| (1) 前 文,凡 例 | (2) 参考文献 | (3) 略人名索引 |
| (4) 会誌出版年 | (5) 種名一覧(和名と学名) | (6) 本 文 |
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******** 更新日 2010年7月3日 ********
2010年6月に『クモ分布図』CDに収録のための改訂を行った.
地方同好会(三重,中部,和歌山,大阪)会誌の記事は新海明氏が入力して下さった.
Acta arachnologica,Kishidaiaの既発行分を入力,2008年の前文で「順次」入力予定と記した分を一部入力した.分類学的な記述は
『日本産クモ類』に譲る(ナミハグモの一部とマシラグモの一部は未入力).本事典の分類学的記述は統一されていない.(2010年7月3日記)
2008年5月に増補改訂作業を行った.主に谷川(2008)の日本産クモ類目録を参照して配列した.
前回は1999年で増補作業がストップし,
2000年から2008年までのデータを入力できていなかったが,Kishidaia全号と,
Acta arachnologica, 53(2)と56(2)の日本語部分を除いて入力し終えたところである.
ただし,記述がAtypus,Acta,Kishidaiaに限定されていて他の記載論文や他の同好会誌までは
入力できていない.
順次,八木沼健夫(1986)の図鑑と千国安之輔(1989,2008)の図鑑,新海栄一の図鑑(2006)の他,
吉田哉・小野展嗣・谷川明男らの記載文や安藤昭久の「サラグモ屋敷」を参照し,入力する予定である.
(2008年5月28日記)
この事典の初版を1987年に自費出版したときには,多くの人々にこれほど利用されるとは思っていなかった.
プロとアマの別なく研究者の論文を検索するための種ごとの短文つき記述という前版のスタイルはそのままである.
図を盛り込みたい.記述を整理したい.正確性を再検討したい.もっと多くの文献を参照したいといった希望はあったが,
編者に時間がなく,とりあえずのものとなってしまったことをおわびしたい.
しかし,コンピューターやインターネットのお蔭で,情報の利用や検索は容易になったので,
修正も更新も日々行なわれる可能性が出てきたと思っている.多くの人に利用してほしいと思う.
ただ,利用する方は文献引用をきちんと明示していただきたい.
資料は日本蜘蛛学会会誌と東京クモ談話会会誌に偏っているが,各々の会に入会するなりして
過去の文献も利用していただきたいと思っている.
他に情報を発見された方はメールでお知らせいただければ有り難い.
(1998年9月15日記)
この事典はこれまで調べられた生理生態記事を種ごとにまとめたものである.
編纂の動機は高校の生物部を指導するに当たって生徒に研究の指針を与えるためであった.
あるクモを目前にした時,その種についてどれほどのことが今まで調べられているのかがわかれば,
研究の目やすもつけやすい.
とはいうものの私の手元にある資料には限りがあった.完全を期すよりも,
ともかくクモ学会の会誌を中心にして作成することにした.
その他,いくつかの論文及び単行本も参考にしたが,完全なものではない.
原則として活字になったものを収録した.
学名や和名の変更等で以前の目録にあって,
正体不明のものや変更を要するものなどについては資料不足の為,今後の検討課題としたい.
いくつかは記しておいたが記述に統一がとれていない.
また種毎の分類学的記述及び生態的記述はもとの論文の記述量とは比例していない.
総じて長い論文ほど短くなった傾向がある.
専門的に研究される方は是非,原文にも当たっていただきたい.省略したところに貴重な示唆があることが多い.
また八木沼健夫著「原色日本クモ類図鑑」(1986年,保育社)には種毎に生態記事や分布が記されている.
この事典ではそれらのほとんどを省略した.
なぜならこの事典を利用する人は八木沼の図鑑も持っていることを前提としているからである.
図鑑と合せて利用するものと思っていただきたい.
折りよく吉倉真著「クモの生物学」(1987年,学会出版センター)も出版された.
日本のクモ研究も網羅した本である.この事典と重なる記述も数多い.
もとの生態記事には貴重な図が含まれているが,ワープロでまとめる関係上,それらはすべて割愛した.
今度改訂するときはできるだけ図を盛りこみたいと思う.また,できる限りの文献に当たって記述したいと考えている(初版1987年10月10日).
ひとつの種に関して参考文献のすべてを列挙してあるわけではない.
たとえば一例をあげると,フクログモの項にミノムシのミノの利用に関する文献として,
この事典では[徳本.鍛冶AT82]しかあげていないが,実際にはもっとある.
しかし,それらの文献についてはこの両名の論文の参考文献としてあげられているので,省略している.
これと同じようなことがいくつかあるので,本事典からの孫引きで参考文献すべてを網羅することはできない.
また分布については発表された採集リストのすべてを網羅しているわけではないこともお断わりしておく.
八木沼の図鑑(1986)に出ていないクモもある.
その種の記述は,そのクモについて書かれた当時の文献のものであり,なかには正体不明のものもある.
学名が八木沼の図鑑に一致していない種もあるが(たとえばサラグモの項),
これは生態記事の書かれた当時の学名を記録しておいたためである.
命名者で「YAG.」は八木沼である.
種名一覧から本文の各種へ飛ぶリンクは設定していない.
設定が大変なので個人の手にあまった.
利用者各人のソフトの検索機能を活用していただければ十分な検索ができるはずである.
本ページにないクモ類については,以下のリンクをご確認下さい.
コモリグモ科の系統を論ずる形態的特徴として,@前列眼の配列状態,A後牙堤歯の数, B第1脚腿節内側面先端の刺の数,C第1脚けい節内側面の刺の配列状態,D第1脚しょ節背面基部の聴毛の有無, E第1脚付節背面基部の聴毛の有無を重要とした.生態的特徴としては網の形成状態・生息場所など. その結果,造網習性を残すPirata属は最も原始的な属であり,TrochosaとLycosa属,ArctosaとTricca属および AlopecosaとXerolycosa属は近似した属とみなせる. Xerolycosa属はこの中で最も特殊化した形質を持ち,派生的存在である. 他方,Pardosa属は日本産コモリグモ中最も進化した形質を示し,その活動的習性からも,最も進化した属と考えられる〔田中AT87〕.
アキヤマコモリグモ Alopecosa aculeata (CLERCK, 1758)
雌8.2〜12.8mm,雄8.6〜9.5mm.山地性.全北区に分布〔小野09〕.
ニセキクヅキコモリグモ Alopecosa cinnameopilosa (SCHENKEL, 1963)
雌12.7mm,雄7.7mm.4〜5月,宮城県伊豆沼,沼の周辺(湿地)に生息,谷川明男採集.
外見がキクヅキコモリグモに似る〔田中AT89〕.韓国・中国でも記録〔小野09〕.
宮城県伊豆沼・内沼では沼の岸辺,特に芦原の水際に多い.
4月下旬に雄成体出現,1週間後に雌成体.成体出現・卵のう形成のピークは5〜6月(越冬世代.ひと周り大きい)と8月.
5月の緑色の卵のうは直径6mm,厚さ5mm.卵数は平均130個(90〜150前後).卵のう形成後22日で出のうし,4日間母親の腹部でまどい.
亜成体越冬.雄は腹部震動,TU脚で地面をたたきながら接近,雌の脚や体をたたきながら乗り上がり,交尾.左右1回ずつ数秒間.雌は1回交尾〔谷川
K57〕.
北海道十勝海岸部の湿地のトラップ調査では,7月上旬に雄のピーク,8月以降は成体取れず〔松田.柴田95〕
アシマダラコモリグモ Alopecosa hokkaidensis TANAKA, 1985
=mis. Alopecosa striatipes (C. L. KOCH, 1837)
住居ほか詳しい生態は不明〔新海06〕.雌成体(9.5〜15mm)は6〜9月,雄成体(8.6〜10.8mm)は6月.北海道の標高
1000〜2000mの草間,石間で採集される.卵のう不明.ハタチコモリグモに似るが,背甲側面に明るい黄色のバンドを欠く〔田中
AC33(2),AT88〕.
ハタチコモリグモ Alopecosa moriutii TANAKA, 1985
雌成体(9.9〜12.8mm)は3〜7月,雄成体(6.8〜8.9mm)は3〜5月.雌に赤褐色から黒褐色まで色彩変異あり.北海道・本州.野原,河
の土手の草地で採集される.卵のう形成は6月,一卵のう内に40〜180個.生殖器はアシマダラコモリグモに近似〔田中AC33(2),AT88〕.
秋田市向浜の砂防林にて採集.タイプ標本〔福島K72〕.韓国でも記録〔小野09〕.岩手県平井賀浜において雌成体が砂浜に縦穴式住居(直径
8mm,15cm長)を作る〔新海明・谷川K94〕.
チリコモリグモ Alopecosa pulverulenta (CLERCK, 1758)
=syn. ヒシオオアシコモリグモ Pardosa cornuta S. SAITO, 1939
雌9〜15mm,雄7〜9mm,成体出現期5〜8月.山地に生息,湿原,草地,芝生,林縁の草間などに生息する大型のコモリグモ.本州では1000m以
上の高原に生息し,平地では見られない〔新海06〕.成体は5〜7月,雌9〜13mm,雄7〜9mm,北海道・本州(高地).尾瀬,八ケ岳などの高原の草
間を徘徊する大型のコモリグモ.ヨーロッパと共通種〔東海84〕.雌6.5〜10.5mm,雄8.0〜9.0mm.成体は7〜8月,卵のう形成は7月後
半,全北区に広く分布〔小野09〕.
北海道十勝海岸部の湿地のトラップ調査では,5月下旬に雄のピーク〔松田.柴田95〕.
クラークにより,世界で最初に記載されたスウェーデンのクモのなかのコモリグモのひとつである〔池田10〕.
スジコモリグモ Alopecosa virgata (KISHIDA, 1910)
=スジブトコモリグモ
雌9〜13mm,雄7.5〜10mm,成体出現期5〜7月.長野県などでは局地的に多数の個体を見ることがあるが,全国的にはきわめて少なく稀少種とい
える.雄は成体になると,頭胸部から腹部にかけて縦に白色の条が入り,ハラクロコモリグモの雄とよく似ている〔新海06〕.成体は5〜7月,雌
9〜13mm,雄7.5〜9mm,本州.林内の地表を徘徊する.個体数はきわめて少ない〔東海84〕.雄9〜11mm,雌10〜13mm.雌雄は似ていな
い.山地の林内や草原を徘徊する大形のコモリグモで局地的に多産する.北海道・本州(東北.中部の高地)〔千国89〕.雌10.3〜12.0mm,雄
8.0〜10.5mm,山地の開かれた草地に生息.雌成体は5〜9月.雄は5〜6月.韓国からも記録〔小野09〕.
関東平野北西部のコモリではLs0(草地・日向・乾燥)選好性〔藤井AC47(1)〕.関東平野北西部の生態.低密度ないし低活動性〔藤井
AC46(1)〕.
ノッポロコモリグモ Alopecosa volubilis YOO, KIM et TANAKA, 2004
成体は5〜7月,雌6.2〜7.4mm,雄5.2〜5.6mm,韓国産で記載された,北海道野幌の林内で発見〔田中・松田AC52(2)〕.
キョクトウコモリグモ Arctosa atropos (L. KOCH, 1878)
雄14.3mm.採集地は日本だが詳細は不明〔小野09〕.
タイリクミズコモリグモ Arctosa cinerea (FABRICIUS, 1777)
雌14〜16mm,雄11〜13mm,斉藤が千島列島から記録して後,滋賀県と長野県の河原で採集された.河原の砂地に穴を掘って住む〔田中穂
AT91〕.雌10〜15mm,雄11〜12mm.旧北区に分布〔小野09〕.成体出現期5〜6月及び8〜10月.河原の河川敷に生じた砂地に,縦または
斜めに穴を掘って住居を作る.穴の深さは4〜7cmでイソコモリグモの住居よりかなり浅い.昼間は住居の中に潜んでいて,夕方から夜間にかけて穴の入口に
身を乗り出して獲物を待つが,時には住居より出ていることもある.昼間住居から出ていることはほとんどないので採集記録は極めて少ない.
管状住居の口径は1〜3cm,深さは5〜6cm,斜めまたはU字状.管口に身をのり出して待ち伏せ,捕らえると管庭に運び込み,管口を閉じてから食べる.
夜間徘徊もある〔千国AT91〕.
ダイセツコモリグモ Arctosa daisetsuzana (S. SAITO, 1934)
成体は6〜9月,雌9〜10mm,雄6〜8mm,高山帯の裸地やハイマツ帯に生息〔小野09〕.
カガリビコモリグモ Arctosa depectinata (BOES. et STR., 1906)
雌6〜7mm,雄4〜5mm,成体出現期5〜7月.草原,畑の周囲,林縁などに生息し,地表面,落葉上を歩き回って獲物を探す.昼間は地面のへこみに管
状住居を作り,その中に潜む個体も多い.住居の表面には土の微粒が付けてあるので周囲と見分けがつきにくい〔新海06〕.雌6mm,雄5mm.本州・九州
〔八木沼86〕.畑の周囲に生息し,地面のへこみに管状住居を作り,その中にひそむ.住居の表面には土の微粒がつけてあるので,周囲と見分けがつきにく
い.成体は6〜8月,各地に広く生息していると思われるが,採集記録は少ない.腹部上面に赤色斑紋〔森林87〕.雌成体は6〜7月と10月,雄は5〜7
月.香港でも記録〔小野09〕.
Lycosa
depectinataとして,崖地を徘徊していたものを採集〔新海69〕.埼玉で3〜7月に畑地だけで採集された〔藤井AT85〕.関東平野北西部の生
態.低密度ないし低活動性〔藤井AC46(1)〕.関東平野北西部のコモリではもっともBs0(裸地.日向.乾燥)選好性〔藤井AC47(1)〕.
5〜6月に成体が見られる〔新海K40〕.
雌は縦穴を掘って産室とし,ここで着嚢と子グモのまどい期間中をすごした.この間穴の
入り口はふさがれたままだった.子グモの分散は親グモが子グモを背負ったまま地上に現われた後に行なわれた.幼体は分散直後から住居をつくり定住した.住
居は溝状凹部に糸と土くれで天井をつくり,両端に出入口をもっていた.餌捕獲時以外はそこから出ない.
雄は雌に出会うと姿勢を低くし触肢で小石や地面をひっかき音をたてた.雄はこの動作を続け,ときどき第1脚をそろえて水平に挙げ,上下に細かく震わせて接
近する行動を繰り
返した〔永井均,蜘蛛16〕.
1回の交接で2回産卵する〔鈴木勝K42〕.母グモは未受精卵を食べる〔鈴木勝K44〕.
エビチャコモリグモ Arctosa ebicha YAGINUMA, 1960
雌12〜14mm,雄10〜12mm,成体出現期10〜6月.里山から山地にかけて生息.草原,林縁などに生息している大型のコモリグモ.草間,落葉上
を歩き回って獲物を探す.産卵期には地中穴を掘って住居を作り,卵のうを付けたまま潜んでいる.子グモは孵化すると穴の中に分散してしばらく親と一緒にい
るが,一部の子グモは親が住居を出るか時に親の背中に乗っていることがある〔新海06〕.成体は10〜6月,12〜14mm,本州・四国・九州〔東海
84〕.産地に多く,草間,石の下などを徘徊する.3〜5月にかけて卵のうを保持した雌は3〜4cmの穴に潜む.入口の周りには草やワラなどが糸でかがっ
てある〔新海69〕.穴をほって潜む〔東海84〕.雌11.1〜15.0mm,雄10.2〜12.1mm,成体は10〜5月,卵のう形成期3〜4月.韓
国と中国でも記録〔小野09〕.
このクモは子守行動を示さない.子クモは母グモにとりつこうとしないようだ.母クモの腹部にもknobbed
hair(コモリグモの雌の成体にある.Rovnerは子守に関する意義を認めている)を欠く〔藤井AT79〕.
3〜7月,埼玉で林縁部に多い〔藤井AT85〕.
関東平野北西部の生態は死んだ植物体上.日向.止水の条件域に生活〔藤井AC46(1)〕.見つけ取りではDd0(腐草地.日陰.乾燥)選好性〔藤井
AC47(1)〕.
秩父では,4〜6月に産卵する.ふ化した子グモは数日間住居内に散っているが,親が住居を出る時はほとんとが背面に乗り,もうしばらく保護される〔新海・
原AT65〕.卵のうを保持すると地表のくぼみに定着する.産卵期(3月中旬から5月上旬)にはいかいしているものは雄か卵のうを持たない雌である.住居
は入口を小数の糸でかがり合わせたものでクモは頭部を入口に向けている.子グモを腰背にのせて歩く〔有田AT43〕.
卵のうを落とすと,しおり糸を引きながら探す.卵のうと紙綿玉を区別できるが,表面を滑らかにすると見分けられない.感覚器は歩脚末端にあり,2本の上爪
を取り去ると見分けない個体が増える.また触肢は付・径節が重要である〔有田AT26/27〕.
糸器につけた卵のうから子グモが出ると,子グモは母グモの腹背に乗らず,卵のうのから
の上に集まる〔八木沼,しのび17〕.4月に卵嚢を持った雌を採集,飼育.卵嚢は母グモが開ける.その際に「パリパリ」と音がする.出嚢した子グモはすぐ
に器内に分散,子守り行動は見られない〔畑守,いと17〕.
石川県金沢市柳瀬川つつみ公園でモズの「はやにえ」となっていたのを採集〔徳本洋,しのび30〕.
自然環境指標種Bランク〔新海98〕.
フジイコモリグモ Arctosa fujiii TANAKA, 1985
雌5.5〜8mm,雄5〜6mm,成体出現期3〜10月.平地から山地まで広く生息.水辺の草間,樹林地やその周辺,草原などに生息し,落葉上や草間を
歩き回って獲物を探す.特に湿度の高い樹林内の落葉中に多い.雄は雌より黒色が強く,第1・2脚の腿節が黒いのが特徴である〔新海06〕.成体は3月下
旬〜8月,雌5.6〜8mm,雄5〜5.8mm,本州.森林内の湿った落葉層に生息.卵のうは3月上旬〜6月に見られ,平均卵数は50個.形態はダイセツ
コモリグモ,ヒコサンコモリグモに似る〔田中AC33(2)〕.成体は3月下旬〜8月,卵のう形成は5〜6月.南限は三重県〔田中AT88〕.成体は3月
後半から8月にかけて,卵のう形成期5月初旬から6月〔小野09〕.
埼玉にて,3月〜8月に川辺草間,川辺カシ林,コナラ林縁,ヒノキ成樹林床では優占種〔藤井AT85〕.関東平野北西部の生態は昼夜活動性.死んだ植物体
上.日陰.雨水のみの条件域に生活〔藤井AC46(1)〕.見つけ取りではDd0(腐草地.日陰.乾燥)選好性〔藤井AC47(1)〕.
求愛なしに雄は近くを通る雌に飛びつく,夜間の交接はほとんどない〔藤井AT91〕.糸器につけた卵のうから子グモが出ると,子グモは母グモの腹背に乗ら
ず,卵のうのから
の上に集まる〔八木沼,しのび17〕.
自然環境指標種Bランク〔新海98〕.
ヒコサンコモリグモ Arctosa hikosanensis TANAKA, 1985
成体は4〜8月,雌5.6〜6.3mm,雄5.1〜6.3mm,九州.森林内の湿った落葉層に生息.卵のう不明.
フジイコモリグモに似る〔田中穂AC33(2),AT88〕.雑木林の枯葉の間に生息.成体は4〜8月〔小野09〕.
ヒノマルコモリグモ Arctosa ipsa (KARSCH, 1879)
=syn. Tricca japonica SIMON, 1888
雌6〜10mm,雄6〜9mm,成体出現期5〜8月.主に林内の落葉中に生息し,土壌性の動物を捕食する.その他,林の周囲,水辺周辺の樹林地,草原な
どでも採集される.雄と雌では色彩が全く異なる〔新海06〕.成体は5〜8月,雌7〜10mm,雄6〜9mm,全土.林内の落葉中に生息し,土壌性の動物
を補食する〔東海84〕.成体雌は5〜8月,雄は4〜7月.卵のう形成期6〜7月.基準産地は横浜.Tricca属をArctosa属に含める研究者もい
る〔小野09〕.
雄6.2〜9.1mm,雌6.5〜11.4mm.栃木・千葉・新島・近畿・四国・九州・トカラ列島・西表島〔田中穂AC39(1)〕.
埼玉で3〜7月,低湿地周辺に多い〔藤井AT85〕.
関東平野北西部の生態.死んだ植物体上・日向・止水という条件域に生活〔藤井AC46(1)〕.
ヒノマルは湿性環境に生息〔藤井AC47(1)〕.
メス成体の左前側眼と左後側眼のみで,あとの6眼が欠如していた個体を三重県四日市市
で採集〔貝發,しのび11〕.卵嚢をもったまま土中にかくれる.78日後に背中に子グモをのせて現われた.この期間は餌も捕らないようだ〔田中幸一,蜘蛛
16〕.
1回の交接で2回産卵〔鈴木勝K42〕.
セスジコモリグモ Lycosa japonica
(SIMON)?として,「体長10mm内外.背甲と腹背に縦斑を持つ.地中に潜って(深さ2〜3cm)越冬する.雌は亜成体で雄は成体〔植村AT5〕.
カワベコモリグモ Arctosa kawabe TANAKA, 1985
雌10〜12mm,雄8〜9mm,成体出現期4〜10月.渓流,川原など河辺の石の下に生息.その他,山地の湿地帯や草原にも見られる.同じ環境にキシ
ベコモリグモが生息しているが,キシベの方が灰色が強い〔新海06〕.雌成体(7.9〜13.5mm)は4月中旬〜8月・9月上旬,雄成体
(6.5〜9.5mm)は4月上旬〜6月と9〜10月.北海道・本州・四国・九州.河岸の石の下に生息.卵のう形成は5〜6月で平均卵数80個〔田中
AC33(2),AT88〕.
自然環境指標種Aランク〔新海98〕.
ネッタイコモリグモ Arctosa laminata YU et SONG, 1988
雌6.3mm,雄6.9mm,カガリビコモリグモに似る.南西諸島・中国南部に分布〔田中穂AT94〕.雌5.1〜6.7mm,雄4.2〜6.9mm.
川岸で見られる.生態不明〔小野09〕.
クロココモリグモ Arctosa stigmosa (THORELL, 1875)
=syn. Arctosa subamylacea (BOES. et STR., 1906)
=syn. ミズタコモリグモArctosa kobayashii YAGINUMA, 1960
=アゴアカドクグモ
雌10〜11mm,雄7〜8mm,成体出現期5〜7月.平地から里山にかけて生息.畑地や水田の周囲に多く,その他,草原,湿地,河辺の草地や林縁など
でも見られる.草間,落葉上,地表面などを歩き回って獲物を探す〔新海06〕.水田を徘徊していたものを採集,石の下などに潜む〔新海69〕.雌
7.7〜9.8mm,雄5.5〜7.8mm.雌成体4〜9月,雄4〜7月.卵のう形成期5〜8月.韓国でも記録〔小野09〕.
関東平野北西部の生態.低密度ないし低活動性〔藤井AC46(1)〕.
Bs1,Bs2,Ls1,Ls2に生息.草地・日向・湿性環境〔藤井AC47(1)〕.石川県の水田に普通〔富樫一次・高順一郎AC40(2)〕.
ヤスダコモリグモ Arctosa yasudai (TANAKA, 2000)
=syn. Tricca yasudai TANAKA, 2000
成体は5〜8月,雌5.4〜7.8mm,雄4.5〜6.9mm,北海道・本州(静岡.三重)〔田中穂AC49(2)〕.成体は7〜8月.基準産地は北海
道.Tricca属をArctosa属に含める研究者もいる〔小野09〕.
Platnickの扱いではTriccaはArctosaの新参シノニム〔谷川LIST〕.
ババコモリグモ Hippasa babai TANIKAWA, 2006
与那国島産の雌雄(2005年5月19日幼体で採集,飼育により成体.馬場採集)でタナアミコモリグモ属の新種を記載,
雄6.8〜7.3mm,雌7.7〜9.0mm,下草に棚網を作る.昼間は住居に潜んでいるが,夜間はリトリートの入り口
で待ち伏せる.卵のうを糸疣につけ,背中に幼体を背負う.卵のうを持った雌は常にリトリート内にいる〔谷川AC55(2)〕.
シッチコモリグモ Hygrolycosa umidicola TANAKA, 1978
雌6〜8mm,雄5.5〜6.5mm,成体出現期6〜11月.主に湿原,池や河川周辺の湿度の高い草原に生息.また,一時的に水位の上がった草地や,普
通の草原に入り込むこともある.産卵期は6月と9月の年2回報告されている〔新海06〕.札幌を基準産地として記載,青森・山形・新潟・栃木・長野県のほ
か,千葉・神奈川でも記録された〔谷川K65〕.東京都秋川市横沢でも記録された〔池田2008〕.成体は5〜10月,飼育下で出のうした子グモが親の腹
部に乗ることなく分散〔小野09〕.
オガサワラコモリグモ Lycosa boninensis TANAKA, 1989
雌10.5〜15.0mm,雄7.6〜10.4mm,雌成体は6月・8月・12月,雄は7〜8月に採集〔小野09〕.
ハラクロコモリグモ Lycosa coelestis L. KOCH, 1878
=シケジドクグモ
=チャイロドクグモ
=syn. セピアドクグモ Lycosa sepia (DOEN. et STR., 1906)
成体出現期10〜7月.草原,林道,里山の樹林地の周囲などに生息.地表や草間,落葉上を歩き回って獲物を探す〔新海06〕.成体は12〜7月,雌
13〜15mm,雄11〜12mm,本州・四国・九州.草原,山道や地表を徘徊する.産卵期は5〜6月で卵のうを作ると地中に潜って保護する〔東海
84〕.雌成体は4月下旬〜10月,雄3〜6月.韓国と中国でも記録〔小野09〕.
雌成体を室内飼育したところ,5〜6月と7〜8月に産卵した.8〜9月に一部の雌は3回目の産卵をした.
平均卵数は202個(1回目)と77個(2回目).7月19日に出た幼体は雄6〜8回,雌7〜9回の脱皮で成熟〔宮下AC46(1)〕.
関東平野北西部の生態.低密度ないし低活動性〔藤井AC46(1)〕.
イソコモリグモ Lycosa ishikariana (SAITO, 1934)
=Lycosa fujitai UYEMURA, 1939
=イシカリコモリグモ Ishicosa ishikariana S. SAITO, 1934
成体は6〜8月,雌15〜23mm,雄10〜17mm,北海道・本州(日本海沿岸,太平洋側は青森県のみ).海浜性のクモ.砂浜に10〜20cmの穴を
ほって住居を作り,昼間は入口をふさぐ.夜間は住居からでて近くを通る昆虫や海浜性動物を補食する〔東海84〕.1982年,井上尚武が茨城県鹿島町下津
浜ほかで採集〔小野AT98/99〕.成体は3月から4月,卵のう形成は3月下旬から4月上旬〔小野09〕.
井上尚武によれば,1982年以降も茨城県内各地の海岸(1990年8月那珂湊市阿字ヶ浦海岸や高萩市花貫川河口など)で発見〔池田私信〕.1982年
10月30日,茨城県鹿島町下津海岸で発見〔井上尚武K96〕.
新潟,瀬波砂丘に生息.侵食による砂丘の減少で減っている〔工藤泰則AT68〕.
島根県江津市の浅利浜にてオオマルスナゴミムシダマシを捕食〔初芝K90〕.自然下での餌は,イソコツブムシ,ヒョウタンゴミムシ,ヒメコガネ,ゴミムシ
ダマシ類,ハマスズ,ハマトビムシ類など.天敵としてはオオモンクロベッコウを目撃〔金野,いと12〕.
オオハサミムシが脱皮中のクモを襲った可能性〔金野,いと15〕.砂浜内でも乾砂帯を好む傾向がある.分散は主に歩行によっており,バルーニングはしない
だろう〔徳本,いと28〕.京都府の久美浜町の箱石浜,網野町琴引浜,丹後町平で発見〔吉田真,いと30〕.
春の快晴の時に雌成体は穴の入口で逆立ちし,第3・第4脚で卵のうを支え,まわして陽光にあてている.9月中旬から1カ月間オオモンクロベッコウに狩ら
れる〔馬場AT79〕.
鳥取砂丘での調査では,成体は6月中旬〜8月中旬まで観察されない.雌の繁殖巣は海浜植物群落中に多いが,それ以外の期間は植物からはなれた所に多い.
分散直後(5月下旬〜6月上旬)には全域にみられる.巣作りは砂堀り,穴側面の裏打ちを繰り返して堀り下げ,5〜7cm程度掘ると裏打ちしなくなる.風雨
を防ぐ為,フタをするが,その時は周囲の砂をかきよせ,糸を使って膜を作る.フタには0.5〜1mmの空気穴が2〜3個あいている.
卵のうを持った雌成体の巣は入口をドーム状のフタで覆う.放射糸がないので餌をとらないのだろう.
主な餌はゴミムシ類である.糸に餌が触れると,クモはその方向へ飛び出し,餌をくわえてあお向けになる.静止後,糸をたどって巣に戻る.餌を捕えてもあお
向けにならない場合もある〔吉田AT74〕.
藤田〔AC4〕は巣穴作成の準備行動として自己掃除行動を報告しているが,巣穴堀りにつながらないことが多く,単なる自己掃除である.脚のすべてを上顎と
触肢で,眼域を触肢で掃除した〔上田AT67〕.
1954年,鳥取砂丘では砂丘から淀江まで広く分布している.線状分布型,塊状分布型に分けられるが,個体数が少ない場合は散状分布型とよぶ〔福本
AT8〕.1988年,人為破壊のため,鳥取砂丘では激減していた.西端は米子市弓ケ浜だった〔福本AT94〕.
石川県加賀市海岸では環境破壊のため激減,生息域が海浜植物帯と重複.調査の適時は巣孔数最高の5月下旬から6月〔徳本AC47(2)〕.石川県海岸線の
全個体の1950年−1998年の間で相対的生息個体数の減少率は0.228〔徳本AC48(2).減少率ではなく,生残率では?(池田注)〕.生き残り
の条件を考察〔徳本K87〕.
イソコモリグモの減少傾向を定量的に評価するシステムを考案した〔八幡AC56(2)〕.
石川県加賀市海岸の砂丘で1999年7月24日昼間1時間半に発見した巣穴は30個ときわめて少なかった.クモは2個体.巣穴に残った餌昆虫の死骸はシロ
スジコガネ・オサムシモドキ・オオウスバカゲロウ〔徳本・八幡K96〕.
新潟にて調査〔新海明K92〕.山形県庄内砂丘の調査.北部で生息密度が高い〔吉田哉K92,AC56(2)〕.青森県にて調査〔新海明K93〕.鳥取.
島根両海岸=山陰海岸における調査〔鈴木信二.鶴崎.小玉芳敬AC55(2)〕.富山県で唯一本種の生息が確認されていた東岩瀬の砂浜を調査したが発見で
きなかった.絶滅したものと思われる〔徳本・新海・貞元K94〕.東北各地の太平洋岸の砂浜で谷川明男と「いる」「いない」を確認する.福島県南部・宮城
県南部といないことを確認,岩手県北部の明戸海岸で多数を発見〔新海明K94〕.京都から新潟にかけての海岸にパッチ状に分布.過去に生息していた敦賀半
島の坂尻海岸にはいなかった〔新海明K97〕.福島県にはいないが,茨城県高萩市には自然海岸ではないが生息する〔新海明・谷川K97〕.北海道における
生息実態調査を行った(データは未掲載)〔松田AC58(2)〕.
昭和12年10月3日福井県坂井郡三里浜にて藤田衛採集の雌雄成体で記載.付属肢長は雄の方が長い〔植村AC6(4)〕.
成体は径15〜28mmで底まで一定の径の縦穴住居(長さ15〜30cm)を作る.雄や幼体の径や長さは短い.越冬中は蓋をしている.第1脚,大顎,触
肢で砂を掘る.7cm位に30分かかる.上部内面に糸を張る.上る時は縦糸を,下る時は横糸を左右に張る.
10分で周囲を張り終わる.蓋は砂を糸でつづりあわせて作る.蓋の中央には穴をつける.産卵期は3月下旬〜4月上旬で卵のうは青鼠色,球形偏平で大きさは
13cm位ある.糸いぼに付けて保持.
4月下旬〜5月上旬頃ふ化して子グモは母グモの腹部背面に乗る.オオモンクロベッコウに狩られる〔藤田AC6(4)〕.
9月5日青森県鷹架で高野伸二採集,太平洋岸から初めて〔高野K39,K40〕.
カニとちがい,穴の外側に円状に土を掘り出していく.7月1日夜産卵,偏球の卵のう,卵数は74個〔鈴木勝K47〕.
求愛.交尾行動を飼育して観察,@定位接近段階(雄は雌のしおり糸をたどり巣穴に接近),A求愛前期(雄はT脚で雌に接触,巣穴の外に誘い出す),B求愛
後期(相互の接触,雌が雄を激しく叩くことがある),C交尾〔畑守AC43(2)〕.
マツシタコモリグモ Lycosa matusitai NAKATSUDI, 1943
=Lycosa matsushitai
雌20.8mm,山地の草原で採集.ミクロネシアから小笠原にかけて分布〔小野09〕.1雌に基づくが,基準標本が失われてい
る.TANAKA(1990)は母島から記録.記載している.雄は未知〔小野AC43(1)〕.
父島にて採集(八木沼70).
ムナグロコモリグモ Lycosa pia (BOES. et STRAND, 1906)
雌21.0mm,原記載以来,採集されていない〔小野09〕.
スズキコモリグモ Lycosa suzukii YAGINUMA, 1973
雌18〜20mm,雄11〜15.5mm,成体出現期5〜10月.草地,荒れ地,河原,樹林地の周辺などの草間の地表面,石や倒木の間,落葉上に生息.
上顎側面と触肢基部は赤色で,敵を威嚇するときは非常に目立つ〔新海06〕.成体は3月上旬〜8月下旬.小松(1937)によると,卵のう形成時にシェル
ターを作る.韓国と中国で記録〔小野09〕.
岸田久吉が秋田県大館市で大正4年に採集し記載論文を準備したが未発表〔福島K72〕.
モズの早にえとなる.他にもジグモ,クサグモ,イオウイロハシリグモ,Lycosa ruber(アカドクグモ)あり〔加藤AC5(2)〕.
1936年5月23日,長野県諏訪郡北山村にて卵のう付の雌を学童が採集した.飼育下で7月13日にふ化しない卵のうを捨てた.199卵.エンマコオロ
ギ,クサグモ,ウヅキコモリグモを捕食し余分はかみ殺して捨ててしまう.7月23日から25日頃,卵のう製作の為に長卵形の住居を製作,7月28日に2回
目の産卵をし,8月23日子グモが親の背に移った.
子は親の食事には参加しないが,水を与えると背を離れ,飲み終えて戻る〔小松AC2(1)〕.
7月下旬に産卵.卵嚢は尻につけ産室をつくって入る.23日目に孵化.子グモは48頭.越冬は土に穴を掘り糸で厚く裏打ちしてその中で過ごす.気温30度
を越すと地中に穴を掘ってもぐる.入り口は土粒をつけて偽装.翌年夏に成体,さらに越年するので丸2年は生きるようだ〔福島彬,蜘蛛28〕
産室を作るコモリグモ Lycosa sp.
5月中旬に一斉に産卵を開始し,その後には産卵がみられない.
産卵期には落葉層内に産室を作って引きこもり,卵のうを糸いぼにつけながら出歩くことがない.
卵のうから出た子グモはしばらく産室内に留まるが母親に関心を示さず,室内全体に散らばっている〔藤井AT63〕.
ハリゲコモリグモ群 Pardosa laura complex
イナダハリゲコモリグモ,ハタハリゲコモリグモ,キタハリゲコモリグモ,タテスジハリゲコモリグモ,
ハリゲコモリグモ,テジロハリゲコモリグモの6種の求愛行動を表す記号(諏訪1984による):求愛姿勢に関する六型;Rl (低位の姿勢),
Rm (中位の姿勢),Hh (T脚をM型にした高位の姿勢),Pp (T脚を挙げた姿勢),Pa (触肢を交互に振る姿勢),Ps (触肢を同時に振る姿勢).
前進動作に関する二型;Bp (触肢を交互に押し下げながら体を低くする動作),Pv (触肢を同時に押し下げ,激しく震わせる動作).
歩行様式に関する六型;Al (触肢をいろんな方向へ動かしながら歩行),U (波状歩行),Lc (凸型歩行),Lr (落ち着きのない歩行),
Ap (触肢を振り挙げた歩行),Lj (ちゅうちょした,ぎざぎざの歩行)〔田中・諏訪AC34(2)〕.
イナダハリゲコモリグモ Pardosa agraria TANAKA, 1985
成体出現期5〜8月,平地から里山にかけて生息.主に水田に生息し,イネの害虫を捕食する.その他,湿度の高い草地,池や河辺周辺の草原,畑地にも見ら
れる.地表面,草間,落葉上を歩き回って獲物を探す.同定には注意が必要〔新海06〕.成体は5〜9月,雌4.5〜7.8mm,雄3.0〜4.9mm,沖
縄を除く全土.水田・畑で採集される.
平均卵数45個.ハタハリゲコモリグモやハリゲコモリグモに近似し,生殖器構造でも区別が困難.
雄の触肢の前端に白いpubesceneを欠く〔田中AC33(2)〕.
求愛行動型はPp,-,Uである〔田中・諏訪AC34(2)〕.
ハリゲのT型である〔池田〕.
関東平野北西部の生態は昼行性.生きた植物体上.日向.流水の条件域に生活〔藤井AC46(1)〕.
イナダはLs1,Ls2,Ds1,Ds2に生息.草地.日向.湿性環境〔藤井AC47(1)〕
北海道十勝海岸部の湿地では,雄は7月にピーク,若虫で越冬し初夏に成体〔松田.柴田95〕.
脱皮回数が夏世代は雄5回,雌5〜6回.越冬世代は雄7〜9回,雌8〜9回〔宮下AC46(2)〕.
アマミコモリグモ Pardosa amamiensis (NAKATSUDI, 1943)
奄美大島産の1雌でLycosa属で記載,TANAKA(1993)が転属した〔小野AC43(1)〕.
ウヅキコモリグモ Pardosa astrigera L. KOCH, 1878
=ホシコモリグモホシドクグモ.ムツカイゾクドクグモ
=syn. コウヅキコモリグモ Lycosa T-insignita BOES. et STR., 1906
=syn. ムナグロコモリグモ Tarentula phila DOEN. et STR., 1906
=syn. Lycosa phila DOEN. et STR., 1906
=syn. セアオコモリグモ Lycosa cinereofusca DOEN. et STR., 1906
=syn. サガコモリグモ Tarentula sagibia STRAND, 1916
=syn. ムツコモリグモ Pirata aomorensis S. SAITO, 1939
成体は1年中,雌7〜10mm,雄6〜8mm,全土.草間,落葉上,地表を徘徊する〔東海84〕.人家の庭から山地まで最も普通に見られる.産卵期は
3〜11月〔新海06〕.雌7〜10mm,雄5〜8mm.市街地の庭や公園,郊外の雑木林,芝生,畑,果樹園などに生息.山地や高湿の所にはほとんど見ら
れない.産卵期は4〜11月と長いが,4〜6月と9〜10月にピークが見られる.卵のうは白色か灰白色でややつぶれた球形.1卵のう中の卵数は30〜80
個〔森林87〕.韓国・中国からも記録〔小野09〕.
クモ卵を用いて染色体を調査,2n=28(雄)および30(雌),XXO型,雄の配偶子にはn=13及び15〔松本AC27S〕.
卵のうの赤道面のつぎ目は産卵後ある日数に母グモによってはがされ,その数日後,はがした部分に上顎で穴をあけ,子グモはこの穴から出のうする.
産卵直後の卵のうは灰白色だが,やがて灰緑色に変わる.
吉倉によれば,ふ化後数時間で脱皮をし,うごめき,7〜10日で脱皮し,第1若虫になり出のうする.拡のうは第1前幼虫の時である〔有田AT58〕.
親が卵のうを拡のう・開のうしないと生育できない.離のうは卵のうが空になることやカビにより起こる.
はいは卵のう外でも発生し,着のう中の雌の背中にも乗る.模型の腹にも反応する〔藤井AT68〕.
母グモは卵のう内で子グモがふ化する(着のう後3.6日,卵のう外で発生した子グモによる))と卵のうを拡のうし,
1回目の脱皮(着のう後4.5日),2回目の脱皮(10日後)をしてから,開のうする.蒸し殺した卵のうでも拡のう,
開のうすることから,母グモには温度条件で調節される体内時計がある.形成日の違う卵のうの交換実験で,
開のうを促進する刺激は卵のう内の子グモの「もがき」(2回目の脱皮後),
開のうを抑制する刺激は子グモの歩脚の波動運動(1回目の脱皮後次第に盛んになる)であろう〔藤井AT77〕.
個体数は埼玉県において4月と10月にピークを示し,夏世代(4月に産卵された)の成体は越冬世代(8月に産卵された)より
小型,夏世代の脱皮回数は7回前後,越冬世代は9回前後.1度の交接で2〜3回産卵し,あとの卵のうの産卵数・ふ化率は低下する.
越冬世代の方が産卵数が多く,卵のう期間,団居期間とも長い.雌の補食量は脱皮・交接・子グモの保護終了の後に高くなる.
雄の補食量の増加は脱皮直後のみ.雌雄とも脱皮前日は補食しない.死亡率の高い令は2〜3令,亜成体〜成体の間である.
亜成体の越冬場所はおき草の下,わらの中,落葉の下など.3月下旬成体となり,4月産卵,産卵後24日程で出のう,7日間母グモの背中で団居,
その後分散する.6回脱皮,7月中旬成体となる.8月の卵のうは18日程で出のう,5日間団居,その後7〜8回脱皮して,亜成体で越冬する〔鈴木勝
AT77〕.
関東平野北西部の生態.昼行性.むきだし土壌上.日向.雨水のみの条件域に生活〔藤井AC46(1)〕.広い環境選好性〔藤井AC47(1)〕.
北海道十勝海岸部では1化性,ピークは5月下旬〔松田.柴田95〕.
乾燥した開けた草地に生息,4月〜9月初めに成体・卵のう,1卵のう中の卵数は40〜140個〔田中穂AC42(2)〕.
餌が少ないと脱皮回数が増加し,発育期間が長くなる〔浜村AC27.宮下68による〕.
9月初旬の2齢幼体を3種の日長条件で飼育した結果,成熟までの日数が16Lで90日(脱皮回数は6〜9回,平均7.7回),
12Lで144日(脱皮回数は7〜10回,平均9.3回),8Lで126日(脱皮回数は8〜10回,平均8,8回)だった.
3齢と亜成体期間が長くなった.日長の影響は発育の後半に現れ,短日では齢期の延長.齢数の増加により発育が遅延した.
サイズは発育日数と正の相関をした〔浜村・浜西洋AT97〕.
10月に老齢幼体を採集し,調査.13Lと14Lの間に臨界日長がある〔浜村AT98/99〕.
気温の高い時(31〜34℃)は体温があがり,太陽の直射を避ける.また徘徊時間も下がる〔藤井AT70〕.
日射により体温は常に変動するが,地表気温の低い時ほど陽所にいる時間が長く,体温の方がかなり高い(地表19.5℃の時の体温24.6℃).
走行速度は30℃付近で最高値(秒速26cm).致死体温は50℃〔藤井AT75〕.
開けた場所にいるために年によって鳥に捕食される.そんな時,ハリゲU型が林縁から進出してくる〔藤井AT85〕.
飼育下で6月30日に成熟した雌が8月3日に追加脱皮をした〔藤井AC49(2)〕.
マーキングによる個体識別で行動を追跡したところ,一定範囲内でランダムな動きをすると推定された〔前田AT68〕.
棚網を捨てて,コモリグモはどんな能力を獲得したか.卵1個の大きさはタナグモと比較して,さほど大きくなっていない.同種または異種のコモリグモ小型個
体をよく補食し,徘徊路は錯綜し,なわばりを持たない.徘徊は餌の探索ではなく,アリやゴミムシとの衝突,強風からの避難が要因である.成体雄のみ
が,15分中,17.2〜18.3%という徘徊時間を示し,他は4〜6%と小さかった.本質的には待機型狩猟者である〔藤井AT62〕.
トビイロウンカよりツマグロヨコバイやショウジョウバエを多く補食する傾向がある.
えさの密度や混合比が変化すると,接触の回数が変化し,好き嫌いの度合も変化する.世代は長いので,増殖率の高い虫の天敵としては有効ではない〔宮下
AT53〕.
キャベツ畑害虫への効果.捕食量は苗株当りコナガ幼虫10匹程度で飽和.
春作ではコナガに秋作ではコナガとアブラムシにクモ放飼による密度抑制効果があった〔浜村AC45(2)〕.
ユスリカ20頭を与えたところ75%以上の捕食率を示した〔村田浩平AC45(2)〕.
乾燥地を好む.幼体・亜成体・成体で越冬.早いものは2月上旬に卵のうを保持している〔中平AT23/24〕.秋田南部の農村では「雪グモ」と呼ばれ,
2月ころから積雪上を歩きまわる〔福島彬,しのび22〕.佐々木秀吉(1952)によると田圃の畦に深さ15cmの穴を掘り,その奥に
広葉樹の葉を噛み砕き糸で張りつけているという〔福島彬,しのび22,23〕.
福島にて,越冬ドクグモの分布(ウズキかどうか分からない)と温度や明るさを調査した.明るく暖かい所にクモは集まる.
21〜24℃の所が良い.行動できる限界は12℃である〔古内AT17〕.
都立四中生徒・丸山工作によるとムツボシベッコウバチが主にドクグモを狩り,他にもハエトリ1種,ワシグモを狩る〔高島AC8(3)〕.
飼育下のサソリモドキに捕食された〔佐藤AC6(3)〕.
午後5時35分卵のうのシーツ作りから午後7時2分卵のうを糸いぼに付けるまで記録〔千国/親と子〕.
春産卵後一両日中に卵のうを除去すると,卵成熟が促進され,普通3週間後に再び産卵する.卵母細胞の大きさも除去後増大する〔吉倉ほか
AT68,AC27S〕.1回の交接で3回産卵〔鈴木勝K42〕.
母グモは未受精卵を食べる〔鈴木勝K44〕.
キョクトウコモリグモ Pardosa atropos (L. KOCH, 1878)
=Lycosa atropos L. KOCH, 1878
ヤマハリゲコモリグモ Pardosa brevivulva TANAKA, 1975
雌4.7〜7.2mm,雄4.5〜5.2mm,成体出現期5〜9月.平地から山地にかけて生息.主に山地の樹林地周辺に多いが,平地の林縁や草地にも生
息する.落葉上,草間,地表面を歩き回って獲物を探す.ウヅキコモリグモに似るが,頭胸部の班紋と,小型であることから区別できる〔新海06〕.成体は
5〜7月,雌4.5〜7.5mm,雄4.5〜5.5mm,北海道・本州・四国・九州.林内の落葉中に多い〔東海84〕.成体雌4〜8月,雄4〜5月,卵の
う形成期は4月下旬から8月初旬.韓国・中国からも記録〔小野09〕.青森にて林地性〔諏訪AT85〕.110mmの長さの線虫が寄生〔小笠原幸恵,蜘蛛
28〕.
パルサコモリグモ Pardosa daisetsuensis TANAKA, 2005
雌7.5〜9.0mm,雄6.6〜8.2mm.成体は7月〔小野09〕.
ハタハリゲコモリグモ Pardosa diversa TANAKA, 1985
雌成体(5.1〜7.9mm)は4月下旬〜9月,雄成体(4.3〜5.0mm)は4月下旬〜7月.本州.
山に隣接する薮や草原で採集される.平均卵数40個.ハリゲコモリグモやイナダハリゲコモリグモに近似〔田中AC33(2),AT88〕.
求愛行動型はPa,Pv,Lrである〔田中・諏訪AC34(2)〕.
石川県でピットフォールトラップで局地的に雄が多産した〔徳本AT97〕.
クサチコモリグモ Pardosa graminea TANAKA, 1985
成体は4〜5月,雌4.5〜5.4mm,雄3.8〜4.0mm.本州(現在のところ茨城県と埼玉県).
主に開けた草地に生息.卵のう形成は5月上旬,平均卵数30個.
雌の外雌器はヤマハリゲコモリグモに近似するが,雄触肢付節先端に爪がない〔田中AC33(2),AT88〕.関東平野北西部の生態.昼行性.生きた植物
体上.日向.雨水のみという条件域に生活〔藤井AC46(1)〕.
カラコモリグモ Pardosa hedini SCHENKEL, 1937
雌3.5〜5.5mm,雄3.5〜4mm,成体出現期6〜10月.里山から山地にかけて生息.草原,樹林地の周辺,林道などに見られる.草間,地表面,
落葉上,石の間などを歩き回って獲物を探す.採集記録は少ないが,各地に分布していると思われる〔新海06〕.雄4mm,雌5.4mm,乾燥した草地に生
息,成体雌は6月下旬〜8月と10月下旬,成体雄は6〜7月初旬に見られる.本州北部,韓国,中国に分布〔田中穂AT93〕.八王子市の墓地にて2009
年5月23日に雌雄成体,5月31日に卵のう保持の雌〔荘司K96〕.
ヒメコモリグモ Pardosa herbosa JO et PAIK, 1984
=syn. Pardosa umida TANAKA 1985
成体は6月下旬〜9月上旬,10月.雌4.3〜5.8mm,雄3.8〜4.3mm,北海道・本州.湿った草地に住む.卵のう形成は9月上旬に見られ,卵
数は約35個〔田中AC33(2),AT88〕.
キタハリゲコモリグモ Pardosa hokkaido TANAKA, 1986
雄4.5〜5.2mm,雌4.9〜8mm,雌は4月下旬から8月,雄は4月下旬から7月に出現.卵のう形成は6月または5月下旬から8月,1卵のう中の
卵数は15〜40.
北海道・本州に分布し,森林およびその周辺に生息.
求愛行動は,諏訪将良によると,雌に対面した雄は20〜30秒間,姿勢を低める.その姿勢のまま,触肢を数回,す早く交互に振り上げる.
頭胸部をもちあげて,両方の触肢を振り上げて雌に接近していく.再び姿勢を低める.この行動型を繰り返す.諏訪によりV型とされた種である.
求愛行動型はRl,Rm,-,Apである〔田中・諏訪AC34(2)〕.
シマコモリグモ Pardosa hortensis (THORELL, 1872)
=syn. Lycosa annulata THORELL, 1872
イサゴコモリグモ Pardosa isago TANAKA, 1977
雌7〜9mm,雄6〜8mm,成体出現期6〜7月及び10〜11月.山地の渓流から河口まで広く分布.河原や渓流の岸辺の石の下や石の隙間に潜んで,近
づいて来る昆虫を捕食する.石の上や石の間を歩き回っていることもある.石の上にいるクモは振動に気づくと敏速に石の隙間に逃げ込む.キシベコモリグモと
似た灰色の個体も多い〔新海06〕.雌6.35mm,雄5.20mm,本州・四国・九州に分布.兵庫県青垣町で記載.キシベコモリグモと同様の生態,卵の
う形成時期・卵数は不明〔田中AC27S〕.
ヤンバルコモリグモ Pardosa jambaruensis TANAKA, 1990
雌6.9〜11.7mm,雄7.7〜8.6mm.成体は3月,9〜10月.山地性で小川の岸辺に生息.中国からも記録〔小野09〕.
タテスジハリゲコモリグモ Pardosa laevitarsis TANAKA et SUWA, 1986
海岸から山地まで生息.南方系種で南西諸島以北ではほとんど採集されていない〔新海06〕.雄4.2〜4.8mm,雌4.6〜6.8mm,雌3〜9月,
雄は3〜5月,南西諸島に分布.海岸付近の草地や山の裸地に生息.卵のう形成は3〜7月.1卵のう中には約35卵.
求愛行動は(諏訪による)雌に対面した雄は50〜60秒間,体を低める.
次にかぎ型の触肢をまっすぐ上に挙げ,降ろし,体を持ち上げ,二,三歩歩く,蛙が飛ぶように.二,三秒のそのような歩行を繰り返した後,再び体を低めて雌
に対面する.
求愛行動型はRl,-,Lcである〔田中・諏訪AT34(2)〕.
ハリゲコモリグモ Pardosa laura KARSCH, 1879
=syn. トウミョウコモリグモ Tarentula palus DOEN. et STR., 1906
=syn. Pirata longipedes (S. SAITO, 1939)
雌4〜7.5mm,雄3.7〜5.5mm,平地から山地まで普通に見られる〔新海06〕.成体は4〜8月,雌5.5〜7.5mm,雄5〜7mm,全土.
