がいる場合はムネグロサラグモだった〔池田K59〕.
5月6日12時50分に菰野町八風渓谷で交接を観察.ハンモック網の下面で向き合い,
オスの左触肢が挿入されていた.メスの触肢は前方にのび,口でオスの頭部をつかんでい
た.オスが裏返しに触肢をねじって挿入すると,血のうが1回膨張・収縮した.ついで触
肢を外し,杯葉でメスの外雌器を6〜7回トントンと打った.その後,左右の触肢の杯葉
を用いて交互に早く打ち,次にもう一方の触肢を挿入した.以下,同様の行動を繰り返し
た.挿入回数は1分間に10回程度.6分後,オスは全脚をバタバタさせて後退し,3cmほど離れ回転して,網を丸く破り直径1.5cm程の穴をあけ,ここ
にY字形の糸を張
り,その交点に2mm程の精網を作った.上側から腹部を前後にこすりつけ0.5mm程の精液がつくと,下側へまわり交点の2本の糸の間から触肢を交互に出
して,精液を吸入
した.この間約5分.そして再55分間交接.その後また精網で精液を吸入.3回目の交接は動作が次第に遅くなった.観察後1時間20分までこの状態が続い
た〔貝発,しのび180〕.
飼育容器に付着して卵のうを作った.周囲を天幕状の糸でおおう〔K43〕.
5月13日産卵,21日ふ化,23日2令,28日出のう32頭〔鈴木勝K46〕.
ユノハマサラグモの網を乗っ取ることがある(東京都八王子で5月15日)〔新海明K70〕.
NeolinyphiaからLinyphiaに転属〔保育86〕.
自然環境指標種Aランク〔新海98〕.
体長4mm,樹間にハンモック網〔安藤08〕.
シバサラグモ Neriene herbosa (OI, 1960)
=Linyphia herbosa OI, 1960
雌雄3〜5mm.中国からも記録〔小野09〕.「木の枝に皿網を張る.その他にも樹間,草上に浅い皿網を張る〔植村65〕.
採集記録は京都,奥秩父,八丈島だけ〔新海69〕.
札掛・日向でも採集.スギなどの根元や枯枝の落ちたもの,落葉のくぼみ等に比較的大きなシート網を張る〔山川・熊田79〕.
自然環境指標種Bランク〔新海98〕.
ツリサラグモ Neriene japonica (OI, 1960)
=Linyphia japonica (OI, 1960)
雌雄3〜4mm,成体出現期5〜8月.里山から山地に生息.樹林地の周囲,林道や渓流沿いの樹木の枝葉間,枯れ枝の間,草間などに
深いすり鉢型の「ハンモック網」(直径5〜7cm,深さ2.5〜4cm)を張る.網の底の内側の部分に背中を上にして静止する〔新海06〕.
成体は5〜8月,3〜3.5mm,本州・四国・九州.深いハンモック網を張り,網の底の部分に背中を上にして静止する〔東海84〕.国外ではロシア極東地
域,中国,韓国から記録〔小野09〕.
東京都八王子市小宮公園にて1995年5月28日交尾観察.午前10時53分に雄は雌の網の一部を切断し,Y字形の精網作成,
精液注入後,シート網上部で雌に求愛.交尾.触肢は交互に挿入され1回当り平均19秒.10分後に精液を再充填し,再交尾.1時間半後も交尾中〔新海明
K72〕.
埼玉県秩父市にて1998年7月27日に雌雄同居の網多し〔池田98〕.
NeolinyphiaからLinyphiaに転属〔保育86〕.
自然環境指標種Bランク〔新海98〕.
体長3mm,木の枝先にお椀のような網を張る〔安藤08〕.
アミメサラグモ Neriene jinjooensis PAIK, 1991
雌雄4.4〜5.6mm,国外では韓国,中国から記録〔小野09〕.
コシロブチサラグモ Neriene marginella OI, 1960
=Linyphia marginella OI, 1960
=Prolinyphia marginella OI, 1960
雌4〜5mm,雄3.5〜4mm,成体出現期6〜8月.北海道では平地から山地まで広く分布.本州・四国では1000m以上の高山に多く生息する.
樹林地の周辺,林道,渓流沿いの樹木の枝葉間,草間に「ドーム網」を張る.網の上部には不規則に糸が引き回されていてそこに迷い込んだ小昆虫が主網の上に
落ちて捕えられる〔新海06〕.成体出現期は6月下旬から9月初旬〔小野09〕.
シロブチサラグモ同様の習性を持つ〔新海69〕.
ヤマジサラグモ Neriene montana (CLERCK, 1758)
=Linyphia montana (CLERCK, 1758)
=mis. Prolinyphia marginata (C. L. KOCH, 1834)
雌5〜7.5mm,雄4〜7mm,成体出現期6〜8月.北海道では全域に分布する普通種.本州では1000m以上の山地に生息.
崖地に張り出している樹木の根の間,崖地のくぼみ,林道の下草の間,倒木や石の間などに「シート網」(直径10〜20cm)を張る〔新海06〕.芝公園,
八丈島での採集記録がある〔新海69〕.全北区から知られる〔小野09〕.
ムネグロサラグモ Neriene nigripectoris (OI, 1960)
=Linyphia nigripectoris (OI, 1960)
雌雄3〜4mm,成体出現期5〜7月.里山から山地に生息.平地の雑木林にも見られる.樹林地の周囲,林道,渓流沿いの樹木の枝葉間,枯れ枝の間などに
「ハンモック網」(直径5〜8cm,深さ1.5〜2cm)を張る.クスミサラグモに似るが,やや小型で黒色が強い.
里山周辺や山麓に多く,山地性のクスミサラグモとすみわけが見られる〔新海06〕.
成体は5〜7月,3〜4mm,本州・四国・九州・薩南諸島.網型,造網環境はクスミサラグモと同じ.山添の林,丘陵地から山間部にかけて生息している〔東
海84〕.国外ではロシア極東地域,中国,韓国から記録〔小野09〕.
クスミサラグモより小型でやや黒色が強い〔森林87〕.
西丹沢ではクスミサラグモと同じ場所に繁殖期が1ケ月遅れて(クスミ4月,ムネグロ5月)造網・生息する〔池田98〕.
求愛行動は雌が雄を追うところから観察した.雄は時々振り返って雌と第1脚を忙しく打ち合う.雌が追うのをやめる.
雄がからかいに行く.瞬間的にV字状,交合姿勢をとること2回.雄が下糸に落ちたので,雌が第1脚で網をたたきながら待つ.
雄が帰り,「鬼サン遊び」再開.V字状1分間,「鬼サン」の後,V字状30秒間.その後1cm離れて静止(そっぽを向いた形).1分後,雄上糸に移る.
見送った雌占座点に帰る〔中平AT64,中平83〕.
@雄第1による打ち合い(beating),A腹部の上下動(abdomen
vibrating).1脚による網面叩き(druming).雌の周囲を回る(circling),
@Aをくり返した後,B雌が1脚で打ち返し(sparring),C雄を1脚で引き込み(pulling),D交尾(O-VD型.21秒→5分40
秒),E分離〔池田K61〕.
東京都八王子市小宮公園にて1995年5月28日午前11時45分に雌の迷網にY字形の精網作成,精液注入後,シート網下面で雌に求愛.交尾.
触肢は交互に挿入され1回当り平均44秒〔新海明K72〕.精網はシート下面の迷網部に作成.クスミサラと同様Y字形.雄は1・2脚と腹部を小刻
みに振るわせながら雌に接近し,O−VD体位で交接.パルプは左右交互に挿入し,1回あたり平均44秒,
これを3〜4秒の間隔をあけて繰り返した〔新海明,しのび23〕.
NeolinyphiaからLinyphiaに転属〔保育86〕.
自然環境指標種Cランク〔新海98〕.
ヘリジロサラグモ Neriene oidedicata (HELSDINGEN, 1969)
=Linyphia oidedicata (HELSDINGEN, 1969)
=Linyphia projecta OI, 1960
=mis. Linyphia albolimbata KARSCH, 1879
雌4〜5mm,雄3.5〜5.5mm,成体出現期5〜7月.都市部から山地まで広く分布する普通種.
公園,庭園,水田の周辺,河原,雑木林,林道,林縁などに生息.下草の根元付近(地表より2〜20cmのところ),落葉の間,
倒木や石の間などに「シート網」(直径8〜15cm)を張る〔新海06〕.
成体は5〜7月,4〜5mm,全土.下草の間の地面に近い所(地上2〜10cm)にシート網を張る.
都市部から山地まで広く分布している〔学研76〕.国外ではロシア極東地域,中国,韓国から記録〔小野09〕.
地上1.5mのヒメシャラの枝先に網〔諏訪哲K67〕.
網の下面に静止する〔新海69〕.
8月4日に産卵(三宅島産),卵塊を包む糸と天幕の間にすき間がある.8月10日ふ化,
12〜13日第1回脱皮,17日出のう17頭,母グモは29日に死去〔鈴木勝K46〕.
神奈川県愛川町にて求愛.交尾行動を観察(1993年8月17日).雄が接近.雌が雄の周囲を回る.雌が静止.
雄が接近し交尾(ここまで1時間半).いったん離れてから2度交尾(30分間)して雄は去った〔諏訪哲K67〕.
草むらや低木の根元に網を張る.卵のうから幼体100頭余〔安藤08〕.
シロブチサラグモ Neriene radiata (WALCKENAER, 1842)
=Linyphia marginata (C. KOCH, 1834)
=Prolinyphia marginata (C. KOCH, 1834)
雌4〜6mm,雄4.5〜7mm,成体出現期4〜8月.平地から里山に生息.山地ではあまり見られない.
草原,河原,雑木林の周辺などの草間,樹木の枝葉間の低い場所に深い
「ドーム網」(直径10〜15cm,深さ5〜8cm)を張る.アシナガサラグモによく似ている.本種の最盛期は5〜6月〔新海06〕.
成体は4〜6月,5〜7mm,北海道・本州・四国・九州.平野部の草原,河原・渓流などの草間,樹葉間の低い場所に深いドーム網を張る.
時にドーム網の下にハンモック網を張ることもある.産卵期は5〜6月.草間に卵のうを作る〔東海84〕.全北区に分布〔小野09〕.
4〜7mm,草原,河原,ゴルフ場の周辺など,比較的ひらけた場所に多く,その他,山間部の山道などでもみられる.
草間にパラシュートを広げたようなドーム網を張る〔森林87〕.交接時,雄は正面から雌にちかづき,腹の下にもぐり込む〔野口AT22〕.
長崎で,2月18日14時37分,雄が雌の脚に静かに触れる.2月20日13時57分,何度も雄は雌の周囲を駆け回る.
雌は常に雄の方を向く.雌が静かに前脚4本を持ちあげると,雄はそっとちかづき,重なる.
翌日,16時昨日と同じ姿勢.長い交接である.17時20分,雄の姿がない〔大利AT28〕.
ミヤマナンキングモ Neserigone basarukini ESKOV, 1992
雌雄2.3〜2.6mm,北海道に分布し,国外ではロシア東部,サハリンから知られる〔小野09〕.
長野県東部および北部の各地で採集,6月8日千曲市の大池のキャンプ場のササ葉面で交接〔藤澤K97〕.
ハシグロナンキングモ Neserigone nigriterminorum (OI, 1960)
=Erigonidium nigriterminorum OI, 1960
雌雄2.3〜2.6mm,成体出現期6〜10月.里山から山地にかけて生息.
草原,樹林地の周辺,果樹園,河原,林道沿いなどの草間,樹木の枝葉間に
「シート網」を張る〔新海06〕.
頭胸部は光沢のある赤橙色で先端(頭部)は黒色=ハシグロの由来〔新海06〕.
雌雄2.1〜2.6mm,森林内の草本層や落葉層に生息し,成体は初夏から秋まで〔小野09〕.
御蔵島で採集.シート網と思われるが未確認.「笹の葉の下側(菅波71)」「草間を徘徊する(大井62)」と報告あり〔新海77〕.
マダラナンキングモ Neserigone torquipalpis (OI, 1960)
=Erigonidium torquipalpis OI, 1960
雌雄2.1〜2.6mm〔小野09〕.
ミヤマニッポンケシグモ Nippononeta alpina ONO et SAITO, 2001
雌雄1.4〜1.8mm.山地に分布〔小野09〕.
ミチノクケシグモ Nippononeta elongata ONO et SAITO, 2001
雌雄1.5〜1.6mm〔小野09〕.
カイケシグモ Nippononeta kaiensis ONO et SAITO, 2001
雌雄1.3〜1.6mm〔小野09〕.
カントウケシグモ Nippononeta kantonis ONO et H. SAITO, 2001
雌雄1.5〜1.6mm〔小野09〕.体長1.5mm,森の中の落葉間に2〜3cm四方の網を張る.よくみかけるが生息密度は低いようだ.
冬に成体・亜成体(幼体も?)見られる〔安藤08〕.
ニッポンケシグモ Nippononeta kurilensis ESKOV, 1992
雌雄1.5〜1.7mm.ニッポンケシグモ属の基準種〔小野09〕.
イオウジマケシグモ Nippononeta masatakana ONO et SAITO, 2001
雌雄1.3〜1.7mm.南硫黄島から記載〔小野09〕.
ダイボサツケシグモ Nippononeta masudai ONO et SAITO, 2001
雌雄1.3〜1.5mm.基準産地は山梨県大菩薩峠〔小野09〕.
ナナメケシグモ Nippononeta obliqua (OI, 1960)
=Meioneta obliqua OI, 1960
雌雄1.8〜2.0mm.韓国からも記録〔小野09〕.石や倒木の下のくぼみ,落葉・土壌の隙間に小型(1〜3cm)のシート網を張る〔新海77〕.
都市環境指標種〔新海98〕.
オオクマニッポンケシグモ Nippononeta okumae ONO et SAITO, 2001
雌雄1.3〜1.6mm〔小野09〕.
オガタニッポンケシグモ Nippononeta ogatai ONO et SAITO, 2001
雌雄1.5〜1.9mm〔小野09〕.
ゴカクケシグモ Nippononeta pentagona (OI, 1960)
=Meioneta pentagona OI, 1960
雌雄1.7〜1.8mm,成体出現期4〜8月.里山から山地にかけて生息.樹林地の中や周辺,草地,林道などの草の根元付近,地表のくぼみ,落葉の間,
石や倒木の下などに小さな「シート網」を張り,
網の下面に静止する〔新海06〕.頭胸部中央に五角形の黒色斑がある〔新海06〕.冬期落葉の下より多く採集される〔新海69〕.国外ではモンゴルから記
録〔小野09〕.
当たりの卵数は2〜25,出のう幼体は4回脱皮で秋に成体〔安藤08〕.
ツノケシグモ Nippononeta projecta (OI, 1960)
=Meioneta projecta OI, 1960
雌雄1.4〜1.9mm,成体一年中.里山から山地に生息.樹林地の周囲,草地,林道の下草の根元付近,地表のくぼみ,落葉の間,倒木や石の間,崖地や
石垣の隙間などに小さな「シート網」を張り,
網の下面に静止する〔新海06〕.
頭胸部,腹部ともに光沢のある暗赤褐色で周辺部は黒色が強い〔新海06〕.冬期落葉の下より多く採集される〔新海69〕.雌雄1.8〜2.0mm.国外で
は韓国,モンゴルから記録〔小野09〕.
体長1.3〜1.5mm,森の中の落葉間に2〜3cm四方の網を張る〔安藤08〕.
アマリケシグモ Nippononeta subnigra ONO et SAITO, 2001
雌雄1.5〜1.6mm〔小野09〕.
モリニッポンケシグモ Nippononeta silvicola ONO et SAITO, 2001
雌雄1.4〜1.6mm〔小野09〕.
ツメケシグモ Nippononeta ungulata (OI, 1960)
=Meioneta ungulata OI, 1960
雌雄1.8〜2.0mm.国外では韓国から記録〔小野09〕.冬期落葉の下より多く採集される〔新海69〕.
ホウライケシグモ Nippononeta xiphoidea ONO et SAITO, 2001
雌雄1.5〜1.8mm〔小野09〕.
エンザンマジナイケシグモ Nipponotusukuru enzanensis ONO et SAITO, 2001
雌1.8〜1.9mm,雄1.5〜1.6mm.日本固有種〔小野09〕.
ザオウマジナイケシグモ Nipponotusukuru spiniger ONO et SAITO, 2001
雌未知,雄1.5〜1.6mm.日本固有種〔小野09〕.
アゴヒゲサラグモ Nispa barbatus ESKOV, 1993
雌3.2〜3.6mm,雄3.0〜3.3mm.国外ではサハリンから記録〔小野09〕.
ヤマトアカムネグモ Oedothorax japonicus KISHIDA, 1910
雌2.5〜3.0mm,雄3.5mm前後,基準標本の採集地は新潟県長岡市〔小野09〕.
ムツボシミヤマアカムネグモ Oedothorax sexmaculatus SAITO et ONO, 2001
雌3.2〜3.3mm,雄2.3〜2.4mm〔小野09〕.
イマダテテングヌカグモ Oia imadatei (OI, 1964)
=Cornicularia imadatei OI, 1964
雌雄1〜1.4mm,成体一年中.里山から山地に生息.樹林地の落葉の下,土壌の隙間,石や倒木の下の隙間などに小さな「シート網」を張る
〔新海06〕.
成体は1年中,1〜1.4mm,本州.土壌性種.多化性〔東海84〕.国外ではロシア(沿海州,サハリン),韓国から記録〔小野09〕.
1cm四方のシート状網を落葉の中に張る.水戸市内のアカマツ・コナラ林の調査によれば,10〜6月までよく成体が見られる(雄9〜5月)が,
精子保有率は12月雄では60%,4月雄で100%,3月雌では0%,4月下旬雌70%,5月雌では100%である.4月に交接するのだろう.
茨城大構内野外の管びん内でトビムシを与えた飼育下(飼育容器内の温度は野外とほぼ同じ)では,10〜4月に産卵はない.
5月,8月に卵のう数が多い.白色両とつレンズ型の卵のうである.予備実験では6月の卵のう数の落ち込みはなかった.
1個体の造卵のう数は8〜12個,19個を産んだものでは13個目以降は出のうしなかった.卵数は2〜3個である.
体長が0.7〜0.8mmの個体は卵のう中の卵数が1個である.クモは出のう後4回の脱皮をして成体となる.
26℃恒温条件では3令期が長く,亜成体になって死亡した.
有効積算温度法則から発育の0点を求めると卵期11℃,1令期11℃,2令期12℃,3令期13℃,亜成体期10℃である.
亜成体で低いことによって,野外では10月に個体群の令が同調して成体となる.外国の森林のリター性のクモ同様,年1世代である〔安藤昭久84〕.
森の中の腐植土の隙間に数ミリ四方の小さな網を張る.尾根のような水はけのよい場所の雑木林に多く見られ,
1平方m当たりに何十匹も生息している.オス成体の出現期は10月〜5月,メス成体の出現期は10〜7月.
交接期4月,産卵期4月下旬から7月,球形の卵のう1個〔安藤08〕.
マルコブヌカグモ Okhotigone sounkyoensis (H. SAITO, 1986)
雌雄1.5〜1.6mm,国外ではロシア極東地域,中国から記録〔小野09〕.
ミヤマカラスヌカグモ Oreoneta tatrica (KULCZYNSKI, 1915)
雌雄3.7〜4.7mm,大雪山系から記録.疑問種.ヨロッパの山岳地域に生息〔小野09〕.
シタガタサヤサラグモ Oreonetides vaginatus (THORELL, 1872)
雌雄3.0〜3.8mm,全北区に広く分布〔小野09〕.
シミズサラグモ Oreonetides shimizui (YAGINUMA, 1972)
=syn. Oreonetides lingualis H. SAITO, 1978 シタガタサヤサラグモ
雌雄2.2〜2.3mm,国外ではロシア極東地域から記録〔小野09〕.
アバタムナキグモ Orientopus yodoensis (OI, 1960)
=Orientopus yodoense
=Lophomma yodoense OI, 1960
雌1.5〜1.6mm,雄1.4〜1.5mm.国外では中国,韓国から記録〔小野09〕.落葉の下から採集〔新海70〕.本州・韓国に分布〔八木沼
77〕.
スソグロサラグモ Ostearius melanopygius (O. P.-CAMBRIDGE, 1879)
=スソグロムネアカグモ Oedothorax melanopygus KISHIDA
雌雄1.6〜1.8mm,成体出現期3〜6月.平地から山地にかけて生息.樹林地の中や周辺,林道の落葉の中,地表のくぼみ,石や倒木の隙間,草間の地
表付近などに小さな「シート網」を張る〔新海06〕.耕作地に多い.世界共通種〔小野09〕.
頭胸部と歩脚の基節,転節,腿節は光沢のある橙色.眼域は黒色.腹部と歩脚の膝節から付節までは灰橙色で光沢は無い〔新海06〕.石や石垣の上で採集〔安
念AC6(3)〕.
2〜3mm,畑地の片隅の廃棄物(ビニール,木片・丸太)の下で採集.横浜で室内飼育(7日に一度の給餌)の結果,年3化.
地表1.5〜3cm上部へシート網.下側から網の上部にきた獲物にかみつく.動く餌でなくとも食べる.
2〜3令間に幼体同志の共食いがあり,同居の雌が雄を食べた例,雄が雄を食べた例がある.
ふ化から成体までの脱皮回数は第一世代(4月〜翌年6月)は平均6回,第2世代(8月〜翌年7月)は平均5回,第3世代(11月〜)は平均5回.
交接の場所はシート網下側,雌雄は脚先端を接触させる.雄は雌を確認すると触肢でドラミングをしながらジグザクに雌に近付く.
触肢の挿入は最初早いが,次第にゆっくりとなる.13〜18分である.
雄は成体になるとすぐに交接可能だが,雌は成体になって平均15日前後をおいて交接する.
精網を作る・精液の採取も観察した.卵のうは網の下側,球形白色.卵のう作成(90〜120分,昼夜を問わず)を終えると保護の糸を周囲に張る.
産卵回数,1卵のう内の卵数,総産卵数は,第一世代が9・5回,6・4個,61個,第2世代が12・9回,10・2個,129・8個,第3世代が5
回,10個,51個である〔佐藤AT84〕.
給餌量が少ない(1日当たりキイロショウジョウバエ1/10頭と1/15頭.多い方は1日当たり1/3頭と1/7頭)雌では4回より5回脱皮で成体になる
割合が高い(82%)し,令期間が長くなる.
体長はやや小さくなる.産卵もバラついてくる.最多給餌(1/3)での生存率が75%と,1/7で100%より低いので,餌量の増加は生存率を必ずしもあ
げるものではない.
雄は成熟してからは殆ど餌をとらない〔佐藤AT86〕.
石や材木の下より採集される〔新海69〕.イギリスでは庭などに普通に産するようである.日本でも山地より,海岸や平地の石・倒木・落葉の下に多い〔新海
70〕.
小さなシート網を張る〔山川・熊田73〕.
満潮線付近より採集された,英国では庭にいる.高知県桂浜にて,雄2.06mm,雌2.25mm〔大井AC16(2)〕.
スソグロムナアカグモ Oedothorax melanopygus KISHIDA
として記載〔安念AC6(4)〕されたが,これは原記載とはしない〔八木沼AT73〕.
横浜市にて倒木や石下,地面のくぼみに小さなシート網を張る.8〜9月にかけて夜間,地上を徘徊する個体が多いようだ〔山川K36〕.
欧州では黒色型の色彩変異個体がいる〔池田10〕.
キュウシュウツノヌカグモ Paikiniana iriei (ONO, 2007)
=Cornicularia iriei ONO, 2007
雌雄2.1〜2.3mm〔小野09〕.
テングヌカグモ Paikiniana mira OI, 1960
=Cornicularia mira OI, 1960
雌雄2〜2.2mm,成体一年中.都市部から山地まで広く分布.公園,庭園,樹林地,林道などの下草の根元,地表のくぼみ,落葉の間,石や倒木の下の隙
間などに小さな「シート網」を張る.シフティングやツルグレン装置によって採集される〔新海06〕.韓国からも記録〔小野09〕.
コテングヌカグモ Paikiniana vulgaris OI, 1960
=Cornicularia vulgaris OI, 1960
雌雄2〜2.3mm,成体一年中.平地から山地まで広く生息.草地,河原,樹林地の周辺などの草間の根元付近,芝生,枯れ草の間,地表のくぼみなどに
1〜3cmの小さな「シート網」を張る〔新海06〕.韓国からも記録〔小野09〕.
頭胸部,歩脚は橙色.腹部は褐色で斑紋のないものが多いが,個体によっては白点がある.眼域は黒色.雄の頭部には角状突起があり,眼は突起の基部を囲むよ
うに付く〔新海06〕.
地面のくぼみ,芝生等に小型(1〜2cm)のシート網を張る〔新海77〕
タイリクコサラグモ Parasisis amurensis ESKOV, 1984
雌雄2.5mm前後,本州・九州に分布〔小野09〕.中国東北部とアムール川流域で記載〔斎藤博H3(2)〕.
クマダヤマトコナグモ Paratapinocyba kumadai H. SAITO, 1986
雌1.4〜1.6mm,雄1.3〜1.5mm〔小野09〕.
オオイワヤマトコナグモ Paratapinocyba oiwa (H. SAITO, 1980)
雌雄1.3〜1.5mm,原記載はヤマジコナグモ属 Tapinocyba,SAITO(1986)により転属〔小野09〕.
ナラヌカグモ Parhypomma naraense (OI, 1960)
雌1.8〜1.9mm,雄1.6〜1.7mm〔小野09〕.
ズグロコブヌカグモ Pelecopsis mengei (SIMON, 1884)
雌雄1.8〜2.3mm,全北区に分布〔小野09〕.
ウスチャズダカグモ Pelecopsis punctiseriata (BOES. et STR., 1906)
=Lophocarenum punctiseriata BOES. et STR., 1906
雌1.9mm,原記載以来,採集記録がない.別属の可能性がある〔小野09〕.
ワカレサラグモ Pityohyphantes phrygianus (C. L. KOCH, 1836)
雌雄4〜6mm.旧北区に分布し,九州から記録がある〔小野09〕.
コロポックルコサラグモ Pocadicnemis pumila (BLACKWALL, 1841)
雌雄1.7〜2.4mm,全北区に広く分布〔小野09〕.
エゾヤマサラグモ Porrhomma hebescenes (L. KOCH, 1879)
=syn. ハクサンサラグモ Porhomma hakusanense OI, 1964
=Porhomma montanum JACKSON, 1913
雌雄1.6〜2.2mm,旧北区に分布〔小野09〕.
ホラアナサラグモ Porrhomma ohkawai H. SAITO, 1977
雌2.3〜2.4mm,雄1.7〜1.8mm,基準産地は栃木県栃木市出流大師霊窟〔小野09〕.
コガタヌマチサラグモ Porrhomma pygmaeum (BLACKWALL, 1834)
雌雄1.7〜2.2mm,成体は春から秋に出現.湖沼付近の湿地や河川の近くなど湿地に好んで生息.ユーラシア大陸北部に分布〔小野09〕.
ラカンホラアナサラグモ Porrhomma rakanum YAGINUMA et H. SAITO, 1981
雌雄2.0〜2.1mm,基準産地は愛媛県野村町羅漢穴〔小野09〕.
タイリクサラグモ Prolinyphia emphana (WALCKNAER, 1841)
=Linyphia emphana (WALCKNAER, 1841)
=Neriene emphana (WALCK., 1873)
雌6〜7.5mm,雄4.5〜5.5mm,成体出現期7〜9月.北海道では平地から高山まで広く分布する普通種.本州では1000m以上の高山で稀に採
集される.
人家,公園,庭園の庭木の間,草間,生け垣,道路沿いの街路樹や植え込み,側溝,ガードレール,樹林地の周辺,林道,渓流沿いなどの樹木の枝葉間,草間に
10〜30cmの大型の「ドーム網」を張る〔新海06〕.
成体は7〜9月,雌6.5〜7.5mm,雄5〜6mm,北海道・本州(青森県).下草の間,樹木の枝葉間にドーム網を張る.
北海道では普通の大型種〔東海84,森林87〕.旧北区に分布〔小野09〕.
サイズ差による令査定の試み.日当り0.5〜2.0頭のショウジョウバエを与え,
室内飼育個体と野外個体群の中眼域の後辺の幅を測定し,比較した.
その結果はほぼ等しく6令で成体になった〔秋田AC41(2)〕.
夜,エゾアシナガグモ幼体が雌成体の皿網に侵入し網糸を食べていた.エゾがタイリクを威嚇,そこへトゲザトウムシ雌成体が皿網に侵入し
網上の屑を捕食した〔新海明K85〕.
フタスジサラグモ Prolinyphia limbatinella (BOES. et STR., 1906)
=Neriene limbatinella BOES. et STR., 1906
=Prolinyphia limbatinella BOES. et STR., 1906
=syn. Prolinyphia bilineata OI, 1960
雌4.5〜6mm,雄4〜5mm,成体出現期8〜10月.山地に生息.林道,樹林地の周辺に多く,草間には見られない.スギ,ヒノキ,カラマツなどの針
葉樹の枝葉間,地上1.5〜3mの
比較的高いところに浅い「ドーム網」(直径20〜40cm,深さ4〜5cm)を張る.広葉樹では葉裏に網を張るが,ほとんど見られない〔新海06〕.
成体は8〜10月,雌5〜6mm,雄4〜5mm,北海道・本州・四国・九州.500〜1000mの山地に多い.針葉樹(特にスギ)の枝先に浅くて大きな
ドーム網を張る〔学研76〕.国外ではロシア南東部,中国,韓国から記録〔小野09〕.
自然環境指標種Aランク〔新海98〕.
アシナガサラグモ Prolinyphia longipedella (BOES. et STR., 1906)
=Neriene longipedella BOES. et STR., 1906
=Linyphia longipedella BOES. et STR., 1906
雌5.5〜7mm,雄4.5〜6mm,成体出現期7〜9月.夏の山地の代表的なサラグモ.自然度の高い平地林から山地に分布.
樹林地の周辺,草原,河原,林道,渓流沿いなどの草間,樹木の枝葉間の低い場所に
「ドーム網」(直径10〜15cm,深さ5〜8cm)を張る.網の内側の天井部分にぶら下がる形で静止する〔新海06〕.
成体は7〜9月,5〜7mm,北海道・本州・四国・九州・奄美.平野部の草原,河原・渓流などの草間,
樹葉間の低い場所に深いドーム網を張る.
時にドーム網の下にハンモック網を張ることもある.山地に多い〔東海84〕.国外ではロシア東部,中国,韓国から記録〔小野09〕.
刺激を与えると腹部の白色の鱗が収縮してわずかに中央の縦線が太くなる〔新海AT51/52〕.
6月2日午前11時30分頃,雌雄のいる網に近づき,口で軽くクモを吹いた所,雄は急に雌にちかより,交接した.
体位は仰向けの雌に対し,雄も仰向け.約15分間,雄は3秒間触肢を外雌器にいれては2秒休む,また別の触肢を3秒いれては休むことを繰り返した.
15分間に180回交接したことになる.その後,5分間ほど離れていたが,11時55分頃から又交接した.
7秒差し入れて3秒休むことを繰り返し,5分後,雄は雌から離れた.離れる間近になると,交接時間は4秒と縮む.
12時4分,又交接,20〜25秒差し入れて直ぐ触肢を交替する.交接時間は次第に長くなり,
28秒,35〜36秒,40秒,50秒,55秒,58〜60秒,65秒.時々雌が逃げるが雄が追い付く.
午後2時30分,雄が急に離れ,雌はその時網にかかた餌をとらえた.
雄は触肢を交互に雌の外雌器にねじるようにして入れる〔錦AT22〕.
体長5〜6mm,森の中の樹間や草間に20cm四方のお椀を伏せたような網を張る.7〜9月頃成体〔安藤08〕.
自然環境指標種Cランク〔新海98〕.
ホソテゴマグモ Pseudomicrargus acuitegulatus (OI, 1960)
=Micargus acuitegulatus OI, 1960
雌雄2.0〜2.2mm.ホソテゴマグモ属の基準種〔小野09〕,
アサカワゴマグモ Pseudomicrargus asakawaensis (OI, 1964)
=Micargus lasakawaensis OI, 1960
雌雄2〜3mm〔小野09〕,体長2mm,丘陵の中腹の森などから見つかる.乾燥した尾根やジメジメした沢沿いにはあまりいないようだ.
落葉間に2〜3cm四方の網を葉を張る.成体越冬〔安藤08〕.
ヒロテゴマグモ Pseudomicrargus latitegulatus (OI, 1960)
=Micargus latitegulatus OI, 1960
雌雄1.6〜1.8mm,成体出現期10〜5月.平地から山地にかけて生息.樹林地の中や周辺,林道の落葉の中,土壌の隙間,地表のくぼみ,石や倒木の
下の隙間などに小さな「シート網」を張る.
シフティングで採集される〔新海06〕.頭胸部,腹部共に光沢のある褐色または黒褐色,歩脚は黄褐色で節ごとに淡色の部分がある〔新海06〕.
体長1.7mm,沢沿いの森や湿った草地で見つかる.落葉下に2〜3cm四方の網を張る.
成体越冬〔安藤08〕.
ヤマトオオイヤマケシグモ Ryojius japonicus SAITO et ONO, 2001
雌雄1.8〜2.0mm,オオイヤマケシグモ属の基準種〔小野09〕.
エビノマルサラグモ Saaristoa ebinoensis (OI, 1980)
=ヒゴマルサラグモ Centromerus higoensis H. SAITO, 1984
雌雄1.7〜2.6mm,九州に分布.ヒゴマルサラグモ C. higoensis H. SAITO, 1984は異名〔小野09〕.
ヤマトマルサラグモ Saaristoa nipponica (H. SAITO, 1984)
雌雄2.3〜2.9mm,北海道・本州に分布〔小野09〕.
カラフトヤセサラグモ Sachaliphantes sachalinensis (TANASEVITSCH, 1988)
雌2.8〜3.8mm,雄2.1〜3mm,成体は春から秋に出現.山地に生息し,針葉樹の枝葉間に「シート網」を張る.北海道に分布,サハリン,中国か
らも記録〔小野09〕.
カワグチココヌカグモ Saitonia kawaguchikonis SAITO et ONO, 2001
雌1.3〜1.4mm,雄1.2〜1.3mm〔小野09〕.体長1.3mm,湿った草地で見つかる.土の隙間に数cmの小さな網を張る〔安藤08〕.
ズナガコヌカグモ Saitonia longicephala (H. SAITO, 1988)
雌未知,雄1.6mm前後〔小野09〕.
コケコヌカグモ Saitonia muscus (H. SAITO, 1989)
雌1.5〜1.6mm,雄1.3〜1.4mm〔小野09〕.
ミノブコヌカグモ Saitonia ojiroensis (H. SAITO, 1990)
雌雄1.5〜1.8mm〔小野09〕.体長1.4mm,沢沿いのジメジメした森で見つかる.落葉下に1cm四方の網を張る.
乾燥に弱く,室内(湿度60%)に放置すると1〜2時間で死ぬ.成体越冬〔安藤08〕.
ズブトヌカグモ Saitonia orientalis (OI, 1960)
雌1.2〜1.3mm,雄1.4〜1.5mm.基準産地不詳(九州?)〔小野09〕.
ヒョウタンヌカグモ Savignia birostra (CHAMBERLIN et IVIE, 1947)
雌日本未記録,雄1.7mm.ロシア東部,サハリン,アラスカに分布〔小野09〕.
ズナガヌカグモ Savignia kawachiensis OI, 1960
雌未知,雄1.4〜1.5mm〔小野09〕.
ヤスダコブガシラヌカグモ Savignia yasudai (H. SAITO, 1986)
雌未知,雄2.1〜2.4mm.北海道の高地に分布〔小野09〕.
トドヌカグモ Scotinotylus eutypus (CHAMBERLIN, 1948)
雌1.8〜2.2mm,雄1.8〜2.2mm,全北区に広く分布〔小野09〕.
カラフトコサラグモ Silometopus sachalinensis (ESKOV et MARUSIK, 1994)
雌1.5〜1.8mm,雄1.4〜1.6mm,国外ではサハリンから記録〔小野09〕.
アリマネグモ Solenysa melloteei SIMON, 1894
=Solenysa mellotteei
雌1.3〜1.5mm,雄1〜1.3mm,成体一年中.平地から山地まで生息.雑木林の中,山地の樹林内の落葉の間や下,土壌の隙間,倒木や石の下の隙
間,地表のくぼみなどに
小さな(1.5〜2.5cm)「シート網」を張る〔新海06〕.
本州・四国・九州に分布〔八木沼77〕.ベルレーゼ・ファンネルによって確認〔K29/32〕.
体長1.2mm,森の中や湿った草地のリター内でよく見かけます.落葉間に2cm四方の網を張る.成体越冬.卵のうは球形(幼体4頭)〔安藤08〕.
原記載は雄1個体(横浜産と推定)〔小野09〕.TUは香川県のものを日本のアリマネグモとして再記載に使ってしまったが,これは別種である〔安藤
10〕.
カンサイアリマネグモ Solenysa partibilis TU, ONO et LI, 2007
雌雄1.3mm前後.滋賀県伊吹山が基準産地,OI(1960)がSolenysa
mellotteeiとしているのは本種〔小野09〕.TUの依頼により再調査した結果,OI(1960)の記載したのは和歌山県白浜のアリマネグモであ
る.滋賀県伊吹山の標本とされているが,記載時に同時に見ていた白浜産の雌の外雌器を描いたものと推定される.なぜなら伊吹山ではOI(1960)の雌は
採れなかったから.カンサイアリマネグモの記述は奇妙〔安藤10〕.
キュウシュウアリマネグモ Solenysa reflexilis TU, ONO et LI, 2007
雌雄1.1〜1.3mm.熊本県五木村が基準産地〔小野09〕.
サザナミサラグモ Strandella fluctimaculata SAITO, 1982
雄成体(2.6mm)は7月,雌成体は7〜8月,北海道・本州.
雄の触肢ではヒメヨツボシサラグモと区別できないが,雌の外雌器が異なる〔斉藤AC31(1)〕.ロシア東部からも記録〔小野09〕.
ヨツボシサラグモ Strandella quadrimaculata (UYEMURA, 1937)
雌雄3〜4mm,成体出現期5〜7月.山地に分布.林道,渓流沿いの広葉樹の葉裏,草の葉裏(クマザサに多く見られる)などに「シート網」を張る.
夜間造網性で昼間は葉裏に静止している個体が多い.夕方になると葉裏に糸を引き回してその中に「シート網」を作り上げる〔新海06〕.
成体は5〜7月,3〜4mm,北海道・本州・四国・九州.広葉樹の葉裏に多く,時にシート網を張る〔東海84〕.
ヨツボシアカムネグモ Oedothorax quadrimaculatus として, 1937年6月15日成体雄,7月19日成体雌,
天城山にて高島春雄採集の雌雄で記載〔植村AC2(4)〕.
スギ植林で多く発見〔初芝K90〕.
ヨツボシアカムネグモ Oedothorax quadrimaculatusとして山林地帯の樹間に生息〔千国AC5(4)〕.
夜間造網性で,網はアズマネザサの葉裏の表面からやや浮かして作られるシート部とそれを支持する不規則部から成る.
交尾体勢は雌の網の下に雄がぶら下がり,雌は下向きの雄の頭部の凸部をくわえていた.
須走では1989年6月3日に4組の交尾を観察,わずか2日後には1組も交尾が見られなかった〔池田AT100〕.
自然環境指標種Aランク〔新海98〕.
コウライサラグモ Strandella pargongensis (PAIK, 1965)
雌雄2.7〜3.1mm,国外ではロシア東部,中国,韓国から記録〔小野09〕.
ヒメヨツボシサラグモ Strandella yaginumai SAITO, 1982
雌雄2.8〜3.5mm,成体出現期5〜7月.東北地方では平地から山地にかけて分布.その他の地域では800m以上の山地に生息.林道,渓流沿いの広
葉樹の葉裏,草の葉裏や茎と葉の間などに「シート網」を張る.
葉裏に静止している個体が多い.夜間造網するかどうかは未確認〔新海06〕.雄成体(3.1mm)は5月下旬〜6月,雌成体は6〜7月.ヨツボシサラグモ
に似る〔斉藤AC31(1)〕.
オオイオリヒメサラグモ Syedra oii H. SAITO, 1983
雌雄1.6〜1.7mm.国外では中国,韓国から記録〔小野09〕.
体長2mm,森の中の草の上などに2〜3cm四方のシート網を張る.
卵のうは落葉上に薄く糸をかけた皿状(幼体6頭)〔安藤08〕.
カナコキグモ Tapinopa guttata KOMATSU, 1937
=Tapinopa longidens (WIDER, 1851)
=Tapinopa guttata KOMATSU, 1937
雌雄3〜4mm,成体出現期7〜10月.東北地方北部では平地から山地に分布.
その他の地域では700m以上の山地に多い.崖地,樹木の根元,神社・寺院・人家の土台石のわきなどに2.5〜5cmほどの白い膜のような袋状網を張る.
クモは網の下面にいて,
網の上を通る小昆虫を網越しに噛みつき捕える〔新海06〕.
長野県諏訪郡北山村にて,森林内の落葉におおわれた鮮類の間に多い.北向きの岸等,凹凸の多い地上,樹木の根元等にも生活.凹みに1枚のシーツ様の網
(5〜8cm×3〜6cm)を張る.
造網や補強は夜間.夏は透明だが秋深くなるにつれ厚くなり白濁して不透明となる.野外では凹みに沿って張られた小袋中にクモがいる.紡ぐ糸は6種.
おとし網で,網上を這う微小昆虫を網を通してかみ殺す.網の穴を特に補修しないが,全面に渡り厚くする.8月中旬に一斉に脱皮し,採集例では58頭中雄
50頭,雌8頭.
昭和11年8月29日午後4時30分,雄は雌の巣を訪れ,触肢で網を打つ.雌は攻撃を中止する.
雄は網の一部を破り,触肢の振動を継続しながら雌に近付く.体型はL. marginataと同じ逆入字型で, 左右の触肢を交互に約10秒使用.
9月下旬から10月初旬に産卵,10〜5mm径の碁石形または球状に近い卵のう,赤黄色の卵,14〜27卵の他3卵の卵のうもあった.1頭の作る卵のう数
は1〜3個(2個が多い).
翌年4月下旬にふ化する(4月27日ふ化,5月1日脱皮,5月3日出のう)〔小松AC2(4)〕.
長野にて8月,交接期と見え雌雄同棲を見る〔大利K37〕.
日本産はヨーロッパ産のT. longidensではないので小松のT. guttataが復活する〔Saaristo,AC45(1)〕.
ヤマジコナグモ Tapinocyba silvicultrix H. SAITO, 1980
雌雄1.5〜1.6mm〔小野09〕.
スガナミヤマジコナグモ Tapinocyba suganamii SAITO et ONO, 2001
雌雄1.0〜1.4mm〔小野09〕.
サカズキサラグモ Tallusia experta (O. P.-CAMBRIDGE, 1871)
雌雄2.5〜3.6mm,北海道の十勝川河口の草地で5月に雄1頭,国外ではユーラシア大陸北部およびサハリンから記録〔小野09〕.
ニシキサラグモ Taranucnus nishikii YAGINUMA, 1972
雌雄2.5〜2.7mm,成体一年中.洞窟性のクモ.洞内の岩の広い隙間,割れ目,石と石の間などに5〜15cmほどの大型のシート網を張り,下面に静
止する〔新海06〕.
頭胸部は黄褐色で,周縁部は褐色.腹部は灰色の地に中央に縦に2本,後方に横に3本の褐色斑がある.洞外の暗所にも生息する〔新海06〕.
8月雌成体,1月雄雌成体.洞窟内の岩の隙間に大形(最広部5〜15cm)のシート網を張り,下面に静止する〔新海77〕.日本固有〔小野09〕.
ハラクロヤセサラグモ Tenuiphantes nigriventris (L. KOCH, 1879)
雌雄2.7〜3.3mm,成体は夏から秋に出現.低山から高山の林内の草本層,草地などに生息.全北区に分布〔小野09〕.
ヤドリサラグモ Thyreosthenius parasiticus (WESTRING, 1851)
雌雄1.5〜1.9mm.ヨーロッパから北米にかけて分布〔小野09〕.
エスコフクロサラグモ Tibioploides eskovianus SAITO et ONO, 2001
雌雄2.0〜2.2mm〔小野09〕.
ヤマクロサラグモ Tibioploides monticola SAITO et ONO, 2001
雌雄2.1〜2.4mm〔小野09〕.
ドヨウヌカグモ Tiso aestivus (L. KOCH, 1872)
雌1.5〜1.9mm, 雄1.5〜1.6mm.全北区に広く分布〔小野09〕.
ヌカグモ Tmeticus bipunctis BOES. et STR., 1906
雌3〜3.3mm,雄2.7〜3mm,成体一年中.平地から山地にかけて広く生息.河原,樹林地の中や周辺,林道,渓流の沿いなどの草,樹木の葉裏や枝
葉間,落葉の中,石や倒木の下の隙間,
石垣・崖地の隙間や割れ目などに「シート網」を張る.網をやや斜めに張られる.クモは必ず網の下面の高い部分に静止している.
葉裏から落葉下まで,サラグモ科の中でも最も多様な生息環境に適応している〔新海06〕.国外ではロシア極東地域から記録〔小野09〕.
ナンキンヌカグモ Tmeticus neserigonoides SAITO et ONO, 2001
雌雄2.0〜2.4mm〔小野09〕.