〔東海84,森林87〕.
越冬個体群の活動指数(落としわな捕獲数÷方形区捕獲数)を求めると,成体雄が最高,成体雌では卵のうを持つと下がる〔諏訪AT68〕.
3つの型があり,求愛行動の違いによる性的隔離が行われている.「別種として記載されることになった,lauraは以下のU型に相当する」.
野幌ではT型(雄触肢に白毛なし)は草地に多く,V型(雄触肢に白毛あり.第1脚しょ節末端に黒褐色の環なし)は林縁部・林地に多い.
ただしV型卵のう持ちの雌は林縁部・草地に多い.発育段階によって生息場所が変わるのだろう.
T型の雄の出現は5月下旬,ピークは6月下旬で7月上旬以降まで生存する.V型はこれより10日前後早い〔諏訪AT75〕.
北海道産のV型は本州では中部以北の高山地帯に,本州産のV型は東北北部では平野部にそれ以南では山間部から高山地帯に分布し,すみわけられている.
また同属の他種では南へ行く程成体出現時期が早まるが,この型では札幌産が5月上旬,青森産が5月下旬と遅い.これは種間の差異に相当する〔諏訪
AT81〕.
関東(土浦・秦野)の春個体群(越冬個体群)が夏個体群より背甲幅が大きいことからT型・V型は年2化性,U型は差がなく1化性と推定される.札幌ではど
れも1化性である.
U型では背甲幅に逆ベルグマンの法則がみられる.逆ベルグマンの法則から推測してU型は年平均気温9〜15℃の地域(関東から青森)では1化性であろう.
年平均気温15℃以上の九州では越冬個体群が関東のそれより小さく,年3化の可能性がある.道北ではV型は2年で1化も考えられる.背甲幅からの推測であ
る〔諏訪AT77〕.
雄の求愛行動には違いがある.T型は片方の触肢をあげた低位や高位の静止姿勢から,体を低めてすばやく波状歩行で雌に接近する.
U型は第1脚を高く持ちあげた高い静止姿勢から,触肢を交互に下に下げつつ体を低め,第1脚を上下左右に動かしながら雌に接近する.
V型は低い静止姿勢から,触肢を斜め上方に交互に上げながら体をあげて雌に接近する.雄は異なる型の雌にも求愛するが,雌は異型の雄を受け入れない〔諏訪
AT70〕.
卵持ちの雌は開けた地区に集中する傾向がある〔諏訪AT66〕.
早春2月頃,活動を始める.4〜6月に卵のうを保持するものが多い.雌は亜成体,雄は成体で越冬するものが多い〔中平AT23/24〕.
U型はヒノキ幼樹林床では優占種だった〔藤井AT85〕.
青森にてU型は乾燥雑草地性,T型は湿潤草地性,W型とヤマハリゲは林地性〔諏訪AT85〕.
求愛行動型はHh,Bp,Alである〔田中・諏訪AC34(2)〕.
石川県の水田に普通〔富樫一次・高順一郎AC40(2)〕.
エゾコモリグモ Pardosa lugubris (WALCK., 1802)
雌4.5〜8.5mm,雄4.5〜6mm,成体出現期4〜9月.北海道では平地から山地まで普通に生息.本州では1000m以上の高原,針葉樹林帯の地
表や落葉上,牧場などに見られる.草間,落葉上,地表面を歩き回って獲物を探す〔新海06〕.成体は5〜8月,雌5〜6mm,雄4〜6mm,北海道・本州
(高地).1000m以上の高原や樹林内に生息し,地表,落葉上を徘徊する.ヨーロッパと共通種〔東海84〕.卵のう形成期6月中旬〜8月始め.旧北区に
広く分布〔小野09〕.
コンピラコモリグモ Pardosa lyrivulva (BOES. et STR., 1906)
雌成体は佐賀県で6mm,雄は未知.原記載以来採集なし〔田中AC42(2)〕.
カコウコモリグモ Pardosa nojimai TANAKA, 1998
成体は3.5〜6月,雌5.8〜8.4mm,雄4.5〜5.3mm,本州(静岡・大阪・岡山・島根),九州(熊本).ハリゲコモリグモに似る.雄触肢
(ショ節の前半に黒毛)の爪が1個〔田中AC47(2)〕.河口付近の葦の草間に生息.成体は3月下旬から6月〔小野09〕.
ヒガシコモリグモ Pardosa oriens (CHAMBERLIN, 1924)
=Orinocosa oriens CHAMBERLIN, 1924
雌4〜6mm,雄4〜5mm,成体出現期3〜9月.海岸近くの牧場,草地,芝生,海岸から見える丘陵地の林の周囲,草地や裸地に生息.地表面,草間,石
の間,落葉上などを歩き回って獲物を探す.九州では佐多岬から採集されている〔新海06〕.雄4.6mm,雌4.2mm,海岸近くの草地や山地の開けた場
所に生息.成体は3〜9月,産卵期は3〜4月と7月.九州.南西諸島および中国に分布.Orinocosa属として記載された〔田中穂AT93〕.
タイリクコモリグモ Pardosa palustris (LINNAEUS, 1758)
=syn. Lycosa tarsalis THORELL, 1856
タカネコモリグモ Pardosa paramushirensis (NAKATSUDI, 1937)
=mis. Pardosa ferruginea (L. KOCH, 1870)
雌6〜7mm,雄5〜6mm,成体出現期6〜8月.北海道では丘陵地から山地にかけて生息.本州では1500m以上の山に見られる.針葉樹林帯の地表や
落葉上,岩場,草原の草間を歩き回って獲物を探す〔新海06〕.高山性のクモ〔新海69〕.仲辻により千島列島パラムシル島の1雌で記載された.北海道旭
岳産(7月)の雌雄(雄6.2mm,雌7.8mm)で再記載.約標高2000mに生息,成体は7月から9月半ば,7月に卵のう形成,平均卵数50個〔田中
AC42〕.北海道では風穴地の岩塊地に生息,低山の風穴や低標高の火山地帯にも生息する.気温による制限ではなく,他種が生息できない厳しい環境に生き
る〔松田AC52(2)〕.ロシア(千島列島)からも記録〔小野09〕.
ヤマコモリグモ Pardosa plumipes (THORELL, 1875)
=mis. Pardosa monticola (CLERCK, 1758)
=mis. ケアシコモリグモ Pardosa pulmipedella (STRAND, 1907)
雌5.0〜6.8mm,雄4.9〜5.6mm.川岸や湖沼などの縁の草原に生息.成体は6〜8月.中国からも記録〔小野09〕.
キクヅキコモリグモ Pardosa pseudoannulata (BOES. et STR., 1906)
=Lycosa pseudoannulata (BOES. et STR., 1906)
=デーニッツドクグモ Lycosa doenitzi BOES. et STR., 1906
=syn. ツクシコモリグモ Lycosa innnominabilis DOEN. et STR., 1906
=syn. ミツボシコモリグモ Lycosa subtarentula DOEN. et STR., 1906
雌6.5〜12mm,雄6.3〜8.5mm,成体出現期5〜11月.水田や湿度の高い草地に生息.水を落とした稲田に特に多く,切り株の間などに潜む.
発生がまちまちで各段階のクモを一時に見ることができる.イネの間や草間を歩き回ってツマグロヨコバイなどの水田害虫を捕食する.敵に襲われると巧みに水
の上を走り,水草を伝って水中に逃げ込む.雄の触肢先端の黒色部が特に目立つ〔新海06〕.成体は7〜10月,雌10〜12mm,雄8〜9mm,全土.水
田に多い.稲の間や草間に生息し,ツマグロヨコバイなどの水田害虫を補食する〔東海84〕.水田や湿った草原で生息.雌成体3〜12月,雄3〜11月.国
外では中国,韓国,台湾から記録〔小野09〕.
厚木の水田では個体数のピークが8月下旬に現れ,卵のう保持個体は7〜10月中旬までみられた.中でも7〜8月下旬に多い〔山野・木戸AT64〕.
11月の雌成体を25℃で16L8D,10L14Dで飼育,自然条件では産卵しなかったが,16Lでも10Lでもすぐ産卵した〔宮下和AT98/99〕.
8月17日,ツチガエルに補食された.卵のうはカエルの前脚でかきおとされる〔中平AT64〕.
水辺・水を落とした稲田等,湿気の多い土地に最も普通.発生がまちまちで,各段階のものを一時に採集できる.
4月下旬〜5月下旬,9月下旬〜10月上旬に卵のうを形成するものが多い.
たくみに水上を走り,水草を伝って水中にもぐりひそむ〔中平AT23/24〕.
西表島無農薬水田で越冬生態調査.朝夕2回の活動期あり.野外でトビムシ捕食を観察.
飼育下でウンカやヨコバイもよく捕食した〔村田AC47(2),AC48(1)〕.
関東平野北西部の生態.低密度ないし低活動性〔藤井AC46(1)〕.
Ls1,Ls2に生息.草地.日向.湿性環境〔藤井AC47(1)〕.
幼体に向かって蟻 Lasius nigerの近種が糸をかけられながらも外して何度もとびかかっていった〔岡野AC9(1/2)〕.
水田で切株を伝って3〜4分も潜水する〔植村AC8(1/2)〕.
宮崎県下北方村で水深1cmの水底の小石に抱きつき2時間30分も潜水していた〔白AC7(3/4)〕.
5月28日,埼玉県高坂で採集した卵のう保持個体は,5月30日シャーレ側壁にそって楕円形住居を作成,出のう.
6月7日頃子グモ分散.7月15日再び子グモを背にのせて出現〔高野K35〕.
年2〜3世代を経過し,幼体で越冬する.京都市内では5〜11月に卵のうを保持した雌成体が観察できる.各世代の幼体は異なる環境条件下で発育するため,
条件に応じた形質を備えた子孫を産むことが適応的な産卵戦略である.幼体では頭胸部サイズは餌を捕獲する能力と正の相関があり,腹部サイズは飢餓耐性と正
の相関があった.また頭胸部.腹部.腹部/頭胸部,すべてのサイズが大きい個体は乏しい餌条件下でも次齢へ発育できる可能性が有意に高い.これらのサイズ
および比率は季節によって変化していた.個々の卵への投資量だけでなく,頭胸部-腹部間での卵内容物の配分比を季節に応じて変化させる戦略をとっているこ
とが示唆された〔飯田博之・藤崎憲治AC54(2)〕.
幼体の体サイズ決定に影響を及ぼす要因は母親が経験した温度,卵の発生過程における温度であった.ともに30℃より25℃条件下で有意にサイズが大きく
なった〔飯田博之・藤崎憲治AC55(2)〕.
京都市内の水田で採集した雌成体12頭から22頭の糸片虫科線虫の幼虫が出てきた.寄生数は多くは1頭だったが,
2頭と10頭もあった.線虫体長14〜159mm,寄生率は1〜10%の範囲内〔飯田博之.長谷川英男AC52(2)〕.
Pardosaに転属〔八木沼86〕.
キシコモリグモ Pardosa riparia (C. L. KOCH, 1833)
雄4.2〜5.5mm,雌4.6〜5.8mm,6月初めに成体,卵のう形成は不明,北海道と尾瀬に分布〔田中AC42(2)〕.旧北区に広く分布〔小野
09〕.
ヌマチコモリグモ Pardosa suwai TANAKA, 1985
雌成体(6.4〜8.8mm)は5〜7月,雄成体(6.4〜8.2mm)は5月.北海道.卵のう形成は5月下旬〜6月下旬.平均卵数80個〔田中
AC42(2),AC33(2),AT88〕.十勝海岸部の湿地では成体または亜成体で越冬し,翌春早くに繁殖を開始〔松田・柴田95〕.中国からも記録
〔小野09〕.
スナハラコモリグモ Pardosa takahashii (S. SAITO, 1936)
=スナワラコモリグモ
雌7.5〜10.5mm,雄5〜7mm,成体は一年中.沖縄県および小笠原諸島の海岸に分布する代表的なコモリグモ.海岸の砂浜や,近くの畑地,草地に
生息する.砂地の地表面,草間を歩き回って獲物を探す.温暖化により今後,九州南部でも採集の可能性がある〔新海06〕.雌9mm,雄7mm.九州・南西
諸島,台湾にも分布〔八木沼86〕.
キシベコモリグモ Pardosa yaginumai TANAKA, 1977
成体出現期3〜11月.山地の渓流から河口まで広く分布.主に河原の石の隙間に潜んで,近づいて来る昆虫やクモを捕食する.石の上や石の間を歩き回って
獲物を探すこともある.振動に気づくとすばやく石の下の隙間に逃げ込む.産卵期は5〜8月.卵のうを持つと石の下の砂地に簡単な穴を掘って潜む〔新海
06〕.成体は1年中,雌6.2〜9mm,雄5〜7.5mm,北海道・本州・四国・九州.河原の石の下を徘徊する〔東海84〕.成体は1〜2月頃と6〜8
月頃に見られる.韓国と中国からも記録〔小野09〕.
大阪府河内長野市で記載.昼間は石上を動きまわっているが,振動に気づくと,敏速に石の隙間ににげこむ.
卵のうは淡黄色で円盤状,5〜8月頃に卵のう形成,1卵のう中の卵数は30〜90個.イサゴコモリグモやP. monticola群と近似〔田中
AC27S〕.
関東平野北西部の生態.低密度ないし低活動性〔藤井AC46(1)〕.
テジロハリゲコモリグモ Pardosa yamanoi TANAKA et SUWA, 1986
雌4.8〜6.3mm,雄4.2〜5mm,成体出現期5〜8月.平地から山地にかけて生息.湿地帯や湿度の高い草地,池や沼の周辺に見られる.個体数は
少なく,局地的に分布する.水辺の地表面,草間,時には水面上を歩き回って獲物を探す.雄では第1脚の白色班と頭胸部から腹部にかけての背面中央と両側の
細い白条が目立つ.雌は全体黒色で白色の点班が散在する〔新海06〕.雄4.3〜5mm,雌4.9〜6.3mm,4〜8月,本州・九州に分布.草原の湿地
に生息.1卵のう中に30卵.求愛行動は,諏訪将良によると,雌に対面した雄は姿勢を低めるとすぐにかぎのついた触肢を両方同時にずっと振り上げる.30
秒間触肢を動かした後,交互に触肢を押し出し(1〜2秒),体を低めたまま不連続に2〜3歩前進する.
脚を動かさずに体だけを使って前進し,次に退く.約10秒間,雄はちゅうちょした足取りを繰り返して,体を低めて休む.
また触肢を両方同時に振り上げる.このような行動型を繰り返した後に交接する.
諏訪により壱岐型とされた種である.求愛行動型はPs,Bp,Ljである〔田中・諏訪AC34(2)〕.
ハテコモリグモ Pirata boreus TANAKA, 1974
雌3.6〜5.4mm,雄3.5〜4.2mm〔小野09〕.北海道十勝海岸部では湿潤地に優占する.7月11日から成体雌が出現,秋まで取れる〔松田・
柴田95〕.
クラークコモリグモ Pirata clercki (BOES. et STR., 1906)
=クラークカイゾクドクグモ,クレルクドクグモ,シケチドクグモ
雌4.5〜8mm,雄4.3〜6mm,成体出現期5〜8月.平地から山地の水辺,湿度の高い草地,林の中などに生息.草間,落葉の下や隙間などに見られ
る.幼体期は落葉中に生息するが,成長に伴って草地に進出してくる.産卵期は7〜8月.卵のうを持っている期間は倒木や石の下に管状住居を作り,入口に小
さな漏斗網を張る〔新海06〕.成体は5〜9月,卵のう形成期は6〜7月.中国,韓国からも記録〔小野09〕.
イモ.コガタとともに林床,荒地,畑地を徘徊する.幼体の時は地表に網をはっており,虫が網(不粘糸)に入ってくるととらえにゆく〔山川・熊田79〕.
埼玉で3〜7月,川辺草間と川辺カシ林でクラークとイモが採れた.コナラ林床ではコガタが優占種〔藤井AT85〕.関東平野北西部の生態.クラークとコガ
タは昼夜活動性でイモは夜間に多く採れた.クラークは生きた植物体上・日向・止水の条件,
イモは生きた植物体・日向・流水,コガタは死んだ植物体上・日向・雨水のみの条件域に生活〔藤井AC46(1)〕.クラークはDs2に生息.腐草地・日
向・湿性環境〔藤井AC47(1)〕
マルヌマコモリグモ Pirata hiroshii TANAKA, 1986
雌6.5〜7.9mm,雄4.5〜5.4mm.成体は6月.山地の小川の縁や小石の間に見られる〔小野09〕.
ミズベコモリグモ Pirata hokkaidensis TANAKA, 2003
雄3.8〜4.00,雌3.6〜4.1mm.7月に雌雄.北海道(柏原,サロベツ原野,ウトナイ湖,大沼公園)に分布〔田中AC52(2)〕.成体は
7〜9月〔小野09〕.
イリオモテコモリグモ Pirata iriomotensis TANAKA, 1989
雌3.3〜4.6mm,雄3.0〜3.6mm.林内の湿った枯葉の間に生息.成体は3〜6月,卵のう形成期6月〔小野09〕.
ミナミコモリグモ Pirata meridionalis TANAKA, 1974
雌4.5〜6mm,雄3.5〜4.5mm,成体出現期5〜8月.日本の南部に分布.平地から山地に生息.河原や渓流付近,湿地帯などに多いが,人家付近
の草地,林の周囲などにも見られる.地表面,草間,落葉上,石の間などを歩き回って獲物を探す.産卵期は管状住居を作ると思われるが,確認されていない
〔新海06〕.成体は5〜9月,卵のう形成期6〜7月.韓国,中国からも記録〔小野09〕.
カイゾクコモリグモ Pirata piraticus (CLERCK, 1758)
雌5.7〜9.3mm,雄4.3〜6.4mm,成体は7〜8月.全北区に分布〔小野09〕.草間を徘徊する.幼生期はシート網を張り管状住居を作る(有
田67)」〔新海69〕.
ノルガルドによれば卵のうを持つ雌の温度選好は変化する〔諏訪AT66〕.
幼生期にシート(クサグモの幼生が地表に張った網に似る)とトンネル部(土塊のかげ,くぼみに作る.
短く作り方も粗雑)を持った網を作る〔有田AT43〕.
山形県赤湯町にて幼体から成体にかけて空中移動する優占種〔錦AC20(1)〕.
北海道十勝海岸部の湿地では,6月から成体が出現し,7月11日はピ-ク,1化性〔松田・柴田95〕
イモコモリグモ Pirata piratoides (BOES. et STR., 1906)
=syn. ヤマトコモリグモ Pirata japonicus TANAKA, 1974
=ヒナドクグモヒメコモリグモ
雌4〜6.5mm,雄4〜5mm,成体出現期5〜8月.平地から山地まで広く分布.水田,湿地帯,渓流付近など水辺に多く生息するが,里山の草地,林の
周囲などでも見られる.草間,地表面,河原の石の間,落葉上を歩き回って獲物を探す.幼体期および産卵期には石の下,倒木の下などに管状住居を作り,入口
に小さな漏斗網を張る〔新海06〕.
草地の割れ目や窪み,水田の縁など湿った場所に見られる.成体雌は4〜9月,雄4〜8月,卵のう形成期は5〜8月頃〔小野09〕.
クラークとコガタともに林床,荒地,畑地を徘徊する.幼体の時は地表に網をはっており,虫が網(不粘糸)に入ってくるととらえにゆく〔山川・熊田79〕.
埼玉で3〜7月,川辺草間と川辺カシ林でクラークとイモが採れた.コナラ林床ではコガタが優占種〔藤井AT85〕.関東平野北西部の生態.クラークとコガ
タは昼夜活動性でイモは夜間に多く採れた.クラークは生きた植物体上・日向・止水の条件,
イモは生きた植物体・日向・流水,
コガタは死んだ植物体上・日向・雨水のみの条件域に生活〔藤井AC46(1)〕.
イモは石川県の水田に普通だが,特に南部に多い〔富樫一次・高順一郎AC40(2)〕.
イモはBs1,Bs2,Ls1,Ls2に生息.草地・日向・湿性環境〔藤井AC47(1)〕.
ヤマトコモリグモ Pirata japonicus TANAKA, 1974としての記録.
「 岡山で26℃,相対湿度85%,16Lで飼育したところ,脱皮回数は5〜8回,
産卵から出のうまで約12日,2令期約17日,3令期約10日,4令期約11日,5令期約14日,6令期約18日,
亜成体期約18日である.餌量が多い程,各令期間が長い傾向がある.団居期間は半日から6日間で,団居をしない個体もあった.
雌10個体中,4回も産卵した個体が3頭ある.後の卵のう程,産卵数が減り,ふ化率も低下する.
1個目の卵数34.90+11.26(卵のう内死亡率0%),2個目26.71+14.24(26.20%),3個目
26.33+11.90(60.76%),
4個目10.67+10.21(78.13%)〔前田AT66〕.
京都市の京大農学部農場で,水田と畦畔共に多い.秋にピークのある1山型の消長を示し,観察によって年2世代と推定〔山野AC27S〕.
母グモに餌を与えると背中の子グモが母グモの頭胸部に移動して餌に群がって一緒に食べた.他のコモリグモではこのような行動はみられない〔小笠原幸恵,蜘
蛛27〕.
イモコモリグモに等しい〔田中AC29(1)〕.
チビコモリグモ Pirata procurvus (BOES. et STR., 1906)
=ヒゼンコモリグモ Tarentulla sagaphila STRAND, 1916
雌3〜5mm,雄3〜4mm,成体出現期5〜9月.平地から山地まで広く生息.樹林地の中や周辺,草地,渓流付近,湿地帯などに見られる.落葉上や隙
間,草間,地表を歩き回って獲物を探す.産卵期は石の下,落葉の中,地面の隙間などに管状住居を作ることが多い.コガタコモリとよく似ている〔新海
06〕.畑地の枯葉の下など湿った場所に見られる.韓国,中国からも記録〔小野09〕.
水辺などの湿った草間を徘徊するが,土のくぼみ,石の下などに管状住居をつくり,
小さなシート網を張る場合もある.産卵期は石の下に袋状住居を作り潜む〔新海69〕.
成体雌は半径25cmの範囲に留まり,一定の草むらから他に移動しない個体が多い.
昼間は土の間隙などに静止する〔前田AT68〕.
林縁部に多いが林床部にもっと多い〔藤井AT85〕.
関東平野北西部の生態.昼夜活動性.死んだ植物体上・日向・雨水のみの条件域に生活〔藤井AC46(1)〕.
見つけ取りでは死んだ植物体上に広く生息〔藤井AC47(1)〕.
伊豆七島の地上はいかい性種として夏期にイタチグモと共によく採集された〔国見AT87〕.
エゾカイゾクコモリグモ Pirata shibatai TANAKA, 1995
成体は6〜7月,雌7.8〜9.8mm,雄5.8〜7.4mm,北海道豊頃町大津湿地で採.カイゾクコモリグモに似るが,背甲に側斑がある〔田中
AC44(1)〕
キバラコモリグモ Pirata subpiraticus (BOES. et STR., 1906)
雌5〜8mm,雄5〜6mm,成体出現期4〜10月.平地から山地にかけて広く分布.水田,湿地帯,渓流付近など水辺に多く生息するが,湿度の高い林内
などにも見られる.草間,地表を歩き回って獲物を探す.水を落とした水田にもよく見られ,稲株の間や地表の隙間などに管状住居を作り,入口に小さな漏斗網
を張る〔新海06〕.成体は5〜10月,雌6〜8mm,雄5〜7mm,北海道・本州・四国・九州.水田に多い.
草間を徘徊したり,地表の隙間に管状住居を作る.同属に12種以上いる〔東海84〕.
成体雌は5〜9月に,成体雄は5〜7月に見られる.韓国と中国でも記録〔小野09〕.
宇都宮個体群では,背甲幅は連続しており,令を判別できない.
成体の出現ビークは7月前半と8月前半である.
雌成体は10月まで生存する.越冬世代は体が大きく(背甲幅2mm以上),
夏世代は小さい.卵のう中の卵数は12〜105個で,平均は53・51個であるが,7月以前には多く,8月以後のものは少ない.
大型の越冬世代の卵数が多い.餌量の十分な個体の産卵回数は3回と推定される.
次第に卵数は減る.夏世代は出のう後5〜6回の脱皮で成熟し(25℃,餌はキイロショウジョウバエ),
越冬世代は7回脱皮で成熟した(成体は9令となる).出のうから成熟までの日数は夏世代では53〜83日,
越冬世代では126〜156日である.最終脱皮後の摂食量を比較すると雄では大差ないが,越冬世代雌では脱皮直後に1日15匹以上摂食した.
夏世代はその半分であった〔浜村AT55,AC23(2)〕.
岸辺30cm程以内の陸地と,岸から1m以内の水面で生活.水面に垂れ下る草間におおく,
水面では敏捷だが地上では動作が鈍い.逃げるときは必ずいったん水面を経て岸にもどる.草木を伝って水にもぐり,卵を尻につけたままで水にもぐって泳ぐ.
もぐる深さは5cm程度,普通4〜5分間潜る.空気を体につけて銀色にみえる〔福島彬,しのび23〕.
幼体期の補食量には波があり,各令とも脱皮後2〜4日目に補食量が多くなった.
各令の総補食量は令が進むにつれ,多くなる.
夏世代の幼体の総補食量は平均キイロショウジョウバエ約110個体であった〔浜村AC27S〕.
農薬の空中散布区(6月と8月)でも高密度を保っている.捕食能力も高くウンカ・ヨコバイ類の天敵として役立っているであろう〔浜村AC22(2)〕.
関東平野北西部の生態.低密度ないし低活動性〔藤井AC46(1)〕.
キバラはLs1に生息.草地.日向.止水環境〔藤井AC47(1)〕
石川県の水田の最優占種〔富樫一次.高順一郎AC40(2)〕.
一関市のため池のウシガエル163頭中,18頭の胃内容物にクモがいた.キバラ2雄が2頭で見られた.徘徊性のクモがよく捕食されていたがアシナガグモ
類・オニグモ類もあり〔谷川K97〕.
コガタコモリグモ Pirata tanakai BRIGNOLI, 1983
=syn. Pirata exiguus TANAKA, 1974
雌3〜5mm,雄3〜4mm,成体出現期5〜8月.平地から山地にかけて広く生息.水田,池や沼の周辺,草地,湿地帯,樹林地の中や周囲,渓流付近など
に見られる.落葉上や隙間,草間,地表などを歩き回って獲物を探す.管状住居を作ると思われるが,未確認.チビコモリグモとよく似ている〔新海06〕.成
体は6〜7月,卵のう形成期7月後半〔小野09〕.
クラーク.イモとともに林床,荒地,畑地を徘徊する.幼体の時は地表に網をはっており,虫が網(不粘糸)に入ってくるととらえにゆく〔山川・熊田79〕.
埼玉で3〜7月,川辺草間と川辺カシ林でクラークとイモが採れた.コナラ林床ではコガタが優占種〔藤井AT85〕.
関東平野北西部の生態.クラークとコガタは昼夜活動性でイモは夜間に多く採れた.
クラークは生きた植物体上・日向・止水の条件,
イモは生きた植物体・日向・流水,
コガタは死んだ植物体上・日向・雨水のみの条件域に生活〔藤井AC46(1)〕.
見つけ取りではD(腐草地)選好性〔藤井AC47(1)〕.
ナミコモリグモ Pirata yaginumai TANAKA, 1974
雌4.5〜7mm,雄3.5〜5mm,成体出現期5〜8月.平地から山地まで生息.渓流付近,湿地帯,草地,林の周囲,林道などに見られる.草間,地表
面,落葉上,石の間などを歩き回って獲物を探す.管状住居は未確認〔新海06〕.関東平野北西部の生態.生きた植物体上・日向・流水という条件域に生活
〔藤井AC46(1)〕.ナミはBs2,Ls2に生息.裸地草地・日向・流水環境〔藤井AC47(1)〕.成体は5〜9月,卵のう形成期は5〜8月頃.韓
国と中国でも記録〔小野09〕.
アシグロコモリグモ Pirata yesoensis TANAKA, 1985
雌雄4〜6mm,雌6月下旬〜9月,雄6〜8月,北海道.草原の湿った場所に生息.
卵のう形成は8〜9月頃,平均卵数30個.コガタコモリグモに近似,第1脚の膝・けい節が黒色であることが区別点〔田中AC33(2),AT88〕.
ナガズキンコモリグモ Trochosa aquatica TANAKA, 1985
成体は5〜8月,雌5.6〜9mm,雄5.8〜7.7mm,本州・九州.水田の小さな窪みや林内の落葉層から採集される.卵は不明.雌の外雌器にヘル
メット様のフードがある〔田中AC33(2),AT88〕.畑地等土の隙間に潜む.成体は3〜8月.中国でも記録〔小野09〕.
ウゼンコモリグモ Trochosa joshidana (KISHIDA, 1909)
=Lycosa joshidana KISHIDA, 1909
アライトコモリグモ Trochosa ruricola (DE GEER, 1778 )
=syn. ズキンコモリグモLycosa lacernata KARSCH, 1879
雌10〜15mm,雄7.5〜11mm,成体出現期4〜10月.平地から山地まで広く生息.里山の林の中や周囲に多いが,草地,林道,河原付近などにも
見られる.草間,地表,落葉上を歩き回って獲物を探す.産卵期には地中に簡単な穴を掘って袋状の住居を作り卵のうを保護する〔新海06〕.成体は5〜7
月,雌10〜12mm,雄8〜9mm,北海道・本州.平地から山地までひろく生息.産卵期は地中に入る〔東海84〕.雌10〜13mm〔森林87〕.草原
の土塊の隙間等に潜む.飼育下では土に穴を掘って潜む.成体は3〜10月.旧北区に広く分布〔小野09〕.
埼玉3〜7月で林縁部に多い〔藤井AT85〕.関東平野北西部の生態.生きた植物体上・日向・雨水のみの条件域に生活〔藤井AC46(1)〕.見つけ取り
ではLs0,Ls1,Ds0,Ds1(草地・日向・乾燥・止水)選好性.イナダよりやや乾燥地に多い〔藤井AC47(1)〕.
雄7.7〜10.4mm雌10.3〜15.1mm,80〜180卵〔田中穂AC36(2)〕.
関東から中部地方での生活環は5〜6月に出嚢した2令幼体は10〜11月に,雄では9〜10令で,雌では10〜11令で成体となり,一部は亜成体で越冬
し,翌年の4月から
産卵し,夏の終わりまでに雌雄とも死亡する〔板倉,蜘蛛31〕.
交接行動は雌のしおり糸や雌の触れた物体に接触すると,第1脚を交互にのばし探索し,そのまま1脚を持ち上げて静止,触肢のグルーミングをし,雌に触れ
る.1,2脚で雌を叩きマウントして,第4脚で体を大きく上下させ触肢を挿入した.1回の挿入時間は3.9±1.3分だった.これを3〜10回おこなった
〔板倉,蜘蛛31〕.
カラフトコモリグモ Trochosa terricola THORELL, 1856
雄8.2〜10.0mm,雌8.8〜10.6mm.5・7・8月に成体.北海道・青森・栃木・長野.卵のう形成時期は不明〔田中穂AC36(2)〕.草
原の土壌の隙間などに穴を掘って潜む.時には草原を徘徊する.成体は5〜8月.全北区に広く見られる〔小野09〕.糖蜜に定着性が強いが,かなり接近しな
いと糖蜜の存在を認知できない〔永井・小林AT75〕.東京未記録.
キタコモリグモ Trochosa vulvella (STRAND, 1907)
ウゼンコモリグモ L.joshidaia KISHIDAはシノニム.
アライトコモリグモ L.rulicola(DE GEER),
カラフトコモリグモ L.terricola(THORELL)との区別点は困難で同一種かもしれない.
アカコモリグモとして記録したが,その名は取り消す〔植村AT5〕.
リュウキュウコモリグモ Wadicosa okinawensis (TANAKA, 1985)
=Pardosa okinawensis TANAKA, 1985
成体は3〜8月,雌4.7〜7.6mm,雄5.1〜5.4mm,南西諸島.
山地の裸地や海岸近くの草地に生息.卵のう形成は3月と6月,平均卵数35個〔田中AC33(2)〕.
モリコモリグモ Xerolycosa nemoralis (WESTRING, 1861)
=キアシコモリグモLycosa flavitibia (S. SAITO, 1934)
雌5.3〜8.5mm,雄4.5〜6mm,成体出現期5〜10月.北海道では平地から山地まで広く分布.樹林地の周囲,草地,林道などに普通に見られ
る.本州では1000m以上の山地,高原に生息.草間,地表面,落葉上を歩き回って獲物を探す〔新海06〕.雄4.7〜6.0mm,雌
5.4〜8.6mm,5〜8月に成体.北海道から本州(冷帯林以上)〔田中穂AC39(2)〕.卵のう形成期は7月頃,旧北区・エチオピア区など広く分布
〔小野09〕.
シノビグモ Shinobius orientalis (YAGINUMA, 1967)
=Cispius orientalis YAGINUMA, 1967
雌7〜8mm,雄6〜7mm,成体出現期10〜7月.山麓から山地にかけて生息.渓流付近の石の下,倒木の下,落葉下,コケの中,シダ類や下草の根元な
どに生息.幼体は主に落葉下,コケの中,下草の根元に,亜成体・成体は石の下に見られる.6月に孵化した子グモはその年4〜6齢で幼体越冬し,翌年10月
頃,成体となる.成体はそのまま越冬し3年目の5〜6月に産卵〔新海06〕本州・四国に分布〔八木沼77〕.新属Sinobiusとする〔八木沼
AC40(1)〕.シノビグモの生活史まとめ〔貝発AC37(1)〕.
渓流の湿った下層のシダ類や下草の根元,石やリターの下に生息.わずかの環境変化で突然死し,飼育しにくい.
産卵は昼夜を問わない.1時間程度.床から5mm程の高さに3cm平方の目の荒い足場を作る(10分),足場上で産座を作る(10〜20分),
産座の外縁から高さ2mm程の壁を作る(20分),産卵(5分,卵数は55〜75個),卵のうの上を作る(10分),
卵のうを足場から引き剥がし,産座の外縁を壁の方へ折り曲げる(7分),卵のう(楕円形,4〜5mm)を糸いぼにつけて運ぶ〔貝発AT85〕.
生活史は5月下旬から7月中旬に子グモが出のう.4〜6令で幼体越冬し,翌年の10月頃,9令程で成体となり,そのまま成体越冬に入る.三年目の5〜6月
に産卵し,雄は6月中旬,雌は7月下旬に一生を終える.2年1化性.交接は主に越冬あけの4月.
雄が雌のすきをみて急襲するレイプ型.雄が急襲し頭胸部に馬のりになっておさえつけ,雌が従順になるとそのつまで向き合い,
雌が腹部を横へねじって片方ずつ触肢を挿入する.交接時間は7〜9分.母グモは卵のう作成後,卵のうを糸いぼにつける.
1〜2日徘徊後,岩かげで不規則網を張り,その中で26〜27日間保護.出のうした子グモは卵のう上に乗る.
1〜2日たって母グモは子グモの乗った卵のうを糸いぼにつけたまま網を離れて徘徊し,
さらに1〜2日後,岩かげに小さな不規則網を作って卵のうを置き,保護生活を終える.
子グモは網上でまどいに入るが,半日〜1日後に分散.母グモの産卵回数は1回〔貝発AT87〕.
求愛行動は貝發(1988)による.雌雄が遭遇して接触して互いの存在を認識.脚の
グルーミング.雄は横背後から急襲.体軸平行,前後逆.交接体位U型〔板倉,蜘蛛32/33〕.
成長過程を調べた.18日でふ化,8日で1令,3〜5令で幼体越冬,翌年8令で成体.
3〜5令の段階で小きざみに脱皮したものは9・10令まで進んだ.
幼体はコケやリター中,ブッシュの根元に,亜成体・成体は川原の石間に住み,1日中ほとんど動き回らない.
交接は最終脱皮後約1週間目から可能.同一ペア,異なるペア,関係なく繰り返される.
出のうに際して親が卵のうを開く.卵のうを糸いぼにつけての徘徊は卵のう保護を行う狭い岩陰への出入りのため.バルーニングや精網は未観察〔貝発
AT89〕.
長野県在住の千国からの情報として,谷川では出水の流れている湿り気の多い川
の端の草や薮の根元に生息.川原では滝などがありいつも水が流れていて,川の端の草木がいつも水しぶきでぬれているような場所に生息.標高は比較的高い場
所,平地にはほとんどいない.年間に何度も発生するらしく,いつも各発育段階のものが採集できる〔貝發,しのび11〕.幼体がキシダグモ科のクモと同様の
網を作成する〔板倉,蜘蛛21〕.
糸器につけた卵のうから子グモが出ると,子グモは母グモの腹背に乗らず,卵のうのからの上に集まる〔八木沼,しのび17〕.秋田県で採集飼育.1989年
5月29日産卵,6月21日孵化,子グモは38匹.1994年は6月2日に産卵,6月28日孵化,子グモは49匹.これまでに秋田県14ヵ所(41は誤
記)で採集.いずれも沢の上流,あまり大きくない石河原,清らかな水しぶきのかかる,木立のとぎれたやや明るいところだった〔福島彬,しのび
22〕.1997年8月16日に秋田県北秋田郡太良峡で雄亜成体2頭を採集.8月24日に成体となった〔福島彬,しのび25〕.米のキシダグモ科の
Rhoicinaeの仲間は腹端に卵のうを保持する〔八木沼AT85〕.
1965年5月4日,三重県平倉川にて橋本理市採集の雌(7・8mm)と雄(6mm)で記載〔八木沼AC20(2)〕.
幼体だったが,北海道(定山渓)にも生息する〔谷川K69〕.
自然環境指標種Aランク〔新海98〕.
Dolomedes属について
成体では網を作らないが,第2令・3令幼体では植物の葉上に管孔のついた店網状のものを作って棲み,
之にかかった昆虫などを食う習性があることは注意すべきである.
第4令以上ではこの習性を失い,網を張らず,その辺を徘徊して狩猟をなし,或は水辺に行って,
小さい虫や魚を捕らえて食う.
一般に雄は雌よりも多少とも小形,非力である.
成熟すると雄は雌に食餌を渡しておき,雌がその方に熱心な間に,その腹面に回り,
雌と互い違いの向きになり,精束を交付する.(この婚姻贈呈の修正はDolomedes属には当てはまらない:池田註).
雄の精液移入をスジホソハシリグモで観察.多角形の斜向の小網を作り,その上部に精門から小滴として精液をたらす.
次にそれを動かして立派な水滴状にならしめる.最後に,触肢を交互に之にあてがって吸い上げてしまう.
性的交際を遂げてから永い日を経ると雌は体が肥大する.そしてやがて産卵期になる.
雌は夜間地上に下敷きを紡ぎ,その上に産卵した後,全体を柔らかい卵のうで包括し,之を平素は口器につけて携行する.
食事する時は一時之を他に離しておく.第2令が卵のうから出るようになれば,
いわゆるnursey webを植物体上に作って,出た子の紡ぐ糸と共で,子グモのつどいが出来上がる.
寿命は種類や生息地ちよってちがうであろうが,
小生が今まで見てるところでは両性とも少なくとも2〜3年らしい.
成熟したものが越年することは日本では見られぬようである.
日本産ハシリグモ15種は
イワウイロハシリグモ Dolomedes sulfureus L. KOCH 1877,
オキナワハシリグモ D. okinawaensis KISHIDA, 1924,
ヒゲナガハシリグモ D. higenaga KISHIDA, 1912,
ヘリシロハシリグモ D. horishanus KISHIDA, 1912,
ススグロハシリグモ D. mizhoanus KISHIDA, 1935,
キクメハシリグモ D. stellatus KISHIDA, 1912,
コハシリグモ D. annulatus KISHIDA, 1912,
スヂアカハシリグモ D. saganus BOES. et STR ., 1906,
スヂブトハシリグモ D. pallitarsis DOEN. et STR ., 1906,
スヂボソハシリグモ D. angustivirgatus KISHIDA, 1912,
ハシリグモ(アヲグロハシリグモ) D. raptor BOES. et STR ., 1906,
ホシモノハシリグモ D. japonicus BOES. et STR., 1906,
スジチャハシリグモ D. fimbriatoides BOES. et STR., 1906,
オホスジチャハシリグモ D. ohsuditia KISHIDA, 1912,
スヂボケハシリグモ D. hercules BOES. et STR., 1906〔岸田AC1(4)〕.
房総半島での生活史を比較〔仲條竜太・長谷川雅美AC56(2)〕.
スジボソハシリグモ Dolomedes angustivirgatus KISHIDA, 1936
=スヂボソハシリグモ
雌13〜20mm,雄13〜17mm.ババハシリグモ,イオウイロハシリグモに似る.中国・韓国からも記録〔小野09〕.
コハシリグモ Dolomedes annulatus KISHIDA, 1912
イオウイロハシリグモの色彩変異で,頭胸部・腹部にまだらの模様があるもの〔森林87〕.
ババハシリグモ Dolomedes fontus TANIKAWA et MIYASHITA, 2008
雌16〜21mm,雄15〜16mm.スジボソハシリグモ,イオウイロハシリグモに似る〔小野09〕.
ヘリジロハシリグモ Dolomedes horishanus KISHIDA, 1936
=ヘリシロハシリグモ
=D. mizhoanus KISHIDA 1935 ススグロハシリグモ
雌15.5〜18.7mm,雄12.7〜15.0mm,成体は雄3月(馬場採集),
中ノ島・沖縄島・石垣島・西表島・与那国島,台湾に分布〔谷川AC52(1)〕.
岸田(1936)は本種を1912年に記載と記しているが1912年の出版物は存在しない.従って原記載は1936年のLanzaniaとなる.
台湾から記載したススグロハシリグモ D. mizhoanusは本種の縁無し型と思われる〔谷川AC52(1)〕.
水田や池の周囲など開けた場所の水辺に生息.台湾からも記録〔小野09〕.
オオハシリグモ Dolomedes orion TANIKAWA, 2003
雌28.0〜38.7mm,雄22.3〜28.7mm,国頭村ザツン川で2002年7月24日谷川採集の雌雄で記載,成体は7〜8月,
イシガキアオグロハシリグモに似ているが,生殖器の構造で識別できる.
山地渓流に生息,成体は大きな岩の表面に
見られるが,幼体は歩脚(1脚または1,2脚)を水面に置く待ち伏せ姿勢を取る.奄美大島,沖縄島,渡嘉敷島に分布〔谷川AC52(1)〕.2004年6
月14日15日久米島にて雌雄,脚先が白いハシリグモ〔谷川K86〕.ハシリグモの一種 Dolomedes
sp. として2004年6月14日,久米島のハシリグモ,雄が多いが,白瀬川ダムで脱皮直後の雌〔谷川K86〕.
スジブトハシリグモ Dolomedes saganus BOES et STR., 1906
=syn. Dolomedes pallitarsis DOEN. et STR., 1906
雌15〜20mm,雄14〜18mm,成体出現期6〜9月.平地から山地に生息.池や沼の周囲,水田,河川,湿度の高い草地など水辺に多く見られる.主に
水辺の草の上,水草の上で獲物を待っている.危険を感じると水面を走って逃げたり,水中に潜る.昆虫以外に,オタマジャクシや小さな魚を捕えることがある
〔新海06〕.成体は6〜9月,雌18〜20mm,雄16〜18mm,北海道・本州・四国・九州・奄美.習性はイオウイロハシリグモに似るが,水辺に多
く,水面を走ることもある〔東海84〕.中国からも記録〔小野09〕.
雌に気づくと突然止まる.第1脚を前方に伸ばし,先端を振動させ,地面をなでるように左右へ振って進む.
雄が雌の脚に触れると雌は床をなでる.数回繰り返された後,雄は脚をふんばって体を高く持ち上げる.
受け入れる場合は雌も体を高める.そして雌は触肢や脚を儀式的に清掃する.
雄は雌の腹端の方から侵入し,その背に乗る.
雌は体を低め,雄は雌の背の上で回り,腹端の方へ向き直り,第1・2脚で雌を抱え,
右(左)にひねって横倒し(または仰向け)にひっくり返し,左(右)触肢を当てる.数秒後,触肢を変える〔中平AT89〕.求愛行動は中平(1987)に
よる.交接体位はU型〔板倉,蜘蛛31〕.
5月23日,コウホネ葉上でモツゴの幼魚(33mm)を捕食.撮影した〔赤羽K69〕.
オタマジャクシを捕獲し捕食,ヒルにオタマを奪われる〔仲条・五味真人K93〕.
水辺に生活するハシリグモは歩脚が短い傾向がある〔谷川AC56(2)〕.
オオモンクロベッコウに狩られる〔中村AC5(2)〕.
徘徊性のクモにして田園・草間等に普通.成熟する雌は卵のうを上顎にて運搬する〔関口AC〔(1)〕.
自然環境指標種Aランク〔新海98〕.
アオグロハシリグモ Dolomedes raptor BOES. et STR., 1906
雌22〜27mm,雄12〜15mm,成体出現期6〜9月.都市部の下水道の中から山地の渓流上まで水辺に広く生息.幼体は石の間,草上などを歩き回っ
て獲物を探す.亜成体・成体は水面近くの岩や石の上,草上などに静止して獲物を待つ〔新海06〕.成体は7〜9月,雌23〜27mm,雄12〜15mm,
本州・四国・九州.渓流の石の下にいて,驚くと水中に逃げる〔東海84〕.中国・韓国からも記録〔小野09〕.
7月14日に採集した亜成体前期雌が7月21日に脱皮して,亜成体後期に入った.この雌はその後,8月26日,翌年5月6日に脱皮,
5月30日の脱皮でようやく成体になった〔中平AT92〕.
出生後,雄は2年目に成体になるが,雌では2年目に成熟する個体,亜成体後期に越冬し3年目に成熟する個体,亜成体後期に脱皮5回,
越冬を二度行って4年目に成熟する個体がある〔中平92〕.
5mm以下と5mm以上の個体で活動に違いがある.5mm以下の個体は時刻に関係なく動き回り,中にはトンネル内のくぼみに住居を作るものもある.
住居を作ったクモはその中に留まる傾向がある.5mm以上の個体は24時間ほとんど動かず,省エネルギー型,
18時から22時にかけては移動が見られた.餌となるガガンボ等小昆虫の日周活動との関係が示唆される〔浅間ほかAT87〕.
水中に37分間ももぐりつづけた〔下謝名AT41/42〕.
兵庫にて8月26日,水田の畦近くの稲に子グモの集団がいて親にかみついていた.かみついた腹部から体液が出ていたので,親は死んで間もない〔西田
AT17〕.
雄が亜成体雌にT脚を挙げて求愛した〔板倉K59〕.色彩多型が存在するが,これらを雌の(1)「暗色地白斑型」,(2)「明色地無斑型」,(3)「暗色
地黄斑型」,雄の(1)(3)に背甲の両側縁に白帯を生ずる個体と分ける.(1)の産んだ卵のうから,(1)(2)と雄(1)が生まれた〔八幡K82〕.
岸田のキクメハシリグモはアオグロの変異かも.雄のT脚が雌に触れると,雄は強引に雌の背中に乗り,雌の体や脚を打つ(なだめ行動).
するとまもなく雌の動きが止む.雄はT脚で雌の腹背を探り,腹端から腹面に侵入.挿入する.数秒後,雌は雄をはね飛ばす.雄は触肢や脚を清掃後,
再び求愛.雌が雄を拒否し,捕食することもある〔中平AT95〕.
求愛行動は板倉(1989)及び中平(1987)による.しおり糸に触れると雄は第1脚を交互にのばす.雌に出会うと脚を小刻みに打振り雌を打つ.雌が攻
撃しなければ
大胆かつ強引にマウント.雌の腹端から腹面に侵入.交接体位はU型.交接中の雌が雄を後脚で跳ねとばす.雄は脚や触肢のグルーミングの後再びマウント.
雌が去るか,雄が捕獲または逃亡して終了〔板倉,蜘蛛32/33〕.
自然環境指標種Bランク〔新海98〕.
スジアカハシリグモ Dolomedes silvicola Tanikawa et Miyashita, 2008
=mis. Dolomedes saganus BOES. et STR., 1906
雌11〜15mm,雄10〜11mm,成体出現期7〜10月.山地に多く生息.林道の下草の葉上,樹木の葉上などで脚を伸ばして静止し獲物を待つ.幼体
も同じように静止しているが,周囲に糸を引いて網を作っているものも見られる.良好な自然環境が保たれている場所にしか生息しない〔新海06〕.成体は
8〜10月,雌11〜15mm,雄10mm,全土.山道の草の上で,足をのばして獲物を待っている〔東海84〕.スジブトは水田や池の周囲などの水辺で見
られるのに対し,スジアカは森林内で見られる.中国からも記録〔小野09〕.
調査したクモの56%は植物体の最上位の葉や枝の分岐点で発見.造網時期は分散直後から6,7齢まで,その後は糸を引き回した足場を作る.網は管状の部分
と両側に広がる扇状の部分から成る.網に粘着性はない.網は餌捕獲に効果がある〔板倉AT93〕.
幼体の網構造や造網場所,捕獲時の「網」効果を調べた.短い管状部分と両側に広がる扇
状の部分から構成.管状部の長径と短径はクモの体長に比例.心形あるいはやじり形の葉の基部に造網.位置は体長の小さなものは低い所に,大きな幼体は高い
所にみられた.こ
の網の機能は,非力な幼体に潜在的捕食者の存在を知らせる信号の役目.または退化途上
にある痕跡的な遺物の可能性〔板倉,蜘蛛36〕.
求愛行動を観察した.雄は雌のしおり糸に接触すると,第1(2)脚を振動させ,しおり糸に沿って移動する.雌に出会うと,第1,2脚を「ク」の字状にあげ
て静止.雌の脚を
1,2脚で叩き,雌にのりかかり,脚で振動を与えながら触肢で外雌器を探り交接した〔板倉,蜘蛛31〕.
生活史は7〜8月に2令で出嚢後,6〜7令まで造網して2回の越冬を経て10〜14令で成熟.卵嚢は1〜3個作成〔板倉,蜘蛛34〕.
自然環境指標種Aランク〔新海98〕.
キクメハシリグモ Dolomedes japonicus BOES et STR., 1906
=Dolomedes stellatus KISHIDA, 1936
=ホシモノハシリグモ
成体は6〜10月,雌25〜30mm,雄13〜15mm,本州.アオグロハシリグモに誤同定されてきた.頭胸部背面に見られる白い放射状斑は本種にのみ
見られる.幼体にもある.生息環境は水帯,流水.止水を問わない.河川敷のような開けた環境ではあまり見られない.河川や湖沼の中から岸を向いてビーティ
ングを行うと容易に採集できる〔仲条K93〕.雌18〜27mm,雄14〜18mm.中国・韓国からも記録〔小野09〕.
イオウイロハシリグモ Dolomedes sulfureus L. KOCH, 1878
=スジボケハシリグモ Dolomedes hercules BOES. et STR., 1906
=スジチャハシリグモ Dolomedes fimbriatoides BOES. et STR., 1906
=コハシリグモ Dolomedes annulatus KISHIDA, 1936
=キハシリグモ Dolomedes xanthum S. SAITO, 1939
=ヒノハシリグモ Dolomedes hinoi KAYASHIMA, 1952
雌18〜28mm,雄14〜18mm,成体出現期6〜9月.平地から山地に広く生息する大型のクモ.池や沼の周囲,水田,河川周辺,草地,林の周囲,林
道などに見られる.草や低木の葉上,草間で脚を広げて獲物を待つ.危険を感じるとすばやく草間に逃げ込む.産卵期は7〜9月.キシダグモ科のクモはすべて
球形の卵のうを口にくわえて保護する習性を持っている〔新海06〕.成体は7〜9月,雌20〜28mm,雄14〜16mm,全土.草や低木の葉上で獲物を
待っている大型のクモ.
危険を感じるとすばやく草間に逃げ込む.
卵のうは口器につけているが,ふ化が近付くと草間に不規則に糸をはって卵のうを置き,子グモがかえり,分散するまで見張りをする.
色彩や斑紋には変化が多い〔東海84〕.中国,韓国からも記録〔小野09〕.
成体は6〜9月,産卵期は7〜9月で肌色で球形の卵のうを口にくわえて保護する.1卵のう中の卵数は80〜230個.獲物が近付くと,いきなりとびかか
り,歩脚で押さえつけるようにしてかみつく.昆虫,蛙,ミミズなどを捕らえ,外国では小さな魚を水面近くにおびきよせて捕るものも知られている〔森林
87〕.
スジブト型の卵のうから生まれた幼体はスジブト型とイオウイロ型に分かれた〔中平AC27S〕.
出のうした2令幼生の斑紋は同一であるが,成長に伴い変化して,成体ではスジブト型とイオウイロ型に分かれる〔中平AT75〕.
スジボケ型の卵のうから出たイオウイロ型雌とスジブト型雄を交合して産まれた子グモはイオウイロ型とスジブト型に分かれた.
その相互交配の結果も同じである〔中平AT73〕.
1〜2cmの金魚を採ることがある〔八木沼AT51/52〕.
雌は「ひき糸」として普通の「しおり糸」(引きっ放しの糸)ではなく,1〜3cm毎に地表に固定された「さそい糸」を引く.
雄は「さそい糸」を認めると触肢で叩きながら,ためらわずに進む.そして第1脚を雌に触れる.
20cm前後まで近付けば,視覚的に雌は雄を認めるが,黒エナメルで雄の目を塗りつぶしても糸によって求愛行動は可能である.
交合の際の雌の雄受け入れ態勢とは,雄の第1脚が触れても動かず,全歩脚を屈して体側に引き付け,転がされ易くなることである〔中平AT71・68〕.
雄は雌の存在に気づくと,第1脚を前方に伸ばし,先端を振動させ,上下左右に振りながら,雌の方へ進む.雌の近くで止まる.
雌の脚先に触れる.触れられた雌が雄の脚を払えば拒否,受け入れる場合はしばらくじっとしていたあげく,雌は脚を体側に引きつける.
雌の体に直交するようにまたがり,第1脚で雌の腹部を抱えて引き,腹面を上に傾けて数秒間挿入する.スジブトは行動敵にも異なる〔中平AT89〕.
求愛行動は中平(1987)による.交接体位U型〔板倉,蜘蛛32/33〕.
ニホンアマガエルを捕獲,食す例がある〔大野AT49/50〕.
歩行動作を8mmで分析した結果,「三支点歩行」である.第1脚は手としての機能が高い〔福本AT39〕.熊本にて7月上旬には卵のうを抱えている〔木庭
AT15〕.吉田嗣郎によると抱えた卵のうを除去すると代替物は抱えない〔池田K73〕.
亜成体で越冬〔植村AT5〕.7月24日,出のうした幼体(1令とした)を25℃の短日・長日下で飼育したところ(餌はキイロショウジョウバエを2〜3日
に1回.
頭数は次第に増加),長日では15頭中4頭が成体となった(110〜130日間.7〜10回脱皮).短日では5〜6令から令期間の延長が起こって,発育が
停滞した.
この中の3頭を長日下に移したところ,1頭は成体となったが,移さなかったものは死亡した.
体長は雌11・8mm,雄10・7mmで野外より小さいが,栄養条件が単一のためだろう〔宮下AC35(1)〕.
飼育した出のう幼体15頭のうち1頭は5月16日に雄の亜成体となったが,次の脱皮6月11日でもまだ亜成体だった.そして6月22日の脱皮で成体になっ
た〔中平AT92〕.
オオモンクロベッコウに狩られる〔中村AC5(2)〕.
昭和12年6月3日東京都にて幼体雌がヒメジョオン上でヒラタアブの一種 Sphaerophoria
cylindrica雌を捕食,スジホソハシリグモとして昭和14年6月18日神奈川県にて幼体雌がクワキヨコバイ Epicanthus
guttiger雌を捕食〔湯浅AC4(3)〕.
スジボケハシリグモ D. hercules BOES. et STR. として,山形県赤湯町にて幼体から亜成体にかけて空中移動するクモの最優占種〔錦AC20(1)〕.
ユウマダラエダシャクを食べなかった〔高野K26/28〕.スジボケ型にカノコガを与えたがかかえただけでかみつかず,そのうちガは逃げた〔高野
K35〕.
母グモが未受精卵を食べた〔鈴木勝K44〕.
石川県の金沢城址で夏に成体が樹上性のモリアオガエルに捕食される〔徳本K69〕.
イシガキアオグロハシリグモ Dolomedes yawatai ONO, 2002
雌27〜32mm,雄11〜13mm,成体出現期6〜12月.渓流付近の水辺に生息.岩や石の上,石の間,岩と水面の間に脚を広げて獲物を待つ〔新海
06〕.成体は10月,雌28mm,雄11mm,石垣島.アオグロハシリグモに似るが大型.飼育で雄を得た八幡明彦に献名〔Ono02a〕.
石垣島オモト岳の水が枯れた川底から夜間採集,都下で26℃飼育,雌10月30日産卵,11月25日出のう〔八幡K80〕.
ハシリグモの一種 Dolomedes sp. として,6月21日22日与那国島にて雌,6月24日25日西表島にて雌雄〔谷川K86,谷川AC52(1)〕.
2004年6月20日,与那国島のハシリグモ〔谷川K86〕.
ササキハシリグモ Dolomedes zatsun TANIKAWA, 2003
雌18.6mm,雄13.9mm,国頭村ザツン川で1998年8月12日佐々木健志採集の雌を正摸式標本に記載,雄は飼育により成熟.成体は6〜8月,
独特の紋様で識別できる.沖縄島に分布〔谷川AC52(1)〕.
ヒゲナガハシリグモ Hygropoda higenaga (KISHIDSA, 1936)
雌9〜11mm,雄7〜9mm,成体出現期7〜9月.南方系のクモ.本州・四国・九州では稀少種.水辺,林の周囲,林道などに生息.アシナガグモ類やト
ラフカニグモのように体と脚をまっすぐに伸ばして木の枝に止まるので見つけにくい.ヒゲナガは雄の触肢が長いことから〔新海06〕.西表島で水面上で待ち
伏せ〔胡沢K66〕.8月13日,幼体がアカメガシワ葉上にnursery webを作っていた〔平松・新海明K81〕.中国,台湾からも記録〔小野
09〕.
ハヤテグモ Perenethis fascigera (BOES. et STR., 1906)
雌10〜11mm,雄9〜10mm,成体出現期6〜8月.本州では静岡県以南に分布.山地,里山の雑木林の周囲,河原草原などに生息.主に草間,落葉上
を歩き回って獲物を探す.雄の婚姻贈呈行動がある〔新海06〕.成体は6〜8月,雌10〜11mm,雄9〜10mm.本州南部,四国,九州以南.山地の草
間を徘徊〔千国89〕.中国南部・韓国からも記録〔小野09〕.
「キャベツや白菜の畑を徘徊する(萱島66)」〔新海69〕.
愛知県西尾市に多産,婚姻給餌行動を観察した.アズマキシダグモとの相違点はギフトを持たない雄も雌のしおり糸に反応すること,
餌のカスでもギフトにすること,雌の体に触れるとラップし始めること〔板倉AC47(2)).アズマキシダグモとほぼ同様な婚姻給餌行動をする〔板倉泰
弘,蜘蛛31〕.
ギフトが大きいほど交尾時間が長い,乾燥したギフトでも有効,ギフト捕食中でも雄が立ち去ることがある〔板倉AC48(2)〕
河川敷の乾燥した草地に生息.婚姻給餌する〔板倉K76〕.屋久島にて観察.夜間に川縁に出てきて大きな石の垂直面に逆立ちにとまり,第1脚をぴ
んと伸ばしてその先端を水面につけている〔永井均,蜘蛛15〕.
ミナミハヤテグモ Perenethis venusta L. KOCH, 1878
雌雄11mm前後.ハヤテグモに似ている.南西諸島のハヤテグモの記録は本種の誤同定の可能性がある.国外ではインド,タイ,台湾,オーストラリア(基
準産地はクイーンズランド)から記録〔小野09〕.
サイホウキシダグモ Pisaura bicornis ZHANG et SONG, 1992
成体は2000年3月7日,雌7.8〜8.0mm,与那国島森林公園で馬場採集の雌2頭,赤褐色に黄色縦条の個体と,淡褐色の腹部の個体の色彩多型を示
す〔谷川AC52(1)〕.八重山諸島と中国から記録〔小野09〕.
アズマキシダグモ Pisaura lama BOES. et STR., 1906
=タテスジキシダグモ Pisaura clarivittata (DOEN. et STR., 1906)
=キシダグモ Pisaura anahitiformis KISHIDA, 1910
=キシダグモモドキ Pisaura anahita KISHIDA, 1914
=ヤマジキシダグモ Pisaura strandi KISHIDA, 1914
=キスジキシダグモ Pisaura flavistriata YAGINUMA, 1960
雌8〜13mm,雄8〜10mm,成体出現期5〜7月.里山の雑木林,林道や水辺の草間などに生息.落葉上,下草の間,葉上などを歩き回って獲物を探
す.雄の婚姻贈呈行動がある〔新海06〕.成体は5〜6月,10〜13mm,北海道・本州・四国・九州.地上や草間を歩きまわって獲物を取る.ハシリグモ
類より小さくて歩き方は少し遅い.求愛の時に雄が雌に餌を渡す習性がある.卵のうは口器につけて持ち歩くが,
ふ化する頃には簡単な住居を作って卵のうを置き,見張る.色彩斑紋に変化が多い〔学研76〕.郊外の雑木林から山地の草間まで広く生息する.成体は5〜7
月,産卵期は5月下旬〜6月で白色球形の卵のうを口にくわえて持ち歩く.
卵がふ化する頃,植物の葉の間に簡単な住居を作って卵のうを置く.親はその近くで子グモが卵のうから出て分散していくまで守る.
1卵のう中の卵数は80〜130個〔森林87〕.
タテスジ型,キスジ型,ヤマジ型,アズマ型は雄の触肢構造が一致し,同種である.キシダグモについては保留しておく〔有田・八木沼AT63〕.
卵のうを口器につけてはい回しているが,子グモのふ化が近付くと,卵のうを草葉に吊るし,そこから下方へ多数の糸を引いて,子グモのための住居を作った
後,去っていく〔中平AT43〕.
出のうに際して母グモが卵のうをかみ破る〔板倉K58〕.
落葉中で亜成体で越年する.タテスジ型は幼体だった〔植村AT5〕.
5月中旬から下旬に飼育下で婚姻贈呈を観察.雄はイエバエを糸で包んでギフトとする.雄が差し出したギフトを雌は口器をつけて食べ始める.雄は脚を振動し
ながら,触肢をあてがう.数10秒から数分で左右交替.ギフトがある限り続き,4〜5時間かかることもある.雌が餌を持っている場合はギフトを受け取っ
て,交接が終了した後に餌を食べる.
ギフトを持たない雄は交接できない.一度交接したが途中で雌に捕食された.雌雄とも何度も交接する〔板倉K55〕.雄はしおり糸に接触し,接近した.鱗翅
目幼虫はWRAPPしなかった,ギフトの大きさにより交接時間が変わり,2時間以上交接することもあったが,精子量は交接の初期に十分な量が移精されてい
た〔板倉AT97〕.
求愛行動は板倉(1993)によれば,餌を保持した雄が糸や体に触れると第1,2脚を
振り上げて振動,隣り合う脚を擦り合わせる.婚姻給餌行動を行なう.雄は第1,2脚で
雌の体を叩きながらギフトを差し出す.雌がギフトに噛み付くと雌の腹面に回りこみ触肢を挿入する.交接体位はW型〔板倉,蜘蛛32/33〕.
茶園でチャハマキ幼虫をよく捕食する〔国見・菰田祐三子AT97〕.
卵嚢にヒメカマキリモドキが寄生していた〔板倉,蜘蛛23〕.
草間,樹葉間をすばやく徘徊し,驚くとジャンプして逃走する.卵のうは葉の表面に作り,親はその上で保護する〔東海84〕.
クリチャササグモ Oxyopes licenti SCHENKEL, 1953
=syn. Oxyopes badius YAGINUMA, 1967
雌7〜9mm,雄6〜8mm,成体出現期5〜10月.山地の樹林地や草原に生息.マツやスギなどの針葉樹林地内に局地的に多産する地域もある.草や木の
葉上,葉裏に潜み,獲物が近づくのを待つ.幼体はササグモによく似ている.1000m以上の山地ではササグモより多くなる〔新海06〕.成体は5〜8月,
雌7〜9mm,雄6〜8mm,本州・九州〔東海84〕.国外ではロシア(シベリア南部),中国,韓国から記録〔小野09〕.
幼体はササグモとよく似る.樹木や草の葉に生息するが,スギ,マツなどの針葉樹林に局地的に多数が生息していることがある.高度1000m前後の場所では
ササグモより多くなる〔森林87〕.
産卵期は7〜8月〔新海69〕.針葉樹の葉の間に卵のうを作ることが多い〔新海・原AT65〕.
松の害虫マツカレハ(Dendrolimus
spectabilis)幼虫に対しては,幼虫1令期の補食率が高い.2令では補食能力は1令の2分の1,3令では効果がないと思われる〔松井
AT71:AC39(1)〕.
東大の田無演習林の調査による.年1回の発生と考えられるが,個体数のピークは2回みられる.秋(9〜10月.マツ10本当たり20頭)は繁殖によるも
の,春(4〜5月.マツ10本当たり10頭)のそれは林床等の越冬場所から樹上へ移動してくるものだろう.雄の出現は5月中旬,雌は6〜10月下旬で,卵
のう保持は7〜10月上旬.マツ樹上に最も多い〔松井AT66〕.
Ovyopes licenti SCHENKELL, 1953の雄に酷似する〔吉倉H3(1)〕.
コウライササグモ Oxyopes koreanus PAIK, 1969
雌4〜9mm,雄4〜6mm,成体出現期6〜9月.ササグモと習性・形態は酷似する〔小野09〕.
シマササグモ Oxyopes macilentus L. KOCH, 1878
雌9〜13mm,雄8〜10mm,成体出現期6〜8月.南方系のクモ.四国・九州においても南部に多く分布する.ササグモと同じような環境に生息する
(平地から山地まで広く分布.庭園の草木の葉上,草原,水田,スギ林,林道の草間などに生息)が,柑橘類の果樹園,植林地などにも多い.葉上に白色扁平の
卵のうを作り,母親はその上におおいかぶさって保護する.刺激すると腹部の白色部が灰色に変化する〔新海06〕.成体は7〜8月,雌9〜13mm,雄
8〜10mm,本州(紀伊半島)・四国南部・九州南部〔東海84,森林87〕.国外では中国,スリランカ,マレーシア,ニューギニア,オーストラリアか
ら記録〔小野09〕.
コササグモ Oxyopes saganus BOES. et STR., 1906
雌4mm前後,雄未知,原記載(佐賀県)以来,採集されていない〔小野09〕.
ササグモ Oxyopes sertatus L. KOCH, 1878
雌8〜11mm,雄7〜9mm,成体出現期5〜8月.平地から山地まで広く分布.庭園の草木の葉上,草原,水田,スギ林,林道の草間などに生息.葉上に
止まって第1脚を広げて獲物が近づくのを待つ.獲物が来ると瞬間的に飛びついて捕える.危険を感じると葉の表から裏へすばやく移動し,その後ジャンプして
逃走する.ササの葉に似ていることから和名が付けられたが,どこにでも見られる〔新海06〕.成体は5〜8月,雌8〜11mm,雄7〜9mm,本州・四
国・九州・南西諸島〔東海84〕.国外では中国,韓国から記録〔小野09〕.
山麓から産地にかけて生息.成体は6〜8月,産卵期は7〜8月で,草の葉上に白色の卵のうを作り,親は保護している.
1卵のう中の卵数は40〜70個.夜間は葉の裏にとまってじっとしている.
昼間活動して,ハエ,カ,カノコガ,カゲロウなどの昆虫を捕らえる.
葉の裏にとまって,第1脚を上げ,昆虫が近づいて来るのを待っていることが多い.
獲物が近付くと瞬間的にとびついて捕える.危険を感じると葉の表から裏,裏から表にすばやく移動し,
その後,草間をジャンプして逃走していく〔森林87〕.
1983年7月15日,川崎市桝形山で成体雌4頭がツヤクロジガバチに狩られて壷の中にあった.他の獲物はマミジロハエトリ・ネコハエトリ・シャコグモ
〔池田K56〕.
雄の体細胞では染色体数は21本でXO型.核型進化を考察するのに分染法では成功しなかった〔五十嵐・近藤AC27S〕.
産卵期は7〜8月〔山川・熊田73〕.
福岡の水田性クモ類の発生消長から雄は11月にも出現すると推定しており,年2化の可能性がある〔大熊AT68〕.
第1脚が棒にふれると必ず上昇する(下降拒否を示す).屈曲角度90度以上の点で頭を下にして待ち伏せ姿勢を取る.上昇途中で背面ジャンプする時,よく跳
ぶ.全眼を塗りつぶすと背面ジャンプができなくなるが,後中眼が残れば可能である〔有田AT48〕.
卵のうの表面に残る母グモの牙でひっかいたような後は,カバキコマチグモ同様出のうを母グモが助ける証拠ではないか〔中平AT43〕.
宮崎の野外では,7月初旬頃から成体になり,8・9月に産卵する.出のうまでの期間は10〜15日で,中には20日を過ぎるものもある.越冬は幼生.
室内飼育(ショウジョウバエの最適温度で,クモには十分に餌をやる)では6月に成体になるものが多く,6月に産卵するものもある.すると7〜10日で出の
うし,11月に成体となってしまう.そして翌年の1・2月に産卵する.この卵からふ化した個体は6月に親となる.
スギタマバエの天敵として有効である(対照区に比べて60%余の効果があった).
スギタマバエの生活の場(林の周辺)と一致するし,捕食選好も合う.ササグモはかみついては次々に捕獲する.農薬に対して敏感で退避が早い.人工増殖がで
きる〔萱島AT21〕.
雌に貞燥帯が挿入されていた〔吉倉H2(2)〕.外雌器に二型が見られる〔吉倉H3(1)〕.交尾によって雄の触肢により外雌器の一部の構造が外される
〔桝元AC56(2)〕.
熊本では7月頃,産卵.チガヤ・ススキ・ササ等の葉をやや内側に曲げ,その中に卵を産み,上を糸でおおう.
これが巣立ちするのは4月上旬で,それまでは親グモは成体のまま越冬するようだ〔木庭AT15〕.
宮崎にて7月28日,ナスの葉の間に雄が,大地に垂直な網をはっていた.
縦20cmで垂直な糸は2本,中央にコガネグモ様のかくれ帯があり,そこに頭胸部を下に静止する.そこから3本の信号糸を葉の方へひいている〔石野田
AT16〕.
葉上や葉を折りまげて卵のうを取り付ける〔中平AC15(2)〕.
朝鮮にも分布.禾本科植物の葉を「への字」に折り曲げて葉裏に卵のうを産み,その上に雌がうづくまって守る〔白AC2(3)〕.
ムロズミソレグモ Takeoa nishimurai (YAGINUMA, 1963)
=Zoropsis nishimurai YAGINUMA, 1963
雌雄10〜12mm〔小野09〕.山口県光市にて1962年7月7日,靴上に産卵し,子グモのそばで保護していた雌を採集(中川氏),京都市伏見区にて
1962年3月22日,屋内座敷をはっていた雄を採集(西村氏)〔八木沼18(1)〕.
ミヤマシボグモモドキ Zora nemoralis (BLACKWALL, 1861)
雌3.5〜5mm,雄2.5〜3.5mm.成体出現期5〜7月.北海道では平地から山地にかけて広く分布と思われる.本州では600m以上の山地に生
息.樹林地の中や周辺,草原.
林道などの落葉の中,草間の地表付近に見られる〔新海06〕.成体は5〜7月,雌3.5〜5mm,雄2.5〜3.5mm,本州.1000m前後の高原の草
間,落葉中を徘徊する〔東海84〕.
旧北区に分布〔小野09〕.
シボグモモドキ Zora spinimana
(SUNDEVALL, 1833)
雌5〜6mm,雄4〜5mm.成体出現期5〜7月.北海道では平地から山地に広く生息.本州では1000m以上の山地に見られる.草原,河原,樹林地の
周辺,
林道などの草間の地表付近,枯れ草の間,落葉の中,地表面を歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
成体は5〜7月,雌5〜6mm,雄4〜4.5mm,北海道・本州.1000m前後の高原の草間,落葉中を徘徊する.局地的に多産する傾向がある.ヨーロッ
パ共通種〔東海84〕.
利尻島の笹原の地面を徘徊.北海道では平地に普通〔熊田K44〕.旧北区に分布〔小野09〕.
イオウシボグモ Acantheis nipponicus ONO, 2008
雌未知,雄8〜9mm.南硫黄島に分布〔小野09〕.
シボグモ Anahita fauna KARSCH, 1879
雌9〜11mm,雄8〜10mm.成体出現期5〜9月.平地から山地まで広く生息.市街地の公園,草原,水田の周辺,河原,樹林地の中や周辺,林道等の
草間の地表付近,落葉内,地表面,
石の間等を歩き回ったり,石や倒木の陰に潜んだりして獲物を探す〔新海06〕.
卵のうは地表10cmほどの草や広葉樹の葉上に作ることが多い.そのほか落葉にも産卵する〔新海06〕.
成体は5〜9月,雌9〜11mm,雄8〜10mm,全土.草原,林内の地表,落葉中,石の間などを徘徊する.
産卵期は7〜8月,葉上や落葉に卵のうを作る〔東海84〕.
市街地の公園から山地まで広く生息〔森林87〕.
直径約10mm.卵のうは内のう(卵のう)と外のう(卵室)の二重構造.
外のう下面の円形の幕(直径約20mm)を作り,その上に上方に口の開いたつぼを作る.この内のうに卵を200個ほど産みこむ.
内のうの口を閉じ,外のうの上幕を作り,母グモは卵のうを抱えて守る〔中平AT74〕.
6月中旬頃産卵,7月中旬に子グモが出る〔中平AT23/24〕.
ヤエヤマシボグモ Ctenus yaeyamensis YOSHIDA, 1998
雌12〜13.5mm,雄10〜11mm.成体一年中.山地に生息.樹林地の中や周辺,林道等の落葉上,地表面,石や倒木の間,草間の地表等を歩き回っ
たり,落葉下,石や倒木の陰に潜んだりして獲物を探す〔新海06〕.
大型のシボグモで一見するとコモリグモのように見える.メスの頭胸部は赤褐色で両側は黒色.オスの頭胸部は灰白色で両側は黒色をしている〔新海06〕.
雄11.0mm,雌12.7mm,八重山諸島(石垣島・西表島),台湾に分布.
Ctenus(ミナミシボグモ属)は日本初記録〔吉田哉AC47(2)〕.
10月23日前後石垣島,西表島で採集,都下飼育下で11月12日に交尾〔八幡K80〕.
アマミクサグモ Agelena babai TANIKAWA, 2005
雌10.3〜14.6mm(4〜8月),雄11.3〜11.5mm(4月),奄美大島湯湾産(1996年8月18日馬場友希採集)の雌を正摸式標本に,
雄は2003年4月20日奄美大島ヤマト村産(馬場採集)〔谷川AC54(1)〕.
イナズマクサグモ Agelena labyrinthica (CLERCK, 1758)
=イナヅマクサグモ Agelena labyrinthica (CLERCK, 1758)
=Agelena tubicola BOES. et STR., 1906
雌14〜16mm,雄12〜14mm,成体出現期7〜9月.主に1000m以上の高原(東北地方北部では平地)に生息,草間の地表近くに大型の棚網を張
り,網の奥に管状住居を作る.幼体は全体黒色である〔新海06〕.成体は7〜9月,雌12〜15mm,雄10〜12mm,北海道・本州(高地)・九州(高
地).草間の地表近くに棚網を張る.
幼体期は全体黒色をしている〔東海84〕.
再記載.雌10.9〜17.1mm,雄9.5〜11.8mm,北海道から九州までとヨーロッパに分布〔谷川AC54(1)〕.
宮崎県にて雑草地,地面付近に造網し,7月に個体数が激減する〔石野田AT89〕.宮崎県にて9月中旬以降雄がみられなくなる.1500m以上の高千穂の
峰でも霜や雪を全くみない海水より約5m程はなれた高鍋の海岸でも,成熟時期は7月下旬から8月上旬にかけてである.7月下旬〜10月中旬に成体,9月下
旬〜10月に卵.7〜8月交接期.交接は午前中に多くみかけた.雄の使用する精球は片方である.交接期の性比は1.0.卵のうはオワン状円形である.1個
体1個,稀に2〜3個.卵色は産卵後数日すると薄い青緑色.3種とも亜成体終期になると雌は全く定住性となり,造網は夕刻,古網の上に新しい糸を追加し,
また網の面積を拡大してゆく.これに比し,雄は雌を訪ねる為の移動性を示し,次第に不完全で小さい網しか作らないようになる〔石野田AC16(2)〕.
長野県浅間・美鈴湖,8月26日,卵のうはクサグモより大きく横に長い.外壁まで丈夫な袋状にしあげる〔大利K37〕.
クサグモ Agelena silvatica OLIGER, 1983
=クサグモ Agelena limbata THORELL, 1879
雌14〜17mm,雄12〜14mm,人家,神社,寺院,公園などの樹木,生け垣,林の周囲や林道の比較的明るい場所にある草木の間などに大きな棚網を
張る.網はシート状の棚網部とその上に引かれた迷網部,棚網の奥に作られたトンネル状の管状住居からできている.住居の奥に卵のうを作る.子グモは通常は
卵のう内で越冬し,翌年春に卵のうより出てくる.幼体は頭胸部赤色,腹部黒色〔新海06〕.成体は7〜10月,15〜17mm,北海道・本州・四国・九
州.庭木,生垣に管状住居のある棚網を張る.近年生息環境の悪化によって数は激減している.葉の間に多面体の卵のうを作る〔東海84〕.
ZHANら(2005)は,A. limbataはA. sylvaticaであるとした〔馬場・宮下直AC54(2)〕.
再記載,雌11.3〜18.5mm,雄8.9〜17.7mm,ミャンマーから日本まで広く分布するが,奄美列島と沖縄諸島からは発見されていない.台湾か
らは一度記録が標本は失われた.たぶん台湾には生息していない.八重山個体群は隔離されていて外雌器の開口部の形がやや異なるが,他地域でもっと異なる例
もある.雄の触肢のコンダクター側面の形が異なり,エンボルスを包む傾向があるものの,他地域の個体群の中に同様な例も見られ,種を分ける特徴ではない.
〔谷川AC54(1)〕.ラオスからA. limbataとして記録〔Jager他AC58(1)〕.
2令幼体で越冬.2〜3月に出嚢し5〜6回の脱皮を経て6〜7月に成体となる〔宮下和喜,蜘蛛32/33〕.成体は7〜9月,網は生垣や樹木の枝ぶりの良
い所に作り,コクサグモのように庭木の上や樹木の先端に張ることはほとんどない〔森林87〕.
秋に卵のうの中で2令になる.16Lの長日条件下ではよく出のうしたが,12Lの短日条件下では出のう率が低い〔栗原AT70〕,
越冬初期から冬至までは短日条件で出のうが抑制されるが,その効果は次第に消失する.
日長を感受してタイムスケジュールは越冬初期のある期間に決定される.
冬至後はスケジュールどおり日長による影響がなくなり,低温によって出のうが抑えられ,出のうの準備がされる〔加藤AT81〕.
冬期初期の臨界日長は13時間である.それより長日では出のうする.2令から成体までの発育は
高温区(25℃)で早く,低温区(15℃)では産卵しなかった.また短日区(10L)の方が長日区(16L)よりも早く産卵した〔栗原AT79〕.
秋田個体群,神奈川個体群,宮崎個体群について日長条件を変えて(4区)飼育し成体までの発育日数を調べた.
秋田群では24℃長日・短日では差異がなく,20℃長日では令を短縮して日数を早めたが,
短日ではかなり遅延し,成体達成率も低下.神奈川群では24℃短日条件の場合も遅延した.宮崎群では差がなかった.
全区にわたり短日区でばらついた.長日条件が生育にプラスになるという光周性が北方で発達していることを示唆する.
秋田では気温が低くても長日条件によって早く生育する性質を得た〔加藤AT89〕.
名古屋市における生活史を調査.幼体は3月下旬から4月上旬に出のう.6回脱皮して成熟した.雌雄は同時期に成体になり産卵は8月中下旬.網は常緑樹に作
られた.産卵数は産卵直前の体重と相関があった.餌条件のためだろうが,雑木林の方が開けたところより大きい〔田中幸AC41(1)〕.どの齢でも網場所
の移動率が低い(日当り移動率は0.0〜0.7%),半数の個体がまったく餌が採れなくても網場所に留まる〔田中幸AT97〕.
柏市のマションの生け垣で12月19日にすでに5齢(出のうを1齢)〔宮下直K67〕.
東京都では3月下旬から4月上旬に出のう,分散後2〜3週間毎に脱皮し,7月下旬には成体となる.交接は8月中旬,10月上旬まで雌の卵のう保護がみられ
る.2令での消失率(0.731)が3令(0.350),4令(0.455)に比べて高い.脱皮は7回.令期間は低温により延長するが,10〜22日間で
ある.網面積は成長と共に大きくなるが,網面積からの令推定はできない.ただ脱皮前に小さくなり,脱皮後に大きくなる傾向がある.これは摂食量と関係して
いる〔松井AT79〕.
口径4〜8cmのビンで飼育すると網は層状となる.ただし個体差もある.25℃内外で造網能力は最大,雌雄で差はない〔阪南高AT51/52〕.
約9割のクモは毎晩,糸を出しながら歩きまわっているが,その糸で穴をふさぐのではない.約7割のクモが穴を修繕する.
土台の棚網だけでなく,迷網にも穴があるとふさぐ率は高くなる〔津田AT35〕.
幼体は食事法を観察するのによい.三重にて5月2日に造網していた幼生を採集,5月15日に第1回脱皮,背甲・腹部にクサグモ特有の模様が入る.5月30
日第2回,6月17日第3回(雄の特徴を示す),7月3日第4回脱皮で成熟〔橋本AT31〕.
網糸に粘性がないが,平網の上部にある不規則網に迷いこんだ昆虫は容易に逃げることはできない.
秋ふ化した子グモは卵のう内で越冬,2月下旬分散,低木・路傍の草上に造網を開始する.8月頃成熟,雄は雌の網を訪れ,トンネルの入口で交接する.
木の葉を2〜3枚箱型に綴り,その内面に幕を張って産室とし,その中に多面体の卵のうを吊し,母グモが保護する.
卵のう幕は厚く,10本内外の剣状突起がでて,産室幕に固定されている.卵のうの表面には枯葉等の小片が綴りこまれている〔中平AT23/24〕.
外のうは多角立体で厚く強靭,内のうは柔軟で球形,産卵は9〜10月〔中平AT20〕.
宮崎で8月10日〜30日の調査で柑橘樹に平均11頭の網がある〔石野田AT15〕.
雌の外雌器を雄が分泌物でふさぐ交尾栓を作る.約60〜70%は完全だった〔桝元AC41(2):AC43(2)〕.
熊本で7月上旬〜8月上旬に交尾〔木庭AT15〕.宮崎にて8月中旬〜9月中旬に交接,8月中旬〜10月成体,9月〜10月中旬卵.交接期の性比
0.59.10月上旬以降雄がみられない.卵色は産卵後数日すると薄い青緑色となる〔石野田AC16(2)〕.
日食(80%)の時,巣を修繕する動作をした.萱嶋による〔高島AC12(3/4)〕.
与えたヤマシロオニグモの周囲を周り脚をかみきり,糸で巻いた〔加藤AC2(2)〕.
トビナナフシやマツカレハをよく捕食〔萱嶋K20/21〕.
埼玉県松伏で,9月下旬〜10月下旬にふ化.脱皮して越冬する.
翌年2月下旬〜3月に子グモは自ら卵のうに4〜6個の穴をあけ,頭胸部を先にして出のうし,まどいを行う.
共食いはない.出のう後6日目,晴天・無風の朝6時〜8時に空中飛行,第2令・3令は頭胸部は濃赤褐色・腹部は黒褐色,
第4令頭胸部背甲羅に黒褐色の対斑,腹部にやはず状の白斑,第8令頭胸部の地色は赤褐色,第9令(成体,最終脱皮は7月8日),
8月中旬〜下旬に交接(雄は右第1脚は上下に振るわせ,雌を招く動作,
雌が反応すると雄は雌の住居に入り込む.トンネル内で交接.雌は交接後,雄を食べた).
8月中旬〜9月上旬に住居をすて,アオキやマサキの葉に産卵,晴天の夜間.卵色は白色〜青色,1卵のうに80〜100卵〔鈴木K40〕.
埼玉県で幼体を採集,東京で飼育.7月24日最終脱皮,雄の触肢は亜成体の1令前で判別可能〔小野K39〕.
卵のう内の卵をアオズムカデが捕食しているようだ〔栗原K46〕.
脱皮中の雄成体がヒメアリに襲われ,ひん死〔池田K63〕.
体長5mmのクサグモの網のアブラムシをシリアゲアリの一種が横取り(6月8日,東京都田無市)〔宮下直K69〕.11月10日,奥多摩の卵のう周囲の枯
葉内にコバネナガカメムシ42個体.クサグモの卵のうには影響なし〔鈴木勝K47〕.出のう後にひそんでいたクモと昆虫〔初芝K90〕.
寄生蜂はZabrachypus
nikkoensis〔桝元ほかAC51(1)〕.天敵として,センショウグモ・オオセンショウグモ・ムナボシヒメグモ・ムナアカフクログモなどがいた
〔田中幸一,蜘蛛18〕.共食いは3年間の調査で3例のみ〔田中幸一,蜘蛛19〕.ニッコウクモヒメバチが寄生.3齢から亜成体の寄生率は
1.4,11.5,6.8,3.9,0.9%だった〔田中幸一,蜘蛛20〕.17個の卵嚢中4個でアオズムカデによる捕食がみられた.また,クサグモの捕
獲した餌も横取りすることもある〔田中幸一,蜘蛛25〕.
染色体数は雌2n=40雄2n=42〔鶴崎.井原.有田AC42(1)〕.
脱皮は脱皮ホルモンE,E受容体EcR,レチノイドX受容体RXRの複合体によって制御される〔本多佳子・堀金麻理・DeMarAC58(2)〕.
ヒメクサグモ Allgelena donggukensis (KIM, 1996)
雌7.5〜11.1mm(8〜9月),雄7.0〜8.80mm(8〜9月),韓国で記載,コクサグモに似ている.本州(青森〜神奈川)に分布〔谷川
AC54(1)〕.2006年に中国で新設されたAllagelena属に転属〔小野09〕.
コクサグモ Allagelena opulenta (L. KOCH, 1878)
=ホシタナグモ(キタナグモ) Tegenaria dia DOEN. et STR., 1906
=Agelena japonica KISHIDA, 1879
=Agelena opulenta L. KOCH, 1878
2006年に中国で新設されたAllagelena属に転属された〔小野09〕.
雌雄9〜12mm,成体出現期8〜11月.クサグモに似ているが小形で出現時期も遅い.都市部から山地まで広く生息し,最も普通に見られる.庭木の上,
生け垣,街路樹,里山や山地の草木の間などに棚網を張り,網の奥に管状住居を作る.網に昆虫などが落ちると住居より走り出て来て,獲物の周りをす早く回転
しながら捕虫し,住居に持ち帰って食べる.幼体は全体赤色〔新海06〕.成体は8〜10月,10〜12mm,全土.生垣,草間,樹枝葉上に棚網を張る.網
の奥には管状住居があり,通常はその入口にいて獲物を待つ.獲物がかかると糸をかけ住居内に持ち帰って食べる.石の表面に卵のうを産みつけて保護する〔東
海84〕.
再記載,雌6.8〜13.3mm,雄7.3〜10.9mm,北海道から九州.トカラ列島まで,中国,韓国,台湾に分布〔谷川AC54(1)〕.成体は
8〜11月で,産卵期は9〜11月で,木の葉,樹皮,石垣などの表面に薄い円盤状の白色卵のうを作り,
親はその上にのって保護する.
卵はそのまま越冬して翌年4月下旬にふ化する.1卵のう中の卵数は90〜130個.
刈り込まれた庭木の上,生垣,樹木の枝,草の上などに10〜20cmの管状住居つきの棚網を張る.
クモは住居の入口にいて,昆虫がかかるととびだしていき,かみついて捕らえる.
獲物が大きすぎた時は,その周囲をぐるぐる回って糸をかけてからかみつく.
捕らえた獲物は必ず住居に持ち帰って食べる〔森林87〕.
体長と網面積に相関はない〔浅間ほかAT92〕.音さの振動に反応しなかった〔中平83〕.
アメリカシロヒトリの天敵としてクサグモより桑園に定着性があり,捕食率も高く,有効である〔萱嶋AT53〕.
1967年から1970年に桑園の実験区(全クモを除去後,6月1日にコクサグモ200頭放す.
自然条件より多い)と対照区(全クモを除去)を比較した.
1ケ月後の定着率は各年それぞれ32.5%,52%,42%,53.5%で,それ以降はさほど変化しない.
対照区の自然移入したクモの数は6〜21頭,平均13頭である.アメリカシロヒトリの巣網数は対照区では実験区の2〜3倍以上の数があった.
効果は1年目より翌年の方が大きく表われた.また年内では7月よりも8月・9月の方が差が大きかった〔萱嶋AC24(2)〕.
卵は12〜1月に孵化し,2令幼体は2〜3月に出嚢.5〜8回脱皮して6〜8月に成体となった.発育の個体差が大きかった〔宮下和喜,蜘蛛32/33〕.
宮崎県新富町,10月4日雄が精網を作成〔石野田K57〕.
雄がトンネル状住居入口に近付くと雌は少し前脚の一部を現す.雄は前脚の先端を雌の脚上に重ね,脚をたたく.
雌も前脚を振る.子供が手をたたきあっているようだ.
雌が急に動かなくなると,雄は雌の前脚をくわえて引出し,網の中央で転がし,雌を仰向けにして交接する.
イナズマクサグモも同様とのこと〔植村AT40〕.
交接を観察.雌は横向きで,雄は左第1,2脚で雌の第3,4脚と腹部を抱き,左触肢の
みで交接.雄は雌の交尾器から触肢を外すたびに掃除をした〔緒方,蜘蛛24〕.
成熟はクサグモよりも1ケ月程遅れ,中には11月に産卵し,卵のうを保護しながら越年するものもある.樹葉を2〜3枚綴り合せたり,網の住居部をそのまま
産室とし,卵のうは,葉上に,或いは住居幕につける.卵のうは円盤状で白色.表面には枯葉などの小片を綴りこんである.1産室中の卵のうは1〜2個.1卵
のう中に25〜120個.卵体で越冬.2月下旬ふ化,3月中旬第1回脱皮,4月に分散〔中平AT23/24〕.
産卵は10月下旬〜11月下旬.筒状の卵室内におかれる〔中平AT20〕.
卵室幕にはこまかく砕いた塵芥,住居幕には粗大な塵芥を綴りこむ.木の葉,草の実,食物のかす,羽毛,木片など色々である〔中平AT14〕.
卵のうの観察.129卵.ふ化は3月〔中平83〕.
卵のう内,卵外壁に寄生する微小な蜂 Hemiteles sp. がある.幼虫は脚がなく,成虫は4月に羽化する〔石野田AT10〕.
クサグモより数が多く,半月から一ケ月成長が遅れる.8月下旬から9月上旬に成熟する.農薬散布時にはシェルターに逃げ込むので個体数は減らない〔萱嶋
AC21(1)〕.
宮崎県国富・佐土原・高鍋にて9月下旬〜10月交接,9月下旬〜1月中旬成体,11月下旬〜2月中旬卵.交接時の性比0.26.
11月下旬以降まったく雄がみられない.1個体卵のう1個(卵数平均95個,5〜190),2個(平均83個,17〜188),3個(平均64
個,4〜154).
卵色は産卵後数日すると美しい燈色になる〔石野田AC16(2)〕.
昭和12年6月13日東京都にて幼体がツルギアブ科一種を捕食〔湯浅AC4(3)〕.室内飼育下では捕食率が悪くなり,発育が遅れる傾向がある〔萱嶋
K20/21〕.生存曲線はU型(生存率一定),天敵はクモ類(センショウグモ,オオセンショウグモ,ムナボシヒメグモ,ムナアカフクログモ,チリイソウ
ロウグモ,クサグモ)と寄生蜂.同ステージでもサイズによって生存率が違うことがあった〔田中幸AT93〕.卵のう保護の効果を調査するため,雌除去区で
は30日間の生存率が保護区の100%から65%に低下した〔田中幸AT95〕.
コタナグモ Cicurina japonica (SIMON, 1886)
=モグラグモ Moguraclcurim honesta KOMATSU, 1947
平地から山地まで広く生息.湿った石の下,岩の隙間,倒木や落葉の下,下水道,洞窟内などに生息し,管状住居付きの小さな棚網を張る.都市部にも広く分
布するが,採集されることは少ない〔新海06〕.成体は1年中,3〜4mm,本州・四国・九州.倒木や落葉の下,下水道,洞穴などの湿った場所に生息し,
管状住居のある小さな棚網を張る〔東海84〕.
産卵期は2〜3月で岩や土の表面にドーム状の白色の卵のうをつける.卵数は10個前後である.腹部は通常淡黄色で斑紋はないが,黒色の対斑を持つ個体もい
る〔新海69〕.
墓地の地下約1.5mの棺桶の中の死体上を歩行していた〔茅根AT63〕.韓国からも記録〔小野09〕.
ドイツ南西部でも発見された〔八木沼AT97〕.
モグラグモとして,「宮崎,金胴ケ池畔の地表下10〜15cmの堆積土中で2頭とれた.
れきの下40cmの所に造網していた例がしられている〔松山他AT43〕」.
フイリコタナグモ Cicurina maculifera YAGINUMA, 1979
雌2.2〜5.4mm,雄2.1〜4.9mm,洞窟から記載されてが,洞外にも生息〔小野09〕.洞窟に生息する.7月20日に採集した5個体を
15〜18℃で飼育した.餌は5〜6日ごとにショウジョウバエを与える.
産卵回数は5〜13回(平均8.5回),卵のう中の卵数は8〜24(平均14.8個)である.
産卵間隔は6〜36日(平均23日).産卵から出のうまでの期間は46〜90日(平均64.8日),出のう率は61.5%である.
出のう後50日以内に急速に減少する.卵から成体になるまで雌雄とも400日以上かかる.寿命は103〜669日(平均380日)〔入江AT81〕.
出のう後5回の脱皮で雌雄とも成体,生息密度は1m2当り47個体と高い〔入江AT95〕.
コタナグモの一種 Cicurina sp.
鹿児島県志布志町,片野洞(凝灰岩洞)に生息.個体群密度は47頭/u.
雌4.0mm〜6.8mm,雄4.0mm〜5.2mm.雌・幼体は年間を通して出現するが雄は8月から12月に出現,
亜成体雄は6月から出現し,9月までに最後の脱皮を行い,成体となる.8〜12月の性比は100:25で雌が多い.
6月18日に採集し,18℃恒温条件で飼育した雌は1〜2回の産卵,1卵のう中の卵数は20個〔入江AC27S〕.
ホラコタナグモ Cicurina troglodytes YAGINUMA, 1972
雌3.5mm前後,雄は未知.静岡県富士宮市の洞窟から記載〔小野09〕.
スミタナグモ Cryphoeca angularis S. SAITO, 1934
幼体5mm,北海道で記載(基準標本は行方不明)されたが本属ではない.正体不明種〔小野09〕.
オオダイスミタナグモ Cryphoeca shingoi ONO, 2007
雌雄2.4〜2.8mm,大台ケ原に因む〔小野09〕.
ムサシスミタナグモ Cryphoeca shinkaii ONO, 2007
雌雄2.7〜3.2mm,本州に分布〔小野09〕.
イエタナグモ Tegenaria domestica (CLERCK, 1758)
成体は9〜12月,雌10〜12mm,雄8〜10mm,北海道・本州・四国・九州.個体数は少ない.漏斗網を張る〔東海84〕.雌雄7〜9mm,ヨー
ロッパ原産〔小野09〕.福岡県の畜舎の優占種のひとつ,病原微生物は付着していなかった〔中島ほかAT90〕.1940年6月,北満洲黒河山地帯で採集
雄8.5mm〔仲辻AC7(1)〕.
都市環境指標種〔新海98〕.
従来ミズグモ科に含まれているが,形態・生態面からミズグモ科からは遠く,コモリグモ科上科の基本となるべき位置にいる.
網の種類と補食法から造網性クモ類を三大別した.
ナミハグモ系統とは,A系統ナミハグモ→コタナグモ→クサグモ・ヤチグモ・イソタナグモ・ミズグモ,
B系統ナミハグモ→コモリグモ・ササグモ・キシダグモ・ホウシグモのふたつ.
コタナグモからハタケグモに分かれる系もある〔新海AT66〕.
ミズグモ Argyroneta aquatica (CLERCK, 1758)
=syn. Argyroneta aquatica japonica (Ono, 2002)
成体は1年中,9〜15mm,北海道・本州(青森県・京都府)・九州(大分・鹿児島県).水中の水草間に糸で空気室を作り,そこに空気の泡を腹部と脚に
よって運びこんで生活する.水生昆虫,イトミミズ,線虫をとらえ,空気室に持ち帰って食べる習性がある〔東海84〕.
ヨーロッパ北部から日本まで広く生息.春から秋にかけて色々な大きさの個体がみられるが,産卵期は6〜7月に集中している〔森林87〕.ミズグモ科
Argyronetidaeに所属させていたことがある〔池田〕.
亜寒帯から温帯の湿原の池で7月平均気温26〜16℃,周りにヨシ,ミズゴケ,スゲが生え,
水生昆虫やミズムシが豊富で大型の魚類のみられない池にいる〔桂・西川AT79〕.
クモの基本姿勢は1cm前後の気室に腹部をいれ,頭胸部と2対の歩脚を水中に出し,背面を下に静止する.
夜中に活発になる.気泡が体につかなくなると溺死する.2匹を管ビンに入れると共食いする.
水がないと葉の間に簡単に糸を引きまわし網を作った〔西川・八木沼AT70〕.水中住居作りの手順を写真で記録〔千国/狩り〕.営巣過程を観察〔萱嶋
AT93:AC45(2)〕.
飼育下で8月4日に作られた卵のうからは8月27日多数の子グモが出のう.9月13日の卵のうからは24日に出のうした.
子グモは次第に逃げ出して消失.親グモは10月19日溺死〔八木沼AT78〕.
京都市の深泥池の湿原でピットフォールトラップで雌の成体を採集〔加村,いと10〕.産卵は5月30日,出嚢は6月17日,3日後に子グモが分散を始めた
〔桝元ともこ,いと22〕.
厚岸臨海実験所付近の湿地内の小池(面積は1坪たらず.深さ1m半)にて1933年頃,北大学生・石塚星郎が発見,1941年に斉藤三郎が同池を訪れ採集
した〔常木AC12(3/4)〕.
ウメバチモ葉間に円天井様の薄い網を作り,水面近く浮かび腹部を水面上に出し,第4脚及び腹部の長毛に気泡を十分に含ませて,
更に第3脚を気泡にそえ,他の脚で水をかき,先に作った網に到達して気泡を放散す.この動作を繰り返す.
住居中では下向きになり腹部を貯蔵空気中に入れ,頭胸部と前2対の歩脚は水中に突出しているか,又は脚をまげて住居内の空気中に完全に入りこんでいる.
日中は巣の傍に他の動物が近寄らない限り静止し,夜間に水草を伝って活動す.
先人によれば一定の生殖期間なく,雄は小型の住居を作り,次いで雌との間に連絡を作り交尾を行う.
卵は雌の住居天井内面に白線で結着され,やく3週間でふ化し,子グモは更に約2週間,母グモの住居内で生活する.
数年生存し,夏は水面近くに営巣し,越冬に際しては深所に線を張り営巣し,更に口を閉塞するといわれる〔斉藤三AC6(4)〕.
交尾行動を観察〔畑守AC47(2)〕.
ソ連の湖水のフトミズヒラマキガイから成体.幼体発見〔小野K59〕.
京都市深泥池では酸性.溶存酸素量の少ない水域から採集.雌は1ケ月間隔で産卵〔桝元AC45(2)〕.
pHが4.5,DOが0.32〜1.09mg/lの水質に生息,DOは魚が住めない域,この低値はミズゴケによる環境形成作用で維持されている〔桝元ら
AC47(2)〕
飼育下で日周活動を調査した.幼体と雌成体は夜行性で,活動時間は総時間数の5%以下,6月の成体雄は日中も活動.
生活史では3〜4月に採集した雌は,翌春まで3〜4個の卵のうを産卵,雄は8月までに死亡した.
幼体はふ化後3日で出のうし,バルーニングはせずに泳いで分散した〔桝元らAC47(2)〕.
亜種とする〔Ono02a〕.
アイズナミハグモ Cybaeus aizuensis KOBAYASHI, 2006
福島県耶麻群西会津町産雄3.5mm(2003年10月19日,小林採集)を正摸式標本に記載,
副基準標本は雌3.7mm(同日同地),新潟県から福島県に分布〔小林AC55(1)〕.
アキナミハグモ Cybaeus akiensis IHARA, 2003
雄4.7〜6.0mm,雌4.4〜7.1mm,広島・島根・山口に分布.
同所的にみられるナガトナミハグモや九州に分布するアシキタナミハグモとよく似ている.
本州西部では同一地域に生息するナミハグモ属は体サイズの異なる5〜6種で構成される.
本種はそのなかで2番目に大型の種である.
成体・幼体で越冬し,成熟までに2年を要する.
住居は両端の開口部だけでなく内部に逃げ道を持つ〔井原AC52(1)〕.
コナミハグモ Cybaeus aquilonalis YAGINUMA, 1958
雌7.3mm,雄も同様,下北半島産で記載された.北海道から東北地方,石川県から確認〔井原AC53(1)〕.
雄7〜10月雌8〜9月,成体〔井原AC54(2)〕.
アサヒナミハグモ Cybaeus asahi KOBAYASHI, 2006
山形県西川町ナカサキ山産雄3.0mm(2003年9月16日,小林採集)を正摸式標本に記載,
副基準標本は雌2.9mm(同日同地),
山形県に分布,学名は朝日連峰にちなむ.ガッサンナミハグモと同時に採集〔小林AC55(1)〕.
アシキタナミハグモ Cybaeus ashikitaensis KOMATSU, 1968
=Dolichocybaeus ashikitaensis (KOMATSU, 1968)
九州に分布し,アキナミハグモとは分布が重ならないが,福岡ではナガトナミハグモと重なる〔井原AC52(1)〕.
基準産地は熊本県葦北洞.ナガトナミハグモ種群と近縁だが,本種には交尾栓が無い〔井原・野嶋AC53(2)〕.
九州北部での分布〔井原AC56(1)〕.井原によりDolichocybaeus属は認めずすべてCybaeus属〔小野09〕.
ビッチュウナミハグモ Cybaeus bitchuensis IHARA et NOJIMA, 2005
=Dolichocybaeus bitchuensis (IHARA et NOJIMA, 2004)
ナガトナミハグモ種群のひとつ.雄5.0mm(9〜12月),雌5.2mm(9〜2月),
岡山県北部(ほぼ高橋川と朝日川に囲まれた地域)に分布〔井原・野嶋AC53(2)〕.井原によりDolichocybaeus属は
認めずすべてCybaeus属〔小野09〕.
ビワナミハグモ Cybaeus biwaensis KOBAYASHI, 2006
岐阜県不破郡樽井町産雄3.1mm(1998年2月7日,小林採集)を正摸式標本に記載,
副基準標本は雌2.9mm(2000年1月8日岐阜県大垣市上石津町産),
琵琶湖周辺に分布〔小林AC55(1)〕.コガタナミハグモ種群に属し,
出入り口が三つある正三角形に近い住居を作る〔井原AC58(2)〕.
ダイセンナミハグモ Cybaeus daisen IHARA et NOJIMA, 2005
=Dolichocybaeus daisen IHARA et NOJIMA, 2004
ナガトナミハグモ種群のひとつ.雄5.8mm(9〜11月),雌6.0mm(9〜11月),
鳥取県と岡山県北部に分布〔井原・野嶋AC53(2)〕.井原によりDolichocybaeus属は認めずすべてCybaeus属〔小野09〕.
エチゴナミハグモ Cybaeus echigo KOBAYASHI, 2006
福島県耶麻群西会津町産雄3.7mm(2003年10月19日,小林採集)を正摸式標本に記載,
副基準標本は雌3.7mm(同日同地),
長野県北部から福島県に分布〔小林AC55(1)〕.
エンシュウナミハグモ Cybaeus enshu KOBAYASHI, 2006
愛知県北設楽郡明神岳産雄3.0mm(1997年1月19日,小林採集)を正摸式標本に記載,
副基準標本は雌2.9mm(1996年12月7日岡崎市産),
静岡県中部から愛知県東部に分布〔小林AC55(1)〕.
ガッサンナミハグモ Cybaeus gassan KOBAYASHI, 2006
山形県寒河江市産雄3.3mm(2003年9月16日,小林採集)を正摸式標本に記載,
副基準標本は雌2.9mm(同日同地),
山形県に分布,学名は月山にちなむ.アサヒナミハグモと同時に採集〔小林AC55(1)〕.