ミヤマクロヌカグモ Tmeticus nigerrimus SAITO et ONO, 2001
雌雄1.9〜2.4mm〔小野09〕.
ミヤケジマヌカグモ Tmeticus vulcanicus SAITO et ONO, 2001
雌雄1.5〜1.9mm〔小野09〕.
ヤマトトウジヌカグモ Tojinium japonicum SAITO et ONO, 2001
雌1.7〜1.8mm,雄1.3〜1.7mm〔小野.09〕.体長1.5mm,落葉間に1cm四方の網を張る.幼体で越冬.オス成体の出現期4月下旬か
ら5月上旬,メス成体の出現期4月下旬から6月〔安藤08〕.
ユノハマサラグモ Turinyphia yunohamensis (BOES. et STR., 1906)
=Linyphia yunohamensis (BOES. et STR., 1906)
=Prolinyphia yunohamensis (BOES. et STR., 1906)
雌5〜6mm,雄4〜5mm,成体出現期雌3〜7月,雄4〜6月.里山から山地に分布.平地ではあまり見られない.
樹林地の周辺,林道,渓流沿いの樹木の枝葉間,草間などに浅い「ドーム網」(直径10〜15cm,深さ1〜5cm)を張る.
地域ごとの雄の出現期間は短く10日間前後で姿を消す〔新海06〕.
成体は4〜7月,雌5〜6mm,雄4〜5mm(雄成体の出現時期は短く,5月下旬〜6月中旬の10日間前後.地域差あり),
北海道・本州・四国・九州.山間部に多い.針葉樹(特にスギ・ヒノキ)の枝葉間,広葉樹の葉裏,下草の間などに直径10〜30cm,
深さ1〜4cmの浅いドーム網を張る〔東海84〕.国外では中国,韓国から記録〔小野09〕.
平地ではほとんどみられない.産卵期は5月下旬〜7月上旬だが,1卵のう中の卵数は不明.ドーム網に昆虫がかかると,クモは瞬間的に獲物にむかって移動
し,網の下面から網ごしに獲物にかみつく.獲物の動きが弱くなると,第4脚で糸をかけながら周囲の糸を切り,獲物を網の最上部まで持ち帰ってから食べる
〔森林87〕.
交接期は4〜5月と推定〔木庭AT15〕.
冬期にも造網している例がある〔新海明K88〕.
ヘリジロサラグモより薄暗い所に伏せた皿網を張り,平行背位に占座〔中平AT23/24〕.
幼体どうしでも同居させると脚を打ち合い闘争する〔池田98〕.
自然環境指標種Cランク〔新海98〕.
伏せた皿のような網を樹間に張る〔安藤08〕.
コトガリアカムネグモ Ummeliata angulituberis (OI, 1960)
=Oedothorax angulitubersis OI 1960
雌雄2.5〜3.2mm〔小野09〕.セスジアカムネグモと区別が困難である〔田副K63〕.
水田に多い〔新海81〕.
冬期,木の根元,落葉の下より採集される.滝山では水田に大型の不規則網(糸を数本張りめぐらせている程度)を張っていた〔新海69〕.
本州に分布〔八木沼77〕.国外ではロシア極東地域,韓国から記録〔小野09〕.
セスジアカムネグモと区別困難〔田副K63〕.Ummeliataに転属〔Brignoli, 1983〕
トガリアカムネグモ Ummeliata erigonoides (OI, 1960)
=Oedothorax erigonoides OI, 1960
Ummeliataに転属〔Brignoli, 1983〕.
雌雄3.2〜3.4mm,基準産地は山形県南陽市.日本固有種〔小野09〕.セスジアカムネグモやコトガリアカムネグモとは区別できる〔田副K63〕.
コトガリアカムネグモ同様の習性を持つ〔新海69〕.本州に分布〔八木沼77〕.
山形県赤湯市では幼生ー成体にかけて空中移動する優占種〔錦AC20(1)〕.
トウキョウアカムネグモ Ummeliata feminea (BOES. et STR., 1906)
=アトグロアカムネグモ
=syn. トウキョウアカムネグモ Oedothorax tokyoensis (UYEMURA, 1941)
雌雄2.5〜2.8mm,成体一年中.平地から山地にかけて生息.水田の周辺,湿地,河原,草原などの草間の地表付近,枯れ草の中,地表のくぼみ,石や
倒木の下の隙間などに「シート網」を張る〔新海06〕.
本州・九州に分布〔八木沼77〕.国外ではロシア極東地域,中国,韓国から記録〔小野09〕.
山林地帯の樹間に生息する〔千国AC1941〕.
トウキョウアカムネグモと同種,実はアトグロアカムネグモ Ummeliata femineus (BOES. et STR., 1906)である.
Oedothorax属からUmmeliataに転属〔斉藤博AC42(2)〕.2000年以前までトウキョウアカムネグモとして知られてきたのでこの和
名を使用する〔新海06〕.
東京産のアカムネグモでは最も多く採集される〔新海69〕.
室温7℃以下の場合は同じ網の中に雌雄が頭を寄せあっていたが,10℃以上になると別行動,住居も別となっていた.
1月6日10時,14℃,雌は雄の頭胸部を上から抱えるように脚をかけてだんだんと引き寄せ,頭胸部にかみついた.交接であった.
4月10日産卵,卵色は淡黄色,卵のうの色は純白で長丸形,15卵.4月21日ふ化9頭,24日第1回脱皮,26日第2回脱皮,27日分散〔佐藤
K44〕.
川崎市の庭の枯葉で雄は年末に多く採集される.春(4・5月)は雌が多い〔伴K70〕.
体長2.5mm,湿地でよく見かける〔安藤08〕.
セスジアカムネグモ Ummeliata insecticeps (BOES. et STR., 1906)
=Oedothorax insecticeps BOES. et STR., 1906
Ummeliataに転属〔Brignoli, 1983〕.
雌雄2.5〜3.5mm,成体一年中.平地に多く生息.水田の周辺の草間,地表のくぼみ,石や倒木の間,河原の草間などに小型の「シート網」を張る.
周辺に引き回した糸の状態で不規則網に見えることもある〔新海06〕.
冬季は稲株の隙間や根元付近,切り株の間,水田に置かれた藁の下,朽ち木の隙間,落葉の下,地表の隙間などで越冬する〔新海06〕.
成体は1年中,2.5〜3.5mm,北海道・本州・四国・九州.水田に生息,地表にシート網を張るが,
徘徊して獲物を採ることも多い〔東海84〕.国外ではロシア極東地域,中国,台湾,ベトナムから記録〔小野09〕.
コトガリアカムネグモと区別が困難である〔田副K63〕.
京大農場で年2世代,7月下旬と11月上旬に成体が多い.全体の性比は雌60%であった〔山野AC27S〕.
8月下旬から10月上旬にかけて,平均4個の卵のうを稲の茎や葉に密着させて作る.親は数日間餌をとらず,
卵のうを保護する.刈り取り後,稲わらの下,刈り株の茎内,土塊のすき間,水田のみぞの端等に生息し,越冬する.
これら個体群の産卵は3月末頃から始まる.年2世代〔田中AC25(1),26(2)〕.
年間を通して成体がみられ,越冬も成体で行う.
宇都宮市の水田の密度消長では8月と10月にピークのみられる二山型で峰町(6月にスミチオン乳剤散布)
10月には1u28株当り4個体内外〔浜村AC22(2)〕.
葉上の天幕状の網は脱皮や産卵のために張るもので,平常は小範囲をはい回している.
発生はまちまち.高温期には葉上に,低温期には落葉や路傍の石裏,或いは畑の土塊の下に産卵する.
卵のうは直径4mm位の白色円盤状〔中平AT23/24〕.
山形県赤湯市では幼生ー成体にかけて空中移動する優占種〔錦AC20(1)〕.
福岡市近郊の水田にて越冬期は11月〜3月平地の落葉・土塊・石の下,
活動期は4〜10月水田・湿った畑や草むら.小林(1958)によれば補食されるのはツマグロヨコバイの幼虫及び成虫・
ウンカ・トビムシ・フタテンヨコバイ・アブラムシ・ユスリカ,共食いもある.
1卵のう中の平均卵数36.7個.6〜9月にかけては産卵後5日目にふ化,6,7日めに出のう,
幼期は約1ケ月,産卵期間は二,三ケ月.6月30日から9月17日にかけて14回産卵した個体は500卵強を産んだ.
出のう後,雄は3回目の脱皮で性徴があらわれ,二,三日をへて成熟した〔大熊AC15(2)〕.
高知市にて5月の晴れた朝,南方(水田あり)から子グモが多数飛んできた〔中平83〕.
体長3mm,水田でよく見かける〔安藤08〕.
バルーニングの優先種.水田が本種の大生産地であることがその理由〔徳本,いと31〕.
オノアカムネグモ Ummeliata onoi H. SAITO, 1993
雄3.40mm,雌3.22mm,7月中旬,日光,長野県青木湖で採集〔斉藤博AC42(2)〕.
オオサカアカムネグモ Ummeliata osakaensis (OI, 1960)
雌2.0〜2.8mm,雌2.0〜2.4mm,成体は春から秋.基準産地は兵庫県西宮市.サハリンからも記録がある〔小野09〕.
サイトウアカムネグモ Ummeliata saitoi MATSUDA et ONO, 2001
雌2.8〜3.6mm,雄2.6〜3.1mm,成体は春から秋.主に林床の落葉層から採集されるが,高山帯にも分布する.基準産地は北海道上士幌町〔小
野09〕.
スネグロヌカグモ Walckenaeria atrotibialis (O. P.-CAMBRIDGE, 1878)
雌2.2〜3.0mm,雄2.0〜2.5mm.ユーラシア大陸北部および北米に広く分布〔小野09〕.
チクニコブヌカグモ Walckenaeria chikunii SAITO et ONO, 2001
雌2.2mm前後,雄は未知.シベリアからも記録〔小野09〕.
オオクマコブヌカグモ Walckenaeria chiyokoae H. SAITO, 1988
雌3.0〜3.1mm,雄2.6〜2.7mm〔小野09〕.体長2.5mm,網は不明〔安藤08〕.
フタマタヌカグモ Walckenaeria furcillata (MENGE, 1869)
雌2.5〜3.0mm,雄2.2〜2.5mm.十勝の沼沢地より採集.ユーラシア大陸北部に分布〔小野09〕.
チョビヒゲヌカグモ Walckenaeria golovatchi ESKOV et MARUSIK, 1994
=mis. Walckenaeria antica (WIDER, 1834)
雌2.3〜3.2mm,雄2.5〜3.0mm.成体は春から秋,林床の落ち葉中に生息.サハリン,沿海地方からも記録〔小野09〕.
イチフサチョビヒゲヌカグモ Walckenaeria ichifusaensis SAITO et ONO, 2001
雌2.0〜2.1mm前後〔小野09〕.
ホッポウツノヌカグモ Walckenaeria karpinskii (O. P.-CAMBRIDGE, 1873)
雌2.6〜2.9mm,雄2.3〜2.6mm,成体出現期は6〜8月,ユーラシア大陸北部から北米北部に広く分布〔小野09〕.
フタエツノヌカグモ Walckenaeria keikoae H. SAITO, 1988
雌雄2.3mm前後〔小野09〕.体長2mm,沢沿いで時々見つかる.網は不明〔安藤08〕.
シベリアツノヌカグモ Walckenaeria korobeinikovi ESYUNIN et EFIMIK, 1996
雌2.5mm前後,雄2.2〜2.4mm,北海道から記録.シベリアに分布〔小野09〕.近縁種ホッカイツノヌカグモ W.clavicornis
(EMERTON, 1882)はワシントン山で雄記載〔斎藤博H3(2)〕.
マツダエボシヌカグモ Walckenaeria mayumiae H. SAITO, 1986
雌2.3〜2.5mm,雄2.3〜2.4mm,成体は11月〔小野09〕.
ニシカワコブヌカグモ Walckenaeria nishikawai H. SAITO, 1986
雌1.8〜2.0mm,雄1.5〜1.7mm,山地に多く,森林内の草本層や草地に生息.サハリンにも分布〔小野09〕.
トリアシヌカグモ Walckenaeria nudipalpis (WESTRING, 1851)
雌雄2.6〜3.2mm,ユーラシア大陸北部,サハリンに分布.雄の触肢けい節の形が鳥の脚指に似る〔小野09〕.
カントウヒゲヌカグモ Walckenaeria orientalis (OLIGER, 1985)
雌2.2〜2.4mm,雄1.8〜2mm,成体一年中.平地から山地にかけて生息.
樹林地の中や周辺,林道などの落葉中,地表のくぼみ,石や倒木の下の隙間などに小さな「シート網」を張る〔新海06〕.
頭部は隆起し,眼域の中心に後方に曲がった2本の小突起がある〔新海06〕.体長2mm〔安藤08〕.
ウエノメナシコブヌカグモ Walckenaeria uenoi SAITO et IRIE, 1992
雌1.5〜1.6mm,雄1.1〜1.2mm,宮崎県椎葉村の仲塔洞に生息.雌雄とも目を欠く〔小野09〕.
タイリクツノサラグモ Wubanoides fissus (KULCZYNSKI, 1926)
雌雄2.0〜2.6mm,国外ではロシア極東地域から記録〔小野09〕.
水平円網種は羽化水生昆虫という河川起源のエネルギー資源に強く依存している〔加藤千佳AC49(2)〕.
オオクマヒメドヨウグモ Diphya okumae TANIKAWA, 1995
雌3〜4mm,雄2.3〜2.6mm,成体出現期5〜6月.里山から山地に多く生息する.平地とその樹林地にも見られる.
下草の間,樹木の根元付近などに小さな「水平円網」を張り,中心に止まる.網の角度は足場の関係で垂直,斜め,水平など様々な方向のものが見られる〔新海
06〕.
東京都八王子城址で1989年5月21日採集の雌雄を基準標本に記載.雄は2.3〜2.7mm,雌3.1〜4.1mm.
東京.神奈川.静岡.愛知・岡山.福岡に分布〔谷川AC44(2)〕.
千葉県民の森に生息〔平松K75〕.
下草間に造網.直径5〜6cmの円網.雄成体は円網を作らない.5〜7月に1個産卵し(卵のうは直径3〜4mmの球形),
卵数は12〜31個.成体は雄が3月下旬−5月下旬.雌が7月まで.餌により体色が変化する.
野外では朱色だったが,セスジユスリカ餌で腹部が黒色になった〔泉宏子K76〕.
地表付近に開こしき円網を張る,成熟期は5〜6月,生息環境は林床(広葉樹より針葉樹.スギ植林に多い),
表面がやや湿って適度に落葉や小枝が積もった場所,平地から低山で標高500m以下.
オレンジ色の体色が目印.自然度の高い山林だけでなく,住宅地の残る雑木林にも生息する〔平松K92〕.
ズナガドヨウグモ Dolichognatha umbrophila TANIKAWA, 1991
西表島で3月の雌雄で記載.雄3.3mm,雌3.2〜3.8mm〔谷川AC40(2)〕.台湾新記録〔Chan&TsoAC53(1)〕.
ミナミヨツボシヒメアシナガグモ Dyschiriognatha dentata ZHU et WEN, 1978
雄2.3〜2.6mm,雌2.6〜2.9mm,屋久島で1968年10月6日に採集.台湾やマレーシアの水田でも多数採集された.中国の四川省から記
載,バングラデシュ,タイの水田にも分布〔大熊H5(1)〕.
国外では中国,台湾から記録がある〔小野09〕.
チュウガタシロカネグモ Leucauge blanda (L. KOCH, 1878)
雌9〜13mm,雄6〜10mm,成体出現期6〜8月.南方系.本州では千葉県以南の太平洋岸各県に分布.
平地から山地に生息.草間,樹林地の周辺,林道,渓流上などの樹間,草間に「水平円網」を張る〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌10〜13mm,雄8〜10mm,本州(神奈川県以南)・四国・九州・南西諸島〔東海84,森林87〕.台湾にも分布〔吉田哉
AC58(1)〕.
国外では台湾,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
日当たりのよい山麓や草地に水平円網を張る.刺激に敏感で,網の支点に逃げると同時に,腹背にある褐色条斑が黒色色素を増し,太くなる〔中平
AT23/24〕.
沖縄でも個体数が多く,日当たりのよい所に多い〔下謝名AT28〕.
集団化した幼体が迷網部の糸を共有していた〔新海明K73〕.
雌の網の占座点にて,雌雄向かい合い,第3・4脚で吊り下がって行われる.
互いに第1・2脚をからみ合わせ,体は背面の方に倒し,口器も接触させているので,雌雄の体でV字形が出来る.
雄は左右交互に触肢を雌の外雌器におしあてる.
一方の触肢をあてている時間は30秒,使用していない方の触肢は頭上に真直ぐ伸ばしている.
左右の触肢をそれぞれ5回おしあてると雄はパッと離れ,クルッと向きをかえて立ち去ろうとした.
雌が第1脚で雄の背中をトントンと打つと,雄は振り返り,雌に接近,V字形.右触肢を40秒おしあてた後,離れ去った〔中平AT28〕.
横浜市,小田原市,鎌倉市に生息〔谷川K66,K67〕.
三浦市小網代にて1994年9月25日に雌成体3頭〔谷川K69〕.飼育下で1月10日に脱皮殻〔工藤泰恵K90〕.
12月31日に北九州市で雌成体採集〔馬場K91〕.小田原市で4月14日に求愛,雄成体は4月とたぶん9月に出現,
雌成体は5月上旬に急激に腹部が膨大する.5月以降,雌成体は漸減し,7月中旬には成体は見当たらなくなるが,9月上旬に雌成体が出現,
したがって年二化性と考察される〔小関・加倉井・児島・池田K96〕.
5mm球形の卵のうを作る〔伴K70〕.
チビシロカネグモ Leucauge crucinota (BOES. et STR., 1906)
=ケムリイソウロウグモ
雌3mm,雄2mm,成体出現期4〜8月.南方系.山地に生息.林道の草間,樹林内の暗い草間や石の間などに小さな「水平円網」を張る〔新海06〕.
山地下草の間に造網する〔中平AT23/24〕.
沖縄にて,樹木間の暗地の石間等に小型の水平円網を張る.刺激には敏感〔下謝名AT28〕.
トガリシロカネグモ Leucauge decorata (BLACKWALL, 1864)
雄3.5〜4.1mm,雌6.6〜10.4mm,腹部末端がとがる.西表島で採集.
ウガンダ,インド,中国,オーストラリアまで広く分布〔谷川AT95〕.
西表島でしか発見されておらず一時的な個体群〔谷川AC53(2)〕.台湾にも分布〔吉田哉AC58(1)〕.
オオシロカネグモ Leucauge celebesiana (WALCKENAER, 1842)
=Leucauge magnifica YAGINUMA, 1952
雌13〜15mm,雄8〜12mm,成体出現期7〜9月.主に里山から山地に生息.河川,池や沼の周辺,林道,渓流上などの樹間に大型の「水平円網」を
張る.網は渓流上をわたって張られていることも多い.
クモは網の中心で獲物を待つ.刺激を与えると3本の腹背の褐色条が太くなる〔新海06〕.国外では中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
『中国の蜘蛛』でLeucauge celebesiana (WALCKENAER, 1842)と同定されたクモは,オオシロカネグモであった.
東南アジア・台湾産の標本から,日本のオオシロカネグモはL. celebsianaである〔吉田哉AC58(1),AC58(2)〕.
成体は7〜9月,雌13〜15mm,雄8〜12mm,本州・四国・九州・南西諸島.渓流上の樹間に水平円網を張る.腹部の黒すじは刺激を与えると太くな
る〔東海84〕.
産卵期は6月下旬〜9月だが,卵のうの形と卵数は不明である.渓流上を飛んでいるカゲロウ,カワゲラなどを捕まえる〔森林87〕.
網の直径30〜70cm〔学研76〕.
餌昆虫に対する捕食行動はseize-pull out,bite-pull out,bite-wrap, wrap-bite,
wrapの5つを示した.攻撃ラッピングはバッタ,イトトンボ,アリ,カメムシ
といった大型あるいは危険な餌に対して使用された.また,生きているアリは死んだアリよりも頻繁にラッピングで固定された〔吉田真AC49(2)〕.
少し暗い,湿気の多い森林内や,谷川のほとりに造網する〔中平AT23/24〕.オオシロカネグモは水辺,コシロカネグモは林縁部を好むようだ〔緒方,し
のび21〕.
暑い日は第1脚,第2脚を垂らして,体温調節をしている〔新海明K77〕.
川幅の狭い渓流に多いが,川岸からはなれた林内にも造網.タニマノドヨウグモに網を破壊されることがある〔吉田真,いと30〕.
生活史は幼体で越冬,翌年の春に成長して6月に成体が出現.成体は8月までみられる〔吉田真,いと31〕.
幼生はカンスゲ下部で越冬し,3月カンスゲ上部に7〜8cm程の水平円網を張り,6月カンスゲを離れる.9月子グモは再びカンスゲ上部で造網し,そのまま
越冬する〔加藤輝AT83〕.
晩春から夏にかけては渓流上の網が大きくなり,他のクモ(タニマノドヨウグモ,アシナガグモ,ヤサガタアシナガグモ)の互いの網のワク糸をも足場として利
用する.
網の破壊,主の追い出しなど様々な干渉が生ずる〔吉田真AT83〕.
網は「川岸」にも「渓流上」にも存在する.網へ侵入する例は「渓流上」でみられた.他のタニマノドヨウグモやアシナガグモの網は「渓流上」に多い.
植物被度の多い方形区にかたよって造網しているのは他の2種より網が小さいためだろう.被度の小さい区のクモの体長はやや小さい.
餌の少ない方が網への滞在時間が短い.成体雌の体重維持のために餌は1日3〜10calと推定した.餌の平均乾重は1.63cal/匹だから,1日2〜6
匹でまず十分となる.
餌の多い区では0.3〜0.9時間でこの餌量になるが,餌の少ないところでは1日張っても不足である〔吉田真AC27S〕.
渓流上では,アシナガグモ,オオシロカネグモの侵入による干渉は非常に多い.タニマノドヨウグモの網には侵入が少ない〔吉田真AT70〕.
親は子グモの侵入を許さず,子は親の網に侵入しない〔吉田真AT77〕.
子グモは川岸でふ化し次第に周辺地へ分散する.あとから生まれた子グモは,川岸が先に生まれた子グモによって占められている為,周辺地への分散が促進され
る.
川岸では利用可能な造網場所のほとんどが使用される.初秋には子グモの密度が高く,長期間,網密度がほぼ一定に保たれる〔吉田真AC26(1)〕.
成体でマーキング(水彩絵具)による個体識別を行い,個体間干渉を調べた.
網数が一定に保たれる(利用可能な足場は殆ど利用されている)のに対し,個体数が多い.
アブレた個体は移出するが,網の奪い合いの結果は身体の大きい方が勝って網を得る.
しかし,侵入者はあとで自分の網を張る.網の奪い取りは自分の網を張る過程で他個体と接触してしまった為に解発された行動だからであろう〔吉田真
AT65〕.
餌が多い程,重い卵のうを数回産み,早く死亡する.餌の少ない個体は長期間生存して何回も産卵する.餌条件のいい渓流上に造網した個体は卵のうを産んで早
く死に,空間を別個体が利用する〔吉田真AT63〕.
渓流上では網にカゲロウとユスリカが高くかかり,ハアリやアブラムシは低かった.タニマノドヨウグモも同様だった〔吉田真AC46(2)〕.
6月28日,飯能市北川で網に落下したムラサキシキブの花を雌成体がラッピングし捕食した〔平松K77〕.水面への落下を避ける行動〔関根幹夫,いと
39〕.
コシロカネグモ Leucauge subblanda BOES. et STR., 1906
雌8〜11mm,雄5〜8mm,成体出現期6〜8月.平地から山地に広く生息.草原,雑木林の周辺,河原,林道,渓流沿いの樹間,都市部の庭園などにも
見られる.
樹間,草間に「水平円網」を張り,クモは網の中心で獲物を待つ.刺激を与えると中央に縦の1本と後方に1対の細い条が現れる〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌9〜11mm,雄6〜8mm,全土.渓流より山道に多く,木や草の間に水平円網を張る〔東海84〕.
水のない山道にも普通に生息している〔森林87〕.国外では中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
刺激により腹背の縦斑が太くなる〔八木沼68〕.
高知では,北部山地のクモで,南部平地で未見〔中平AT23/24〕.
八丈島・青ケ島の優占種〔植村AC12(3/4)〕.
萱嶋によると,日食(80%)の時,シロガネグモは歩脚をすっかり縮めた〔高島AC12(3/4)〕.
山野にやや水平の円網を張り緑色の腹部を現して静止せること多し.7,8月頃多く見らる.
北海道・本州・九州に分布す〔関口AC6(1)〕.台湾にも分布〔吉田哉AC58(1)〕.
幼体の網にかかったナミザトウムシをシリアゲムシが強奪〔新海明K59〕.
オオヒメグモの網内でクモを捕食〔八幡明彦K76〕
分泌物による交尾栓(座間市1989年8月5日採雌)あり〔池田K62〕.
安曇野の標高550〜680mでの調査ではオオシロカネが採集されず,コシロカネが
山地渓流や林内の水路に造網していた〔吉田真AC55(2)〕.
Leucauge celebesiana (WALCKENAER, 1841)のシノニムとする論文があるが誤りである〔谷川LIST〕.
キララシロカネグモ Leucauge subgemmea BOES. et STR., 1906
=キララグモヤミシロガネグモ
雌6〜9mm,雄4〜6mm,成体出現期7〜9月.平地から山地に広く生息.草原,樹林地の周辺,水田や畑の周囲,林道などの草間に「水平円網」を張
る.
樹間に網を張ることは少なく,低木間に張る程度である.他のシロカネグモに比べると網の一端の葉裏に潜んでいることが多い.
刺激を与えると金色の腹部が褐色に変化する〔新海06〕.
成体は7〜9月,7〜9mm,草原,山地の草間に水平円網を斜めに張る.
金色の腹部は刺激を与えると褐色に変化する〔東海84〕.
雌6〜9mm,雄5〜7mm〔森林87〕.国外では中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
草間に水平無こしき円網を張り,網の一端の葉裏に姿をかくしていることが多い.
また個体によりキレ網を張る場合がある〔新海69,中平AT23/24〕.
円網・キレ網・両者の昼間型(こしきから一本の呼網が住居とつながる).葉に粗目に糸を張って住居としている.
個体によっては小さな円網である.食事はこしきで行う.獲物がかかるととびだしてきて捕える〔中平AC15(2)〕.
突然体色変化する.生態詳細あり〔植村AC15(1)〕.
キンヨウグモ Menosira ornata CHIKUNI, 1955
=アズミグモ
雌8〜10mm,雄6〜7mm,成体出現期8〜10月.里山から山地に生息.林道,渓流沿いの樹木の葉裏に見られる.
3〜4齢までの幼体期は「水平円網」を張るが,その後は網を張らない.昼間は葉裏でじっとしているが,夜間活動を始め,樹葉間に引いた数本の糸で獲物を待
ち,
近くを通る飛翔性昆虫を長い脚で引きよせ捕食する〔新海06〕.
成体は8〜10月,雌8〜10mm,雄6〜7mm,北海道・本州・四国・九州.
3〜4令幼体までは水平円網を張るが,その後は網を張らず,近くを通る昆虫を捕える〔東海84〕.国外では韓国から記録がある〔小野09〕.
針葉樹,広葉樹をとわず生息し,夜間に葉先から1〜2本の糸をひき,その上端に静止している.また他のクモ
(アシナガグモ類Tetragnatha spp. やサンロウドヨウグモ Meta menardii)の網に侵入し,
その網の主を補食している個体も確認している〔新海77〕.
長野県各地で採集(787m〜1300m),雌9.0mm,雄6.0mm.
1937年7月富山県の雄,1938年8月新潟県の雌にて岸田が記載した.千国仮称アズミグモ〔千国AC14(1)〕.
雌成体が擬死した〔平松K76〕.
自然環境指標種Aランク〔新海98〕.
サンロウドヨウグモ Meta japonica TANIKAWA, 1993
=mis. Meta menardi (LATREILLE, 1804)
雌11〜14mm,雄9〜11mm,成体一年中.山地に生息.鍾乳洞,溶岩洞など洞窟内に多い.その他,崩れた岩が重なっている隙間,岩壁の大きなくぼ
みや割れ目,石の下の隙間,樹木の洞,山間部の建物の縁の下,高山の避難所,倉庫の中などでも見つかっている.「水平円網」を張り,中心に止まる.網は足
場の関係で
垂直から水平まで様々な角度のものが見られる〔新海06〕.
成体は1年中,雌11〜14mm,雄9〜11mm,北海道・本州・四国・九州.
鐘乳洞内に多いが岩場の暗所にもみられる.15〜30cmの水平円網を張る.白色球形の卵のうを作る〔東海84〕.
Meta menardi (LATREILLE, 1804)と同定されてきたが,検討の結果新種であった.
埼玉県大滝村産の標本で記載,雌10〜13mm,雄9〜10mm,〔谷川AC42(2)〕.
三重県飯高町蓮ダムの奥の木屋谷川の林道で12月2日に採集.10度くらいの角度で張られた網の上に天井から釣り下げられていた卵嚢も発見した〔熊田,し
のび29〕.
産卵期は一定でなく,秩父では8月に多数の個体が卵のうを保護しているが,富士熔岩洞窟では10〜11月に,
東京付近では2月にまどいの状態の子グモがみられる〔新海77〕.
攻撃ラッピングを行なう捕食行動と網構造(15cm径.横糸14.6.縦糸17.0.枠糸1.1)〔吉田真・新海明AC42(1)〕.
木の洞穴などの暗所に生息する〔八木沼AC15(2)〕.
1941年6月18日,雌13・8mm,30cm径の円網〔小松AC7(2)〕.
チビクロドヨウグモ Meta nigridorsalis TANIKAWA, 1994
雌5〜6.5mm,雄4.5〜5mm,成体出現期7〜11月.里山から山地に生息.河川沿いあるいは河川近くの暗い湿った林内や崖地に見られる.苔むし
た大きな岩が重なり合っている石の間,
岩壁の大きなくぼみ,大木の根が露出している間などに「水平円網」を張る.限られた特殊な環境のみに生息していることから採集記録は少ないが,日本の南部
に広く分布しているものと思われる〔新海06〕.
雄4.5〜5mm,雌5〜6.6mm,水平円網を張り,腹背が黒い.1993年7月25日に三重県熊野市で井原庸が1雌発見.
和歌山,広島,鳥取で記録.8月24日亜成体2雄は飼育により9月12日.9月14日に成体〔谷川AC43(1)〕
ヤマジドヨウグモ Meta reticuloides YAGINUMA, 1958
雌6〜10mm,雄5〜7mm,成体出現期8〜10月.里山から山地に生息.林道沿いの湿った崖地や岩場,渓流上の石や岩,流木の間などに斜めに「水平
円網」を張る.クモは網の上方の崖面に脚を縮めて潜んでいることが多く,
「キレ網」を張る場合もある.腹部の色彩には変異があり,黄褐色・灰褐色・赤褐色など様々な個体が見られる〔新海06〕.
成体は8〜10月,雌6〜10mm,雄5〜7mm,本州・四国・九州・南西諸島.湿った崖地に円網を斜めに張る.腹部の色彩には変異がある〔東海84〕.
正常水平円網,崖地,岩場,渓流に小型の網を張る〔新海79,81〕.国外では韓国から記録がある〔小野09〕.
個体によりキレ網を張る〔中平AT23/24〕.
1963年7月24日三重県美杉村にて右横腹に乳白色の卵を産みつけられていた.
ヒメバチの一種 Polysphincta varicarinata UCHIDA et MOMOI が羽化〔橋本AC18(2)〕.
寄生蜂はAcrodactyla varicarinata である〔桝元AC50(1)〕.
雌1955年11月16日大阪府牛滝山,雄1957年8月24日熊本県菊池水源(4・6mm)にて記載〔八木沼AC15(2)〕.
タニマ・メガネ・キタドヨウと異なり攻撃ラッピングによる捕食行動を行なう〔吉田真AC39(1)〕
自然環境指標種Bランク〔新海98〕.
チクニドヨウグモ Metleucauge chikunii TANIKAWA, 1992
雌8〜12mm,雄6.5〜8mm,成体出現期6〜8月.山地に生息.渓流沿いの樹間,草間,渓流上の岩と岩の間,石の間などの水面近くに「水平円網」
を張る〔新海06〕.
沖縄県西表島の標本で記載,栃木県・長野県・三重県,屋久島,西表島さらに台湾に分布,
雌8〜12mm,雄6〜8mm,成体は7〜8月〔谷川AC41(2)〕.
西表島で5月に雄,5・7月に雌〔谷川K70〕.
タニマノドヨウグモ Metleucauge kompirensis (BOES. et STR., 1906)
雌10〜14mm,雄8〜12mm,成体出現期5〜8月.里山から山地に生息.渓流沿いの樹間,草間,岩や石の間に「水平円網」を張る.成体になると渓
流の両岸にある樹木から
樹木にかけて,あるいは樹木から水面に出ている石や岩の間に大型の「水平円網」を張り出す.網は夕方に張り,朝方取り壊す個体が多い.昼間は樹木の枝に脚
を伸ばして
静止している〔新海06〕.
成体は5〜8月,雌11〜18mm,雄8〜10mm,全土〔東海84,谷川AC41(2)〕.国外では台湾,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
正常水平円網〔新海79〕.
渓流に大型の網〔新海80〕.
谷間の渓流上に,水平無こしき円網を張り,平行背位に占座している〔新海69〕.
京都市北山で8月,雌が18時頃から造網を開始し,翌朝6時頃から破網,日中はイタドリ上などで静止.
8月14日以降は姿を消した.小型個体(11〜12mm)が大型個体(14.5mm以上)よりも遅れて造網し,遅れて破網.
網は「渓流上」に集中し,他個体の網や糸を足場に使い,植物被度の小さい方形区に偏る(網が大きいため)〔吉田真AC27S〕.
八王子城址で直径2mの網を造網〔新海K67〕.川幅の広い渓流の水面上のみに造網.オオシロカネグモやアシナガグモの網を破壊する〔吉田真,いと
30〕.
生活史は幼体で越冬,翌年の春に成長して6月に成体が出現する.成体は8月までみられる〔吉田真,いと31〕.
子グモには造網せず親の網に侵入し餌を盗むもの,親の網を足場として造網するものがいる.
親の網の外で造網したものには餌がかかっていない.親は子グモの侵入を許す.
親は夕方住居から出て網を破壊し,新たに網を作るので子グモは全部追い出される〔吉田真AT77〕.
網に残された餌を子グモが盗むが,アシナガグモと競合しているので,網に多くの餌がかかっている場合のみ,盗みに成功している〔吉田AT85〕.
種内干渉が非常に多い.繁殖の最盛期とみられる7月には各個体が造網を開始してから1時間程の間に網を持たない個体の侵入(干渉)が頻繁に起こり,
3分の2程の網が完全に破壊されてしまった〔吉田真AT70〕.
放置された網内にアシナガグモ(体長3〜9mm)やタニマノドヨウ幼体(1〜1.5mm)が早朝に侵入し,餌を盗んだ.
侵入者は次第に増え,小さい網を構築,大形の侵入者が小形を追い出して餌を獲得する例もあった〔吉田真AC50(1)〕.
放置網への侵入者(タニマノドヨウ幼体とさまざまなサイズのアシナガグモ)の季節的変動を調査,網当たりの侵入者数は
4月から6月までは低く,7月から9月上旬にかけては高かった.ホスト網密度が高く侵入者密度が低いと低く,ホスト網密度が低く,侵入者密度が高いと高い
放置網の面積は4〜5月は小さく,7〜9月は大きい.放置網上に残された虫数は6月に多いが7〜8月は少なかった.
タニマノドヨウ幼体は7月に誕生する〔吉田真AC50(2)〕.
水面近くに造網し,第1脚を水にいれて垂れ下がり,アメンボを捕った〔辻本AT9〕.
渓流水面上に水平円網を張る〔八木沼AC15(2)〕.
自然環境指標種Bランク〔新海98〕.
キタドヨウグモ Metleucauge yaginumai TANIKAWA, 1992
=mis. Meta reticulata (LINNE, 1758)
=mis. Meta segmentata (CLERCK, 1758)
雌8〜11mm,雄6〜8mm,成体出現期6〜9月.北海道では全域に分布.本州では800〜1000m以上の山地に生息.渓流沿いの樹間,草間,渓流
上の岩や石の間に「水平円網」を張る.
網の角度は足場の関係で垂直から水平まで様々.本種は渓流以外にも河原,草原,林道などの樹間,草間にも見られる〔新海06〕.
成体は6〜9月,雌10〜13mm,雄8〜10mm,北海道・本州(高地).渓流,草原,崖地に造網する〔東海84〕.
北海道上川郡愛山渓の標本で記載,北海道・長野県・群馬県の高地で記録,雌8〜11mm,雄5〜6mm,成体は7月〔谷川AC41(2)〕.
「山間の渓流付近に水面近くに垂直円網を張り,トビケラ等を補食して生活する(吉倉41)」〔新海69〕〔八木沼AC15(2)〕.
Meta segmenta (CLERCK)とは別種であった〔八木沼AT89〕.
内田(1927)のMeta reticultaへの寄生蜂はAcrodactyla takewakiiであった〔桝元ほかAC51(1)〕.
メガネドヨウグモ Metleucauge yunohamensis (BOES. et STR., 1906)
雌9〜15mm,雄7〜10mm,成体出現期5〜8月.平地から山地まで広く生息.都市部の公園や池の周囲,草原,樹林地の周辺,河原,林道,渓流沿い
の樹間,草間に「水平円網」を張る〔新海06〕.
成体は5〜7月,雌10〜15mm,雄8〜10mm,北海道・本州・四国・九州.
渓流や河原の樹草間に大型(最大2m,通常は0.5〜1m)の水平円網をはる〔東海84,谷川AC41(2)〕.国外では台湾,中国,韓国から記録がある
〔小野09〕.
個体数は下流に行くにしたがって減少するが,日本中の河川の渓流域から河口まで広く分布.
その他,都市の公園や寺社などの池でも採集される.卵のうは確認されておらず,産卵期も6〜7月と思われるがわかっていない.
クモは網の一端の枝の下に脚をのばして静止し,獲物がかかるのを待つ.
獲物は主として川の上をゆっくり飛んでいる昆虫で,ユスリカ,カゲロウ,カワゲラ,アブラムシなど,大きさに関係なく,
網にかかった昆虫はすべて捕える.横糸と横糸の間隔が広いので獲物のほとんどは1本の横糸だけで捕えられる〔森林87〕.
正常水平円網〔新海79〕.
渓流に大型の網〔新海80〕.山間の渓流にみられる.水平円網を張る〔八木沼AC15(2)〕.
11月30日,雪虫が網にたくさん(17頭)捕獲〔平松K77〕.
刺激により網目状斑を生ずる〔新海AT51/52〕.
ユノハマドヨウグモ.7,8月頃に多く,水辺に水平的なる丸網を作りてその中央に静止し居るを常とす.
樺太・北海道・本州・四国・九州・台湾・朝鮮に分布〔関口AC5(3)〕.
幼体がフタスジサラグモ雌成体の網に侵入し,餌を強奪〔新海明K60〕.
ササキグモ Okileucauge sasakii TANIKAWA, 2001
雌2.7〜3.1mm,雄2.1mm,成体出現期3〜4月.山地に生息.樹林内の樹木の枝葉間,草間に小さな「水平円網」を張る.チビシロカネグモに似
る〔新海06〕.
8月27日,奄美大島宇検村にて3雌発見〔谷川K83〕.
アゴブトグモ Pachygnatha clercki SUNDEVALL, 1823
雌雄5〜6mm,成体出現期9〜5月.主に水田とその周辺の草間に生息.幼体期は「水平円網」を張るが,日本では未確認.秋期,水田では急激に個体数が
増え,多くの水田害虫を捕食している〔新海06〕.
冬季は水田の切り株,藁のなか,畔道の草の根元付近から採集される〔新海06〕.
成体は9〜4月,5〜6mm,北海道・本州.冬期水田の枯葉やワラの中から多数採集される.
幼体は網を張るといわれるが日本では確認されていない〔東海84〕.旧北区,新北区に広く分布〔小野09〕.
網の形状,補食習性等すべて不明〔新海77〕.
成体になると網をはらなくなる〔学研76〕.
宇都宮市峰町の水田(6月にスミチオン乳剤散布)で9〜10月に最高密度,1u当たり4〜6個体,関東以北に多い〔浜村AC22(2)〕.
ヨツボシヒメアシナガグモ Pachygnatha quadrimaculata (BOES. et STR., 1906)
=Dyschiriognatha quadrimaculata BOES. et STR., 1906
雌2.5〜3mm,雄2〜2.5mm,成体一年中.平地に多く生息.水田とその周辺の草地,河原,池や沼の周辺,草原などにいて,3〜4齢までの幼体期
は草間の地表近く,地面のくぼみ,
水田周辺の崖のくぼみなどに「水平円網」を張る.
その後は網を張らずに歩き回って生活し,水田害虫や小昆虫を捕食する〔新海06〕.国外では中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
成体は1年中,雌3mm,雄2mm,本州・四国・九州.水田に生息.稲株,草間を徘徊して補虫する〔東海84〕.
厚木市の水田の調査では優位種で9月中旬から増加し始め,10月に個体数のピークを作る〔山野・木戸AT64〕.
雌3mm内外,雄2・5mm内外,雑草・積藁の下等に冬期にも見出し得る.産卵期不明,本州・四国・九州に分布〔関口AC6(3)〕.
ヒメアシナガグモ Pachygnatha tenera KARSCH, 1879
=Dyschiriognatha tenera (KARSCH, 1879)
雌2.5〜3mm,雄2〜2.5mm,成体一年中.平地に多く生息.水田とその周辺の草地,河原,池や沼の周辺,草原,樹林地の落葉の間などにい
て,3〜4齢までの幼体期は草間の地表近くに「水平円網」を張る.
その後は網を張らずに歩き回って生活し,水田害虫や小昆虫を捕食している〔新海06〕.雌2.5〜3mm,雄2〜2.5mm.国外では中国,韓国から記
録がある〔小野09〕.
雌を屋久島で1968年10月3日に採集〔大熊H5(1)〕.
冬季に水田の切り株,藁の間よりよく採集される〔新海06〕.
成体は1年中,雌3mm,雄2.5mm,本州・四国・九州.草間,落葉,水田などから採集されるが生態は不明〔東海84〕.
長崎にて6月21日・23日,小型の水平円網を確認〔大利AT29〕.
チヨコアシナガグモ Tetragnatha bituberculata L. KOCH, 1867
雄6.7mm,雌6.8〜7.8mm.西表島にて4月に雌雄.
基準産地はオーストラリアのブリスベーンやニューギニアにも分布〔谷川AC45(2)〕.
西表島でしか発見されておらず一時的な個体群〔谷川AC53(2)〕.
トガリアシナガグモ Tetragnatha caudicula (KARSCH, 1879)
雌8〜15mm,雄6〜12mm,成体出現期6〜8月.平地に多く生息.水田とその周辺,水路,河原,草原などの水辺に「水平円網」を張る.
網は足場の位置により垂直から水平まで様々.昼間は網の一端の枝に潜むことが多い〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌12〜15mm,雄10〜12mm,本州・四国・九州・南西諸島〔東海84〕.
国外では中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
井草田や稲田に多い.3月上旬,雌幼体,雄亜成体が出現.
無こしき円網を水平〜垂直に張り,平行背位〜垂直下位に占座する.
昼間は草葉裏に垂直下位の姿勢で潜む〔中平AT23/24〕.
造網過程を観察,タテ糸と枠糸,こしき糸,一周の足場糸,横糸の順に張る.
縦径12.3cm,横径11.2cm,縦糸20本,横糸22本〔平松K81〕.
9月3日に産卵,長径10mm,短径4mmのだ円形で,卵のうの上には濃い黄色の密にねじれた糸の房を付着(30卵)〔鈴木勝K43〕.
孵化するまで卵のうを保護,一腹卵数平均53個,4.6回産卵,総卵数247個,卵直径平均の相対値(卵直径/頭胸長)0.27,
アシナガグモ,ヤサガタアシナガグモ,ウロコアシナガグモと比較すると,中卵少産型と見えるが,生涯を通してみると
中卵多産型と位置づけられる〔吉田真AC52(2)〕.
ヒルギアシナガグモ Tetragnatha chauliodus (THORELL, 1890)
雄11.4mm,雌13.8mm,西表島の水田で採集.ビルマ〜台湾まで分布〔谷川AT95〕.
ビルマ,タイ,マレーシア,シンガポール,ニューギニア,フィリピン,台湾からも記録〔小野09〕.
セイロンアシナガグモ Tetragnatha ceylonica O. P.−CAMBRIDGE, 1869
雌7.5〜12mm,雄6.5〜11mm,成体一年中.河口のヒルギ林,河原,樹林地と周辺の草間や低木間,林道などの樹間,草間に円網を張る.
網は枝や枯れ草の茎を利用して張られるため,網の中央が枝や茎に付着して二分されている特殊な円網である.網は水平円網であるが,枝や茎の状態によって垂
直から水平まで多様.
リュウキュウアシナガグモと酷似する〔新海06〕.
西表島ヒナイ川河口ヒルギ林葉裏に直径6mmの卵のうを数本の放射状糸で付けていた.