イワミコガタナミハグモ Cybaeus gonokawa IHARA, 1993
雄2.9〜3.5mm(10月),雌3.0〜4.0mm(10〜4月),広島・島根県中央部に分布〔井原AC42(2)〕.コガタナミハグモ種群に属
し,
出入り口が三つある正三角形に近い住居を作る〔井原AC58(2)〕.
オオダイガハラナミハグモ Cybaeus hatsushibai IHARA, 2005
雄6.8mm,雌7.2mm,成体は8〜10月,
奈良県大台ケ原産の雌雄(2003年10月23日,岸本トシロウ採集)を基準標本に記載,
標本採集の初芝伸吾に献名〔井原AC42(2)〕.
ヒバナミハグモ Cybaeus hibaensis IHARA, 1994
雄3.5〜5.0mm(9〜12月),雌4.1〜5.3mm(9〜4月),広島県比婆郡,島根県東部,岡山県西部に分布〔井原AC43(1)〕.
ヒメナミハ,アキヨシナミハ,クマナミハ,ヒバナミハ,クニサキヒメナミハ,ツルギヒメナミハをヒメナミハグモ種群とする.
これらは小形から中型で体色の淡い種である.
それぞれの種は地理的に分かれて分布している.外部形態がよく似ていること,側所的な分布をすることから
ヒメナミハグモ種群を上種とみなすことができる.ヒバナミハは中国地方東部に分布〔井原AC52(2)〕.
アキコガタナミハグモ Cybaeus hiroshimaensis IHARA, 1993
雄2.6〜3.5mm(10〜3月),雌2.7〜4.2mm(10〜3月),山口,広島,島根県西部に分布〔井原AC42(2)〕.
本州西部および九州北部に分布するコガタナミハグモ種群11種の分布パターンを示した.本種群の種は出入り口が三つある正三角形に近い
住居を作る〔井原AC58(2)〕.
イツキメナシナミハグモ Cybaeus itsukiensis IRIE, 1998
雄3.6mm(5月),雌4.3mm(8〜11月),熊本県五木村折瀬洞産,眼を欠く〔入江AC47(2)〕.
ジンセキナミハグモ Cybaeus jinsekiensis IHARA, 2006
ナガトナミハグモ種群のひとつ.ナガトナミハに似る.雄5.5mm(9〜1月),雌6.0mm(9〜5月),
広島県神石郡神石高原町産の雌雄(10月)で記載.
広島県北東部・岡山県北西部・島根県極東部・鳥取県極西部に分布.
森林の林床に生息し,両側に開口部をもつ管状住居を作る.開口部には一対の受信糸を付ける.
2年1化の生活史を持ち,成体は9月中旬から出現し,雌は雄よりも1〜週間早く成体になる.
交尾は秋,雄の栓子先端部が折れて交尾栓が外雌器に残る.
卵のう内の卵数は9〜29個,導管型の雌生殖器をもつ本種は複数雄と交尾した場合,最初の雄が
精子競争で有利.それにも関わらず雌先熟であるのは最終脱皮から間が無く硬化の弱い雌の外雌器では
交尾栓が脱落しやすいこと.成体越冬のため交尾から産卵までの期間が長いことが関係している〔井原AC55(1)〕.
キイナミハグモ Cybaeus kiiensis KOBAYASHI, 2006
三重県松坂市飯高町産雄2.5mm(2001年12月31日,小林採集)を正摸式標本に記載,
副基準標本は雌2.9mm(同日同地産),
紀伊山脈に分布〔小林AC55(1)〕.
キリガミネナミハグモ Cybaeus kirigaminensis KOMATSU, 1963
=Dolichocybaeus kirigaminensis (KOMATSU, 1963) タカネナミハグモ
長野県霧ケ峰で1961年10月16日に小松が雌(6.0mm),雄(5.0mm)採集.
晩秋から春に成体.霧ケ峰のpleteauの湿地の石の表面上に生息.
砂粒を付着させて2対のtouch-threadをもったV字型の住居を作る.
管の底は地面に付き,穴があいている.捕らえようとすると,この穴からcreviceににげた〔小松AC18(1)〕.井原により
Dolichocybaeus属は認めずすべてCybaeus属〔小野09〕.
キウチナミハグモ Cybaeus kiuchii KOMATSU, 1965
成体は1年中,4〜5mm,本州・四国.鐘乳洞内に多いが,落葉下,倒木下にも生息する.
管状住居を作り,その上に土をつけて擬装する.朽木の隙間に卵のうを産んで保護する〔東海84〕.
1961年11月23日徳島県の雄(4.5mm)にて記載〔小松AC19(2)〕.
クマナミハグモ Cybaeus kumaensis IRIE et ONO, 2001
2000年10月26日熊本県球磨郡五木村にて入江採集標本にて記載.ヒメナミハ,アキヨシナミハ,クマナミハ,
ヒバナミハ,クニサキヒメナミハ,ツルギヒメナミハをヒメナミハグモ種群とする.
これらは小形から中型で体色の淡い種である.
それぞれの種は地理的に分かれて分布している.外部形態がよく似ていること,側所的な分布をすることから
ヒメナミハグモ種群を上種とみなすことができる.クマナミハは熊本に分布〔井原AC52(2)〕.
クニサキヒメナミハグモ Cybaeus kunisakiensis IHARA, 2003
雄4.1mm(10月),雌4.3mm(10〜12月),1993年10月9日大分県国東町双子山標本(井原採集)で記載〔井原AC43(1)〕.
ヒメナミハ,アキヨシナミハ,クマナミハ,ヒバナミハ,クニサキヒメナミハ,ツルギヒメナミハをヒメナミハグモ種群とする.
これらは小形から中型で体色の淡い種である.
それぞれの種は地理的に分かれて分布している.外部形態がよく似ていること,側所的な分布をすることから
ヒメナミハグモ種群を上種とみなすことができる.クニサキヒメナミハは大分に分布〔井原AC52(2)〕.
コクラナミハグモ Cybaeus kokuraensis IHARA, 2007
雄5.0mm(9月〜11月),雌6.3mm(9〜11月),2004年9月21日福岡県北九州市小倉南区産雌雄(井原採集)で記載〔井原
AC56(1)〕.
ナガトナミハグモ Cybaeus kuramotoi YAGINUMA, 1963
=Dolichocybaeus kuramotoi (YAGINUMA, 1963)
山口・広島・島根に分布する中型のナミハグモで,生殖器形態に著しい地理的変異がある.
その近縁種群は本州西部.四国北部.九州北部に分布し,10種以上に分化〔井原AC51(2),Ac53(2)〕.
ナガトナミハグモ種群は秋から冬に成熟,成体後期になるほど交尾栓を持つ個体が増えるので交尾時期は秋である.
幼体は一年中見られるが,同時期に見られる成体と幼体は異なった世代である.
ナガトナミハグモ種群(ビッチュウナミハ,ダイセンナミハ,ミマサカナミハ,ビゼンナミハ,タジマナミハ)
はアキナミハグモと同様に2年で成熟する.
丸太や岩の下で通常は発見されるが,湿った林床の落葉中とか,林道沿いの側壁に突き出た岩の下の土壁などでも
見つかる.小松(1961)が示したV型の両端に開口を持つ筒型の住居内に潜むことが多い.
サイズや生息環境,形態はアシキタナミハが近く,側所的分布を示すが,アシキタナミハには交尾栓が見られない〔井原.野嶋AC53(2)〕.
中国地方での成体出現期は山地では9月中旬,沿岸部では10月中旬頃である.雌が先に成熟し,1週間くらい
遅れて雄が成体になる.性比はほぼ1である.交尾栓の付着状況から成体になってすぐには交尾しないと考えられる.
出現から1ケ月くらいは未交尾の個体が多い.春に発達した卵を腹部に持つ個体が見られるため,越冬して翌春に産卵する
と考えられる.夏にはサイズの異なる2種類の幼体が見られる〔井原AC54(2)〕.
ジンセキナミハグモもナガトナミハグモ種群に属する〔井原AC55(1)〕.九州北部での分布〔井原AC56(1)〕.
本州西部と九州北部に分布し,変異の連続性と雌生殖器の類似性から側系統の多型種とみなされる〔井原AC56(2)〕.井原により
Dolichocybaeus属は認めずすべてCybaeus属〔小野09〕.
オオナミハグモ Cybaeus magnus YAGINUMA, 1958
成体は1年中,10〜15mm,青森県恐山産で記載された.東北地方では青森・秋田・岩手・山形から確認.
カチドキは8〜10mmと体長でも区別できる〔井原AC53(1)〕.
クロコナミハグモ Cybaeus melanoparvus KOBAYASHI, 2006
岐阜県大垣市上石津町産雄4.2mm(1995年12月25日,小林採集)を正摸式標本に記載,
副基準標本は雌3.9mm(2001年11月4日岐阜県山県市産),
岐阜県と三重県に分布,ミノナミハと分布が重なる〔小林AC55(1)〕.
ムロテナミハグモ Cybaeus melloteei (SIMON, 1886)
=ナミハグモ
雌雄4〜5mm,小形の白色種.鍾乳洞に多いが,人工洞穴,樹林内の落葉の下,倒木の下などにも生息する.岩や石の下の表面,倒木のくぼみなどに,土粒
で偽装した筒状住居を作り,両方の入口から1〜2本の受信糸を引く.獲物の種類は不明.同型・同色の種類が多数いる〔新海06〕.個体数は少ない〔新海
69〕.
ミマサカナミハグモ Cybaeus mimasaka IHARA et NOJIMA, 2005
=Dolichocybaeus mimasaka (IHARA et NOJIMA, 2005)
ナガトナミハグモ種群のひとつ.雄4.6mm(9〜12月),雌5.5mm(9〜12月),
岡山県北部・鳥取県南東部・兵庫県北東部に分布〔井原・野嶋AC53(2)〕.井原によりDolichocybaeus属は認めずすべてCybaeus属
〔小野09〕.
ミノナミハグモ Cybaeus minoensis KOBAYASHI, 2006
岐阜県も鳥栖市雄2.8mm(2001年11月4日,小林採集)を正摸式標本に記載,
副基準標本は雌3.0mm(1998年11月21日岐阜県美濃市産),
福井県東部から岐阜県西部に分布,クロコナミハと分布が重なる〔小林AC55(1)〕.
ミヤギナミハグモ Cybaeus miyagiensis IHARA, 2004
雄7.5mm,雌8.8mm.宮城県岩出山町産(1990年8月30日佐々木4智雄採)で記載された.
東北地方では岩手・宮城・福島から確認〔井原AC53(1)〕.
ヒメナミハグモ Cybaeus miyosii YAGINUMA, 1941
昭和15年11月23日,愛媛県宇和島滑床の松林にて三好保徳採集,3・7mm〔八木沼AC6(4)〕.
ヒメナミハ,アキヨシナミハ,クマナミハ,ヒバナミハ,クニサキヒメナミハ,ツルギヒメナミハをヒメナミハグモ種群とする.
これらは小形から中型で体色の淡い種である.
それぞれの種は地理的に分かれて分布している.外部形態がよく似ていること,側所的な分布をすることから
ヒメナミハグモ種群を上種とみなすことができる.ヒメナミハは四国に分布〔井原AC52(2)〕.
ビゼンナミハグモ Cybaeus momotaro IHARA et NOJIMA, 2005
=Dolichocybaeus momotaro (IHARA et NOJIMA, 2005)
ナガトナミハグモ種群のひとつ.タジマナミハに似る.雄5.4mm(10〜3月),雌6.2mm(10〜3月),
岡山県南部に分布〔井原・野嶋AC53(2)〕.井原によりDolichocybaeus属は認めずすべてCybaeus属〔小野09〕.
ミヤマナミハグモ Cybaeus monticola KOBAYASHI, 2006
=Cybaeus monticolus
長野県飯田市上村産雄4.6mm(1995年7月23日,小林採集)を正摸式標本に記載,
副基準標本は雌5.2mm(同日同地),
赤石山地南部と富士山周辺に分布〔小林AC55(1)〕.
タンゴコガタナミハグモ Cybaeus nagaiae IHARA, 2009
雄3.15mm(8〜10月),雌3.25mm(8〜10月),京都府に分布.コガタナミハグモ種群に属し,出入り口が三つある正三角形に近い住居を作る
〔井原AC58(2)〕.
ナグサコガタナミハグモ Cybaeus nagusa IHARA, 2009
雄2.55mm(11月),雌3.15mm(3月),兵庫県に分布.コガタナミハグモ種群に属し,出入り口が三つある正三角形に近い住居を作る〔井原
AC58(2)〕.
カチドキナミハグモ Cybaeus nipponicus (UYEMURA, 1938)
雌雄9〜12mm,成体出現期6〜9月,平地から山地まで広く生息.崖地,岩場のくぼみに管状住居を作り,表面に細かい土粒を付けて偽装する〔新海
06〕.成体は1年中,9〜12mm,本州・四国・九州.崖地,岩場のくぼみに管状住居を作り,その上に土をつけて擬装する.両方の入口から1〜3本の受
信糸を引く〔東海84〕.
東北地方では山形県.福島県に分布.他はオオナミハグモ(10〜15mm)で,カチドキは8〜10mmと体長でも区別できる〔井原AC53(1)〕.
伊豆七島の地上徘徊性種として冬期にデーニッツサラグモと共によく採集された〔国見AT87〕.
V字幕からは左右へ2本ずつ受信糸がでている.卵のうはV字幕の内,住居孔の近くに取り付けてある〔中平AT14〕.
冬期,雌雄成体を採集〔植村AT5〕.
熊本にて,産卵は6月頃,冬期も成体.糸は巣の内側の中ほどが,ほとんど張られてなく,わずかな土の窪みになっている.
そこがクモの居所だが,食餌をまっている時は左右いずれかの入口近くにきている〔木庭AT19〕.
カチドキナミハグモとCybaeus mellotteeiは区別できる〔八木沼AC6(4)〕.
Bansaia 属として記載,
1937年11月深沢治男が芝公園にて採集した雌雄成体にて.ナミハグモはC.melloteeiは同種〔植村AC3(4)〕.
タイプ産地は東京で,東日本には雄触肢が長い長肢型,中国・四国には短肢型,九州には長肢型〔井原AC52(2)〕.
ノジマコガタナミハグモ Cybaeus nojimai IHARA, 1993
雄2.6〜3.2mm(10月〜11月),雌2.9〜3.7mm(10〜6月),鳥取県東部.兵庫県北西部・岡山県北東部に分布〔井原
AC42(2)〕.コガタナミハグモ種群に属し,
出入り口が三つある正三角形に近い住居を作る〔井原AC58(2)〕.
ニッパラナミハグモ Cybaeus obedientiarius KOMATSU, 1963
鐘乳洞内にて採集〔新海69〕.1951年8月8日,東京都日原洞にて小松採集雌(4・9mm)にて記載〔小松AC18(1)〕.
アキヨシナミハグモ Cybaeus okafujii YAGINUMA, 1963
1952年9月22日秋芳洞にて上野俊一採集標本にて記載.ヒメナミハ,アキヨシナミハ,クマナミハ,
ヒバナミハ,クニサキヒメナミハ,ツルギヒメナミハをヒメナミハグモ種群とする.
これらは小形から中型で体色の淡い種である.
それぞれの種は地理的に分かれて分布している.外部形態がよく似ていること,側所的な分布をすることから
ヒメナミハグモ種群を上種とみなすことができる.アキヨシナミハは九州北部から中国地方西部に分布〔井原AC52(2)〕.
キビコガタナミハグモ Cybaeus okayamaensis IHARA, 1993
雄3.2mm(10月),雌2.8〜3.4mm(10月),岡山県南東部に分布〔井原AC42(2)〕.コガタナミハグモ種群に属し,
出入り口が三つある正三角形に近い住居を作る〔井原AC58(2)〕.
ヒコサンコガタナミハグモ Cybaeus okumae IHARA, 2009
雄3mm(9〜10月),雌3.25mm(9〜10月),福岡県・佐賀県に分布.コガタナミハグモ種群に属し,出入り口が三つある正三角形に近い住居を作
る〔井原AC58(2)〕.
ヒジリナミハグモ Cybaeus sanctus (KOMATSU, 1942)
庭石の下より採集.住居は管状住居に土,砂等を付着させたせの〔新海69〕.
水のしたたる程の湿気の多い所に生息.土砂をもってかがられる2〜3cmのV字管形住居,
各孔口より2条,長さ10〜15cmの触糸を出し,支え糸で岩面上に固着する.
卵のうは約5mm径の白色碁石状,岩面に密着する〔小松AC7(2)〕.
ミチノクナミハグモ Cybaeus sasakii IHARA, 2004
雄6.5mm,雌6.1mm.福島県裏磐梯高原産(1995年8月27日井原・野嶋採)で記載された.
東北地方では青森から福島まで確認(宮城を除く).
各地の標本を採集した佐々木智雄に献名.
カチドキナミハやキウチナミハと似ている〔井原AC53(1)〕.
ササヤマコガタナミハグモ Cybaeus sasayamaensis IHARA, 2009
雄2.60mm(10〜4月),雌2.90mm(10〜4月),大阪府・兵庫県に分布.コガタナミハグモ種群に属し,出入り口が三つある正三角形に近い住
居を作る〔井原AC58(2)〕.
シンカイナミハグモ Cybaeus shinkaii (KOMATSU, 1970)
=Dolichocybaeus shinkaii KOMATSU, 1970
雌雄4〜4.5mm,成体出現期5〜7月,山地に生息.小形の黒色種.湿った崖地,岩場に表面を土で偽装した筒状住居を作り,両方の入口から1〜2本の
受信糸を引く〔新海06〕.
湿った崖地・岩場に住居を作り,入口から触糸を引く〔新海77〕.井原によりDolichocybaeus属は認めずすべてCybaeus属〔小野
09〕.
シンゲンナミハグモ Cybaeus shingenni KOMATSU, 1968
約3mmの縦穴の中を徘徊していたものを採集〔新海69〕.
落葉の下に生息する〔新海70〕.
アシマダラナミハグモ Coelotes striatipes BOES. et STR., 1906
タイプを再記載,北日本で採集,雌のみ〔小野H2(1)〕.歩脚に環紋はない〔小野09〕.
タジマナミハグモ Cybaeus tajimaensis IHARA et NOJIMA, 2005
=Dolichocybaeus tajimaensis (IHARA et NOJIMA, 2005)
ナガトナミハグモ種群のひとつ.ビゼンナミハに似る.雄4.9mm(9〜10月),雌5.4mm(9〜10月),兵庫県北部に分布〔井原・野嶋
AC53(2)〕.
井原によりDolichocybaeus属は認めずすべてCybaeus属〔小野09〕.
タラコガタナミハグモ Cybaeus taraensis IRIE et ONO, 2001
雄頭胸長1.39〜1.45mm(9月),雌頭胸長1.37〜1.54mm(9月),佐賀県産で記載,長崎県にも分布.コガタナミハグモ種群に属し,出入
り口が三つある正三角形に近い住居を作る〔井原AC58(2)〕.
イナバナミハグモ Cybaeus tottoriensis IHARA, 1994
雄4.4〜5.4mm(10〜1月),雌4.6〜5.8mm(10〜11月),鳥取県,岡山県北部に分布〔井原AC43(1)〕.
ツルギヒメナミハグモ Cybaeus tsurugi IHARA, 2003
雄4.0mm(4月),雌5.0mm(4〜5月),1994年4月21日徳島県美馬郡木屋平村(井原採集)で記載〔井原AC43(1)〕.
ヒメナミハ,アキヨシナミハ,クマナミハ,ヒバナミハ,クニサキヒメナミハ,ツルギヒメナミハをヒメナミハグモ種群とする.
これらは小形から中型で体色の淡い種である.
それぞれの種は地理的に分かれて分布している.外部形態がよく似ていること,側所的な分布をすることから
ヒメナミハグモ種群を上種とみなすことができる.ツルギヒメナミハは主に徳島に分布〔井原AC52(2)〕.
イズモコガタナミハグモ Cybaeus tsurusakii IHARA, 1993
雄3.1〜3.5mm(9月〜10月),雌1.3〜1.8mm(年中),広島県北東部・島根県東部・岡山県北西部に分布〔井原AC42(2)〕.コガタ
ナミハグモ種群に属し,
出入り口が三つある正三角形に近い住居を作る〔井原AC58(2)〕.
ウラバンダイナミハグモ Cybaeus urabandai IHARA, 2004
雌11.5mm,雄11.1mm,1995年8月27日裏磐梯産雌雄(井原採集)で記載された.
オオナミハグモと体長では似ているが,脚がより短く,生殖器構造で識別できる〔井原AC53(1)〕.
ヨシアキナミハグモ Cybaeus yoshiakii YAGINUMA, 1968
1968年10月27日大阪府にて採集,前中眼を欠く.落葉下に生息,ツルグレン装置で抽出〔八木沼AC21(2)〕
ヤマガタナミハグモ Cybaeus yoshidai IHARA, 2004
雄7.5mm,雌7.6mm,1995年8月28日山形県米沢市白布温泉産雌雄(野嶋採集)で記載〔井原AC53(1)〕.
ユフインナミハグモ Cybaeus yufuin IHARA, 2007
雄5.6mm(9月〜4月),雌6.2mm(9〜11月),1995年10月10日大分県由布市湯布院産雌雄(井原採集)で記載.
福岡・大分・熊本に分布〔井原AC56(1)〕.
ニチコウナミハグモ Cybaeus nichikoensis (KOMATSU, 1968)
=Dolichocybaeus nichikoensis KOMATSU, 1968
1967年9月27日,熊本ニチコcaveにて小松雌(4・54mm)にて記載〔小松AC21(2)〕.井原によりDolichocybaeus属は認
めずすべてCybaeus属〔小野09〕.
イシカワナミハグモ Cybaeus ishikawai (KISHIDA in KOMATSU, 1961)
=Dolichocybaeus ishikawai KOMATSU, 1961
=ヅナガグモ
高知県龍川洞にて採集〔小松AC5(3)〕.井原によりDolichocybaeus属は認めずすべてCybaeus属〔小野09〕.
クロガケジグモ Badumna insignis (L. KOCH, 1872)
=Ixeuticus robstus (L. KOCH, 1872)
雌12〜15mm,雄10〜12mm,成体出現期5〜9月.人家,神社,寺院などの軒下,壁,窓枠,屋根,塀,フェンス,門扉,庭園の植物上,立看板,
欄干,石垣,墓石など人工物の隙間に管状住居を作り,そこから大きなボロ網を張り出す〔新海06〕.
原産地は雄トラリア・タスマニア・ニュージーランドである.人為分布により日本(大阪・和歌山)でも発見された.
家の軒,生垣にボロ網を張る.網の中央に巣穴の入口が2〜3個開く.
太い糸の間に細い糸と非常に細いらせん状の糸が1対ずつ組になって粘液で覆われたものがジグザグに張られている.
昼間は住居の奥にいて,夜は巣穴の入口まで出てくる.網に餌がかかると巣から飛び出して糸をかけずに直接食いつき,巣に持っていって食べる.
亜成体または成体ではショウジョウバエなど小さい獲物は2〜3匹まとめてから肉団子状にして食べ,ハエ,ゴキブリなどは体をバラして食べる.
ニワトリの肉も食べる.卵のうは巣の中に作る.幼体が親と同居している時期は6〜10月で冬にも産卵しているという.
ふ化日数は30日(4月3日産卵),15日(8月16日)の記録がある.飼育下では雌が8回の脱皮で1.5mmから7mmになった.
全体で10回程脱皮し,脱皮殻は巣の外に捨てる〔後藤AT71,72〕.飼育した結果,子育て行動をしないことを確認〔新海明,しのび24〕.
白色円状の卵のうを作る.雌成体が3年間に8個の卵のうを作り,内6個が出のうした(途中交接せず).子グモの数は50頭程〔田中K44〕.
1988年に但馬(北兵庫)に進出〔本庄.山本一幸AT98/99〕.豊橋市で採集〔谷川K66〕.熊野市.金沢市で採集〔池田1994〕.外来種である
本種の日本での既知記録をまとめ,石川県金沢市での生息状況を記録した〔徳本,蜘蛛28〕.香川県の高松空港,千葉県野田市の清水公園で記録〔貞元
K96〕.
都市環境指標種〔新海98〕.
ハルカガケジグモ Badumna longinqua (L. KOCH, 1867)
=コゲチャガケジグモ Badumna longinqua
=Ixeuticus martius
雌6〜9.5mm,雄3.5〜6.5mm〔小野09〕.名古屋港周辺の輸入品倉庫でフェンス.ガードレール.積み荷の間.植栽の間などにボロ網.住居を
作る.
若令幼体はマサキ葉上にネコハグモのような網を作る.管状住居中では亜成体雌を雄が同居しガードする.雄には大小二型がある〔須賀AC45(2)〕.網の
様子だけからはクロガケジグモと区別できない.幼体は2月から11月までいつでもみられた.成体は6月下旬から11月上旬.雄の成体には大型と小型の二型
が存在する〔須賀瑛文・小笠原幸恵,蜘蛛30〕.オーストラリア東部,ニュージーランド,アメリカ合衆国(人為分布)などに分布.日本では本州中部以南か
ら知られる〔小野09〕.
ヤマトウシオグモ Desis japonica YAGINUMA, 1956
雌雄6〜6.5mm,成体出現期5〜9月,上顎を加えると,体長は8mmに達する.海岸の岩場,サンゴ礁,干潟などの潮干帯に生息し,岩の隙間やくぼ
み,石の下などに住居を作り中に潜む.満潮時には住居は海水中に没するが海水は中まで侵入しない.潮が引くと岩の上を歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
沖縄島泡瀬の海岸にて7月27日,サンゴの裏に幼体,雌,徘徊雄〔谷川K78〕.日本固有種〔小野09〕.
リーフ内に点在する転石裏のくぼみに営巣し,汀線から150mぐらいに多く,より離れた
リーフエッジ付近(250m)にまで出現する傾向があった.ヒメフナムシの一種とワラジムシの一種を捕食,
転石裏のくぼみに卵のうを付着させ雌親がガードする.クラッチサイズは6個と14個〔佐々木健志AC49(2)〕.
8月30日,式根島で雄採集〔松田K86〕.泡瀬干潟で11月3日1頭発見〔高津佳史K93〕.7月22日,昼間住居に潜む〔高津K97〕.
シマイソタナグモ Paratheuma insulana (BANKS, 1902)
雌雄5〜8mm,フロリダ半島やキューバ,ハイチに分布,日本には人為分布〔小野09〕.
イソタナグモ Paratheuma shirahamaensis (OI, 1960)
=Litisedes shirahamensis OI, 1960
=Paratheuma shirahamensis (OI, 1960)
雌雄4〜7mm,韓国からも記録〔小野09〕.成体は2〜8月,6〜8mm,本州(千葉県以南)・四国・九州・南西諸島.海岸の岩場に生息する.岩の隙
間,くぼみに管状住居を作り,入口から棚網を張り出す〔東海84〕.管状住居に小石や割れた貝殻などを付けているものも見られる.北海道から沖縄までの岩
場やれきのある海岸に広く分布するが,砂浜にはほとんど見られない〔新海06〕.ヤチグモ科に移動した〔新海06〕.1956年6月10日,和歌山県白浜
にて雌,1959年6月3日,同雄.満潮線付近のれきの間に群棲する〔大井AC17(1)〕.ウシオグモ科の一種であり,Paratheuma属である
〔八木沼AT97〕.リーフ内に点在する転石裏のくぼみに営巣し,汀線から150mぐらいに多く,汀線近く(10m)から出現する.転石裏のくぼみに卵の
うを付着させ雌親がガードする.クラッチサイズは13個〔佐々木健志AC49(2)〕.
クサチハタケグモ Antistea elegans (BLACKWALL, 1841)
雌雄2.5〜3.0mm,標本を要確認〔小野09〕.
ハタケグモ Hahnia corticicola BOES. et STR., 1906
雌雄2〜2.2mm,平地から山地にかけて広く生息.畑地のくぼみ,芝生,草地の地表面などに,膜を張ったような2〜3cmの小さな「膜状棚網」を張
る.管状住居などは無く,クモは網の下の地表面に潜む.ほとんどの網には露がついており,壊れやすい〔新海06〕.成体は1年中,2〜3mm,北海道・本
州・四国・九州.畑のくぼみ,芝生,草原の地表面に棚網に近い形の網を張る〔東海84〕.国外ではロシア極東地域,中国,韓国,台湾から記録〔小野
09〕.
5月に交接がみられた〔山川・熊田73〕.雌雄共に亜成体で越冬.3月頃より,畑地・路傍の地表にあるくぼみを利用して,小さな棚状の網を張り,その下に
住む.網糸には粘液球が数珠状についている.クサグモ幼生も芝草のはえた地表に造網する(トンネル状住居のある)が,本種は裸地である.弱く破れ易く,露
を宿しやすい〔中平AT23/24〕.
雌の捕食はショウジョウバエにかみつく方法.7月5日から41日間に9個の卵のうを作成(No.8とNo.9はふ化せず).白色和紙状で泥を付着させる.
クラッチ数は9,9,5,5,5,5,4.卵直径は0.6mmの球形が多い.ふ化までは平均12日,第1脱皮までは4.5日.2月14日に成体になった個
体の履歴は7/8に産卵.7/20ふ化.7/25第1脱皮.10/26第2脱皮.11/9第3脱皮.1/21第4脱皮.2/14最終脱皮〔佐藤幸
K72〕.ハタケグモのクラッチ・サイズは6個,5個,3個〔安藤2004〕.
地表に接して(2〜4mm),模式的には2〜3cmの直径の円状だが,立体的である.「地表にへばりついた不規則網」というべきだろう〔中平AT25〕.
地表30cmの枝先に成体が群れていた(1992年4月4日15:30,横浜市旭区矢指)〔木村正吾K65〕.
ミヤシロハタケグモ Hahnia martialis BOES. et STR., 1906
雌1.5mm,雄未知,佐賀県産,原記載以来記録なし〔小野09〕.
タロウヤマハタケグモ Hahnia nava (BLACKWALL, 1841)
雌雄1.5〜2.5mm,藤澤により長野県で初記録(2001).旧北区に広く分布,韓国からも記録がある.外観はハタケグモに似る〔小野09〕.
ヒトツブハタケグモ Hahnia sp.
安藤昭久が2000年10月1日「東京クモゼミ報告」118号で報じた,クラッチサイズが1個のハタケグモの一種である.以下は安藤による.1979年
7月〜1980年7月に,茨城県水戸市スギ林で採集したハタケグモの一種の生活史はオス体長の平均は1.42mm,メス体長の平均は1.28mm.1齢幼
体の体長は0.74mm.背甲幅ではオスは幼体の1.4倍程度.一見イギリスのHahnia
pusillaに似る(その後,中国で記載された種に酷似する).初冬(12月上旬)のメスの精子保有率が23%,真冬には90%なので,初冬から冬の間
に交尾すると推察された.4月に産卵された卵のうから出のうするのが7月.最短でも42日間の卵のう期間.脱皮回数は2回-3回程度と推測し,10月に成
熟する.ハタケグモ類はサラグモ類に比べて大卵少産の傾向がある.クラッチサイズ1個はGertchのAmerican
Spiderには記載があるが,種名の記載がない.安藤は2003年5月と7月に生息環境を報した.生息は微小環境に影響されている.分布は局所的,拡散
速度は非常に遅いと推定している.ヒノキ林などの植林地や地表に直射日光が当らない森林に生息〔池田2010〕.
ヤマハタケグモ Neoantistea quelpartensis PAIK, 1958
雌雄2.4〜2.6mm,山地に多い.崖の地表面のくぼみ,林内の地表面,落葉上などに「膜状棚網」を張る.地表面や落葉中に潜むため見つけにくい.ハ
タケグモより色は薄く,灰色あるいは黄褐色である.同色のクモが他に4〜5種記録されている〔新海06〕.国外ではロシア極東地域,中国,韓国から記録
〔小野09〕.
ナシジカレハグモ Brommella punctosparsa (OI, 1957)
=Lathys punctosparsa OI, 1957
雌雄2〜2.5mm,成体出現期9〜12月,都市部から山地まで広く生息.山地の林内の落葉,土壌中,都市部の庭園,学校,神社,寺院などの隅に積んで
ある落葉,土壌の隙間,樹木や石の下の隙間などのボロ網を張り,奥に簡単な管状住居を作る.洞窟内に生息していることもあり,その場合には石の間や岩の割
れ目からボロ網を張り出す.眼は6眼〔新海06〕.洞窟や暗所に住む微小なカレハグモ.6眼のハグモである〔保育68〕.リターや土壌間隙から発見される
が,好洞窟性でもある〔八木沼AC27SP〕.1959年10月10日,大阪市にて大井採集〔大井AC17(2)〕.広島県仏通寺にて1955年10月
24日採集の成体雄2・3mmでScotolathys として記載,石下にすみ,巣は不明〔大井AC14(2)〕.
アシハグモ Dictyna arundinacea (LINNAEUS, 1758)
雌3〜3.5mm,雄2.5〜3mm,成体出現期5〜7月.広葉樹の葉上,枝先,草本の花や葉の間などにボロ網を張る.ネコハグモに比べて建物の周囲に
は少ないが,植物園や庭園のフェンスなどでは見られる.また,河原の石の下などにも生息.網の奥に簡単な管状住居を作るものもいる〔新海06〕.全北区か
ら広く知られる〔小野09〕.
ネコハグモ Dictyna felis BOES. et STR., 1906
成体は6〜10月,雌4〜5mm,雄3〜4mm,本州・四国・九州.木の葉の表面,板塀,河原の石の下などに,ちぢれた糸をはりめぐらした網をはる〔学
研76〕.
ボロ網を張る.葉上の網には天幕を作るものが多い〔東海84〕.
冬期は体を糸で包み,葉の間で過すが,暖かい日には出てきて活動する〔保育68〕国外ではロシア極東地域,中国,韓国から記録〔小野09〕.
交接は9月下旬(大阪府1976年).雄は雌の巣の背後から近づき,雌は追われるように巣の外へ出る.すぐに雌は巣内へ戻る.数回繰り返した後,雄は雌の
前方からそろそろ近づき,雌の下へ潜り込む.触肢で外雌器を探る.触肢の背面を押し付ける.雄は下から雌の体を持ち上げるので雌雄の体軸は直角にな
る.30〜50分後,触肢を替える.その後,雄は雌の横で精網を作ったようだ.交互に左右の触肢で数回精液をとりあげる.残った精液の雫を雄は飲んだよう
だ.雄は直ちに今度は仰向けになった雌の腹の上で逆立ちするように交接した.それが終わると再び精液の充填をした.観察はここまで.
交接後,雄は冬までに死ぬ.雌は越冬して翌年の5〜6月に産卵するもののようだ.
卵のうは直径4〜5mmの白色円盤状で1頭の雌は普通数個の卵のうをかためて作る〔加村AT77〕.
親が放置した餌に子グモが群がる〔新海明K65〕.
12月上旬の雌成体は長日条件では20日後から産卵が始まったが短日条件では60日たっても産卵が起こらなかった.春に出た幼体は自然条件では4〜5回脱
皮し,70〜90日で成熟したが,23℃短日では早まり,23℃長日では80〜90以上たっても成体にならずに死亡した〔宮下AC42(1)〕.
豊田市桑園にてアメリカシロヒトリ幼虫各ステージを補食〔萱嶋AC21(1)〕.
日本アルプスでは1500m以下に分布〔千国AC5(4)〕.
都市環境指標種〔新海98〕.
ハグモ Dictyna maculosa KARSCH として「人家の外壁や塀,或いは広葉樹の葉上に営巣する.
営巣場所によって網の形が異なる.
葉上の網は葉の縁から縁へ張った天幕状だが,壁の垂直面に作ったものは左右に出入り口のある,
細かな網目の住居部から下方(或いは四方)へ,大小様々な糸が,ほぼ方形の網目を作りながら10cm程延びている.
この糸は第4脚の櫛毛ですき出されたものである.すなわち,左(右)しょ節を腹端に平行に置き,
それを右(左)ふ節で支えもって,下から上へすくい上げるようにしてすき出す.
すかれた糸は,多数の細かな糸の束となり,壁面に接着される時,チリチリと少し縮む.
従って粘り気はないが,昆虫等の脚先にはよくからみつく糸になる.寒くなると住居部の中,
或いは葉上の天幕網の下に,厚い幕を作りその下に潜む.
越冬したものは5月頃産卵する.これよりふ化したものは9〜10月に産卵する.
卵のうは直径3mm位の白色円盤状,住居部のある壁面や葉上に置く.
1巣内に4〜5個を数える.なお葉上にはられた厚い天幕は防寒用と同時に産室を兼ねている〔中平AT23/24〕.
ヒナハグモ Dictyna foliicola BOES. et STR., 1906
雌2.5〜3.5mm,雄2〜3mm,川原,渓流沿いの草や低木の葉上に多い.その他,神社,寺院,草原,樹林地の周辺,林道などにも見られる.主に幅
の広い植物の葉上,枝先などにもボロ網を張るが,人工物に網を張る場合もある.班紋がなく全身赤い個体も見られる〔新海06〕.国外ではロシア極東地域,
中国東部,韓国から記録〔小野09〕.
葉上や建物の隅に不規則網をはり,4〜11月頃に卵のうを5〜7個作る.9〜11月にかけて雌の網に雄が訪れているのをよく見かける〔山川・熊田73〕.
家の内外の壁面で角になった所に多く住んでいる.耐寒性の強いクモで,厳寒の候でも盛んに狩猟しているのをみることがある.
冬期,網にかかる昆虫は蝿・ユスリカ等である〔植村AT5〕.
兵庫にて飼育管ビン内で,9月20日21時,交接していた.雄は頭部と1・2脚で雌を持ち上げ,両者の角度は90度となる.雌のかくれ場所の近くであ
る.10時35分,離れる.
11時25分精網から精液を取る.残った精液は飲み込む.雄は雌に向かい合い,歩き回り,雌の背後から1脚を腹部に接触させる行動を繰り返す.
9月25日20時交接,9月30日午後19時交接.少なくとも3回は交接する.性比は雌が1・62または8と多い.
人家の壁面では網から網への移動が頻繁に行われている〔本庄AT85〕.
本来の葉上生活をせずに人家の窓や車道のガードレールに造網生活するものがある.
窓枠の個体群ではやや集中性をもったランダム分布であり,窓枠の各辺については集中度にばらつきがあった.
ガードレールの個体群では雌は一様分布だったが,雌はかなりの集中分布を示した.頭を接着しあっているような複数の個体もある.
網には捕虫のためのすき糸による上部構造とは別に,きめ細かな糸による住居空間を下部にもつ二重構造のものがある.
捕食行動は夜間,蛍光灯下において行われている(獲物はディプテラ)〔本庄AC27S〕.
倉敷市にて桃の葉に日覆様の巣を作り,その下に1〜3個の卵のう(直径2.5〜3.0mm,白色偏円形)を密着させる.雌は卵のうの上にうずくまる.
卵は淡黄色で0.5mm径.1卵のう中に15,15,26卵〔白AC7(3/4)〕.
赤いハグモ Dictyna sp. としてヒナハグモの色彩変異個体だった〔新海明2007〕.
赤いハグモと称する.子グモの集団餌捕獲を観察〔新海明K65〕.
飼育下で交尾.産卵.出のう.子育て行動などを観察できた.1994年5月19日午前6:30−6:55に交尾.
雄は雌を中心とした円周歩行をする.5月21日も別の雌に対する雄の求愛.交尾(体勢はO-VDからS-VV型)を観察した.
雌は交尾後3日で産卵(直径3.5mm厚さ1mmの円形錠剤形:6/4に25頭出のう.2個目を6月4日に産卵:6/20に7頭出のう).
別の雌は交尾後10時間に産卵(6/6に19頭出のう).及び13日後に産卵(出のう無し).
出のう直後から親の捕獲したハエを集団捕食する.早いものでは出のう後5日で単独捕食の傾向,
第1回脱皮が出のう後7〜9日であった.出のうから11〜12日後に単独捕食の子グモを観察.2ケ月後も集団捕食の場合があったが,
共食いは無かった〔鈴木成K70〕.
埼玉県名栗川から広島県まで記録.埼玉県飯能市西吾野で3年間にわたって
4月25日−5月16日の間に配偶行動を調査.雄を網内に入れる.
雄は1脚で網を叩きながら徘徊.雌と接触.雌は一度逃げるが雄は雌にいた所に網を作る.
雌が戻ってきて交尾〔平松K70,新海明.平松K72〕.
天幕網の造網行動(基礎糸を張り,次に粘糸を張る),
バイトによる餌捕獲行動,配偶行動〔新海明・平松AC46(2)〕.
日なたでは第1第2歩脚を折り畳んで頭胸部を覆い隠して体温調節姿勢を取る〔平松K87〕.
ハグモの一種 Dictyna sp.
緑のハグモと称する.沖縄県に普通.アリをかけたら母親が捕獲.しばらくして子グモが取り付いていた.子育てグモだろう〔谷川K71〕.
4月2日,西表島にて葉面の造網域の面積は10.2×4.4cm(N=19),卵のうガード6例,出のう幼体ガード11例,幼体数は平均28.8頭
(N=9)〔新海明.平松K84〕.
チャボハグモ Dictyna procerula BOES. et STR., 1906
雌2.5mm,雄は未知.原記載(佐賀県)以来記録は無い〔小野09〕.
カギハグモ Dictyna uncinata THORELL, 1856
雌雄2.5〜3.5mm,アシハグモに似る.旧北区に分布〔小野09〕.
カレハグモ Lathys annulata BOES. et STR., 1906
=mis. Lathys humilis (BLACKWALL, 1855)
=syn. Lathys annulata BOES. et STR., 1906
=syn. Lathys novembris DOEN. et STR., 1906 ルリカレハグモ
雌雄2〜2.5mm,平地から山地に広く生息.崖や岩の表面にある小さなくぼみに住居を作り,その前面に覆うようにボロ網を張る.都市部の庭園,神社,
寺院の境内などに生息し,石塀,石灯篭,太い樹木の表面などにも見ることできる〔新海06〕.成体は1年中,1.5mm〜2.5mm,本州・四国・九州.
石垣,岩場,樹皮面などに小さなボロ網をはり,その奥に潜む.都市部から山地まで広く分布している〔東海84〕.
樹上に生活するものが多いが,板塀などに住居を作っているものもある〔保育68〕.
杉の葉先等に不規則網をはる.落葉の中で越冬している〔山川・熊田79〕.
金華山では杉の木に多い〔大江AT40〕.
崖や岩にある小さな窪みを住居とし,その前面をおおうように幕状の網を張る.5月頃,球形の卵のうを住居の奥に置く.卵数は10個内外,卵粒は球形,淡赤
褐色〔中平AT23/24〕.
フタギカレハグモ Lathys dihamata PAIKI, 1979
雌雄2.mm,韓国で記載され,日本での記録は愛知県(緒方採集)〔小野09〕.
ヤマトカレハグモ Lathys maculosa (KARSCH, 1879)
=mis. Lathys puta (O. P.-CAMBRIDGE, 1863)
=syn. Lathys orientalis BOES. et STR., 1906 オトサガカレハグモ
=syn. Lathys ocellata BOES. et STR., 1906 キイロカレハグモ
雌雄2.0〜2.5mm〔小野09〕.樹皮や石垣,壁などに小さなボロ網をはる〔山川・熊田79〕.キイロカレハグモとされてきたが,正しくはヤマト
カレハグモ Lathys maculosa (KARSCH, 1879)である〔小野・水山K81〕.
シマカレハグモ Lathys insulana ONO, 2003
雌2.2〜2.4mm,雄1.9〜2mm,八重山諸島に分布.Lathys属ではない〔小野09〕
ムツメカレハグモ Lathys sexoculata SEO et SHON, 1984
雌2.1〜2.3mm,雄1.8〜2mm,平地から山地に生息.神社・寺院の林,樹林地の中,林道などの落葉・落枝の間,土の隙間や窪み,石の間,苔の
中などに小さなボロ網を張る.シフティングによりよく採集される〔新海06〕.厚木市不動尻で,8月(報文の月は誤植)に雌2.2mmが採集された〔小野
AT98/99〕.6眼のハグモである.雄2.00mm(5〜6月),雌(年中),神奈川県以西の本州及び韓国南部に分布〔小野.緒方AC42(2)〕.
埼玉県飯能市西吾野にて4月に木村知之が採集〔平松K73〕.Lathys属ではない〔小野09〕
ホラズミツリタナグモ Speleocicurina cavicola
1941年雌12mm,習性不明〔小松AC7(2)〕.
(造網性クモ類の系統を三大別し,ひとつをガケジグモ系統とする. A系列は?→カヤシマグモ→ガケジグモ→ハグモ.カヤシマグモからイワガネグモに分かれる系列もある. B系列は?→ウズグモ.オオギグモ.マネキグモ.メダマグモ. C系列は?→ボロアミグモ,チリグモ,スオウグモ〔新海AT66〕.
エゾガケジグモ Callobius hokkaido LEECH, 1971
=キハダガケジグモCallobius claustrarius (HAHN, 1931)
雌15〜20mm,雄5〜11mm,成体出現期7〜9月.平地から山地まで広く生息.崖地,岩場,石垣などの表面に大きなボロ網を張る.岩の割れ目,石
垣の隙間に管状住居を作り,その奥に潜む.夜間入口付近に来て獲物がかかるのを待つ.人家,納屋などの建物の周囲,林内の落葉上,樹木の根元にも造網〔新
海06〕.キハダガケジグモ(エゾガケジグモの誤同定)として,利尻島・沓形の海岸の石の間に棚状不規則網(ボロ網)を作り,ひそむ.草葉で網をふるわせ
ると出てくる〔熊田K44〕.
ナミハガケジグモ Cybaeopsis typica STRAND, 1907
雌8〜9mm,雄7〜8mm,成体出現期6〜8月.山地に生息.標高500〜1600mの渓流付近の石の間,崖地,岩場などにボロ網を張り,石の下や岩
の割れ目に管状住居を作って潜む.湿度の高い樹林地の樹皮面,苔の生えた倒木の表面などにも見られ,樹皮下に管状住居を作る〔新海06〕.ロシアの極東地
域にも分布〔小野09〕.
クロガケジグモ Ixeuticus robstus (L. KOCH, 1872)
=Badumna insignis (L. KOCH, 1872)
ウシオグモ科に転科〔谷川LIST〕
セスジガケジグモ Taira flavidorsalis (YAGINUMA, 1964)
=Amaurobius flavidorsalis YAGINUMA, 1964
雌6〜8mm,雄5〜7mm,山地に生息.サクラ,イチョウ,スギなどの大木の樹皮面に塗りつけるように大きなボロ網を張る.クモは樹皮の割れ目,隙間
に管状住居を作って潜む.人家,神社,寺院の周囲の壁や塀,石垣,崖地,岩場にも生息.平地ではあまり見られない.母グモは子グモに餌を与え保育をする
〔新海06〕.成体は7〜9月,雌雄6〜8mm,北海道・本州・四国・九州.木の表面,石垣,崖地でどのすき間に管状住居を作り,入口の上に大きな棚状不
規則網(ボロ網)をはりめぐらす.エゾガケジグモは石垣や岩場にいることが多い〔学研76〕.夜間,網の更新をする〔新海85〕.山間部に多く,局地的分
布の傾向を示す〔新海AC27S〕.
石垣や杉の樹皮,特に神社のしめ縄やツタ・カズラ類のまといついているところに潜み,ボロ網をはる.アリなどを網にかけると,すぐに捕えにでてくる.必ず
1本の足にかみつき,かなり強引に住居内に引っ張っていく.北方系のクモである〔山川・熊田79〕.
秩父では,産卵は7〜8月でふ化した子グモはしばらくの間,親のとらえた獲物を食べて成長する〔新海・原AT65〕.栃木県では平地に生息するが,埼玉・
山梨県では山地に生息する〔新海K29/32〕.
飼育下で6頭の2令幼体が1頭の半し目昆虫を協同捕獲,4令まで協同したが,餌不足でその後死亡〔鈴木勝K47〕.
ヤマトガケジグモ Nurscia albofasciata (STRAND, 1907)
=Titanoeca albofasciata STRAND, 1907
=syn. 1985年まではTitanoeca nipponica YAGINUMA, 1959
成体は5〜9月,雌6〜8mm,雄4〜6mm,成体出現期5〜9月.鉄道線路の敷石の間に最も多い.その他,河原の石の間,崖地,石垣などにボロ網を張
る.8〜9月にかけて石の下に黄色いドーム型の卵のうを作る〔新海06〕.国外ではロシア極東地域,中国,韓国から記録〔小野09〕.
産卵期は6〜9月,卵のうは黄白色の球形,雌雄5.5mm〜6.5mm,本州・四国・九州〔東海84〕.鉄道線路にしいてある石のすき間や石垣にボロ網を
はる.捕らえようとするとクモは下の方に逃げこむ.
腹部の白斑には変異が多い〔学研76〕.相模川岸では腹背の白斑は三対斑.二対斑.無対斑があった〔池田K62〕.無対斑.三対斑(斑の大小あり).四対
斑.六対斑あり〔八木沼86〕.三宅島で色彩変異があり,黒地に白い斑紋の個体はすべて雄成体だった〔高橋登K96〕.
網にかかって死んでいた虫はハエ,ハチ,ヤスデ,アリ,カメムシ,クモ〔中平92〕.
ネッタイガケジグモ Pandava laminata (THORELL, 1878)
=syn. ヤノガケジグモ Amaurobius yanonianus NAKATSUDI, 1943
=syn. ミナミガケジグモ Titanoeca fulmeki REIMOSER, 1927
雌雄6〜10mm,スリランカからニューギニアにかけて熱帯・亜熱帯に広く分布〔小野09〕.ヤノガケジグモはパラオ諸島テニアン島の1雌で記載〔小野
AC43(1)〕
Platnickの体系では,ヤチグモはすべてガケジグモ科 Amaurobiidaeに所属させている.しかし,新海栄一は篩板を重視する立場からヤチグモ類とガケジグモ類を峻別する. 生態的には網性とからんで篩板は重視される.ここでは篩板を持たないヤチグモ類とガケジグモ類を分けておく.篩板を重視する立場からはチリグモとヒラタグ モ,コタナグモとハグモも分類しなくてはならない.検討中〔池田2008〕.
オオアナヤチグモ Alloclubionoides grandivulva (YAGINUMA, 1969)
雌16〜17mm,雄は未知,長崎県対馬〔小野09〕.
ノウゴウクロヤチグモ Coelotes albimontanus NISHIKAWA, 2009
雌雄8〜11mm,岐阜県〔小野09〕.
アマミヤチグモ Coelotes amamiensis SHIMOJANA, 1989
雄7.5〜9mm,雌6〜9mm,森林から林内および平地の崖に多く見られるが,石灰洞口地周辺にも生息.成体は11月〜5月,産卵回数4〜7回,産卵
数は6〜51個/回,84〜179個/個体である.卵のう表面にはオキナワヤチグモ同様に土粒を付着させカムフラージュする.奄美諸島からトカラ列島にか
けて分布〔小野09〕
アグニヤチグモ Coelotes aguniensis SHIMOJANA, 2000
雄7.1〜8.8mm,雌7.3〜8.9mm,粟国島.1982年11月28日採集〔下謝名AC49(2)〕.成体は12月〜5月,産卵期は2月上旬
〜4月下旬,産卵回数1〜7回,産卵数は7〜60個/回,42〜144個/個体である〔小野09〕
ホラズミヤチグモ Coelotes antri (KOMATSU, 1961)
雌10〜13mm雄7〜10mm,成体出現期10〜6月.山地に生息.崖地に棲息し,鍾乳洞の入口付近には特に多い.網は5〜6cmの小さなものか
ら,20〜30cmみ達する大きな網まで様々〔新海06〕.体長8〜9mm.湿った岩場,崖地に生息し,鐘乳洞の入口付近には特に多い.岩や土の隙間に管
状住居を作り,入口から大きな棚網を張る(最広部20〜30cm).
岩かどに作られたものは管状住居と棚網部が一緒になったような複雑な網を張る(C. insidiosusの網と全く同じである).
産地は五日市町養沢・奥多摩町日原・倉沢・御岳山〔新海77〕.
湿った崖地にシート状の網を張る〔山川・熊田79〕.
1966年9月15日,亜成体雄palpの異常発育個体を垂水採集〔八木沼AC20(1)〕.
アカキナヤチグモ Coelotes akakinaensis SHIMOJANA, 2000
雌8.2〜10.0mm,奄美大島赤木菜.1997年10月14日採集〔下謝名AC49(2)〕.森林の崖に生息〔小野09〕.
アリタヤチグモ Coelotes aritai NISHIKAWA, 2009
雌雄6.5〜9.5mm,兵庫・岡山・広島・鳥取県〔小野09〕.
フタマタヤチグモ Coelotes bifurcatus OKUMURA et ONO, 2006
長崎県平戸島2005年11月13日雄10mmを正摸式標本に記載,雌同日同地13.4mm.長崎県.福岡県.佐賀県に分布〔奥村・小野
AC55(1)〕.
オウドウヤチグモ Coelotes cornutus NISHIKAWA, 2009
雌雄10〜11mm,高知県〔小野09〕.
ウスイロヤチグモ Coelotes decolor NISHIKAWA, 1973
雌8〜11mm,雄8〜9.5mm.東北から九州まで〔小野09〕.本州(東京・群馬・近畿・中国)で採集〔新海77〕.
ノムギクロヤチグモ Coelotes doii NISHIKAWA, 2009
雄8.5〜12mm,雌は未知,岐阜県〔小野09〕.
ガギュウクロヤチグモ Coelotes dormans NISHIKAWA, 2009
雌15〜16mm,岡山県〔小野09〕.
エナクロヤチグモ Coelotes enasanus NISHIKAWA, 2009
雄9〜12mm,雌は未知,岐阜県〔小野09〕.
ホソテヤチグモ Coelotes exilis NISHIKAWA, 2009
雄8〜8.5mm,雌は未知.屋久島〔小野09〕.
ヤチグモ Coelotes exitialis L. KOCH, 1878
雌13〜15mm,雄8〜10mm,里地から山地にかけて生息.崖地や岩場の割れ目,隙間に管状住居を作り,入口には漏斗網と呼ばれる小さな棚網を張
る.管状住居は隙間にトンネルのように長く造られており,20〜30cm離れた場所につながっているものもある〔新海06〕.成体は1年
中,9〜15mm,本州・四国・九州.崖地,岩場の割れ目に管状住居を作り入口に小さな棚網を張る〔東海84〕.
神奈川県大山にてヤチグモを採集〔植村AC1(1)〕.
雌成体は初春と夏,雄成体は夏のみ.卵のうは4.7月に,ふ化卵のうは6月に観察された.
雌雄を問わず,キカマキリモドキ1齢幼虫がしがみつく.卵のう寄生である.
ヒメカマキリモドキ幼虫はより小形のクモにつりつく.
2種のカマキリモドキで18科のクモに寄生した〔平田AC48(2)と私信〕.
5月15日に産卵.産室をつくり,親グモが保護.出嚢までは25日,まどいの期間も親と同居する〔山本一幸,いと3〕.
西川は和名にクロヤチグモを提唱したが不適当〔新海06〕.
未記載種も含め,近似の別種が多数存在する〔小野09〕.
ギフヤチグモ Coelotes gifuensis NISHIKAWA, 2009
雌雄8.5〜11mm,石川・福井・岐阜・愛知.静岡県〔小野09〕.
ゴトウヤチグモ Coelotes gotoensis OKUMURA, 2007
長崎県五島列島産の雌雄,雄10.7mm,雌12.1mm(2005年2月6日奥村採集)で記載〔奥村AC56(2)〕.
ハチジョウヤチグモ Coelotes hachijoensis ONO, 2008
雌7〜13mm,雄5.5〜6mm,林内のほか,地表の明るい場所にも生育.八丈島に分布〔小野09〕.
フタバヤチグモ Coelotes hamamurai YAGINUMA, 1967
雌10〜11mm,雄7〜8mm.東北・関東・東海地方〔小野09〕.本州(中部・関東・東北)に分布〔新海77〕.中川・札掛で採集〔山川・熊田
79〕.自然環境指標種Aランク〔新海98〕.
ハタヤチグモ Coelotes hataensis NISHIKAWA, 2009
雌雄8〜10mm,高知県〔小野09〕.
ウロヤチグモ Coelotes hexommatus (KOMATSU, 1957)
雌雄6.5〜7mm,前中眼を欠き6眼,長野県の洞窟〔小野09〕.
ヒコネクロヤチグモ Coelotes hikonensis NISHIKAWA, 2009
雌13〜14mm,雄11.5〜13mm.岐阜県西部〔小野09〕.
ヒラドヤチグモ Coelotes hiradoensis OKUMURA et ONO, 2006
長崎県平戸島2005年11月13日雄6.3mmを正摸式標本に記載,雌同日同地5.7mm.長崎県平戸に分布〔奥村・小野AC55(1)〕.
コヤチグモ Coelotes hiratsukai ARITA, 1976
雌雄5.5〜6mm,中国・四国・九州〔小野09〕.
ヒルゼンクロヤチグモ Coelotes hiruzenensis NISHIKAWA, 2009
雌9〜13mm,岡山県・鳥取県〔小野09〕.
コンゴウヤチグモ Coelotes hiurai NISHIKAWA, 2009
雌雄5.5〜8mm,大阪府・奈良県〔小野09〕.
イブキヤチグモ Coelotes ibukiensis NISHIKAWA, 2009
雌雄5.5〜6mm,滋賀県標高1000m以上〔小野09〕.
ミナミヒメヤチグモ Coelotes iharai OKUMURA, 2007
雌5〜6.5mm,雄5〜6mm〔小野09〕.宮崎県高原・霧島東神社産の雄5.1mm(2006年10月14日奥村採),鹿児島県クリノ山産雌
5.2mm(2006年10月12日奥村採集)で記載,鹿児島・熊本・宮崎に分布〔奥村AC56(2)〕.
イヘヤヤチグモ Coelotes iheyaensis SHIMOJANA, 2000
雄6.4〜7.5mm,雌7.0〜7.4mm,伊平屋島.1983年10月20日採集〔下謝名AC49(2)〕.
イキヤチグモ Coelotes ikiensis NISHIKAWA, 2009
雌雄5〜6mm.長崎県(壱岐島)〔小野09〕.
イナバヤチグモ Coelotes inabaensis ARITA, 1974
雌雄4〜5mm,鳥取・岡山・兵庫県〔小野09〕.
シマヤチグモ Coelotes insulanus SHIMOJANA, 2000
雌13.4mm,奄美大島スミヨ村.1982年1月30日採集〔下謝名AC49(2)〕.森林の崖に生息〔小野09〕.
エヒメヤチグモ Coelotes iyoensis NISHIKAWA, 2009
雄10〜10.5mm,雌は未知,愛媛県〔小野09〕.
イゼナヤチグモ Coelotes izenaensis SHIMOJANA, 2000
雄9.8〜11.7mm,雌8.7〜12.0mm,伊是名島.1997年11月16日採集〔下謝名AC49(2)〕.森林のリター,腐木や崖に生息.成
体は11〜5月,産卵期は2月中旬〜4月中旬,産卵回数は2〜3回,産卵数は10〜126個/回,76〜174個/個体.初回の産卵数は2回目の倍以上.
産卵室内で行なう〔小野09〕.
カガクロヤチグモ Coelotes kagaensis NISHIKAWA, 2009
雌雄8〜11mm,石川県〔小野09〕.
カケロマヤチグモ Coelotes kakeromaensis SHIMOJANA, 2000
雌6.1〜7.3mm,奄美のカケロマ島.1998年3月6日採集〔下謝名AC49(2)〕.産卵期は3月〜4月,産卵回数4〜5回,産卵数は7〜19
個/回,33〜60個/個体である〔小野09〕
エジマヤチグモ Coelotes katsurai NISHIKAWA, 2009
雌雄7〜10mm,兵庫県家島〔小野09〕.
オオタケヤチグモ Coelotes kumejimanus SHIMOJANA, 2000
雌10.5〜12.4mm,大岳・久米島.1998年12月13日採集〔下謝名AC49(2)〕.成体は11〜6月.久米島固有種〔小野09〕.
クメヤチグモ Coelotes kumensis SHIMOJANA, 1989
雌6.5〜9mm,雄6.5〜8mm,森林や林の崖に生息し,成体は11月〜4月,産卵期は2月中旬〜4月中旬,産卵回数は6回,産卵数は7〜38個/
回,25〜141個/個体である〔小野09〕.
ケラマヤチグモ Coelotes keramaensis SHIMOJANA, 2000
雄6.2〜8.1mm,雌7.0〜7.4mm,渡嘉敷島・慶良間諸島.1983年10月18日採集〔下謝名AC49(2)〕.琉球列島産ヤチグモ25種
のうち14種でアイソザイム分析をした結果,7系統7種群に分けられた〔下謝名ほかAC50(2)〕.成体は11月〜4月,産卵期は1月〜4月,産卵回数
1〜7回,産卵数は6〜22個/回,37〜91個/個体である〔小野09〕
マサカリヤチグモ Coelotes kintaroi NISHIKAWA, 1983
雌8.5〜9mm,雄8〜8.5mm,青森・秋田・山形・新潟・福島県〔小野09〕.
アズマヤチグモ Coelotes kitazawai YAGINUMA, 1972
雌雄8〜11mm,平地から山地まで広く生息.下草の根元付近,落葉下,草間の石や倒木の下などに管状住居を作り,入口に小さな棚網を張る.クモは住居
の入口に静止し,網に獲物が落ちると,飛び出して行って捕え,住居の中に引き込む〔新海06〕.成体は1年中,8〜9mm,本州.草間の地表近くに管状住
居を作り,入口に棚網を張る〔東海84〕.
ウスマクヤチグモ Coelotes lamellatus NISHIKAWA, 2009
雌雄6〜7mm,群馬県〔小野09〕.
ミカドヤチグモ Coelotes micado STRAND, 1907
雌雄8.5〜11.5mm,本州から九州地方に分布〔小野09〕.Coelotes mollendorffi
(KARSCH)として,地上の石下等に漏斗状の巣を作る.黄褐色で体長15mm以上,1月積雪の下から雌成体を採集〔植村AT5〕.
ミノブクロヤチグモ Coelotes minobusanus NISHIKAWA, 2009
雌雄11〜14mm,静岡県〔小野09〕.
ミノクロヤチグモ Coelotes minoensis NISHIKAWA, 2009
雌雄12〜16mm,岐阜県南部〔小野09〕.
ミヤコヤチグモ Coelotes
miyakoensis SHIMOJANA, 2000
雄6.7〜7.8mm,雌7.8〜9.4mm,宮古島.1984年11月22日採集〔下謝名AC49(2)〕.成体は11月〜4月,産卵期は12月上旬
〜4月中旬,産卵回数1〜4回,産卵数は11〜26個/回,51〜90個/個体である〔小野09〕
イヨヤチグモ Coelotes mohrii NISHIKAWA, 2009
雌10〜11mm,雄は未知,愛媛県〔小野09〕.
モトブヤチグモ Coelotes motobuensis SHIMOJANA, 2000
雄5.0〜5.9mm,雌6.5〜7.5mm,沖縄島本部半島.1998年11月29日採集〔下謝名AC49(2)〕.成体は12月〜4月,産卵期は2
月中旬〜4月中旬,産卵回数4〜7回,産卵数は3〜25個/回,35〜104個/個体である〔小野09〕.
ムサシヤチグモ Coelotes musashiensis NISHIKAWA, 1989
雌9〜10mm,雄6〜8.5mm,関東地方とその周辺〔小野09〕.
ナガラヤチグモ Coelotes nagaraensis NISHIKAWA, 2009
雌雄6〜7mm,岐阜・愛知県〔小野09〕.
ナセヤチグモ Coelotes nasensis SHIMOJANA, 2000
雌7.7〜12.0mm,雄は未知,奄美大島名瀬市.1982年2月5日採集〔下謝名AC49(2)〕.森林の崖に生息〔小野09〕.
ナズナヤチグモ Coelotes nazuna NISHIKAWA, 2009
雌6〜6.5mm,雄は未知,鳥取県〔小野09〕.
ノトヤチグモ Coelotes notoensis NISHIKAWA, 2009
雌雄8.5〜9mm,石川県〔小野09〕.
オバコヤチグモ Coelotes obako NISHIKAWA, 1983
雌雄5〜6mm,青森・秋田・山形県〔小野09〕.
オキナワヤチグモ Coelotes okinawensis SHIMOJANA, 1989
成体は**〔下謝名AC〕.飼育による生活史.脱皮は頭部前端の裂かに始まり,
頭胸部へと続き,歩脚,糸疣の離脱で終了する.
脱皮後の幼体は脱皮殻内の水分を吸水する.雄の脱皮回数は8〜9回,雌の脱皮回数は9〜10回で成熟,7回目脱皮までは約20日間間隔で脱皮する,亜成体
期間は長い,成体後脱皮はしない〔松田祐紀・下謝名AC51(2)〕.成体は11月〜5月,産卵期は1月上旬〜4月下旬,産卵回数4〜7回,産卵数は
8〜51個/回,95〜215個/個体である〔小野09〕
ヤクシマヤチグモ Coelotes osamui NISHIKAWA, 2009
雄7〜7.5mm,雌は未知.屋久島〔小野09〕.
オオシマヤチグモ Coelotes oshimaensis SHIMOJANA, 2000
雄7.6〜11.4mm,雌8.0〜12.2mm,奄美大島赤木菜.1997年11月2日採集〔下謝名AC49(2)〕.奄美大島ではシイ林に生息,悪
石島・諏訪之瀬島ではリュウキュウチク林の崖に生息.成体は11〜4月下旬,産卵回数は2回,初回の産卵数は100個内外〔小野09〕.
カメンヤチグモ Coelotes personatus NISHIKAWA, 1973
雌12〜15mm,雄11〜14mm,中部地方以西〔小野09〕.
イブキクロヤチグモ Coelotes robustior NISHIKAWA, 2009
雌12〜16mm,岐阜県西部〔小野09〕.
ミクサヤチグモ Coelotes sawadai NISHIKAWA, 2009
雌6〜8mm,雄5〜6mm.京都・兵庫・鳥取・岡山県〔小野09〕.
トサノヤチグモ Coelotes sanoi NISHIKAWA, 2009
雌13〜14mm,雄未知.高知県〔小野09〕.
シマジリヤチグモ Coelotes shimajiriensis SHIMOJANA, 2000
雄3.8〜5.4mm,雌4.9〜5.0mm,沖縄島嶋尻.1984年1月19日採集〔下謝名AC49(2)〕.琉球石灰岩地域林内の石の下に生息〔小
野09〕.
スルガクロヤチグモ Coelotes suruga NISHIKAWA, 2009
雌雄10〜15mm,静岡県〔小野09〕.
ヒメヤチグモ Coelotes tarumii ARITA, 1976
雌5.5〜6.5mm,雄5.5〜6mm.近畿から九州北部〔小野09〕.
タカナワヤチグモ Coelotes takanawaensis NISHIKAWA, 2009
雌雄8.5〜10mm,愛媛県〔小野09〕.
ミツイシヤチグモ Coelotes taurus NISHIKAWA, 2009
雌雄4.5〜6mm,大阪・和歌山・滋賀・奈良・愛知県〔小野09〕.
トチギクロヤチグモ Coelotes tochigiensis NISHIKAWA, 2009
雌11〜13mm,雄は未知,栃木県〔小野09〕.
トクノシマヤチグモ Coelotes tokunoshimaensis SHIMOJANA, 2000
雌9.5mm,徳之島.1998年3月3日採集〔下謝名AC49(2)〕.シイ林の崖に生息〔小野09〕.
アカボシヤチグモ Coelotes tominagai NISHIKAWA, 2009
雌雄8〜9mm,愛媛県〔小野09〕.
トナキヤチグモ Coelotes
tonakiensis SHIMOJANA, 2000
雄7.5mm,雌7.2mm,渡名喜島,1983年10月22日採集〔下謝名AC49(2)〕.林や草地の崖に生息〔小野09〕.
トカラヤチグモ Coelotes tokaraensis SHIMOJANA, 2000
雄7.7〜11.3mm,雌7.7〜10.6mm,トカラ列島中ノ島.1985年11月15日採集〔下謝名AC49(2)〕.森林の崖やリュウキュウチク林の崖に生息.
成体は11〜4月,産卵時期は2〜5月,産卵回数は1〜3回,産卵数は48〜167個/回,70〜246個/個体である〔小野09〕
トウワヤチグモ Coelotes towaensis NISHIKAWA, 2009
雌14mm,雄未知,高知県〔小野09〕.
オキナワホラアナヤチグモ Coelotes troglocaecus SHIMOJANA et NISHIHIRA, 2000
雌5〜8mm,雄は未知,無眼,真洞窟性.中部以北の琉球石灰岩洞内に生息〔小野09〕.
ウエノヤチグモ Coelotes uenoi YAMAGUCHI et YAGINUMA, 1971
雌10.5〜11mm,雄は未知.長崎県五島列島福江島の溶岩洞〔小野09〕.
サイゴクヤチグモ Coelotes unicatus YAGINUMA, 1977
雌9.5〜13.5mm,雄10〜12mm.中国〜九州地方〔小野09〕.
シガクロヤチグモ Coelotes uozumii NISHIKAWA, 2002
雌雄10〜11mm,長野県志賀高原〔小野09〕.
ヤハギヤチグモ Coelotes yahagiensis NISHIKAWA, 2009
雌雄5.5〜7mm,愛知県〔小野09〕.
カミガタヤチグモ Coelotes yaginumai NISHIKAWA, 1972
雌8〜10mm,雄7〜9mm,成体出現期10〜5月,平地から山地にかけて生息.樹林地の崖や岩の隙間,割れ目に管状住居を作り,入口に小さな棚網を
張る.下草の根元から地中にかけても生息する〔新海06〕.3月28日に大阪府茨木市で採集した雌亜成体腹部から幼虫が出て,ハセガワセダカコガシラアア
ブ Oligoneura hasegawai SCHULINGER であった〔西川AT91〕.
ヤンバルヤチグモ Coelotes yambaruensis SHIMOJANA, 2000
雄9.4〜10.3mm,雌8.9〜11.2mm,沖縄島国頭村西目.1999年11月7日採集〔下謝名AC49(2)〕.森林,特にシイ林の地表の落
ち葉層の中や腐木内および崖に生息.成体は11〜5月.沖縄島の固有種で北部の西銘岳周辺で見られる〔小野09〕.
ヨドヤチグモ Coelotes yodoensis NISHIKAWA, 1977
雌6〜8mm,雄5〜7mm,京都・大阪・兵庫・三重県〔小野09〕.5〜8mm,京都・大阪に分布.箕面(大阪)で記載〔西川AC27S〕.
ザオウクロヤチグモ Coelotes zaoensis NISHIKAWA, 2009
雄9〜12mm,雌は未知.山形県〔小野09〕.
デベソヤチグモ Hypocoelotes tumidivulva (NISHIKAWA, 1980)
雌6〜7mm,雄5〜6mm,デベソヤチグモ属を西川が設置し,これに転属した.中部地方北部から近畿地方北部に分布〔小野09〕.
アッコヒメシモフリヤチグモ Iwogumoa acco (NISHIKWA, 1987)
雌6.5〜10mm,雄7〜9mm,千葉県の廃坑から〔小野09〕.
シモフリヤチグモ Iwogumoa insidiosa (L. KOCH, 1878)
=Iwogumoa insidiosus
=Coelotes insidiosa L. KOCH, 1878
雌12〜15mm,雄8〜13mm,メガネヤチグモ同様,人家,倉庫,神社,寺院の周囲,壁や塀の隅,植木鉢の下,公園や庭園のトイレ,ベンチの下,マ
ンホールや側溝の隅などに管状住居を作り,入口に小さな棚網を張る.網は管状住居と一体となり,全体が複雑な網のように見える.メガネヤチグモと同じ場所
に生息し,大きさや班紋も似ている〔新海06〕.成体は1年中,8〜12mm,北海道・本州・四国・九州.メガネヤチグモと同じ習性.似た別種が多い〔東海84〕.
床下や庭先に放置した石の下,積んだ薪の地面に接する所などにトンネル状の住居を有する棚網を張る.幼生ないし亜成体で越冬,亜成体は5月中旬
頃,住居部に1〜2個の卵のうを置く〔中平AT23/24〕.
1月樹皮下で雌成体を採集〔植村AT5〕.12月に熊本で雄成体を採集〔木庭AT19〕.
後牙堤歯数に変異が多い〔奥村AC58(2)〕.産卵回数は4〜6回,産卵数は17〜59個/回,147〜306個/個体である.
トカラ海峡以南の琉球列島での分布は確認されていない〔小野09〕
都市環境指標種〔新海98〕.
ヒメシモフリヤチグモ Iwogumoa interuna (NISHIKWA, 1977)
=Coelotes interunus NISHIKWA, 1977
雄6.2mm,雌7.2mm,北海道・本州に分布.箕面(大阪)で記載〔西川AC27S〕.後牙堤歯数に変異が多い〔奥村AC58(2)〕.
ナガサキシモフリヤチグモ Iwogumoa nagasakiensis OKUMURA, 2007
雌雄6〜9mm〔小野09〕.長崎県平戸島ヤスマン岳産雄6.4mm(2005年11月13日奥村採),
雌7.9mm(同日同地)で記載,長崎県に分布〔奥村AC56(2)〕.
ミナトシモフリヤチグモ Iwogumoa portus NISHIKAWA, 2009
雌雄12〜13mm,大阪・山口・東京・千葉から記録〔小野09〕.
ヤエヤマヤチグモ Iwogumoa yaeyamensis (SHIMOJANA, 1982)
=Coelotes yaeyamensis SHIMOJANA, 1982
雌5〜6.5mm,雄6mm,洞口周辺から森林や崖に生息.成体は11月〜5月.産卵期は12月下旬から4月中旬,産卵回数1〜3回,産卵数は
10〜27個/回,51〜96個/個体である.八重山諸島の固有種〔小野09〕.成体は10月,雌8.6mm,雄6.1mm,八重山諸島・沖縄.森林内の
落葉層や朽木,石の下で採集される〔下謝名AC30(2)〕.
センカクヤチグモ Longicoelotes senkakuensis (SHIMOJANA, 2000)
=Coelotes senkakuensis SHIMOJANA, 20001
雌9.0〜9.5mm,雄は未知.森林の地表の落葉層の中に生息.尖閣諸島の固有種〔小野09〕.雌9.4mm,魚釣島(尖閣列島).1971年4月5
日採集〔下謝名AC49(2)〕.
チュウブヤチグモ Orumcekia satoi NISHIKAWA, 2003
雌9〜10mm,雄8〜9mm.中部・東海地方に分布〔小野09〕.
メガネヤチグモ Pireneitega luctuosa (L. KOCH, 1878)
=Coelotes luctuosus (L. KOCH, 1878)
雌12〜15mm,雄11〜13mm,人家,倉庫,神社,寺院など建造物の周囲,壁の隅,板のつぎ目,隙間,塀の隅,窓枠の隅,植木鉢の下,石垣の隙間
などに管状住居を作り,入口に小さな棚網を張る.都市型のクモで,公園や庭園などに多く,山地や樹林地にはほとんど見られない.母グモは子グモに餌を与え
保育する〔新海06〕.成体は1年中,11〜15mm,北海道・本州・四国・九州.家の周囲,石垣,崖地などに管状住居を作り,入口周辺に小さな棚網を張
り出す(漏斗網とよばれる)〔東海84〕.
冬でも成体または亜成体を採集できる(カキネグモ T. corasides)〔植村AT5〕.
長野県にて初夏ふ化した子グモは母グモの巣内あるいは独立生活により7mm程に発育し,越冬して翌年は独立,秋または翌年早春に成熟して交接する.雄は雌
を探して徘徊する.
からみあいが数回繰り返された後,雌は脚をちぢめてうずくまる.
雄は雌の径節をくわえて暗所に運ぶ.雄は雌をくわえたままハンモック状の簡単な網を張り,交接する.腹面を向かい合わせ頭部を互い違いに交叉する.
ふ化した当年や翌年春は漏斗網だが,3年目の成体雌網は網の上方部の発達が悪く,下方に垂れて舌店網となる.歩行中の節足動物が触れると飛び出て力まかせ
にくわえこむ.
母グモは5月下旬より産卵,卵のうは径1cm程の碁石形で表裏2枚の白布に包まれ,淡黄色18〜50卵を含む.管壁を破りその奥に夜間より朝にかけて産
卵,穴は閉じられる.初秋まで数回(7,8回)産卵するが,3回以降の卵は若グモに卵のうの上から液汁を吸飲されて自然界ではふ化しない.
ふ化まで約1ケ月.脱皮しても母グモの巣内に留まる個体がある.母グモは自分の子を攻撃しない.母グモのかみくだいた餌に群がって食べる時もある.子グモ
同士は敵対しないが相互に協力もしない〔小松AC7(1)〕.
2月下旬および4月上旬に採集した雌が産卵,捕獲した餌を子グモに与える.
徐々に分散してゆくが,1ケ月以上の同居で最高4回脱皮した〔谷川・堀由起子AT90〕.
飼育中に4回産卵.卵数は32〜59個.合計175個だった.卵食はなかった.母グモは餌に噛み付き,餌が動かなくなるとそのまま放置.
糸をひきながら興奮したように歩き回る.子グモはそれに反応するようだ.協力しての餌捕獲はなかった.
母グモは結局子グモに食べられた.子グモは母グモの住居内で約1か月間集団生活しやがて分散した〔小笠原幸恵,しのび23〕.
11月下旬に行った実験で,雄の求愛行動は以下の通り,
探索,接近,@ドラミング,A脈動,B体叩き,C抱き上げ,D網上徘徊,Eマウンティング,
F抱きおこし,G身づくろい,H挿入,I移精,分離.求愛から分離までは2時間,または22時間40分であった.
なお,最終脱皮後すぐには雌は交尾しない.交尾はO-DV型,雄は雌の住居内で交尾後雌をガードした.
雌は複数の雄と交尾可能だったが,交尾後一定期間(10〜11日間)が経過すると,雄の求愛を拒否する.
雄同士が組み打ちになる闘争が見られ,より大きい雄が勝った〔中山美和・池田・稲葉AT98/99〕.
都市環境指標種〔新海98〕.
ウルマヤチグモ Spiricoelotes urumensis (SHIMOJANA, 1989)
雌6.5〜10.0mm,雄6.0〜11.5mm.主に石灰洞内に生息.森林の腐木や人工洞内にも見られる.成体は12月〜5月,産卵期は2月下旬〜5
月中旬,1〜5回産卵,産卵数は16〜47個/回,86〜153個/個体である.八重山諸島固有種〔小野09〕.
グラバーヤチグモ Spiricoelotes zonatus (PENG et WANG, 1997)
雌5.5〜6.9mm,雄6.8〜8.5mm.中国島東南部が原産だが,明治から昭和初期に日本へ移入した帰化種.長崎のグラバー園内の人工洞にのみ産
する〔小野09〕.
エチゴヤマヤチグモ Tegecoelotes echigonis NISHIKAWA, 2009
雌7.5〜10mm,雄6.5〜9.5mm,山形・新潟・栃木県〔小野09〕.
アキタヤチグモ Tegecoelotes erraticus (NISHIKAWA, 1983)
雌8.5〜9mm,雄7〜8mm,北海道から東北地方に分布〔小野09〕.
ヤマヤチグモ Tegecoelotes corasides (BOES. et STR., 1906)
=Coelotes corasides (BOES. et STR., 1906)
雌10〜13mm,雄10〜11mm.里地から山地に生息.草間,樹木の葉上,崖地などにクサグモと同じ棚網を張り,網の奥の割れ目に管状住居を造る
〔新海06〕.成体は8〜11月,9〜13mm,北海道・本州・四国・九州.草間,樹葉上,崖地などにクサグモと同じ棚網を張る.似た別種が多い〔東海
84〕.
北アルプス(蝶ケ岳・常念岳・燕岳)では近似種が垂直にすみわけている.ヤマヤチグモは海抜700〜1000m,ヒメヤマヤチグモ(仮称.小型である)は
1000〜1400m,シナノヤマヤチグモ(仮称.中型である.雄触肢膝節が長大)は1400〜1800mに住む.ヤマヤチに比べて近似種は主として草間に住む.
幼生期は草木の根元や広い葉の表面にシート状の網を張って捕食し,成体近くなると草間に棚網を張る.
秋に成熟すると枯葉を巻いて住居を作り,雌雄同棲生活を始める〔千国AT70〕.
カンスゲに年間をつうじて生息する.冬期,カンスゲの根元に落葉などを丸めて,その中で過す〔加藤AT83〕.1月,樹皮下で雌成体を採集(イホグモ
Coelotes
luctuosus)〔植村AT5〕.網の形状にクサグモ型とヤチグモ型の2種類あり(新海1969),2種を1種としている可能性あり〔新海
K29/32〕.
ヒメヤマヤチグモ Tegecoelotes michikoae (NISHIKAWA, 1977)
=Coelotes michikoae NISHIKAWA, 1977
雌9〜10mm,雄7〜8mm,中部地方から中国・四国地方に分布〔小野09〕.7〜11mm,箕面(大阪)で記載.本州・四国に分布〔西川
AC27S〕.
ヒタチヤマヤチグモ Tegecoelotes mizuyamae ONO, 2008
雌7.5〜11mm,雄6〜10mm,茨城県に分布〔小野09〕.
カタチガイヤチグモ Tegecoelotes ignotus (BOES. et STR., 1906)
=Agelena ignota BOES. et STR., 1906
=Tegenaria muscicapa BOES. et STR., 1906
雌雄7〜9mm,長崎・佐賀・福岡県〔小野09〕長崎県・佐賀県から記録,ignotaは雌のみが記載され,muscicapaは雄のみが記載されてい
た.これらは同種の雌雄と判断した.雄11〜3月,雌11月〜2月.長崎県.佐賀県に分布〔奥村・小野AC55(1)〕.
ウエノヤマヤチグモ Tegecoelotes otomo NISHIKAWA, 2009
雌13〜14mm,雄10〜11mm,群馬県〔小野09〕.
イナムラヤマヤチグモ Tegecoelotes religiosus NISHIKAWA, 2009
雌6〜7mm,雄5〜6mm,奈良県〔小野09〕.
タテヤマヤマヤチグモ Tegecoelotes tateyamaensis NISHIKAWA, 2009
雌8〜10mm,雄7〜8mm,岐阜・富山・石川県〔小野09〕.
ヨゴヤマヤチグモ Tegecoelotes yogoensis NISHIKAWA, 2009
雌雄6.5〜8mm,滋賀県〔小野09〕.
ナガイヅツグモ Anyphaena ayshides YAGINUMA, 1958
雌7〜9mm,雄6.5〜7.5mm.成体出現期6〜8月.平地から山地に生息.個体数は少ない.樹林地の中とその周辺,林道などの樹木の枝葉間,樹皮
面,草の葉上や花の間を歩き回って接近する小昆虫を捕える.
イヅツグモに比べて針葉樹への依存度は少ない〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌7〜8mm,雄6.5〜7mm,北海道・本州・四国・九州.
樹木の枝や葉上を徘徊する〔東海84〕.日本固有種〔小野09〕.
外見が酷似している別種あり〔千国AT87〕.
自然環境指標種Aランク〔新海98〕.
イヅツグモ Anyphaena pugil KARSCH, 1879
雌6〜7mm,雄5〜6mm.成体出現期10〜6月.里山から山地に生息.樹林地の中とその周辺,林道などの樹木の枝葉間.草の葉上を歩き回って接近す
る小昆虫を捕える.特に針葉樹に多く生息し,
スギの葉先などに袋状住居を作り,産卵もそこで行う.冬季はスギ・ヒノキの樹皮下で越冬する〔新海06〕.
落葉の中,草間の地表付近に見られる〔新海06〕.成体は4〜6月,雌6〜7mm,雄5〜6mm,全土.木の葉や草間を徘徊する.
針葉樹に特に多く,冬期はスギの樹皮下に袋状住居を作り越冬する〔東海84〕.
国外では韓国から記録がある〔小野09〕.
クモ卵で染色体を調査,2n=26(雄)および28(雌),XXO型,雄の配偶子n=12および14〔松本AC27S〕.
1997年6月1日と1999年531日月に出のうした幼体を飼育,雌雄とも8回脱皮し10月下旬に成体.
5月中旬から卵のう保持雌を飼育,出のう数は平均62頭(N=11)〔宮下和K79〕.
千葉県内のスギのワラ巻き調査の優占種〔浅間AC55(2)〕.
自然環境指標種Aランク〔新海98〕.
アメリカヤブグモ Hibana gracilis (HENTZ, 1847)
Peelle & Saito (1932) が千島から報じたが,ワシグモ科のクモの誤同定でファウナから抹消〔小野09〕.
チシマヤブグモ Anyphaena kurilensis Peelle et Saito, 1932
Peelle & Saito(1932)が千島から報じたが,フクログモ科のクモと推測〔小野09〕.
コマチグモ属 Chiracanthium=Cheiracanthium
属名はその経緯からCheiracanthiumという表記も認められる〔小野09〕.
ムナアカコマチグモ Chiracanthium digitivorum DOEN. et STR., 1906
ヤマトコマチグモの異名〔小野09〕.伊豆大島で採集〔新海69〕.
属名はその経緯からCheiracanthiumという表記も認められる〔小野09〕.
アカスジコマチグモ Chiracanthium erraticum (WALCK., 1802)
雌7〜9mm,雄5〜7mm.成体出現期7〜8月.平地から山地に生息.
草原,河原,池や沼の周辺,樹林地の周辺,林道などの草間,低木の枝葉間に見られる.
昼間は草や木の葉を数枚集めて住居を作りその中に潜む.夜間歩き回って昆虫を捕える〔新海06〕.
成体は7〜8月,雌7〜9mm,雄5〜7mm,北海道.草間,葉間に生息,葉を数枚集めて住居を作る〔東海84〕.
石川県,長野県根子岳の山腹で7月雌成体を採集〔谷川・堀K55〕.旧北区に広く分布〔小野09〕.
属名はその経緯からCheiracanthiumという表記も認められる〔小野09〕.
アシナガコマチグモ Chiracanthium eutittha BOES. et STR., 1906
雌11〜14mm,雄9〜11mm.成体出現期6〜8月.平地から山地に生息.草原,河原,樹林地の周辺,林道などの草間,樹木の枝葉間に見られる.
昼間はススキの葉を巻いたり,広葉樹の葉を数枚集めて住居を作りその中に潜む.夜間歩き回って昆虫や小動物を捕える.
産卵期にはススキの葉をちまき状に丁寧に巻いて産室を作り,その中で産卵する〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌11〜14mm,雄9〜11mm,本州・四国・九州・南西諸島.ススキや木の葉に住居を作る〔東海84〕.韓国と台湾からも知られる
〔小野09〕.
6月頃,広葉樹の葉を2〜3枚ひき寄せて綴り,或いは笹の葉を折りまげて産室とし,自身もとじこもって卵のうを守る〔中平AT23/24〕.
咬まれた場合,痛みは30分位で収まった〔谷川K66〕.
属名はその経緯からCheiracanthiumという表記も認められる〔小野09〕.
カバキコマチグモ Chiracanthium japonicum BOES. et STR., 1906
=エドコマチグモ Chiracanthium rubicundulum KISHIDA, 1933
=ヒナコマチグモ Chiracanthium kompiricola DOEN. et STR., 1906
雌10〜15mm,雄9〜13mm.成体出現期7〜9月.平地から山地に広く生息.草原,河原,水田,池や沼,樹林地の周辺,林道などの草間,低木の枝
葉間に見られる.
昼間はススキの葉を巻いて住居を作りその中に潜む.夜間活動して昆虫や小動物を捕える.産卵期にはススキの葉をちまき状に丁寧に巻いて産室を作り,その中
で産卵する.
孵化した子グモは親を食べて巣だっていく〔新海06〕.
スギの葉先などに袋状住居を作り,産卵もそこで行う.冬季はスギ・ヒノキの樹皮下で越冬する〔新海06〕.
成体は7〜9月,雌12〜15mm,雄10〜13mm,北海道・本州・四国・九州.夜間草間を徘徊して獲物を捕える.
産卵期は7〜8月で,ススキの葉を曲げて住居を作りその中に産卵する.
子クモはふ化後,第2回脱皮がすむと親グモを食べる.
日本では最も毒性の強いクモで,かまれると半日から1日程痛む〔東海84〕.国外ではロシア極東地域,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
郊外から山地まで植物の葉上に生息.ススキの葉に多く,昼間はススキの葉をまげたり,
他の植物の葉を集めて作った住居の中にひそんでいる.夜間に活動して昆虫を捕らえる.
住居は昼間用の他,脱皮用,交尾用など,そのたびに別のススキの葉で作りかえる.
成体は6〜9月.産卵期は7〜9月.1卵のう中の卵数は80〜220個,最少で48個の記録がある.
卵は約10日でふ化し,子グモは数日間,親グモの周りに集まっている.第1回目の脱皮がすむと,
子グモは一斉に親グモの体に食いつき,早くて3〜4時間,長くても半日で親を食べてしまう〔森林87〕.
葉をまげて作る住居は時期により構造に違いがある.
高知で6月中旬の「大きく口の開いた空室」は多くは雄の脱皮室である.
6月中下旬の「密室」(産室より小型)は@若雌又は若雄の脱皮室,
A若雌と成雄の同居(仕切幕は雌である),
B成体雌雄の同居(交合室).同時期の「交合控室」は成雄の住居で口をおおう糸幕は薄い.
6月下旬〜7月上旬の「成雌住居」では雌が雄を待つ,雄の控室より幕が厚い.
同時期の「産室」には外壁に糸かがりのしてあるもの,脱皮室を利用したもの等がある.
雄は5月下旬〜6月上旬に成熟し,雌は6月中下旬に成熟する.
雄は雌の前方から雌の体の下に反転して仰向きにもぐり込み,雌雄胸板を接した形になって交合する.
雌は2回以上交合する.脱皮室兼交合室は産室ではない.産室には内壁に裏打ちがある.
雌の最終脱皮後,産卵まで1カ月.100個内外の卵を産み,母グモは卵のうの上で守る.
一週間後,母グモは牙で卵のうの上面をかみ破る.一週間後,子グモがふ化している時,開のうする.
7月下旬〜8月上旬にふ化し出のうする.約一週間後脱皮する.
脱皮後1〜2日して母グモの体に取付きそれを吸う.
ふ化後,母グモと同居していなかった子グモは脱皮後に母グモと同居しても母グモを食わずに分散した.
卵のうがルリアリに攻撃されることがある〔中平AT41/42〕.
亜成体雌は糸でしきりを作る.最終脱皮が終ると,成体雄は仕切りを咬み破り,
交尾する.触肢の側胚葉を雌の生殖口にひっかけてから,移精針が伸びる〔新海明・吉田嗣郎・伊藤浩見AT98/99〕.
コマチグモの葉のまき方にも種々ある〔小澤K64〕.
齢が進むにつれススキやヨシなど大型単子葉植物を利用する個体の割合が高くなり,繁殖用の巣においてはその傾向は顕著.発育とともに硬い葉を利用する〔弘
中豊AC56(2)〕.
ススキ,セイタカアワダチソウ,ヨモギを用い選択実験〔弘中豊・安倍弘AC58(2)〕.
袋面は北を向く〔秋元維那K77〕.
冬期,幼体が枯葉や落葉から採集される〔植村AT5〕.
軽井沢にて8月19日,巣内のカバキの腹部に2〜3mmの白い幼虫が取りついていた.5〜7日後にはクモを食い殺した.このイワタツツベッコウ
Homonotus iwatai は本種やエドコマチグモ C .rufulum KISHIDA やC. kompiricola DOENITZ
の巣に侵入し,クモを襲い,頭胸部背面に乗り,片側の歩脚の1本をくわえ他端の歩脚間に自分の尾端をもって刺す.40〜60秒/回で1〜8回,まひは10
分以内(多くは5〜6分)で消失する.蜂は一度触角を掃除してから巣内を歩き,クモの腹部背面に乗り産卵する.卵塊や子グモがある場合には卵のうの上から
かみ,或いは食うことで全滅させる.一度産卵されたクモが再び蜂の侵入を受けた場合は2度目のハチによって最初の卵はかみとられて,新しく産みつけられ
る.産卵個所は腹部前端.幼虫は10mm長,3mm幅になり,クモの巣内面に懸垂して繭を作る.羽化までは10日間.成虫は7月中旬から8月上旬(越冬し
た幼虫が羽化したもの)と8月下旬から9月中旬に出現するという.
最初の期に出現した成虫の一部は年内に成虫となるが,残りは越冬するので,翌年の7月には初夏の世代と夏の世代が混在することになる.しかし,そのような
区分ではなく,越冬幼虫の羽化時期の変異によるものではないか.寄生率は浅虫における1934(7・8月)年は7・6%,1935年(7・8月)は3%,
福島県川俣町(1934年,8月)では4・2%,大阪府では23%という.
本種は処女生殖をする,この幼虫に寄生する蜂やクモを狩る蜂,卵寄生蜂がいる〔関口AC6(4)〕.
初夏の候主として禾本科植物の葉を折りて住居を作り,8月末に産卵す.母グモはふ化せる子グモの餌食となる奇習あり.北海道・本州・四国・九州・満洲に分
布〔関口AC6(1)〕.
昭和14年7月24日,井之頭公園で百数十頭の子グモが母グモを食うのを初めて観察〔植村AC5(1)〕.8月上旬,同居の子グモが母グモを食った〔千国
/親と子〕.
自宅で咬まれた〔諏訪哲K62,伊田信明・池田K67〕.
Toyama(1999, 2001. J. Ethol., )に親の保護と共食いによる投資がないと幼体の生存率や成長が低下するという報告あり〔菊地知子・
大河原恭祐AC56(2)〕.
属名はその経緯からCheiracanthiumという表記も認められる〔小野09〕.
ヤマトコマチグモ Chiracanthium lascivum KARSCH, 1879
=サチコマチグモ Chiracanthium gratiosum SAITO〔八木沼77〕
=ムナアカコマチグモ Chiracanthium digitivorum DOEN. et STR., 1906
雌9〜14mm,雄8〜10mm.成体出現期6〜9月.平地に多く生息.水田,河原など水辺に多い.ススキ,チガヤなどイネ科植物の葉を折り曲げて住居
を作りその中に潜む.
夜間住居より出て,葉上を歩きながら接近してくる小昆虫を捕える.産卵期には三角形あるいは四角形のより丁寧な住居を作り,その中で産卵する.
親グモは子グモが巣だつまで住居の中で保護する〔新海06〕.
成体は7〜9月,雌9〜11mm,雄8〜10mm,全土.ヨシ,カヤ,ススキなどの葉を曲げて住居を作る〔東海84〕.国外ではロシア極東地域,中国,韓
国から記録がある〔小野09〕.
室内飼育(25℃)により,1卵のう中の60頭につき,各令期の摂食量と成長量を求めた.
U令(13.7日)の1日あたりの摂食量は0・0364mg(摂食数0・35頭,成長量0.0234mg),
V令(10.45日)は0.0878mg(0.50頭,0.0559mg),W令(13.09日)は0.1652mg(1.07頭,0・0853mg),
X令(20.44日)0.2332mg(1.70頭,0.1081mg)でY令となる.
P/F値は令の進行とともに下がるが,大体成長量の倍が摂食量である〔浜田AT55〕.
ヒメカマキリモドキ幼虫が卵を食べて育ち,産室内で繭を作って羽化する〔新開孝K67〕.
6月頃,チガヤ等の葉をまいて産室を作り,自身もとじこもる〔中平AT23/24〕.
沖縄にて10月,横10mm,縦42mmの産室に,直径8mm位の卵のう.0.6mm大の乳白色の卵が126個あった〔下謝名AT28〕.
雌の住居上に静止していた雄に別の雄が接近.脚に触れると互いに向き合い口器をかみあい,前方の脚をからめて押し合った.
後から来た雄が相手を下へ落とした.その後二度勝負したがいずれも結果は同じだった〔板倉,蜘蛛24〕.
1963年6月10日,三重県上野市で産室内のクモの腹背に幼虫が寄生,
ベッコウバチ科のHomonotus iwatai YASUMATSUであった〔橋本AC18(2)〕.
石川県金沢市で繁殖特性と卵のう保護の意義を調査,6月上旬から親と卵塊を伴う巣が増え,
6月下旬幼体が出現,7月中旬には巣の採集数は減少.繁殖は終了していた.
産卵数に影響を与える要因は親の体サイズ(浅野川河川敷)または巣のサイズ(片野鴨池湿地)
であった〔菊池知子・大河原恭祐AC56(2)〕.
属名はその経緯からCheiracanthiumという表記も認められる〔小野09〕.
ペニーコマチグモ Chiracanthium pennyi O. P.-CAMBRIDGE, 1873
雌雄5〜8mm.旧北区に広く分布,吉田真(2003)により,滋賀県から記録〔小野09〕.
属名はその経緯からCheiracanthiumという表記も認められる〔小野09〕.
ミナミコマチグモ Chiracanthium submordax ZHANG, ZHU et HU, 1993
雌7〜12mm,雄6〜8mm.ヤマトコマチグモに似る.中国で記載され,西表島で初記録1987年1月4日谷川採).
属名はその経緯からCheiracanthiumという表記も認められる〔小野09〕.
ヤサコマチグモ Chiracanthium unicum BOES. et STR., 1906
=ウスキコマチグモ
=ハマコマチグモ Chiracanthium jokohamae STRAND, 1907
雌6〜7mm,雄5〜6mm.成体出現期6〜7月.平地から山地に生息.水田,池や沼の周辺,樹林地の周辺,林道などの草間,樹木の枝葉間に見られ
る.昼間は草の葉を巻いた,木の葉を2〜3枚合わせた住居の中に潜む.
夜間草間を歩きまわって小昆虫を捕える.産卵期にはやや丁寧な住居を作り,その中で産卵し,子グモが孵化するまで保護している〔新海06〕.
成体は5〜7月と9〜10月の2回.雌6〜8mm,雄5〜6mm.年2化性のクモと思われる.
樹木や草の葉の上を徘徊する.夜間草の上を徘徊する.本州・四国・九州〔森林87〕.国外では中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
高知県春野町で8月14日,庭木のルリヤナギの葉を縦に二つ折りにして住居を作った雌と,それを訪れる雄.雌はまだ若い〔中平AT64〕.
神奈川県平塚市にて10月20日,卵のう(1令幼体と未ふ化卵)を守る母グモ(11月30日死亡)を取る.
室内の管びんで子グモを飼育.26日2令となる.ふ化した21頭中,3頭死亡している.
ショウジョウバエの腹をつついて半殺しにして与える.11月5日9頭,9日4頭と減る.
11月12〜13日3令.ショウジョウバエを取れるようになる.
11月27日4令,12月17日5令,12月30日6令,1月14日7令で雄成体となる.
餌は毎日与え,6時〜23時まで照明,室温は30℃以上だった.5月食欲減退し,6月11日死亡〔稲葉ほかK54〕.
大磯町にてハコネウツギの葉の筒状住居に雄成体,すぐ隣の葉の筒状住居には雌亜成体〔池田K63〕.
属名はその経緯からCheiracanthiumという表記も認められる〔小野09〕.
フクログモ属 Clubiona
冬期ミノムシのミノを越冬巣として利用するものがかなりある〔徳本・鍛冶AT82〕.
アカギフクログモ Clubiona akagiensis HAYASHI, 1985
5〜10月,雌7.2mm,雄6.8mm,本州.標高1000〜1400mの落葉樹林内の低木下リーフ層より採集される〔林AC33(2)〕.
北海道から記録〔林AC43(1)〕.赤城山では初夏から秋にかけて成虫を採集できる〔小野09〕.
キタフクログモ Clubiona amurensis MIKHAILOV, 1990
雌4.4mm,雄3.9mm,3月に北海道上士幌町のダケカンバの樹皮下で越冬していた.
雄を初記載する.既知分布域はソ連のアムール地方である〔松田AT97〕.
雌5〜6mm,雄3〜5mm,北海道産と長野県産は雄の触肢に差異がある〔小野09〕.
台湾産フクログモの一種 Clubiona aservida ONO, 1992
台湾で,3月に雄,10月に雌採集〔小野AC43(1)〕
バンドウフクログモ Clubiona bandoi HAYASHI, 1995
雄4.4mm,雌5.3mm.徳島,愛媛,高知から記録.小野〔AC41〕がClubiona kasanensis PAIKと同定したのは本種だった〔林AC44〕.
韓国産種に同定〔小野AC41(2)〕.Clubiona kasanensis PAIKとは別種〔小野09〕.
ダケカバフクログモ Clubiona basarukini MIKHAILOV, 1990
雌4.8mm,3月に北海道上士幌町のダケカンバの樹皮下で越冬していた.既知分布域はサハリン〔松田AT97〕.
雌4〜5mm,雄3〜4mm,国外ではロシア極東地域およびモンゴルから記録がある〔小野09〕.
台湾産フクログモの一種 Clubiona bonicula ONO, 1994
雄のみ採集〔小野AC43(1)〕
コアシフクログモ Clubiona brevipes BLACKWALL, 1841
雌雄4〜7mm,最初の記録は千島から(Peelle & Saito, 1932;Saito, 1933)で以後の記録はない.
ヨーロッパから中央アジアにかけて分布する種なので,日本産は疑問〔小野09〕.
カシワフクログモ Clubiona caerulescens L. KOCH, 1867
=Clubiona coerulescens L. KOCH, 1867
北海道上士幌町カシワ林にて落下した殻斗内に1雌(体長8.5mm)が住居を作る.中国,ソビエト,ヨーロッパに分布〔松田AT96〕.
旧北区に広く分布〔小野09〕.
チクニフクログモ Clubiona chikunii HAYASHI, 1986
雌雄5〜7mm,日本アルプス山麓の亜高山帯に産する〔小野09〕.
マキヒゲフクログモ Clubiona cirrosa ONO, 1989
雌6〜7mm,雄3〜5mm,琉球列島に産する〔小野09〕.
コフクログモ Clubiona corrugata BOES. et STR., 1906
雌6〜7mm,雄5〜6mm.成体出現期5〜9月.平地から山地まで広く生息.
草原,河原,池や沼の周辺,樹林地の周辺などの草の葉上や根元付近,地表面,石の間,落葉の中などに見られる〔新海06〕.
広葉をまいて(数枚集めて)産室を作る.高山では石の下に袋状住居を作る場合がある〔新海69〕.
多摩川河口の河川敷では6〜8月に葉面を巻いて生息.雌雄同居は6〜7月.
宮城県名取川河川敷にもいる〔池田98〕.国外ではロシア極東地域,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
マダラフクログモ Clubiona deletrix O. P.-CAMBRIDGE, 1885
=syn. Clubiona maculata SONG et CHEN, 1979
=syn. Clubiona reichlini SCHENKEL, 1944
雌6〜7mm,雄4.8〜6mm.成体出現期5〜8月.平地から山地まで生息.都市部の公園の樹木から林道の樹木まで見つかっている.
河原では草の葉を曲げて住居を作り中に潜む〔新海06〕.ムナアカフクログモやヤマトフクログモと誤まって同定されている可能性がある〔新海06〕.
日本からはClubiona maculata SONG et CHEN, 1979
として記録された〔八木沼・新海AT74〕.国外ではインド,中国,台湾から記録がある〔小野09〕.
中国.台湾からも記録〔小野AC43(1)〕.
多摩川河口の河川敷では4月に雌雄が採集〔池田98〕.
1979年記載の新種.大阪府立大学構内にて越冬中のオオミノガのミノから
成体まで各段階の個体が多数みられた〔田中・西田AT75〕.
ミチノクフクログモ Clubiona diversa O. P.-CAMBRIDGE, 1862
雌4mm内外,雄3〜3.5mm,山麓帯のクマザサの落葉中で採集.宮城県にて5〜6月頃採集〔片岡AC27S〕.
小型種,ヨーロッパ産と細部にわずかな違いがある〔小野09〕.
エゾフクログモ Clubiona ezoensis HAYASHI, 1987
雌雄6〜8mm.林縁の石の下などから採集〔小野09〕.北海道,極東ロシアから記録〔林AC43(1)〕
ヒイカワフクログモ Clubiona haeinsensis PAIK, 1990
雌雄5〜8mm,国外では中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
イハラフクログモ Clubiona iharai ONO, 1995
広島県山県郡芸北町長者原にて,6月26日雄が採れた.体長4.6mm,雌は未知〔ONO,AC44〕.
ハコネフクログモ Clubiona ikedai ONO, 1992
箱根町大涌谷の10月の雌雄で記載.雄5.9mm,雌7.2mm〔小野AC41(2)〕.雌7〜8mm,雄5〜6mm.関東地方に分布〔小野09〕.
イナフクログモ Clubiona inaensis HAYASHI, 1989
雌6〜7mm,雄4〜5mm.路傍や草原の草間で採集〔小野09〕.
シマフクログモ Clubiona insulana ONO, 1989
西表島で12月に雄採集,台湾でも記録.雌は未知〔小野AC43(1)〕.雄5mm前後〔小野09〕.