雌成体,円網は直線の枝を含む平面に両側に半円形に張り出す形の円網〔八幡K80〕.
雄がミナミノシマゴミグモの網を乗っ取る〔谷川K86〕.ラオスから記録〔Jager他AC58(1)〕.
ニューギニア,タイ,フィリピン,台湾でも記録〔小野09〕
ハラビロアシナガグモ Tetragnatha extensa (LINNE, 1758)
雌7.5〜12mm,雄5〜9mm,成体出現期8〜9月.北海道では全域に,本州では800以上の山地に生息.河原,湖の周囲,渓流沿いの草間,樹間に
「水平円網」を張る〔新海06〕.
ミドリアシナガグモに似るが,本種の方が大型,幅広で,腹部背面に黒点がない〔新海06〕.
雌8〜12mm,雄6〜9mm,北海道・本州(高地)に分布〔八木沼86〕.旧北区,新北区に広く分布〔小野09〕.
ミドリアシナガグモの項参照〔吉田真AC30(1)〕.水田水路を好み,河川や山際水路でも出現するが,山地渓流には生息しない〔吉田真,いと35〕.
5月10日18時前後の10分間,雄の大顎は雌の大顎をひろげ,支え,かまれない様にしている.
また,雄の第3脚は雌の腸部にある.雄は真直ぐな姿勢,雌は腰をまげた姿勢で第1脚をあげている.
触肢は3分前後,挿入,これを数回繰り返す.交接後,雄は雌のすきをみて逃げる〔野口AT22〕.
イリオモテアシナガグモ Tetragnatha iriomotensis OKUMA, 1991
雄6.6〜7.2mm,雌8.0〜8.6mm.西表島の12月〜1月の雌雄で記載〔大熊AC40(2)〕.
沖縄本島与那にて12月27日雄を採集.奄美大島各地で年末年始に雌雄を採集.一見ヤサガタアシナガグモに似ている〔谷川K70〕.
オナガアシナガグモ Tetragnatha javana (TORELL, 1890)
雌10〜18mm,雄8〜12mm,成体一年中.平地に多く生息.水田とその周辺,水路,草原,河原などの草間,低木の間に「水平円網」を張る〔新海
06〕.
トガリアシナガグモに似ているが,腹部後端は出糸突起よりはるか後方に伸びてとがっており,腹部中央にあるように見える〔新海06〕.
西表島冬季(2月)水田畦畔の最優占種であった〔村田AC48(1)〕.アフリカから日本まで広く分布〔小野09〕.
トゲナガアシナガグモ Tetragnatha laqueata L. KOCH, 1871
成体は1〜4月,5〜6.5mm,小笠原諸島.全歩脚に長い刺がある.サモア,ソシエテ諸島との共通種〔東海84〕.雌6〜6.5mm,雄
5〜6.5mm〔小野09〕.
キヌアシナガグモ Tetragnatha lauta YAGINUMA, 1959
雌4.5〜6mm,雄3.5〜5mm,成体出現期4〜9月.山地に生息.林道沿いの樹葉間,草間に「方形水平円網」を張る.網には枠糸が無く,成体では
縦糸5本,横糸は17〜31本で,
全体的には五角形に見える.幼体の網は縦糸4本,横糸4〜10本の完全な四角形をしていることから,他のアシナガグモ類の水平円網と区別する〔新海
06〕.
成体は4〜9月,4.5〜6mm,本州・九州.草間に四角形(縦糸4本,横糸4〜6本)の網を張る〔東海84〕.国外では香港,台湾,韓国から記録がある
〔小野09〕.
東大千葉演習林内で観察.水平円網で,縦糸5本,横糸17または31本(粘性はあまり強くない).
円網種と比べて,@枠糸が張られない,A足場糸は張ったり張られ無かったりする〔新海明K56〕.
山麓の日当りのよい場所に非常に細い糸で目の荒い垂直円網を張る(傾斜するものもある)〔保育86〕.
幼体の網は垂直よりやや傾き,縦糸4本で横糸8〜10本だった〔新海明K58〕.
奄美大島宇検村にて1雌〔谷川K83〕.
リュウキュウアシナガグモ Tetragnatha makiharai OKUMA, 1977
雄6.5〜8.6mm,雌8.2〜10.6mm.6月に成体.沖縄・奄美大島に分布.セイロンアシナガグモ(南西諸島)とは分布が重ならない〔大熊
AC27S〕.
オオアシナガグモ Tetragnatha mandibulata WALCKENAER, 1841
雌8〜13.5mm,雄8.5〜12mm,西アフリカ,ネパール,バングラディシュ,タイ,マレーシア,インドネシア,フィリピン,台湾,中国,オース
トラリア,ポリネシアからも記録〔小野09〕.
アシナガグモに似る.奄美・沖縄・台湾に分布.雄11.2mm,雌14〜15mm〔大熊AC21(2)〕.
西表島冬季(2月)水田畦畔の優占種であった〔村田AC48(1)〕.
ヤサガタアシナガグモ Tetragnatha maxillosa Thorell, 1895
=syn. Tetragnatha japonica BOES. et STR., 1906
雌10〜13mm,雄7〜10mm,成体出現期4〜10月.平地から山地に広く分布.水田,水路,小川,河原などの水辺に多い,その他,市街地の庭園,
公園の池や水辺,草原,林道,
渓流上などに生息.草間,樹間に「水平円網」を張る〔新海06〕.灰色または銀白色の細長い腹部にある黒い波状の条が対斑が並んでいるように見えることか
ら区別できる〔新海06〕.
成体は4〜10月,雌10〜13mm,雄9〜10mm,全土.水田に多く,水平円網を張る.年2〜3回発生〔東海84〕.アフリカから東アジア,ニューギ
ニアに分布〔小野09〕.
渓流上ではタニマノドヨウグモの網に侵入するが,タニマノドヨウが消失すると好んで同種の網に侵入し,網を奪う.
10月に幼生がジョロウグモの網に寄宿する例も多い.オニグモ,ズグロオニグモ,クサグモの網での盗み食いもある.アシナガグモも同様〔吉田真
AT70〕.
親は子の侵入を許さず,子は他種の網に侵入して,造網したり餌を盗んだりしている〔吉田真AT77〕.
幌内川では上流の森林域に分布,アシナガグモとの共存域ではやや低い所に造網する.
これは足場として草を使う割合が高いためである.下流のミドリアシナガグモ(正しくはハラビロアシナガグモ)との共存域では造網の高さの平均はほぼ同じで
足場としては両種とも草を使う.個体数は夕方から,こしきに居る個体が増え,7〜9時にピーク,それ以降翌朝まで次第に減る.
日中は網を持たない個体が多くいる.網にかかる餌のピークはクモ出現のピークとずれ,6時にある.
アシナガグモの方は8時だが,共存の条件としては重要でないかもしれない〔吉田真AC30(1),いと39〕.
水田に多く,水面上のみに造網.イネ科草本の緑色の葉を足場とする〔吉田真,いと30〕.
熊本にて,交接期は9月頃,朝早く網を張る姿がみられ,やや日当たりの悪い所では一日中網を張っている.水湿地・杉林・クマザサの多い所に造網〔木庭
AT15〕.
ミナミノシマゴミグモの網を乗っ取る〔木庭H5(2)〕.
宇都宮市の水田では場所によって最高密度は7月に出現したり9月に出現したりする.11月以降水田には出現しないので越冬は水田外であろう〔浜村
AC22(2)〕.
夏季山野或いは人家の近くに水平又は傾斜せる丸網を張る.網の一端なる葉,小枝等の裏面に2対ずつ前後に歩脚をそろえて潜み居ること多し.
本州・四国・九州・朝鮮・台湾に分布〔関口AC5(3)〕.
雄が顎をからませた交尾を観察(1991年9月21日8:10,伊勢原市)〔池田K63〕.
薬剤(合成ピレスロイド剤)感受性がキクヅキコモリ・セスジアカムネグモ・ニセアカムネグモに比べて高かった〔田中幸AC48(2)〕.
卵のうを保護しない,一腹卵数平均114個,2.7回産卵,総卵数310個,卵直径平均の相対値(卵直径/頭胸長)0.27,
アシナガグモ,トガリアシナガグモ,ウロコアシナガグモと比較すると,小卵多産型と位置づけられる〔吉田真AC52(2)〕.
ヒカリアシナガグモ Tetragnatha nitens (AUDOUIN, 1827)
雌8.5〜15mm,雄7〜12.5mm,成体出現期4〜10月.平地に多く生息.水田とその周辺,水路,草原,河原などの草間や低木の間に「水平円
網」を張る〔新海06〕.
雌雄ともに他のアシナガグモより腹部が太く,脚が短いのが特徴〔新海06〕.
汎世界種.ヤサガタアシナガグモに似る.雌9〜15mm,雄8.5〜12.5mm.沖縄・奄美・台湾に分布〔大熊AC21(2)〕.
世界中の熱帯,亜熱帯地域に分布〔小野09〕.
名護の海岸でモクマオウの小葉を利用して卵のうを被っていた.母グモはガードしていた〔池田K74〕.
アシナガグモ Tetragnatha praedonia L. KOCH, 1878
雌10〜15mm,雄8〜12mm,成体出現期5〜10月.都市部から山地まで広く分布.人家,神社,寺院などの庭園の池の周囲.水田,水路,小川,河
原などの水辺,林道,渓流沿いの樹間,草間に
「水平円網」を張り,中心に歩脚と腹部を真っ直ぐに伸ばして静止する.昼間は網の一端の枝に潜むことが多いが,
枝に長い歩脚と腹部を伸ばして止まっているので極めてみつけにくい〔新海06〕.
国外では台湾,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
成体は5〜10月,雌13〜15mm,雄10〜12mm,全土.池から渓流まで広く分布している.水平円網を張る〔東海84〕.
産卵期は環境によって異なり,水田・渓流周辺の餌の豊富な場所では1年に2〜3世代が生ずると思われるが,
条件の悪い地域では年1世代で,6〜8月に産卵する.
卵のうは葉の裏や木の枝の間などに作る(個体によっては糸で空中に吊るすことがある).
5mm前後の卵のうは全体としては白色だが,表面に黒色の糸がゴミのようについている.
1卵のう中の卵数は70〜150個.水辺にはえている草の間に水平円網を張り,中心に脚と体をまっすぐに伸ばして静止する.
昼間は網の一端の葉裏にひそんでいることが多い.
獲物がかかると,長い脚を使って数本の糸で巻きつけるだけで,オニグモのように捕帯を出すことはない.
雄の上顎は長く強大だが,交尾の際,雌の上顎にからませて雌にくわれるのを防ぐ〔森林87〕.
9月4日.ジョロウグモの網の中央に占座する本種の雄を目撃〔清水,いと3〕.6月26日に出嚢,約2ヵ月弱で親になった〔吉田真,いと30〕.
山地渓流に生息するが休耕田や庭,草地,寺社林にも造網する.足場は潅木や多年生草本の枯れた茎など褐色のものが多い.
タニマノドヨウグモによりしばしば網が破壊される〔吉田真,いと30〕.
刺激により樹状斑が明瞭になる〔新海AT51/52〕.
福岡の水田性クモ類の発生消長から,2令幼生の出現は5〜12,1,3月,雄は4,6〜9月に出現,年2〜3化と推定〔大熊AT68〕.
産地に関わらず一定の脚長比をもつ〔大熊H2(1)〕.
飼育下で出のうから約50日で雌成熟,60日弱で雄成熟〔吉田真AC49(2)〕.
野外では新たに孵化した幼体が6月から9月に繰り返し出現,飼育により5頭(雄2,雌3)が成体となり,出のうから成熟まで
雄では57〜59日,雌では47〜51日であった〔吉田真AC51(1)〕.
卵のうを保護しない,一腹卵数平均113個,2.3回産卵,総卵数258個,卵直径平均の相対値(卵直径/頭胸長)0.20,
トガリアシナガグモ,ヤサガタアシナガグモ,ウロコアシナガグモと比較すると,
小卵多産型と位置づけられる〔吉田真AC52(2).AC54(2)〕.
縦糸を張ってから外側から中心へ向かって横糸を張るが,横糸張りの時の脚動作の解析がある.第4脚で糸いぼから糸をすき出し,
横糸を縦糸につけた後,次の縦糸へ移る前,クモは半回転して外向きになる.
これは横糸同士の間隔のチェックの為の動作であり,片方の第1脚で前に張った横糸に触れ,また半回転して内向きに戻る.これを繰り返す〔福本AT78〕.
親は子の侵入を許さず,子は他種の網に侵入して,造網したり餌を盗んだりしている〔吉田真AT77〕.
幌内川の上流の森林域にヤサガタアシナガグモと共存し,ヤサガタよりやや上流域に居る.共存域ではヤサガタアシナガグモ(10〜50cm)よりやや高いと
ころ(50〜200cm)に造網する.これは足場の選択と関連し,本種は枝先を使うことが多い.6月23日〜8月3日の調査期間で両種とも亜成体または成
体〔吉田真AC30(1),いと39〕.
タニマノドヨウグモの網に残された餌を盗む〔吉田真AT85〕.
盗みのみによって餌を得た個体,盗みと自分の網での捕獲による餌を得た個体,自分の網でのみ餌を捕獲した個体.
盗みが起こる状況は@自分の網を持ちながら隣接するドヨウの網に侵入,Aドヨウに網を壊された後,B網を持たず休息していたクモが侵入〔吉田真
AT93〕.
京都市北山にてヤサガタアシナガと一緒にしての調査である.「渓流上」に造網する.
植物被度の小さい方形区では他個体の糸を足場によく利用している.オオシロカネの餌量の2/3である.
個体間干渉ではもっとも劣位である.他種の餌盗みはかなり広汎にみられる〔吉田真AC27S〕.引き糸の限界荷重は0.30±0.07g,限界の伸びは
30±4%だった〔吉田真・桝元敏也,蜘蛛29〕.
ジョロウグモの網を乗っ取る〔宮下直K66〕.
オニグモの網内で餌(双翅類)を盗んでいた〔新海明ほかK71〕.ゴミグモの網に侵入,網主を捕食〔新海明K87〕.ジョロウグモの網で餌盗み〔笹岡
K87〕.
ヨシの頂部に捕獲したアリを集める“はやにえ”行動あり.アリは水辺に生息するシワクシケアリだった〔泉宏子K85〕.
成熟期は6月〔木庭AT15〕.雌は第3・4脚で吊り下がる.互いに大顎をかみ合わせ,雌の腹部は湾曲してその先端が雄の腹柄付近に付く.
雄は第3脚で雌の腹部を抱く.雄は時々力をいれて,雌を引き寄せる.
触肢を左右交互に外雌器に挿入.使用していない触肢は背上高く挙げている.左右,左右と4回とりかえた.所要時間9分.
雄は逃げ,雌は雄を追ったが,もどって静止〔中平AT28〕.
鋏角サイズの多様化を考察〔馬場友希・谷川・高田・二見AC58(2)〕.
捕食行動を観察した.自然状態ではユスリカ等体長3mm以下の双翅類昆虫を捕食.
下水溝の上に張られた網にかかった270頭の餌のうち64・4%が網から逃れた.
逃げた餌のうち,89.1%は自力で脱出したもので,他は網の引き(Plucking)によって落ちたものである.
通常,網の引きによって餌の所在を確認し,走り寄って上顎で餌をくわえ(Seizing),
網から引き離して(Pulling out),餌をこしきに運び,摂食した(Seize-Pull out戦略).
大型の餌捕獲には適応していない.与えられた大きな餌に対して,クモはSeize-Pull out戦略を含む3つの戦略を使用した.
鱗し類は多くの場合,Bite-Wrap戦略によって,ガガンボとトンボはSeize-Pull
out,Bite-Wrap,Wrap-Biteの3つの戦略によって捕獲された.
Bite-Wrap戦略においては,餌はまずBiteによって固定され(immobilization),
その後で糸を巻きつけられた(Wrapping).
これに対してWrap-Bite戦略においては,餌はまずWrappingによって攻撃され,その後でBitingが行われた〔吉田真
AC35(2),AT87〕.
1958年8月2日山口市にて村井工一採集亜成体雌左上顎が半分大,再生肢であろう〔八木沼AC20(1)〕.
昭和13年4月27日,成体雌がカスリヒメガガンボLimnophila japonica雌を捕食〔湯浅AC4(3)〕.
居候生活もする.8月中旬ジョロウグモの網を侵略していた.また2m径の或クモの丸網に18頭ものアシナガグモが集まっていた〔植村AC2(3)〕.
八重山群島で円網の中心に枝を利用した心棒付き円網を2例観察.亜成体のクモがこの網を張る〔大利K39〕.
雄成体がジョロウグモのこしきに占座し,かけた蟻を取った〔新海明K58〕.
縦糸数本をつかみ手繰り寄せながら前へ進み,糸束を飲み込むことを繰り返して自分の網を食べる〔中平92〕.
ウロコアシナガグモ Tetragnatha squamata KARSCH, 1879
=シンアシナガグモ
雌5〜8mm,雄4〜6mm,成体出現期5〜7月.都市部から山地まで広く生息.都市部の街路樹,庭園・公園の庭木,水田,河原,樹林地,林道,渓流な
どの樹木の枝葉間や葉裏に小さな
「水平円網」を張る.網の角度は足場の位置によって垂直から水平まで様々.また網を張らずに枝上で接近してくる昆虫を捕えることもある〔新海06〕.
成体は5〜7月,雌7〜9mm,雄5〜7mm,全土.山地の渓流から都会の街路樹までみられる.
小さな水平円網を張るが,徘徊して捕虫することもある〔東海84〕.国外では台湾,中国,韓国から記録がある.エゾアシナガグモの雌と識別困難〔小野
09〕.
産卵期は5月下旬〜6月で,葉の裏に白色か淡緑色の綿あめのような6〜7mmの卵のうを作る.
1卵のう中の卵数は35〜70個.網は垂直に近いものもあり,張る角度は一定していない.また網から離れた葉上で捕食していることもある〔森林87〕.
刺激により腹部の金緑色鱗状斑が収縮するため,樹状斑が明瞭になる〔新海AT51/52〕.
水平〜垂直に造網する.占座姿勢も平行背位〜垂直下位.5〜6月に白色,球形,
小型の卵のうを,昼間の住居である葉裏につける.卵数50内外.卵粒は直径0・5mmで白緑色〔中平AT23/24〕.
7〜8月に葉裏で,卵のうを口器で保持していた〔山川・熊田73〕.
秩父では,6〜7月に産卵し,広葉樹の葉裏に綿アメ状の淡緑色の卵のうを作る〔新海・原AT65〕.
都内の桑園では80%を占める優占種である.
クワノメイガの1〜3令幼虫をよく捕食しているが,Cーindexで解析すると両者の分布はランダムである.
また個体数変動は対応していない.他の餌もよく取っている為であろう〔国見・大熊AT70〕.
耐寒性があり,冬期,ヤツデ・アオキ・タラヨウ等の常緑樹の葉裏に防寒装置もなく生活している〔植村AT5〕.
倉敷市にて桃や桜の葉面に6〜11mmの偏円形の卵のうを産み守る.卵は0・6mm径の淡緑色.1卵のう中に41,102〔白AC7(3/4)〕.
3月20日クモヒメバチに寄生された幼体を採取,4月10日に羽化した.Acorodactyla sp. 雌とのこと.さらに4月17日にも寄生された幼
体を採取,
4月19日蛹化し,4月28日羽化〔甲野K80〕.
卵のうを保護しない,一腹卵数平均41個,2.2回産卵,総卵数83個,卵直径平均の相対値(卵直径/頭胸長)0.34,
アシナガグモ,ヤサガタアシナガグモ,トガリアシナガグモと比較すると,大卵少産型と位置づけられる〔吉田真AC52(2)〕.
タニカワアシナガグモ Tetragnatha tanigawai OKUMA, 1988
雌5.2〜5.8mm,雄4.85〜8mm,成体出現期5〜8月.山地に生息.林道,渓流沿いの樹木の枝葉間,葉裏などに小さな
「水平円網」を張る〔新海06〕.
シコクアシナガグモ Tetragnatha vermiformis EMERTON, 1884
=syn. Tetragnatha shikokiana YAGINUMA, 1960
雌8〜10mm,雄6〜7mm,成体出現期5〜8月.平地に多く生息.水田とその周辺,水路,河原,草原などの草間に「水平円網」を張る.
網は足場の位置により垂直から水平まで様々〔新海06〕.
雌8〜15mm,雄6〜12mm,成体出現期6〜8月.平地に多く生息.水田とその周辺,水路,河原,草原などの水辺に「水平円網」を張る.
網は足場の位置により垂直から水平まで様々.昼間は網の一端の枝に潜むことが多い〔新海06〕.
雌8〜10mm,雄6〜7mm,成体出現期5〜8月.平地に多く生息.水田とその周辺,水路,小川,河原などの草間に「水平円網」を張る.網の角度は
足場の位置により垂直から水平までさまざま〔新海06〕.腹部は黄色で細長く,トガリアシナガグモに似る〔新海06〕.
成体は5〜8月,6.5〜8mm,本州・四国・九州・南西諸島.河原の草間に多く,その他に水田,草原などにもみられる.水平または斜めに円網を張る〔東
海84〕.
水平から垂直まで色々な角度に円網を張る.アジアからアフリカまでの熱帯・温帯地域に広く生息している〔森林87〕.
南アフリカ,バングラデシュ,インド,スリランカ,ビルマ,タイ,マレーシア,中国,韓国,アメリカ合衆国,パナマで記録〔小野09〕.
ミドリアシナガグモ Tetragnatha pinicola L. KOCH, 1870
雌6.5〜10mm,雄4〜8mm,成体出現期6〜8月.北海道では全域に,本州では800〜1000m以上の山地に生息.樹林地,草原,河原,林道な
どの樹木の間,草間に「水平円網」を張る〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌8〜10mm,雄5〜6mm,北海道・本州(高地)・四国(高地).
高原の木や草の間に水平円網を張る.1000m付近では最も多い種類〔東海84〕.全北区に広く分布〔小野09〕.
液浸にすると中央の樹状斑が明瞭になる〔保育68〕.
幌内川では下流の市街地に分布.ヤサガタアシナガグモとの共存域では水面のすぐ上で造網する.
7〜8時に個体数がピークとなり,空網は減少する.6月23日〜8月3日で様々な令がいる(ミドリアシナガグモはハラビロアシナガグモの誤り)〔吉田真
AC30(1)〕
シナノアシナガグモ Tetragnatha shinanoensis OKUMA et CHIKUNI, 1978
雌6〜7.5mm,雄5〜6mm,成体出現期5〜6月.里山から山地に生息.雑木林の周辺,河原,林道,渓流沿いなどの草間,樹間に
「水平円網」を張る.一見ミドリアシナガグモに見え,幼体期はキヌアシナガグモに似る〔新海06〕.
成体は5月中旬〜6月中旬,雌5.9〜7.3mm,雄5.1〜6.0mm,北アルプス標高800m前後の山地の雑木林に住み,水辺と関係しない.
雑木の下枝(地上数10cm前後)に水平円網を張る.一見ミドリアシナガグモに似る.林内の小動物を捕食.
年一世代.幼体は10月中旬〜11月中旬に亜成体となり越冬する〔大熊・千国AC28(1)〕.
長野県須砂度の標本で記載〔大熊.千国78〕.
八王子城址で採集〔熊田K60〕
自然環境指標種Bランク〔新海98〕.
エゾアシナガグモ Tetragnatha yesoensis SAITO, 1934
雌7〜10mm,雄5〜8mm,成体出現期5〜8月.山地に生息.林道,渓流沿いの樹木の枝葉間,葉裏などに小さな
「水平円網」を張る〔新海06〕.ウロコアシナガグモにきわめてよく似る.雄は本種の上顎が太くて長いこと,腹部の赤色斑が無いことで区別できる〔新海
06〕.
成体は5〜8月,雌7〜10mm,雄6〜8mm,北海道・本州〔東海84〕.
雌ではウロコアシナガグモとの区別が難しい.雄では上顎が太くて長いこと,腹部の赤色斑がないことで区別できる.
北海道・本州・九州に分布〔森林87〕.韓国でも記録〔小野09〕.
刺激により樹状斑が明瞭になる〔新海AT51/52〕.
5月15日,ケヤキの若葉の裏面にやや浮かして糸で支えられた卵のうをガードする雌,5月26日151頭出のう〔池田K90〕.
産卵途中でまだ卵塊を糸で不十分に包んだ状態で雌が交接していた.6月13日23:50,25分後には雄の姿は無く,雌は卵のうを糸で包む行動をしていた
〔山本一幸K97〕.
自然環境指標種Aランク〔新海98〕.
キイロハラダカグモ Tylorida striata (THORELL, 1877)
=syn. ハラダカグモ Tylorida magniventer BOES. et STR., 1906
雌3.5〜4.5mm,雄2.5〜3.5mm,成体出現期5〜8月.平地から里山に生息.草原,河原,路傍の草地,樹林地の周辺,林道沿いなどの草間
に,水平から垂直まで様々な角度に「水平円網」を張る.
昼間は網の一端に簡単な住居を作ってそこに静止しているが,夕方からは網の中心に来て獲物がかかるのを待つ.金色の腹部は刺激を与えると褐色に変わる〔新
海06〕.
雄3.3〜3.5mm(8月),雌3.3〜3.9mm(3月8月),T. magniventerのタイプ標本は本種の幼体だった.
中国,台湾,インドネシア,オーストラリアに分布〔谷川AC53(2)〕.ラオスから記録〔Jager他AC58(1)〕.中国,オーストラリアでも記録
〔小野09〕.
山麓の低木の間に,水平〜垂直に無こしき円網を張る.
個体によりキレ網を張る.網の支点にある木の葉の裏に糸を不規則に張って住居とし,平行背位に占座している.
交接も食事も住居で行う.網に獲物がかかると,ここからとびだしていって捕らえて帰る.
腹部は黄金色.刺激すると褐色の網目が拡大し,全体が汚い褐色に変化する.体色変化は雄や幼い個体ほど著しく現れる〔中平AT23/24・14〕.
交接で,V字形にならずに一直線になる〔中平AT28〕.
オオハラダカグモ Tylorida ventralis (THORELL, 1877)
雄4.9〜5.6mm,雌6.1〜7.6mm,4月に西表島で雌雄.日本には類似種がいないが,
西表島の舟浦付近でしか見つかっていないのは一時的な個体群だからだろう.
同様の一時的な例はトガリシロカネグモ Leucauge decorataやチヨコアシナガグモ Tetragnatha
bituberculataでも見られた〔谷川AC53(2)〕.
ラオスから記録〔Jager他AC58(1)〕.中国,台湾,シンガポール,インドでも記録〔小野09〕.
ケワイグモ Herennia multipuncta (DOLESCHALL, 1859)
=ケハイグモ Herennia ornatissima (DOLESHALL, 1859)
パプアニューギニアで観察.
樹幹上に「すだれ網」を張る.雄は雌の網上に同居するが,交尾後,雄の触肢は折れてしまう〔池田08〕.ラオスから記録〔Jager他AC58(1)〕.
ジョロウグモ Nephila clavata L. KOCH, 1878
=ミゾコガネグモArgiope maja BOES. et STR., 1906
雌20〜30mm,雄6〜10mm,成体出現期9〜11月.都市部の人家の庭から山地の林道,渓流まで広く生息する一般種.樹間,草間に目の細かい円網
を張る.網は主網とその前後に
糸を引き回したバリアーと呼ばれる網とで三重構造になっている.主網は幼体期は円網であるが,成長に伴い下部が大きくなり,全体的には馬の蹄のように見え
ることから
「蹄型円網」と呼ばれる〔新海06〕.
成体は9〜11月,雌20〜30mm,雄6〜10mm,本州・四国・九州・南西諸島.夏から秋にかけて家の周囲から山地まで
最も普通にみられる.樹間にきわめて目の細かい蹄型円網を張る.
産卵期は10月で,樹皮,建物の周囲,木の葉などに白色の卵のうを作る.
卵はつぎの年の5月にふ化し,約3ケ月間で体長30mmの成体になる〔東海84〕.国外では台湾,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
北海道からは採集されていないが,青森県の下北・津軽両半島の先端まで生息していることから,今後は北海道から採集の可能性がある.世界のジョロウグモ属
の中では最も北に分布している.産卵期は10〜11月で,白色楕円形の卵のうを樹皮の上,建物の壁や柱,広葉樹の葉などに作る.落葉広葉樹の葉の表面に産
卵した時は,その葉がおちないように葉柄の部分と枝を糸でしばっておく.1卵のう中の卵数は400〜1500個.卵は産卵後,数時間でいったん発生が止ま
り,そのまま越冬して,翌年5月から再び発生が進み,5月下旬にふ化する.このクモの網が他のクモと異なる点は,横糸の数が多いこと,縦糸が周辺に行くに
従って分岐していること,さらに枠の部分から中心に向かっても2本にわかれた縦糸があることである.
クモは常に網の中心よりやや上にいて獲物を待っている.獲物がかかるといきなりかみついて,それから糸を巻くが,こうした捕虫行動はアシナガグモやトリノ
フンダマシと同じで捕帯の量の少ないクモの特徴である.
雄は交尾が終わると雌に食べられることがある〔森林87〕.網に餌がかかると噛み付きやすい部位にかみつき,その後糸で巻く〔関根幹夫,いと37〕.
中令個体には蹄形円網の上部から下部にかけて「かくれ帯」をつけるものがある〔福島彬,しのび27,28〕.
前後の不規則網は「ゴミ捨て場」か〔緒方,蜘蛛30〕.
脚部斑紋型(南にいくほど黒化する)の地理的分布〔徳本AC45(2)〕.
国内では南方ほど黒化するという緯度的クラインが見られた.特に沖縄・屋久島個体群はすべてが黒化度のもっとも強い個体で,台湾も同様だった.
ネパール・北ベトナムではすべてが黒化度が低い個体,秋田・石川個体群では低い個体が多数だった.
秋田・石川・屋久島・沖縄のミトコンドリアDNAのチトクロームCオキシダーゼ部分の解析では,沖縄本島個体群と屋久島以北個体群の間にやや大きな差異が
認められたが,
明瞭なクラインは認められなかった〔徳本ほかAC49(2)〕.
八丈島には1965年にはいたが,1989年以降はいない〔徳本K76〕.富士山麓では珍しい.1994年10月9日に須走で1頭の雌のみ〔新海明〕.
石川県における垂直分布とその要因の考察.分布上限の厳寒月平均気温の推定値は-0.4℃,年平均気温の推定値は11.2℃.それぞれ前後に1.1℃程度
の範囲に収まる〔徳本K77〕.
1998年9月下旬〜10月に有志により垂直分布調査を実施した.石川・茨城・埼玉・長野・神奈川・静岡・愛知・滋賀・鳥取・福岡・長崎の各県から報告が
寄せられ,日本海側の上限は石川600m.滋賀500m.鳥取550m,太平洋側では埼玉550m.神奈川645m.静岡600m.愛知700m,本州で
は高緯度地域ほど上限が低い傾向が見られたが,例外もあり,茨城は350mと低く,長野は800mと高かった.垂直分布を制限する要因は気温と予想される
が,低温が卵.幼体.餌昆虫のどれに効果があるのか明瞭にならなかった〔池田ほかK79〕.
秋田県と石川県で本種の水平・垂直分布を調査した.海岸線から100m以下の平野部や低山帯で密度が高く,山地では高度が増すと急激に密度が低下した.秋
田県の方が分布上限が低く,密度も低かった〔徳本洋,蜘蛛31〕.
長崎県対馬と福岡県で垂直分布を調べた.上限標高は福岡県の方が少し高かった.秋田県,石川県,福岡県で垂直分布上限での厳寒期月平均気温推定値を比較す
ると明瞭な差があった.南方ほど推定気温が高く,耐寒能力が低い可能性がある〔徳本洋,蜘蛛32/33〕.
屋久島での垂直分布を調査.上限は標高400m.秋田県,石川県,対馬,福岡県,屋久島の分布上限標高を比較すると,秋田県が目立って低いが,他は差はな
かった.緯度変化の影響はみられず,その理由は不明.寒候期別気温は明瞭に差が認められたが,暑候期別気温は各地域間に差はなかった〔徳本洋,蜘蛛
34〕.
山形県庄内地方で垂直分布の調査をした.海岸近くの高館山およびその周辺のみに生息.内陸部にはいなかった.分布上限は270m〔徳本洋,蜘蛛36〕.
標高上限は2000年と比べて神川沿いの湯の平付近では860mとやや高くなっていた〔藤澤K96〕.
わずか4ケ月以内で体重にして50〜700倍,体長にして7〜20倍も増加する.日当り捕食量は9月中旬以降急劇に増加する.摂食量/平均体重の値は夏期
に減少する.大型餌の割合はクモのサイズとともに増加するが,小型餌をコンスタントに摂食する.都市部では20〜30%しか抱卵しない場所もあった.大型
の飛翔昆虫が少ないことが原因と思われる.
抱卵雌のT脚長と卵数には強い正の相関が見られた.卵数が最終脱皮直後のサイズでほぼ一義的に決まることを示す.
雌網当り雄数は9月頃から増加,9月中旬頃までは一様分布(雄間で排他的関係),9月下旬以降はランダムから集中分布に移行する.
中心雄は周辺雄よりサイズが大きく,滞在日数も長かったが,9月下旬以降は違いが曖昧になった〔宮下直AT97〕.
野外網室内で7月から9月まで餌供給量を変えて(7/18から8/4まではショウジョウバエを日当り3〜10匹[富食],1〜4匹[中間食],0匹[貧
食].8/9から雌には1日おきにミールワームかコオロギ[富食],小コオロギ[富食の1/3量],4日に一度ショウジョウバエ5匹[貧食].雄には一日
おきにショウジョウバエを10匹,5匹,1〜2匹と差をつけた),成長を調査.
その結果,体長に大きく差が出たし,貧食は1ケ月以上成熟が遅れた.野外個体群のサイズのバラツキと同様だった〔宮下直AC40(1)〕.
餌捕獲個体数および摂食時間をVTRと見取りセンサスで推定.体長2mm以下の小形餌は数で80%以上,
摂食時間の30%以上を占めていた.小形餌はコンスタントに捕食されていた〔宮下直AC41(2)〕.
網場所の質を判断し,移動して採餌効率を上げることができるかどうかを確率分布をもとにシミュレーションした〔宮下直AT98/99〕.
10月14日に座間市谷戸山公園と芹沢公園で雄の同居網数が約50%〔諏訪哲K62〕.
10月27日天童市で糸を共有し集団化している網を壊したところ雌成体が他個体を捕獲〔池田K97〕.
1998年神奈川県鎌倉市にて雄成熟過程を調査した結果,8月10日から11月16日の間に126頭を記録,
ピークは9月上旬で第1脚けい節長.背甲幅は次第に小型化した〔谷川K78〕.
金沢市では9月中旬から10月中旬は雌個体数が安定しており,地域や異年次比較に適した時期である.
10月下旬に産卵のため一時個体数が減る.生残個体は腹部が肥大するが第2回目の産卵には至らない〔徳本K64〕.
産卵・出のうに関する地理的変異をまとめた.産卵部位は本州中部以北の落葉広葉樹の多い地域では主に樹幹,四国・九州・沖縄などの常緑広葉樹の多い地域で
は樹葉であった.
東北地方から沖縄に至る間で,南ほど孵化・出のう時期が早く,産卵時期が遅くなる.沖縄では二回産卵は常態,ただしこの習性の北限は不明〔徳本
H5(2)〕.
1994年から2005年に調査,堺市で産卵日のピークは11月上旬(10月6日-12月30日)97%は夜に産卵した(N=660).
網を離れて翌朝までに産卵したのが63.3%(N=649),1日後が155,2日後が43,3日後が25,それ以上15.
産卵場所は常緑樹の葉が46.8%,落葉樹の葉が26.2%,幹や枝が10.8%,壁など人工物が16.2%.
産卵後クモは4.1日産卵場所にいて,その後網を張ったり,死亡・徘徊・行方不明.産卵日の平均気温の最低は5℃だった.
12月産卵個体では網を離れてから産卵までの日数が長くなったり,昼間の産卵や軒下や塀への産卵が増えた.
8℃より低い気温では産卵行動が抑制される可能性が示唆された〔西野K90〕.
産卵後に造網したクモは48.2%で,そのうち元網に戻る率が少なかった(13.8%).コガネグモやナガコガネグモのそれと比べる(コガネグモでは
77.6%と77.3%,ナガコガネも同様)と,造網率も元網率も低い〔西野K92〕.
堺市で15年間に調査した出のう卵のう数/観察卵のう数は,680/841で,出のう率は80.9%.越冬卵死亡率が高いのは幹と人工物への産卵,12月
産卵であった.
危険要因はそれぞれ真菌感染・発育不全・風雨・幹上徘徊昆虫による捕食,風雨・未授精卵であろう.付着位置の高さは有意ではなかった〔西野K95〕.
遅く産卵した卵のうでもほぼ同じ時期に出のうする.出のうの時日決定に有効積算温度が関わっているのではないか.
起算日を4月1日と仮定して,野外のジョロウグモの生活史データを気象データから発育零点を12.8度,有効積算温度124.5度日と仮定し,出のう日の
予測式Y=12.8X+124.5を設定した
(ただし発育零点以下の日をマイナスではなく,0と仮定するなら起算日を3月上旬にしても差はわずかである)〔西野K96〕
堺市で1994年から2007年までの間に2回産卵したジョロウグモの28頭のデータから,2回目の産卵では産卵数や出のう幼体数の減少,
胚の発生遅延が生じる可能性が高いと考えられた.孵化率の減少や2回の産卵場所の関連はデータ不足もあり判断できなかった.(対照は1回産卵の785頭)
〔西野K97〕.
長野県の自宅で12月6日に産卵した雌がいた.気温は氷点下〔藤澤K97〕.
産卵後の採集位置は卵のう抱えか卵のう横12例,網央12例,網端1例,条糸上6例,ケージ天井・側面16例,卵のうとの位置関係不明10例〔近藤
AT89〕.
横浜・小田原産(南部)と赤湯産(北部)を南北を交換して越冬させた.晩秋から初春にかけては南北で発生に差異なし.
船橋市では4月下旬に南卵は胚反転中期に,北卵はふ化直前に達した.5月下旬までに南卵はふ化したが,
北卵は第1回脱皮終了.一方,赤湯では5月に入って発生が進行し,5月下旬に南卵はふ化を開始したが,北卵のふ化は完了していた〔近藤AT87〕.
低温処理実験〔近藤AT93,AT95〕.
14L,10Dで卵のうから出た子グモを室内飼育した〔近藤ほかAT97〕.
内灘砂丘のニセアカシア純林で秋の成体の移動を調査.産卵までは雌成体はあまり移動がない.
10月下旬以後には林外縁部から林内部へ移動した個体が増加〔徳本AT87〕.
高知県で,10月頃,樹葉裏や枝に産卵,翌5月頃出現する〔中平AT23/24〕.
富山県内灘の海岸砂丘のニセアカシア純林で,林縁部での生息密度が高く,
占座位置は80〜180cm,卵のうは成体造網位置より低く10〜80cmである.卵のう付着面は南や西を向かない.
付着位置の幹直径は6〜10cmであるが,林縁では1mの高さで直径が5cm以下の樹が多く,
卵のうの低位置集中および葉上への産卵の要因となっている〔徳本AT79〕,
卵のうの長径と短径の積と卵数の関係式Y=3・32Xが得られた.1卵のう当たりの卵数平均は約400.81年から82年の推定成体達成率は0.0131で,
期待値0・005よりかなり高い.ずれの原因は不明である〔徳本AT83〕.
卵塊内の卵数推定値を使い,越冬卵の生残率を調査した.卵塊数生残率が0.3,卵数生残率が0.4となった〔徳本AT85〕.
横浜自然観察の森にて産卵部位と付着物を調査した.樹木68本中,40本に83個の卵のうがあった.園内にはサクラが多く,主にサクラに産卵されていた.
卵のうの付着する方角には偏りは無かった.卵のうは下向き.産卵部位の樹幹の直径は50〜100mmが34.2%,
中央値123mm,高さは1〜2mが48.1%,中央値1.8m〔松田ほかK82〕.
脱皮を中心とするジョロウグモの一生の記録〔千国AC6(1)〕.真夜中に造網する〔千国/狩り〕.
夜の8時頃から産卵活動.樹皮にシートを張り,9時半卵を産み始める,卵塊を糸で覆い,明け方の4時頃までかかる.卵のうは木の皮やゴミがつけられる.一
粒の卵は約1mm,17×14mmの卵塊に1400粒.卵寄生するナガヒョウホンムシがいる.
5月16日ふ化,21日脱皮,脱皮したクモは再び集団生活をし,6月1日出のうして団居,8日脱皮(第2回)して団居,13日バルーニング,6月中下旬に
脱皮(第3回),6月下旬から7月上旬脱皮(第4回),7月中旬脱皮(第5回),
円形に近かった網は馬蹄形に近くなる.7月中旬朝9時半から10数分かけての脱皮(第5回)を観察する.7月下旬第6回脱皮,雌雄の別が分かる.8月上旬
第7回脱皮,雄は成体となる.脱皮後30数時間後,精網を張り,左右の触肢を代る代る10数回精液を吸い取る.
40〜50秒間.雄は雌の網に入る.9月上旬雌第8回脱皮をして成体となる.雄同士の闘争がある.脱皮途中で雄は雌に近ずき交接する.1回は10秒そこそ
こ.片方10数回ずつ挿入する.飽食させると脱皮回数は9〜10回(雌),7〜8回(雄),欠食では8回(雌),6回(雄)である.野外では雌8回,雄7
回であろう〔千国83,千国/親と子〕.
5月上旬(卵径1mm)・中旬(孵化)・下旬(第1回目脱皮,体長1〜1.5mm),6月上旬(出のう,第2回目脱皮,体長1.5〜2mm,ハンモック
網)・中旬(分散,体長2〜3mm,レース網5〜6cm径)
・下旬(3回目脱皮,体長3〜4mm,レース網8〜9cm径),7月上旬(4回目脱皮,体長5〜6mm,レース網10〜15cm)・中旬(5回目脱皮,体
長7〜8mm,レース網径20〜30cm)
・下旬(雌雄区別できる,6回目脱皮,体長雄9〜10mm雌10〜12mm),8月上旬(オス成熟,7回目脱皮,レース網径30〜40cm)・中旬(メス
亜成体・オス網に入る,体長雄9〜10mm・雌10〜12mm)
・下旬(レース網径40〜50cm),9月上旬(メス成熟,雄10〜12mm・雌20〜24mm,レース網径50〜60cm)・中旬(メス成熟・交接,雌
8回目脱皮節)・下旬(オス死亡,
体長雄10〜12mm・雌25〜27mm,レース網径60〜70cm),10月上旬(産卵,体長雌27〜28mm)・中旬(メス死亡,越冬,卵塊径
10〜15mm)〔千国/一生〕.
卵のう作成と付着物を付着させる行動のまとめ.卵のう付近から樹皮破片など材料をかじり取り,くわえてきて,卵のう上面に貼り付ける〔徳本K84〕.
雄は雌の最終脱皮まで約1ケ月間餌をとらない〔千国AT79〕.
9月20日,雄は雌の食事中に交尾する.9月30日,脱皮直後の雌に雄が交尾.雄が雌の網を補修〔澤田和久K84〕.
1994年〜2001年まで堺市の庭で飼育し産卵・出のう・まどいを調査した.311頭339卵のう,産卵場所は幹・葉など,産卵時期10〜12月,
卵時刻は夕方-深夜,一日以上かかる,平均1.1個(最大2個),9%が複数個を作成,次の産卵までの間隔は31.4日(19〜51日),
ピンク色卵,冷蔵したらナガコガネグモに比べて温度が低下しやすい,出のう卵のう率73.2%,出のう時期4〜6月,
出のう時刻は朝〜昼,クラッチサイズ1〜1000個,子グモ数平均200頭,卵のうの上にまどい,まどい9.3日(4〜20日)〔西野K85〕.
産卵・出のう時期・造網子グモの出現時期のまとめ〔徳本,いと42〕.
まどいに誘引物質が関係するという仮説は証明されなかった〔西野K86〕.
1994年から2005年の調査から,堺市の市街地の庭において660頭の産卵部位選択についてまとめた.常緑樹の葉.落葉樹の葉.幹ともに
卵のうの高さは120〜126cmだったが,人工物では188cmと有意に高かった.造網場所からの距離も離れていた.
660頭のうち,403頭は造網場所と同じ環境に産卵した.造網が多かった常緑樹や落葉樹の樹種は特定できなかった.
葉に多く産卵した〔西野K91〕.
網は10月25日〜11月30日の1ケ月間に16回(1〜5日間隔,平均2日)更新された.3分の1〜3分の2が暖かい夜,降雨後に更新される〔新海
AT79〕.
雨が降ると一斉に網の半分ほどを「雪かき式」で数本の縦糸を残してたたんでしまう〔新海明K74〕.
網の張替え周期は平均2日だが,個体によっては毎日張り替える,3日間張り替えないといった例がある.
部分補修の割合は7月3%,8月23%,9月43%で成体になるにつれ増加.大崎の「張替えは紫外線による糸の劣化」説は否定される〔新海明
AC53(2),新海明K87〕.
他のコガネグモに比べて縦糸が多い.ジョロウグモの「分枝」糸は,縦糸を下がりながら1本の縦糸を張り,中心に戻ってくる時に
もう1本の縦糸を引き出す型である.それに加えて「二分割」という特殊な縦糸増加の機構がある.足場糸を張る時に,
所々元は1本の縦糸をはじいて2本にわけていくのである.従って縦糸はゆるく張られる必要がある.