ヤマトフクログモ Clubiona japonica L. KOCH, 1878
=Clubiona flavipes (S. SAITO, 1939)キアシフクログモ
雌8〜13mm,雄8〜10mm.成体一年中.平地から山地まで広く生息.神社,寺院,庭園や公園,人家周辺,草原,河原,樹林地の中,林道などのス
ギ・ヒノキの樹皮下に多く見られる.
その他,樹木の表面,枝葉間,草間に生息.ムナアカフクログモと酷似〔新海06〕.
成体は1年中,雌8〜13mm,雄8〜10mm,本州・四国・九州・南西諸島.
夜間に樹葉間や草間を徘徊する.冬期樹皮下に袋状住居を作る〔東海84〕.国外ではロシア極東地域,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
座間市でヒノキ等のわら巻き(地上160cm)に多い〔諏訪哲K62〕.7
ムナアカフクロとともに千葉県内のイヌシデやコナラのワラ巻き調査の優占種〔浅間AC55(2)〕.
ハマキフクログモ Clubiona japonicola BOES. et STR., 1906
雌7〜9mm,雄5〜8mm.成体出現期5〜9月.平地に多く生息.水田,草原,河原,池や沼の周辺,林道などの草間に見られる.主に水辺に多く,イ
ネ,チガヤ,ガマなどの葉を巻いて住居を作りその中に潜む.
夜間住居から出て葉上を歩き回って昆虫を捕える.産卵期には住居内に卵のうを作り,子グモが孵化するまで保護している〔新海06〕.
成体は5〜9月,雌7〜9mm,雄6〜8mm,全土.水田に多いが,草原,山道の草間などにも生息する.
昼間は住居に潜み,夜間徘徊する〔東海84〕.
台湾.日本.中国.韓国.シベリア.タイに分布〔小野AC43(1)〕.平地から低山地の草むらや水辺に生息.
国外ではロシア極東地域からインドネシアに至る東アジア一帯から広く知られる〔小野09〕.
産卵期は5〜6月と8〜9月,2回の発生が見られる(中平61)〔森林87〕.
多摩川河口の河川敷でも5月と8月に卵のうガード(卵室は葉をちまき状に巻く)が確認された.ヨシ原の冠水する方にいる〔池田98〕.
高知県で5月20日採集の卵のうにイワタクモヒメバチの幼虫4頭がとりついていた.卵を食べるのである.
22日午後8時さなぎ化し,30日朝羽化した.岩田75によれば,寄生数は1〜9個,
産卵は産房の外から行われ,卵は7〜10日で成体となる,6月羽化した個体は宿主がいるが,7月羽化個体はどうなるのかとある.
ハマキフクロは成体・産卵の時期が5〜6月,8〜9月である.年2世代であろう.ヨツボシショウジョウグモにもこの蜂は寄生する.
1卵のうの卵数は50〜100個〔中平AT74〕.
普通,水辺に多く,イネやマコモの葉を巻くことが多い.3月下旬,亜成体〔植村AT5〕.
産室の作り方は,適当なススキ葉の辺に糸を付着させ,その糸を引きながら,下方へ下がり,ある点に付着させる.
葉の辺を糸でかがっていく.葉の先端の途中まで糸でかがり,先端を上方へまげてゆく.糸で付着する〔大利AT29〕.
6月5日18時10分,東京都にて,交接.雄は全脚で雌を抱きかかえ,腹部を震わす.雌は硬直状態.
19時50分,雄が離れると,雌は動き出し,脱皮室に入る.雄は雌の巣をでてゆく.雌は巣内を往来した後,綿密な巣作りを始める〔大利AT29〕.
イネ,チガヤ等で産室を作る.それが枯れるにつれ,母グモは脱出し始める.62%が脱出した.葉がねじれて空間がせまくなるためか〔中平AT22〕.
枯草の根元等で,幼体ないし亜成体で越冬.雄は成体が多い〔中平AT23/24〕.
禾本科植物の葉をちまきに巻いて卵のうを置き,母グモ自身もその中にとじこもっている〔中平AC15(2)〕.
宇都宮市峰町の水田(6月にスミチオン乳剤散布)で,8〜11月成体,越冬は幼体で,本田内の土壌中や畦畔で行う.
9月末から10月にかけて1u当たり4〜5頭の密度〔浜村AC22(2)〕.
倉敷市にて産室に4型あり.1卵のう中に59,64,65,79,84,85,89,89,94,126卵〔白AC7(3/4)〕.
ヤハズフクログモ Clubiona jucunda (KARSCH, 1879)
=Clubiona mantis BOES. et STR., 1906
=Clubiona sulla BOES. et STR., 1906 アカキフクログモ
=Clubiona sakatensis S. SAITO, 1939 サカタフクログモ
雌7〜8mm,雄5〜6mm.成体出現期5〜8月.平地から山地に広く生息.庭園や公園,農家周辺の林,樹林地の周辺,林道などの樹木の表面,樹皮下,
枝葉間,草間などに見られる.
夜間活動している.昼間の隠れ場所は樹皮下と考えられているが未確認.冬季は樹皮下,スゲ科植物の間,落葉の中などに袋状住居を作って越冬する〔新海
06〕.
成体は5〜8月,7〜8mm,全土.夜間に樹皮上や草間を徘徊する.冬期樹皮下に袋状住居を作る〔東海84〕.
雄の触肢先端部は変形することがあり,栓子が細く可動なため別種に見える個体がある〔小野09〕.
フクログモの中では最も黄色い.冬は樹皮の下から採集される〔森林87〕.国外ではロシア極東地域,中国,台湾から記録がある〔小野09〕.
千葉県立東葛飾高校で10月上旬に松に巻いたわら巻きを2月に調査,優占種であった.ほぼ亜成体越冬〔浅間AT89〕.
松江で右側の前側眼,後中眼,後側眼の3眼が欠失した個体を採集〔景山AT40〕.
カヤシマフクログモ Clubiona kayashimai ONO, 1994
台湾産雌4mm,雄は未知〔小野AC43(1)〕.
ヒメフクログモ Clubiona kurilensis BOES. et STR., 1906
雌5〜8mm,雄4〜6mm.成体一年中.平地から山地に生息.水田,草原,河原,池や沼の周辺,樹林地の周辺などの草の葉上や根元付近,地表面,落葉
の中などに見られる.
主に水田の周辺と河原草原に多く,細いイネ科植物の葉を巻いて住居を作りその中に潜む.
夜間住居から出て葉上や落葉上を歩き回って獲物を探す.冬季はイネの切り株や河原の石の下などで越冬する〔新海06〕.
成体は1年中,雌7〜9mm,雄4〜6mm,北海道・本州・四国・九州.水田に生息.
イネ科植物の葉を折って住居を作る〔東海84〕.国外ではロシア極東地域,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
関東北部の水田にはハマキフクログモよりも多い.冬期,ヨシの切り口や河原の石の下などで採集できる.
5月初旬に採集した雌は5月14日産卵,袋巣を作り,その中で卵のうを作る.5月29日ふ化.まどい個体数は20頭.
6月4日卵のう内で1回目の脱皮.6月6日出のう,分散.親はここまで卵のうを守る.7日,葉下に隠れ姿がみえなくなる.
8月30日,31日雌成体3頭,雄成体2頭を発見.4ケ月程度で成体になる.年2〜3世代と推定〔林・千国84,AT84〕.
熊本県の水田で2001年と2003年にクモと餌の相互作用を調査.ユスリカ個体群はクモの餌資源として重要であり,
ヒメフクログモはイネの害虫ウンカ類の天敵として効果的な捕食者だった〔村田・田中幸一AC53(2)〕.
7月2日に体長2mmの幼体を採集して飼育し,25日目に成体となった.この間に4回脱皮した〔小笠原幸恵,蜘蛛29〕.
台湾産フクログモの一種 Clubiona kuanshanensis ONO, 1994
雌のみ,シフテイングで採集された〔小野AC43(1)〕
クマダフクログモ Clubiona kumadaorum ONO, 1992
神奈川県足柄上郡山北町で10月採集の雄をもとに記載.雄5.5mm.雌は未知〔小野AC41(2)〕.
クナシリフクログモ Clubiona kunashirensis MIKHAILOV, 1990
=トヨヒラフクログモ Clubiona sharkeyi HAYASHI, 1994
トヨヒラフクログモとして,北海道定山渓から10月マレーズトラップで雌6.5mm採集〔林AC43(1)〕.
雌雄6〜8mm,国後島から記載された.北海道に分布〔小野09〕.
クロサワフクログモ Clubiona kurosawai ONO, 1986
長野県軽井沢から6月1日,雄雌で記載,台湾からも記録〔小野AC43(1)〕.雌4〜8mm,雄4〜6mm〔小野09〕.
ホッポウフクログモ Clubiona kulczynskii LESSERT, 1905
雌6〜8mm,雄4〜6mm,全北区に広く分布し,北海道の高地で雄が記録〔小野09〕.
トビイロフクログモ Clubiona lena BOES. et STR., 1906
雌雄7〜8mm.成体出現期4〜9月.平地から山地に生息.水田,草原,河原,樹林地の周辺,林道などの草の葉上や根元付近,樹木の枝葉間,落葉の中な
どに見られる.
昼間は葉を曲げた住居の中に潜み,夜間葉上を歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
成体は5〜9月,7〜8mm,本州・四国・九州.草原,河原や山道の草間に生息する.個体数は多い〔東海84,森林87〕.ノミチフクログモと混同がある
〔小野09〕.
国外では中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
早春クヌギ林の落葉中にて採集できる〔林AT83〕.
高知県鏡村で6月5日,ヤブマオの葉を筒状に巻いて産室とする.卵のうは直径7mmの白色円盤状.袋は大変薄く,卵粒が透いて見えた.卵数58〔中平
AT64〕.
シイの落葉を2枚綴り合わせて,その間に偏平な袋を作り,越冬していた.7mm前後の亜成体〔植村AT5〕.
山形県赤湯町にて幼体から成体にかけて空中移動する優占種〔錦AC20(1)〕.
ウロコアシナガグモを捕食〔池田K66〕.
キフクログモ Clubiona lutescens WESTRING, 1851
大野正男による.東京都内産.詳細不明〔新海AC27S〕.雌6〜7mm,雄4〜6mm,全北区に広く分布.日本からの採集記録はきわめて少ない〔小野
09〕.
ニシカゼフクログモ Clubiona mandschurica SHENKEL, 1953
雄(5.6〜6.4mm),6月に秋田県・石川県から記録,中国,韓国にも分布〔小野AC43(1)〕.
雌6〜10mm,雄5〜7mm,国外ではロシア極東地域,中国北部,韓国から記録がある〔小野09〕.
マヤフクログモ Clubiona maya HAYASHI et YOSHIDA, 1991
雌雄6〜8mm.山形県に産する〔小野09〕.
マユミフクログモ Clubiona mayumiae ONO, 1993
雌5〜7mm,雄4〜6mm〔小野09〕.Clubiona propinqua (林1987)やClubiona pseudogermanica (MIKHAILOV, 1991)は誤同定.
北海道定山渓から10月マレーズトラップで雌採集,北海道.韓国.極東ロシアに分布〔林AC43(1)〕.
ヨモギフクログモ Clubiona neglectoides BOES. et STR., 1906
雌雄5〜6mm,外雌器を初めて図示.里山付近の路傍のヨモギ付近で見られる.国外では中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
6月に雄成体採集(群馬県),佐賀県,新潟県で記録〔林AT83〕.
ノミチフクログモ Clubiona mutilata BOES. et STR., 1906
雌6〜7mm,雄は未知.本州および九州に分布.トビイロフクログモと混同されてきた〔小野09〕.
オガタフクログモ Clubiona ogatai ONO, 1995
雄5.3mm,雌6.2mm.愛知県北設楽郡設楽町段戸裏谷(960m)で9月に雌雄採集された.クマダフクログモに近縁〔ONO,AC44(1)〕.
本州中部に分布〔小野09〕.
ミギワフクログモ Clubiona phragmitis C. L. KOCH, 1843
雌7〜12mm,雄5〜10mm.北海道の大雪山より記録.旧北区に分布〔小野09〕.
カギフクログモ Clubiona pseudogermanica SHENKEL, 1936
=syn. Clubiona salictum NAMKUNG et KIM, 1987 ヤナギフクログモ
=カギフクログモ Clubiona hummeli SCHENKEL, 1937
hummeliとして神奈川県(平塚市,座間市),広島県および韓国で記録された〔池田K62〕.
日本産の正体はカギフクログモ Clubiona pseudogermanica SHENKEL, 1936と判断した〔林AC43(1)〕.
Clubiona hummeli SCHENKEL, 1936やClubiona propinqua L. KOCH.,
1879は誤同定で実は本種と判断した.
筑波山から9月マレーズトラップで雄採集,5月に雌採集.日本,韓国,中国に分布〔林AC43(1)〕.
クリイロフクログモ Clubiona riparia L. KOCH, 1866
=Clubiona badia PEELLE et SAITO, 1932
=ヤガタフクログモ Clubiona yagata YAGINUMA, 1972
雌9〜10mm,雄6〜7mm.成体出現期6〜8月.北海道では平地から山地まで広く生息.本州では1500m以上の高山の一部に見られる.
市街地の公園,草原,河原,樹林地の周辺,林道などの樹木や草の葉上,茎や枝の間,草間の根元付近などに見られる.
昼間は葉を曲げた住居の中に潜み,夜間歩き回って獲物を探す〔新海06〕.国外ではロシア極東地域,モンゴル,中国から記録がある〔小野09〕.
マイコフクログモ Clubiona rostrata PAIK, 1985
=Clubiona maikoae HAYASHI, 1985
雌5.5〜6mm,雄5〜5.5mm.成体一年中.北海道では平地から山地に生息.本州では500m以上の山地に生息.
河原,樹林地の中や周辺,林道などの樹木の枝葉間,草の葉上や根元付近,落葉の中などに見られる.
住居など生態は不明〔新海06〕.韓国にも産する〔小野09〕.
成体は4〜6月,雌6mm,雄5.2mm,本州.標高400〜1400mの落葉樹林内の低木下リーフ層より採集される〔林AC33(2)〕.
神奈川県(二宮市,座間市)では平地でも採れる〔池田K62〕.
リュウキュウフクログモ Clubiona ryukyuensis ONO, 1989
雌4〜7mm,雄3〜5mm,琉球列島に産する〔小野09〕.
サッポロフクログモ Clubiona sapporensis HAYASHI, 1986
河原の石の下から採集,北海道及び本州(標高1500〜2000mの山地に分布,韓国・ロシア極東地域からも知られる〔小野2009〕.
海岸地帯では流木の下面に袋をたくさん重ねた越冬団地を作り,山岳地帯ではブナの固い皮に覆われた殻斗の中に袋をつくり越冬する〔福島彬人,しのび
23〕.
ブシフクログモ Clubiona subinterjecta SYRAND
北満洲・黒龍江岸に自生しているアシ類似の葉を巻いて生息,雌6・5mm〔仲辻AC7(1)〕.
トゲバリフクログモ Clubiona subsultans THORELL, 1875
雌雄4〜7mm,旧北区に広く分布.
ベーゼンベルグとシュトラン(1906)にミュンヘン博物館の日本産標本(産地不詳)が報告されている〔小野09〕.
台湾産フクログモの一種 Clubiona taiwanica ONO, 1994
雌のみ,スイーピングで採集された〔小野AC43(1)〕
タニカワフクログモ Clubiona tanikawai ONO, 1989
雌2.2〜3.2mm,雄2.1〜2.8mm.成体一年中.平地に生息.海岸,草原,樹林地の周辺の草や樹木の葉上,茎や枝などに見られる.
頭胸部は黄褐色または赤褐色.腹部は黄白色から赤褐色まで様々な変異が見られる〔新海06〕.
西表島で3月に雄雌採集,台湾でも記録〔小野AC43(1)〕
タテヤマフクログモ Clubiona tateyamensis HAYASHI, 1989
雌雄5〜6mm.本州に分布〔小野09〕.
キタカゼフクログモ Clubiona trivialis C. L. KOCH, 1843
7月雄成体採集(北海道羊蹄山1700〜1800m),ヨーロッパからシベリア.北アメリカに分布〔小野AC43(1)〕.雌雄3〜5mmの小型種〔小
野09〕.
ツルサキフクログモ Clubiona tsurusakii HAYASHI, 1987
雌6〜7mm,雄4〜5mm.里山付近の草間に多い.国外ではロシア極東地域から記録がある〔小野09〕.
ウエノフクログモ Clubiona uenoi ONO, 1986
雌雄5〜8mm.北海道および本州に分布〔小野09〕.
ムナアカフクログモ Clubiona vigil KARSCH, 1879
雌10〜13mm,雄8〜10mm.成体出現期6〜8月.平地から山地まで広く生息.神社,寺院,庭園や公園,人家周辺,草原,河原,樹林地の中,林道
などのスギ・ヒノキの樹皮下に多く見られる.その他,樹木の表面,枝葉間,草間に生息.夜間活動し昆虫やワラジムシなどの小動物を捕える.産卵期には草や
低木の葉を曲げて産室を作り,卵のうの上に乗って保護する〔新海06〕.
ヤマトフクログモと酷似〔新海06〕.
成体は5〜8月,7〜8mm,全土.夜間に樹皮上や草間を徘徊する.冬期樹皮下に袋状住居を作る〔東海84〕.
成体は6〜8月,雌10〜12mm,雄8〜9mm,全土.夜間に樹葉間や草間を徘徊する.冬期樹皮下に袋状住居を作る〔東海84〕.
国外ではロシア極東地域,韓国から記録がある〔小野09〕.
スギ,ヒノキなどの樹皮の隙間で越冬しているのがよく見られる.郊外から山地まで生息.成体は5〜9月,
産卵期は6〜8月で植物の葉をまげてその中に産卵する.1卵のう中の卵数は30〜70個.
昼間は葉の上に袋状の住居を作ってひそむ〔森林87〕.
5月6日,ミカンの葉巻の中に産卵.卵袋の上に被うように守る〔大利AT38〕.
越冬個体は雌は亜成体,雄は成体がふくまれていた〔植村AT5〕.
腹柄に巻き付きヒメカマキリモドキ幼虫が寄生〔新開孝K67〕.
ヤマトフクロとともに千葉県内のイヌシデやコナラのワラ巻き調査の優占種〔浅間AC55(2)〕.
クサイロフクログモ Clubiona viridula ONO, 1989
雌4.5〜5.5mm,雄4〜5.5mm.成体出現期3〜8月.平地に生息.海岸,草原,樹林地の周辺などの草の葉上や根元付近,低木の葉上,枝葉間を
歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
色彩の変異と濃淡は多く,緑白色,黄白色,白色等がある.雄は全体に赤色が強く,赤褐色の個体も見られる〔新海06〕.東南アジアに広く分布〔小野
09〕.
ヤギヌマフクログモ Clubiona yaginumai HAYASHI, 1989
群馬県高崎山で6月24日雄雌で記載,伊豆市山.台湾(体長4mm)からも記録された〔小野AC43(1)〕.
雌雄4〜5mm,体が細長い.国外では台湾から記録〔小野09〕.
ヤスダフクログモ Clubiona yasudai ONO, 1991
雌7〜9mm,雄6〜7mm.大雪山系から採集〔小野09〕.
ヨシダフクログモ Clubiona yoshidai HAYASHI, 1989
雌雄6〜8mm.山形県および青森県に産する〔小野09〕.
ウコンフクログモ Clubiona zilla DOEN.et STR., 1906
雌2.5〜3mm,雄2〜2.5mm.成体出現期11〜4月.里山から山地に生息.冬季にスギ,ヒノキなどの樹皮下より採集される.樹木の表面を歩き
回って獲物を探すと思われるが,
葉上から採集されたこともあり,詳しい生態は不明〔新海06〕.
成体は11〜4月,雌2.5〜3mm,雄2〜2.5mm,本州・九州.冬期は針葉樹の樹皮下に袋を作る.夏期生態不明〔東海84〕.
アオミフクログモ Pteroneta ultramarina (ONO, 1989)
雌雄2〜4mm,上顎が長くアリグモやアシナガグモを思わせる.西表島から記載〔小野09〕.
エビチャタンボグモ Agroeca brunnea (BLACKWALL, 1833)
雌6.7〜8.5mm,雄5.4〜7.0mm、北海道で記録.旧北亜区に分布〔小野09〕.
コウライタンボグモ Agroeca coreana NAMKUNG, 1989
雄3.5mm、京都市にて記録〔林AC41(2)〕.東京都五日市横沢入で,2月に雄成体〔新海・笹岡K66〕.
国外ではロシア,韓国から記録がある〔小野09〕.
カムラタンボグモ Agroeca kamurai HAYASHI, 1992
雌雄2〜2.3mm.成体出現期5〜7月,9〜11月.平地から山地に生息.神社・寺院の林,河原,樹林地の中や周辺,
林道などの落葉の中,地表面,石の下や間,草間の地表付近などに見られる.各地に分布していると思われる〔新海06〕.
雌雄2mm、5月に京都市にて記録〔林AC41(2)〕.
ミヤマタンボグモ Agroeca montana HAYASHI, 1986
雌雄3.5〜4mm.成体出現期4〜6月.主に600m以上の山地に生息.樹林地の中とその周辺,河原,池や沼の周辺,林道などの地表面,
落葉の中,草間の地表付近,石や倒木の下に見られる.各地に分布していると思われる〔新海06〕.
群馬県赤城山から記載〔林86〕.国外では中国から記録がある〔小野09〕.
イタチグモ Itatsina praticola (BOES. et STR., 1906)
雌7〜9mm,雄7〜8mm.成体出現期4〜6月,9〜11月.平地から山地に広く生息.
神社・寺院の庭園や林の中,公園の茂み,河原周辺の林の中,里地・里山の樹林地の中や周辺,林道などの落葉の中,土壌の隙間,
石や倒木の下,地表面などに潜んでいるが,歩き回って獲物を探すことも多い.土壌性クモの代表的な種類で高山地域を除く全国に分布〔新海06〕.
色彩には濃淡がある〔新海06〕.
成体は4〜6月,9〜11月,7〜9mm,全土.落葉,土壌中を徘徊する〔東海84〕.国外では中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
成体は4〜6月と9〜11月の2回ある.2化性かどうか不明.卵のう・卵数も不明.
落葉の間,土壌のすき間,石や倒木下で生活する.落葉の表面に糸で住居を作ることもある.
獲物はトビムシ,ワラジムシ,昆虫の幼虫などで体の堅い動物は好まない〔森林87〕.
タンボグモとイタチグモは同種〔八木沼AC4(3)〕.
伊豆七島の地上徘徊性種として夏期にチビコモリグモと共によく採集された〔国見AT87〕.
BOES. et STR. (1906)はワシグモ科としてTalanites dorsilineatus
(タンボグモ)をイタチグモ科としてAgrocea praticola を記載したが, 同物異名であろう.
岸田はdorsilineataはワシグモ科ではないとしてItatsina属とした(1930).
成熟するのは秋で10月頃落葉に卵のうを産みつける〔植村AC3(1)〕.
オビジガバチグモ Castianeira shaxianensis GONG, 1983
雌7〜8.5mm,雄6.5〜7mm成体出現期5〜8月.平地から山地に生息.市街地の公園,人家の庭,草原,荒れ地,河原,崖地,樹林地の周辺,
林道などの草間の地表付近,地表面,石の間,石垣,堤防,落葉の中,時には人家の中などでも見られる.
第1脚を上下に振りながら敏捷に動く姿はアリに似ている〔新海06〕.
奈良・愛知・鳥取・大阪で記録.雄は未知〔八木沼AT98/99〕.雄6.7mmは兵庫県で6月22日(山野採集),
雌7.2〜8.7mmで5〜6月採集〔加村AC50(1)〕.国外では中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
ハマカゼハチグモ Creugas gulosus THORELL, 1878
=Creugas gulosa THORELL, 1878
=Corinna gulosa (THORELL, 1878)
成体は6〜8月,雌7.5〜9.6mm,雄6.4〜7.6mm,沖縄県(伊良部島・西表島・与那国島),東南アジアに分布〔加村AC50(1)〕.
この属クロバチグモ属は18種は中南米産,残り1種ハマカゼハチグモがコスモポリタン〔小野09〕.
ヒメバチグモ Humua takeuchii ONO, 1987
雌4.0〜4.4mm,雄3.5〜3.6mm,南西諸島に分布.前側眼はかなり小さい.この属は世界で1種〔小野09〕.原記載〔ONO1987〕.
オトヒメグモ Orthobula crucifera BOES. et STR., 1906
雌雄1.5〜2mm.成体一年中.平地から山地に広く生息.市街地の庭園や公園,草原,河原,樹林地の周辺,林道などの草の葉上,草間の地表付近,
落葉の中,土壌の隙間,地表面など歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
成体は1年中,1.5〜2mm,本州・四国・九州・南西諸島.落葉,地表を徘徊する.5〜6月産卵する〔東海84〕.
国外では中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
アンネンムナアカグモは原記載としない〔八木沼AT73〕.
アンネンムナアカグモOedothorax anneni KISHIDA として記載〔安念AC6(4)〕.
都内各地のベートトラップにスソグロサラグモと共に多数捕らえられた〔山川K38〕.
石や石垣の上で採集〔安念AC6(3)〕.
コムラウラシマグモ Otacilia komurai (YAGINUMA, 1952)
=Phrurolithus komurai YAGINUMA, 1952
雌3.5〜5mm,雄3〜3.5mm.成体出現期5〜6月,10+11月.平地から山地にかけて生息,山地に多い.都市部の庭園,公園,樹林地の中や周
辺,
林道などの落葉の中,草間の地表付近,地表面,石や倒木の隙間,樹木の根元付近などを歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
成体は11〜6月,4〜5mm,本州.落葉中,倒木や石の下などに生息する〔東海84〕.
雄2.8〜3.5mm,雌3.2〜4.9mm,本州・九州,中国に分布.再記載〔加村AC53(2)〕.中国から記録〔小野09〕.
アカアリの巣上部をおおう石の下面で採れる〔小松AC17(2)〕.
1月21日,丹沢一の沢林道付近の樹皮下で越冬,他にキハガカニグモ,コマツエンマグモ,昆虫も見られた〔熊田K38〕.
ツキミノウラシマグモ Otacilia luna (KAMURA, 1994)
=Phrurolithus luna KAMURA, 1994
雄2.3mm,雌3.5〜4.1mm,2月に西表島産で記載〔加村AC43(2)〕
西表島のみ〔加村,AC53(2)〕.
ヤマネコウラシマグモ Otacilia lynx (KAMURA, 1994)
=Phrurolithus lynx KAMURA, 1994
雌3.2〜4.5mm,雄2.5〜4mm,成体出現期2〜8月.平地から山地に生息.樹林地の中,林道などの落葉の中,土壌の隙間,地表面,石や倒木の
下や隙間.
草間の地表付近を歩き回って獲物を探す〔新海06〕.タイワンウラシマグモに近縁〔小野09〕.
雄2.2〜4.0mm,雌3.2〜4.9mm,2〜3月に西表島産で記載〔加村AC43(2),AC50(1)〕.
西表島で1月に雄,1・3月に雌〔谷川K70〕.
屋久島・沖縄島・宮古島・久米島でも記録〔加村AC50(1)〕
台湾で記録〔加村,AC53(2)〕.
アカガネウラシマグモ Otacilia mustela KAMURA, 2008
雌3.8〜4.1mm,雄3.0〜3.8mm.本州(関東から中部地方)で採集されている〔小野09〕.
西表島のみ〔加村,AC53(2)〕.
エラブウラシマグモ Otacilia stella KAMURA, 2005
雄3.3mm,雌3.1〜5.0mm,3月に沖永良部島産で記載〔加村AC53(2)〕.雌3.1〜5.0mm,雄3.3〜4.9mm.雌の外雌器には
大きな交尾栓.南西諸島に分布〔小野09〕.
タイワンウラシマグモ Otacilia taiwanica (HAYASHI et YOSHIDA, 1993)
=Phrurolithus taiwanicus HAYASHI et YOSHIDA, 1993
成体は10-12-3月,雌3.9〜5.7mm,雄2.6〜3.9mm,琉球(西表島,与那国島),台湾に分布〔加村AC50(1)〕.
Otaciliaへ転属〔加村,AC53(2)〕.体色・斑紋は個体変異が大きい.ヤマネコウラシマグモに近縁〔小野09〕.
コガネウラシマグモ Otacilia vulpes (KAMURA, 2001)
=Phrurolithus vulpes KAMURA, 2001
雌4〜5mm,雄2.8〜3.2mm,成体出現期6〜7月.主に山地に生息すると思われる.樹林地とその周辺の落葉中,石や倒木の下に見られる〔新海
06〕.
成体は6月,雌4〜5mm,雄3mm,広島県豊平町の雌雄(井原採集)で記載〔加村AC50(1)〕.
丹沢山塊にも多い〔安藤2007〕.八王子,静岡,熊本でも採集された.Otaciliaへ転属〔加村,AC53(2)〕.
イナズマウラシマグモ Phrurolithus claripes (DOEN. et STR., 1906)
雌3〜3.5mm,雄2〜3mm.成体出現期5〜7月.平地から山地に広く生息.都市部の庭園,公園,農家の周辺,河原,池や沼の周辺,樹林地の周辺,
林道などの落葉の中,草間の地表付近,地表面,土壌の隙間,石や倒木の隙間,草の葉上などに見られる〔新海06〕.
国外ではサハリン,中国,台湾から記録がある〔小野09〕.
ウラシマグモ,キレオビウラシマグモはよく似ている〔新海06〕.
草間を徘徊する〔新海69〕.
成体で3mm内外,体は黒褐色で腹部に2対の白色帯状斑紋も持つ.尾端にも1対の白点がある.地上の石下などに住んでいる.
歩行の時は第1脚を上下に振る.3月上旬亜成体を採る〔植村AT5〕.
ツヤグモ Micaria claripes DOEN. et STR. として,トビイロケアリの生活する地区に生活する.
硬い卵袋を石の下面に作る.第1脚を振って歩く.夜間,アリを攻撃するようだ〔小松AC17(2)〕.
神奈川県箱根,大涌谷の個体群で体長平均雌3・08mm,雌2・43mm〔池田89〕.
埼玉県秩父東京大学演習林でも採集された.関東では山地性〔池田98〕.
ツヤグモ Micaria claripes DONITZ et STR., 1906としての記録,
「トビイロケアリの生活する地区に生活する.硬い卵袋を石の下面に作る.
第1脚を振って歩く.夜間,アリを攻撃するようだ」〔小松AC17(2)〕.
キレオビウラシマグモ Phrurolithus coreanus PAIK, 1991
雌2.5〜3mm,雄2〜2.5mm.成体出現期5〜7月.平地から山地に生息.都市部の庭園,公園,農家の周辺,河原,池や沼の周辺,樹林地の周辺,
林道などの落葉の中,草間の地表付近,地表面,土壌の隙間,石や倒木の隙間,草の葉上などを歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
ウラシマグモ,イナズマウラシマグモはよく似ている〔新海06〕.
小田原個体群で平均体長雌2.61mm,雄2.16mm.成体は5〜7月(ウラシマグモより一週間早い),
産卵期は6〜7月(ウラシマグモより一週間早い).飼育下で産卵する卵のう数は3〜5個.
卵のう長径6〜7・5mm,出のう数3〜4頭.越冬態は亜成体.
ウラシマグモと同所的に生息するが生殖器から明らかに別種〔池田・稲葉〕.
韓国で雌により記載された.雄の出現は5月初旬,雌は5月中旬〔池田AT98/99〕.
タイリクウラシマグモ Phrurolithus festivus (C. L. KOCH, 1835)
雌2.4〜3.5mm,雄2.2〜2.9mm,北海道と本州北部で採集.旧北亜区に広く分布.ウラシマグモ,イナズマウラシマグモに似ている.斑紋には
個体変異がある〔小野09〕.
ウスイロウラシマグモ Phrurolithus labialis PAIK, 1991
雌2.3〜2.4mm,4〜5月に広島県(井原採集)で記録〔加村AC50(1)〕.
雄2.8mm(10月鳥取県から1雄と8月岡山県から1雄)を記載,本州と韓国に分布〔加村AC54(2)〕.
時に外雌器全体が交尾栓によっておおわれることがある〔小野09〕.
ウラシマグモ Phrurolithus nipponicus KISHIDA, 1914
雌3〜3.5mm,雄2〜3mm.成体出現期5〜7月.平地から山地に広く生息.都市部の庭園,公園,農家の周辺,河原,池や沼の周辺,樹林地の周辺,
林道などの落葉の中,草間の地表付近,地表面,土壌の隙間,草の葉上などに見られる〔新海06〕.
成体は5〜7月,雌3〜3.5mm,雄2.5〜3mm,本州・四国・九州.落葉,土壌中を徘徊する.アリの巣の付近に多い〔東海84〕.外見でのイナズ
マウラシマグモとの区別は困難〔小野09〕.
神奈川県平塚市で6月24日交接,6月28日卵のう作成,7月2日ふたつめの卵のうを作る.
東京・山梨・長野・静岡・愛媛・福岡でトビイロシワアリの巣内に棲む.アリはこのクモを攻撃しない.
おそらくアリの体表成分を奪い取って自分に付けているのではないか〔小松實K95〕.
7月19日1頭出のうし,7月21日3頭出のうした.同日に採集した他の雌の個体で5つ卵のうを作ったものもある.
1卵のう中の卵数は平均2個であった〔杉崎K52〕.
乾燥に弱い.小田原市個体群で平均体長雌3.13mm,雄2.44mm.成体は5〜7月,産卵は6〜7月,
飼育下で産卵する卵のう数は3〜5個,卵のう長径6.5〜7.5mm,出のう数は4〜6頭.越冬態は亜成体〔池田・稲葉〕.
1991年5月18日,川崎市生田緑地で1雌に3雄がからんでいた〔熊田K63〕.
ヤバネウラシマグモ Phrurolithus pennatus YAGINUMA, 1967
雌3.5〜4.5mm,雄3〜3.5mm.成体出現期5〜8月.平地から山地にかけて広く生息,都市部に圧倒的に多い.神社・寺院の庭園,人家の庭や周
辺,公園,樹林地の周辺,
林道などの落葉の中,草間の地表付近,地表面,石や倒木の隙間,樹木の根元付近などに潜むが,歩き回って獲物を探すものも多い〔新海06〕.
成体は5〜8月,3.5〜4.5mm,本州.6〜7月に個体数が急増し,各地で普通に見られる時期がある〔東海84〕.国外ではロシア,中国,韓国から記
録がある〔小野09〕.
厚木で採集した雌が7月24日に産卵(卵塊は黄色で偏平な卵のう,シートの表面に土くれが付着されていた),
7月31日ふ化,8月10日出のう(4頭).7月30日産卵,8月6日ふ化,8月16日出のう(7頭)〔鈴木勝K46〕.
捕食行動;餌の方向に向き直りとびかかるが,取り逃がすことも多い.
ショウジョウバエ1頭を40〜60分で食べる.食欲がない時はハエが脚の上を通っても取らない.
脱皮行動;ドーム型の脱皮室を作る.脱皮前には1〜3脚を前方へ伸ばす.体を上下動させるとやがて背甲が外れる
(頭の先の方から外れる).体を丸め腹部を抜く.脱皮殻を外す.37〜51分かかる.
交接行動;雄は雌を探す時,触肢を地面にたたくように震わせている.雌を見つけると雄は雌の後方から体によじ登る.
交接時間は左右合わせて2時間程.一度交接した雄でも交接するが,一度交接した雌は雄から逃げた.
7月29日,千葉県内浦山でウラジロガシの根の奥に産卵している雌がいた.本種はしおり糸を引かない〔稲葉AT87〕.
小田原市の個体群の平均体長雄2・90mm,成体は6〜8月,産卵は7月中旬〜8月中旬.産卵する卵のう数は2個まで確認.
卵のう長径は7〜8mm,出のう数は5〜8頭,卵のう内で3回脱皮していると思われる.越冬態は幼体〔池田・稲葉〕
都市環境指標種〔新海98〕.
ヒトオビウラシマグモ Phrurolithus unifasciger (BOES. et STR., 1906)
五日市町養沢で採集〔新海77〕.ヒトオビトンビグモではないか〔池田〕.
コツブウラシマグモ Phrurolithus sinicus ZHU et MEI, 1982
成体は5〜6月,雌2.1mm,雄1.7mm,本州(京都・岡山),ロシア,中国に分布〔加村AC50(1)〕.雌2.0〜2.4mm,雄
1.5〜2.0mm,腹部背面の濃淡の差が著しい.
国外ではロシア,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
ネコグモ Trachelas japonicus BOES. et STR., 1906
雌3〜4mm,雄2.5〜3.5mm.成体一年中.平地から山地に広く生息.市街地の公園,草地,果樹園,茶畑,樹林地の周辺,
林道などの草の葉上,樹木の枝葉間,根元付近,草間の地表付近,落葉の中,地表面など歩き回って獲物を探す.
冬季はミノムシの蓑の中,枝に付いた枯れ葉の中からも見つかる〔新海06〕.
成体は1年中,3〜4mm,北海道・本州・四国・九州.草間,落葉中,果樹園や茶畑の地表を徘徊する〔東海84〕.国外ではロシア,中国,韓国から記録が
ある〔小野09〕.
葉裏に管状に近い袋状住居を作る〔新海69〕.
金沢の調査で越冬巣としてオオミノガのミノをよく利用している〔徳本・鍛冶AT82〕.
クサグモの古巣で越冬中のものあり〔松山他AT43〕.
7月12日長崎,葉巻の中に産卵〔大利AT38〕.
ドウシグモ Asceua japonica (BOES. et STR., 1906)
=Doosia japonica (BOES. et STR., 1906)
成体は5〜8月,3〜4mm,本州・四国・九州・南西諸島.カシ,サクラ,クスなどの樹皮上を徘徊する.その他,神社や寺院の石燈篭からも採集される
〔東海84〕.成体出現期5〜8月.夜間は樹皮の隙間,樹皮下に潜む.その他,神社や寺院の石灯篭からも採集されている〔新海06〕.「晩秋から早春にか
けて,小さい袋の中にかくれて越冬する(岸田40)」〔新海69〕.昭和13年の冬,深沢治男が芝公園の樹皮下で成体の雌雄を採集〔植村AT5〕.西南の
役の頃,佐賀にてデーニッツにより発見.老木の樹皮下,晩秋から早春にかけて糸製の袋中で越冬〔岸田AC5(2)〕.5月12日,八王子城跡の松の大木の
樹皮下より〔小野K39〕.日本固有〔小野09〕.
ヒアシホウシグモ Mallinella fulvipes (ONO et TANIKAWA, 1990)
雄6〜7mm,雌6〜9mmm,西表島,オキナワホウシグモに酷似するが,腹部班紋と歩脚の色彩で区別できる〔小野09〕.成体出現期7〜9月.樹林地
とその周辺に生息.昼間は落葉の中,倒木や石の下に潜み,夜間歩き回って獲物を探す〔新海06〕.石垣島でも1978年に雌採集〔八木沼H5(1)〕.
オキナワホウシグモ Mallinella okinawaensis TANIKAWA, 2005
雄6.6〜7.4mm(4月7月),雌5.6〜8.2mm(4月7月).沖縄島国頭村産(1997年7月27日加村採集)雌を正基準標本に記載,アマミ
ホウシグモに酷似し,外雌器では区別できるが雄の触肢はほとんど同じで区別できない〔谷川AC54(2)〕.
アマミホウシグモ Mallinella sadamotoi (ONO et TANIKAWA, 1990)
=Langbiana sadamotoi ONO et TANIKAWA, 1990
雄7.7mm(8月に幼体で飼育により1月に成体),雌6.5〜7.7mm(4月7月).奄美大島産雌を正基準標本に記載,オキナワホウシグモに酷似
し,外雌器では区別できるが雄の触肢はほとんど同じで区別できない.Jocque(1991)はLangbiana属をMallinella属のシノニム
とした〔谷川AC54(2)〕.似た種の雌が四国香川県で採集〔八木沼H5(1)〕.
ヤエヤマホウシグモ Mallinella shimojanai (ONO et TANIKAWA, 1990)
雄4〜5mm,雌5〜6mmm,西表島〔小野09〕.成体出現期7〜9月.樹林地とその周辺に生息.昼間は落葉の中,倒木や石の下に潜み,夜間歩き回っ
て獲物を探す〔新海06〕.1960年に雌幼体,1964年8月に雄成体採集.八木沼が1970年,1977年にタイワンホウシグモ Storeana
sp. とした種〔八木沼H5(1)〕.
ホウシグモ Mallinella hoosi (KISHIDA, 1935)
=Storena hoosi KISHIDA, 1935
成体は7〜9月,8〜10mm,四国・九州・南西諸島.昼間は落葉の中,倒木や石の下にひそみ,夜間徘徊して獲物を探す.局地的に多産する傾向がある
〔東海84〕.ホウシグモ科の特徴として,林内の地表をしおり糸を引かずに歩き回り,落葉の間に隠れていることが多く,主にシフティングによって採集され
る.樹上に生活する種や好蟻性の種がある〔小野09〕.過去の採集記録を整理した〔八木沼H5(1)〕.南方系のクモ.本州における採集記録は無い.平
地,山地の樹林地とその周辺,池や湖の周囲などに生息.神社や寺院の林などにもよく見られる.昼間は落葉の中,倒木や石の下に潜み,夜間歩き回って獲物を
探す.習性はほとんど知られていない〔新海06〕.卵のうや網,補食については不明〔石野田AT49/50〕.1989年8月21日,鹿児島県蘭牟田池で
雌成体,雄亜成体を採集.その後,10月12日と10月25日に最終脱皮.腹部から先に抜ける〔稲葉K60〕.
ヒトエグモ Plator nipponicus (KISHIDA, 1914)
雌雄7〜8mm,成体出現期6〜10月.最も扁平な体のクモ.農家,旧家,古い寺院などから採集される.
昼間は壁の隙間,柱の割れ目,床の隙間等に潜んでいる.夜間隠れ場所から出て壁や畳を歩き回って小型の昆虫やクモ等を捕える〔新海06〕.
雄雌7〜8mm,狭い間隙を好み,家屋のわずかな間隙(たとえば柱と敷居の間)などに身を潜める.また人家付近の墓地の石碑の間隙などでも見られる.
本州(京都・奈良・大阪).大阪市内の寺院や旧家でもっとも多く発見されている〔八木沼86〕.
植木をのせたブロックの穴で採集.現在まで屋内外で7頭発見〔牧野達也,いと25〕.
静岡県でも採集記録あり〔吉田真,いと32〕.奈良県で採集〔吉田真,いと38〕.大阪城公園で採集〔清水,いと40〕.
メスがオスを襲う〔吉田真,いと39〕.
イヨグモ Prodidomus rufus HENZ, 1847
雌4.5mm,屋内性のクモで,引き出しの奥や,押入れなどで見出されるが,採集記録は少ない.本州・四国・九州・南西諸島〔八木沼86〕.
国外では中国,ニューカレドニア,アメリカ合衆国,キューバ,アルゼンチン,チリ国から記録がある〔小野09〕.
ヒメトンビグモ Aphantaulax trifasciata (O. P.-CAMBRIDGE, 1872)
=syn. Aphantaulax seminigra SIMON, 1878
雄3.7〜4.0mm.西表島で8月に成体.欧州に分布.黒褐色の腹部背面に白帯が前端・中央・後端にある〔加村AC49(2)〕.
旧北亜区に分布〔小野09〕.
マユミテオノグモ Callilepis nocturna (LIMMAEUS, 1758)
雌5〜5.5mm,雄4〜5mm,成体出現期6〜8月.平地から山地に生息.
湖や沼の周辺,草原,河原,樹林地の周辺等の石や倒木の下,草間の地表,落葉中に見られる〔新海06〕.
雌5.2mm,雄4.4mm.北海道で6月に成体.欧州に広く分布.フタホシテオノグモによく似ているが,触肢・外雌器で区別できる〔加村AT89〕.
5月に雌をベートトラップで記録〔小野AC43(2)〕.旧北亜区に分布〔小野09〕.
フタホシテオノグモ Callilepis schuszteri (HERMAN, 1879)
雌5.5〜7mm,雄4〜5mm,成体出現期5〜8月.里山から山地に生息.
湖や沼の周辺,草原,河原,樹林地の周辺等の石や倒木の下,落葉の中,草間の地表付近等に見られる.地表面を歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
雌5.6〜7mm,雄4.4〜4.9mm.韓国・中国・欧州に分布.5月下旬〜7月に成体〔加村AT87〕.旧北亜区に分布〔小野09〕.
ハエミノチャクロワシグモ Cladothela auster KAMURA, 1997
雄6.0mm,雌6.2〜9.1mm,西表島を基準産地として記載.石垣島・波照間島にも生息.
2〜3月に雌雄成体.10月の雌もいる〔加村AC46(2)〕
エダイボグモ Cladothela boninensis KISHIDA, 1928
雄7.7mm,雌6.6〜9.1mm,小笠原諸島を基準産地として記載.6月に雌雄成体〔加村AC40(2)〕
チャクロワシグモ Cladothela oculinotata (BOES. et STR., 1906)
=Drassodes oculinotatus BOES. et STR., 1906
雌雄7〜9mm,成体出現期4〜8月.平地から山地に生息.河原,樹林地の中や周辺,林道等の落葉の中,石や倒木の下,
草間の地表付近に見られる〔新海06〕.
雄6.0〜7.8mm,雌6.4〜8.5mm,千葉・東京以西〔加村AC40(2)〕.国外では中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
成体は5〜8月,7〜9mm,本州・四国・九州.林内の落葉中,山道の草間,地表を徘徊する〔東海84〕.
ヒメチャワシグモ Cladothela parva KAMURA, 1991
雄4.6〜5.5mm,雌4.7〜5.4mm,京都市京大農場を基準産地として記載.6〜7月に雌雄.
東京・大阪・奈良・兵庫・愛媛・福岡・西表島に分布〔加村AC40(2)〕.
中国からも記録がある〔小野09〕.
ムナキワシグモ Cladothela unciinsignita (BOES. et STR., 1906)
雄4.3〜6.7mm,雌6.0〜8.0mm,東京・大阪・三重・兵庫・福岡・佐賀〔加村AC40(2)〕
テカギワシグモ Coreodrassus lancearius (SIMON, 1893)
雌9〜9.5mm,雄7.5〜8.5mm,北海道で採集.国外ではカザフスタン,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
アカクロワシグモ Drassodes depilosus DOEN.et STR., 1906
伊豆大島で採集記録.以来記録なし〔新海69〕.
イサゴワシグモ Drassodes lapidosus (WALCKENAER, 1802)
成体は6月,雌12・4mm,雄10mm,北海道・本州(長野県等の高地)〔林AT85〕.旧北亜区に分布〔小野09〕.
北海道大雪山黒岳約2000mからベ-トトラップで7月に雌雄を記録,ヨーロッパ産とほんの少し違いがあるが変異の範囲〔小野AC43(2)〕.
ウブゲワシグモ Drassodes pubescens (THORELL, 1856)
雌8.8mm,長野県菅平にて7月29日採集,ヨ-ロッパおよびチベットにも分布〔加村AT100〕.旧北亜区に分布〔小野09〕.
トラフワシグモ Drassodes serratidens SCHENKEL, 1963
雌9〜13mm,雄8〜10mm,成体一年中.平地から山地まで生息.草原,池や沼の周辺,河原,樹林地の周辺,林道等の草間の地表付近,落葉の中,倒
木の下等に管状または袋状の住居を作って潜む〔新海06〕.
成体は1年中,雌11〜13mm,雄8〜10mm,本州・九州.草原,山道などの地表,落葉上を徘徊する〔東海84〕.国外ではロシア,中国,韓国から記
録がある〔小野09〕.
エビチャヨリメケムリグモ Drassyllus sanmenensis PLATNICK et SONG, 1986
エビチャケムリグモ Zelotes praeficus L. KOCHとされたものである〔八木沼86〕.
雌5〜8mm,雄5〜7mm,成体出現期5〜9月.平地から山地に生息.草原,河原,樹林地の周辺,林道等の落葉の中,草間の地表付近,地表面,石や倒
木の間を歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
雄5.4〜6.8mm,雌4.6〜8.2mm,北海道・本州・四国・九州・中国に分布.5〜11月に成体採集〔加村AC35(2)〕.
幼体に蟻卵を与えると食べる〔稲葉K57〕.国外では中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
ヤマヨリメケムリグモ Drassyllus sasakawai KAMURA, 1987
雄5.2〜7.1mm,雌5.6〜7.9mm.本州・九州に分布.
4月下旬〜8月に成体〔加村AC35(2)〕.
北海道からベートトラップで記録〔小野AC43(2)〕.
チクニヨリメケムリグモ Drassyllus shaanxiensis PLATNICK et SONG, 1986
中国産の雌により記載された.雄の報告は千国1989による.雌3.9〜6.4mm,雄6.4mm.長野県・東京都・福井県から記録〔加村AT95〕.
北海道からベートトラップで7月に雌を記録〔小野AC43(2)〕.国外ではロシア,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
ヒメヨリメケムリグモ Drassyllus yaginumai KAMURA, 1987
雄4.8〜5.9mm,雌5.3〜7.2mm.京都で6〜7月に成体採集〔加村AC35(2)〕.
アカギメキリグモ Gnaphosa akagiensis HAYASHI, 1994
雄5.9mm,雌7.4mm.群馬県赤城山.森林公園で5月に成体採集〔林AC43(2)〕.
カワラメキリグモ Gnaphosa kamurai OVTSGARRENKO, PLATNICK et SONG, 1992
=Gnaphosa alberti SCHENKEL, 1963として再記載.北海道,本州の河原の石の下に生息〔加村1988〕.
日本産のものは新種だった〔加村AC42(1)〕.
沖縄県名護市の海岸で満潮線と植物の生え際の玉砂利に生息〔谷川K60〕.
北海道からベートトラップで記録〔小野AC43(2)〕
メキリグモ Gnaphosa kompirensis BOES. et STR., 1906
雌6〜14mm,雄5〜8mm,成体一年中.平地から山地に生息.河原,池や沼の周辺,草原,林道等の石の間,石や倒木の下.地表面,草間の地表付近,
落葉の中を
歩き回って獲物を探す〔新海06〕.産卵期には主に石の下のくぼみに白色の卵のうを作り,その上に乗って保護する〔新海06〕.
成体は1年中,8〜10mm,全土.地表徘徊性〔東海84〕.国外ではロシア,中国,韓国,ベトナムから記録がある〔小野09〕.
石や落葉の間,地表を歩き回る.河原の石の隙間に特に多く見られる〔森林87〕.
畑地の塵芥・土塊下に住む.初生クモ・幼体・亜成体で越冬〔中平AT23/24〕.
北海道からベートトラップで記録〔小野AC43(2)〕
アシハラメキリグモ Gnaphosa primorica OVTSHARENKO, PLATNICK et SON, 1992
雌は未知,雄5.2〜8.1mm,ロシアで記載された〔小野09〕.千葉県柏市手賀沼湖畔にて雄発見.単眼2個の奇形だった〔小野・工藤泰恵
AC45(1)〕.
モリメキリグモ Gnaphosa potanini SIMON, 1895
Gnaphosa silvicola KAMURA, 1988として記載〔加村88,Akitsu97〕.
群馬県から記録,モンゴル.ソ連東部など東アジアに分布〔林AC43(2)〕.国外ではロシア,モンゴル,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
シベリアメキリグモ Gnaphosa sticta KULCZYNSKI, 1908
北海道の約2000mの高地からベートトラップで記録,シベリア東北部にも分布〔小野AC43(2)〕.
北海道では風穴地の岩塊地に生息〔松田AC52(2)〕.
キタグニハイタカグモ Haplodrassus cognatus (WESTRING, 1861)
=Drassus cognatus WESTRING, 1861
成体は7月,雌10.4mm,北海道上士幌町.全北区に広く分布する〔加村AC44(2)〕.
雄7.7mmを上士幌町で松田採集,6月26日から7月4日までの間〔加村AC55(2)〕.旧北亜区に分布〔小野09〕.
ムサシハイタカグモ Haplodrassus hatsushibai KAMURA, 2007
成体は4〜7月,雌4.4〜5.3mm,雄5.1mm,
東京都国立市オオタカの森の雌雄(2006年4月13日雄.18日雌,初芝採集)で記載,
北海道タイキ町ホロカヤントウ沼の北東岸で採集あり〔加村AC55(2)〕.
カズサハイタカグモ Haplodrassus kanenoi KAMURA, 1995
成体は5月,雌6.4〜9.6mm,雄6.4〜7.1mm,千葉県木更津市から3月雌雄成体〔加村AC44(2)〕.
徳島県でも1雌採集〔加村AC55(2)〕.トカチハイタカグモに似る〔小野09〕.
トカチハイタカグモ Haplodrassus mayumiae KAMURA, 2007
成体は5〜7月,雌6.5mm,雄5.8〜6.7mm,
北海道豊頃町十勝川河口付近産の雌(1993年6月9〜27日,柴田K採集)で記載,
阿武隈川流域で採集あり〔加村AC55(2)〕.カズサハイタカグモに似る〔小野09〕.
ホウキハイタカグモ Haplodrassus nojimai KAMURA, 2007
=ホクイハイタカグモ
成体は7月,雌4.1〜4.9mm,雄不明,
鳥取県倉吉市天神川流域産の雌(1996年7月30日,野嶋採集)で記載〔加村AC55(2)〕.
ハイタカグモ Haplodrassus pugnans (SIMON, 1880)
=ハイタカグモ Haplodrassus signifer (C. L. KOCH, 1839)
成体は5月,雌7・6mm,雄5・9mm,北海道,全北区に広く分布する〔林AT85〕.
雄(2〜5月)4.1〜6.2mm,雌(2〜5月)5.6〜8.9mm,滋賀・兵庫・鳥取・広島で採集〔加村AC55(2)〕.旧北亜区に分布〔小野
09〕.
ヒトオビトンビグモ Hitobia unifascigera (BOES. et STR., 1906)
=Poecilochroa unifascigera (BOES. et STR., 1906)
成体は6月と9月,雌5.4〜6.4mm,雄3.9〜4.2mm.樹上生活をすることが多いようだ〔加村AT85〕.
新属Hitobiaを立てた〔加村AC41(2)〕.国外では中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
シノノメトンビグモ Hitobia asiatica (BOES. et STR., 1906)
=Callilepis asiatica BOES. et STR., 1906
=Berlandia asiatica
雌5.5〜8mm,雄4〜5mm,成体出現期7〜9月.平地から山地に生息.神社・寺院の庭園,公園,郊外の人家の周辺,樹林地などの樹木の根元付近,
樹皮下,
草間の地表付近,落葉の中などに潜み,夜間歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
歩き回って獲物を探す〔新海06〕.雄3.9〜4.3mm,雌5.6〜7.8mm.東京・神奈川・静岡・石川・大阪・岡山・山口で7〜8月に記録〔加村
AC41(2)〕
フタオビトンビグモ Hitobia yasunosukei KAMURA, 1992
雄は未知.雌は6.0mm.沖縄県本部半島で6月に採集.千国の図鑑のトンビグモの一種〔加村AC41(2)〕.国外では中国から記録がある〔小野
09〕.
ヨツボシワシグモ Kishidaia albimaculata (SAITO, 1934)
=Castianeira albimaculata S. SAITO, 1934
=Kishidaia quadrimaculata YAGINUMA, 1960
雌7〜9mm,雄5〜6mm,成体出現期6〜8月.山地に生息.草原,河原,水田の周辺,樹林地の周辺,林道などの草や低木の葉上,茎や枝などの間を歩
き回って獲物を探す〔新海06〕.
産卵期には葉を数枚集めたり,ススキなどイネ科植物の葉を曲げたりして住居を作り,その中に産卵する〔新海06〕.
成体は7〜8月,雌7〜9mm,雄6〜6.5mm,北海道・本州・四国・奄美大島.山道の落葉上,地表を徘徊する.
個体数は比較的少ない〔東海84〕.雄4.4〜6.5mm,雌2.9〜3.8mm,本種を模式属に
ブチワシグモ属Kishidaiaの属徴を記述,ロシアに分布〔加村AC50(2)〕.国外ではロシア,中国から記録がある〔小野09〕.
雄5〜6・5mm.成体は6〜8月.草の間,落葉の中,地表を歩き回るが,ワシグモ科には珍しく葉の上にいることが多い.
草の葉を曲げて産室を作る〔森林87〕.
韓国にも分布〔加村AT87〕.
梶が森にてカバキコマチグモの脱皮室の空いたのに産卵して守る(6月26日).
イタドリやヒヨドリバナの葉を折り曲げて,出入り口のある住居兼産室を作り,
その奥に卵のうを置いて守る(7月3日)〔中平AT43〕.
ヨツボシワシグモの一種 Kishidaia conspicua (L. KOCH, 1866)
Melanophoraで原記載,ヨーロッパから中央アジアに分布〔加村AC50(2)〕.
ヨツボシワシグモの一種 Kishidaia coreana (PAIK, 1992)
韓国で原記載〔加村AC50(2)〕.
ヒタキグモ Leptodrassus nipponicus KISHIDA, 1913
品川で採集記録(1939年)〔新海69〕.
タカネツヤグモ Micaria alpina L. KOCH, 1872
雄3.6mm(9月),雌4.3mm(7月),大雪山黒岳,約2000mでベートトラップで記録,全北区に分布〔小野AC43(2)〕.
ヒゲナガツヤグモ Micaria dives (LUCAS, 1846)
雌雄2.5〜3mm,成体出現期5〜8月.平地に多く生息.市街地の公園,庭園,河原,荒れ地,草地,樹林地の周辺などの石の下や間,地表面,落葉の
中,草間の地表付近などに見られる〔新海06〕.
雌2.6〜3.0mm,雄2.8mm.触肢が長く,腹部側面に白班.ヨーロッパと中国に分布.兵庫県で記録〔加村AT95〕.旧北亜区に分布〔小野
09〕.
成熟期は4〜6月.生息環境は河川敷の乾燥した砂地の地表,草本の生育する地表や岩の下,砂地.
平地〜低山,標高650m以下.多いのは河川敷中流域の草地の枯葉下である.
草本が生えていない4〜5月が採集しやすい〔初芝K92〕.
線路の敷石の下にも生息する〔池田2008〕.
ヤマトツヤグモ Micaria japonica HAYASHI, 1985
雌4〜4.3mm,雄2.5〜3.8mm,成体出現期5〜7月.山地に生息.草原,河原,樹林地の周辺,林道などの石の下や間,地表面,落葉の中,草間
の地表付近などに潜むが,
歩き回っていることも多い.各地に分布していると思われるが採集記録は少ない〔新海06〕.国外ではロシア,韓国から記録がある〔小野09〕.
記載された〔林1985,Proc. Jpn. Soc. syst. Zool〕.
河川敷で落葉シフティングで採れる.調布市では越冬態は幼体,雌雄成体は3月初旬から見られる〔荘司K96〕.
チビツヤグモ Micaria pulicaria (SUNDEVALL, 1831)
雄3.9mm,北海道羅臼岳で8月〔加村AT100〕.8月,大雪山,約900mでベートトラップで記録,全北区に分布〔小野AC43(2)〕.
ヤマトフトバワシグモ Odontodrassus hondoensis (SAITO, 1939)
雌2.6〜3.5mm,雄2.2〜3.4mm〔小野09〕.
再記載〔加村, 1987,Proc. Jpn. Soc. syst. Zool〕.河川敷で落葉シフティングで採れる.調布市では越冬態は幼体,雄成体は4月下旬
から,雌成体は5月中旬から見られる〔荘司K96〕.
国外ではロシア,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
ミナミフトバワシグモ Odontodrassus aphanes (THORELL, 1897)
=syn. Odontodrassus javanus (KULCZYNSKI, 1911)
南硫黄島から6月に雌を記録〔加村AT95〕.東南アジア,セイシェル,ニューカレドニア,ジャマイカで記録〔小野09〕.
タソガレトンビグモ Phaeocedus braccatus (L. KOCH, 1866)
雄4.2mm.岡山県苫田郡奥津町.長野県諏訪市から記録.7月に雄成体採集〔加村AC44(1)〕.旧北亜区に広く分布〔小野09〕.
ホシジロトンビグモ Sergiolus hosiziro (YAGINUMA, 1960)
=Poecilochroa hosiziro YAGINUMA, 1960
雌6〜8mm,雄5〜5.5mm,成体出現期6〜7月.平地から山地に生息.神社・寺院の庭園,公園,樹林地の周辺,河原,林道などの草間の地表付近,
石や倒木の下や間,地表面,落葉の中,樹木の根元付近,樹皮下などに潜んでいるが,歩き回っていることも多い〔新海06〕.
雌6.1〜7.9mm,雄5.1〜5.3mm.韓国にも分布.6月に雌雄成体採集(京都・大阪・神奈川)〔加村AT87〕.国外では中国,韓国から記録が
ある〔小野09〕.
Sergiolus(ブチトンビグモ)属に転属〔加村AC47(2)〕.
マエトビケムリグモ Sernokorba pallidipatellis (BOES. et STR., 1906)
=Zelotes pallidipatellis (BOES. et STR., 1906)
雌5〜8mm,雄4.5〜6.5mm,成体出現期5〜8月.里山から山地に生息.草原,樹林地の周辺,林道などの地表面,草間の地表付近,石や倒木の下
や間,落葉の中,樹木の根元付近などに潜むが,
歩き回って獲物を探すことも多い〔新海06〕.
成体は5〜8月,6〜8mm,本州・四国・九州.山道の落葉上,地表を徘徊する〔東海84〕.国外では中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
雌6〜8mm,雄5〜7mm.成体は5〜6月と9〜10月.産卵期,卵のうの形,卵数は不明である.
昼間は落葉,倒木,石の下などにひそんでいる.獲物に出会うと前脚でかかえこむようにして捕らえる〔森林87〕.
新属Sernokorbaを立てた〔加村AC41(2)〕.
ナミトンビグモ Sanitubius anatolicus (KAMURA, 1989)
=Herpyllus anatolicus KAMURA, 1989
雌6〜7mm,雄4〜5mm,成体出現期5〜8月.平地から山地に広く生息.神社・寺院の庭園,公園,草原,樹林地の周辺,河原,林道などの草間,草間
の地表付近,
樹木の根元付近,樹皮下,落葉の中などを歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
雄3.8〜5.5mm,雌5.3〜7.3mm.本州・四国・九州,韓国に分布,新設の
ムモントンビグモ属に転属〔加村1989,AC50(2)〕.国外では中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
トラフグモ Scotophaeus striatus KISHIDA
丹沢で採集〔山川・熊田73〕.
タイプ標本がない.トラフワシグモと同種の可能性がある.学名は無効とする〔八木沼AT82〕.
5cm位の分厚いタナ網を張っていた〔松山他AT43〕.
ナンゴクケムリグモ Trachyzelotes kulczynskii (BOSENBERG, 1902)
雄3.7〜4.3mm,雌4.2〜6.0mm.2〜3月に雌雄成体.西表島・石垣島・与那国島に分布〔加村AC(2)〕.国外ではバルカン半島,カリブ
海の島々,コロンビア,サモアから記録〔小野09〕.
カバキケムリグモ Urozelotes rusticus (L. KOCH, 1872)
=Zelotes rusticus (L. KOCH, 1872)
=Drassodes pater BOES. et STR., 1906
=ハイバラワシグモ Drassodes rotundifoveatus BOES. et STR., 1906
雌8〜9mm,雄7〜8mm,成体出現期7〜8月.平地に多い.主に屋内に生息.人家,納屋,工場などの内外に見られる.部屋の隅,畳の上,壁面,窓
枠,梁,縁の下,
人家周辺の地表面,公園のトイレなどで採集されている.
屋内性のため調査が難しく,採集記録は非常に少ない〔新海06〕.人為分布で世界中に広く分布〔小野09〕.
雌8〜9mm,雄7〜8mm,成熟期は7〜8月,本州・九州,人家付近の地表を徘徊〔千国89〕.
屋内徘徊性のクモである.カバキコマチグモの色と似るがやや淡色.(British Sp. 112にあり)〔新海77〕.
6〜7月頃,家の中を調査すると得られる〔林AT82〕.
Urozelotes属に転属.ハイバラワシグモは佐賀.金毘羅産で記載された〔加村AC47(2)〕.
都市環境指標種〔新海98〕.
クロチャケムリグモ Zelotes asiaticus (BOES. et STR., 1906)
雌5〜8mm,雄4.5〜5.5mm,成体一年中.平地から山地に広く生息.草原,河原,池や沼の周辺,樹林地の中や周辺,林道などの地表面,草間の地
表付近,石や倒木の下や間,落葉の中などを歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
成体は1年中,雌7〜8mm,雄5〜6mm,本州・四国・九州.山道の落葉上,地表を徘徊する〔東海84〕.
北海道からも記録,韓国.中国にも分布〔小野AC43(2)〕.沖縄県.西表島でも採集された〔加村AC48(2)〕.国外では中国,韓国,台湾から記録
がある〔小野09〕.
雌5〜8mm,雄4.5〜6mm,落葉の間,地表を歩き回る〔森林87〕.
メキリグモに次いで採集例が多い.春から秋にかけて乾いた落葉の中で得る〔林AT82〕.
京都市深泥池湿原にて成体は春・秋,亜成体は春に出現,
春の幼体は小さく,夏にかけて大きく,秋には再び小さな個体が現れる.
飼育の知見と合わせて,5〜7月に産卵,17〜34日後出のう,幼体は秋の終わりまである程度成長し(2〜5齢),越冬に入る.
翌春,成長を始め,夏に亜成体,秋に成熟し(8回脱皮),成体越冬の後,春に交接し,その後産卵.2年1化〔加村AT87,AC42(2)〕.
神奈川県平塚市で6月24日に採集,飼育下で7月11日産卵.親は18日死亡,31日7頭出のう(2令),8月19日脱皮して3令となる.
9月8日4令脱皮,9月21日5令脱皮,10月4日6令脱皮〔渋谷K52〕.
ビフカケムリグモ Zelotes bifukaensis KAMURA, 2000
雄5.9mm,北海道美深町小車峠にて1990年8月16日雄採集で記載,西川喜朗採集.
1989年7月7日羊蹄山でも雄採集(保田による)〔加村AC49(2)〕.
コブシケムリグモの雌として(7mm),7〜8月に北海道から
採集されたが,本種はビフカケムリグモの雌であった.
雄4.9〜5.9mm,雌5.1〜7.3mm〔加村AC43(2),小野AC43(2)〕.
タイリクケムリグモ Trachyzelotes jaxartensis (KRONENBERG, 1875)
=Zelotes cavaleriei SCHENKEL, 1963
6月20日雌採集,屋内徘徊性〔林AT82〕.9〜10月に亜成体.12〜5月に成体を確認〔須賀・小笠原幸恵,蜘蛛30〕.全北区に広く分布,他にセ
ネガル,南アフリカ,ハワイからも記録〔小野09〕.
ドナンケムリグモ Zelotes donan KAMURA, 1999
雄4.3mm,雌5.4mm,与那国島で採集〔加村AC48(2)〕.
チビケムリグモ Zelotes exiguus (MULLER et SHENKELL, 1895)
雌3.5mm,福岡県にて採集,ヨーロッパおよび中国に分布〔加村AT100〕.旧北亜区に広く分布〔小野09〕.
ツヅラケムリグモ Zelotes flexuosus KAMURA, 1999
雄は未知,雌4.5〜6.4mm,沖縄島で採集.記載.一見ケムリグモらしくない,
ミヤコケムリグモやリュウキュウケムリグモに似る〔加村AC48(2)〕.リュウキュウケムリグモの雄
として記載したものが本種の雄であった,雄4.0〜5.8mm,雌4.3〜6.4mm,
沖縄島国頭村与那から採取された個体は本種〔加村AC52(1)〕.
ミヤコケムリグモ Zelotes gladius KAMURA, 1999
雄4.6〜4.9mm,雌4.8〜6.6mm,池間島・都島で採集.記載.
一見ケムリグモらしくない形態で,リュウキュウケムリグモやツヅラケムリグモに似る〔加村AC48(2)〕.
コブシケムリグモ Zelotes hayashii KAMURA, 1987
雄5.4mm,北海道糠平で7月採集.雌は未知〔加村87“AKITU"85〕.
雌7mm,7〜8月に採集された〔加村AC43(2),小野AC43(2)〕が,本種はビフカケムリグモの雌であった.
正しい雌(6mm)を記載した〔加村AC52(1)〕.
イリオモテケムリグモ Zelotes iriomotensis KAMURA, 1994
雄4.7〜7mm,雌4.9〜8.5mm,西表島にて採集〔加村AC43(2)〕.石垣島・波照間島で採集された.ニシカゼケムリグモに似る〔加村
AC48(2)〕.
西表島で3・4・12月に雄,3・4月に雌〔谷川K70〕.
ミカドケムリグモ Zelotes kimwha PAIK, 1986
=Zelotes tintinnus PAIK, 1986
雄7.2mm,長野県菅平(標高1320m)にて1978年8月29〜30日に採集(春沢&土井による).韓国で原記載〔加村
AC49(2)〕.
韓国で雌だけで記載されたZelotes tintinnus PAIK, 1986は本種の雌であった.1979年5月下旬に韓国Sudosanで
採取された雄6.7mm,雌10.1mm〔加村52(2)〕.
ヒロズケムリグモ Zelotes potanini SCHENKEL, 1963
雌6.5mm,雄4〜5.2mm.滋賀県で7月成体採集.中国に分布〔加村AT89〕.
リュウキュウケムリグモ Zelotes ryukyuensis KAMURA, 1999
雄4.6〜5.8mm,雌4.4〜6.5mm,沖縄島・池谷島で採集.記載.一見ケムリグモらしくない.
ミヤコケムリグモやツヅラケムリグモに似る〔加村AC48(2)〕.リュウキュウケムリグモの雄として
記載されたものはツヅラケムリグモの雄であり,RTAの形態で識別する.4.7〜5.5mm,
沖縄の分布では沖縄島の名瀬.今帰仁地域と伊平屋島は本種だが,ヤンバル地域はツヅラだった〔加村AC52(1)〕.
クロケムリグモ Zelotes tortuosus KAMURA, 1987
Z. davidi SCHENKELとしたもの〔八木沼86〕.
雄4.0〜5.3mm,雌4.2〜7.0mm.本州・九州に分布.9〜2月,福岡では4〜5月に成体採集〔加村87“AKITU"85〕.
ニシカゼケムリグモ Zelotes zephyrus KAMURA, 1999
雄6.1mm,雌5.5mm,与那国島で採集.記載.イリオモテケムリグモに似る〔加村AC48(2)〕.
アワセグモ Selenops bursarius KARSCH, 1879
雌11〜13mm,雄7〜8mm.成体出現期5〜8月.平地から山地に生息.人家の内外,壁や塀,電柱,太い樹木等に見られる扁平な体のクモ.
昼間は壁や塀の隙間,柱の割れ目,樹皮下などに潜んでいるが,夜間隠れ場所から出て脚を広げて静止し,接近するハエ,カ,ガ,羽アリなの昆虫を捕える〔新
海06〕.
石の間等を歩き回ったり,石や倒木の陰に潜んだりして獲物を探す〔新海06〕.
成体は7〜8月,雌11〜13mm,雄7〜8mm,本州・四国・九州・南西諸島.
古い家屋に生息する〔東海84〕.国外では中国,韓国,台湾から記録がある〔小野09〕.
成体は7〜9月.屋内徘徊性のクモだが,野外の樹皮下,植木鉢の下などにも見られる.
昼間は天井の隙間や物陰にひそみ,夜間歩き回ってハエ,カ,小型のゴキブリなどを捕らえる.
本州(神奈川県以西の太平洋岸),四国,九州,沖縄に分布〔森林87〕.
1992年5月10日の夜間,京都府洛北の鷺森神社の杉2本に39頭が集中,体長12〜4mmで成熟に数年を要すると思われる〔新海明K65〕.光には反
応しないが振動にはきわめて敏感〔新海明,蜘蛛25〕.
長崎で,8月21日に産卵.黄色の78卵を簡単に糸で固定し,その外に紙状の保護糸を張る.29日に第1回脱皮,9月2日卵のう内をはい回る〔大利
AT30〕.
ホソミアシダカグモ Heteropoda simplex JAGER et ONO, 2000
2004年6月19日宮古島で雌雄,6月21日与那国島で雌雄〔谷川K86〕.
トカラアシダカグモ Heteropoda tokarensis YAGINUMA, 1961
雌17〜24mm,雄14〜17mm.トカラ列島中之島を基準産地が,やや小型である以外,アシダカグモとの差異は不明確〔小野09〕.
アシダカグモ Heteropoda venatoria (LINNE, 1767)
=Sarotes aulica L. KOCH, 1878
=Sarotes invictus L. KOCH, 1878
雌25〜30mm,雄15〜25mm.成体一年中.人家,神社,寺院,納屋,蔵,塀など建物に生息.昼間は壁・塀の隙間,柱の割れ目,物陰等に潜んでい
るが,夜間隠れ場所jから出て,
天井,障子,壁,塀,縁の下,土台石等で脚を広げて静止し,接近するゴキブリ・ハエ・蛾・蚊・ハサミムシを捕える.6〜8月に円盤状の卵のうを持ち運ぶ
〔新海06〕.
成体は1年中,雌25〜30mm,雄15〜20mm,本州(千葉県以南)・四国・九州・南西諸島.屋内に生息して夜間徘徊し,
ゴキブリ,ハエなどの屋内害虫を捕らえる.産卵期は6〜8月で,円盤状の白色の卵のうを口にくわえて持ち歩く.
北上傾向を示す〔東海84〕.
産卵期は5〜8月で白色の最中のような卵のうを口にくわえ,触肢と第3脚で抱くようにして持ち歩く.
1卵のう中の卵数は300〜600個.最少で188個,最多で900個の記録がある〔森林87〕.
1951年8月23日,八丈島・三宅島からも既知〔高島AC13(1)〕.ラオスから記録〔Jager他AC58(1)〕.
感覚毛は第2回脱皮以後明瞭になり,第4回脱皮後発達が目立つ.第10回脱皮で成体となるが,産卵後にも脱皮が行われる〔萱島AT73〕.
産卵期の6月と8月,低温の1〜2月は補食しない.多い時には月に19頭のゴキブリを補食する.
1頭の吸収消化に要する時間は6〜8分〔萱島AT70〕.
0.5〜1ルクスでよく隠れ場所から出てくる.一箇所に長く留まり,餌の来るのを待つ.
補虫動作は敏捷で餌を目で捕らえている.明るすぎるとクモは普通の補虫動作ができなくなる.
産卵の時期の遅いものほど,卵期が短い〔萱島AT68〕.
卵のうを持つ雌を補食している雌を見つけた〔中平AT55〕.
三重県にて15mm位の左半身がまっ黒で,右半身が淡褐色の個体発見〔八木沼AT55〕.
雄の脱皮を飼育条件で調査した.給餌は2〜3日に一度で,自然条件より小型となった.
7月に産卵された卵よりふ化して第1回脱皮まで24日間,第2回は不明,第3回は第1回脱皮から30日後,
以下25〜36日後に第4回,29日後に第5回,10月より越冬体勢に入り7カ月後,第6回,
その後は19〜37日間隔で成体になるまで9回脱皮した1頭と10回脱皮した2頭がある.
約ふ化後13カ月程で成体となる.交接後,大部分の雄は冬までに死亡するのだろう〔新海AT45〕.
7月9日の卵のうに653頭の子グモがいた〔大利AT29〕.
いろいろな段階で越冬する.5月中旬〜9月上旬に,直径30〜40mmの白色・円形もなか状の卵のうを体下に抱く.
卵は1・7mm内外で球形.1卵のう中に800〜900卵.1ケ月後にふ化する〔中平AT23/24〕.
静岡県下田町にて,1944年6月12日に産卵された卵の内,1頭が飼育下で
1945年9月9日に最終脱皮をして(ふ化後10回目)雌となり,1週間後に交尾をした.
自然状態の個体よりやや小型〔関口AT9(3/4)〕.
午前1時より1時間かかって最終脱皮をした.吊り下がらずに脱皮した例では不成功.
成長の全期間,背甲が後縁で裂けて前方へ開く.
雄は脱皮後4日位で精液移入,精液網は硝子面と桟にまたがって作られた.
交尾は宵7時から9時頃(明け方の例もある),2時間から3時間30分行われる.
雄は第2脚を上下に振る.雌の体に触れた際に雌が攻撃または逃避の態度を示さなければ,
雄は前進,向い合う雌の前方からその背面に乗り,頭胸部を雌の腹部背面に持って行って,
触肢が雌の生殖孔に達する様に斜めに位置する.触肢は左右交互に用い,交互に雌の反対側に行って
10から30秒を要して精液を射入する.
交尾後,雌雄は離れ,雌が雄を食することはない.雄は何度か交尾をした後,飢餓の雌に食われるか,自然死し,
ふ化後2年目にして冬を前に死ぬ.雌は10月末に積藁や天井裏の隙間に入って越冬,
翌年4月末に活動し始め,5月上旬に与えられる餌をよく取るようになる.
1942年8月29日に交尾して翌6月3日に産卵,同9月5日に交尾して翌6月9日に産卵と,
翌年6月上旬から8月下旬に産卵,通常早朝,垂直な壁面を利用して
300から400卵を含む黒白色のモナカ状の卵のうを作り,卵のう内でふ化し一回脱皮するまで卵のうを保持する.
出のうに際しては自ら卵のうの口を開いて押し出す.
子グモは10から15日間隔で脱皮を繰り返して成長する〔関口AC9(1/2)〕.
飼育下では垂直面に産卵した卵塊は流れ落ちてしまう.卵のう製作過程はまず片側(下側)が張られ,
卵塊がその上に産みつけられ,次に上側が絹布で覆われ,
最後に触肢で周囲に残った絹布の縁が始めに作られた絹布の下側にまつわりつけられる.
卵のうの余分の縁を折り返す時に糸を用いない.これはウヅキコモリグモも同様.
親グモは保持している卵のうを時々回転させる.188,189,202,344,431,436卵.
産卵後12日目で動き始めたクモ(10日目にふ化した)の7個体中4個体までが,
傍の発生の遅れた卵にかみついて共食い(コガネグモにも見られる).13日目で15個体までがふ化した.
それ以降10日間卵のう内に留まり,脱皮して活動的となって2,3日後に親グモが大顎と触肢で開のうする.
風通しのよい家屋の庇の突端などで開くのだろう.母グモは2,3日して死ぬ.子グモは共食いをする〔関口AC8(4)〕.
飢餓,寒気に対する抵抗力を有するが房総以西に分布する〔関口AC8(3)〕.
無精卵を食べた〔胡沢K60〕.
オオモンクロベッコウに狩られる〔中村AC5(2)〕.
天保年間の乾物標本あり〔加藤AC1(4)〕.
飼育中に産卵.6月2日午後11時,垂直な壁面に長径55mmの糸を張りめぐらす.中央部30mm位を厚く張る.
11時30分しばらく休む.頭を下にして産卵.その後,糸を上からかける.
最後に下のへりをはがして上へ折りかえしてコイン型となる(〜午前0時半)〔松浦K45〕.
出のうした子グモでは雌は腹部が太く,腹部上面中央に淡褐色の横斑があり,
雄では腹部が細く,腹部両側に淡褐色の点斑がついている.
また雄では触肢付節に雌にない不鮮明なすじがある.9年7ケ月飼育下で生存した雌について記す.
1969年5月15日産卵された.6月20日〜22日ふ化,6月29日〜30日脱皮.チャガラタマバエ(仮称)をよく補食.
第2回脱皮7月26日(脱皮殻の頭胸部長1・5mm).ショウジョウバエとチャガラタマバエを補食(占座円の直径7・4mm.
歩脚の先端を結んだ円を占座円とする).第3回脱皮8月18日(脱皮殻頭胸部長2mm,占座円直径14・3mm.以下同様).
脱皮前は補食しなくなる.第4回脱皮9月30日(2・4mm,25・3mm).ショウジョウバエとオオクロバエを補食.
室温5℃以下で補食しなくなる.2年目,3月2日ショウジョウバエを補食した.
翌日から10頭ずつ与え?.5月ゴキブリの幼体を7日に一度与えた.
第5回脱皮5月13日(2.6mm,31.9mm),毎日食べ残さない程度にイエバエかゴキブリ幼生を与えた.
第6回脱皮6月16日(5mm,45.1mm).
第7回脱皮7月8日(6.9mm,61.3mm).ゴキブリ亜成体を補食.
第8回脱皮7月28日(8.6mm,72mm).ピョンととぶようになった.
第9回脱皮8月27日(9.9mm,84mm).
第10回脱皮(10.1mm).外雌器が成熟したが雄と同居させても交接しなかった.
11月20日頃から越冬,3月5日にゴキブリを補食.ゴキブリの後脚剛毛で口器に傷を負う.
3年目は1日2頭のゴキブリ成体(後脚腿節以下切断)を与える.
5月10日,雄は雌を見ると求婚(触肢と2脚の動作),真夜中に精網を作り,精子を導入,その後10分求婚し,交接した.
5月16日午前5時すぎ,産座を作り始めた.産卵.卵のうを抱えたのは7時2分だった.
7月4日,出のう,約250頭.風を利用して分散していった.10月6日に第11回の脱皮をした(頭胸部長12.3mm)〔萱嶋K47〕.
4年目,昨年使用した雄が精網を作った.雌に求婚し,交接した.その時,空の触肢も挿入した.
5月14日産卵,7月1日出のう,300頭.7月3日飼育箱の蓋を開けると5分の間に空に分散した.7月20日再び産卵,8月14日出のう.10月2日第
12回脱皮(13.1mm)〔萱嶋K48〕.
5年目,ずっと使用していた雄を入れたが雌に補食されてしまった.
5月19日産卵,6月28日出のう,193頭+無精卵100個,6月30日分散,
雌は体力が弱り,オオクロバエを補食.
元気が回復するとクロゴキブリを補食(7時間で食べ尽くす),
7月19日産卵,無精卵で硬化していたため産座に付着しないが雌は卵のうを作った.
空の卵のうを抱えてオオクロバエを食べた(普通,抱卵のう中は食べない).
8月3日オオクロバエを与えると卵のうを捨てた.10月5日第13回脱皮(15mm).
6年目,4月14日(12日に粗い網を作ったが途中で中止)雄が精網(丹念に点検してから精液を出した)を作り,交接した〔萱嶋K50〕.
雌の脱皮回数は13回で,10回脱皮後に成体になる.雄は9回脱皮(最初の1年目で6〜5回の脱皮をする),8回目の脱皮で成体になる〔萱嶋AT91〕.
都市環境指標種〔新海98〕.
ツユグモ Micrommata virescens (CLERCK, 1758)
=syn. Micrommata roseum (CLERCK, 1758)
雌12〜15mm,雄8〜10mm.成体一年中.北海道では平地から山地に生息.本州では1000m以上の高山に多い.草原,樹林地の周辺,林道などの
草間,低木の枝葉間を歩き回って獲物を探す.
産卵期になると草や木の葉を巻いたり,数枚集めたりして産室を作るが,クマザサ,ススキ等が特に多い〔新海06〕.
成体は10〜8月,雌12〜15mm,雄8〜10mm,北海道・本州・四国・九州.冬期は落葉中に,夏期は草間を徘徊する.
1000m以上の高原に多く,平地では稀〔東海84〕.ヨーロッパから日本にかけて分布〔小野09〕.
ふ化は7〜10月,幼生越冬だが,幼生の体長に個体差が大きい.10月下旬,赤斑が出る.産卵後の雌も赤変化する.雄の成体は7月頃多い.草の葉に脱皮殻
がついているので,脱皮室は作らないのだろう.産室は葉を生葉をまいて作る.葉の種や枚数(1〜3枚)は様々で,まき方も簡素なものから複雑なものまで色
々ある.
産室の上部から偏平な卵のうを吊るす.膜は薄く半透明で緑色の卵が見える.
母グモは卵のうを産室内で保護する.ふ化後,10日前後まどいをして分散する〔藤沢AT43〕.
6月頃,木の葉をかがり,笹の葉を折り曲げて産室を作り,自身もとじこもって卵のうを守る〔中平AT23/24〕.
マルバハギの梢葉を寄せて球状の卵室を作ったり,笹の葉でちまき状の卵室を作ったりする.
母グモも卵室にいて卵のうを守っている〔中平AC15(2)〕.
雌15mm内外,雄10mm内外.初夏の草原に多く,葉上を敏速に徘徊して生活す.夏期成熟す.本州・四国・九州に分布〔関口AC6(3)〕.
9月初旬,福島県産の幼体(体長7〜8mm)を室内飼育,4回脱皮して12月に成体雄になった.腹部は最初は真緑色だったが,10日目から黄緑色となりタ
テすじの赤色が目立ってきた〔小野K69〕.
岐阜県高山市の原山・標高700m地点で5月8日に亜成体(体長15mm)を採集,5月18日脱皮し雌に.直後の体色は淡い肌色だったが,25日までに緑
色に変化,31日に急死〔永井均,蜘蛛39〕.
ニホンミナミアシダカグモ Olios japonicus JAEGER et ONO、2000
雌未知,雄7〜8mm.南方系でフィリピンに近縁種がいる〔小野09〕.
アマミカワリアシダカグモ Pseudopoda kasariana JAEGER et ONO, 2002
奄美大島笠利産の雌雄(1989年8月28日谷川採集)を摸式標本に記載,雄9.9mm,雌13.9mm〔JAEGER & 小野AC51(2)〕.雌
14mm前後,雄9〜11mm〔小野09〕.
カワリアシダカグモの一種 Pseudopoda sp.
奄美大島笠利産の雌(1976年4月12日大熊採集)を記載,アマミカワリアシダカグモに似る.雌12.0mm〔JAEGER & 小野AC51(2)〕.
オキナワカワリアシダカグモ Pseudopoda spirembolus JAEGER et ONO, 2002
雌9〜12mm,雄8〜9mm.成体一年中.山地に生息.樹林内,崖地,岩場等に見られる.
昼間は樹皮下,樹木の下部,岩や土の割れ目等に潜んでいるが,夜間隠れ場所から出て,樹皮上,枝葉間,葉上,崖地や岩の表面,落葉上等で
脚を広げて静止し,獲物を待つ〔新海06〕.
沖縄島名護市産の雌雄(1994年11月1日佐々木健志採集)を摸式標本に記載,雄8.8mm,雌8.9〜11.6mm〔JAEGER & 小野
AC51(2)〕.
シロスジコアシダカグモ Sinopoda albofasciata JAEGER et ONO, 2002
渡嘉敷島産の雄(2000年6月24日今井健介採集)で記載,雌不明,雄13.0mm〔JAEGER & 小野AC51(2)〕.
シマコアシダカグモ Sinopoda derivata
JAEGER et ONO, 2002
トカラ列島中ノ島産の雌雄(1999年10月3日馬場採集)を摸式標本で記載,雄11.3mm,雌14.5mm〔JAEGER & 小野AC51(2)〕.
コアシダカグモ Sinopoda forcipata (KARSCH, 1881)
=Heteropoda forcipata (KARSCH, 1881)
雌20〜25mm,雄15〜20mm.成体一年中.平地から山地に生息.人家・神社・寺院等建物の周囲,石垣,崖地,洞穴,太い樹木等で見られる.
昼間は壁・塀の隙間,石垣や崖地の割れ目,樹皮下等に潜んでいるが,夜間隠れ場所jから出て,
天井,障子,壁,塀,縁の下,土台石等で脚を広げて静止し,接近するゴキブリ・カマドウマ・コオロギ・蛾等の昆虫を捕食する〔新海06〕.
成体は1年中,雌20〜25mm,雄15〜20mm,本州・四国・九州・南西諸島.崖地や岩場の割れ目,鐘乳洞の入口付近,樹皮下などに生息.夜間徘徊し
て獲物を探す〔東海84〕.
中国から記録〔小野09〕.
夜間に徘徊してカマドウマ,コオロギ,ガなどの昆虫を捕る〔森林87〕.
地中の梢深い所で亜成体で越冬していた〔植村AT5〕.
雌26mm内外,雄20mm内外.野外殊に人家を離れたる路傍,又は森林中に発見せらる.夏期成熟す.本州・四国・九州に分布〔関口AC6(3)〕.宮城
県における記録〔加村,いと39〕.
1987年7月丹沢大倉で夜間,樹皮上でセミを捕食〔池田〕.
ベッコウバチに狩られる〔中平K67;緒方,蜘蛛41〕.
アシダカグモと誤認される例が多い〔徳本K86〕.
スギの樹皮下やクヌギの倒木を起こしたところ,越冬中の雌成体がいた〔後藤好正K67〕.
神奈川県松田町寄の天王山で卵のうをガードする雌を観察(1994年7月23日)〔池田K71〕.
ハグロケバエを捕食〔初芝K90〕.
高知県にて8月24日,ベッコウバチに狩られた〔中平K67〕.
胚は20℃がふ化限界だった〔近藤ほかAC45(2)〕.
トライコアシダカグモ Sinopoda koreana (PAIK, 1968)
韓国で記載された.福岡市立花山産の雄(1976年7月28日-8月6日牧岡・金丸採集,マレーゼトラップ)が記録,雄15.6mm〔JAEGER & 小
野AC51(2)〕.雌雄16〜22mm〔小野09〕.
オガタヒメアシダカグモ Sinopoda ogatai JAEGER et ONO, 2002
=オガタコアシダカグモ
愛知県鳳来寺産の雌雄(1993年5月22日緒方採集)を摸式標本で記載,雄8.8mm,雌11.8mm〔JAEGER & 小野AC51(2)〕.
リュウキュウコアシダカグモ Sinopoda okinawana JAEGER et ONO, 2000
雌11〜13mm,雄10〜11mm.成体一年中.山地に生息.樹木の下部,多肉植物の間,岩場,崖地等に見られる.
昼間は樹皮下,樹木の根元の隙間,岩や土の割れ目等に潜んでいるが,夜間隠れ場所jから出て,
脚を広げて静止し,接近する昆虫を捕食する〔新海06〕.
雌12.1mm〔JAEGER & 小野AC51(2)〕.
ヒメアシダカグモ Sinopoda stellatops JAEGER et ONO, 2002
=ヒメアシダカグモ Heteropoda stellata SCHENKEL, 1963
=Sinopoda sp.
福岡市立花山産の雌雄(1979年7月8〜14日山岸K採集)を摸式標本で記載,雄9.8〜12.2mm,雌9.6〜14.4mm,
本州(広島・岡山・島根),四国(香川),九州(福岡・大分・佐賀),韓国に分布〔JAEGER & 小野AC51(2)〕.
アマミコアシダカグモ Sinopoda tanikawai JAEGER et ONO, 2000
雌16.3mm〔JAEGER & 小野AC51(2)〕,名瀬産雄(2002年8月26日,10.8mm,谷川採)を記載〔谷川AC53(1)〕.
カマスグモ Thelcticopis severa (L. KOCH, 1875)
雌18〜22mm,雄15〜16mm.成体出現期5〜10月.平地から山地に生息.神社・寺院・墓地・人家の周辺,樹林地,林道などの樹木に生息.
昼間は幹と枝の重なり,葉の密生場所,枯葉の中,バナナ,バショウ等の大型の葉の重なり等に袋状住居を作る.夜間隠れ場所jから出て,
樹皮面,枝葉間,葉上を歩き回って獲物を探す〔新海06〕.中国からインドシナ半島にかけて生息〔小野09〕.
成体は5〜8月,雌19〜22mm,雄15mm,本州(近畿地方以南)・四国・九州・南西諸島.樹枝,葉上に生息.夜間,徘徊して獲物を捕らえる.幼体に
はカブラヤグモという別名がある〔東海84〕.
樹林の葉の密に重なり合った所に住む.脱皮の時は木の葉や草の葉をかがって室を作り,中で行う〔中平AT23/24〕.
脱皮室は禾本科植物の葉2枚を寄せて作る〔中平AC15(2)〕.
1975年6月,カシの葉を2枚向かい合わせた間に葉面に接着させて作成した袋で卵のうを置き,ガードしていた.118卵〔中平83〕.
キンイロエビグモ Philodromus auricomus L. KOCH, 1878
雌7.5〜8.5mm,雄7〜8mm,成体出現期5〜8月.都市部から山地まで広く生息.神社,寺院,学校,庭園,公園,人家の周辺,街路樹,樹林地,
林道などの樹木の樹皮面,枝葉上,草の葉上などを歩回って獲物を探す.
冬季はスギ,マツなどの太い樹木の樹皮下に袋状住居を作って越冬する.わら巻きを好み,各地のわら巻き調査で優占種になっている〔新海06〕.
成体は5〜8月,7.5〜8.5mm,本州・四国・九州・南西諸島.草や低木の葉の上をすばやく歩いている〔東海84,森林87〕.
国外ではロシア極東地域,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
福島県郡山市・東北歯科大学にて11月10日に巻いた
アカマツの巻きわらより全地点で50%以上を占める優占種(2月10日にサンプリング),
4・5〜5・0mmの個体が約40%を占めるが,幼体も多く各段階のものが得られた〔窪田・栗城AT89〕.
千葉県立東葛飾高校で10月上旬にマツにわら巻きをして2月に調査,ほぼ亜成体越冬で,
性比は363:34で雌が多かった〔浅間AT89〕.
千葉県内のマツのワラ巻き調査の優占種〔浅間AC55(2)〕.
エビグモ類は脱皮の際に頭胸部の腹部に近い方から離れる形式である.
他にはアシダカグモ類,ジョロウグモだけである〔高野K40〕.心臓の搏動を測定し,毎分128.8回〔太田定浩,蜘蛛22〕.
都市環境指標種〔新海98〕.
コガネエビグモ Philodromus aureolus (CLERCK, 1758)
雌5〜6mm,雄4〜5mm,成体出現期5〜8月.北海道では平地から高山まで広く分布.本州では主に500m以上の山地に生息.草原,樹林地の周辺,
河原,林道などの草や樹木の葉上,
茎や枝の上を歩き回って獲物を探す.葉裏や枝葉間に潜んでいる場合も多い〔新海06〕.ユーラシアに広く分布〔小野09〕.
成体は6〜8月,雌5〜6mm,雄4〜5mm,北海道・本州・四国・九州.草や木の葉の上や枝の間を徘徊する〔東海84〕.
シロエビグモ Philodromus cespitum (WALCKENAER, 1802)
雌6〜7mm,雄5〜6mm,成体出現期6〜7月.草原に生息.草上を徘徊する.北海道・本州・四国.全北区から広く知られる〔小野09〕.
キエビグモ Philodromus emarginatus (SCHRANK, 1803)
=Philodromus flavidus SAITO, 1934
雌6〜8mm,雄5〜6mm,成体出現期6〜8月.山地に生息.草原,樹林地の周辺,林道などの草や低木の葉上,枝葉間を歩回って獲物を探す.
葉裏に潜んでいる場合も多い〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌6〜7mm,雄5〜6mm,北海道・本州・四国・九州.
山地の葉の上にいる.暖地では稀〔東海84〕.
冬期落葉の下より採集〔新海69〕.
自然環境指標種Bランク〔新海98〕.
トビイロエビグモ Philodromus fuscomarginatus DEGEER
北満洲黒河山地にて1940年6月に雄5・5mm採集〔仲辻AC7(1)〕.
ブチエビグモ Philodromus margaritatus (CLERCK, 1758)
雌7〜8mm,雄6〜7mm,成体出現期5〜8月.北海道では平地から山地まで分布.本州では主に1000m以上の高山に生息.
草原,樹林地の周辺,林道などの草や樹木の茎,枝,葉上を歩き回って獲物を探す.
葉裏に潜んでいる場合も多い〔新海06〕.ヨーロッパから日本にかけて広く知られる〔小野09〕.
フシグロエビグモ Philodromus nigrostriatipes BOES. et STR., 1906
雌6mm前後,雄は未知.佐賀県での原記載以来,確実な記録が無い.キエビグモと酷似する〔小野09〕.
コエビグモ Philodromus obsoleti PEELLE et SAITO, 1933
雌未知,雄3mm前後.色丹島から原記載された〔八木沼86〕.
エビグモ Philodromus roseus KISHIDA, 1913
成体は6〜8月,雌7〜9mm,雄6〜8mm,北海道・本州・四国.他の種同様,葉の上で生活する〔東海84〕.キンイロエビグモの色彩変異〔八木沼
86〕.
キタエビグモ Philodromus rufus WALCK., 1826
雌4〜5mm,雄3〜4mm.アサヒエビグモやキンイロエビグモに似るが小型.山地の草原に生息し,6〜7月に成熟.全北区から知られる〔小野09〕.
北満洲黒河山地帯にて1940年6月,雌4.5mmを採集〔仲辻AC7(1)〕.
キハダエビグモ Philodromus spinitarsis SIMON, 1895
雌5〜7mm,雄4〜6mm,成体出現期5〜8月.都市部から山地まで広く生息.神社,寺院,学校.庭園,公園,人家の周辺,
樹林地,林道などの太い樹木の樹皮面,枝葉間を歩き回って獲物を探す.
樹皮下や樹皮上に静止して接近してくる昆虫を捕えることも多い.卵のうは樹皮上に造り,親グモはその上に乗って保護する〔新海06〕.
成体は5〜8月,6〜8mm,北海道・本州・四国・九州.
樹皮の上で生活し,特にスギやマツの幹に多い.動作はすばやい.冬期は樹皮の下にいる〔東海84,森林87〕.
国外ではロシア極東地域,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
樹皮のような淡い茶色から刺激によって腹部後端が黒化する瞬間的体色変化をするが,
くり返すと刺激しても黒化しない場合もある〔池田AT93〕.
樹皮上で雌の真上を雄が駆け抜けたが雌は微動もしなかった〔池田K65〕.
亜成体越冬〔植村AT5〕.
ハモンエビグモ Philodromus lanchowensis SCHENKEL, 1936
雌7〜8mm,雄6〜7mm,成体出現期6〜8月.北海道では平地から高山まで広く分布.本州では主に800m以上の山地に生息.草原,樹林地の周辺,
河原,林道などの草や樹木の葉上,
茎や枝の上,樹皮面を歩き回って獲物を探す.人家の周囲や屋内に入って来ることもある〔新海06〕.相模原市北部の河原の磯の下から雄採集(1994年2
月)〔木村知K67〕.
国外ではロシア極東地域,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
アサヒエビグモ Philodromus subaureolus BOES. et STR., 1906
雌5〜7mm,雄4〜5mm,成体出現期6〜8月.都市部から山地まで広く生息.人家,神社,寺院,学校などの建物の周囲や.庭園,公園,街路樹,
草原,水辺,樹林地とその周辺,林道などの草や樹木の葉上,花の回り,茎,枝を歩き回って獲物を探す.
葉裏や花陰に潜んでいる場合も多い.色彩・斑紋には濃淡がある.卵のうは葉上に造り,親が乗って保護する〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌5〜6mm,雄4〜5mm,北海道・本州・四国・九州.
木や草の上にいて動作はとてもすばやい〔東海84〕.国外では中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
都心部のマンションのベランダ,家の周囲,塀や電柱,庭木から山地の樹上まで広く生息する.
産卵期は7〜8月で,葉の上に白色の卵のうを作る.親はその上に覆いかぶさるようにして保護,
指でつついても逃げない.1卵のう中の卵数は20〜35個.草や木の上をすばやく走りまわって獲物を探す.
糸を流して移動することが他のクモより多く,市街地でも家の周りや庭木によく飛んでくる.
春先には木々の間に次々と糸を流して渡っていく幼体をよく見る.獲物は長い脚でかかえこむようにして捕る〔森林87〕.
8〜9月に卵のう保護がみられる〔山川・熊田73〕.
若令幼体期には短日で発育が促進され,中令以後になると逆に長日で促進される.
8月4日採集の若令個体を25℃,11Lの短日条件で飼育し,9月11日に25℃,16Lの長日条件下へ移したところ,
10〜11月に成体となった.9月7日採集個体を25℃,自然日長で飼育すると冬期の発育遅延で休眠し,成熟前に死亡した.
自然条件下では,若令期の夏季は長日によって発育が遅れ,秋季の短日によって長日型の反応に変化するが,
冬季は短日と低温によって発育は停止し,春季の長日と気温上昇で発育が促進される.年1化性で,
成体が一斉に出現するわけである〔浜村AT75・74・70〕.
7月に出のうした幼体を室内飼育した.越冬までに6〜7回脱皮し,翌春4月から3回脱皮して6月に雄になった〔宮下K69〕.
7月頃,木の葉上に円盤状の卵のうを作り,守る〔中平AT23/24〕.
千葉県内のワラ巻き調査の樹種によらず優占種〔浅間AC55(2)〕.
ホッポウヤドカリグモ Thanatus arcticus THORELL, 1872
雌7〜10mm,雄5〜7mm,北海道産.ユーラシアや北米に広く分布〔小野09〕.
タカネヤドカリグモ Thanatus bungei (KULCZYNSKI, 1908)
雌雄6〜8mm,北海道産.国外ではロシア極東地域,米国から記録がある〔小野09〕.
ヤドカリグモ Thanatus miniaceus SIMON, 1880
=Thanatus formicinus (CLERCK)
雌5〜6mm,雄4〜5mm,成体出現期10〜6月.里山から山地に生息.
草原,樹林地の周辺,林道などの草間や樹木の根元付近,地表面,落葉上に多い.そのほか,草の茎や葉上,低木の枝葉上などにも見られる.
全体灰白色で,腹部前方の心臓斑の位置にある長菱形の黒色斑が目立つ.頭胸部両側には幅の広い黒色斑があるが,個体により濃淡が見られ,全体灰色のものも
いる〔新海06〕.
成体は10〜6月,6〜7mm,北海道・本州・四国・九州.草の上にいるが,秋冬には落葉上を歩くことが多い〔東海84〕.
台湾新記録,中国,韓国に分布〔Chan & TsoAC53(1)〕.
雌6〜7mm,雄4〜5mm.下草の間を歩き回ることが多い.葉上や落葉中にもみられる〔森林8〕.
群棲していることが多く,5〜6月に1個卵のうを作る〔山川・熊田73〕.
ヤマトヤドカリグモ Thanatus nipponicus YAGINUMA, 1969
雌6〜8mm,雄5〜6mm,成体出現期4〜8月.里山から山地に生息.草原,河原,樹林地の周辺,林道などの草や低木の葉上,茎や枝上を歩き回って獲
物を探す.
草間の地表付近,落葉上にも生息.晩秋に枯れ草の間に多数の個体を見ることもある.
全体灰褐色であるが,頭胸部の両側,腹部前方の心臓斑,後方の一対の波9状線は色が濃い〔新海06〕.
成体は4〜8月,雌6〜8mm,雄5〜6mm,本州・九州.草や木の葉の上に静止して獲物を待っている〔東海84〕.国外ではロシア極東地域,中国,韓国
から記録がある〔小野09〕.
アカアシヤドカリグモ Thanatus roseofemoralis (KARSCH, 1879)
雌6mm,雄未知,基準産地は関東地方と推定〔小野09〕.
ヨシシャコグモ Tibellus fengi EFIMIK, 1999
雌雄10mm前後,6〜8mm,シャコグモに酷似するが大型で腹部背面後方に黒点を欠く.神奈川県厚木市(2008年5月13日)初芝により採集,愛知
県田原市(2008年3月30日)芦原で採集〔小野09〕.
国外ではロシア極東地域,中国から記録がある〔小野09〕.
シャコグモ Tibellus japonicus EFIMIK, 1999
=mis. Tibellus tenellus (L. KOCH, 1876)
雌8〜11mm,雄6〜8mm,成体出現期6〜8月.平地から山地まで広く生息.草原,水田の周囲,河原,樹林地の周辺,林道などの草や低木の葉上,茎
や枝上に静止して,接近してくる小昆虫を捕える.
スジシャコグモと分布が重なり,平地から800m位まで分布〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌9〜11mm,雄6〜8mm,本州・四国・九州・南西諸島.低地に多い.葉上に脚を伸ばしている〔東海84,森林87〕.
8月頃,草葉上面に産卵,卵のう上にのって見守るが,雨降りには,母グモは葉裏にまわって雨滴を避ける〔中平AT23/24〕.国外ではロシア極東地域,
中国から記録がある〔小野09〕.
網の葉の住居内のオオツリガネヒメグモを捕食〔池田泉K63〕.
スジシャコグモ Tibellus oblongus (WALCK., 1802)
雌10〜12mm,雄8〜10mm,成体出現期6〜8月.北海道では平地から山地まで分布.本州では主に800m以上の山地に生息.
草原,樹林地の周辺,林道などの草や低木の葉上,茎や枝上に静止して,接近してくる小昆虫を捕える.
シャコグモと近似するが,本種は高山に多い.雄は雌より色が濃く,全体褐色の個体も見られる〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌10〜12mm,雄8〜10mm,北海道・本州・四国・九州.
本州以南の低地では稀.草にいる〔東海84〕.北海道以外では1000m以上の高地〔森林87〕.全北区に広く分布〔小野09〕.
ズダカカニグモ Alcimochthes limbatus SIMON, 1885
雌3〜4.5mm,雄3〜3.5mm.成体出現期6〜9月.草原,樹林地の周辺,林道などの草間,低木の枝葉間に生息〔新海06〕.
雄3.0〜3.5mm,雌3.8〜4.4mm.西表島で記録.頭胸部が四角形で特異な形態.台湾・ベトナム・マレー半島にも分布〔小野88〕.