足場糸はこのような縦糸の緩みを引き締める役目をしている〔新海AT82〕.
足場糸と横糸を張る時の脚の造網動作は同じである〔福本AT60〕.
成熟直前の雄の網は粘糸を欠く小さな篭状の不規則網である.成体となった雄(金沢市では8月下旬)は翌日,網を放棄し,
雌の網に入る.雄の出入りは激しく,未成熟雄も出入りする.雌が網を放棄すると雄は離散する.
雌の網の位置は不定期に変わる.雌の網を訪れる雄は0〜9頭.雄のいる期間は1〜16日.成体雌では雄の滞在期間は55.6%が1日である.
10月,雄が6日以上来ない雌の網は20%しかない.雌のいない網にも雄が入り,中心に占座していた.雄の網への侵入には雌の存在は不可欠ではない〔徳本
AT77〕.
網の高さは分散直後(金沢では6月中旬)は2〜3mの所に多いが,次第に1〜2mの高さに集中する.10月下旬になるともっと高い所に位置する網が増える
〔徳本AT75〕.
樹冠被度とクモ密度は様々である.被度の高い割に密度の低いのは竹林や社寺林地域,その逆は庭木の多い住宅地域である〔徳本AT73〕.
地理的変異について.北の個体ほど早く成体となる(秋田1.5ケ月程度,平塚2.5ケ月程度,名護4.5ケ月程度)ので小さく,
2回目の産卵は可能ではない.名護で2回目に産卵された個体は冬を越せずに死亡するであろう〔栗原AT77〕.
越冬卵はふ化の為に低温接触を要する.越冬卵は胚盤形成期である.秋田個体群を平塚野外条件下に移したところ,
12月下旬に発生が開始した.平塚個体群は3月中旬であったので,秋田個体群には平塚の低温が発育可能な高温として作用したものであろう.
つまり,卵休眠の深さに地理的変異がある〔栗原AT70〕.
沖縄では11月〜12月に卵が成熟し,12月中旬〜3月中旬まで産卵される.卵は2月中旬〜4下旬にふ化し,産卵数も522+43個で年2回産卵する.
沖縄での産卵のピークは1月上旬でふ化のピークは3月中旬である.第1回産卵のふ化日数は70日前後,第2回産卵のふ化日数は45日前後である.
腹幅/腹長で除した値が0.5より上であれば成熟卵を保有していると判断できる〔下謝名AT55〕.
沖縄では網面積が小さく,横糸.縦糸も少ない.冬が来る前に成長を完了せざるえをえない本州産に比べて,長く遅い成長がこれに関係していよう〔カルタン &
宮下直AC47(1)〕.
胚は-10℃にさらされてもふ化できる〔近藤AC45(2)〕.
埼玉県では6月下旬にマダラジガバチモドキによく狩られている〔南部AT59〕.クモの体背面にある補助網に食物のかすや脱皮殻などが吊される.
補助網は更新しないので,長く同じ場所に造網した個体では補助網の方が大きい.補助網はクモ体保護装置である.
網の祖型がヒラタグモの住居網の様であるならば円形住居が補助網となり,触糸が主網となったのであろう〔中平AT37〕.
交接の際,触肢で外雌器上方を3〜4秒間,連打する.その後挿入する.挿入し,そこを中心に触肢を外側方向へ回し,最後に逆転させて止める.
交接時間は10時間以上〔笠原AT35〕.
1934年10月21日,雌の網に雄を投じる.雌がハエを捕獲した後に雄が接近,30秒ほど交尾〔細野43〕.
渓流上の網内にタニマノドヨウグモ,アシナガグモ,オオシロカネグモが侵入して網を張り(迷網部),主網で餌を盗んだり,迷網の自分の網で餌捕獲してい
る.
ジョロウグモは迷網部にはやってこないので,侵入者のよい造網足場になっている.
放浪個体が侵入する例もある.2時間以内の侵入が多い〔吉田真AC35(1)〕.
東勝公によると,10月28日に400卵を産卵,12月3日に2回目の産卵,卵は小さく,凡そ1/3位で,半数がふ化.
小松敏宏によると,成体のクモも空中飛行をする〔高島AC11(3/4)〕.
9月中旬に山形県赤湯で採集した雌は11日-21日後に産卵,さらに23〜32日後に第2回目の産卵(卵塊や卵は小さい)〔近藤AT91〕.
潜在的に2回ないし3回の産卵ができる〔近藤AT98/99〕.
まどい後期に小さな個体が共食いされた〔田中弘美・近藤AT91〕.初期には背甲の前縁から裂けて後方へ開くが,後期には後縁で裂けて前方へ開くという
〔関口AC9(1/2)〕.
幼体(体長7mm)の網に与えた5mmのクロヤマアリに蟻酸をかけられ,退散.
10分後,与えたアリを糸をはじいて落とした.ひと月後,10mmの幼体に2mmのアリを与えたらかみついて食べた〔小野K39〕.
金沢大学植物園で,7月下旬から8月上旬にルリジガバチに狩られる.コシブトジガバチモドキ,マダラジガバチモドキに幼体が狩られた記録もある.
9月に雌亜成体がオオモンクロベッコウ?に狩られたのを目撃〔徳本K66〕.
野外での死亡要因を特定できた例は少ない.カマキリやスズメバチなど肉食昆虫による雌の捕食2例,
ハエトリによる雄亜成体捕食1例,雌による雄の捕食6例,
雄との闘争で死亡1例,雌亜による雌亜の捕食1例〔宮下直K66〕.石川県の金沢城址で秋に成体が樹上性のモリアオガエルに捕食される〔徳本K69〕.
脱皮の際,頭胸部のフタが腹部に近い方から離れる型で,コガネグモ科ではジョロウグモがこの型である.他にはアシダカグモ類,エビグモ類〔高野K40〕.
年を越す個体もある〔鈴木成生K65,徳本K66,初芝伸吾K77〕.筑波では8月後半から9月半ばまでアシナガグモに網を乗っ取られる〔宮下直
K66〕.
しおり糸を紫外線照射によって調べたら,成熟雌の方が幼体のそれよりも分解しやすいことが分かった〔大崎AC43(1)〕.しおり糸の弾性破壊強度は体重
の2倍〔大崎AC47(2)〕.
しおり糸にUV-A(>320nm)を照射すると破断強度は上昇し極大を示すが,次第に低下,最後は初期値より低アする.UV-Bは極大値はUV-
Aのときより小さく,その後大幅に低下〔大崎AC53(2)〕.
まどいの子を落下させるとやがて上がってくるが,最後から2番目の幼体は逆に下がって最下位のクモの後から糸を手繰って登る〔大崎AC48(2)〕.
千葉県清澄山でロードセンサスにより1974年から1993年の個体数の変動をまとめた.100m当り24.0から1.3頭まで変動した.変動と相関する
気象条件は見い出せなかったが,
1980年頃に調査4地点でピークを示した〔新海明K69〕.1994年から2004年までの変動では最多は2000年の21.5で最少は2004年の
0.3頭,
オオヒメグモやアカイロトリノフンダマシも変動した〔新海明K88〕.2006年には26.4頭〔新海明K91〕.金沢市内の定点「緑が丘」で
1977〜1989年までの間に生息数が激減した.170〜270頭だったのが1984年から減り始めた.
1988年には0になった.マツノマダラカミキリ駆除剤の空中散布(1980年から毎年)や
市街地では草本層・低木層の減少によるのだろう〔徳本AT95〕.1977〜2002の25年間も生息密度の変動〔徳本AC52(2)〕.
日によっても個体数が変動する.6月後半では前日の1.79倍になった日もあった.激減の原因は強風や強雨であった〔谷川K87〕.
迷網を切ったらすぐに張り直す〔谷川K73〕.
8/26から11/26まで鎌倉市で移動を調査.59%が4日以上同じ場所に造網し滞在した1日のうちに移動するクモの割合は10%だった〔谷川
K74〕.
シロカネイソウロウグモが居候〔小菅ほかK77〕.
オオジョロウグモ Nephila pilipes (FABRICIUS, 1793)
=syn. Nephila maculata (FABRICIUS, 1793)
雌35〜50mm,雄7〜10mm,成体出現期6〜10月.日本最大のクモ.神社の境内から山地まで広く生息.樹間に1〜1.5mの大型の「蹄型円網」
を張る.網は三重構造ではなく,バリアーは
クモの止まっている後側のみ存在する.雌の体色には変異が多く,黒色型,赤色型,黒色黄条型など様々〔新海06〕.
成体は6〜10月,雌35〜50mm,雄7〜10mm.日本最大のクモでトカラ列島以南に分布〔森林87〕.
国外ではマダガスカルから台湾,中国,ニューギニア,オーストラリアから記録がある〔小野09〕.
成体雌は5cm.亜成体でも3cm.雄は1cm程度.局地的に生息.
網は1重で地上2m以上の所に多い.8月上旬,奄美で交接の例を見た.
雄が3頭侵入していた〔大河内AT49/50〕.
生息地が限定され,網は蹄型円網で1枚のようだ.糸は成体になるにつれ金色〔木庭AT41/42〕.
「マダラジョウロウグモ」として,渡瀬線以南のクモ〔萱嶋AC14(1)〕.
ラオスから記録,他にジョロウグモ科ではマラバルジョロウグモ Nephilengys malabarensis〔Jager他AC58(1)〕.
屋久島で1幼体を記録(1990年7月15日)〔谷川K61〕.
屋久島の仲間集落に定着〔谷川K90〕.
1940年5月に2雌,ミンダナオ島にて採集〔仲辻AC7(2)〕.
網は径・幅ともジョロウグモより大きい.横糸数は幼体期も成体期もほとんど増加しない.
成体のbarrier webは主にクモの背面部にのみ存在.幼体のそれは円錐形で粘性はない.
次第に成長に伴いbarrierの糸数は減少.二分割糸はない.
1動作で2本の縦糸を引く行動,分枝,足場糸を残すことは見られた.
亜成体の作った網でかくれ帯・分枝なし・糸数少のものがあった.
下謝名(1969)もかくれ帯を観察している.
こしき上部の横糸は成体になっても欠失していない〔新海明AC34(1)〕.
飼育下で絶食したクモが造網し,縦糸に粘球をつけた例がある〔新海明K88〕.
体長1mmほどの幼体は小葉の表面に網を張っていた(1997年4月3日沖縄県本部半島で)〔新海明K73〕.
葉面へは4月には67%造網率だが,6月には24%と激減.一方,餌捕獲頻度は葉上網では4月28%,6月14%と半減,
その反面,空間に張られた幼体網では4月8%,6月19%だった〔新海明AC50(2)〕.
ツワブキの葉面に造網した幼体は1葉1クモで一様分布を示し,「深い」葉を好んだ.
除去実験をすると翌日には葉の38%が,2日後には43%が再占有される.
これは円網種での造網場所の種内競争を示す〔宮下直ほかAC47(1)〕.
バイト先行だが,ジョロウと異なり,餌をこしきへ持ち帰る際に後ずさり(バック・オフ)する〔新海明K54〕.
飼育下でセミを捕獲〔新海明K89〕.
飼育下でとも食いを観察〔八幡K82〕.
1987年7月19日に中城公園で雄が雌の背面からかける婚礼ベールを観察〔新海明K57〕.
腹背にはV字状の黄色斑紋,歩脚は黒色だが,腹背が黒いもの(液浸するとV字状斑が見えてくる),
歩脚に黄色の環斑があるものが見られる〔谷川K65〕.
7月下旬雄がスズミグモの迷網上部に居候〔谷川K78〕.
26℃の室内で10月29日産卵,翌日死亡〔八幡K80〕.
1994年〜2001年まで堺市の室内飼育箱で飼育し産卵・出のう・まどいを調査した.
14頭35卵のう,産卵場所は地面,産卵時期7〜10月,
産卵時刻は朝,4時間かかる,平均2.5個(最大4個),85.7%が複数個を作成,次の産卵までの間隔は22.1日(15〜47日),
クリーム色卵,出のう卵のう率60.0%,出のう時期9〜12月,
出のう時刻は朝〜昼,クラッチサイズ20〜1500個,子グモ数平均1150頭,卵のうの上にまどい,堺ではまどいで越冬〔西野K85〕.
宮下直(1996)が発見したオオジョロウグモの高い移動率を検証.西表島で成体の個体別に移動を調査した.
30〜70%が24時間後には移動してしまう.1ケ所に滞在する時間は12時間以上24時間未満が62%.かなり遠くへ移動する〔谷川K73〕.
葉面に張った水平網上で餌を取った幼体が網の上面で餌の捕食を始めた〔谷川K74〕.
幼体の張る網で迷網部が無く,縦糸が少なく足場糸の不明瞭な「変わった円網」と「普通のタイプ」が同所にあった〔新海明・平松K84〕.
腹部先端を太陽の方向へ向ける〔谷川K80〕.
マツダタカネオニグモ Aculepeira matsudae TANIKAWA, 1994
雌7.5〜8.5mm,雄5.7mm,成体出現期7〜9月.環境省レッドデータ種VU(絶滅危惧II類).北海道の1000m以上の高山に生息.現在ま
で溶岩流によって造られた岩場以外からは
見つかっていない.岩と岩の間,岩の表面,風穴」の入り口などに垂直円網を張り,網の一端の岩陰に潜む〔新海06〕.
雄5.8mm,雌7.5〜8.6mm,7〜8月に北海道鹿追町,東ヌプカウシヌプリ,標高約1000mの岩塊地で記録〔谷川AC43(2)〕
北海道では風穴地の岩塊地に生息〔松田AC52(2)〕.
ハツリグモ Acusilas coccineus SIMON, 1895
雌8〜11mm,雄5〜6mm,成体出現期5〜7月.平地から山地まで広く生息.神社・寺院境内の樹林地,雑木林,農家の垣根,林道などの樹木,下草の
根元付近に垂直に「正常円網」を張る.
網の中心には枯葉を吊るして住居とし,卵のうもその中に置く.枯葉を吊るした上部の横糸は無く,「キレ網」になっている〔新海06〕.
成体は5〜7月,雌8〜11mm,雄5〜6mm,本州・四国・九州・南西諸島.地表10cm以内の草間にキレ網を張り,中心に枯葉を吊してその中に潜む
〔東海84〕.
擬装キレ網〔新海79〕.
崖地に生息〔新海80〕.
国外ではインドネシアから台湾,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
クモ卵で染色体を調査,2n=24(雄)および26(雌),XXO型,雄の配偶子n=11および13〔松本AC27S〕.
7〜8月に1〜2個の卵のうを枯葉の中に作る〔山川・熊田73〕.
山地下草の間,地面近くにキレ網を張る.網の中心に呼糸に沿って,シイ・ヒサカキ・ヤマモモ等小型の枯葉を縦に吊るし,幕を張って住居とする.
住居は産室も兼ね,卵のうが置かれる.子グモは8月頃出現する〔中平AT23/24〕.
長崎にて7月6日,網中の枯葉内に62卵〔大利AT29〕.
巻き方にはいくつかある.自ら枯葉を曲げて住居を作る.主としてアラカシ・シイ・クスノキ・サクラ・ササ等の葉を利用する〔大志茂AT2〕.
ジャワ及びモルッカ島で採集・記載された.直射日光のささない樹陰に中庸な縦丸網を張り,必ず枯葉を巻いて(両縁を縫合する程度)中央に吊る.
ハエが網にかかると住居から雌が飛び出し,かみつき,ラップし,吊り上げ,住居へ運ぶ〔千国/狩り〕.
6,7月頃から雌雄共に成熟し,同棲する.卵はその住居内壁にだ円形に産みつけられ,その上を糸でかがるだけである.年内にふ化する〔植村
AC6(4)〕.
八重山群島で縦糸14本,横糸32本,基線がなく,数十本の支柱糸を複雑に張りまわしている珍奇な構造をしていた〔大利K39〕.
ヤミイロオニグモ Alenatea fuscocolorata (BOES. et STR., 1906)
=Neoscona fuscocoloratus BOES. et STR., 1906
=Araneus fuscocoloratus (BOES. et STR., 1906)からNeosconaへ転属
雌5〜7mm,雄4〜6mm,成体出現期5〜7月.里山から山地に生息.樹林地の周辺,林道の樹間,草間に垂直の「正常円網」を張り,中心に止まる.
昼間は網の一端の枝や葉裏に簡単な住居を作り潜む〔新海06〕.オオクマヤミイロオニグモと大きさ・色彩・斑紋・生息環境が酷似〔新海06〕.
住居と網の中心
成体は5〜7月,雌5〜7mm,雄4〜6mm,全土.平地から山地まで普通にみられるオニグモ.垂直円網またはキレ網を張り,その一端の枝や葉に潜む.
〔東海84〕.
山間部では一般的な種類で,5〜6月の山道では最もよく目につく.産卵期は5月下旬〜7月.黄色の半球状の卵のうを葉の上や樹皮面などに作る.1卵のう中
の卵数は40〜70個.
樹間や草間に垂直円網を張り,クモは一方の葉裏や枝の付け根にかくれる.クモの隠れ場所の周囲には糸がひきまわしてあり,簡単な住居ができている.
網は正常な円網,一部が切れているキレ網,中心から斜めに1本の糸を引いてはクモはその糸の先にひそんで要る呼糸円網の3種類を作る.
正常な円網を張る個体は網の中心にいる場合が多い.どのクモも隠れ場所に持ち帰ってから食べる〔森林87〕.韓国,中国からも記録〔小野09〕.
正常円網・呼糸円網・切断キレ網〔新海79〕.
別種が混在している〔八木沼AT89〕.
杉やヒノキの枝先に生息〔新海81〕.
個体による色彩変異が多い〔新海69〕.
細分ではNeosconaより分離すべき(雄palpの中部把持器から)〔八木沼AC14(1)〕.
Neoscona属ではない〔谷川AC47(2)〕.
自然環境指標種Bランク〔新海98〕.
ヤマトジャノメグモ Anepsion japonicum YAGINUMA, 1962
雌不明,雄2.3mm,鹿児島県から採集されて以来,記録がない〔小野09〕.八木沼(1962,資源科学研究所 報56/57).
レーバージャノメグモ Anepsion roeweri CHRYSANTHUS, 1961
中平(1968,台湾沖縄探蛛行)のジャノメグモ Anepsion depressum は本種.
雄3.5〜4.0mm,雌5.0〜6.5mm,低木の間に完全円網を張る.台湾産〔吉田哉AT97〕
キジロオヒキグモ Arachnura logio YAGINUMA, 1956
雌25〜28mm,雄1.5〜1.8mm,成体出現期5〜10月.里山から山地に生息.稀少種.樹林地の中,林道などの日当たりの悪い樹間に「キレ網」
を張り,中心に止まる.
スギ,ヒノキなどの針葉樹林内に特に多い.網の角度は足場の関係から垂直から水平まで様々.網の中心に縦にゴミを付け,卵のうもその中に置く〔新海
06〕.
成体は5〜9月,雌25〜28mm,雄1.5mm,本州・四国・九州・南西諸島.針葉樹林内で多く見つかる.
枝の付け根にキレ網を張り,中心にとまる〔東海84〕.
国外では台湾,中国から記録がある〔小野09〕.
完全キレ網または擬装キレ網〔新海79〕.
網の直径25cm,タテ糸18本,ヨコ糸17本.卵嚢5個の内,上から2個は出嚢済み〔船曳,いと33〕.
網の直径17×21cm,タテ糸26本,ヨコ糸22本〔船曳,いと35〕.
ゴミリボンを付けるが必ず自分の位置より上に作り,その両側の横糸は切ってある.
卵のうもその中に置く.網については松本ほか〔76〕,卵のうについては八木沼〔60,68〕〔新海77〕.
沖縄本島では年間を通して成体が見られ雌雄の生育期間に違いがあっても不都合はない.
第1卵のうの性比も1:1〔佐々木健志AC45(2)〕
針葉樹林や竹林,林床の暗い雑木林にいる.2〜4月の日の出ている日中に雌は網場所に移動しているようだ.
5〜6月に造網している.雌の幼体は低い位置に垂直か斜めの網.
雄はササの葉裏の葉脈に近い部分に糸で幕を作って越冬(ビーティングでは落ちない)〔貞元K62〕.
瀬戸市で10月9日に採集された雌幼生(4.5,6.5mm)はシイの幹近くに6〜7cmの水平円網を張り,
クモはその中心下面に占座していた〔永井AT70〕.6月12日薄暗い針葉樹林内のヒサカキの枝葉間にキレ網を張る.高さ1mで円網の直径
25cm.メス成体.8月7日には2個の卵のう〔緒方,しのび21〕.
伊豆高原にて体長25mmのメヒ成体,幅30cm位のキレ網,上部2区画に横糸がない.
横糸は下部ほど多く,14本内外,縦糸16本内外.毎朝3〜5時に網の更新をする.
産卵は更新前1〜3時頃と思う.7月12日採集時卵のう1個あり(7月23日に切る.すでにふ化していた.
雌雄とも淡黄色.7月25日第1回脱皮,雌は黄褐色,雄は淡黄緑色となる.
7月29日第2回脱皮,雄は成体となる.出のうする),7月12日第2回産卵,7月28日第3回産卵(8月8日ふ化,
8月12日第1回脱皮,8月17日第2回脱皮)〔植村AT53〕.
網は地上2m位の所の樹間に張られた径30cm程の円網であるが,
上部2区画のみ横糸を欠くキレ網である.横糸の欠けた中央に縦に6個の卵のうが連なっており(長さ5cm位.各70〜80卵.
一番上の卵のう内には成体になった雄がぎっしり居て,雌がいない.第2・3・4・5の卵のうには雌雄混在.第2・3の雄は成体,第4の雄は若い.
雌は幼体.第5はふ化直後の幼体.第6はふ化直前),頭部を上にして止まる(2例).卵のうは細い淡褐色の糸と太い褐色の糸で作られる〔八木沼
AT12〕.
1972年9月10日と1975年8月24日,神奈川県丹沢・大倉の林道で採集,
垂直キレ網(網の高さ1m60〜90cm,網の直径15〜20cm,縦糸9〜11本,横糸10〜15本),
信号糸に枯れ葉1〜2枚,脱皮殻を吊るす.指を近付けると網をゆする(第1・2脚を屈伸させる),クモの体に触れると,尾状部をわん曲させて威嚇する.
獲物の捕獲法は第4脚で補帯をくり出し,次に第3脚で獲物を回しながら更に補帯を巻きつける.その後,両側の糸を切り,網の中央へ運ぶ.ナガコガネやコガ
ネグモと同様〔松浦K40〕.
10月に神奈川県飯山観音で幼体〔木村.高橋祐K71〕.
雌成体のキレ網にバッタをかけた.縦糸を引くjerkingの後,餌に近付き,捕帯でwrapping,
そしてbiting,その後,cut
outし,こしきへ運んだ.こしきへ着くと捕帯で巻き直し,食べた.典型的な進歩型の餌捕獲行動である〔新海明K54〕.
自然環境指標種Cランク〔新海98〕.
キオヒキグモ Arachnura melanura SIMON, 1867
西表島から記録.雄を初記載,雌は11.1〜12.3mm,雄は1.4〜1.8mm.
インド・マレーシア・インドネシア・台湾にも分布〔谷川AC40(1)〕.中国からも記録がある〔小野09〕.
西表島で8月18日に採った卵のうからは雌と雄の幼体が半々出のうした〔谷川K66〕.
開こしき垂直円網.左右2区画に横糸を欠くキレ網.8月13日西表島で,中央の枯れ葉の下に占座する.
縦径12.8cm,横径11.4cm,縦糸27本,横糸27本,
クモの体長10mm.1mmの双し類にはバイト先行で捕獲,こしきに運搬して捕食.
8月14日西表島別地点で雌亜成体(体長7〜8mm)の垂直円網,
縦径13cm×横径11cm,縦糸14本,横糸13本.幼体(体長3mm)の水平円網,縦径8cm,横径9cm,
縦糸23本,横糸21本〔平松.新海K81〕.
オオクマヤミイロオニグモ Araneus acusisetus ZHU et SONG, 1994
雌9〜17mm,雄7.5〜9mm,成体一年中.里山から山地に生息.樹林地の周辺,林道などの樹間,草間に垂直の「正常円網」を張り,中心に止まる.
昼間は網の一端の枝や葉裏に潜んでいる〔新海06〕.ヤマシロオニグモに似るが,本種の方が歩脚の輪紋がはっきりしている〔新海06〕.
成体は5〜6月,雌5.5mm,雄4.0mm,本州・四国・九州・西表島,中国に分布.
ヤミイロオニグモ Araneus fuscocoloratus (BOES. et
STR., 1906)によく似ているが,生殖器の構造で識別できる〔谷川AC50(1)〕.
コガネオニグモ Araneus alsine (WALCKENAER, 1802)
雄6.5mm前後,北海道で発見,雌は日本からは未発見.旧北区に広く分布〔小野09〕.
チュラオニグモ Araneus amabilis TANIKAWA, 2001
雄成体は3.6.8月,雌6.9mm,雄4.8mm,奄美大島・沖縄島・西表島で記録.一見アオオニグモに似る.
種小名のラテン語と沖縄方言「チュラ」は「愛らしい」の意味.
西表島産の雌(谷川採)を正基準標本に新種記載〔谷川AC50(1)〕.
カドオニグモ Araneus angulatus CLERCK, 1758
北満洲黒河街内にて1938年8月,雌4〜5mm内外,褐色または黄褐色を採集〔仲辻AC7(1)〕.
キタマメオニグモ Araneus borealis TANIKAWA, 2001
成体は6〜7月,雌5.0mm,雄4.2mm,北海道・本州(群馬県)で記録.
群馬県片品村産の雌(谷川採,5.0mm)を正基準標本に新種記載〔谷川AC50(1)〕.
キタグニオニグモ Araneus boreus UYEMURA et YAGINUMA, 1972
雌9〜12mm,雄6〜8mm,成体出現期7〜8月.高山に生息.稀少種.湿原内,沼や湖の周りの湿度の高い樹林内,林道,渓流沿いなどの樹間に大型の
「正常円網」を張る.
緑色または青緑色の苔の生えている樹皮面を特に好み,昼間は苔の中に脚を縮めて静止している〔新海06〕.
雌9・5mm,雄6・8mm,大雪山にて7月10日,栃木・群馬で8月に成体〔植村・八木沼AC24(1)〕.
1975年6月幼体,8月18日成体(壊れかかった網端から離れたコケの中にいた)が富士山・吉田口五合目で採れる〔K40〕.
ニワオニグモ Araneus diadematus CLERCK, 1758
雌12〜17mm,雄5〜10mm,成体出現期8〜10月.北海道では平地から高山まで広く分布.市街地の公園や庭園,樹林地の中または周辺,林道,沼
や湖の周囲,河川沿いなどの樹間や
草間に垂直の「正常円網」を張る.本州では常念岳(長野県),北岳(山梨県)で採集されているだけのい稀少種〔新海06〕.
成体は8〜10月,雌12〜20mm,雄8〜13mm,北海道・本州(常念岳)〔東海84〕.全北区に分布〔小野09〕.
正常円網〔新海79〕.
千国によれば9月上旬には雌雄共に見られる.9月下旬では雄は発見できなかった.
カラマツの枝間や草間,建物などに直径30cmの呼糸円網または円網の中心にいた.卵のうは黄色〔熊田K44〕.
山梨県北岳の山麓1600m地点,8〜9月に成体を採集〔谷川・堀K55〕.
ヌサオニグモ Araneus ejusmodi BOES. et STR., 1906
=syn. Lithyphantes dubius DOEN. et STR., 1906
雌6〜8mm,雄5〜6mm,成体出現期6〜9月.里山から山地に生息.農家の生け垣,草原,河原,雑木林の周辺,林道などの草間,低木の間に夕方から
垂直の「正常円網」を張る.
網の一端には葉を曲げて造られた住居があり,昼間はその中に潜む〔新海06〕.
成体は6〜9月,雌6〜8mm,雄5〜6mm,本州・四国・九州.草間に円網を張り,網の一端の葉裏に潜む〔東海84〕.国外では中国,韓国から記録があ
る〔小野09〕.
広葉樹の先端の葉を2〜3枚あわせた中に卵のうを作る.卵のうは直径6mm位で,とう黄色の糸でくるむ〔学研76〕.
山野いたるところの樹間に造網.網は夕方,更新する.網の一支点にある木の葉に天幕を張り,日中の住居とする.
普通,夜間狩猟をするが,日中でも網に居て活動するものもある.獲物が網にかかると,とび出して来て捕らえるものもある.
食事は網の中央で行う.6〜7月に産卵,卵のうは直径8mm位の球形,ふわふわした感じのもので淡褐色,
住居内或いは近くの枝等に吊るしておく〔中平AT23/24〕.
長崎にて夕刻の網たたみを調査した.昨夜のまま11例,昨夜の網なし4例,タテ糸のみ5例,
新たに造網中4例.5月25日産卵,卵のうは淡燈色の糸で荒く巻かれている〔大利AT28〕.
雄は雌の網に侵入する時は,一応葉を半ば巻いて居所を作るようだ.雌フ一頭に雄3頭が居所を設けていた〔大利AT29〕.
夕方円網を張って,こしきに占座し獲物を狩り,翌朝網をたたんで網の一支点にある草木葉に潜んでいる.天幕あり.
昼間でも時に網をたたまないクモがいる.食事はこしきで行う〔中平AC15(2)〕.
自然環境指標種Cランク〔新海98〕.
ホシマメオニグモ Araneus hoshi TANIKAWA, 2001
=マメオニグモ Araneus triguttatus FABRICIUS
成体は6〜8月,雌5.6mm,雄4.0mm,で記録.
北海道産の雌(松田採)を正基準標本に新種記載.エンボルスキャップは無い.
斎藤三郎(1934.北海道産)や八木沼(1960,北海道・本州に分布)はA. triguttatusとして取り扱ってきた.
新海栄一・高野神二(1984)は北海道.本州.四国.九州に分布と述べている〔谷川AC50(1)〕.
イリオモテオニグモ Araneus
iriomotensis TANIKAWA, 2001
成体は3月,雌3.9mm,雄3.5mm,西表島で記録.
西表島産の雌(谷川採)を正基準標本に新種記載.
エンボルスキャップは交尾後,外雌器の交尾口に残される〔谷川AC50(1)〕.
イシサワオニグモ Araneus ishisawai KISHIDA, 1928
雌18〜20mm,雄7〜9mm,成体出現期7〜9月.山地に生息.
樹林地の周辺,林道,渓流沿いの草間,低木の樹間など比較的低い場所に大型の「正常円網」を張る.網の一端を折り曲げて簡単な住居を作り,昼間はその中に
潜む.
腹部の色彩には変異があり,オレンジ色・黄色・黄緑色・橙褐色など様々〔新海06〕.
成体は7〜9月,雌18〜20mm,雄10〜12mm,北海道・本州・四国・九州.
樹間,草間に大型の垂直円網を張る〔東海84,森林87〕.韓国からも記録〔小野09〕.
正常円網〔新海79〕.
網の一端に信号糸を引き,葉を合せて作った住居の中に隠れているものが多い〔山川・熊田73〕.
600m以上の山に多い.1.5〜2mの高さに直径40cm位の円網〔学研76〕.
雲仙山系では下限は標高700m付近〔奥村賢一K91〕.
自然環境指標種Aランク〔新海98〕.
コミオニグモ Araneus komi TANIKAWA, 2001
成体は12月,雌4.6mm,雄4.2mm,西表島で記録.
西表島産の雌(谷川採)を正基準標本に新種記載〔谷川AC50(1)〕.
ヤエンオニグモ Araneus macacus UYEMURA, 1961
雌15〜20mm,雄9〜10mm,成体出現期5〜8月.里山から山地に生息.
樹林地とその周辺,草原,林道などの比較的低い場所(1m前後)の樹間,草間に「正常円網」を張る.網にはオニグモ属では珍しく隠れ帯を付ける〔新海
06〕.
成体は7〜9月,雌18〜20mm,雄10〜12mm,北海道・本州・四国・九州.草間に垂直円網を張り,幼生期はかくれ帯を付ける〔東海84〕.ヤマオ
ニグモ,オニグモと似ている〔小野09〕.
平地より山間地,さほど高くない山の道沿いに多く見かけることがある.夕方から網を張り出すが,
一度張った網はたたまずボロボロになるまで使う.地上からこしきまでは1.5m前後.昼は網から離れた草木の葉を曲げ糸でつづった住居にいる.
思わぬ方向に飛び出す.縦糸より細い呼糸がある〔貞元K62〕.
4月2日,1.8cmの幼体が中心から上下4cmずつのカクレ帯をつけていた〔松本K39〕.
朝網をたたまない〔植村61〕.
垂直完全円網を張り,中央部から呼糸を引き,近くの葉裏に潜む〔新海K40〕.
正常円網・呼糸円網・白帯円網〔新海79〕.
粘糸間はヤマオニグモより長い.体長のほぼ40倍の網を張る.8月にときどき網をたたみ,そのときは
夕方6〜7時に網を張った.たたまないときは夜中に張りかえた.脱皮前5日間網を張らなかった.
8月31日,9月21日と2回産卵〔林K47〕.
札幌で,キスジベッコウに対する逃避戦術は「潜伏」であった.ハチの攻撃成功率は0.4とわりと高かった〔遠藤知二AT97〕.
自然環境指標種Cランク〔新海98〕.
キバナオニグモ Araneus marmoreus CLERCK, 1758
雌17〜22mm,雄10〜12mm,成体出現期7〜9月.北海道では平地から山地まで広く生息.市街地の公園や庭園,草原,湿原,沼や湖の周囲,樹林
地の周辺,道路沿い,林道,河川沿いの
草間や低木の間に垂直の「正常円網」を張り,網の一端に葉を集めた簡単な住居を作る.
本州では下北半島で1回採集されている〔新海06〕.
成体は7〜9月,雌17〜22mm,雄10〜12mm,北海道,ヨーロッパ北部からシベリアに分布する寒地性の種.
樹間,草間の低い場所(地上0.5〜1m)に垂直円網を張り,その一端の葉裏に潜む〔東海84〕.全北区に分布〔小野09〕.
札幌で,キスジベッコウに対する逃避戦術は「積極的防衛」であった.ハチの攻撃成功率は0.14だった〔遠藤知二AT97〕.
マユミオニグモ Araneus mayumiae TANIKAWA, 2001
雌15〜17mm,雄12〜14mm,成体出現期8〜10月.人家,公共施設,宿泊施設,スキー場などの建物の周囲に多く,軒下に垂直の「正常円網」を
張る.湖の周囲,河川の樹間などにも生息する〔新海06〕.
成体は8〜10月,雌15.8mm,雄13.0mm,北海道で記録.大形種で色彩はコケオニグモに似る.
北海道産の雄(宮下和喜採)を正基準標本に新種記載〔谷川AC50(1)〕.
ビジョオニグモ Araneus mitificus (SIMON, 1886)
雌8〜10mm,雄5〜6mm,成体出現期8〜10月.平地から山地まで広く生息.市街地の生け垣,公園や庭園,雑木林,林道などの樹間,草間に「キレ
網」を張る.クモは網の切れた部分の上方の葉に
天幕上の住居を作り,その中に潜む〔新海06〕.
草原,湿原,沼や湖の周囲,樹林地の周辺,道路沿い,林道,河川沿いに広く分布.
本州では1000m以上の高原,湿原に生息するが,個体数はきわめて少ない.草間や低木の間に垂直の「正常円網」を張り,網の一端に葉を集めた簡単な住居
を作る.
幼体期は黄色で,成体になって数日してから赤色に変化する〔新海06〕.インド,マレーシア,フィリピン,台湾,韓国,中国,ニューギニアでも記録〔小野
09〕.
成体は8〜10月,雌8〜10mm,雄5mm,本州・四国・九州・南西諸島.樹間にキレ網を張り,
その一端の葉を少しまるめて天幕をはって住居を作る〔東海84〕.
平地から山麓にかけて生息し,畑道の低木,雑木林の縁などに多く,山地ではあまり見られない.
市街地でも神社や寺,人家の庭でよく見つかる.成体は8〜11月,産卵期は10〜11月,
白色で楕円形の1・5cm程の卵のうを広葉樹の葉に産みつけ,葉の一方を丸めて包みこむ.
卵はそのままの状態で越冬し,翌年3〜4月にかけて発生が始まり,3月下旬〜5月上旬にかけてふ化する.
1卵のう中の卵数は100〜450個で個体と地域によってかなり異なる〔森林87〕.
完全キレ網.庭・生垣,広葉樹の葉に多い〔新海79,80,81〕.
5月15日,5月28日に産卵〔大利AT26/27〕.
3月17日に卵のうを観察〔大利AT31〕.
呼糸の端にある木の葉の表に天幕を張って住居とする.網糸は時間がたつと黄褐色に変わる.
住居内で呼糸に第1脚をかけて獲物を待機している.獲物が網にかかると,呼糸を伝って駆けつけ,捕らえた獲物は糸いぼにつけ(小さなものは口にくわえる)
住居に持ち帰って食う〔中平AT23/24〕.
網の一端にある葉と天幕の間に常住している.住居幕は網の張り替えごとに糸がつけ加えられるので次第に厚くなる.
呼糸を出し,住居に持ち帰って食う.卵のうは住居に置かない〔中平AC15(2)〕.
チョウが網にかかる,クモが住居から飛び出す,かみつく,ラップする,住居へ運ぶ〔千国/狩り〕.
11月19日,アオキの葉裏に卵のう(蚕の繭のよう)を作り,葉を少しずつ巻き込み,1週間で葉の片側を葉脈まで接する.
12月16日,卵のうから離れ,近くに自分の住居を作る.卵のう内の卵はふ化していない.
12月27日母グモ死去.3月5日ふ化,124個体.20日頃から出のうし始めるが,全体でまどいをせず,
暖かい日に少しずつ分散していく.翌年も12月27日に庭で見つけた卵のうを部屋に入れた.3月12日ふ化.脱皮・成長が遅れる個体があり,25日には
1〜3令が混棲.ふ化から19日目に分散開始.
子グモの網は円網(キレ網ではない).卵数172,奇形2,発育不全2,ふ化せず4〔佐藤K41,42,43〕.
初夏と晩秋に産卵,2ケ年間に3世代か?〔中平K45〕.
雨が降ると網をたたむ.網に餌がかかって壊れた場合も網をたたむ.たたんだ後で造網する.9月12日23時,交接,12月16日卵のうを発見〔杉山明
K80〕.
マメオニグモ Araneus nojimai TANIKAWA, 2001
=Araneus sp.〔八木沼86および千国89の図20〕
雌4〜6mm,雄3.5〜4mm,成体出現期5〜8月.山地に生息.草原,河原,樹林地とその周辺.林道などの樹木の枝葉間,草間に垂直または斜めに
「正常円網」を張る.
クモは網の一端の枝や葉裏に潜んでいる〔新海06〕.
Araneus triguttatus
FABRICIUS, 1775はサハリン産のものと思われる.マメオニグモといわれてきたものは新種の可能性が強い〔八木沼AT87,86〕.
成体は6〜8月,雌6〜10mm,雄4〜5mm,北海道・本州・四国・九州.樹枝間に斜めに円網を張る〔東海84〕.
正常円網・呼糸円網〔新海79〕.
カラオニグモに似て区別が困難〔千国AT87〕.
マメオニグモ類似種を整理した.外観はキタマメオニグモに似るが生殖器の構造で識別できる.1994年6月1日
岡山県シンジョウ村産の雌(野嶋採集,5.4mm)を正基準標本とした.雄3.7mm.北海道・本州・九州に分布〔谷川AC50(1)〕.
ノルドマンオニグモ Araneus nordmanni (THORELL, 1870)
雌10〜11mm,雄7〜10mm,全北区に広く分布〔小野09〕.
オガタオニグモ Araneus ogatai TANIKAWA, 2001
雌5mm,雄不明,成体出現期4〜5月.平地から山地まで広く分布.樹林地とその周辺.林道などの樹木の枝葉間,草間に垂直または斜めに「正常円網」を
張る.
クモは網の一端の枝や葉裏に潜んでいる〔新海06〕.雌4〜6mm,雄3.5mm前後〔小野09〕.
成体は12月,雌4.8mm,雄不明,本州(神奈川.静岡.鳥取.岡山).九州(熊本)で記録.
岡山産の雌(1991年5月25日,野嶋採)を正基準標本に新種記載.
エンボルスキャップは見られない〔谷川AC50(1)〕.
千葉県野田市産(2003年4月22日,八幡採集)雄3.6mmを記載.
雄の触肢では西表島産のコミオニグモと区別できないが,
外雌器は異なる,同様の例はミナミコガネグモダマシ Larinia phthisicaと L. chloris,
Argyroses fissifronsとチリイソウロウグモ A. kumadaiの間にもある〔谷川AC53(1)〕.
アオオニグモ Araneus pentagrammicus (KARSCH, 1879)
雌9〜11mm,雄5〜6mm,成体出現期5〜7月.平地から山地まで広く生息.市街地の生け垣,公園や庭園,雑木林,林道などの樹間,草間に「キレ
網」を張る.クモは網の切れた部分の上方の葉に
天幕上の住居を作り,その中に潜む.本種は春に出現する〔新海06〕.
成体は5〜7月,雌9〜11mm,雄6mm,本州・四国・九州・南西諸島.
樹間にキレ網を張り,その一端の葉を少しまるめて天幕をはって住居を作る.
網の糸の色は時間がたつと金色になる〔東海84〕.国外では台湾,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
無色透明の網は時間がたつと金色に光る.成体出現期はビジョオニグモより早い〔森林87〕.
完全キレ網〔新海79〕.
広葉樹の葉に多い〔新海81〕.
第1脚を呼び糸にかけて,獲物が網にかかるのを待つ.網の直径は20〜30cm位〔学研76〕.
ビジョオニグモ同様の習性〔中平AT23/24〕.
網の一端にある葉と天幕の間に常住している.住居幕は網の張り替えごとに糸がつけ加えられるので次第に厚くなる.
呼糸を出し,住居に持ち帰って食う.卵のうは住居に置かない〔中平AC15(2)〕.
1月2日に野外アオキの葉内のテント網の雌成体を確認,1月4日死亡〔初芝K79〕.
アカオニグモ Araneus pinguis (KARSCH, 1879)
=mis. Araneus quadratus CLERCK, 1757
雌17〜22mm,雄9〜12mm,成体出現期7〜9月.北海道では市街地の公園,草原,湿原,沼や湖の周囲,樹林地の周辺,道路沿い,林道,河川沿い
に広く分布.
本州では1000m以上の高原,湿原に生息するが,個体数はきわめて少ない.草間や低木の間に垂直の「正常円網」を張り,網の一端に葉を集めた簡単な住居
を作る.
幼体期は黄色で,成体になって数日してから赤色に変化する〔新海06〕.韓国,中国からも記録〔小野09〕.
成体は7〜9月,雌17〜22mm,雄10〜12mm,北海道・本州・四国・九州.
樹間,草間の低い場所(地上0.5〜1m)に垂直円網を張り,その一端の葉裏に潜む.
北海道全域,本州以南では1000m以上の草原に生息する.
腹部の色彩は幼体期から成体になった数日間までは黄色をしているが,その後赤色に変化する.
産卵期は10〜11月で,地中のくぼみに卵のうを作る〔東海84〕.
松本市乗鞍高原の湿原に生息〔緒方,蜘蛛40〕.福島県会津町で確認〔平野健一K97〕.
ヒサカキの葉に多く造網.タテ糸14〜26本,ヨコ糸5〜35本,引き糸の長さ19〜110cm〔船曳,いと34〕.
卵のうは半球形で直径2.5cmぐらい.卵を包む糸は黄色.
寒い地方では秋に産まれた卵は深い雪の下で越冬し,翌春ふ化.かえった子グモはその年の秋までに1cmほどに成長し,もう一度越冬,つぎの年の春からまた
成長を始め,夏に成熟する.つまり2年越しの生活史をたどる〔学研76〕.
出のうはファーブルは「爆発による」としているが,実は卵のうのふたを開けて出る〔千国AT77〕.
アカオニグモの円網について;網はクモの成長につれて大きくなる.雌の網では成長期から生殖期に入る頃,急に捕虫域は大きくなり,
以後成長に伴い急速に拡大されてゆく.縦糸は網の下部に多い.普通1m以下の高さに造網する〔吉倉AC5(2)〕.
樺太全島に普通,低地,幾分湿地,潅木の茂った草原に生息,特にエゾイチゴの薮に多く,成体は強靭な円網を張る.樺太では,産卵期は9月中旬〜10月上
旬.卵のうは円形,半球状で直径2.5cm,高さ1.5cm.卵数は1546個.越冬卵は6月中旬ふ化(6月5日〜7月10日),出のう後は草間に糸を張
りめぐらし,まどい.Theridion ovatumやAraneus
cornutusが子グモを捕食,第1回脱皮後,7日〜10日して分散する.幼体の円網径は7〜9cm,網に触れてもゆすらない.
8月中・下旬(全長4〜5mm),9月下旬(5〜6mm)には潅木薮の落葉下で越冬する.
翌年6月下旬6mm,7月上旬7mm,中旬8mm,下旬9〜10mmとなり成熟.
エゾイチゴの小葉を3〜4枚つづり合わせて鐘状の隠れ家を作り,強力な円網を張り盛んに昆虫を捕獲する.雄は成熟後は網を張らない.交尾は8月,9月には
雄は見られない.雌は産卵後1〜2週間にて死亡〔吉倉AC4(2)〕.
信州のワサビダイコン畑に造網.直径40〜50cmの住居つき垂直円網,チョウが網にかかると住居から出て,かみつく.雄が3頭接近.雌の外枠で糸をはじ
く.雌は住居から出てこしきへ.中心で10秒程度接触.雄は逃走.二番目・三番目の雄は雌にラップされてしまった.地面のくぼみに産卵.出のうは5月中
旬・葉や茎でまどい,その後分散〔千国/親と子〕.
北満洲の黒河にて1938年8月採集,雌18mm内外〔仲辻AC7(1)〕.
札幌で,キスジベッコウに対する防衛は「積極的防衛」だった〔遠藤知二AT97〕
日本のアカオニグモをヨーロッパ産のものと比較したところ,Araneus quadratus
CLERCK, 1757ではなかった.ダイダイオニグモとされてきたAraneus pingiusであった〔八木沼AC22(1)〕.
マルコブオニグモ Araneus rotundicornis YAGINUMA, 1972
=mis. コブオニグモ Araneus omoedus (THORELL)
雌8〜9mm,雄7〜8mm,成体出現期8〜9月.北海道では山地に,本州では1000m以上の高山に生息.樹林地の中や周辺.林道などの樹木,草の葉
裏に潜み,夜間糸を引いてその糸に静止していることが多い.
1989年に千国により「正常円網」を張ることが確認された〔新海06〕.クモは網の一端の枝や葉裏に潜んでいる〔新海06〕.
雌8.6mm,8月9日,札幌,雄7.5mm,8月27日,羅臼.コブオニグモは本種〔八木沼AC24(2)〕.7月中旬,長野県立科町で雌が卵のうを
ガード〔平松K97〕.
リュウキュウオニグモ Araneus ryukyuanus TANIKAWA, 2001
雌5〜6mm,雄3〜4mm,成体出現期3〜5月.沖縄県に分布するカラオニグモの近似種.山地に生息.樹林地とその周辺.草原,林道などの樹木の枝葉
間,草間に垂直または斜めに「正常円網」を張る.
〔新海06〕.
成体は3〜4月,雌5.5mm,雄3.3mm,カラオニグモに似る.沖縄島・久米島で記録.
沖縄島国頭村産の雌(谷川採)を正基準標本に新種記載.雄のエンボルスキャップは細い棒状で,
交尾後は外雌器の交尾口に残される〔谷川AC50(1)〕
マルヅメオニグモ Araneus semilunaris (KARSCH, 1879)
=マルズメオニグモ
雌5〜7mm,雄4〜5mm,成体出現期5〜7月.山地に生息.日当たりの良い林道や渓流上の樹間の高い場所(2〜3m)に垂直の「正常円網」を張る.
林道,渓流をまたいで
長く糸を引き渡し,その間に網を張っている個体が多い.腹部は色彩変異があり,全体黒色・茶色・前半白色後半黒色などが見られる〔新海06〕.
成体は5〜7月,雌6〜7mm,雄4〜5mm,本州・四国・九州・南西諸島.山間部に多く,樹間2〜4mの高所に垂直円網を張る.
色彩変異が多い〔東海84〕.韓国からも記録〔小野09〕.
正常円網〔新海79〕.
樹間に夕方造網する〔中平AT23/24〕.
東大演習林田無試験地にて7月に雌を記録.平地では稀〔宮下直・笹岡K73〕.
Neoscona属へ転属するという論文があるが誤りである〔谷川LIST〕.
自然環境指標種Aランク〔新海98〕.
コケオニグモ Araneus seminiger (L. KOCH, 1878)
=mis. Araneus tartaricus (KRONEBERG, 1875)
=syn. Araneus miyashitai TANIKAWA, 2001
雌16〜23mm,雄11〜14mm,成体出現期6〜9月.山地に生息.稀少種.
樹林内,林道,渓流沿いの樹間に大型の「正常円網」を垂直またはやや斜めに張る.ウメノキゴケのような緑色または青緑色の苔の生えている樹皮面を特に好
み,昼間は苔の中に脚を縮めて
静止している〔新海06〕.
成体は6〜10月,雌18〜23mm,雄14mm,本州・四国・九州・トカラ列島〔東海84〕.
コケのはえた木に垂直円網を張り,クモはコケの中に(表面に)うずくまっている〔新海69〕.オニグモにも緑色の体色がある〔小野09〕.
9月7日,宮崎県刈田郡にて採集〔平間AC6(4)〕.A. miyashitaiとして新種記載,正基準標本は長野県堀金村須佐渡産の雌
(谷川採)で,副基準標本の雄は千葉県君津市札郷産(宮下直採)で飼育して成体にした〔谷川AC50(1)〕.
九州宮崎県に産す〔植村AC4(1)〕.7月20日那珂川深山ダム付近で発見〔貞元K84〕.
キオビベッコウに狩られる.卵のうは75〜88mm長,35〜51mm幅.杉の樹幹にあって当初は茶褐色だが濃褐色に変じる〔細野AC5(2)〕.
長野県須佐渡渓谷いこいの森内の下草で採集(1990年8月8日)〔谷川K61〕.
1993年6月26日,千葉県清澄で採集,飼育により次の日に脱皮,6月28日・10月17日・12月10日・4月10日,5月22日・7月14日に脱皮
〔木村知K67〕.
秋田県田沢湖畔で樹皮上より類似種を発見〔田副K61〕.
タイプ標本を検したところ,コッホがEpeira semi-nigraとして記載した未成熟な雌が本種であった.
谷川明男が記載したコケオニグモ A. miyashitai TANIKAWA, 2001は本種と同種であろう〔Ono02a〕.
成熟期6月〜9月,雌15.5〜28mm,雄12mm.夜間に網を張るが,成体になると昼も網を張って中央に占座している場合がある.
生息環境は比較的明るい広葉樹林やスギ植林の林内,林道沿いの樹林,神社.低山地〜山地,標高300m以上.
ウメノキゴケが付着している樹木が多い場所で,特にサクラやスギで見られる.幼体時は地表から0.3〜3m程度の場所に網を張り,
成体時は地表から2〜4mの場所に網を張っている.2年1化性らしい〔初芝K93〕.
ツノオニグモ Araneus stella (KARSCH, 1879)
=syn. A. tsuno YAGINUMA, 1972
雌10〜13mm,雄9〜10mm,成体出現期7〜10月.北海道では平地から山地まで広く分布.本州では1000m以上の山地に多い.
時には500m以下の山地にも見られる.樹林地とその周辺.林道,河川沿いなどの樹木の枝葉間,草間に体のわりに小さな垂直の「正常円網」を張る〔新海
06〕.
成体は7〜10月,雌10〜13mm,雄9〜10mm,北海道・本州〔東海84〕.国外では中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
雌13mm,10月,長野,雄9・6mm,9月,長野〔八木沼AC24(2)〕.
樹間,草間に体のわりには小さな10〜20cmの垂直円網を張る.高山性で,900m以上の地域に多いが,長野県と北海道では平地にも分布している
自然環境指標種Aランク〔新海98〕.
カルシュが1874年函館でヒルゲンドルフにより採取された未熟な雄で記載したEpeira
stellaはタイプ標本を検査したところ,本種であった〔Ono02a〕.
ダンダラオニグモ Araneus bituberculatus
(WALCK., 1802)はツノオニグモとなる〔八木沼AC24(2)〕という判断は誤り.
ヤマオニグモ Araneus uyemurai YAGINUMA, 1960
雌17〜20mm,雄8〜13mm,成体出現期6〜9月.山地に生息.
樹林地とその周辺,林道などの樹間に大型の「正常円網」を張る.網は2m前後の場所に張られることが多い〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌17〜20mm,雄11〜13mm,北海道・本州・四国・九州.樹間に大型の垂直円網を張る〔東海84〕.
山地に多く,直径30〜50cmの垂直円網.第1脚と第4脚で横糸をつける位置を計り,第4脚で糸いぼから出した横糸をたて糸につける〔学研76〕.
朝網をたたまない〔植村61〕.ヤエンオニグモ,オニグモと似ている〔小野09〕.
8月〜9月に3回産卵.昼は大抵,網にいない.雌より雄の方が網にいる時間が長い.網はたたまなかったが,真夜中に張りかえることが多かった.産卵前後に
は網を張らない〔林秀K47〕.
自然環境指標種Aランク〔新海98〕.
カラオニグモ Araneus tsurusakii TANIKAWA, 2001
=mis. カラオニグモ Araneus viperifer
雌4〜5mm,雄3.5〜4mm,成体出現期5〜8月.山地に生息.樹林地とその周辺.林道,渓流沿いなどの樹木の枝葉間,草間に垂直または斜めに小さ
な「正常円網」を張る.
個体によってはムツボシオニグモのように広葉樹の葉の表面に水平の正常円網を張る場合もある〔新海06〕.
成体は5〜8月,雌4〜6mm,雄3〜4mm,北海道・本州・四国・九州.広葉樹の葉の表面または葉間に,
垂直あるいは斜めに円網を張り,中心にとまる〔東海84〕.
正常円網〔新海79〕.
杉などの葉先の近くに垂直円網〔山川・熊田73〕.リュウキュウオニグモに似る.
Araneus viperifer SCHENKEL, 1963の基準標本の外雌器開口部は横向きだが,日本産の標本は後向きだったので別種.
北海道紋別市産の雌(鶴崎採,4.8mm)を正基準標本に新種記載,同地の雄は3.4mm〔谷川AC50(1)〕.
ニシキオニグモ Araneus variegatus YAGINUMA, 1960
雌12〜18mm,雄9〜10mm,成体出現期8〜10月.山地に生息.神社,寺院に多く見られ,建物の周囲,灯篭,鳥居,および周辺の樹間に垂直また
は斜めに円網を張る.
そのほか,樹林地の周囲,林道の樹間にも生息.網はクモが隠れている位置と網の角度によって「正常円網」「呼糸円網」「キレ網」の3種類を張る〔新海
06〕.
成体は8〜10月,雌15〜18mm,雄10mm,北海道・本州・九州.神社の境内に多く(東照宮,浅間神社,三峰神社ほか),建物,石燈篭,樹間に垂直
円網を張る〔東海84〕.
正常円網・呼糸円網・切断キレ網〔新海79〕.国外では中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
樹の幹の2m以上(時には4〜5m)の所に,30〜40cmの垂直(あるいは斜め)円網を張り,昼間は一方の葉蔭に潜む.
網は完全円網の時が多いが,個体によってキレ網にするものもみられる.産卵期は10月下旬から11月中旬までで,緑色の卵のうを作る〔新海77〕.
昭和25年10月23日鎌倉で,昭和44年10月23日館山(安房神社)で垂直円網を樹間に張る.同年11月シイの枝間に円網を張り,シイの葉裏に雌潜む
〔高野K22〕.
キレ網の捕獲域は縦24cm×横22cmで(縦糸22,横糸16,枠糸3).呼糸あり(千葉県清澄山)〔新海明.加藤輝K70〕.
福島県南会津町にて雌成体〔平野健一K91〕.
自然環境指標種Bランク〔新海98〕.
オニグモ Araneus ventricosus (L. KOCH, 1878)
雌20〜30mm,雄15〜20mm,成体出現期6〜10月.家の周りで見られる黒色の大型のクモ.
人家,神社,寺院など建物の周辺に多い.軒下に大型の「正常円網」を張り,昼間は軒下や建物の隅に潜んでいる.夕方から活動を始め,張ってあった網を破損
の状態によって2〜3日おきに張り替える〔新海06〕.
成体は6〜10月,雌20〜30mm,雄15〜20mm,全土.夜間,垂直円網を張り,昼間は物陰に潜む〔東海84〕.
正常円網・呼糸円網〔新海79〕.国外では台湾,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
タテ径108cm,ヨコ径69cm,ワク糸270cm〔金野,いと16〕.
屋外,ホーム天井に生息〔新海80〕.
関西の種は原則的には殆ど毎日のように網をたたんで,屋根裏に潜み,昼間は網を残しておくことが少なく,
関東の種は毎日ではないが時々朝網をたたみ,北方の種は殆ど毎日朝網をたたむ習性がない〔植村61〕.
幼生が稀にキレ網を張る〔中平AT29〕.
造網作業の最後に,網の緊張を平均化するために,中心部(こしき)にほぼ円形に穴をあけたり,
2〜3の放射糸に糸を継ぎ足してひきしめたりするので,不正形の穴があいている.これはオニグモ類には共通した習性である.
網は夕方張り,翌朝たたんで物陰に潜む.成長するにつれ,網が高所に移動する.9月頃,軒下や樹幹等の雨のかからない所に産卵する.
卵のうは灰褐色で深い椀を伏せたような形,手ざわりはふわふわした柔らかい感じであるが,糸は強靭である.
2月下旬〜3月上旬,幼生が出現して生垣等に造網する.越冬するのは卵のう内の幼生だけではなく,4月中旬には既に亜成体が見られる〔中平
AT23/24〕.
沖縄では日中も網をたたまずにそのままにしているものが多い.日中は網を張っていても,その網にいるものは絶対に無く,軒下や木の葉の裏,樹皮下に潜む.
13日間部屋で飼育すると,その間に網の位置は4回変わり,網をたたんだのは3回.
日中の野外の網にハエがかかってもでてこないが,部屋で飼育したものは出て,糸をかける〔下謝名AT28〕.
容器内で飼育した.円網がなくても脚に虫が触れると抱え込んで捕獲.ラッピングするときとしない場合がある〔小笠原幸恵,蜘蛛28〕.
越冬態には幼体(10mm),成体もあり〔植村AT5〕.
ツバメが網にかかった〔福本AT16〕.
縦糸も横糸も網の下部に多く,クモが大きい程,網も大きい傾向がある.31粍以上のものには電信線が少ない〔高木AC12(1/2)〕.
日食で造網開始,ユウレイグモも同様〔高島AC12(1/2),AC12(3/4)〕.
出現時刻は日入り時刻と共に早まり(xは日入り時刻の早まり分,yは最早個体の早まり分としてy=3.8x-7.1),
潜伏時刻は日の出時刻と共に遅まる(ただし虫の処理に時間がかかり,遅れることもある).
日入り時刻が早まる(早まり分をxとする)ほど,最早個体と最遅個体の時間差(yとする)が開く.y=2.7+11.6〔岡本AC7(3/4)〕.
キャットフードを餌として食べた.直径5mmのキャットフードが柔らかくなるのに123分かかった〔佐藤幸子,蜘蛛24〕.
オオモンクロベッコウに狩られる〔中村AC5(2)〕.
奥秩父にて7月末に黄色い小さなハエによって網上の雌成体腹背に10卵程度産卵されたのを観察〔池田98,梅林K77〕.
2頭の腹背左右に寄生バエの卵が10卵と53卵あり〔細野43〕.
幼体の造網で横糸張りの回る方向を観察,利き足は無い〔松本K57〕.
電灯のつく頃に出てくる.死んだコオニヤンマも捕獲し食した〔加藤AC2(3)〕.
擬死する〔中平83〕.
3月16日に採集した雌幼体を飼育し,7月中旬成体になったところで庭にはなしたところ,横糸の省略された網を張った.
こしき以外はすべて粘糸であった.夜にこしき部に占座していた.網は捕食に使用され,毎夜作りかえていたが,8日目からは正常円網となった.
なお飼育ビン内では無粘糸の不規則網を作り,ハエなどを捕食していた〔山川K38〕.
6月には飼育器(50cm四角)では狭くて不自然な網となる〔萱嶋K38〕.
脱皮・産卵前後は網を張らない.7月下旬〜10月下旬にかけて6回産卵した個体は,雌雄が近くにいたし,食欲旺盛であった〔林秀K47〕.
産卵は長野で8月頃,雌は2回ぐらい.翌春出のうするが,ふ化は8月中.第1回の脱皮もすんでいる.9月に暖かいと出のうし,夕方卵のう内に戻る〔細野
43〕.
出嚢数は973±294.9〔N=9〕〔宮下和喜,蜘蛛30〕.
都市環境指標種〔新海98〕.
クロオニグモ Araneus ventricosus nigellus UYEMURA
オニグモの亜種,黒色〔新海69〕.朝網をたたむ回数が少ない〔植村61〕.
ハラビロミドリオニグモ Araneus viridiventris YAGINUMA, 1969
雌5〜7mm,雄3〜4mm,成体出現期6〜8月.山地に生息.日当たりの良い林道や渓流沿いの樹間の高い場所(2〜3m)に垂直の「正常円網」を張
る.
斜めや水平の縁網を張る個体も見られる〔新海06〕.トリノフンダマシの仲間と間違えられる〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌5〜7mm,雄3.5〜4mm,本州・四国・九州.渓流上の樹間に多い.高所に垂直円網を張る〔東海84〕.
正常円網〔新海79〕.台湾新記録,中国に分布〔Chan&TsoAC53(1)〕.
自然環境指標種Aランク〔新海98〕.
ヤスダヒメオニグモ Araneus yasudai TANIKAWA, 2001
成体は6〜7月,雌3.6mm,雄2.7mm,北海道で記録.
北海道天塩町産の雌(浅野採)を正基準標本に新種記載.エンボルスキャップは見られない〔谷川AC50(1)〕.
トガリハナオニグモ Araniella displicata (HENTZ, 1847)
=Araniella sp.B. (=Araniella cucurbitinus CLERCKとされていたもの)
成体は7〜8月,雌5.8〜7.4mm(腹背黒点は2-4対),雄4.3〜4.4mm(腹背黒点は3対),
北海道・群馬・長野に分布,全北区に分布〔谷川AC44(1)〕.
ハナオニグモはムツボシオニグモと同種とする.どちらの学名も日本のものに当たらない〔八木沼86〕.
ムツボシオニグモ Araniella yaginumai TANIKAWA, 1995
=Araniella sp.A (=Araniella displicatus HENTZとされていたもの)
雌5〜8mm,雄4〜5.5mm,成体出現期6〜8月.里山から山地に生息.
樹林地の周辺,林道の広葉樹やクマザサなどの枝葉間,葉の表面や葉裏に小さな「正常円網」を張る〔新海06〕.
トガリハナオニグモに酷似〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌4.9〜7.9mm(腹背黒点は3対だが,1〜4もあり),
雄4.1〜5.4mm(第2脚上腕が黒い.腹背黒点は3対だが,2対-4対もあり),北海道・本州・四国〔谷川AC44(1)〕.
成体は6〜8月,雌5〜8mm,雄4〜5mm(第2脚が黒い),北海道・本州・四国・九州.
広葉樹,クマザサなどの表面または葉裏に,直径5〜10cmの小さな水平円網を張る〔東海84〕.国外ではロシア極東地域,中国,韓国から記録がある〔小
野09〕.
ハナオニグモとして雌6〜8mm,雄4〜5mm,成体は6〜8月.
広葉樹の葉の表面に直径5〜10cmの小さな円網を張ることが多い.
北海道・本州・四国・九州に分布.高山地帯のものは別種〔森林87〕.
正常円網〔新海79〕.
広葉樹,特にクマザサの表面に生息〔新海81〕.
ムツボシオニグモとの区別点があいまい〔千国AT87〕.
ハナオニグモと同種とする.どちらの学名も日本のものに当たらない.なお似た別種が生息する〔八木沼86〕.
北満洲黒河山地帯にて1940年6月採集〔仲辻AC7(1)〕.
ハナオニグモとして5月には葉をまいた中に1個卵のうを作る〔山川・熊田73〕.
北海道糠平でヒラスベザトウムシに捕食されていた〔谷川K85〕.
コガネグモ属 Argiope
岸田(1931)の細分属では日本産はMiranda属としてナガコガネグモ(沿海州から九州まで分布),
Austrargiope属としてナガマルコガネグモ(琉球・台湾・フィリピン・インドシナに分布),
Coganargiope属内に, Mesargiope亜属としてチュウガタコガネグモ(本州〜九州,琉球〜フィリピンに分布),
Coganargiope亜属としてコガネグモ(本州〜九州),
Micrargiope 亜属としてコガタコガネグモ(本州〜九州),
アミメコガネグモ(内南洋に分布), ムシバミコガネグモ(琉球・台湾・フィリピンに分布),
Heterargiope亜属としてミゾコガネグモ(本州に分布)を分類する.ナガコガネが全北系,
ムシバミが周太平洋系, ナガマル及びチュウガタが東洋系,
他は日本特産である〔岸田AC1(1)〕.
この属のかくれ帯(=白帯)は紫外線反射率が高く,昆虫を誘引することが判明した(Craig et al., 1990).
ナガマルコガネグモ Argiope aemula (WALCKENAER, 1841)
雌20〜25mm,雄4〜6mm,成体出現期3〜8月.海岸の草地,草原,畑地周辺,サトウキビ畑,樹林地の周辺などの草間,低木間に垂直の「正常円
網」を張り中心に止まる〔新海06〕.
網の中央部にX字形あるいは一部を省略したかくれ帯を付ける〔新海06〕.
成体は3〜8月,雌20〜25mm,雄4〜6mm,南西諸島.腹部の形や斑紋,造網場所はナガコガネグモに似るが,かくれ帯の形や卵のうはコガネグモに似
る.
草原や林縁の草間に垂直円網を張り,X字形かその一部を省略したかくれ帯をつけ,その中央にとまる.かくれ帯の形はコガネグモのものより縦長〔東海
84〕.
沖縄では田畑,草原に普通.網直径は60cm,乳灰色のコガネグモに似た卵のうを作る〔下謝名AT28〕.
渡瀬線以南のクモ〔萱嶋AC14(1)〕.国外ではインドからフィリピン,台湾,中国から記録がある〔小野09〕.
八重山群島では円網の表裏に外枠糸を張りめぐらし,ジョロウグモに見られる三重構造の網も見られた〔大利K39〕.
雄は通常同じ雌と続けて2回交尾する.1回目の交尾後,雌に食われてしまう例がある.2回目の交尾で雄は必ず死んでしまい,雌に食われる.
雄の触肢を1本除去した後で交尾させると1回目no交尾でも雄は死ぬ〔佐々木健AC43(2)〕.
ムシバミコガネグモ Argiope aetheroides YIN et al., 1989
雌15〜18mm,雄5〜6mm,成体出現期6〜9月.平地から里山に生息.人家,倉庫,納屋,神社,寺院など建物の周囲,果樹園,道路沿いの崖地の草
間などに多く,山地ではほとんど見られない.垂直の「正常円網」を張り中心に止まる〔新海06〕.
かくれ帯は1〜2本のものが多く,x字形を付けた個体はほとんど見られない〔新海06〕.コガタコガネグモに似る〔新海06〕.
成体は6〜9月,雌15〜18mm,雄5〜6mm,本州(愛知県以南)・四国・九州・南西諸島.
コガタコガネグモに似るが,大きくて,振動などに対して敏感ではない.卵のうはコガネグモより細長い〔東海84〕.国外では中国から記録がある〔小野
09〕.
Argiope keyserlingi (KARSCH, 1878)あるいはArgiope aethrea (WALCK., 1841)に同定されてきたが,それは誤りで,中国で記載された種だった.
分布の東端は静岡県南伊豆町.雄(3.4〜4.8mm)の出現時期は和歌山県で7月23日,屋久島で7月14日〔谷川AC43(1)〕.
震動に感じて飛び降りる個体もいる〔谷川K66〕.
伊豆半島新記録(松崎町雲見にて7月25日,雌)〔新海明・高橋祐K69〕.
熊野市にて雌〔新海明K69〕.
コガネグモ Argiope amoena L. KOCH, 1878
雌20〜25mm,雄5〜7mm,成体出現期5〜9月.郊外の人家の周辺,樹林地の周辺,水田,河原,草原などの日当たりの良い樹間,草間に
50cm〜1mの垂直の「正常円網」を張り中心に止まる〔新海06〕.
網の中央部にX字形あるいは一部を省略したかくれ帯を付ける〔新海06〕.本成体は6〜9月,雌20〜25mm,雄5〜6mm,本州・四国・九州・南西諸
島.
草や木の枝の間,軒下などに大きな垂直円網を張り,X字型またはその一部を省略したかくれ帯をつけ,その中心にとまる.
南方系で,関東地方南部以南では普通であるが,市街地周辺では近年減ってきている.地方名多し〔東海84〕.
国外では台湾,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
本州(関東地方以西)では海岸地方に多く,長野・山梨・栃木・埼玉・群馬の各県ではほとんど見られない.
水田,草原,人家の庭,山麓の日当たりの良い場所などに生息.
産卵期は7〜9月で,淡緑色の多角形の最中のような卵のうを1〜2個,草の葉や樹木の間に作る.
1卵のう中の卵数は800〜2500個.樹間,低木や草間,軒下,屋根の間など,余り環境にこだわらずに造網する.
垂直円網を張り,かくれ帯をつける.かくれ帯は,完全に付けるとX字型に見えるが,多くはどこか一部が省略されている〔森林87〕.
正常円網・白帯円網〔新海79〕.千葉県白井市で生息環境別にコガネグモの有無を調査した.草地には多数見られる例があったが,いない草地もあった.
クモの有無と関連する草地の条件は不明である.住宅地や耕作地にはほとんど見られなかった〔相馬なおみ・仲條竜太・長谷川雅美K95〕.
幼体が網の半面を張り直すのを観察した.かくれ帯も更改する〔細野43〕.
年1化.幼体で越冬する.高知県では4月中旬活動を始めるが,この時の幼体は体長4〜10mmまでいろいろ.
卵のうは7〜8月を山場として6月中旬〜9月中旬までみられる.雌は10日前後の間隔で2〜4個の卵のうを作る.
11月下旬〜12月上旬に幼体は活動を休止する.イエオニグモも同様〔中平AT74〕.
甲虫,カマキリ,アブラゼミ等の大型昆虫まで食べる.網は朝早く張り直すが,数日間同じ網を使用することもある.
成体になるとかくれ帯をあまりつけない.卵のうは薄い黄緑色をしていて,中には1500個もの黄色い卵がつまっている.
網の近くの草の間や木の枝に糸を不規則に張りめぐらし,その中に卵のうを吊す〔学研76〕.
ナガコガネと同様の捕食戦術だった.イナゴ・毛虫・コオロギは100%,バッタ・トンボは75%がラップしてからバイトした.
対してハエは100%,チョウ・ガは87%がバイトしてからラップをした.
餌の体長別では2cm以下はバイト先行.餌が大きいほど,クモだけが途中でこしきに戻る行動を取った(単独行動と呼ぶ)〔早川AT87,AT88〕.
8月3日に出のうした幼体のうち20頭を飼育,9月15日で毎日給餌の結果,
8頭が9月中旬から10月上旬に雄に成熟,5頭は10月中旬に雌に成熟,その後卵のうも産んだ.
1日おきに給餌すると雄は年内に成熟したが,雌3頭は中齢で越冬した.2日おき給餌では年内には成熟しなかった.
6月24日に野外採集した雌成体の産卵回数は2〜4回で,総卵数は平均2738個〔宮下和K78〕.
1994年〜2001年まで堺市の庭で飼育し産卵.出のう.まどいを調査した.22頭67卵のう,
産卵場所は葉かげ,産卵時期7〜9月,
卵時刻は深夜,半日かかる,平均3.0個(最大7個),54.5%が複数個を作成,次の産卵までの間隔は9.8日(5〜17日),
山吹色卵,冷蔵したらナガコガネグモに比べて温度が低下しやすい,出のう卵のう率73.1%,出のう時期7〜10月,
出のう時刻は午後〜夕方,クラッチサイズ250〜1800個,子グモ数平均1000頭,卵のうの上下にまどい,まどい11.7日(4〜24日)〔西野K85〕.
出のう当日にまどいから分離して単独にした幼体の寿命は,5頭・10頭・20頭ずつにした対照群と比べて有意に短くなった〔西野K86〕.
コガネグモ合戦の聞き書き抄〔川名AT86〕.
棒上闘争実験により「強さ」を決める要因を検討した.加治木町では「前肢が長いもの,太いもの」「産卵後」
「腹が太りすぎたものは弱い」「赤みを帯びた個体,黒色の色彩変異個体は一番強い」などの言い伝えがあった〔八幡AC52(2)〕.
出のうする穴は子グモがあけるのではなく,卵のう周縁にあいた穴である.
卵のうは二枚貝式で平らな産辱膜と中央のもりあがったおおい膜を合わせたものだが,糸かがりがされていない.
次第に粘着力が薄らぎ,子グモ集団がふ化や脱皮の時に動くことで割れ目ができるのだ〔中平AT79〕.
成長につれて白帯を簡略にし,ついには省略する傾向が強くなる.白帯作りでは,脚を使ってすきだすことをしない.
刺激すると網を前後に振動させる.卵のう内越冬の幼生は高知では4月に分散し,6月下旬〜7月中旬に産卵.生まれたものは9月中・下旬に産卵する.
卵のうは淡黄緑色〜淡緑色.網近くの草間・樹枝に強い糸を不規則にひきまわし,中に吊るす〔中平AT23/24〕.
さしみ(マグロ,イカ,エビ,イサキ)や牛乳,卵黄も餌となる.時々,明け方に網を張り替える.暗い日は昼でも張り替えた.屋内飼育で7月5日から10月
18日まで10回産卵した例がある.ただしほとんど出のうしたのは8月18日の卵のうのみで,ふ化しないもの3例,出のうしないもの3例,一部出のうした
もの2例,産卵に失敗し卵が流れおちたもの1例(10月18日)である〔八木沼AT79〕.
ニセ餌でも「マグロ,イカ,エビ,イサキ,牛乳,卵黄を食べた」(八木沼AT79=1981)という.医療用音さ(128Hz)で網を刺激して,ある程度
の重さがあればクモはかんでみる,さらに重いと糸でまいてみるのではないか.セミの抜け殻にドッグフードを詰めたニセ餌や脱脂綿にコーン油を浸したニセ餌
を捕食した〔西野K93〕.
コガネグモヒメバチ Tromatobia argiope UCHIDAに卵のうを狩られる〔八木沼AT48〕.
カナヘビも食う〔中平AT39〕.直径80cmの網にスズメがかかっていた〔宮崎清一,蜘蛛23〕.
2005年4月24日,四日市市で本種の幼体にクモヒメバチ類の Eriostethus sp. が寄生していたのを採集〔橋本,しのび32〕.
横糸12本の小円網の中心にて脱皮.シロガネグモの如く脱皮のための稚網は特に設けない〔大利AT38〕.
かくれ帯の形は多様である.かくれ帯の糸の紡ぎ出しに歩脚を使わず,糸いぼを直接網にすり付けるようにして製作する.
コガネグモの仲間は同様.ほぼ@幼体では円形や布状にしたものをつける個体が多い,
A成長したものはジグザグ状X型や,その一部の欠けたものを作る個体が多い,
B成長するにつれて簡略化され,省略される傾向が強くなる〔中平AT37〕.
産卵は0時頃から始まる.網の上隅の一角に不規則網を作る.その網の中央部で旋回し,木の葉状の敷布を作る.
最初は平板だが,やがて盆状となる.親はそれを抱き,静止,腹部を左右上下に動かし,ぐっと卵塊を押し出す.
15回の動作で1500個を産卵した.掛け布は最初ふわふわした糸で,周辺からかけていく.
卵のうが出来ると不規則網を周辺に張りめぐらし,網の中央に戻る.7時間20分かかった.平均10日間隔で産卵し,6個の卵のうを作った〔城AT32〕.
飼育で6月28日,7月11日と産卵(2回目は1247卵)〔大利AT29〕.
8月3日の出のう幼体が飼育下で9〜10月に成体になった(雄は5〜7回の脱皮,雌は8回の脱皮).
幼体で越冬した個体も5月までに死亡.野外で4月に採集した幼体は飼育で雄になり6月まで生存〔宮下AC45(2)〕.
捕食昆虫のリストあり〔日高・鈴木AT6〕.
鹿児島・千葉の調査から,初夏の急成長に必要な餌資源としてコガネムシ類が重要だった.特に抵抗力の比較的弱いクロコガネ〔八幡AC53(2)〕.
大阪にて,12月に体長5mm内外の幼生は,夜行性のようになり,午後6時から8時頃にかけて占座し始め,翌朝7時頃まで居る.
暖かい日(12℃以上)には昼夜共に占座しないことがある.8℃以下では占座しない.
チャップマンの方法で実験すると,行動限界は8℃位である.43℃で仮死,46℃で全て熱死.
1月下旬から2月は滅多に占座しない.3月中旬に網に占座するようになる〔木村AT4〕.
水への落下を避けている〔関根幹夫,いと38〕.
三重県名張市1953年7月7日,採取した卵のうより8個のマユ,Tromatobia nipponensis UCHIDAが出た〔橋本AC18(2)〕.
倉敷にて,卵のう内で卵を食うウジからSarcophaga属のハエが羽化〔白AC13(3/4)〕.
アカクモヒメバチの近縁種に寄生されると迷網を作る〔桝元ほかAC55(2)〕.
オオモンクロベッコウに狩られる〔中村AC5(2)〕.
淡路島にて昭和11年8月18日頃,コガネグモは採集できず,コガタコガネグモが多かった〔植村AC3(2)〕.
朝鮮にも分布〔上田AC1(4)〕.
雄が交接しようとした途端,雌にwrapされてしまった.雌1頭に網の周囲に雄6頭が来ていた〔加藤AC4(3)〕.
卵のう内でまず子グモ集団の表層に位置している子グモが脱皮,子グモは20〜30分すると中心部へ押し入っていく.
ぬけ殻は表層に残る.ユカタヤマシログモ,ドヨウオニグモ,ゴミグモ,ハシリグモ等も同様〔中平83〕.
網にかけたカノコガにさわった後,糸を切って落とした.次にドウガネブイブイを捕食した.
コガネグモはカノコガがきらいなのか.カノコガはササグモの餌にはなるが〔高野K26/28〕.
7月13日,ヒヨドリが網上のコガネグモ成体を捕食した〔高野K40〕.
7月5日,高知県で宮崎清一氏の自宅でスズメが網にかかった〔中平AT95〕
しおり糸に及ぼす紫外線と温度の影響をESR測定法で調査した〔大崎AC46(1)〕.
海岸地域に多い.石川県内では寒候期月平均気温で水平分布を説明できる〔徳本AC51(2)〕.
生息個体数が多い場所は春先という特定の時期にジメジメして土壌由来の双し目昆虫が餌として利用できる環境が重要であること(島崎.宮下直2005)
とあわせ,初夏の成長期にコガネムシ類などの大型餌が利用できる環境(八幡2004)と推測される〔八幡AC54(2)〕.
自然環境指標種Cランク〔新海98〕.
チュウガタコガネグモ Argiope boesenbergi LEVI, 1983
雌15〜18mm,雄5〜6mm,成体出現期6〜8月.里山から山地に生息.樹林地の周辺,林道などの草間,低木の間に垂直の「正常円網」を張り中心に
止まる〔新海06〕.
網の中心の中央部にX字形あるいは一部を省略したかくれ帯を付ける〔新海06〕.本種はコガネグモより山地に多い.東北地方の採集記録はきわめて少ない
〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌15〜18mm,雄5〜6mm,本州・四国・九州・南西諸島〔東海84〕.国外では台湾,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
正常円網・白帯円網〔新海79〕.
山道の木の間に垂直円網を張り,X字状のかくれ帯をつける〔学研76〕.主に草地に生息〔緒方,しのび21〕.
コガネグモヒメバチに卵のうを狩られることがある〔八木沼AT48〕.
習性はコガネグモと同じ.6月頃産卵,卵のうは灰緑色,卵粒は黄色〔中平AT23/24〕.
捕食昆虫のリストあり〔日高・鈴木AT6〕.網にトカゲがかかっていた〔船曳,いと36〕.
埼玉県が北限〔岸田AC1(1)〕.
自然環境指標種Bランク〔新海98〕.
ナガコガネグモ Argiope bruennichi (SCOPOLI, 1772)
=Argiope bruennichii (SCOPOLI, 1772)
雌20〜25mm,雄8〜12mm,成体出現期8〜11月.平地から山地まで広く生息.山地では少ない.水田とその周辺,河原,草原,樹林地の周辺,林
道などの草間,
低木間に垂直の「正常円網」を張り中心に止まる〔新海06〕.
網の中央部に縦に直線状のかくれ帯を付ける.危険を感じると網を激しく揺すり威嚇する.幼体のかくれ帯はジグザグの渦巻状である(コガネグモ類共通)〔新
海06〕.
成体は8〜11月,雌20〜25mm,雄8〜12mm,全土.
草原や林縁の草間,水田の稲の間などに体のわりには小さな(直径20〜50cm)垂直円網を張り,
直線状または円形のかくれ帯をつけ,その中心にとまる.幼生のかくれ帯はジグザグの糸が不規則に集まった形.
危険を感じると網を前後にはげしくゆする.卵のうはつぼ型〔東海84〕.旧北区に広く分布〔小野09〕.
産卵期は9〜10月で,草間に球形に近いつぼ型の1・5〜2cmほどの茶褐色の卵のうを作る.
1卵のう中の卵数は800〜1500個.卵は産卵後,約1ケ月でふ化する.子グモは1回目の脱皮を済ませた後,卵のう内で越冬し,翌年6月上旬に卵のうか
ら出てくる.草原や林の周囲の草むらなど,比較的低い場所に垂直円網を張る.
水田に特に多く,高知県では稲牛若と呼ばれている.獲物はバッタ,ガ,ハエ,ヨコバイなどが多く,獲物がかかると捕帯で巻いてから中心に持ち帰って食べる
〔森林87〕.
正常円網・白帯円網〔新海79〕.
水田,浅川流域の河原,草原に生息〔新海80,81〕.
ジョロウグモと網のデザインと餌捕獲能力を比較.粘球直径は大きいが,数は少ない.
大型餌の付加試験の結果はバラついたが,ジョロウグモが大きかった〔宮下直・新海明AC44(1)〕.
刺激により,黄色の鱗が収縮して一面に網目状を呈し,腹部正中斑および後端にある数本の縦斑が太くなる〔新海AT51/52〕.
異常卵のうと小実験〔中平AT76〕.
長野県穂高町で,9月17日午前2時50分おわん型を作ってから産卵と卵のう製作が終る午前5時までの詳細な記録がある.6月に出のうする〔千国
AT75,千国/親と子〕.
出のう後,まどいをせず分散していく〔西野K85〕.
造網の時の脚の使い方は横糸張りではコガタコガネグモと共通で,
ジョロウグモとは右第4脚で糸いぼから引き出した糸を左第4脚へ受け渡す点が異なる.
ジョロウグモでは直接左第4脚で引き出す.
足場糸張りでは糸を出す時に左第4脚を使わない点でコガタコガネグモと異なる〔福本AT60〕.
かくれ帯の形はこしきで楕円形.時に円心円形.縦糸間では上下縦にのびてI型.X型もあり.
一例観察だが,卵のうを置くためにかくれ帯を作った.かくれ帯に住居としての性格が残ることを示唆する.
「かくれ帯は住居の変形残存物である」〔中平AT37〕.
網の更新は毎日ではない.一部や中央部を張り変える〔中平AT35〕.
渓流上では網にハアリとアブラムシが高くかかり,ユスリカやカゲロウは低かった〔吉田真AC46(2)〕.
コガネグモを牛若,本種を稲牛若と称する.コガネグモより2カ月程遅れて成熟.
子グモは6月頃出現し,コガネグモの第2回目の産卵と同じ時期(9〜10月)に産卵.
卵のうは褐色の壷型で草間に張った不規則網に吊るす.X字型の白帯はなく,縦のジグザグ型か渦巻き型である〔中平AT23/24〕.
6月初め分散した幼体を飼育,雄は6回,雌7〜8回脱皮をし,50〜80日後の8〜9月に成熟.
雄は雌より10日ほど早く成熟.野外で9〜10月に4〜6個の卵のうを産卵,500〜1500個,10〜15日でふ化するが,
ふ化しない卵のうもあり〔宮下AC43(2):宮下AC45(2)〕.
1994年〜2001年まで堺市の庭で飼育し産卵・出のう・まどいを調査した.99頭226卵のう,産卵場所は葉かげ,
産卵時期8〜11月,産卵時刻は夜-深夜,半日かかる,平均2.3個(最大6個),58.6%が複数個を作成,
次の産卵までの間隔は11.3日(5〜41日),
黄色卵,冷蔵してもコガネグモやジョロウグモに比べて温度が低下しにくい,出のう卵のう率81.5%,出のう時期5〜7月,
出のう時刻は朝〜昼,クラッチサイズ29〜1363個,子グモ数平均650頭,まどいを作らない〔西野K85〕.
オオモンクロベッコウに狩られる〔中村AC5(2)〕.
京都府箱石海岸の砂丘地帯では7月後半から9月前半にかけてキオビベッコウに狩られる〔遠藤知二AC49(2)〕.
10月7日,東丹沢の草原で横一文字形のかくれ帯を観察〔高野K40〕.
山北町で採集した卵のうは5月30日に出のう,冬の前に出のうしているものもある〔鈴木勝K47〕.
下向き定位には光と腹柄の筋肉の張力受容を介した反応が複合している〔平松.種田AT95〕.
東北地方においてナガコガネグモ相撲の習俗があった〔斎藤慎一郎K93〕.
致死温度CTと体表の熱ネネルギー反射特性RFには正の相関があり,RFと表面積・体積比SVには負の相関がみられた.したがって,
高温に対する生理的形質と熱反射に関する生物物理的形質は連関して進化したこと,
体サイズの大型化は体温調節のために熱反射特性を進化させたことが示唆された〔宮下直・加藤直子AC58(2)〕.
コガタコガネグモ Argiope minuta KARSCH, 1879
雌8〜12mm,雄4〜5mm,成体出現期7〜10月.平地から山地まで生息.農家の周囲,雑木林の中や周辺,林道などの日当たりの悪い樹木の枝葉間,
草間に垂直の「正常円網」を張り中心に止まる〔新海06〕.
網の中央部にX字形のかくれ帯を付ける〔新海06〕.成体は7〜10月,雌8〜12mm,雄4〜5mm,本州・四国・九州・南西諸島.敏感で近付くと網か
らとびおりる〔東海84〕.
飛びおりない個体もいる〔谷川K66〕.三浦半島のコガタコガネグモは指先でふれるまで落下しなかった〔板倉,蜘蛛24〕.
雌12〜15mm〔森林87〕.国外ではバングラデシュから台湾,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
正常円網・白帯円網〔新海79〕.
木や草の間に垂直円網を張り,X字状のかくれ帯をつける〔学研76〕.
刺激により,赤色と黄白色の鱗状斑が収縮し,網目状になり,腹背にある数本の線が太く現れてくる.個体によっては赤褐色に変化するものもある〔新海
AT50/51〕.
体長と網面積は相関しない〔浅間ほかAT92〕.
造網動作の脚の使い方はナガコガネグモの項参照〔福本AT60〕
網型・白帯をつける・占座姿勢などコガネグモと同じ.刺激に敏感で,すぐ地上に落下し,落葉の下や葉の裏にもぐってしまう.
9月頃産卵,卵のうは褐色で,濃灰色の条斑が分布する〔中平AT23/24〕.
オオスミコガネグモ Argiope ocula FOX, 1938
=syn. Argiope osumiensis YAGINUMA, 1969
雌20〜23mm,雄7〜8mm,成体出現期7〜8月.限定された地域に分布する稀少種.樹林地の中や周辺,林道などの樹間に垂直の「正常円網」を張り
中心に止まる〔新海06〕.
網の中央部に直線状のかくれ帯を付ける〔新海06〕.
国外では台湾,中国から記録がある〔小野09〕.種子島・屋久島・佐多岬にて採集,雌20mm(7月下旬から8月),雄7mm(7月下旬),幼生ほど腹背
斑紋が明瞭で美しい.
大江の観察によれば,直径50〜100cmの円網,成長に伴い蹄形に変わる,前後に支え糸,中心より下にかくれ帯をつけることがある(8mm幅,5cm
長),
卵のうは褐白糸で包まれ,内部に球形の硬い白膜あり〔八木沼AC20(2)〕.
ヤマトカナエグモ Chorizopes nipponicus YAGINUMA, 1963
雌3.5〜4.5mm,雄2.5〜3mm.成体出現期6〜9月.クモを襲うクモ.里山から山地に生息.網を張ることはなく,他のクモの網に侵入して網主
の獲物を奪ったり,網主を攻撃して捕食する.
ゴミグモ類・ウズグモ類・ヒメグモ類・サラグモ類などがよく攻撃される.10cmほどの糸でスギの枝からつりさげられた茶褐色の卵のうがよく目につく〔新
海06〕.
成体は6〜9月,3.5〜4.5mm,本州・四国・九州・南西諸島.他のクモの網に侵入し,その主を攻撃する〔東海84,森林87〕.
コガネグモ科のクモが多くとらえられる〔東海84〕.国外では中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
中平の報告がある〔新海69〕.
7月に卵のうを作る〔山川・熊田73〕.
8月頃,山地の樹枝に10cm位の糸で吊り下げられた褐色の卵のう(長径5mm,短径3mm)を見掛ける〔中平AT23/24〕.
飼育ビン内で夜間不規則網様の糸を張る.30日間の絶食後もハエを補食しない.オオヒメグモを与えると攻撃する(かみつく).粘球・捕帯は使用しない.
攻撃は一度で終わり,相手がたおれてから接近,補食する.わすかの糸(捕糸〔中平による〕)をかける行動はヒメグモに似る〔有田AT49/50〕.
アシナガサラグモ幼生の口にした餌にかみついて奪った〔中平AT39〕.
網の中心部のカタハリウズグモから4cm離れた所にいたカナエグモは,ウズグモが獲物がかかって中心を離れると,中心へ進み,静止.
中心へ戻ってきたウズグモは,前脚で糸をはじいて侵入者を追い出そうとする.にらみ合いとなる.しばらくして見ると,
カナエグモはウズグモの獲物をくわえ,ウズグモにも糸を巻く.獲物を食べながら時々,ウズグモに糸を巻く.途中で採集した〔橋本AT29〕.
餌としたクモはメガネドヨウグモ・オオトリノフンダマシ〔新井K82〕.
コガタコガネグモ幼体の網に侵入し網主を捕食〔緒方AC58(2)〕.
三重県上野市にて1962年9月16日に採取した卵のうからヒメバチ科の一種 Phobetes sp. が2個体羽化,
他にタマゴバチの一種20個体羽化〔橋本AC18(2)〕.
ツメナガオニグモ Cnodalia harpax THRELL, 1890
雌4mm前後,雄3mm前後〔小野09〕.スマトラ産の1雌でトレルによって新属新種記載された本種はその後,報告が無かった.
タイプを調べることはできなかったが,レヴィが記載した図を見せてもらえて同定できた.
116年ぶりに報告する.採集記録は1996年1月1日奄美大島ホンチャ峠および2003年4月7日三太郎峠,
2003年12月28日沖縄島与那覇岳,雌3.9〜4.1mm.1脚と2脚の上爪のうち前側が長い.
このような爪は,ハワイのアシナガグモの一種 Doryonychus raptor SIMON, 1990の捕獲行動から類推すると,
餌を突き刺す役割を持つ可能性がある〔谷川AC55(1)〕.雄2.9mmを奄美大島キンサクバル産(2007年3月7日,N小島採集)を初記載〔谷川
AC56(2)〕.
シロゴミグモ Cyclosa alba TANIKAWA, 1992
雌4〜5mm,雄不明,西表島の標本で記載,三宅島,香川県で記録〔谷川AC41(1)〕.
西表島で4月2日卵のう6個保持雌,縦径16cm,横径16cm,縦糸35本,横糸17本,こしき糸7本,枠糸7本〔新海明.平松K79〕.
ヤセゴミグモ Cyclosa angusta TANIKAWA, 1992
雌7〜9mm,雄4〜5mm.成体出現期3〜5月.里山から山地に生息.樹林地の中や周辺,林道などの樹木の表面に垂直の「正常円網」を張る.
網の中央部には縦にゴミを並べてクモはその中に止まる〔新海06〕.
成体は6月,雌8mm,雄不明,西表島の標本で記載,キジロゴミグモ,ヤマゴミグモ,オノゴミグモと類似〔谷川AC41(1)〕.
沖縄本島北部琉球大学付属奥の山荘前に生息〔谷川K70〕.
雄を初記載した.3月に雄亜成体で直後に脱皮.奄美大島湯湾岳では8月に雄成体〔谷川AC46(1)〕.
ギンメッキゴミグモ Cyclosa argenteoalba BOES. et STR., 1906
雌4〜7mm,雄3〜4mm.成体出現期5〜9月.平地から山地まで広く生息するが,山地には少ない.人家・神社・寺院の周辺,庭園・公園,樹林地の周
囲などに垂直の「正常円網」を張る.
網の中央に頭を上にして止まる.網には枠糸,横糸,縦糸の一部などに細いかくれ帯を付けたものや,中央部にゴミを並べたものなど様々なタイプが見られる
〔新海06〕.
腹部の色彩も銀色から黒色まで多様〔新海06〕.
基準産地は佐賀県.所見標本は栃木県から宮崎県,台湾まで.中国,韓国からも記録雌4〜7mm,雄3〜4mm〔谷川AC41(1)〕.
成体は6〜8月,雌6〜7mm,雄5〜6mm,全土.草間に垂直円網を張り,網の中心で頭を上にしてとまる〔東海84,森林87〕.
白帯円網・擬装円網〔新海79〕.
網の大きさ11cmから24cm.タテ糸33〜74本,ヨコ糸25〜72本〔船曳,いと34〕.
円形・直線状などいろいろなかくれ帯をつける.ゴミリボンをつける個体もある〔新海69〕.
ゴミの量は少なく,卵のうを網におかない〔中平AT37・14〕.
雨のときには頭を下にし,前脚を下にしている〔細野43〕.
円網作成,網は中心より上半分が大きい(中心から上端までの距離72.0mm,下端まで62.5cm),
上と下での粘球の違いは分からない,刺激に対する反応開始秒数が上は2.60秒,下は4.79秒,光には応答なし,
上についた虫は網から落ちやすい〔秋元維那.秋元昇K85〕.
餌を下半分にかけ続けると網の上下は対称形に近くなった〔中田兼介AC56(2)〕.
幼時には主として放射糸に白色のねじれたテープ状の白帯をつける.成長するにつれ,ごみリボンをつけるようになる.
食べかすで,クモの後方,つまり下方へ縦に吊す.粉々にした食べかすを,網の所々に円形にとりつける場合もある〔中平AT23/24〕.
11月17日産卵,12月8日31頭出のう+12月9日17頭出のう+死亡2頭+未ふ化1頭〔鈴木成生K65〕.
かかった餌を除去し続けたところ,網の移動頻度が高まった〔中田兼介AC49(2)〕.
長野県下で徐々に北上している〔藤澤K97K〕.
隠れ帯には対捕食者防御機能があるが,餌誘因機能はなかった〔中田兼介AC58(2)〕.
カラスゴミグモ Cyclosa atrata BOES. et STR., 1906
雌7〜12mm,雄4〜5mm.成体出現期6〜8月.里山から山地に生息.樹林地の中や周辺,草原,林道などの草間に垂直の「正常円網」を張る.
中心に横向きに止まることが多い.斜めまたは下向きの個体も見られる〔新海06〕.
従来,カラスゴミグモとされていた種は1992年に谷川によりカギヅメカラスゴミグモが分離されたが両種の外見による区別は難しい〔新海06〕.
カギヅメカラスゴミグモ Cyclosa hamulataと混同がある.雌での区別は難しい.
基準産地は佐賀県.所見標本は北は茨城県から南は熊本県まで.
雌6〜10mm,雄4〜5mm,.雄成体6〜9月〔谷川AC41(1)〕.
成体は6〜8月,雌10〜12mm,雄5〜6mm,北海道・本州・四国・九州.
草間の地表近くに垂直円網を張り,中心に横あるいは斜め向きにとまる〔東海84,森林87,中平AT23/24〕.
ごみリボンを作らない.かくれ帯は幼体時に多い.卵のうは網に置かず,草木の葉裏などに付ける〔中平AT37〕.
宮崎県にて,卵のう越冬で3月下旬に出のうする(家で飼育したものは4月半ばをすぎても出のうしない).1〜2日団居.
1卵のう当たり25〜30頭.3〜4日後,分散し,始めは直径3cm位の完全円網に横向きに静止.
成長と共に網が大きくなる.1ケ月後(体長6mm,網直径8cm)によくかくれ帯を作る.
5月下旬性差が明らかとなる.雌は完全円網だが,雄は縦糸・横糸共に粗末な直径5cm位の小さな円網を張る.
更に網をはらなくなって,成体になると雌の円網の隅に来る.5月下旬〜6月始めに交接.雄は6月中旬,姿を消す.
雌は6月中下旬に産卵.7月初旬に死ぬ.卵(黄白色)は産卵後,10日内外でふ化し,4〜5日で出のうする.
9月初旬から第2回目の繁殖期に入る.9月初旬〜中旬に交接,中下旬に産卵.卵のう内でふ化して越冬するようだ.
卵のうは直径7mm,高さ4mmの半球形で,内部は細い白糸,外部は明るい濃黄色のやや粗い糸で作り,袋というより綿で包んだような感じのものである.
ツツジ・チヤ・タケ・マサキ等の小枝の下側や,その葉裏に多く,メヒシバ等の雑草の葉裏にも多い.
出のうの時は幼生が下に1頭がでられる程度の穴を開ける.
造網は8月下旬では朝6時半頃から8時頃まで.普通は枠糸は前日のものを利用することが多い.
造網過程はオニグモと少し異なる.まず中心で直交する4本の糸を張り,
外枠を張り,縦糸を少しずつふやしながら内枠を張る(普通は枠糸を前のものを使うので,枠糸を補強して縦糸を張る).
ここまで40分.つぎに縦糸をこまかく張り(15分),こしきを整えて,
中心から外側へむかって粗目の足場糸を張り,外側からオニグモ類と同様に,
足場糸をはずしながらこまかく横糸を張る(30分).1時間25分位かかる.
雨の時は横糸をたたんで小数の縦糸だけをはって,上向きに止まることが多い.
網にかかるものは10mm以下のユスリカ・ハモグリバエ・ミギワバエ・ショウジョウバエ・アブラムシ・アリ等.食餌昆虫,
特にユスリカの関係だろうが,市街地の下水溝の付近に多い.局部分布をする〔松山AT14〕.
カラスグモ.木立の根元近くに小型の垂直丸網を作り,その中央に横向き,或いは下向きに静止す.
7月初旬には成熟せるもの多く8月には多数の幼クモ現わる〔関口AC5(3)〕.
8月13日に雌雄を庭へ放した.10月7日に雄が雌の網に侵入〔細野43〕.
自然環境指標種Cランク〔新海98〕.
ミナミノシマゴミグモ Cyclosa confusa BOES. et STR., 1906
=シマゴミグモ Cyclosa insulana (COSTA, 1834)
海岸に多く生息するが,山地にも見られる.海岸付近の人家の周囲,庭園・公園,草原,樹林地の中や周辺,林道などの樹間,枝葉間,草間に垂直の「正常円
網」を張る.
網の中央には縦から横まで様々な角度にかくれ帯やゴミを並べ,クモもその方向に合わせて止まる〔新海06〕.
シマゴミグモ,ヤマトゴミグモときわめてよく似ている〔新海06〕.
シマゴミグモ Cyclosa omonagaと本種は混同されてきた.
以下の記録も明確にどちらの種か確認が必要である.本種の基準標本産地はデーニッツ採,1882年(佐賀県).
所見標本は三宅島および山口県以南,南西諸島まで.中国でも記録.雌5〜8mm,雄3〜4mm,雄成体は8月(九州)に出現〔谷川AC41(1)〕.
国外では台湾,中国から記録がある〔小野09〕.
成体は5〜8月,雌8〜10mm,雄5〜6mm,本州・四国・九州・南西諸島.海岸地域に多い.木や草の間に垂直円網を張る.網につけるゴミの量は少ない
〔東海84〕.
白帯円網〔新海79〕.円網の修繕を観察.縦糸.足場糸.横糸を張った〔新海明K74〕.
幼時には網の中央に同心円や渦巻き状の白帯をつけるが,成長するにつれ塵芥や食べかすなどによるリボンを併用.
これら擬装物は直線状にならべられることが多い.占座姿勢は一定しておらず,上・下・横,いろいろである.
6月頃,網の近くにある樹幹などに卵のうをつける.卵のうは皿をふせたような形でやわらかく,白色であるが,時間がたつと黄色に変化する〔中平
AT23/24〕.
幼生雌がアシナガサラグモの網に侵入して宿主を食していた〔中平AT39〕.
卵のうは樹間等に付ける〔中平AT37〕.
長崎にて6月19日夜産卵〔大利AT29〕.
ギンナガゴミグモ Cyclosa ginnaga YAGINUMA, 1959
雌5〜10mm,雄3〜5mm.成体出現期6〜8月.山地に多く生息.樹林地の中や周辺,林道などの樹間,枝葉間,草間に垂直の「正常円網」を張る.
中心部に頭を上にして止まる.網には渦巻き状または直線状にかくれ帯やゴミなどを付けて偽装する〔新海06〕.
本種は南の方に多い種類で本州中部以北の記録はほとんどクマダギンナガゴミグモと思われる〔新海06〕.
クマダギンナガゴミグモ Cyclosa kumadai
と混同.所見標本は静岡県伊豆湯が島が東端,沖縄島まで.雌5〜10mm,雄3〜5mm〔谷川AC41(1)〕.
成体は6〜8月,雌7〜8mm,雄5〜7mm,本州・四国・九州・南西諸島.垂直円網の中心に頭を上にしてとまる.放射状あるいは渦巻き状のかくれ帯をつ
ける〔東海84〕.
国外では台湾,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
ギンメッキは山地に多いが本種は平地にみられる〔森林87〕.
白帯円網・擬装円網〔新海79〕.かくれ帯とゴミリボンを併用する〔中平AT37〕.
ギンメッキゴミグモと同じ習性〔中平AT23/24〕.
白色のジグザグリボンを網の中心部に縦につけ,その上にクモはとまる〔下謝名AT14〕.
石川県・長野県・三重県での分布を調査.ゴミグモやヨツデゴミグモより標高の高い所に
分布.低地には分布していない.最高分布地点の標高が長野県で目立って高いのは,この
県の個体群が他よりも寒冷適応度が高いためか〔徳本,蜘蛛38〕.
カギヅメカラスゴミグモ Cyclosa hamulata TANIKAWA, 1992
カラスゴミグモ Cyclosa atrataと混同がある.雌での区別は難しい.
基準産地は埼玉県.所見標本は北は北海道から南は兵庫県まで.雌7〜11mm,雄4〜5mm,.雄成体7〜8月〔谷川AC41(1)〕.
国外ではロシア極東地域から記録がある〔小野09〕.
成体は6〜8月,雌10〜12mm,雄5〜6mm,北海道・本州・四国・九州.
草間の地表近くに垂直円網を張り,中心に横あるいは斜め向きにとまる〔東海84,森林87,中平AT23/24〕.
ヤマトゴミグモ Cyclosa japonica BOES. et STR., 1906
雌5〜6mm,雄4〜5mm.成体出現期6〜8月.山地に多く生息.樹林地の中や周辺,林道の比較的高い場所の樹木の枝葉間に垂直の「正常円網」を張
る.
網の中央部には縦から横まで様々な角度にかくれ帯やゴミを並べるため,クモの止まる方向も様々〔新海06〕.
卵のうは他のゴミグモがゴミの列の中に作るのに対し,本種は近くの枝に紡錘形・黄褐色の卵のうを付ける〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌5〜6mm,雄4〜5mm,本州・四国・九州・南西諸島.網にはかくれ帯またはゴミを様々な形につけ,横向きにとまることが多い〔東海
84〕.
北海道焼尻島から佐賀県まで局地的に分布,朝鮮.台湾からも記録.雌4〜7mm,雄3〜4mm,ミナミノシマゴミグモと類似〔谷川AC41(1)〕.
国外では台湾,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
7〜8月に5〜7個の卵のうを作る〔山川・熊田73〕.
卵のうは木の枝に付ける〔学研76〕.
東大演習林田無試験地にて10月に雌が採集.平地では稀〔宮下直.笹岡K73〕.
自然環境指標種Bランク〔新海98〕.
クマダギンナガゴミグモ Cyclosa kumadai TANIKAWA, 1992
雌5〜8mm,雄3〜4mm.成体出現期6〜8月.山地に多く生息.別荘地や神社の庭園,草原,樹林地の中や周辺,林道などの樹間,枝葉間,草間に垂直
の「正常円網」を張る.
中心部に頭を上にして止まる.網には渦巻き状,放射状,直線状にかくれ帯や白い糸くず,ゴミなどを付けて偽装する〔新海06〕.
本州中部以北の記録はほとんどクマダギンナガゴミグモと思われる〔新海06〕.北海道には本種をやや小型にしたオオクマギンメッキゴミグモが分布〔新海
06〕.
東京都青梅市御嵩山が基準産地.成体は6〜8月,雌5〜8mm,雄4mm,北海道利尻島から大分県まで局地的に分布.
ギンナガゴミグモと類似〔谷川AC41(1)〕.
キジロゴミグモ Cyclosa laticauda BOES. et STR., 1906
=ムツデゴミグモ
雌6〜10mm,雄4〜6mm.成体出現期5〜8月.海岸から山地まで広く生息するが,個体数は少ない.樹林地の周辺,草原,林道などの樹木の枝葉間,
草間に垂直の「正常円網」を張る.
網の中央には縦にゴミを並べて,クモはその中に止まる〔新海06〕.腹部は細身で前方に1対,末端に4個の突起がある〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌8〜10mm,雄7mm,本州・四国・九州.網にはゴミを縦にならべ,中心にとまる〔東海84〕.
北海道利尻島から奄美大島まで局地的に分布,朝鮮.台湾からも記録.雌6〜10mm,雄4〜5mm,
ヤマゴミグモ,ヤセゴミグモ,オノゴミグモと類似〔谷川AC41(1)〕.国外では台湾,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
個体数は極めて少ない〔新海69〕.
自然環境指標種Aランク〔新海98〕.
ハマゴミグモ Cyclosa maritima TANIKAWA, 1992
=mis. Cyclosa litoralis (C. L. KOCH, 1867)〔八木沼.新海AT64〕
=mis. Cyclosa camerodes (THORELL, 1878)
雌4.5〜7.5mm,雄3〜4mm.成体一年中.海岸に生息.打ちあげられた流木の間,海浜植物や沢沿いに生えているハマゴウ,クサトベラなどの樹
間,枝葉間に垂直の「正常円網」を張る.
長島充(1975)によると網の中央部にゴミを並べてその中に止まる〔新海06〕.
所見標本小笠原諸島.雌5〜8mm,雄3〜4mm〔谷川AC41(1)〕.
成体は1年中,雌5〜7mm,雄2.5〜3.5mm,沖縄・小笠原諸島.海岸の岩場,廃船,流木,植物などに垂直円網を張り,中央に縦にゴミを並べる〔東
海84〕.
ヤマゴミグモ Cyclosa monticola BOES. et STR., 1906
雌7〜9mm,雄5〜6mm.成体出現期5〜8月.山地に生息.樹林地の周辺,林道などの樹木の枝葉間,草間に垂直の「正常円網」を張る.
網の中央には縦にゴミを並べて,クモはその中に止まる〔新海06〕.
腹部は細身で末端にある3個の突起が目立つ.上面には幅の広い黄色の条があり,その外側は赤褐色をしている〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌8〜9mm,雄6〜7mm,本州・四国・九州・南西諸島.網には大きなゴミを並べる〔東海84〕.
所見標本は北は東京都から対馬まで,中国.朝鮮.台湾からも記録.雌7〜9mm,雄5〜6mm,
キジロゴミグモ,ヤセゴミグモ,オノゴミグモと類似〔谷川AC41(1)〕.
本体をつつくと網をゆさぶる威嚇行動を15秒間見せた〔荘司康治郎K93〕.
自然環境指標種Aランク〔新海98〕.
トゲゴミグモ Cyclosa mulmeinensis (THORELL, 1887)
雌3.5〜5.5mm,雄2.5〜3.5mm.成体一年中.海岸から山地まで広く生息.池原・下謝名(1975)によると,特に海辺のアダンやソテツの
葉上に多く見られる.
その他,建物の周辺,草間,樹林地の周辺,林道などの樹間,枝葉間,草間に垂直から水平まで様々な角度に「正常円網」を張る.
網には中心より上方にゴミを一列になれべて行く.ゴミの周辺の横糸は切られ,「キレ網」となっている〔新海06〕.
クモは網の上に乗るように中央部上面に止まる〔新海06〕成体は1〜8月,雌3.4〜5mm,雄2.7〜3.1mm,マルゴミグモとは別種.アフリカから
東アジアまで分布〔谷川AT96,AC41(1)〕.
与那国島から奄美大島まで分布.マルゴミグモとは混在しない〔谷川K62〕.
夏型の網はZilla型で,占座点の上方の黒褐色の太い糸(食べかすや塵芥が混じる)に黒灰褐色の卵のう2〜3個をつけ,
1卵のう中に35〜45卵.卵は0・5〜0・7mm大で白色,網は不正円形で20cm大.
垂直から30度位の傾きのものまである.冬型の網は横糸が全くない〔下謝名AT28〕.
幼体は円網,亜成体から成体になると6時・12時のところに軽く集塵し,中央に占座.
他所にも対角線上に集塵.産卵期にキレ網となる.成体同志,近接して造網する〔大利K34〕.
水平の網では網面の上に占座する,餌がかかると網面の下に移動して餌まで達する〔新海明K90〕.
八重山群島に普通.キレ網に4〜6個の卵袋(幼対が越冬.ベージュ色をした紡錘状).
危険を感じると網をゆする.偽死する.雄性先熟.4月に交接期〔大利K39〕.
(以下はマルゴミグモの記録として報告されたが,分布からするとトゲゴミグモの記録)
沖縄の中城公園の1本のサクラの幼木に5種,多個体のクモがわく糸を共有しあって造網していた.
マルゴミグモが最も多い.83年5月には109頭中76頭を占めた〔新海明K54〕.
網の上面のこしきにいるが,虫がかかるとフリーゾーンから下面に行き,捕獲してから上面に戻って食べる〔新海明K73〕.
オガサワラゴミグモ Cyclosa norihisai TANIKAWA, 1992
雌4〜7mm,雄3mm,小笠原諸島.雄成体3月.ミナミノシマゴミグモに似る〔谷川AC41(1)〕.
ゴミグモ Cyclosa octotuberculata KARSCH, 1879
雌12〜15mm,雄7〜8mm.成体出現期4〜9月.平地から山地まで広く生息.都市部の庭園・公園,人家の生垣,樹林地の周辺,草原,林道などの樹
木の枝葉間,草間に垂直の「正常円網」を張る.
網の中央には縦に食べカス・脱皮殻・枯葉片などの塵芥を並べて,クモはその中に止まる〔新海06〕.
成体は4〜9月,雌12〜14mm,雄7〜8mm,本州・四国・九州・南西諸島.垂直円網を張り,
中央に縦にゴミ,食べかすなどを並べ自分もその中に潜む〔東海84〕.国外では中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
所見標本の北限は福島県,南限は鹿児島県.雌11〜14mm,雄8〜10mm〔谷川AC41(1)〕.
庭先から山麓まで広く生息しているが,ここ数年,オニグモとともに市街地では急速に数が減ってきている.
成体は5〜9月,産卵期は6〜8月で楕円形の袋のような茶色の卵のうを数日おきに5〜6個作り,ゴミの列の中に並べる.
1卵のう中の卵数は60〜130個だが,九州では300個を数えた記録もある.
20〜40cmの垂直円網を張る.採集しようとして触れても網にしがみついている.網を張り替える時はゴミの列を持ち運び,新しい網の中心につける〔森林
87〕.
擬装円網〔新海79〕.
体長と網面積に相関はない〔浅間ほかAT92〕.
庭・生垣,草原に生息〔新海80,81〕.
グラフの形は小さな山が多数みられ,枠糸の最大荷重は4.88±0.98g,限界の伸びは80%以上だった〔吉田真・桝元敏也,蜘蛛29〕.
6〜7月にゴミの中に2〜3個の卵のうを作る〔山川・熊田73〕.
1994年〜2001年まで堺市の室内飼育箱で飼育し産卵.出のう.まどいを調査した.2頭3卵のう,
産卵場所は網,産卵時期5〜6月,
産卵時刻は20〜23時,4時間かかる,50%が複数個を作成,次の産卵までの間隔は8日,
うす茶色卵,出のう卵のう率100%,出のう時期6〜7月,
出のう時刻は朝〜昼,クラッチ.サイズ30〜90個,子グモ数平均60頭,卵のう付近にまどい,まどいは1時間〔西野K85〕.
待ち伏せ姿勢のとき,脚を縮めて糸を引っ張って,張力をかけている.
クモは網の垂直方向に網糸をより強く引っ張っていた.
餌が水平方向に衝突した場合は,餌を発見できない場合が多かった〔中田兼介AC55(2)〕.
餌を網の下半分にかけ続けると,下半分がより大きな網を作った〔中田兼介AC56(2)〕.
ゴミリボンから餌種を調査した〔中平AT39〕.ヤマトシリアゲがゴミリボンの死骸を吸汁〔平松K96〕.
5月12日,ゴミリボンからヤマトシリアゲが吸汁〔高津K97〕.
かくれ帯は稀〔中平AT37〕.
網を修理するときもリボンは更改しない〔細野43〕.
ゴミリボンの有無による餌捕獲数の違いはなかった〔馬場AC52(1)〕.
5月12日,雄が朝の4時から32分間かかって枠糸にぶら下がって脱皮した〔木庭AT32〕.
塵芥・脱皮殻・食べかす等を褐色の糸で棒状につづって,占座点より下方に吊す.時に白色糸で円形の白帯を作る.
6月頃成熟し,8月頃までに4〜5個の卵のうをごみリボンの中に吊す.卵のうは赤褐色で楕円体,外被は破れ易い.
1卵のう中に200〜300卵.クモを刺激すると幼生はしおり糸をひいてボロリところがり落ちるが,卵のうを作るものはリボンにしがみついて離れない〔中
平AT23/24〕.
刺激をすると擬死する〔下謝名AT28〕.
一度,使った塵芥(食べかす,枯草,草実,羽毛,糸くず,脱皮殻,毛など)にたしていくので,成長につれて白帯も長大になっていく〔中平AT14〕.
ゴミは新しい網にもっていく〔大利AT20〕.
6月6日午前10時19分,神奈川県山北町の高松山(標高540m)で雄が求愛行動,網外の交尾糸を弾いて求愛信号を送る.
糸弾き.雌網へ侵入.雌の定位.雌の糸弾き.雄逃走があった.その後10時43分から1時間以上雄は求愛信号を送ったが雌は応答せず〔池田K79〕.
熊本にて,交接期6月,3m位の間に5〜6頭の雄が網をはっている.南面の山裾では成体越冬している.寄生蜂が腹部に寄生する〔木庭AT15〕.
1月に幼生を採集〔植村AT5〕.
5月3日,寄生蜂幼虫がクモの腹部に.5月26日羽化した.岩田久二雄によれば,
コブクモヒメバチZabrachypus tuberculatus (UCHIDA)である〔橋本AT26/27〕.
岩田(1942,Mushi)と本橋本の寄生蜂はPolysphincta nielseni〔桝元ほかAC51(1)〕.
コブクモヒメバチは幼体頭胸部に寄生し,幼体を食べつくしてゴミの中に茶色の蛹を作る.福岡市油山自然観察の森で調査,
4月初旬から中旬に寄生され始め,2週間程度で蛹化する.個体群の20%が寄生された〔桝元K80〕.
4月28日ゴミグモ腹部背側に寄生するクモヒメバチは5月2日蛹化,10日羽化,Polysphincta nielseni
ROMAN, 1923と同定された.
橋本のクモヒメバチも同種〔初芝K83〕.
ゴミグモヒメバチに寄生されると網の直径減少,縦糸の束ねによる強度の増加,糸の周囲の構造物との接着が見られる〔桝元AC58(2)〕.
寄生蜂の寄生状況を2年間調べた.ゴミグモ数も寄生率も大きく変化した〔船曳,いと38〕.
5月頃に既に成熟種あれども通常7,8月頃を成熟期となす.
垣根または樹間に縦の丸網を張り中央に長さ10cmにも及びて食餌残かす物及び卵のう等を付着せしむ.
クモは残かす物上に下向きに静止すれども色彩極めて類似せる為一見その存在を確認するは困難なり.本州・四国・九州・台湾に分布す〔関口AC5(3)〕.
三浦半島(1990年8月14日)でシロカネイソウロウが居候〔熊田K62〕.
オオクマギンメッキゴミグモ Cyclosa okumae TANIKAWA, 1992
福岡県の標本で記載,北海道で記録.雌5mm,雄3mm,成体は6〜8月〔谷川AC41(1)〕.
シマゴミグモ Cyclosa omonaga TANIKAWA, 1992
=シマゴミグモ Cyclosa insulana (COSTA, 1834)
雌5〜8mm,雄3.5〜5mm.成体出現期7〜10月.海岸付近に生息.草原,樹林地の中や周辺の樹間,枝葉間,草間に垂直の「正常円網」を張る.
網の中央には縦から横まで様々な角度にかくれ帯やゴミを並べ,クモもその方向に合わせて止まる〔新海06〕.
ミナミノシマゴミグモ,ヤマトゴミグモときわめてよく似ている〔新海06〕.
ミナミノシマゴミグモ Cyclosa confusaと本種は混同されてきた.以下の記録も明確にどちらの種か確認が必要である.
本種の基準産地は岡山県.所見標本は和歌山県から宮崎県まで.雌5〜8mm,雄4〜5mm,雄成体は8月(九州)に出現〔谷川AC41(1)〕.
記載時の分布の東端は和歌山県だったが,伊豆半島,南伊豆町(1992年7月25日)でも採集〔谷川K65〕.
成体は5〜8月,雌8〜10mm,雄5〜6mm,本州・四国・九州・南西諸島.海岸地域に多い.
木や草の間に垂直円網を張る.網につけるゴミの量は少ない〔東海84〕.
白帯円網〔新海79〕.
幼時には網の中央に同心円や渦巻き状の白帯をつけるが,成長するにつれ塵芥や食べかすなどによるリボンを併用.
これら擬装物は直線状にならべられることが多い.占座姿勢は一定しておらず,上・下・横,いろいろである.6月頃,網の近くにある樹幹などに卵のうをつけ
る.
卵のうは皿をふせたような形でやわらかく,白色であるが,時間がたつと黄色に変化する〔中平AT23/24〕.
幼生雌がアシナガサラグモの網に侵入して宿主を食していた〔中平AT39〕.
卵のうは樹間等に付ける〔中平AT37〕.
長崎にて6月19日夜産卵〔大利AT29〕.三宅島で接近すると網を振動させる〔高橋登K96〕.
オノゴミグモ Cyclosa onoi TANIKAWA, 1992
雌6〜7mm,雄3.5〜4mm.成体出現期6〜9月.平地から山地まで分布するが記録は少ない.ヨツデゴミグモにに似る.
市街地の庭園・公園,樹林地の中や周辺,林道などの樹木の枝葉間,草間に垂直の「正常円網」を張る.
網の中央には縦にゴミを並べて偽装し,クモはそのゴミの中に止まる〔新海06〕.
宮城県伊豆沼の標本で記載,山形県から熊本県で局地的に記録.雌6〜7mm,成体は6〜9月〔谷川AC41(1)〕.
雄を東京都.兵庫県(8月下旬)から記載,4mm〔谷川AC41(2)〕.国外で中国から記録がある〔小野09〕.
北海道朝日町岩尾内湖畔にて1997年7月16〜18日に採集.この種の北限〔谷川K73〕.
東京大学付属田無試験地にて生態調査し,産卵期は6〜7月と9〜10月の年2化,
地上から「こしき」までは13.1+12.3cm,または25.6+6.3cmと低かった.
体長7.0mmの雌の卵数は52(第2卵のう),62(第3卵のう),5.8mmの雌では20(第2),26(第3),25(第4)〔宮下直
AC44,K73〕.
埼玉県比企郡嵐山町で雌成体〔平松K88〕.
ヒメマルゴミグモ Cyclosa psylla (THORELL, 1887)
所見標本は佐賀県(デーニッツ採集).雌2.4mm〔谷川AC41(1)〕.ビルマでも記録〔小野09〕.
ミツカドゴミグモ Cyclosa sachikoae TANIKAWA, 1992
基準産地は西表島,奄美大島まで分布.雌4〜5mm,雄2〜3mm,雄成体1〜4月〔谷川AC41(1)〕.
沖縄本島与那にて記録〔谷川K70〕.
ヨツデゴミグモ Cyclosa sedeculata KARSCH, 1879
=ユノハマゴミグモ
雌4〜5mm,雄3〜4mm.成体出現期5〜7月.平地から山地まで広く生息.都市部の庭園・公園,郊外の農家の生垣,雑木林の中や周辺,林道などの樹
木の枝葉間,草間に垂直の「正常円網」を張る.
網の中央には縦に食べカス・脱皮殻・塵芥などのゴミを並べて偽装し,クモはそのゴミの中に止まる〔新海06〕.幼体期は白色のかくれ帯を渦巻き状に付ける
〔新海06〕.
所見標本は宮城県から鹿児島県まで分布.雌4〜6mm,雄3〜4mm〔谷川AC41(1)〕.
成体は5〜7月,雌4〜5mm,雄3mm,本州・四国・九州・南西諸島.家の周囲から山地までみられる.
ゴミグモと習性は同じ.幼体は渦巻き状のかくれ帯をつける〔東海84,中平AT14〕.国外では中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
産卵期は5月下旬〜7月で,網の中心に淡褐色の卵のうを3〜5個縦に並べる.1卵のう中の卵数は10〜30個.
低木や草間に10cm前後の目の細かい小さな垂直円網を張り,中心にゴミをつけたり,かくれ帯をつけたりする〔森林87〕.
白帯円網〔新海79〕.
庭・生垣,草原に生息〔新海80,81〕.
幼時には,占座姿勢は垂直下位,斜下横位,平行横位,斜上横位,垂直上位と変化する〔中平AT62〕.
成長するとごみリボンを占座点より上方へ縦につけ,それを尻にして垂直下位に占座する習性がある.
6月頃より褐色の卵のうを4〜5個,順次リボンの中に置く.幼生は刺激するとにげだすが,卵のうを作ると,
卵のうのある方に向きを変え,しがみついて離れない〔中平AT23/24〕.
水平に張られる網もある〔池田84〕.
体長と網面積に相関はない.11月に成体のピークがある(これは雄亜成体を成体と見誤ったもの〔池田〕)〔浅間ほかAT92〕.
雌の網に入り込んだ雄は第1脚で縦糸の1本をチョンチョンとしゃくった.
雌が応えてチョンチョンとしゃくって雄の方に2〜3歩近付く.
5回で大分近付き,雄が繰り返しチョンチョンしゃくる.雌が接近し,第1脚を雄の体にかける.雄も進む.
雌は第4脚で吊りさがる.雄は交合.5月23日梶カ森にて〔中平AT39〕.
大和市で5月23日,求愛.交尾を観察.雄は網外から交尾糸を張り,糸をつまびき求愛する.
交尾糸上に誘い出された雌と一瞬交尾して糸を切る.さらに交尾糸を張り直す.
55分間に12回も同じ雌雄で交尾した.他の雄が侵入すると,威嚇行動なく雄が入れ替わった.
1ケ月後,卵のうを3個持つ個体が多かった〔池田・谷川K66〕.
幼体期にかくれ帯,成長につれてゴミリボンを併用,成熟したものはゴミリボン一式となる.
卵のうはゴミリボンの中に置く.卵のうを守るクモは逃げない〔中平AT37〕.
隠れ帯は正円形だがハート形もあり〔細野AC5(2)〕.
マルゴミグモ Cyclosa vallata KEYSERLING, 1886
雌3.5〜5.5mm,雄2.5〜3.5mm.成体出現期7〜9月.海岸地域に多く生息.海浜植物の枝葉間,建物の周囲,岩や流木の間などに水平または
斜めに「正常円網」を張る.
網には中心より一方向にゴミを付けていくが,それに伴い,ゴミの周辺の横糸を切っていくため,ゴミの列がのびるに従い,「キレ網」になっていく.
クモは網の上に乗るように中央部上面に止まる〔新海06〕.成体は8〜9月,雌7〜8mm,雄3〜4mm,本州・四国・九州・南西諸島.海岸地域に多い.
水平から垂直までいろいろな角度に網を張り,ゴミをつける〔東海84〕.
雌4.2〜4.6mm,雄2.4〜3.3mm,
トゲゴミグモとは別種.韓国,台湾,ニューギニア,オーストラリアからも記録〔谷川AT96,AC41(1)〕.
本州神奈川県から屋久島まで分布.トゲゴミグモとは混在しない〔谷川K62〕.
海岸近くに生息するが,豊橋市の内陸の葦毛湿原にはいる〔谷川K66〕.
石川県内で分布地点を7箇所確認(2005年),海岸地域に多いが,海岸から9.5km離れた地点でも生息.
日当たりのよい明るい環境で,クロマツ,ツゲ,サツキツツジ,カイヅカイブキなどの低木または高木の
若木の葉間に造網〔徳本K89〕.
近年急激な北上傾向が見られる〔新海06〕.東京都城南島海浜公園にて2007年8月15日,多産〔荘司康治郎K93〕.2009年6月16日,世田谷区
で雌成体〔笹岡K97〕.
刺激すると網を小刻みに振動させる.6月頃,2〜3個の卵のうを作り,ごみ玉のような形に分置する.
卵のうは球形,1卵のう中に10〜30卵〔中平AT23/24〕.
かくれ帯はつけない.1本の縦糸を太くし,それにゴミ玉と卵のうを飛石状に置く.卵のうにはゴミを付ける.
卵のうを守っているクモは逃げない〔中平AT37,中平AT14〕.
トリノフンダマシ属 Cyrtarachne
午後6〜8時に1〜2時間かけて,直径40cmから1mの目の荒い水平円網を張る.
まず,9〜11本の縦糸をはった後,足場糸をつくらずに,すぐ横糸をはってゆく.
横糸は1本ごとに網の中心までもどってつくってゆくので,ゆるくたるむようになる.
糸とその粘着力は強く,糸にかかった獲物があばれても滅多に切れない〔学研76〕.
トリフン,オトトリフンは子グモが卵のうに穴を開けて出のうする〔千国AT77〕.
オオトリ,トリフン,アカイロは共通した網構造である.網の高さは2m.
ほとんど水平,環境によりやや斜め.
構造
@同心円状円網だが,完全な同心円ではなく,
2〜3本の縦糸との交点には横糸のずれがある.
A直径50〜90cm.縦糸は9〜10本,少ないもので7本.
B横糸も縦糸数と同じ位.縦糸との交点付近には粘液がない.
縦糸付近から虫がかかると切れて,つり下がる.
造網過程
@足場糸を作らない.枠糸や縦糸を引きおわれば直ちに外側から横糸を張る.
A1本の横糸を張る毎に糸を出しつつ,中心に返り,返った後もしばらく糸を出しつづけ,やがて隣りの縦糸を伝って次の横糸を張る.
B横糸の縦糸への付着点を決めるのは糸の張力であろう.
C横糸を半分位張ると,次は全く別の方向に進んで横糸を張る.捕食,虫がかかると糸は切れて垂れ下がる.
造網は8月10日吉野山で夜6時半から7時半.破網は午前5時半〔小野・八木沼AT28〕.
幼体は夕方暗くなる頃から活動し,ユズの葉のへりに移動してくる.
第4脚で葉のへりを,第3脚で葉の表面を押さえ,第1・2脚をひろげて捕虫待機姿勢を取る.
飛んで来る虫を抱き込むようにして捕える.捕らえた瞬間,しおり糸で空中にぶら下がる.
虫を葉裏へひきあげて捕食する.雄及び雌亜成体も網をはらずに虫を捕る〔熊田・井上・加藤AT85,熊田・萩本・加藤・新海明K80〕.
1981年8月15日に八王子城跡で,アカイロ,オオトリ,トリフン,ソメワケ,シロオビ,クロトリの網,造網・破網時刻,餌を比較した.
アカイロ・シロオビ・ソメワケの網は50×40cmだが,オオトリ・トリフンはやや大きく,タテ長である.
アカイロの網高が平均117cmなのに,オオトリは436cmであった.アカイロの造網開始時刻は19時から19時半,トリフンは22時から23時であっ
た.
破網時刻は1980年にはアカイロが1時だったが,1981年には0時であった.
その頃降り出した小雨のせいか.餌捕獲率は37・5%(1980),10・3%.餌種は86%がガであった.
破網時に網を食べてしまうので粘糸にかかる小昆虫も養分となる〔新海明他AT86〕.
トリノフンダマシとオオトリノフンダマシは幼体では区別できないので,トリノフンダマシ類として造網開始時刻を調査した.
6月26日に最初の造網を確認,この時期から7月中旬までは20時までにすべての個体が造網を完了していた.7月下旬以降は
造網しない個体が目立ち,造網が遅くなる傾向が見られた.8月下旬になると再び早まったがデータ不足〔新海明K82〕.
横糸直径は同サイズの円網種に比べて約4倍,強度は10倍大きかった.糸の粘性は造網直後は大きいが,数時間以内に急激に低下した.
糸や粘着物質の総量に対する投資量(体重比)は大きかった)〔宮下直・カルタン和美AC48(2)〕.
トリノフンダマシ類(トリフン,オオトリ,シロオビ)に捕獲された蛾と飛翔中の蛾の種組成と性否を調査した結果,
餌はさまざまな種の雌雄から構成され,性比は0.77で雌に偏っていた.
また,飛翔中の蛾の性比に違いは見られなかった.
したがって,特定の蛾を誘引していない〔宮下直・坂巻祥孝・新海明AC50(1)〕.
造網時刻には湿度が関与(湿度が高いと造網)しており,気温や餌量は関与していなかった.
低湿度では粘性が低下した〔宮下直・草原美樹・前園泰徳AC52(2)〕.
トリノフンダマシ Cyrtarachne bufo (BOES. et STR., 1906)
雌8〜10mm,雄1.5〜2.5mm,成体出現期7〜10月.里山から山地に生息.樹林地やその周辺の草原,林道の樹木,草の葉裏に多い.
昼間,葉裏に脚を縮めて止まっていると,鳥の糞の様に見える.夕方より活動を始め,樹間あるいは樹木とその下にある草にかけて
「同心円状円網」を張る.網は横糸が渦巻きになっておらず,同心円に近いことから付けられている〔新海06〕.
成体は7〜10月,雌8〜10mm,雄1.5〜2mm,本州・四国・九州・南西諸島.山道や林縁のススキや低木の葉の裏に静止していて,夜間,
同心水平円網を張り,早朝とり去る.網の粘性は強く,相当大きなガも捕える.産卵期は8〜9月,1〜3個の球形の卵のうを作る〔東海84〕
国外では台湾,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
とらえた餌の86%はガであった.破網時に網とともに小昆虫を食べてしまう〔新海明他AT86〕.
習性報告あり.餌としてフタバカゲロウ,ガガンボ,ユスリカ,ヒラタアブ,ウンカ,ヨコバイ〔萱島52,ARA.NEWS(1)〕.
造網に要する時間は1〜4時間,たたむ時は10〜30分.雨の日,風の強い日には網をはらない.雄も活発に糸を出すが,網は見ない.
産卵は8月中旬〜9月上旬〔大熊AT13〕,〔小野・八木沼63,AT28〕.
杉の若木の間に3本の枠糸,7本の縦糸を張っていた.横糸を張る時は,糸を引きながら,縦糸をこしき部へ戻り,隣りの縦糸を下がって,
外側の横糸から張っていく.最初に基点となる縦糸があり,そこから右周りに横糸を張っていって,基点の縦糸まで来ると(始めの点より少し内側へ付ける),
今度は左周りに横糸を張る.基点の糸に来るたびにUターンしながら中心に近付いていく.虫がかかると横糸は決まった端で切れて,
虫はぶら下がる.クモは振動を感じるのか中心から出かけていって,糸をたぐり,虫をひきあげてかみつく.自分を糸にぶら下がり,
糸をかける.糸いぼから引出した糸に虫を下げ,こしきへ持っていって捕食する〔杉永AT31〕.
9月頃,2〜5個の卵のうを樹葉や枝に吊す.子グモは10〜11月に分散する.卵のうはほぼ球形,直径20mm内外〔中平AT23/24〕.
夜明け前に網を手繰って壊し,葉裏で食べる〔中平92〕.
刺激すると口から液を出す.テントウムシの出す液に臭が似る〔高野K39〕.
関東では9月に成体,中旬に産卵,産卵後3週間をして出のう,2令幼体で越冬(椿の葉裏など).オオトリノフンダマシも同様〔鈴木勝K47〕.
10月24日に出のうした幼体雄は翌年4月18日,5月20日に脱皮.背甲脱皮殻に網目模様あり〔加藤むK66〕.生活史を調査〔木庭H1(1)〕.
あきるの市広徳寺にてオオトリノフンダマシとの雑種と思われる個体〔新海明K84〕.
オオトリとの雑種と思われる個体(腹背はオオトリ斑紋類似だが頭胸部が真っ黒)を東京都青梅市で7〜8月に発見.
ススキの葉裏でトリ雌とオオトリ雄が同居する例を観察〔新井K94〕.雑種を愛知県・東京都・埼玉県で記録〔新海明K94〕.
トリノフンダマシ類(トリフン,オオトリ,シロオビ)に捕獲された蛾と飛翔中の蛾の種組成と性否を調査した結果,
餌はさまざまな種の雌雄から構成され,性比は0.77で雌に偏っていた.
また,飛翔中の蛾の性比に違いは見られなかった.したがって,特定の蛾を誘引していない〔宮下直・坂巻祥孝・新海明AC50(1)〕.
自然環境指標種Cランク〔新海98〕.
オオトリノフンダマシ Cyrtarachne inaequalis THORELL, 1895
雌10〜13mm,雄2〜2.5mm,成体出現期7〜10月.平地から山地まで生息.クリ,クワ,かんきつ類などの果樹園と周囲のススキ原に特に多い.
その他,草原,河原,樹林地,林道などの樹木や草の葉裏に静止する.
夕方から活動を始め,樹間や樹間と草間に大型の「同心円状円網」を張る〔新海06〕.
成体は7〜10月,雌10〜13mm,雄2〜2.5mm,本州・四国・九州・南西諸島.桑畑,果樹園(甘橘類,クリほか),山間部道添い,
ススキ原,河原などの植物の葉裏に生息する.昼間は脚を縮めて動かず,夕方から夜間にかけて活動し,大型(直径50〜150cm)の同心水平円網を張る.
産卵期は8〜9月で2〜4個の卵のうを作る〔東海84〕.インドから台湾,韓国,中国でも記録〔小野09〕.
黄褐色の卵のうを2〜4個(最高7個)作り,自分のひそんでいる葉の近くにつるしておく.
1卵のう中の卵数は200〜400個,高知県では600個の記録もある.昼間は葉の裏で脚をちぢめてじっとしているが,夕方6時頃になると行動を開始し
て,
50〜150cmほどの同心円状の水平円網を張る.横糸の粘性は非常に強く,かかった獲物は逃げることができない.
クモは翌朝網を完全にこわし,糸くずにして食べてしまう〔森林87〕.生活史を調査〔木庭H1(1)〕.8月16日調査では破網時刻は午前4時ころであっ
た〔新海明K82〕.
破網行動は「雪掻き型」でも「ブラインド型」でもなく,クモは動かずに糸をたぐり寄せ,球にすると次のところへ移動して手繰るという
行動を繰り返す〔新海明K82〕.網の高さの平均が436cm.これは同所に生息するアカイロに比べて高い.造網時間は午後10時から11時で,アカイロ
に比べて遅い〔新海明他AT86〕.
1976年8月5日から調布市で8月18日まで毎晩造網行動を観察(8月13日深夜は観察しなかった).
二週間で造網日は3日.造網時刻は8月10日26:00(朝7:00には取り払われた),
8月12日24:15開始,横糸を張り終える(縦糸12本,横糸4重.一部5重)と網の端の住居に相当する葉の下で網を引張り網全体を少し持ち上げる.
クモはこの葉の下で待機した.8月14日24:30には網が無かったのに,25:00網を張り終えていた(縦糸10本,横糸4重).
8月15日24:00雨だが網を張り終えていた.網を張り始める時刻が少し早くなってきた.
8月16日4:00真っ暗だが突然網をたたみ始めた.たたみ方は数回に分けてたたんだ網を丸めて食べてしまう.獲物よりまず糸玉を食べる〔佐藤幸子
K96〕.
8月25日夜(2008年)に兵庫県新温泉町で発見した雌はその後2個卵のうを作り,9月11日夜20時25分より3個目の卵嚢作りを観察できた.
20:58に紡錘形,外側や周辺に糸をかけ,22:15表面に黄色の糸が付けられる,00:34,外壁に「口つけ行動」,00:42ほぼ完成したので観察
終了〔山本一幸K96〕.
表面の色のちがう卵のう中にミノバエのさなぎ24個を観察,クモ卵は無し〔高橋登K96〕.
五日市横沢で採集した卵のう3個は(1)10月20日273頭出のう,(2)11月1日11頭出のう+18頭生存+99頭死亡,
(3)11月6日1頭+11月11日9頭出のう+11月12日5頭出のう+死亡3頭+未ふ化1頭〔鈴木成生K65〕.
山梨県扇山で1986年11月9日に採った卵のう44例中7例は卵が無かった.17例は出のうが終っていた.
残り13個は,11月16日から1月3日の間に出のうした.幼体は上に昇り,通常は卵のうの上部から出る〔新海明K57〕.
幼生は卵のうの中で越冬するものと,外へ出て越冬するものがある.卵のう内の卵の数は40〜50個位であった〔山川・熊田73〕.
卵のうは紡錘形,長径32mm,短径12mm位.淡黄色〜褐色,500〜600卵〔中平AT23/24〕.
冬に4群7個の卵嚢を観察.出嚢済み5個,一部子グモが卵嚢のとどまっていたもの3個,
2個は脱出口なくすべての子グモが卵嚢内にとどまったもの2個〔永井均,蜘蛛20〕.
7月31日20時30分,交接行動を観察,雄は交尾糸上で糸をゆする求愛,雌に接近し脚に触れると雄は遠ざかる,再度雄は接近し,
雌が1脚2脚を下げて受け入れ態勢を取ると触肢を挿入(1秒間),雄が離れる.繰り返し求愛し交尾する.2時間後も行動していた〔新海明K81〕.
8月7日21時,雄Aが3回交尾した後で,別の雄Bが求愛し交尾した〔新海明K81〕.
刺激すると口からテントウムシの出すような液を出す〔高野K39〕.あきるの市広徳寺にてトリノフンダマシとの雑種と思われる個体〔新海明K84〕.
トリフンとの雑種と思われる個体(腹背はオオトリ斑紋類似だが頭胸部が真っ黒)を
東京都青梅市で7〜8月に発見.ススキの葉裏でトリ雌とオオトリ雄が同居する例を観察〔新井K94〕.雑種を愛知県・東京都・埼玉県で記録〔新海明
K94〕.
トリノフンダマシ類(トリフン,オオトリ,シロオビ)に捕獲された蛾と飛翔中の蛾の種組成と性否を調査した結果,
餌はさまざまな種の雌雄から構成され,性比は0.77で雌に偏っていた.
また,飛翔中の蛾の性比に違いは見られなかった.したがって,特定の蛾を誘引していない〔宮下直・坂巻祥孝・新海明AC50(1)〕.
自然環境指標種Cランク〔新海98〕.
ソメワケトリノフンダマシ Cyrtarachne induta YAGINUMA, 1960
アカイロトリノフンダマシの色彩変異だった〔谷川AC50(1)〕.
成体は7〜9月,雌5〜7mm,雄1.5mm,本州(関東以南)・四国・九州・南西諸島.山道の草や低木の葉裏にいる〔東海84〕.
夜間(午後7時頃より),水平同心円網を張る〔新海77〕.
管びんにいれておくとエーテル様の臭いを出す〔高野K39〕.東京都木下沢で採集〔高野K39〕.
卵のうの形が判明.アカイロトリノフンダマシの卵のうと同じ〔新海明.新海栄K70〕.
岡山県新見市で1996年8月9日に雌成体を採集したところ8月14日に産卵した.卵のうは黄色.電球形で下端に突起〔安田K72〕.
自然環境指標種Aランク〔新海98〕.
シロオビトリノフンダマシ Cyrtarachne nagasakiensis STRAND, 1918
雌5〜8mm,雄1.5mm,成体出現期7〜9月.里山から山地に生息.ススキ原,草原,樹林地の周辺,林道などの草や樹木の葉裏に静止する.
夕方から活動を始め,「同心円状円網」を張る〔新海06〕.クロトリノフンダマシは本種の色彩変異〔新海06〕.
成体は7〜9月,雌7〜8mm,雄1.5mm,本州・四国・九州・南西諸島.ススキの葉裏にいることが多い〔東海84,森林87〕.韓国,中国でも記録
〔小野09〕.
アズキ色の雌(三重県熊野市,1993年7月26日)〔東条.新海明K70〕.
色彩変異があり,白帯型.白斑型.黒型(=クロトリノフンダマシ)がある〔新海明K84〕.
夜間,草間の低い位置に同心水平円網を張る〔東海84〕.円海山で11月幼体〔安田K78〕.
7月12日,横糸張りをみた.縦糸は12本あった.左右交互に半円ずつ張り,同心円を作る.
引出した横糸を縦糸に付着させるとき粘球のない糸を少し付加している.虫がかかると切れる方がきまっている.
また,クモが獲物に接近するのは必ず横糸の起点がある縦糸である〔有田AT28〕.
八王子市滝山にて8月9日に採集,翌日産卵(長さ約2・1cm,巾約0.3cmで鮮やかな黄色〔高野K35〕.
わく糸は基本的に五角形,地表面に対して水平,網にかかった餌は横糸を取りはらい,縦糸の昼間辺りで食べる〔貞元K47〕.
飼育下で求愛と交尾を観察.1996年8月11日,千葉市で1本の糸を渡した雌の糸上に雄を置いた.雄は2秒ほど体を振動.雌は1,2脚で手招く.雄は接
近し腹部で交尾.雄は元に戻る.以上の行動を4回繰り返した.交尾は3〜6秒間.8月12日,5回交尾した.8月13日両者反応なし.8月14日雌は産卵
し,夜5回交尾.8月15日1回交尾.8月24日雄が死亡〔泉K71〕.
トリノフンダマシ類(トリフン,オオトリ,シロオビ)に捕獲された蛾と飛翔中の蛾の種組成と性否を調査した結果,餌はさまざまな種の雌雄から構成され,性
比は0.77で雌に偏っていた.また,飛翔中の蛾の性比に違いは見られなかった.したがって,特定の蛾を誘引していない〔宮下直・坂巻祥孝・新海明
AC50(1)〕.
黄色で細身かつ紡錘形の卵のうを発見〔荘司K95〕.子グモのDNA分析から黄色の卵のうはシロオビのものと判明.安田が高知県で発見した卵のうもシロオ
ビだった.従来,シロオビの卵のうとされていた薄茶色の卵のうはシロオビのものか不明.DNA分析からは南西諸島系と本土系のシロオビが生息する〔谷川,
しのび36〕.
8月15日深夜,卵のうを作成した〔山本一幸K97〕.
自然環境指標種Bランク〔新海98〕.
クロトリノフンダマシ Cyrtarachne nigra YAGINUMA, 1960
シロオビトリノフンダマシの色彩変異,黒型だった〔谷川AC(50)〕.
成体は7〜9月,雌6〜7mm,雄1.5mm,本州・四国・九州・南西諸島.山道の草や低木の葉の裏に静止している〔東海84〕.
自然環境指標種Bランク〔新海98〕.
アカイロトリノフンダマシ Cyrtarachne yunoharuensis STRAND, 1918
雌5〜7mm,雄1.5〜2.2mm,成体出現期7〜9月.里山から山地に生息.草原,樹林地の周辺,林道の草や樹木の葉裏に静止する.
夕方から活動を始め,小型の「同心円状円網」を張る〔新海06〕.テントウムシのように見える〔新海06〕.
成体は7〜9月,雌5〜7mm,雄1.5mm,本州(東北・関東・中部地方の1000m以上の地域を除く)・四国・九州・南西諸島.
山麓のススキ,山道の草や低木の葉の裏に静止している.
夕方から活動し,比較的小さな(直径20〜40cm)同心水平円網を張り,早朝網をとり去る〔東海84〕.中国でも記録〔小野09〕.
ソメワケ型はアカイロの色彩変異だった〔谷川AC50(1)〕.
産卵期は8〜9月で,淡黄色の細長い卵のうを通常1個作る.1卵のう中の卵数は180〜280個.
ススキや草間に多く,樹間ではあまりみられない.獲物は蛾類が主体で,かかると横糸の一端が切れてぶらさがる.
クモは縦糸を伝わってゆっくりと近づき,獲物を引きあげて捕える〔森林87〕.
網の平均の高さ117cm.造網は午後7時から7時30分頃.破網は午前1時頃から.
ただし雨がふって0時から破網した例もある〔新海明他AT86〕.
卵のうを1個しか作らないことが多い〔学研76〕.
長径8mm,短径5mmの卵のう.淡黄色〜褐色.8月頃産卵する〔中平AT23/24〕.
網は平均で縦糸10本,横糸6本,ワク糸4本であった〔新海明他AT86〕.
決った方が切れる接合をlow shear joint と呼んでいる.
横糸が交互に半円状に張られるが,その出発点となる縦糸は,必ず網の最下方のものが選択される〔新海・新海AT85〕.
管びんにいれておくとエーテル様の臭いを出す〔高野K39〕.
網構造および造網行動について詳述〔新海明AT100〕.
1980年から1985年までの6年間,八王子城址で100m当たりの個体数をカウントした.最大は22.0(1981年)で,
最少は0(1985年),1986年以降は2〜0となっている〔新海明K88〕.
自然環境指標種Aランク〔新海98〕.
キヌアミグモ Cyrtophora exanthematica (DOLESCHALL, 1859)
雌9〜12mm,雄3〜4mm,成体出現期6〜8月.里山から山地に生息.果樹園(かんきつ類に多い),公園・庭園・植物園,低いスギ林,樹林地の周
辺,林道等の樹木の枝葉間,枝先に水平の「絹網」を張る.
クモは網の中心付近にいるが,脚を縮めてじっとしていると枯れ葉がかかったように見える〔新海06〕.
卵のうを網の上部に作ると,卵のうに張りつくように静止している〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌9〜11mm,雄3〜4mm,本州(紀伊半島)・四国・九州・南西諸島.山間部の甘橘畑,低い杉林に多く,枝葉間に水平絹網を張る〔東
海84〕.
国外ではビルマからフィリピン,ニューギニア,台湾,中国から記録がある〔小野09〕.
幼体は食べかすをその補助網に吊す〔中平AT37〕.
柑橘畑に多い.スズミグモの主網を偏平にしたような網である〔八木沼AT16〕.クロマツ林内のユズリハなど照葉樹に造網〔菊屋H4(2)〕.
樹枝に小さな方形の網目を持つ平らな網を張る.この平網の上方及び下方に不規則網が平網を支えた形に付属している.
網糸には粘性がない.下方の不規則網は幼生時の食べかすを吊すが,成長に伴って簡略化する.
昆虫が上方の不規則部に迷い込むと,クモは平網を強くしゃくる.
平網上におちた昆虫の縁を周りながら,網糸を切り,捕糸を投げかけてしばりあげる.
獲物を持ち帰る時は狩猟の際に生じた破れ目をくぐって帰る.
7月頃成熟し,枝間にこまかな網目を有する球形篭状の産室を作り,その中心に卵のうを吊し,クモは保護する.
幼生で越冬.枝先の葉を3毎程ひきよせて朝顔型にした中に不規則網を張り,それに枯葉の小片など吊し,或いは糸で小さいが,
厚い幕を作ってその下にひそむ.雄は体に応じた小さな網を作り狩猟するが,6月頃から雌をたずね歩く〔中平AT23/24〕.
柑橘樹に多く生息し,所によっては新芽をかみ取って害を与える.スズミグモのように横三重網であるが,本網はドームをなさず水平.
小さな矩形(縦0・7mm,横1mm)で構成され,横糸に粘球を欠く〔八木沼AC16(1)〕.
スズミグモ Cyrtophora moluccensis (DOLESCHALL, 1857)
=syn. Aranea ikomasanensis BOES. et STR., 1906
雌14〜23mm,雄3〜5mm,成体出現期7〜9月.平地から山地に生息.風通しの良い樹林地に特に多い.農家の周囲,公園,果樹園,湿原,樹林地の
中や周辺,河原,林道等の樹間にドーム状の30〜80cmの「絹網」を張り,網の天井部に止まる〔新海06〕.
網は縦糸・横糸共に粘性が無く,数ミリ間隔に引かれて極めて目の細かい構造=絹網になっている〔新海06〕.
成体は7〜9月,雌18〜23mm,本州(静岡県以南)・四国・九州・南西諸島.南のクモであるが,北上傾向を示し,
現在北限は岐阜県,東限は大井川流域である.風通しの良い樹間にドーム絹網(細かい網目で形成)を張り,上下に不規則に糸を引く.
網には粘性がなく,網にはいった昆虫は糸にからまってとらえられる〔東海84〕.インドから台湾,オーストラリア,中国からも記録〔小野09〕.
大群になる条件のひとつとして水辺が大きく影響〔緒方,しのび21〕.
真夜中に造網の概要〔千国/狩り〕.
雄3〜5mm.神奈川県,岐阜県,福井県を結ぶ線より南に分布〔森林87〕.
1980年から2000年まで北上の記録まとめ〔新海明K80〕.
神奈川県での記録は1980年7月24日,横浜市港南区野庭町にて幼体1頭〔谷川らK48〕,
1984年7月20日,小田原市曽我山雌幼体1頭〔浜口K53〕,
1989年8月12日,平塚市上吉沢のミカン畑で雌3頭確認〔磯部K59〕,
1989年9月15日,秦野市弘法山の途中で雌・卵のうを確認,チリイソウロウグモが居候〔谷川K59〕,
1989年8月12日,大井町で幼体を,1991年7月22日大磯町虫窪で雌成体を確認〔池田K63〕,
1992年8月,厚木市七沢自然保護センターにて唐沢良子1頭採集〔平松・笠原K78〕,
1995年7月5日,川崎市多摩区生田緑地で雌亜成体〔伴K70〕,
1996年8月19日,津久井郡城山町にて,雌1頭と卵のう〔伴・大川秀治K76〕.
東京都での記録は
1991年八王子市南浅川町で熊田採集〔新海私信,新海明・金野K75〕,
1992年杉並区善福寺で松浦採集〔新海私信,新海明・金野K75〕,
1995年10月15日に東大演習林田無試験地にて幼体〔宮下直・笹岡K73〕,
1996年9月7日八王子城址にて網のみ〔新海明・金野K75〕.
2006年8月5日八王子市宮下町で雌〔松本K90〕.
埼玉県での記録は
1999年8月1日,埼玉県日高市楡木にて雌成体2頭を確認,8日に1頭になり20日には消失〔平松・笠原K78〕
愛知県刈谷市でスズミグモの大群を発見.8月8日には最大423頭を確認した〔緒方,蜘蛛21〕.
薩南諸島小宝島では7月17日,ナガコガネグモとともに,多くの雌の網に雄がいた〔石野田AC48(2)〕.
横糸の造網の際の脚の使い方は他種(ジョロウ,ナガコガネ,コガタコガネ)の足場糸張りと共通である.つまり糸のくり出しに脚が参加しない.
これは他種のこしき部の動作により近い〔福本AT60〕.
網の更新,卵のう作り,スタビリメンタム作りは夜間行われる.高知にて,卵のうは9月4日(出のうは9月28日),9月14日(10月14日),10月
12日に発見した〔中平AT55〕.
1卵のうからは500〜600,多いものでは1000頭もの子グモが出る.なかなか同じ場所に居着かない.網の更新は早朝,不定期に行われる.
古くなっても張り替えないこともあり,新しくても替えることもある.5日前後で替える個体が多い〔中平AT55〕.
造網動作について〔福本AT57,中平AT57,千国AT58〕.
卵のう作り〔千国AT58〕.
主に円形のかくれ帯がみられることがある.1雌の作る卵のう(紡錘形で表裏不相称)数は1〜3個.表面に小白球が付着.2個目は下方にならべられる.
第4脚を卵のうの下端につけているが,刺激を与えるとさっと逃げる.ジョロウグモとは成体出現時期がずれており,季節的にすみわけている〔中平
AT46/47〕.
網に落ちかかった枯葉は取り除き,できた穴を修繕するが,体背にある補助網についた枯葉は取り除かない.この習性は,ジョロウグモの習性に近い〔中平
AT37〕.
局地分布をする〔中平AT23/24〕.
網の直径30〜80cmの円天井型で,成長と共に直径と深さを増す.主網は円網で,放射状の縦糸と横糸からなり,網の目は1〜2mmの正方形か矩形で構成
されている.
雄も雌の網の付近の葉裏に小型のドーム網を作る.粘球がない〔八木沼AT16〕.
兵庫県龍野市にて9月9日22時〜10日4時50分,産卵動作の記録,こしき穴のそばに葉状のシート,中央にくこみ,周囲を厚くする.
0時0分上向いて産卵,卵のうに糸をかけていく.糸いぼと卵のうの間で糸玉を作り,卵のうに付ける.上端以外の糸を切り,卵のうは宙吊り.糸玉を付けなが
ら,
こしき穴も糸でかがる〔福本K33〕.
沖縄の名護城では網内に小網がある.幼体の網である.捕獲に使われている.また独立した幼体の網は皿網に似る〔新海明K54〕.
1994年〜2001年まで堺市の庭に放して飼育し,野外観察.8頭14卵のう,産卵場所は網,産卵時期8〜10月,
産卵時刻は21〜23時,6時間かかる,平均1.8個(最大3個),50.0%が複数個を作成,
次の産卵までの間隔は16.3日(11〜19日),
レモン色卵,出のう卵のう率64.3%,出のう時期9〜12月,
出のう時刻は朝〜昼,クラッチサイズ60〜1000個,子グモ数平均350頭,
卵のうの上にまどい,堺ではまどいで越冬〔西野K85〕.
1月10日,八王子城址で卵のうの上部に出のうした100頭ほどの幼体がまどっていた〔新海明K86〕.
秋に卵嚢内で1回脱皮した後に出嚢し,2令で越冬.場所は母グモの網のそばの樹葉がつづりあわされた住居の中,
越冬後子グモは摂食脱皮せず5月まで住居内で集団で暮らした〔小笠原幸恵,蜘蛛29〕.
ハラビロスズミグモ Cyrtophora unicolor (DOLESCHALL, 1857)
雌17〜20mm,雄3〜4mm,成体出現期6〜8月.山地に生息.個体数は少ない.樹林内の樹間に水平またはハンモック状の「絹網」を張る.
網の上部には糸が引き回され,その中に枯れ葉を吊るしてその下に潜む〔新海06〕.
夜間は網に下りて来て網の中央で獲物を待つ〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌17〜20mm,雄不明,沖縄本島以南.樹林内にハンモック絹網(皿をおいた形)を張り,
網の上部には枯葉を吊るし,中に潜む〔東海84〕.クリスマス島産で雄(体長2.9mm)が記載された.
雌と交尾中で左触肢はエンボルスが無く,右は完全.中国からミャンマー,タイ,スリランカ,
インドネシア,パプアニューギニアに分布〔Framenau, 2008JA〕.ラオスから記録〔Jager他AC58(1)〕.
国外ではスリランカからフィリピン,オ−ストラリア,台湾,中国から記録がある〔小野09〕.
幼体の網が皿網に似る〔新海明K54〕.
成体の網は中央が盛り上がっており,中心に穴がある.穴は落葉で隠され,餌は必ず隠れがにもち帰る〔新海明K57〕.
触肢ふ節が取れている雄,エピジナムにエンボルスが刺さった雌が見られた〔谷川K65〕.
夜間に枯葉から出て主網の中央に占座〔谷川K78〕.居候グモの宿主〔宮下直2002JA〕.
サガオニグモ Eriophora astridae (STRAND, 1917)
=syn. Zilla sagana (BOSE. et STR., 1906)
雌7〜10mm,雄4.5〜6mm,成体出現期4〜7月.里山から山地に生息.春先最初に現れるクモ.樹林地の中やその周辺,林道沿いの樹間に20cm
前後の垂直の「正常円網」を張り中心に止まる〔新海06〕.
網にかくれ帯を付ける個体も多い〔新海06〕.カラフトオニグモに似るが,両肩の張り出しで区別できる〔新海06〕.
成体は5〜7月,雌9〜11mm,雄6〜7mm,本州・四国・九州・南西諸島.
樹間に垂直円網を張り,中心にとまる.かくれ帯をつける個体もみられる〔東海84〕.国外では台湾,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
成体は4〜7月.カラフトオニグモと同じように,春先最初に現れるクモ.
山地の樹間に垂直円網を張り,中心に止まる.
腹部の両肩は大きくはっていて,突起のようになっているのが特徴〔森林87〕.
かくれ帯は占座点の上方と下方に,縦に短くジグザグ状につける〔中平AT37〕.
Zilla sagana (BOES. et STR., 1906)として,幼体から成長に従って体色形態変化し,
個体による色彩変異が多い〔八木沼AC14(1)〕.
自然環境指標種Cランク〔新海98〕.
キンカタハリオニグモ Eriophora aurea (S. SAITO, 1934)
=Zilla aurea (SAITO, 1934)
雌7〜10mm,雄4〜6mm,成体出現期6〜8月.北海道・本州ともに1000〜1500m以上の山地に生息.樹林内,河川沿い,林道などの樹間,草
間に垂直の「正常円網」を張り中心に止まる〔新海06〕.
網にかくれ帯を付ける個体も多い〔新海06〕.サガオニグモに似るが腹部両肩の突起が無い.腹部の色彩には変異が見られ,青緑色・緑黒色・黄色〔新海
06〕.
成体は7〜8月,雌6〜10mm,雄5〜7mm,北海道・本州(高地).高山地域の樹間,草間に垂直円網を張る.
青緑色,緑黒色,黄色などの変異がある〔東海84〕.
カラフトオニグモ Eriophora sachalinensis (S. SAITO, 1934)
=Zilla sachalinensis (SAITO, 1934)
=syn. キマダラオニグモ Zilla flavomaculata YAGINUMA, 1955
=syn. トカチオニグモ Zilla tokachiana (S. SAITO, 1934)
雌5〜9mm,雄3.5〜5mm,成体出現期5〜8月.里山から山地に生息.樹林地の中やその周辺,林道沿いの樹間,枝葉間に長く糸を引い
て,15〜20cmほどの垂直の「正常円網」を張り中心に止まる〔新海06〕.
網の中心の上下にかくれ帯を付ける個体もいる〔新海06〕.腹部の色彩・斑紋には変異が多く,白色黒斑型・黄色型・緑色型・白条型・キマダラ型など様々
〔新海06〕.
サガオニグモに似る〔新海06〕.国外ではロシア極東地域,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
成体は5〜8月,雌7〜9mm,雄4〜5mm,全土.木や草の間に垂直円網を張り中心にとまる.
かくれ帯をつける個体もある.
色彩,斑紋には変異が多く,白条型,緑色型,黄色型,キマダラ型などがみられる.
産卵期は7〜8月で,半球状の黄色の卵のうを樹皮,葉,建物などに作る〔東海84〕.
山麓から山地にかけて多く,林道沿いや林内の樹間によくみられる.
成体は4〜8月,産卵期は6〜8月,樹皮の上,葉の上,石燈篭,建物などに,
半球状の1cm前後の黄色またはとう黄色の卵のうを作る.
1卵のう中の卵数は40〜100個.樹木の間に長く糸を引いて,20cm程の比較的小さな垂直円網を張る.
クモはその中心に脚を縮め,静止して獲物をまっている.クモのいる位置の上下に1〜3cmのかくれ帯を付ける個体も多い.キマダラ型は報告例が少ない〔森
林87〕.
色彩変異多く,完全円網を作る〔八木沼AC14(1)〕.
キマダラオニグモ Zilla flavomaculata YAGINUMA, 1955として,「1951年8月2日,三重県大人平山にて八木沼採集の雌(6.7mm)にて記載,
山間樹間にてZilla sachalinensis様の垂直完全円網を張る〔八木沼AC14(1)〕」.
トカチオニグモ Zilla tokachianus (S. SAITO, 1934)として,「Zilla sachinensisに似るが,北海道のみから産する.
SAITOによれば,生殖器複雑,葉状斑明瞭,他いくつか区別点あり〔八木沼AC14(1)〕」.
ヤンバルオニグモ Eriophora yanbaruensis TANIKAWA, 2000
雌6〜8mm,雄4〜5mm,成体出現期3〜5月.里山から山地に生息.樹林地の中やその周辺,林道沿いなどの樹間,枝葉間,草間に垂直の「正常円網」
を張り中心に止まる〔新海06〕.
沖縄産のカラフトオニグモと言えるほどそっくりなクモ〔新海06〕.
成体雌平均7.8mm,雄平均4.4mm,カタハリオニグモによく似る.沖縄本島に分布〔谷川AC49(1)〕.
トガリオニグモ Eriovixia pseudocentrodes (BOES. et STR., 1906)
=Araneus pseudocentrodes BOES. et STR., 1906
雌4〜5mm,雄2.5〜3mm,成体出現期7〜9月.山地に生息.林道沿いの樹間や林道上2m以上の場所に,道を横断して垂直の「正常円網」を張る.
昼間でも中心に止まっている個体が多い.
網の一端に潜む個体も見られる〔新海06〕.
成体は7〜9月,雌4〜5mm,雄2.5〜3mm,本州・四国・九州・南西諸島,道の樹間に体の割には大きな直径20〜40cmの垂直円網を張り,中心に
とまる〔東海84〕.ラオスから記録〔Jager他AC58(1)〕.
7〜8月にかけて卵のうを作る個体が多い〔山川・熊田73〕.
A音(440Hz)の音叉振動に対して雌は餌と認識し,雄は拒否する〔上田AT73〕.
宮崎では杉林によく見られる〔松山他AT43〕.
大形の網を張る.占座姿勢は垂直上位が基本だが,垂直下位,平行横位のものも見掛ける〔中平AT23/24〕.台湾,中国でも記録〔小野09〕.
自然環境指標種Aランク〔新海98〕.
雄の触肢の構造の違いからNeoscona属とは異なり,Eriovixia属を認めて転属した〔谷川AC48(1)〕.
サキエダオニグモ Eriovixia sakiedaorum TANIKAWA, 1999
雌3〜5mm,雄2.5〜4mm,成体出現期7〜12月.山地に生息.林道沿いの樹間や林道上に道を横断するように垂直の「正常円網」を張る.昼間でも
中心に止まっている個体が多い.
網の一端の枝や葉裏に潜む個体も見られる〔新海06〕.
雌3〜5mm(腹部は黒色球形で頭胸部は暗褐色),雄3〜4mm.西表島産の雌雄で記載した.崎枝は人名〔谷川AC48(1)〕.
林内のやや開けた場所に小さめの垂直円網〔谷川〕.雌成体の網を記録.8月15日西表島,
直径26.0×20.5cm,高さ87cm,縦糸36本,横糸57本.
8月17日石垣島,直径22.0×18.0cm,高さ82cm,縦糸33本,横糸43本.
網を張らないクモが餌を食べている例があった〔平松・新海明K81,K84〕.
トゲグモ Gasteracantha kuhli C. KOCH, 1837
=Gasteracantha kuhlii
雌6〜8mm,雄3〜4mm,成体出現期8〜9月.里山から山地に生息.極端な集中分布の傾向がある.農家のカキの木の周辺,風通しの良いスギ林の中や
周辺,
林道,渓流沿いの樹間の比較的高い場所に垂直の「正常円網」を張り,中心に止まる〔新海06〕.
網の枠糸には数センチおきに白色の糸くずを飾りのように付ける〔新海06〕.
成体は8〜9月,雌7〜8mm,雄3〜4mm,本州・四国・九州・南西諸島.樹間1.5m以上の所に円網を張る〔東海84〕.国外ではインドからフィリピ
ン,台湾,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
網のわく糸には数cmおきに微小な白色の球(糸をたぐって集めたもの)をつけている.局地的分布をする〔新海69〕.
7〜10月に樹皮の表面に1個,オニグモの卵のうに似た卵のうを作る〔山川・熊田73〕.
1951年8月23日,三宅島にて採集〔高島AC13(1)〕.
1997年8月7日,金華山で雌成体を発見〔安田K72〕.ラオスから記録〔Jager他AC58(1)〕.
神奈川県松田町で,1994年7月23日(空梅雨の年),数例の雌雄を採集.雌の網への雄の同居〔池田K71〕.
5月初めに出のうし,雄は2ケ月,雌は3ケ月で成体になり,10月までに産卵.卵のうの外観は地衣類に似る.
卵は年内にふ化するが,幼体は卵のう内越冬〔加藤むK76〕.
晩秋の卵のうから出た幼体(2令)は飼育下で雌は7〜8令で,雄は5令で成体になった.
5令になるときに雌の脱皮は背甲が後ろから割れるタイプに変化した〔加藤むK72〕.
亜成体までは十字形の模様がある(雌)〔加藤むK73〕.
出のうした幼体49頭を飼育した結果から,出のう日4月19日-5月27日(5月上旬が多い),
例外的に9月5日と10月5日.成熟するまでの期間93.5日,寿命170.5日.各令ごとの平均日数は
出のうして2令雄29日.雌22日,3令17日,4令24日,5令21日,6令33日,7令28日.
雄は5令で成熟,雌は7令か(19頭)8令で(3頭)成熟.未交接雌は寿命が長かった〔加藤むK91〕.
沢沿い,道路沿いに生息する〔加藤むK78〕.
林内にも産卵されるが下草の多いところでは卵のうは発見できなかった〔加藤むK83〕.
夏季樹間に垂直または傾斜せる丸網を張る.網の糸は数cm毎に純白の肥大部を有す.
満洲・北支・本州(青森以南)・朝鮮・台湾に分布〔関口AC5(3)〕.
自然環境指標種Bランク〔新海98〕.6.6mm,フィリピンにて採集〔仲辻AC7(1)〕.
キザハシオニグモ Gibbaranea abscissa (KARSCH, 1879)
=Gibbaranea abscissus
=Araneus abscissus (KARSCH, 1879)
雌8〜10mm,雄7〜8mm,成体出現期10〜5月.平地に生息.草原のススキの間,河原・沼や池周辺のヨシの間などに多い.そのほか,水田の周辺,
林道や樹林地周辺の草地などにも見られる.
草間の地上20〜50mの所に水平の「正常円網」を張る.オニグモ類で正常円網を水平に張るクモは珍しく,日本では本種のみ〔新海06〕.
成体は10〜5月,7〜10mm,北海道・本州・四国・九州.河原や草原のススキ,
アシ他の草間に水平の円網を張り,その一端の葉裏に潜む〔東海84〕.国外では中国,韓国から記録がある.ダンダラオニ・マルコブオニ・ツノオニに類似す
る〔小野09〕.
正常円網,草原に生息〔新海79,81〕.
年2回の発生がみられる〔新海69〕.
バラギヒメグモの網食い,ツバキの葉上を徘徊してTU脚で抱え込み,
捕帯で包みゾウムシを捕食しようとした〔新海明AT93〕.
4月には交接がみられた〔山川・熊田73〕.
Araneus dromedaria WALCK. と同種かもしれない.4月に成熟〔植村AC4(3)〕.
ダンダラオニグモ Gibbaranea bituberculata (WALCK., 1802)
=Gibbaranea bituberculatus
雌6〜7mm,雄5mm前後.旧北区に分布.キザハシオニ・マルコブオニ・ツノオニに類似する〔小野09〕.
ダンダラオニグモ Araneus bituberculatus (WALCK., 1802)をツノオニグモと判断した八木沼AC24(2)は誤り.
ヨツボシショウジョウグモ Hypsosinga pygmaea (SUNDEVALL, 1831)
=Singa pygmaea (SUNDEVALL, 1831)
=ウスキショウジョウグモ Singa theridiformis BOES. et STR., 1906
雌雄3〜4mm,成体出現期6〜8月.平地に生息.水田とその周辺,草原,湿原などの草間,イネ科植物の間に垂直の「正常円網」を張る〔新海06〕.
昼間でも中心に止まっている個体も多いが,網の一端の葉裏に潜むクモも見られる〔新海06〕.個体数は少ない〔新海06〕.全北区に広く分布〔小野
09〕.
ウスキショウジョウグモとして,「チガヤの葉先を巻いて卵室とし,外側にはクモ糸で丁寧に帯をしめてある〔中平AC15(2)〕」.
7月に産卵から産室作りまでの観察をしてビデオに収めた.産室作りの要点は葉を近付けたり合わせたりする糸と,葉をひねるための糸がが区別できること.
前者は同じ側の葉辺にそってひかれ,後者は卵嚢をはさみ一方の葉辺上部と葉辺下部を結んでひかれた.産室は全体として徐々に曲げられ,かつひねられて形成
された〔永井均,蜘蛛35〕.
シロスジショウジョウグモ Hypsosinga sanguinea (C. L. KOCH, 1844)
=ヤツデヒメグモ Theridion hilgendorfi KARSCH, 1879
雌3〜5mm,雄3〜4mm,成体出現期6〜8月.平地から山地に生息.草原,樹林地の周辺,林道などの草間,樹枝葉間に垂直から水平まで様々な角度に
小さな(5〜10cm)「正常円網」を張る〔新海06〕.
腹部の色彩や斑紋には変異が多く,黒色型,赤褐色型,黒色の地色に白また黄色の縦条のあるもの,赤色の地に黒色の対斑があるものなど様々な個体が見られる
〔新海06〕.
網の一端に潜む個体も見られる〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌3〜5mm,雄3mm,北海道・本州・四国・九州.800〜1000mの牧場の草間に多い.
山地では木や草の間に5cm前後の垂直円網を張る〔東海84〕.
正常円網〔新海79〕.外雌器に透明な褐色の膜が付着していた〔松本,しのび3〕.
葉を折りまげて産室を作る〔学研76〕.
コガネグモダマシ Larinia argiopiformis BOES. et STR., 1906
雌9〜12mm,雄6〜8mm,成体出現期4〜10月.平地から山地まで生息する.山地には少ない.草原,水田とその周辺,沼や湖の周辺,河原,
樹林地の周辺などの草間に垂直の「正常円網」を張り,中心に止まる〔新海06〕.
網は夕方に張り,明け方に取り壊し,昼間は葉裏に潜む.個体,地域によっては網を壊さず,昼間も網の中央にいるものも見られる〔新海06〕.
雌9〜12mm,雄8mm,日本,ロシア,極東,中国,韓国でも記録.同属の別種がいる〔谷川AC38(2)〕.
成体は5〜8月,雌10〜12mm,雄6〜8mm,全土〔東海84〕.
正常円網〔新海79〕.
浅川流域の河原,草原〔新海80,81〕.
樹間,草間(地表より10cm位から2m以上まで)に垂直円網を張る.中平氏によると,
四国のものは夕方造網し,翌朝とりこわし葉の裏に潜むというが,東京では昼間も網をはっている.
異名にはコガネグモダマシ,ホシコガネグモダマシ〔新海69〕.
越冬令は3令以上の幼生,2令幼生は7〜9月に出現,福岡で年1〜2化と推定〔大熊AT68〕.
アカクモヒメバチの近縁種に寄生されると迷網を作る〔桝元ほかAC55(2)〕.
ボネコガネグモダマシ Larinia bonneti SPASSKY, 1939
成体5〜8月,雌3.8〜5.0mm,雄2.9〜3.3mm,ロシア西コーカサスで原記載された小形種,
日本では北海道・本州(秋田.東京.静岡)から記録〔谷川AC49(2)〕.
ネッタイコガネグモダマシ Larinia fusiformis (THORELL, 1877)
雌7〜10mm,雄6〜7mm,西表島およびビルマ.ベトナム.インドから記録〔谷川AC38(2)〕.
台湾新記録〔Chan&TsoAC53(1)〕.
キタコガネグモダマシ Larinia jeskovi MARUSIK, 1986
雌9mm,雄5〜6mm,北海道および極東から記録,成体は9月〔谷川AC38(2)〕
ムネグロコガネグモダマシ Larinia onoi TANIKAWA, 1989
雌4〜8mm,雄4〜5mm,西表島およびオーストラリア.ニューギニア.ベトナム.インドから記録〔谷川AC38(2)〕.
ミナミコガネグモダマシ Larinia phthisica (L. KOCH, 1871)
雌7〜12mm,雄5.5〜6mm,成体一年中.平地に生息.草原,海岸,樹林地の周辺などの草間に垂直の「正常円網」を張り,中心に止まる〔新海
06〕.
網は夕方に張り,明け方に取り壊し,昼間は葉裏に潜む〔新海06〕.
雌7〜12mm,雄6mm,西表島から記録〔谷川AC38(2)〕.
セキグチコガネグモダマシ Larinia sekiguchii TANIKAWA, 1989
雌8〜9mm,雄6〜7mm,宮城県伊豆沼産で記載,成体5〜7月〔谷川AC38(2)〕.中国からも記録〔小野09〕.
東京野鳥公園で1991年6月30日で採集されたアメリカジガバチの巣の67頭中に,雌成体3頭,幼体2頭が含まれていた〔谷川K63〕.
ナカムラオニグモ Larinioides cornutus (CLERCK, 1758)
=Araneus cornutus CLERCK, 1758
雌9〜11mm,雄7〜8mm,成体一年中.平地から山地まで分布.草原,水田の周辺,河原,林道などの草間に垂直の「正常円網」を張る.
クモは網の一端の葉た穂先などを丸めて袋状の住居を作る.地域によっては人家,橋の欄干,旅館,公共施設など建造物の周囲に生息.
福井県以北の日本海側各県および長野県では普通種〔新海06〕.
成体は1年中,雌9〜11mm,雄7〜8mm,北海道・本州・四国(山地).全北区に広く分布〔小野09〕.
山間部の草原や建物の周囲に多く,垂直円網を張り,その一端に袋状の住居を作る〔東海84,森林87〕.
正常円網または呼糸円網〔新海79〕.
屋外,ホーム天井,草原に生息〔新海80,81〕.
手賀沼周辺の堤防で見られ,セイタカアワダチソウやヨシの1本の茎に垂直円網を張り,林縁にはいなかった.
体長と網の高さに相関関係がみられた〔浅間ほかAT92〕.
野外では草の葉を重ねた住居を作る〔新海70〕.平地から山地の主に水辺周辺の草地を好み,草間に円網を張り,葉や穂先などを丸めて袋
状の住居を作る.昼間は住居内にいることが多い.卵のうも住居内に作る〔緒方,しのび21〕.
産卵期は8〜9月で卵のうは住居内に置く.ナカムラオニグモ線(植村線)で有名〔新海69〕.
5〜11月に卵のうを住居内に作る〔山川・熊田73〕.
夏郊外で普通に見られる.特に水辺・草原に多く,か本科の穂や種々の植物の花や茎を折り曲げて住居を作り,水平円網を張って生活する.
成体雄の越冬もあり〔植村AT5〕.
小松敏宏によると,成体も空中飛行をする〔高島AC11(3/4)〕.
千葉県我孫子市にて室内飼育.5〜10月にかけて産卵.1雌当りの卵のう数は平均3個,平均相卵数は495個.
6月11日出のう幼体は8月初めに成体(雌雄とも5〜6回脱皮),8月30日出のう幼体も5〜6回脱皮し年内に成熟し成体越冬.
9月30日出のう幼体は2〜4回脱皮して越冬し,一部が3月に成熟したが死亡率が高かった〔宮下K74〕.
「ナカムラオニグモの丸網について」徹底的な形態・造網の考察あり〔小松AC3(3),4(1),4(4),5(1)〕.
分布南限は年平均気温15℃の線(1月5℃の等温線)に一致,これをナカムラオニグモ線とする(紀州・四国・九州はこの線の南となる).
植物で提唱されたハマオモト線(Crinum Line.小清水昇二による.ハマオモトの北限である)と一致する〔植村AC5(2)〕.
関東地方にて5,6月頃見らるる最も普通なるオニグモなり.通常水平又は傾斜せる丸網を張り,
その一端に草木の葉等を折り曲げて作れる住居に入りて生息す.卵のうはこの住居内に付着す.
4月頃既に成熟種あれども6月初旬前後を成熟期と称すべし.
欧州・北米・北満・北海道・樺太・本洲(ただし本州南部には産せず)に分布す〔関口AC5(3)〕.
オオモンクロベッコウに狩られる〔中村AC5(2)〕.
腹背に寄生バエが産卵.17卵,24卵,35卵〔細野43〕.
7月18日産卵,7月25日ふ化.三重の袋から成る卵のう.付着盤を観察〔中村AC2(4)〕.
コウモリオニグモ Larinioides patagiatus (CLERCK, 1758)
=Araneus patagiatus (CLERCK, 1758)
雌7〜9mm,雄5〜6mm,成体出現期7〜8月.平地から山地に生息.草原,樹林地の周辺.林道などの草間や低木間に垂直または斜めに「正常円網」を
張る.
クモは網の一端の葉裏に潜んでいる〔新海06〕.
雌10mm,雄6〜7mm.草原の低木間に網を張る.北海道に分布〔八木沼86〕.全北区に広く分布〔小野09〕.
キタノオニグモ Larinioides sclopetarius (CLERCK, 1758)
=Araneus sclopetarius (CLERCK, 1758)
コウモリオニグモやナカムラオニグモの属は度々変遷した.Archer (1951)はCyphepeiraに,Levi (1974)や
Grasshoff (1976)はNucteanaとした.最近Grasshoff (1983)はLarinioidesにおいた
(キタノオニグモは八木沼86の図鑑には記載がない)〔八木沼86〕.
ゴマジロオニグモ Mangora herbeoides (BOES. et STR., 1906)
雌雄5〜6mm,成体出現期8〜10月.平地から里山に生息.平野部に広く分布するが,個体数は少ない.樹林地の中や周辺の草間,林道の崖地や下草の間
などに垂直の「正常円網」を張る.
網の一端の葉を曲げて簡単な住居を作り,その中に潜む〔新海06〕.腹部の色彩は通常黄白色をしているが,刺激を受けると褐色に変化する〔新海06〕.
成体は8〜10月,5〜6mm,北海道・本州・四国・九州.草間の低い場所(0.5〜1m)に円網を張り垂直下位に静止する.
刺激を与えると腹部の色彩が黄白色から褐色に変化する〔新海69〕.
液浸では黄色になるので,ドヨウオニグモ,トホシドヨウグモと誤認される.本州・四国・九州に分布〔八木沼AC14(1)〕.国外では中国,韓国から記録
がある〔小野09〕.
自然環境指標種Cランク〔新海98〕.
ドヨウオニグモ Neoscona adianta (WALCK., 1802)
=ヒメオニグモ Neoscona adianta (WALCK., 1802)
=syn. Meta doenitzi BOES. et STR., 1906
=syn. Neoscona doenitzi (BOES. et STR., 1906)〔八木沼AT89〕
雌8〜10mm,雄5〜7mm,成体出現期6〜11月.平地に生息.水田とその周辺,河原,草原などの草間に垂直から水平までの「正常円網」を張り,
中心に止まる.水平の網を張った時,クモが網の上に乗っていることもある.網の一端を折り曲げて袋状住居を作り,その中に潜む.
春と秋の年2回の発生が見られる〔新海06〕.
成体は6〜11月,雌8〜10mm,雄5〜7mm,全土.
水田,河原の草間に垂直,水平両方の円網を張る〔東海84〕.
雌5.6〜10.1mm,雄4.0〜6.0mm,所検標本は北海道から鹿児島まで,フランスにも生息.全北区に分布〔谷川AC47(2)〕.
産卵期は6〜7月と9〜10月の2回.網の一端の葉をまげて卵のうを作る〔森林87〕.
正常円網・正常水平円網〔新海79〕.
水田,草原,浅川流域の河原に生息〔新海80,81〕.
水平網に腹部を下にして(平行腹位)占座することがあり,こしきに円形の白帯をつける.網を張り替えてから7〜8時間は平行背位を続けた後,腹位になる
〔中平AT62〕.
年2化.高知県では幼体で越冬し,4月に活動開始,急速に成長して6月下旬〜7月上旬に産卵,7月に成体は姿を消し,
出現した幼体は9月下旬〜10月上旬に成体となり産卵する.10月中旬には世代交代して11月下旬から休止,越冬する〔中平AT74〕.
千葉県での本種の越冬は,秋に出嚢した幼体と翌年の春に出嚢した幼体の両方があった.
春の個体は5回の脱皮で5〜6月に成体となった.この成体が7月に産卵した出嚢した幼
体は急激に進み,やはり5回の脱皮で8〜9月に成体となった.夏の雌は3〜5個の卵嚢
を作り総卵数は324.8個で,秋の雌は同じく3〜5個の卵嚢を作り,259.3個だった〔宮下和喜,蜘蛛31〕.
触肢と第1歩脚で縦糸の2〜3本を手繰り束ねながら食い進む.網の途中にかかっている塵芥や微小な虫は,切り取って第1歩脚で跳ねとばした.
縦糸と横糸の処理が終わると直ちに新網を張る.その際にこしきは引きつがれる.造網の途中,こしきに付着した余分な糸や白帯は掻き取って食う〔中平
AT69,中平92〕.
卵のうは白色〜黄白色,球形.網の支点に作られた住居に置く.か本科植物の葉先を折りまげ,そこに簡単に糸を張った物を昼間の住居とする〔中平
AT23/24〕.
網の一端にオ椀状の居所を設ける〔大利AT29〕.
稲の葉を屋根形にまげてクモ糸をはった〔中平AC15(2)〕.
本州・四国・九州・朝鮮に分布〔八木沼AC14(1)〕.
ドヨウグモ.6月頃幼クモ出現,9月頃を最成熟期とす.
夏季原野に造巣する最も普通のクモにして習性ナカムラオニグモに類似して草間に丸網を張りてその中央に静止するか或いはその一端に花又は葉を用いて作れる
のう状の住居に生息す.
樺太・本州・四国・九州・朝鮮に分布〔関口AC5(3)〕.
8月上旬,川越市にてキゴシジガバチに狩られたクモの優占種〔嶋田K46〕.
ヒメオニグモは北海道,樺太,満洲に分布.N. doenitziと似る〔八木沼AC14(1)〕.
ドヨウオニグモの真の学名は本種であった〔八木沼AT89〕.
アマミオニグモ Neoscona amamiensis TANIKAWA, 1998
8月に奄美大島で雌成体,雌7.7〜9.2mm,雄4.7mm,所検標本は奄美大島のみ,腹背にV字状の茶・黄色の斑紋がある.
ドヨウオニグモに似ており,生殖器での区別は難しい〔谷川AC47(2)〕.
ワキグロサツマノミダマシ Neoscona melloteei (SIMON, 1895)
=Neoscona mellotteei
=キイロオニグモ,キバラオニグモ
雌7〜10mm,雄6〜8mm,成体出現期7〜9月.平地から山地まで広く生息.都市部の庭園や公園,樹林地の周辺,草原,林道などの樹間,草間に垂直
の「正常円網」を張り,中心に止まる.
昼間は網の一端の枝や葉裏に潜んでいる〔新海06〕.
成体は7〜9月,雌8〜10mm,雄7〜8mm,全土.昼間は葉裏にひそみ,夕方から垂直円網を張る〔東海84〕.
雌6.3〜9.5mm,雄5.6〜8.7mm,所検標本は秋田から西表島まで.中国,韓国,台湾にも分布〔谷川AC47(2)〕.
本州・四国・九州・沖縄に分布.あまり高くない山地に多く,山麓から中腹にかけて広く生息.
都会の公園,神社,旧家の庭などでも見ることができる.産卵期は8〜9月で,黄色のお椀をふせたような卵のうを作る.
夕方5時頃から活動を始め,草間に垂直円網を張り,中心で獲物がかかるのを待つ.
網を張る時間は20〜30分でオニグモ類の中では最も早い.
ほとんどの個体は網を早朝に取り壊して葉蔭に戻るが,張ったままの個体もときにみられる.
音や刺激に対して敏感で,採集しようとするとピョンと飛び下りる〔森林87〕.
正常円網〔新海79〕.
午前1時頃,雄の求愛中,雌が巻き上げブラインド方式で破網〔平松K63〕.
8月26日,雄成体がオオトリノフンダマシ雌成体の餌(蛾)を略奪〔新海明K57〕.
本州・四国・九州・朝鮮・台湾に分布〔八木沼AC14(1)〕.
埼玉県日高町で,1991年8月17日-21日の夜半から未明にかけて求愛・交尾を観察.
雄は雌の網の縦糸に網の外から交尾糸を張り,求愛信号を送る.
信号は「つまびきtwanging」「武者震いjudderring」「打ちつけbeating」が主で,この他にも「引っ張りplucking」
「腹部上下動abdomen wagging」「網ゆすりshaking」を行う.雌の応答は「応答なし(雄の存在を許容)」「定位」
「引きつけ jerking」「突進rush」のいずれか.
交尾行動は
@雌雄が交尾糸上で向いあう,
A雌雄ともしおり糸をかけるため往復,
B体の接触(空中ブランコのようにぶつかりあう)を繰り返す,
CO-VV型で懸垂型交尾姿勢で片方の触肢を挿入(7分ないし8分),
D離れ〔平松K65〕.
雄亜成体がジョロウグモの網のこしきに占座し,入れたアリを捕獲〔平松K71〕.
横浜産をタイプとして記載.キバラオニグモと称するをワキグロサツマノミダマシと変更.本州・四国・九州に分布〔八木沼AC5(2)〕.
三重.和歌山.奈良の県境で腹部中央に暗褐色の斑紋のある個体あり〔谷川K61〕.
和歌山県にて褐色斑紋のある個体あり〔平松K71〕.
ヤスダオニグモ Neoscona multiplicans (CHAMBERLIN, 1924)
=syn. Neoscona minorscylla YIN, WAN, XIE et PENG, 1990
成体雌は対馬(安田明雄採)8月,雌9.9mm,中国で記載された.
雄は未知.ヤマシロオニグモに似る.外雌器のスケープが幅広い〔谷川AC47(2)〕.
イエオニグモ Neoscona nautica (L. KOCH, 1875)
雌8〜12mm,雄5〜7mm.成体出現期7〜11月.平地に生息.人家の軒下,駅舎の窓やホームの天井,コンビニエンスストアやファミリーレストラン
の周囲,
商店の店先,街路灯の蛍光灯の周囲などに垂直の「正常円網」を張る.昼間は網の一端の建物の隅や陰に潜み,夕方から活動を始め,前日張った網を壊して張り
替える〔新海06〕.
成体は7〜11月,雌8〜12mm,雄6〜7mm,本州・四国・九州・南西諸島.駅構内に特に多く,円網を張る〔東海84,森林87〕.
正常円網〔新海79〕.
本州・四国・九州・琉球・奄美・台湾に分布〔八木沼AC14(1)〕.
雌8.0〜11.8mm,雄4.4〜5.2mm,所検標本は岩手から熊本までとタイ,温帯・熱帯地域に分布〔谷川AC47(2)〕.
ヒヨドリが停空飛行して捕るのをよく見かける〔森林87〕.
屋外,ホーム天井に生息〔新海80〕.
年1化性.越冬は幼体(卵のう内越冬の幼体も多い),幼体の大きさは様々で,成体となる時期,産卵時期に遅速の差が大きい.コガネグモの成長に似る〔中平
AT74〕.
古い網を手繰り,束ねて1塊とし,第1脚ではねとばして捨てる〔中平AT69〕.
網は夕方更新する.日中は網の支点にある杯をふせた形の住居に潜んでいるが,1日中網に占座している個体も多い.卵のうは白色のふわふわした感じのもの
〔中平AT23/24〕.
イエオニグモ観察記(2)(3)〔小林AT7・9〕.
都市環境指標種〔新海98〕.
コゲチャオニグモ Neoscona punctigera (DOLESCHALL, 1857)
=Araneus punctigera DOLESCHALL, 1857
=syn. Araneus lugubris (WALCKENAER, 1841)
=syn. Araneus opimus (L. KOCH, 1877)
=トスジオニグモ,ヤホシオニグモ
雌10〜13mm,雄7〜10mm,成体出現期8〜9月.里山から山地に生息.樹林地の周辺,草原,林道などの樹間,草間に垂直の「正常円網」を張り,
中心に止まる.
昼間は網の一端の枝や葉裏に潜んでいる〔新海06〕.
腹部の色彩には変異が多く,茶色・灰色・赤褐色・黒褐色など様々.葉状斑のある個体も見られるが,大部分は単色である〔新海06〕.
成体は8〜9月,雌10〜13mm,雄7〜9mm(変異型が多い),本州・四国・九州・南西諸島.木や草の間に夜間,垂直円網を張る〔東海84〕.
成体は7〜9月,山間部の林道沿いの草間や樹間に垂直円網を張る.地域・個体により腹部に褐色斑のあるものや,色に濃淡のあるものがみられる〔森林
87〕.
雌8.4〜16.1mm,雄6.8〜8.9mm,所検標本は茨城から西表島,セイシェルから中国,韓国,台湾,ニューギニアに分布〔谷川
AC47(2)〕.
正常円網〔新海79〕.5月14日に福岡県で雌成体〔馬場K97〕.
A音(440Hz)の音叉振動に対して幼体は逃げるが,成体は餌と認識する〔上田AT73〕.
狩猟は夜間行い,昼間は網の支点にある木の葉裏に潜む.
夕方,網を張り,翌朝網をたたむが,個体によっては一日中網に占座して狩猟しているものもある〔中平AT23/24〕.
1月樹皮下に潜む.2月20日,タラヨウの葉を折り曲げて裏に潜む亜成体を採集.
巣の中には他の小型のクモや昆虫の食べかすがあった.活動を開始していたから〔植村AT5〕.
分泌物による交尾栓(座間市1989年7月29日採雌)あり〔池田K62〕.
フィリピンのクモ相撲としてアカアシオニグモとともに使われる〔関根幹夫AC58(2)〕.
ヤマシロオニグモ Neoscona scylla (KARSCH, 1879)
雌12〜17mm,雄8〜10mm,成体出現期7〜9月.里山から山地に生息.樹林地の周辺,林道などの樹間,草間に垂直の「正常円網」を張り,中心に
止まる.
昼間は網の一端の枝や葉裏に潜んでいる場合もあり,その時は「キレ網」を張ることが多い〔新海06〕.腹部の色彩・斑紋には変異が多く,セジロ型・アトグ
ロ型など
様々な個体が見られる.
成体は7〜9月,雌12〜15mm,雄8〜10mm,全土.夏の山道で最も多くみられるクモ.樹間,草間に20〜50cmの垂直円網を張り,中心にとま
る.
腹部の色彩には変異が多く,セジロ型,アトグロ型などがみられる.産卵期は8〜9月で黄色黒すじの細長い卵のうを草や建物の周囲に作る〔東海84〕.
雌9.1〜15.9mm,雄6.9〜11.9mm,所検標本は北海道(札幌)から沖縄本島,西表島,中国,韓国,台湾にも分布〔谷川AC47(2)〕.
山麓から山地にかけて生息し,特に林道沿いの樹間に多くみられる.1卵のう中の卵数は150〜300個.
昼間は木の枝や葉裏にかくれていることが多い.夕方になると,樹間,草間に20〜50cmの垂直円網を張り,中心に止まる.
網を翌朝とりこわして木蔭に隠れるが,個体により,昼間も網を張ったままのものがみられ,時には網の中心にいることもある〔森林87〕.
正常円網〔新海79〕.
造網過程の初期過程を観察できた.「T構造」ができる〔新海明K70〕.
神奈川県足柄上郡松田町で,雄は6月下旬に成体になり,雌は7月初めから成体になる.
成体になった雄は網を張らず,夜間徘徊して雌を探す.網の外から糸をはじいて求愛信号を送る.雄同士の争いがある〔池田千洋K69〕.
網を毎日張り替える.旧網を食う.
夕方網を張り,翌朝それを取り壊して葉蔭に潜み,夕刻になるのを待っている個体(時)と,1日中網に占座していて,
夕方旧網の処理に引き続いて新網を張る個体やそうする時がある.
後者では,縦糸を2〜3本ずつ手繰って破網していくが,すぐには食わず,その都度,小さな塊としてこしきに置く.
新網ができ,こしきを調整する最後の段階で食う.前者ではたたみながら食う個体もみられた〔中平AT69,中平92〕.
網の支点にある木の葉の裏に粗目に糸をひいて,日中の住居とする〔中平AT23/24〕.
網の支点にある草木葉に粗目の糸を張って昼間住居としているものがある.ヘリジロオニグモ,サツマノミダマシも同様〔中平AC15(2)〕.
餌が小さいとき,こしきから遠いときは無視する.クモの体長が大きいほど無視する餌の体長も大きくなる〔北島博AT98/99〕.
アトグロヤマシロオニグモを変種 var. nigromaculatusとして記載.雌13mm,雄9mm,本州・四国に分布〔八木沼AC6(4)〕.
5,6月頃より樹間にふや垂直なる丸網を張る.成熟期は7月頃.北海道・本州・四国・九州・台湾に分布〔関口AC5(3)〕.
サツマノミダマシ Neoscona scylloides (BOES. et STR., 1906)
雌8〜11mm,雄7.5〜9mm,成体出現期6〜8月.里山から山地に生息.樹林地の周辺,草原,林道などの樹間,草間に垂直の「正常円網」を張り,
中心に止まる.
昼間は網の一端の枝や葉裏に潜んでいる〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌9〜11mm,雄8〜9mm,本州・四国・九州・南西諸島.昼間は葉裏にひそみ,夕方から垂直円網を張る〔東海84〕.
雌7.2〜10.4mm,雄7.5〜8.7mm,所検標本は秋田から沖縄本島,中国,韓国,台湾にも分布〔谷川AC47(2)〕.
京都府北東部,福井県西部地域周辺ではハゼノキのことをサツマと呼ぶ.
そのサツマの実に似ていることからサツマノミダマシと名がついた〔森林87〕.
正常円網〔新海79〕.
1965年8月21日,菅波洋平が茨城県で採集した奇形,一見雄だが,palpの異常,亜成体の垂帯がある.
雌性要素の若干ある雄〔八木沼AC20(1)〕.
網の支点にある草木葉に粗目の糸を張って昼間住居としているものがある.ヘリジロオニグモ,ヤマシロオニグモも同様〔中平AC15(2)〕.
本州・四国・九州・トカラ・奄美・台湾に分布〔八木沼AC14(1)〕.
オオモンクロベッコウに狩られる〔中村AC5(2)〕.
綾瀬市で6月7日ハチの巣から出た27頭のうち,雌幼体(体長4.8〜8.5mm)12頭と
雄幼体(体長5.9〜8.0mm)10頭,幼体3頭〔谷川K63〕.
アカクモヒメバチ Eriostethus rufus (UCHIDA, 1932)に寄生された.
このハチは通常はAraneusに寄生すると言われていた〔桝元AC51(1)〕.
ヘリジロオニグモ Neoscona subpullata (BOES. et STR., 1906)
=Araneus subpullatus BOES. et STR., 1906
雌4.5〜7mm,雄3〜5mm,成体出現期4〜9月.海岸地気に生息.海岸付近の樹間,草間,建物の周囲,街路灯,フェンスなどに垂直の「正常円網」
を張り,中心に止まる.
昼間は網の一端の枝や葉裏,人工物の隅に造られた簡単な住居に潜む〔新海06〕.ヤミイロオニグモ,オオクマヤミイロオニグモに似るが,海岸部ではほんと
んど本種〔新海06〕.
成体は4〜9月,雌5〜7mm,雄4〜6mm,本州・四国・九州・南西諸島.垂直円網またはキレ網を張る.海岸の草木に造網し,その他の場所ではみられな
い〔東海84,森林87〕.
雌4.3〜7.2mm,雄2.8〜4.6mm,所検標本は神奈川(横須賀)から南西諸島まで,中国,韓国,台湾にも分布〔谷川AC47(2)〕.
生葉の裏に糸を張り,住居を作る〔中平AT37〕.
海岸地帯に多い.網は群集し,ウバメガシ等白く見える程である.正常円網,呼糸円網,切断キレ網.呼糸円網又はキレ網を張るものは呼糸にある葉裏に作る住
居に待機している〔中平AT23/24〕.
網の支点にある草木葉に粗目の糸を張って昼間住居としているものがある.サツマノミダマシ,ヤマシロオニグモも同様〔中平AC15(2)〕.
山地でもみられるが,殊に海岸に多く,トベラやウバメガシの樹間に小さい円網を張る.完全円網やZigiella typeに似たものを張る.
本州・四国・九州・トカラ・奄美に分布〔八木沼AC14(1)〕.
沖縄県北中城村でキレている場所が網の下部にあり,クモも下方の枯れ枝に潜んでいた例あり〔新海明K73〕.
ホシスジオニグモ Neoscona theisi (WALCKENAER, 1841)
=Araneus theisi (WALCK., 1841)
雌7〜11mm,雄4.5〜7mm,成体出現期6〜9月.海岸地域に生息.本州では静岡県が北限となっているが,温暖化により北上傾向が見られる.海岸
の草間,低木間に垂直の「正常円網」を張り,中心に止まる.
昼間は網の一端の枝や葉裏に潜んでいる〔新海06〕.色彩・斑紋の変異が多い〔新海06〕.
成体は6〜9月,雌8〜10mm,雄5〜7mm,本州(静岡県以南)・四国・九州・南西諸島.海岸の草間に垂直円網を張る.黒色型,黄褐色型などがある
〔東海84〕.
雌6.6〜11.6mm,雄4.4〜6.9mm,所検標本は小笠原諸島・沖縄本島・西表島,旧熱帯区に分布〔谷川AC47(2)〕.
南方系,イエオニグモとの混同もあった.九州・青島・奄美・南洋〔八木沼AC14(1)〕.
8mm内外,1929年1月22日,ミンダナオ島で採集〔仲辻AC7(2)〕.
西表島で網にかかったガの周囲を廻りながらラッピングしていた〔谷川K71〕.
西表島冬季(2月)水田畦畔の優占種であった〔村田AC48(1)〕.
アカアシオニグモ Neoscona vigilans (BLACKWALL, 1865)
=mis. Araneus rumpfi THORELL, 1878
=mis. Araneus decens (THORELL, 1878)
=syn. Araneus rufofemoratus (SIMON, 1884)
雌9〜17mm,雄7.5〜9mm,成体一年中.里山から山地に生息.樹林地の周辺,林道などの樹間,草間に垂直の「正常円網」を張り,中心に止まる.
昼間は網の一端の枝や葉裏に潜んでいる〔新海06〕.ヤマシロオニグモに似るが,本種の方が歩脚の輪紋がはっきりしている〔新海06〕.
雌6.6〜11.6mm,雄4.4〜6.9mm,所検標本は奄美大島・沖縄本島,熱帯区,ニューギニアに分布.
コゲチャオニグモに似る(雄触肢のconductor先端がニ叉)〔谷川AC47(2)〕.
ヤマシロオニグモに似る〔八木沼AC14(1)〕.
垂直円網でヤマシロオニグモと網径,造網環境が似ている.しかし,占座姿勢が特異.
尻を網の反対側につきだしている.糸いぼからは糸が出て,その上端はこしきに付着している〔新海明K54〕.
フィリピンのクモ相撲としてコゲチャオニグモとともに使われる〔関根幹夫AC58(2)〕.
マメイタイセキグモ Ordgarius hobsoni (O. P.-CAMBRIDGE, 1877)
雌6〜9mm,雄1.6〜1.8mm,成体出現期7〜9月.里山から山地に分布.稀少種.果樹園,ススキ原,樹林地の周辺,林道などの樹木や葉裏に生
息.
昼間は脚を縮めて葉裏に止まるが,夕方から活動を始め,第2脚先端より粘球を吊るす.粘球はときどき回転させて獲物である蛾類を捕獲し,
蛾類が接近すると粘球を回転させぶつけて捕える〔新海06〕.
成体は7〜9月,雌8〜9mm,雄不明,本州(関東地方以南)・四国・九州・南西諸島.第2脚先端より粘球を下げ,
それを回転させてガ類を捕える〔東海84〕.
雄を初めて記載.ムツトゲイセキグモと卵のうが異なる.基準産地はスリランカ.中国,インドにも分布〔谷川AC46(2)〕.
粘球数は1〜2個,補虫開始時刻は蛾の活動と同じ,午後7時前後であろう.蛾が近付くと粘球を回転させる.
1時間のうちに数回(2〜4回),特定の刺激なしでも回転させる.蛾の誘引物質を出している可能性がある〔新海AT79〕.
8〜9月上旬にかけて成体となり,トリノフンダマシの卵のうにトゲのついたような暗褐色の卵のうを作る.カヤの葉の間に,
卵のうをおおうようにほぼ球形にはられた細い糸の中に吊されている.この保護糸で,卵のうは多少の雨でもぬれない〔山川・熊田79〕.
昭和7年愛媛県高縄山にて高橋幸雄が初めて発見,同年11月和歌山県那賀郡にて植村利夫が発見,
昭和16年8月18日兵庫県川辺郡川西町にて菊池政雄がススキの葉先に近い葉裏に静止しているのを発見,
その少し上部より2本の糸が引かれていた〔八木沼AC6(4)〕.
高知市筆山公園でススキの葉裏にいた〔K40〕.イセキグモ類との遭遇の記録〔新海明K90〕.
沖縄県本部半島で6〜7月に採集記録あり〔新海明K73〕.
大小ふたつの卵のうを作るという.三重県で8月27日採集の卵のうには翌春56頭の2令幼体,
神奈川県城山で10月10日の大卵のうには翌春72頭2令幼体〔鈴木勝K47〕.
ムツトゲイセキグモ Ordgarius sexspinosus (THORELL, 1894)
雌7〜10mm,雄2mm,成体出現期7〜9月.市街地の公園から山地まで広く分布.稀少種.かんきつ類,ツバキ,クリ,クワなどに特に多い.
昼間は樹木や草の葉裏に静止し,夕方から活動を始め,第2脚先端より粘球を吊るす.粘球はときどき回転させて獲物である蛾類を捕獲し,
蛾類が接近すると粘球を回転させぶつけて捕える〔新海06〕.
成体は7〜9月,雌8〜10mm,雄2mm,本州(関東地方以南)・四国・九州・南西諸島.第2脚先端より粘球を下げ,それを回転させてガ類を捕える〔東海84〕.
雄を初めて記載.マメイタイセキグモと卵のうが異なる.基準産地はビルマのサラワジで雌幼体で記載された.
インド,インドネシアにも分布〔谷川AC46(2)〕.国外ではビルマ,イノッドネシア,インド,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
昼間は葉蔭でじっとしている.千葉県以西の太平洋沿岸各県に分布,北限は東京都五日市町〔森林87〕.
投げ縄はトリノフンダマシの横糸作成行動と類似,捕虫の際には第2脚で投げ縄を持ち,
蛾が接近すると粘球をす早く回転させて
蛾にぶつけた.餌はすべて雄の蛾だった.
投げ縄作成後50〜60分過ぎても餌がかからないとクモは投げ縄を引き上げて食べてしまい,1時間ほど後に再び作成し直した.
6月には幼体も投げ縄を作成し,小形の蛾を捕らえていた〔新海栄・新海明AT91〕.
生活史(年1世代,3〜6回の多回産卵,孵化幼体は卵のう内越冬,5月上旬に出のう.クラッチサイズ例は55幼体または31卵).
投げ縄作成行動(7月上旬から亜成体.成体雌は投げ縄を作成,投げ縄を第2脚で持つ).
餌捕獲行動(ガを近づけると投げ縄の回転を早める,4匹の蛾を橋糸にくくりつけていた例がある)〔新海栄.新海明AC51(2)〕.
飼育下で幼体から成体が捕食したガは4科10頭,ライトトラップで集め11科た88頭を与えた結果である.
種の選好性は不明瞭で雄選好性も有意差が無かった.成体は亜成体期より大きなガを捕食していた〔甲野.初芝K79〕.
埼玉県の北本自然観察センターで採集(2008年5月18日)した幼体をネジ蓋式ビンで飼育.極端に小さいエサ(大きいと怯える)を「つかみ取り」
(足場糸に逆さに待機し,前4脚を大きく広げて構える)し,「ラッピング」(虫を回転させながら脚や翅などをまとめる)して「足場まで戻って」捕食,
6月5日0時ごろ脱皮,それから29日後の7月3日脱皮,かなり大食になった.7月16日飼育後3回めの脱皮で亜成体になった(投げ縄捕獲はしなかっ
た),
8月14日4回めの脱皮で成体になった.8月31日3:30初めて粘球を作成,翌日0:54粘球を作成,その後投げ縄行動を確認,初めてヤブカを捕った.
ときどき粘球で与えたヤブカを捕る.9月16日から10月13日の28日間中,粘球を19日作成した(20分ほど投げ縄を回す.1日3回の粘球作成が最
多).
その後,弱って翌年3月5日に死亡.7月の香川合宿で採った幼体は脱皮の際に左第2脚のしょ節を欠いてしまったが,
第1脚での回転を経て,この先の無い第2脚で回転できるようになった〔張替K96〕.
張替智行と吉田嗣郎の飼育個体の背甲幅を計測,結果から張替のムツトゲ幼体は採集時3齢と推定される.
2齢0.65mm,3齢0.85mm,4齢1.08mm,5齢1.48mm,6齢2.07mm,7齢(雌成体)2.77mm〔谷川K97〕.
9月4日(2007年)22:04〜23:03,兵庫県豊岡市にて2個目の卵のう作成を観察した.柄のもとを作る,22:21産座を作る,22:28産卵
(2分40秒),22:31卵塊を包む,22:54褐色の糸をかける,23:03観察終了.2008年9月9日には〔山本一幸・安岡政則K96〕.
吉田嗣郎によると,小田原市の遊園地では冬季の卵のうが樹木5mの高さにあった〔池田10〕.
雌成体と卵のう3個を神奈川県厚木市七沢の自然保護センターにて発見(1994年8月26日)〔赤羽K69〕.
雌成体を東京都五日市横沢入で採集(1995年8月14日)〔伴K70〕.
雄成体を神奈川県城山町で採集(1996年8月19日)〔伴K71〕.
和歌山県初記録〔谷川K66〕.イセキグモ類との遭遇の記録〔新海明K90〕.
2006年7月20日,三島市で幼体〔高津佳史K91〕.千葉県野田市にて2003年7月27日,雌成体〔荻野K93〕.
周囲が暗闇になる,クリ,クヌギ,ススキ,ツバキ等の植物が生えている,
地上から1〜2m程度の所に棲息(=トリノフンダマシ類と同様)〔貞元K62〕.
飼育下で粘球をふり回す〔工藤泰K73〕.
8月13日から10月27日まで観察.既に2個卵のう,その後9月上旬に3個め,10月10日に4個めを産卵し,10月25日頃死亡.
9月10日19時50分と9月14日19時35分に投げ縄行動を観察できた〔日置乃武子K80〕.
養蚕のお守りとして語り継がれている桑鈴とはムツトゲイセキの卵のうだった〔小野AC55(2)〕.
自然環境指標種Cランク〔新海98〕.
サカグチトリノフンダマシ Paraplectana sakaguchii UYEMURA, 1938
雌7〜9mm,雄不明.成体出現期7〜10月.稀少種.草原,樹林地の周辺,渓流沿いの林道などで採集されている.昼間は草や樹木の葉裏に静止し,夕方
から活動を始め,
「同心円状円網」を張る〔新海06〕.
成体は7〜10月,雌7〜9mm,雄不明,本州(関東以南)・四国・九州・奄美.山道や林縁の草や低木の葉裏にいる〔東海84〕.
中国でも記録〔小野09〕.1990年3月16日,横浜市野庭高校グランドに飛来〔谷川K60〕.
埼玉県日高町のヒノキの若木で幼体を採集〔平松K64〕.
2010年,張替智行の飼育により雄が判明〔池田10〕
ツシマトリノフンダマシ Paraplectana tsushimensis YAMAGUCHI, 1960
雌7〜10mm,雄不明.成体出現期5〜8月.稀少種.果樹園,草原,樹林地の周辺,林道などの樹木や草の葉裏に静止し,夕方から活動を始め,
「同心円状円網」を張る〔新海06〕.
成体は5〜8月,雌8〜10mm,雄不明,本州(関東以南)・四国・九州・南西諸島.日中は葉裏に静止し,夜,小型の同心水平円網を張る〔東海84〕.
国外では台湾,中国から記録がある〔小野09〕.
横須賀市衣笠で雌を発見(金子義起,1995年7月7日).奄美大島湯湾岳公園で雌亜成体を発見(伴,1995年6月24日)〔伴K70〕.
八丈島で1989年6月4日,1雌採集〔徳本K82〕.沖縄県国頭村.恩納村で5〜8月に採集記録あり〔新海明K73〕.
千葉県船橋市で2006年8月11日雌成体〔萩野K93〕.
沖縄で,5月9日から6月6日の27日の内,造網したのは8晩だけである.長径30〜40cm,短径20〜30cm,縦糸4〜7本,横糸数は区画により異
なる.
縦糸の長い区画では5〜8本であった.粘球は横糸の両端部にはついていない.
造網方法についてはまず糸流し,糸の補強,1本の糸の途中から糸を流して,十字状の縦糸ができる,十字の中心から方々に縦糸が流されて出来る.
足場糸は作らない.横糸は外側から張られる.縦糸を外側へ下り,糸を付けると粘球のついた糸を引きながら縦糸を上って戻り,
隣の縦糸を下って横糸を張る.クモはいちいち網の中心部へ戻り,網の右半域と左半域を交互に張っていく.クモは葉蔭にいて,
網に獲物がかかると中心部へ出て,方向を確認し,縦糸を下っていって,獲物を捕える.横糸は獲物がかかると端から切れてしまい,
獲物は吊り下がる.クモは網の中心で食べ,食べカスを下に落としてから葉蔭へ戻る.造網開始は午後11時〜午前2時(早い時は10時),
たたみ込むのは午前5〜6時.ものの5〜10分で縦糸も横糸も一緒にたたまれる.2〜4本の縦糸は残されて,再利用される.昼は葉蔭で静止〔千木良
AT72〕.
7月14日に卵のうを確認,シロオビトリノフンダマシの卵のうに酷似〔新海明K81〕.
ミツカドオニグモ Parawixia dehaani (DOLESCHALL, 1859)
=Araneus dehaani (DOLESCHALL, 1859)
20〜25mm,両側眼の上方に円錐状の突起がある.腹部」の肩隆起は強く,先端はとがり両突起間はくぼむ.
沖縄に分布〔八木沼86〕.ラオスから記録〔Jager他AC58(1)〕.
ヤマキレアミグモ Parazygiella dispar (KULCZNSKI, 1885)
=Zygiella dispar (KULCZNSKI, 1885)
=mis. Zygiella montana (C.KOCH, 1839)
雌7〜8mm,雄5〜6mm.成体出現期7〜9月.北海道では山地に,本州では1600m以上の高山に生息.山小屋,廃屋,神社の社殿や鳥居,崖地,大
木などに垂直または斜めに「キレ網」を張る.
網の一端の人工物や岩の隙間に袋状住居を作り,その中に潜む〔新海06〕.
成体は7〜9月,雌7〜8mm,雄5〜6mm,北海道(高地)・本州(高地).高山地域のクモ.
山小屋,廃屋,岩場にキレ網を張り,その一端に潜む〔東海84〕.
7月15日,富士山小御岳神社にたくさんキレ網あり〔高野K37〕.
7月14日,八ケ岳で多産〔松本K38〕.
雌4.2〜6.5mm,雄4.4〜5.6mm,北海道・本州,全北区に分布.
Leviの記載からは,Z. montanaよりdisparと同定できたので,
Leviが同定したカナダ産のZ. dispar標本と比較して,日本の種はdisparとした.
雄触肢にわずかな違いはあったが種内変異と判断した〔谷川AC51(2)〕.
ワクドツキジグモ Pasilobus hupingensis YIN, BAO et KIM, 2001
=Pasilobus bufoninus (SIMON, 1867)
雌8〜10mm,雄不明,成体出現期5〜8月.南方系のクモ.北限は大阪府.里山の樹林地に生息.夕方から夜間にかけて
樹間に粘性の強い三角形の水平の網「扇形水平網」を張る〔新海06〕.国外ではインドネシア,台湾から記録がある〔小野09〕.
成体は6〜8月,雌8〜10mm,雄不明,九州・沖縄.樹間に水平の三角網を張る.横糸の粘着力は強い〔東海84〕.
タイプ標本との照合により,日本産のワクドはP. hupingensisに同定し直し,雄を初記載した.雄2.4〜2.8mm,
雄は愛知県(4,10月)と三重県(3月)で採集された.
雌8.0〜9.1mm,雄の同定にはミトコンドリアDNAのCO1遺伝子を用いた〔谷川・張・卓AC55(1)〕.
沖縄県名護市.志根垣川.琉球大学与那演習林.久米島で6〜7月に採集記録あり〔新海明K73〕.
6月10日,琉球大学与那の演習林でシダの葉裏に雌〔谷川K86〕.
1959年〜2007年までの採集記録一覧〔新海明K92〕.
ツツゲホウグモ Poltys columnaris THORELL, 1890
雌8〜10mm,雄2〜3mm,成体出現期1〜5月.平地から山地まで生息.樹林地の周辺,林道の樹間に垂直の「正常円網」を張り,中心に止まる〔新海
06〕.
網は夕方に張り,明け方に取り壊す.横糸の間隔は非常に狭く,夜間光を当てるとレコード板のように見える〔新海06〕.
雌9mm(腹高12mm),八重山諸島に分布〔八木沼86〕.
ゲホウグモの一種で小形〔下謝名AT41/42〕.
石垣島バンナ岳で23時に円網,縦径46cm,横径32cm,縦糸36本,横糸131本,
クモは体長7mm,体高12mm〔八幡K80〕.
8月26日1雌,奄美大島名瀬市〔谷川K83〕.滋賀県で発見〔田中穂,いと40〕.スリランカ,インドネシアでも記録〔小野09〕.
ヒョウロクゲホウグモ Poltys idea (AUSSERER, 1871)
雌16mm,台湾にて1988年12月9日,栗林慧により採集〔萱嶋H4(1)〕され,学名が分かった〔萱嶋H4(2)〕.
ゲホウグモ Poltys illepidus C. KOCH, 1843
雌12〜18mm,雄4〜6mm,成体出現期6〜8月.平地から山地まで生息.墓地や公園,河原,樹林地の周辺,林道等の樹間に垂直の「正常円網」を張
り,中心に止まる〔新海06〕.
網は夕方に張り,明け方に取り壊す.横糸の間隔は非常に狭く,夜間光を当てるとレコード板のように見える〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌12〜18mm,雄4〜6mm,本州・四国・九州・南西諸島.
枯枝先端や樹木の枝に脚を縮めてとまっていると木のこぶに似て見付けにくい.
夜間,活動し,樹間に横糸の間隔がせまく目の細かい垂直円網を張る.
腹部の形状には変化が多く,種々の形の角やこぶをもった個体がいる〔東海84〕.
東京都あきるの市,体長15mmのクモの網(縦径32cm×横径30cm)で縦糸42,36で,横糸166,152だった〔新海明K77〕.
同じ母から生れた子でもコブには変異がある〔石野田AC44(2)〕.
網は縦糸36本,45×43cm.横糸は10mmに7〜8本.朝,網をたたむときは,こしき部で網の1/4ずつ前脚で引き寄せまるめ,
これを時計まわりで4回繰り返した.
卵数は530〜600個ほど.孵化までは16日,その後12日で出嚢して団居をつくる.出嚢後109日まで何も食べず.
枯れ枝などでそのまま越冬した〔石井幸子,蜘蛛32/333〕.
網のタテ糸,ヨコ糸,縦径と横径を調べた.ヨコ糸数は最少で67本,最多で132本〔船曳,いと29〕.
インドからフィリピン,中国,オーストラリアに分布〔小野09〕.
1996年5月5日採集した卵のうから27日孵化,29日に出のうした子グモを飼育した.
7月29日から雌8頭を自然死するまで飼育,雄4頭を成体になるまで飼育した.雌7頭は8月30日から9月26日までに成熟.
出のうから最終脱皮まで平均104.7日(雄は35日),出のうから死亡まで平均232.1日,成体になってから初回産卵までは平均28.4日.
産卵は1回,ただし1雌は4回あり.腹部形態には色彩.形態とも著しい個体変異があった〔小笠原K78〕.
8月にカヤの表面に1個卵のうを作る.卵のうの表面には赤い糸をかけてある〔山川・熊田73〕.
八王子滝山にて8月16日,ササ葉とススキ葉に卵のう,子グモ.22日分散〔高野K39〕.
9月9日,サクラの枯れた枝をゆすったら,幼体がおりてきた〔高野K35〕.
白い糸のまわりに赤い糸のついた卵のう.7月28日,近くのフジに成体〔高野K40〕.
2.5cm×2.0cmの球形卵のうで表面に紗のように橙色の糸〔中平83〕.
宮崎県では4月中旬から成体,5月中旬には産卵.6月上旬にふ化〔石野田AC45(2)〕.
佐藤幸子より1983年10月10日,埼玉県上尾市で雌成体〔平松K92〕.
コオニグモモドキ Pronoides brunneus SCHENKEL, 1936
=syn. Pronous minutus (SAITO, 1939)
雌4〜5mm,雄3〜4mm,成体出現期7〜9月.北海道では全域に分布.本州では500m以上の山地から採集されるが,1000mを超えると急に増え
てくる.
樹林地の周辺,林道の樹木や草の葉の表面または葉裏に生息する.夕方から活動を始め,枝葉間,草間に1本の糸を引く.
クモはその糸の途中に待機して獲物を待ち,接近してくる昆虫を捕える.幼体期に網を張っている可能性がある〔新海06〕.
成体は7〜9月,4〜5mm,北海道・本州・四国・九州.北海道以外では寒い地域に多い.網は不明〔東海84〕.
国外では中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
夜間,草間に左右に張った糸の中央にいて,1・2脚を開き,虫を捕獲する〔谷川AT94〕.
幼体がカニミジングモ幼体を捕食〔初芝K81〕.
クロバネキノコバエ,サラグモの一種を捕食,落葉広葉樹林に多い〔初芝K90〕.
自然環境指標種Bランク〔新海98〕.
ナガテオニグモ Singa hamata (CLERCK, 1758)
雌5〜7mm,雄4〜5mm,成体出現期5〜10月.里山から山地に生息.樹林地周辺の下草の間などに垂直の「正常円網」を張り,中心に止まる.網の大
きさは足場の位置によって
5cmほどの小さなものから,30cm以上の大きなものまで見られる〔新海06〕.
分布域はひろいが個体数は少なく,採集記録はほとんどない〔新海06〕.
成体は8〜10月,雌5〜6mm,雄4mm,北海道・本州・四国・九州.下草間に5〜10cmの垂直円網を張る〔東海84〕.旧北区に広く分布〔小野
09〕.
自然環境指標種Cランク〔新海98〕.
チブサトゲグモ Thelacantha brevispina (DOLESCHALL, 1857)
=mis. Gasteracantha mammosa (C. KOCH, 1845)
雌8〜12mm,雄3〜5mm,成体一年中.市街地から山地まで生息.樹間に垂直の「正常円網」を張り,中心に止まる〔新海06〕.
腹部の色彩,斑紋には変異が多く,黒色型・フタホシ型・ソデジロ型など様々〔新海06〕.
成体は1年中,雌8〜10mm,雄3〜5mm.トカラ列島以南に分布〔森林87〕.マダガスカル,インドから台湾,中国,オーストラリアからも記録〔小野
09〕.
沖縄で,樹間や電線間に完全円網を垂直に張り,網の中心部に垂直下位に占座して日中も夜間も決してその位置を変えない.
本種は冬になると今までの大きな平面網はなくなり,網全体が立体的となり,その中に5〜10cm大の網を作って(円網),
そこに同じ姿勢でいる.粘球のところに白い綿みたいなものがつく〔下謝名AT28〕.
主網の背面側に作った立体的な糸に綿状(5〜8mm)が付着,枠糸にあることもあったが,横糸にはなかった〔胡沢K64〕.
網にかかった餌をすべてbitingで捕らえた.大きな餌は糸を付けて縦糸に沿ってこしきの方に引っ張られた〔吉田真AT91:AC37(2)〕.
Thelacantha mammosa C. KOCH, 1845としてフィリピンにて採集〔仲辻AC7(1)〕.
10月25日産卵〔八幡K80〕.
斑紋型.ソデ白型.ソデ茶型.黒色型の変異あり.変異型の頻度は場所により異なった.黒色型の頻度は暗い環境でより高い〔三島明博AC43(2)〕.
4型の遺伝は2遺伝子座2対立遺伝子モデルで説明できた.各型の生存率には変化なし〔三島明博AC45(2)〕.
ズグロオニグモ Yaginumia sia (STRAND, 1906)
雌10〜13mm,雄8〜10mm,成体出現期7〜10月.平地から山地に広く生息.人家の周囲,橋の欄干や橋げた,街路灯,駅の校内,公園のトイレ,
電話ボックス,看板などの照明器具の付いた人工物
に垂直または斜めに「正常円網」を張る.網の一端の人工物の隅や隙間に袋状住居を作り,昼間はその中に潜む〔新海06〕.
成体は7〜10月,雌10〜13mm,雄8〜10mm,全土.橋の欄干,駅構内,電話ボックスなどの隅に住居を作り,そこから円網を張り出す〔東海
84〕.
網の一端に袋状住居を作る〔森林87〕.
垂直円網〔新海69〕.
円網の初期造網過程を観察できた.「T構造」がある〔新海明K70〕.
雄触肢のけい節が長い〔小野09〕.
宮崎県日向市で1988年3月15日〜6月21日に調査.第1報では屋外の気温が10℃以下で活動停止.日没後15分で70%が円網に定位,残りは5時間
以内に定位.日の出3時間で円網に定位するのは0%.
越冬卵の孵化が5月12日,3日後脱皮し2齢となる.7日後に分散〔石野田H4(1)〕.
流水付近に造網すると考えていたが,関係なかった〔中平AT43〕.
7月にも卵のうを作る〔池田84〕.6月18日,雌が雄を捕食〔池田K59〕.熊本にて産卵は9月頃〔木庭AT15〕.
夜間,網の中央に出て来る.風通しのよい所に多い.9〜10月に1個卵のうを作る〔山川・熊田73〕.
網は夕方更新する.網の支点にある物陰に,かまぼこ型の昼間の住居を作る.
幼体で越冬するものと卵体で越冬するものにわかれ,前者は6月中旬頃産卵し,後者は晩秋産卵する.
卵のうは薄いが強靭な,二枚貝式の産室内に置かれる.産室は住居の一部に営むこともあるが,独立していることが多い〔中平AT23/24〕.
円網での出猟は日没時より日出直前の夜間.網の補修は日没時に行う.
越冬個体は幼体〜成体,卵.越冬卵は住居巣内にあり,ふ化4日後に脱皮し,その後1週間を経て分散〔石野田AT93〕.
グラフの形は二山型で,枠糸の最大荷重は1.43±0.98g,限界の伸びは52±18%だった〔吉田真・桝元敏也,蜘蛛29〕.
卵のう内には0.8mmの橙色卵が50〜300卵,1齢幼体は頭胸部・歩脚は水飴色,
腹部はコーヒー色,ふ化後3日で脱皮,約1.5mmの2齢幼体,4日後には糸を放ち分散,7月に新個体群が出現〔石野田AT95〕.
日中,網主のいない網にかかった餌を幼体が捕食していた.20網中5例〔新海明K65〕.東京都の隅田川にかかる橋の欄干で調査.
造網時刻は?8月5日(2007年)18:00は造網開始するクモが出現し始める.支柱15本で2頭,それが20:30〜20:45は152頭.手すり二
段の区域に一段の区域の倍以上が造網した.
橋全体では1252頭いる計算になった.破網した後で造網する.造網時間を正確に測定することは出来なかったが,網が広いほど横糸を張る時間を要する〔八
幡秋山沙和K94〕.
幼体の間で網の乗っ取りが行われた(君津市亀山橋, 1991年11月23日).乗っ取られた方が小さかった〔平松K〕
牽引糸の弾性限界強度はクモの体重の約2倍でジョロウグモと同様だった.弾性率は15GPaでジョロウの10〜13GPaより
大きかった〔大崎.井田AC51(2)〕.
大鞭状腺からの分泌物の分子量は亜成体で27万5千,成体では28万1千で,通常のタンパク質としては大きいが,
蚕の35万,コラーゲン30万よりやや小さい〔大崎.山本恵三AC55(2)〕.
環境指標種〔新海98〕.
タイリクキレアミグモ Zygiella x-notata (CLERCK, 1757)
横浜港シンボルタワーで2003年7月20日谷川採,雌6.7〜7.3mm,雄4.7m,
ヨーロッパ.北米.南米.中国から記録,アメリカへの分布は人為分布と推定,
日本産も人為分布〔谷川AC53(1)〕.全北区に広く分布〔小野09〕.
本ページにないクモ類については,以下(および先頭)のリンクをご確認下さい.