キハダカニグモ Bassaniana decorata (KARSCH, 1879)
=Oxyptila decorata KARSCH
=Coriarachne japonica SIMON, 1886 マカニグモ
=Eremita typica KISHIDA, 1914 タンゴグモ
属名をBassanianaとする〔小野85〕.
雌4〜7mm,雄4〜6mm,成体出現期4〜9月.平地から山地まで広く分布.神社・寺院の林,庭園,公園,樹林地,林道などの比較的太い樹木の表面に
生息し,
接近してくる昆虫を捕食する.頭胸部は黒褐色,腹部は黒褐色・褐色・黄褐色の複雑な斑紋があり,樹皮そっくりに見える.危険が迫ると,樹皮面のへこみ,隙
間,樹皮下に逃げ込む〔新海06〕.
成体は6〜9月,5〜6mm,北海道・本州・四国・九州.落葉樹の幹に多い.樹皮の下や隙間に逃げ込む〔東海84〕.
国外ではロシア極東地域,中国,韓国,台湾から記録がある〔小野09〕.
冬期は樹皮下にて越冬する〔新海69〕.
木肌の荒いはげ易いクス・ニッケイ・ムク・ヤナギ・ヘラ等の木の幹に多い.
熊本で交接期は4月.南向きの樹皮中に越冬〔木庭AT19〕.
未受精卵でも母グモは食べないで保護しつづける〔鈴木勝K44〕.
イボカニグモ Boliscus tuberculatus (SIMON, 1886)
雌3〜4.4mm,雄1.5〜2mm.成体出現期6〜10月.本州では主に海岸付近の平地から山地に生息.南に行くにつれて内陸部の山地でも採集される.
樹林地の周辺,林道などのうす暗い下草の葉上または葉裏にいる.集中分布の傾向があり,同一地点で多数採集される〔新海06〕.
雌雄とも腹部に多数の小突起のある微小なカニグモ.雄はカニグモ類では最小.
本州・四国・九州・琉球列島・台湾・タイ.ビルマ・シンガポール・ジャワに分布〔小野88〕.食性は不明〔小野09〕.
イネ科の葉先を折り曲げて作った卵のう室内で卵のう(30卵)をガードしていた〔中平92〕.
コカニグモ Coriarachne fulvipes (KARSCH, 1879)
雌4〜5mm,雄3〜4mm.成体出現期6〜9月.里地,里山に多く見られる.頭胸部腹部ともに極めて扁平で隙間に入りやすい.神社,寺院,樹林地のス
ギ,マツなどの樹皮下に潜む.
夜間になると樹皮下から出て,樹皮面や枝葉間,草間を歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
成体は6〜9月,4〜5mm,本州・四国・九州・南西諸島.樹枝葉間を徘徊する〔東海84〕.
冬期は樹皮下で越冬する〔新海69〕.韓国からも知られる〔小野09〕.
樹皮下に見られる.韓国にも分布〔小野88〕.
松の幹に多い.プラタナスの樹皮下で亜成体越冬(コキハダカニグモ)〔植村AT5〕.
タルグモ Cupa typica (BOES. et STR., 1906)
雄は未知,雌4.4mm.原記載以来採集例がない.佐賀県湯の原神社のみ〔小野88〕
ミナミタルグモ Sanmenia zhengi (ONO et SONG, 1986)
=Cupa zhengi ONO et SONG, 1986
雌3〜5mm,雄3〜3.5mm.成体出現期5〜8月.里山から山地に生息.九州での採集記録は1回で,主にトカラ列島以南に分布.樹林地の周辺,林道
などの草の葉上や葉裏に潜み,接近する小昆虫を捕食する〔新海06〕.
カニグモ属の幼体に似るが,頭部が全体的に前方へ突出していること,色彩が淡いこと,腹部後方に赤褐色の対斑があることで区別できる〔新海06〕.琉球列
島から中国に分布〔小野88〕.
シロツバカニグモ Diaea subadulta BOES. et STR., 1906
樹皮または葉上に生活する.腹部背面に大形の白色葉状斑を持つ.
頭胸部背面にも白色の縦斑がある.プラタナスの樹皮下で亜成体越冬(コノハエビグモ)〔植村AT5〕.
ギョウジャグモ Diaea gyoja ONO, 1985
=Diaea dorsata (FABRICIUS, 1777) とされてきたが別種〔小野88〕.
雌5〜6mm,雄4〜5mm,成体出現期7〜10月.北海道では山地に,本州では1500m以上の高山に分布.個体数は少ない.稀少種.草原,湿原,池
や沼の周囲,樹林地の周辺,林道などの樹木の枝葉間,
草の葉上や葉裏に生息〔新海06〕.体は全体緑色で,腹部上面は通常赤褐色の斑紋で覆われる.腹部斑紋には赤褐色から黄色まで色彩変異が見られる〔新海
06〕.
成体は7〜10月,雌5〜6mm,雄3〜4mm,北海道・本州(中部地方以北).産地の樹の幹や葉の上にいる.旧北区に広く分布するが,日本では多くない
〔東海84〕.日本固有種〔小野09〕.
1953年9月5日,中房温泉から燕岳登り口(1700m)で雌6mm採集.千国仮称ナカブサカニグモ〔千国AC14(1)〕.
コハナグモ Diaea subdola O. P.-CAMBRIDGE, 1885
=Misumenops japonicus (BOES. et STR., 1906)ではなかった
雌4〜5mm,雄3〜4mm.成体出現期6〜9月.平地から山地まで生息.ハナグモと共に植物の花上,葉上に普通に見られる.草原,水田,河原,樹林地
の周辺,林道,渓流沿いなどの
樹木や草の葉や花の上,または花の側面や下面,花の中などに潜んで,飛来する昆虫を捕食する〔新海06〕.中央アジアから日本にかけて広く分布〔小野
09〕.
伊豆諸島の個体は腹部上面が褐色の斑紋で覆われギョウジャグモに似る〔新海06〕.
成体は6〜9月,雌4〜6mm,雄3〜4mm,全土.ハナグモ同様の習性〔東海84〕.
ユノハマハナグモ Misumenops yunohamensis (BOES. et STR., 1906)は本種と同種である〔八木沼86〕.
ハナグモに似ているが,腹部の形は丸く,まんじゅう形.
色彩もクリーム色の地に3対の黒点があるだけで,連続した模様はない〔森林87〕.
頭胸部上面にハナグモと違って刺毛があるため幼体でも識別は容易〔池田10〕.
7mm.ユノハナハナグモ(3mm)に類似.夏季,草間に普通.7,8月頃成熟す.本州・四国・九州に分布〔関口AC6(4)〕.
石川県内でバケツトラップ内に落下していたクモの最優占種〔高順一郎.富樫一次AT100〕.
昭和13年4月17日,東京都で成体雌がカスリヒメガガンボ Limnophila japonica 雌を, 昭和14年7月8日,
東京都で成体雌がミバエの一種 Chaetostomella nigripunctata 雌を捕食〔湯浅AC4(3)〕.
クマダハナグモ Ebelingia kumadai (ONO, 1985)
=Misumenops kumadai ONO, 1985
雌3.5〜4.5mm,雄2.5〜3.5mm.成体出現期5〜9月.平地から山地に広く生息.個体数はハナグモやコハナグモより少ない.樹林地の周辺,
草原,水田周辺,河原,林道などの
樹木や草の葉上,花の上や中,または花の側面や下面に潜んで,飛来する昆虫を捕食する〔新海06〕.腹部の地色は黄色,黄白色,淡桃色などの変異がある
〔新海06〕.
成体は5〜9月,雌3.5〜4.5mm,雄2.3〜3.5mm,本州・四国・九州に分布.
小型のハナグモで記録は少ない.腹部は黄色または淡黄白色〔森林87〕.
5月のみ成体.本州・九州・琉球に分布〔小野88〕.国外ではロシア極東地域,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
2003年にレーティネンが本種を模式属としてEbelingia属を立て,
M. hubeiebsis SONG et ZHAO, 1994とともにこの属に移しているた〔鶴崎AC54(1)〕.
アシナガカニグモ Heriaeus melloteei SIMON, 1886
=Heriaeus mellotteei SIMON, 1886
雌6〜8mm,雄4.5〜5mm,成体出現期6〜9月.里山から山地に生息.草原,樹林地の周辺草間に見られる.花の上などで前脚を広げて獲物を待ち,
飛んでくるチョウ,ハチ,ハエ,甲虫などを捕える〔新海06〕.
成体は6〜9月,雌6〜8mm,雄5〜6mm,本州・四国・九州.草原や山道の草の葉や花の上にいる〔東海84〕.中央アジア以東に分布〔小野09〕.
雄亜成体は雌そっくりである.最終脱皮(飼育下)で雄型に変化する〔泉宏子K79〕.
6月に成体になり,雄は亜成体で越冬した〔山川・熊田73〕.
雄4.6〜4.9mm,雌6.1〜7.6mm.6〜9月に成体〔小野88〕.
夏季野外の草間に時々見られる.本州に分布す.雌6mm,雄5mm内外〔関口AC6(4)〕.
川崎市黒川で6月4日に幼体を採集〔初芝K90〕.
自然環境指標種Cランク〔新海98〕.
ダイトウマルガタワカバグモ Loxobates daitoensis ONO, 1988
雄3.2〜3.3mm,雌5.6〜7.6mm.北および南大東島から記載〔小野88〕.
アマギエビスグモ Lysiteles coronatus (GRUBE, 1861)
=Lysiteles takashimai (UYEMURA, 1937)
雌3〜4.5mm,雄2.5〜3.5mm.成体出現期5〜9月.山地に多く生息.樹林地の周辺,林道,草原などの
草や低木の葉上,枝葉間,花の中や下面に潜み,飛来する小昆虫を捕食する〔新海06〕.
成体は5〜9月,3〜5mm,北海道・本州・四国・九州.山地の木の間や草の間,花の上にいる〔東海84〕.
東シベリアからThomisus coronatusとして記載.斉藤のOxyptika
nigirifrons, Xysticus sapporoensisは本種.雄2.7〜3.2mm,雌2.5〜4.3mm.5月から9月まで成体.
他に韓国・シベリアにも分布〔小野88〕.国外ではロシア極東地域,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
1937年5月6日,伊豆天城山中にて高島春雄採の成体雌でOxyptila属として記載〔植村AC2(4)〕.
ムラサキシキブの枝の先端でキシダグモ類の幼体が作成する網と同様な網に静止していた
アマギエビスの幼体を発見〔板倉,蜘蛛23〕.
雌を取り除くと卵のう生存率は大きく低下,低下の要因は捕食者に捕食されたため.
10日間の保護は雌親の体重を約11%減少させた〔二見恭子AC49(2)〕.
雌の体重と卵数変化を定量化し,保護を行う雌が体重を減少させ卵巣成長を抑制するため,
総産卵数は減少するが,卵のう捕食率を考慮すると適応度は高かった〔二見AC51(2)〕.
卵のうを失った雌は再び採餌し,2回目の産卵をする.卵のう内の卵をガラスビーズで置き換えても
雌は卵のうを修復し,保護を続けた.また既に孵化している卵のうから幼虫や卵のう膜を取り除き,
幼虫のみ,または卵のう膜のみを残すと雌は保護を続けた.したがって,保護行動は子の存在だけではなく,
卵のう膜の存在によっても維持されている〔二見AC54(2)〕.
自然環境指標種Cランク〔新海98〕.
タカネエビスグモ Lysiteles maius ONO, 1979
=Lysiteles maior
雌3〜4.5mm,雄2.5〜3.5mm.成体出現期5〜10月.北海道では平地から山地まで広く生息.本州では1000m以上の山地に多い.草原,樹
林地の周辺,林道などの
草間や樹木の枝葉間,花の中や下面に潜む〔新海06〕.腹部の斑紋には変異が多く,白色型・茶色型・黒色型・後方黒色型・マダラ型・アマギエビス型など様
々〔新海06〕.
雄2.4〜3.4mm,雌3.0〜4.4mm.潅木から採集.北海道・本州(長野以北)・ネパールに分布.成体は5〜8月〔小野88〕.
ダイダイエビスグモ Lysiteles miniatus ONO, 1980
雌雄3〜3.5mm.成体出現期3〜6月.草原,樹林地の周辺,林道などの草間,低木の枝葉間に生息.葉上,花の中や下面に潜んで,小昆虫を捕える〔新
海06〕.
雄3.3mm,雌3.4mm.頭胸部が橙色.奄美大島・西表島に分布〔小野88〕.固有種〔小野09〕.
オオクマエビスグモ Lysiteles okumae ONO, 1980
雌3〜4mm,雄3〜3.5mm.成体出現期5〜7月.中部地方では伊豆半島,愛知県,長野県の中部山岳地帯まで広く生息.草原,樹林地の周辺,林道な
どの
草間,下草の間,樹木の根元付近など地表近くに見られる〔新海06〕.日本固有種.自然がよく保たれた林の樹上および下草に見られる〔小野09〕.
頭胸部は褐色で中央部が明るい個体もいる.腹部には灰黄色の地に中央部両側には後方にかけて淡褐色の山形斑がある〔新海06〕.
雄3.3mm,雌2.8〜3.8mm.愛媛県の雌雄で記載.伊豆半島・愛知にも分布.成体は5〜6月〔小野88〕.
ワタリカニグモ Massuria watari ONO, 2002
=ガザミグモの一種 Pistius sp. 長野県・愛知県で採集,雄が未確認〔千国AT95〕
雌10mm前後,雄4mm前後.ガザミグモによく似ている.
千国(1989)が長野県・愛知県からガザミグモの近似種として雌を報じている〔小野09〕.
ヒメハナグモ Misumena vatia (CLERCK, 1758)
雌6〜10mm,雄3〜4mm.成体出現期5〜9月.北海道,東北地方では平地から山地まで生息.関東地方以南では主に800m以上の山地に見られる.
草原,渓流沿いの
草や樹木の花の中や下面に潜む〔新海06〕.腹部の色彩変異が多く,白色型,黄色型,白色赤側斑型などがある〔新海06〕.
成体は5〜7月,雌8〜10mm,雄3〜4mm,北海道・本州(本州での採集記録は4ケ所のみ).高原の草の葉や花にいる〔東海84〕.
雄3〜5mm,成体は5〜10月〔森林87〕.
雄3.1〜3.8mm,雌5.4〜10.9mm.ユーラシア北部から北米まで分布〔小野88〕.全北区に広く知られる〔小野09〕.
長時間かけて体色を変化させる.白色から黄色へ可逆的に〔新海AT51/52〕.
長野県上田市の草原で採集〔K40〕.
1989年箱根仙石原のススキ原で雌〔谷川K59〕.2004年7月28日箱根町の湿生花園にてチダケサシの葉上に雌亜成体,
8月14日に同所で雌成体〔赤羽K87〕.黄色型が2日間で白色型となり,その後再び黄色型になった.雌と出会った雄はその背中
にのり,脚で触れながら素早く全身をめぐり,触肢で外雌器付近をさすると雌は動かなく
なった.頭部から雌の腹部に回りこみ触肢を挿入.1分間で28〜40回を5分かかって
注入.8月24日に産卵,9月1日に孵化,11日出嚢,14日に団居を終了.子グモは
139匹.他の1例では産卵から8日目に孵化,子グモは48匹〔福島彬,蜘蛛29〕.
ハナグモ Ebrechtella tricuspidata (FABRICIUS, 1775)
=Misumenops tricuspidatus
雌5〜8mm,雄3〜5mm.成体出現期4〜10月.高山帯を除いた全国に生息する普通種.人家の庭やその周辺,庭園,公園,草原,水田,畑地,河原,
樹林地の周辺,林道,渓流沿いなどの
樹木や草の葉・茎・枝・花の上,または花の側面や下面,花の中などに潜んで,飛来する昆虫を捕食する〔新海06〕.
腹部の斑紋には変異が多く,褐色斑のない個体も多い〔新海06〕.人面蜘蛛などと騒がれることがよくある〔池田10〕.
成体は4〜10月,雌6〜8mm,雄3〜4mm,全土.
草木の葉や葉の上に第1,第2歩脚を開いて静止し,チョウ,ハエ,アブなどが近付くと,
かかえ込むようにしてすばやくかみつく.
毛虫や他のクモを取ることもある.個体数は多い.
幼生や秋に成熟する雌には腹部に褐色斑のないものがいる〔東海84〕.
ヨーロッパ,シベリア,中国,日本など旧北区に広く分布する.
都会の庭から産地まで見られるが,日当たりの良い河原,草原に特に多い.
6〜7月と9〜10月に最も多く成体があらわれ,産卵もその期間に集中している.1卵のう中の卵数は100〜200個.
横行性のクモで,花や葉の間を巧みに歩きまわり,葉の裏にいる昆虫の幼虫を捕えることも多い〔森林87〕.
福岡の水田で2令幼生が3〜12月にわたってみられ,年2化の可能性がある〔大熊AT68〕.
7月に卵のう保護がみられる〔山川・熊田73〕.
5月に出のうした幼体は雄3〜4回,雌4〜5回脱皮で6〜7月に成体,6月に出のうした幼体は雄4〜6回,
雌6〜7回脱皮で8〜9月に成体,
7月に出のうした幼体は雄5回,雌6〜7回脱皮で9〜10月に成体,4月の雌成体は1〜2回産卵,
5〜8月の雌成体は1〜3回産卵〔宮下AC47(2),K76〕.
東京都内ではアメリカシロヒトリの巣網内の優占種である〔国見AT81〕.
都内の桑園の優占種のひとつであり,クワノメイガ数の変動に対応した個体数変動がみられ,
若令個体は1〜3令幼虫を,壮令・成体は4〜5令幼虫を補食している〔国見・大熊AT70〕.
福島・宮島(1970)によると,高温条件下(30℃)では低温(25℃)の場合より発育期間が短縮し,
脱皮回数が少なくなる傾向がある〔浜村AC27〕.
糸を流して2点間を結び移動する例がある〔有田AT43〕.
春から夏にかけて,ヒメジョオンの花に多い.3月,雌亜成体,雄成体を採集〔植村AT5〕.
花弁の裏側に隠れ,ハナアブ,シジミチョウ等が来ると,すばやくでてきて捕える.時に花弁の上に静止〔木庭AT19〕.
6月6日,10時前後,雌の体は雄の糸により,動けなくなっている.触肢は時々,口部へもっていく.
そのとき,先端近くで水玉のような輝く物が現れる.触肢を変える時,雄は雌の右側から左側へと移動する〔野口AT22〕.
獲物が近付いたり,警戒する時は,第1脚・2脚をそろえて斜め前方へのばし,左右へゆっくり動かす習性がある.
6月頃,木や草の葉を裏側に少し折り曲げた中に産卵し,卵のうを守る〔中平AT23/24〕.
豊田地区の桑園でアメリカシロヒトリの初期幼虫を補食するが,大きくなるとクモの方が逃げる〔萱嶋AC21(1)〕.
真夜中に卵のうから10cmたらずの所から2本の糸を引き,傍で見張る.蚊より小さな虫がそれにふれた時,すばやく出ていってつかまえて食う〔堀
AC8(1/2)〕.
昭和12年5月10日,東京都で成体雌がハナアブ Eristalomyia tenax雄を捕食〔湯浅AC4(3)〕.
福島正三・宮藤守雄による生活史の研究(1970.飼育による)がある〔K39〕.
ドウナガカニグモ Monaeses aciculus (SIMON, 1903)
雌6〜8mm,雄5〜7mm,ネパールからフィリピンにかけて知られる〔小野09〕.
琉球列島・台湾・ヴェトナム・ネパールに分布〔小野88〕.
1895年にSIMONが記載.岸田(1914)のウゼングモ Monaeses
simoniは別属だろう.南西諸島や台湾,ネパール,ベトナム北部に分布〔小野AT87〕.
アトムオチバカニグモ Ozyptila atomaria (PANZER, 1801)
北海道からピットフォールで採取.雄は3.7〜4.1mm,雌は4.5〜5.5mm.成体は5〜10月.ヨーロッパからシベリア.韓国,日本とユーラシ
ア大陸北部に広く分布〔小野・松田AC52(2)〕.
比較的丈の低い草地に生息〔小野09〕.
マルオチバカニグモ Ozyptila fukushimai ONO, 2002
雌2.7〜3.4mm.雄は未知.本州北部に分布するが,稀〔小野09〕.
マツモトオチバカニグモ Ozyptila matsumotoi ONO, 1988
=Oxyptila matsumotoi ONO, 1988 Ozyptilaは誤まったギリシャ語のラテン語化〔小野09〕
雌2.5〜3.5mm,雄2.3〜2.6mm.成体出現期4〜10月.都市部から山地まで広く生息.人家,神社,寺院の庭園,公園,樹林地,林道などの
林床にいて,落葉の中,土壌の隙間,下草の根元付近を歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
東京都井の頭公園の雌雄で記載.成体は4・5・9・10月.雄は2.4〜2.6mm,雌は2.7〜3.3mm.落葉下から採集される〔小野88〕.
アズマネザサの枯葉面で卵のう(0.55cm円形)をガードする母グモを発見.7月20日に20頭が出のう〔工藤泰K69〕.
ニッポンオチバカニグモ Ozyptila nipponica ONO, 1985
=Ozyptila nipponica ONO, 1985 Ozyptilaは誤まったギリシャ語のラテン語化〔小野09〕
雌2〜3.5mm,雄2〜2.5mm.成体一年中.都市部から山地まで広く生息.人家,神社,寺院の庭園,公園の林の中,樹林地の中や周辺,林道などの
林床にいて,落葉の中,土壌の隙間,下草の根元付近を歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
成体は雌は1年中,雄は3〜6月と9〜12月,2〜3mm,北海道・本州・九州に分布.ツルグレン装置で抽出される〔小野85〕.
クロスジオチバカニグモ Ozyptila nongae PAIK, 1974
=Ozyptila nongae PAIK, 1967 Ozyptilaは誤まったギリシャ語のラテン語化〔小野09〕
雌3.3〜4mm,雄3〜3.5mm.成体出現期3〜8月.平地から山地に生息.樹林地,林道などの林床にいて,落葉の中,土壌の隙間,下草の根元付近
を歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
韓国産.雄3.1〜3.3mm,雌3.3〜3.9mm.6〜8月に山形県から山口県にかけて得られた〔小野AC45(1)〕.当初,日本海側での採集記録
が多かったが(小野1996),その後,緒方により
太平洋側からも採集された.各地に広く分布していると思われる〔新海06〕.国外ではロシア,中国東北部,韓国から記録がある〔小野09〕.
カラフトオチバカニグモ Ozyptila sakhalinensis ONO, MARUSIK et LOGUNOV, 1990
=Ozyptila sakhalinensis ONO, MARUSIK et LOGUNOV,
1990 Ozyptilaは誤まったギリシャ語のラテン語化〔小野09〕
雄3.8〜4.1mm,雌2.9〜3.5mm.北海道の冷涼な場所に産し,海外では樺太およびシベリア東部に分布〔小野09〕.
キタオチバカニグモ Ozyptila sincera KULCZYNSKI, 1926
=Ozyptila sincera KULCZYNSKI, 1926 Ozyptilaは誤まったギリシャ語のラテン語化〔小野09〕
雄3.5mm,雌4.3mm.北海道・群馬・長野から採集.カムチャッカ・アラスカ・カナダにも分布〔小野88〕.
ノラオチバカニグモ Ozyptila trux (BLACKWALL, 1846)
=Ozyptila trux (BLACKWALL, 1846) Ozyptilaは誤まったギリシャ語のラテン語化〔小野09〕
雄4〜5.2mm,雌3〜4.3mm.日本では稀.ユーラシア大陸の北部に広く文王,国外ではロシア,中国,韓国から記録〔小野88〕.
ホシズナワカバグモ Ozyptila hoshizuna ONO, 1978
雄7.1〜9.0mm,雌9.1〜11.3mm.4m高の樹上から得たことがある〔小野88〕.
Oxytateは熱帯系のクモである.沖縄・石垣島・西表島に分布.小野により記載された〔八木沼AT71〕.
台湾,中国東南部からも知られる〔小野09〕.
ワカバグモ Ozyptila striatipes L. KOCH, 1878
雌9〜12mm,雄7〜11mm.成体出現期4〜10月.都市部から山地まで広く生息.庭園,公園,草原,樹林地,林道沿いなどの
樹木や草の枝葉間に潜み,夕方になると葉の上面で前脚を広げて獲物を待つ〔新海06〕.
成体は4〜10月,8〜12mm,全土.低木の葉の上にいることが多い〔東海84〕.
国外ではロシア極東地域,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
山麓から山地にかけて多く生息する.
産卵期は5月中旬〜7月で,葉の裏に淡黄色の卵のうを作り,その上にのって保護する.
1卵のう中の卵数は40〜60個.
夕方5時頃になると葉の表面に上り,第1脚を高く持ちあげて飛んでくる昆虫を待っている.
羽音がすると,その方向に体を向け,持ちあげている第1脚を左右上下に動かすので,
この脚に感覚器官があると思われる〔森林87〕.
4〜5月,若葉の上で獲物を待機する.
庭木等のサクラの若葉に特に多く出現し,サクラの蜜腺に集まるオオクロバエや
トビイロケアリ等をさかんに捕食する.
第1脚を八字状にひろげて斜め前方へかかげ,獲物を感ずると,それを左右へゆっくりと動かす習性がある.
成熟した雄は,樹葉の裏に接して,三角形の幕状の精網を作る〔中平AT23/24〕.
長崎にて6月10日,葉裏で卵のうを守る.淡黄色の卵で40個程.
糸で固定し,その上に腹ばいになっている〔大利AT29〕.
昭和10年5月26日,栃木県にて幼体雌がクワハムシ Fleutiauxia armata雌を捕食〔湯浅AC4(3)〕.
オオシロカネグモを捕食〔高津佳史K85〕.
雄は求愛ダンスや脚をふることなどなく交尾した〔中平92〕.
ヤマドリのそ嚢から種子とともに発見〔西教生K92〕.
ヘリジロツケオグモ Phrynarachne ceylonica (O. P.-CAMBRIDGE, 1884)
雌7.5〜8mm,雄2.5〜3mm,成体出現期5〜8月.里山から山地に生息.樹林地の周辺,林道などの低木の枝葉間,葉上,草間に潜み,
近づく飛翔性昆虫を捕える〔新海06〕.
雄2.9mm,雌7.6mm.石垣島・西表島で記録.雄は3月亜成体〔小野88〕.国外ではスリランカ,中国,台湾から記録がある〔小野09〕.
西表島で4月1日に雌成体採集,6月17日死亡〔新海明・平松K79〕.
腐敗臭がある.しかし,センチニクバエとイエバエがクモに誘引されるかを実験し,
空容器との差はなかった〔千田・深見・宮下直AC48(1)〕.
石垣島で餌としてハエの捕食を確認〔谷川K86〕.
カトウツケオグモ Phrynarachne katoi TIKUNI, 1955
雌8.5〜12mm,雄4〜5.5mm,成体出現期5〜7月.稀少種.里山から山地に生息.樹林地の周辺,林道などの樹木の枝葉間,葉上,草間に見られ
る〔新海06〕.
成体は5〜8月,雌7〜9mm,雄不明,本州・九州.低木の葉上にいる.
警戒して脚を縮めると鳥のふんのように見える〔東海84〕.国外では中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
葉裏にひそんで獲物を待つ.気にいった場所があるとかなり長い器官そこにいるようである〔森林87〕.
雄2.4mm,雌8.7〜12.6mm.岐阜・岡山・長崎・宮崎・熊本・沖縄を所検.韓国にも〔小野88〕.
1953年9月7日,長野県下伊那郡川路村,雑木林中の楢の表皮の凹陥部に静止,関川作楽氏採集,雌7mm.千国仮称トリノフンカニグモ〔千国
AC14(1)〕.分布記録〔吉田真,いと43〕.
1975年4月29日,対馬の海岸の低木(マルバウツギと思う)の葉上より採集.
ハエの多い場所へ持っていったが,ハエが特に誘引されることはなかった.
ハエやガ,シジミチョウを食べ,50日間生存,産卵しないまま6月20日に死亡〔高野K40〕.
小さなハエが頻繁に接近.クモの腹部の突起をなめているような行動があった.1,2脚
を大きく広げ先端を小刻みに震わせ捕まえる〔杉山時雄・大原満枝,蜘蛛36〕.
1989年8月26日,奄美大島で2頭の幼体を採集,飼育で2回脱皮.11月6日に雌成体,
6回脱皮で2月26日に雌成体〔谷川K60〕.飼育記録を詳細に記す〔南部敏明K77〕.
2006年4月14日甲府市にて幼体〔伊藤透・初芝K90〕.
葉の上で二度はえに似た体長2mmの昆虫が接近.二度とも広げた第1・2脚を小刻みに
動かし,虫に触肢が触れそうになった時素早く第1脚でつかもうとしたが失敗〔緒方,蜘蛛22〕.
ガザミグモ Pistius undulatus KARSCH, 1879
=カザミグモ 風見グモ 最初の和名,岸田久吉原筆あり〔新海06〕.
=Pistius truncatus (PALLAS, 1772)
雌8.5〜12mm,雄4〜5.5mm,成体出現期5〜7月.山地に多く生息.草原,樹林地の周辺,林道などの草間,樹木の枝葉間,花の中や上で長い前
脚を広げて獲物を待ち,
チョウ・ハエ・アブ・ハチなどを捕える〔新海06〕.
成体は5〜7月,雌9〜11mm,雄5〜6mm,北海道・本州・四国・九州.草や低木の葉の上で,
長い脚を広げて獲物を待ち伏せる.樹皮の下で越冬する〔東海84〕.
雄3.6〜5.3mm,雌8.5〜12.1mm.韓国・中国にも分布〔小野88〕.しばしばミツバチなど大きい獲物を捕える.
中央アジア(カザフスタン)から日本にかけて広く分布〔小野09〕.
成体で越冬し,春に1個卵のうを作る.卵のう内の数は30〜40個位である〔山川・熊田73〕.
プラタナスの樹皮下で亜成体越冬〔植村AT5〕.
タンバカニグモとして樹間・草間に時々みられる.6,7月頃成熟.本州・四国・九州及び欧州に分布〔関口AC6(4)〕.
1937年6月1日,成体雄が亜成体雌の腹背につかまっている.
ほぼ1日半後に脱皮した雌の腹下に回り交接した〔小松AC2(2)〕.
正しくはPistius undulatus KARSCH, 1879〔小野85〕.
自然環境指標種Bランク〔新海98〕.
トガリシロスジグモ Runcinia acuminata (THORELL, 1881)
雌4.5〜6mm,雄3〜3.5mm,成体出現期4〜8月.稀少種.静岡県以南に分布,房総半島からの採集記録(浅間による)がある.草原,樹林地の周
辺,林道などの草間に生息.
葉上や花の上で前脚を広げて飛翔性の小昆虫を捕える〔新海06〕.
雄3.0〜4.2mm,雌6.3〜8.4mm,奄美大島以南の草地に生息.ニューギニア・タイ・オーストラリアにも分布〔小野88〕.
シロスジグモ Runcinia affinis SIMON, 1897
=syn. Runcinia albostriata BOES. et STR., 1906
成体は6〜8月,雌9mm,本州(暖地)・四国・九州・南西諸島.南方系のクモ.草の葉や花の上にいる〔東海84〕.
雄1.3〜1.5mm,雌4.6〜6.0mm,沖ノ島および鹿児島以南の草地に生息.韓国・中国・台湾・タイにも分布〔小野88〕.
フノジグモ Synema globosum (FABRICUS, 1775)
=Synaema globosum Synemaはギリシャ語をラテン語化したときの誤り〔小野09〕
=Synaema globosum japonicum KARSCH, 1879
雌5〜8mm,雄3.5〜5mm,成体出現期6〜8月.里山から山地に生息.草原,樹林地周辺などの草間に見られ,花の中や下面に潜んで飛翔性昆虫を捕
える〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌5〜6mm,雄3〜4mm,葉や花の上で獲物を待ち伏せる〔東海84,森林87〕.
雄3.5〜5.3mm,雌4.9〜8.2mm.成体は6〜8月.スペインからユーラシア中部まで分布.
日本では北海道から九州まで〔小野88〕.
地色が赤,黄,灰白色とある.葉先を折りまげて作った産室で卵のうを保護する〔中平AT35〕.
幼体では黄色のものが多い〔森林87〕.
クロオオアリを捕食することがある〔中平AT43〕.
草間に普通,7,8月頃成熟し,欧州・支那・満洲・本邦に分布〔関口AC6(4)〕.
昭和11年8月14日,山梨県静川村にて母グモと白色卵のうを採集,内に48頭の子〔深沢AC1(4)〕.
イタドリの葉を巻き,葉面に糸で吊床を作成,その上に産卵.母は分散が終わるまで卵のうをガードする〔細野43〕.
6月10日に成体となり,その後4回産卵.1卵嚢中の平均卵数は117.8個.卵嚢の
大きさは12〜15mmで,葉面に敷かれた1枚の薄いシーツ様の膜と卵塊を覆う白い膜
からなっていた.卵嚢は葉の裏に付着して露出しているか,二つ折りにされた葉の中に包
み込まれている〔小笠原幸恵,蜘蛛27〕.
自然環境指標種Bランク〔新海98〕.
ナンゴクフノジグモ Synema nangoku ONO, 2002
=Synaema nangoku Synemaはギリシャ語をラテン語化したときの誤り〔小野09〕
雌4.2mm,雄未知,成体出現期5〜8月.四国に分布〔小野09〕.
チクニエビスグモ Synema chikunii ONO, 1983
=Synaema chikunii Synemaはギリシャ語をラテン語化したときの誤り〔小野09〕
雌5〜6mm,雄4〜4.5mm,成体出現期5〜8月.北海道では平地から山地まで生息.本州では1000m以上の山地に見られ,四国・九州では一部の
高地で稀に採集される.
個体数は少ない.草原,樹林地の周辺,林道などの草や低木の枝葉間に見られ,葉上,花の中や下面に潜んで小昆虫を捕える〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌5〜6mm,雄4〜4.5mm,北海道・本州・四国・九州.山地の樹の間や草の間にいる〔東海84〕.
長野県(千国採集,6〜7月)と北海道(熊田氏採集,7月)より採集された.
フノジグモと色彩・生殖器が異なる〔小野AC31(2)〕.日本固有種〔小野09〕.
コキハダカニグモ Takachihoa truciformis (BOES. et STR., 1906)
=Oxytate truciformis BOES. et STR., 1906
属名をTakachihoaとする〔小野85〕.
雌3〜4mm,雄2〜3mm,成体出現期5〜8月.里山から山地に生息.個体数はきわめて少ない.草原,樹林地の周辺,林道などの草や低木の葉上などに
見られる.
頭胸部は黄白色または灰白色で頭は褐色,腹部は黄褐色の地色に褐色または黒褐色の複雑な斑紋がある.一見キハダカニグモに似るが,頭胸部が黒くないので区
別できる.クマダハナグモにも似る〔新海06〕.
成体は5〜7月,雌2.8〜4.2mm,雄2.2〜2.4mm,九州・南西諸島〔小野AT72〕.台湾にも分布〔小野88〕.台湾に近縁種
Takachihoa onoiがいる〔小野09〕.
アマミアズチグモ Thomisus kitamurai NAKATSUDI, 1943
奄美大島龍郷で7月22日1雄で記載〔小野AC43(1)〕.雌を初記載.雄2.6〜3.0mm,雌10.4〜12.0mm.雄は7月前後に出現.琉球
列島に分布〔小野1988〕.
オオジョロウグモの網上で網主を捕食していた〔新海明K74〕.
アズチグモ Thomisus labefactus KARSCH, 1881
雌6〜8mm,雄2〜3mm,成体出現期5〜9月.平地から山地まで広く生息.草原,河原,樹林地の周辺,林道などの草や樹木の花の中や葉裏に潜んで,
シジミチョウや小型の飛翔性昆虫を捕える.
雄は非常に小型で,成体になると雌の腹部に乗っていることが多い〔新海06〕.
色彩・斑紋には変異が多く,白色,黄白色,黄色,白色の地に褐色の点斑などがある〔新海06〕.
成体は6〜9月,雌6〜8mm,雄2〜3mm,本州・四国・九州・南西諸島.花の上で獲物を待っている〔東海84〕.国外では中国,韓国から記録がある
〔小野09〕.
シロアズチグモやウスジロアズチグモは色彩変異〔小野88〕.
山麓から山地にかけての草間に生息する.個体数はあまり多くなく,1日の調査で1〜2頭しかみられない.
産卵期は7〜8月で,チガヤ,ヨシなどの植物の葉をまげて産室を作る.1卵のう中の卵数は80〜100個.
草間を歩き回ったり,花の中や下面にひそんで,飛んでくるチョウ,アブ,ハエなどの昆虫を捕える.
雄は雌より非常に小さく,早く成熟して,
亜成体の雌の腹部にのって生活し,雌が成体になるのを待って交尾する〔森林87〕.
8月にササの葉をまいて,中に卵のうを作る〔山川・熊田73〕.
ユズリハの葉をまいて中に卵のうを作り,ガードしていた.9月20日ふ化,25日出のう,
10月7日コマチグモが親を捕食したようだ.子20頭を確認,
10月11日子グモはすべて分散〔熊田理恵K57〕.
雌雄の脱皮回数の違いを飼育で調査.9月13〜17日に出のうした2齢幼体は越冬前に1回脱皮し,
越年して4月から3回の脱皮で雄が5月に成熟,
雌は5回の脱皮で6月に成熟した.第一卵のうからの出のう数は平均171.3個,
第2卵のうからの出のう数は平均16.5個であった.
寿命(平均)は雌が151日,雄が160日〔宮下和AC48(2)〕.
長時間かけて(24時間)体色を白から黄色へ可逆的に変化させる(黄色のダリア上にて)〔大利AT35〕.
8月16日,滝山で淡黄色の個体が机上の管びん内で,22日白色になっていた.黄色のキクイモ上にはなしたが変化せず,産卵し,9月9日に死亡〔高野
K39〕.
捕獲法は消極的で第T・U脚を大きく広げ,獲物の虫が目と鼻の先まで来てからパッと捕らえる.自分で補食できたのは自分の体長と同じか,大きいものだけで
あった〔小野K43〕.
9月5日,死んだ成体雌から線虫が出た〔中島晴子K97〕
オキナワアズチグモ Thomisus okinawensis STRAND, 1907
雌7〜11mm,雄2.5〜3mm,成体出現期3〜8月.草原,樹林地の周辺,林道などの草や樹木や草の葉上,花の中や葉裏に潜む〔新海06〕.
斑紋には変異が多く,全体白色や黄色の個体も見られる〔新海06〕.台湾,フィリピン,タイなどから知られる〔小野09〕.
Strandが沖縄と台湾から記載した2種のアズチグモはどちらも本種.雄2.4〜3.1mm,雌7.0〜11.6mm,宮古島・石垣島・西表島・与那国
島.台湾・タイにも分布〔小野88〕.
シロアズチグモ Thomisus onustus (WALCK., 1805)
Thomisus albus (GMELIN)として,8月頃,チガヤ等の葉を折りまげて,
ササグモとハマキフクログモの中間のような産室を作る.母グモは卵のうを守り,にげない〔中平AT23/24〕.
アズチグモの色彩変異〔小野88〕.
ウスジロアズチグモ Thomisus onustoides BOES. et STR., 1906
=キリシマアズチグモ Thomisus labefactus bimacuratus BOES. et STR., 1906
庭木の草花のがくの所や花弁などに潜むが,多くは山地の草原のオミナエシ・ヤブガラシ等の草花に多い.
幼生程,体色が白く,成体になるにつれ淡黄褐色じみてくる〔木庭AT19〕.
アズチグモの色彩変異〔小野88〕
ハナナガトラフカニグモ Tmarus horvathi KULCZYNSKI, 1895
=mis. Tmarus hanrasanensis PAIK, 1973
雄3.6〜4.9mm,雌6.1mm.雄は石川県・福岡県にて5月下旬〜6月上旬〔小野88〕.
韓国・日本に分布,秋田県手形山で採集例.稀産種.雄は未知〔小野AC27S〕.ユーラシア東部に広く分布〔小野09〕.
コトラフカニグモ Tmarus komi ONO, 1996
西表島古見を基準産地に記載.3月に雄成体(2.6mm),雌は幼体〔小野AC45(2)〕.
アマミセマルトラフカニグモ Tmarus makiharai ONO, 1988
奄美大島を基準産地に記載.11月4月に雄成体(4.4mm),雌は未知〔小野88〕.
トラフカニグモ Tmarus piger (WALCK., 1802)
雌4.5〜7mm,雄3.5〜5mm.成体出現期5〜7月.里山から山地に生息.草原,樹林地の周辺,林道などの
草や樹木の茎,枝,葉上で,茎や枝の上で前脚を真っ直ぐに伸ばして,第3・4脚は腿節までは体を付けるようにして後方に,
膝節から先は前方に伸ばして静止する.飛翔性昆虫はあまり捕らず,茎や枝を上って来るアリ類を捕食する〔新海06〕.
成体は5〜7月,雌6〜7mm,雄5〜6mm,北海道・本州・九州.草の葉の上に脚を伸ばしていて,アリを取る〔東海84〕.
7月に卵のうを1個作る〔山川・熊田73〕.
欧州〜中国・韓国・日本に分布〔小野AC27S〕.
昭和13年5月24日栃木県にて成体雌がクロヤマアリ職蟻を捕食〔湯浅AC4(3)〕.
雌がハヤシクロヤマアリの職蟻をくわえていた〔平松K87〕.アリを捕獲していた〔緒方,蜘蛛31〕.
セマルトラフカニグモ Tmarus rimosus PAIK, 1973
雌5〜7mm,雄3.5〜5.5mm.成体出現期6〜8月.平地から山地に広く生息.公園,草原,樹林地の周辺,林道などの
草や樹木の茎,枝,葉上で,脚を真っ直ぐに伸ばして静止する.飛翔性昆虫はあまり捕らず,主にアリを捕食する〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌6〜7mm,雄5〜6mm,北海道・本州〔東海84〕.
草の上,樹木の枝や葉の上を歩き回ってアリを捕らえる〔森林87〕.
クモの1・2脚にアリが触れた瞬間に捕獲〔新海明K73〕.
韓国・日本に分布.ススキ原に特に多く,第1・2脚を下に伸ばした垂直姿勢で静止.
成熟した雌は生葉をまいて産室を作り,卵のうを保護〔小野AC27S〕.国外ではロシア極東地域,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
三浦半島で,トラフカニグモと同所に混棲しているが出現期に差がある〔熊田K45〕.
ヤエヤマセマルトラフカニグモ Tmarus shimojanai ONO, 1997
雌6〜7mm,雄4〜5mm.西表島に分布〔小野AC27S〕.
ヤギヌマノセマルトラフカニグモ Tmarus yaginumai ONO, 1977
雄3.9〜5.2mm,雌4.9〜5.2mm.三宅島・本州(神奈川県厚木市以南)・四国・九州〔小野88〕.
高知県梶ケ森で雄記載,7月に成体.高知県および静岡県伊豆石廊崎で採集例あり.
セマルトラフカニグモより小さい〔小野AC27S〕.
ホンクロボシカニグモ Xysticus atrimaculatus BOES. et STR., 1906
=Xysticus dichotomus PAIK, 1973 ヤマヤミイロカニグモと同種〔小野09〕
=Xysticus concretus UTOCHIKIN, 1968
雌6.5〜9.5mm,雄3〜4.5mm.成体出現期6〜8月.山地に生息.採集記録は非常に少ない.草原,樹林地の周辺,林道などの草間,低木の葉
上,下草の根元付近を歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
茶色型から複色型まで色彩の濃淡が見られる〔新海06〕.
雄は未知,雌6.3〜9.6mm.ヤミイロカニグモやシナカニグモに似る.
佐賀の金毘羅が模式山地.長野・福岡・熊本でも記録〔小野88〕.
和名をホンクロボシカニグモとする.本州・九州.クロボシカニグモとされていた種は種が別である〔小野85〕.
国外ではロシア極東地域,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
Xysticus lateralis atrimaculatusとして,赤湯町にて幼体から成体まで空中移動する優占種〔錦AC20(1)〕.
オビホソカニグモは本種か〔八木沼AT73〕.
Xysticus trizonatus KISHIDAとして記載〔安念AC6(4)〕.
カニグモ Xysticus audax (SCHRANK, 1803)
雄4.7mm,雌,4.8mm.5・7・9月に成体〔小野88〕.旧北区に分布〔小野09〕.
クロボシカニグモ Xysticus hedini SCHENKEL, 1936
=syn. Xysticus bifidus PAIK, 1973
雌5〜9mm,雄3〜5mm.成虫6〜8月に出現.局地的に分布し,しばしば水田で採集〔小野09〕.
種名改称.八木沼のクロボシカニグモはこの種である〔小野85〕.
雄3.0〜4.3mm,5.7〜8.9mm雌.4〜8月まで成体.湿地に多い〔小野88〕.
1個目の卵のうから出た幼体雄は5回脱皮,2個目の卵のうから出た幼体雄は4回脱皮,
雌はいずれも5回脱皮で成熟〔宮下AC46(2)〕.
千葉県我孫子市内の水田畦畔や雑草地に普通.幼体の発育経過は出のう時期により異なる.
8月下旬以降に出のうした場合は年内には成熟せず,翌年春4〜5月に成熟する.
5〜7月に採集した雌成体は平均84日生存し,2〜3回卵のうを産出した.
総卵数の平均値は雌当たり182個.野外では年2世代と1世代が混在する〔宮下AC48(1)〕.
ヤミイロカニグモ Xysticus croceus FOX, 1937
雌6〜10mm,雄5〜7mm.成体出現期4〜10月.都市部から山地まで広く生息.
神社,寺院,公園などの林,雑木林,林道などの下草間,草間,落葉上などを歩き回って獲物を探す.
前二脚は太くて長い.この二脚を大きく広げながら横になるく姿からカニグモの名が付けられている〔新海06〕.
成体は4〜6月,雌6〜8mm,雄5〜7mm,全土.下草の葉の上で獲物を待ち伏せる.冬は落葉や石の下にいる〔東海84〕.
国外では中国,韓国,ブータン,ネパール,インド北部から記録がある〔小野09〕.
郊外の雑木林から山地にかけて多く,都市部でも広い林が残っている公園にはよく見られる.
産卵期は5〜6月で,葉の上に丸い座蒲団のような白色の卵のうを作り,8本の脚でかかえるように守っている.
1卵のう中の卵数は70〜120個.草の上を歩き回って獲物を探す.
その他,樹木の枝や葉の間,落葉の中などにも見られる〔森林87〕.
6〜8月に葉をまいて卵のうを作る〔山川・熊田73〕.
ムネアカオオアリやクロオオアリを捕食することがある〔中平AT43〕.
木の根元付近に3cm四方の紙状網をはって生息.粘性はない.産卵場か〔大利AT28〕.
崖の石下にて越冬中の亜成体雌を採集〔植村AT5〕.
1卵のう中に109卵,89卵を観察〔松本K42〕.
以下の記録は総てヤミイロカニグモ Xysticus ephippiatus として:
落葉等をのう状にして夏季産卵すれども成体は四季をつうじて雑草下に見るを得べし.
北海道・本州・四国・九州・支那に分布〔関口AC6(1)〕.
栃木県にて昭和10年5月26日に成体雌がホソサビキコリ Lacon fuliginosu 雄(?)を,
東京都にて昭和12年5月25日成体雌がシマハナアブ Eristalis cerealis 雄を,
昭和12年6月13日成体雌がスジチャタテ Psocus tokyoensis 雄(?)を,ハンノキハムシ Agelastica caerulea成虫,
ルリハムシ Chrysomela aenea 成虫を,ハギツルクビオトシブミ Cycnotrachelus roelofsi 雌を,
クロオオアリ Camponotus herculeanus japonicus 雄を,
昭和13年4月28日東京都にてリンゴアブラムシ? Myzus maliscutus 有羽胎生成虫を,
昭和14年6月18日東京都にてクロヤマアリ Formica fusca var.japonica 職蟻を捕食.
他にテントウムウシ Harmonia axyridis 幼虫,クワキヨコバイ Epicanthus guttiger 成虫,
ヨトウムシ? Barathra brassicae 幼虫,ハムシダマシ Lagria nigricollis 成虫を捕食〔湯浅AC4(3)〕.
キバネツノトンボ Ascalaphus ramburi 成虫を捕食〔石沢AC1(1)〕.
ダイセツカニグモ Xysticus daisetsuzanus ONO, 1988
雄3.9〜4.7mm,雌4.4〜4.5mmで大雪山産で記載.直径7mmの卵のうに31卵.地表の石上を徘徊〔小野88〕.
ヤマヤミイロカニグモ Xysticus concretus UTOCHKIN, 1968
=syn. Xysticus dichotomus PAIK, 1973
雄が6月下旬から7月下旬.雌は未知.ヤミイロカニグモに似る.韓国で記載された.群馬・鳥取・大分・宮崎で記録〔小野88〕.
チュウカカニグモ Xysticus ephippiatus SIMON, 1880
=カラカニグモ,シナカニグモ 和名をチュウカカニグモに改称〔小野09〕
雌6〜13mm,雄5.5〜7.5mm.成体出現期5〜8月.山地に多く生息.
草原,樹林地の周辺,林道などの草間,低木の葉上に見られる〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌6〜12mm,雄5.5〜7.5mm,北海道・本州・四国.習性はヤミイロカニグモに似る〔東海84〕.
雌7〜12mm.腹部に黒色斑紋がないので他種と区別しやすい.カニグモ属の中では最も大型で13mmに達するものもいる〔森林87〕.
日本から中国にかけて分布し,日本では北海道から沖縄まで分布する.
先島産の個体は小型.西表島で3月,多良間島で5月,本土ではほぼ6〜8月が成体出現期.
本土では年1回だが,先島では2回発生もありうる〔小野K47〕.
琉球列島にも分布.他には韓国・中国・モンゴル・シネリア.潅木や草地から採れる〔小野88〕.
自然環境指標種Bランク〔新海98〕.
アヅマカニグモ Xysticus insulicola BOES. et STR., 1906
雌6〜10mm,雄4〜5.5mm.成体出現期5〜8月.里山から山地に生息.樹林地の中や周辺,林道などの草間,低木の葉上,
下草の根元付近を歩き回って獲物を探す.葉や茎の間に潜んでいる場合がある〔新海06〕.
成体は5〜8月,雌6〜9.5mm,雄4〜5.5mm,本州・四国・九州.習性はヤミイロカニグモに似る〔東海84,森林87〕.
草地および路傍植物で見られる.北海道・本州・九州・韓国にも分布〔小野88〕.
暖かい地域では春季と晩秋に雄成虫が見られ年2回発生.国外では中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
鳥取市にて1961年5月12日,有田立身採集の個体は左半身が雌,右が雄(palp不完全)だった.
不完全な雄をモザイク的にもった雌性の強い間性混入型のgyandromorph〔八木沼・有田AC20(1)〕.
タイリクカニグモ Xysticus vachoni SCHENKEL, 1963
=syn. Xysticus jacuticus UTOCHKIN, 1968
シベリアから記載された種で,大雪山の標高1980mで1雄を記録〔小野88〕.国外ではカザフスタン,モンゴル,ロシア極東地域に分布〔小野09〕.
チシマカニグモ Xysticus kurilensis STRAND, 1907
雄4.5〜5.8mm,雌5.3〜9.0mm.北海道から本州(岐阜まで).6〜8月に成熟.
原記載以来確実な記録がなかったが,日本各地から見られた〔小野88〕.
林内の草間や地表で採集.成虫は5〜8月に出現.国外ではロシア極東地域,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
シギカニグモ Xysticus rostratus ONO, 1988
北海道産にて記載.雄5.0〜5.7mm,雌7.0〜8.1mm.雄は6月下旬〔小野88〕.国外ではロシア極東地域から記録がある〔小野09〕.
リュウキュウカニグモ Xysticus ryukyuensis ONO, 2002
雌5〜8mm,雄3〜5mm.沖縄本島から知られ,日本固有種.近縁種 X. chui ONO, 1992は台湾の山岳地域に産す〔小野09〕.
ゾウシキカニグモ Xysticus saganus BOES. et STR., 1906
=オオヤミイロカニグモ
雌6〜10mm,雄3.5〜5.5mm.成体出現期6〜8月.平地から山地に生息.雑木林の中や周辺,川辺周辺の林,林道などの
草間,低木の葉上,下草の根元付近,落葉上を歩き回って小昆虫を探す.葉や茎の間に潜んで獲物を待つ場合がある〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌8〜10mm,雄5〜6mm,北海道・本州・四国・九州.習性はヤミイロカニグモに似る〔東海84〕.
雌7〜10mm,雄はヤミイロカニグモより小さい〔森林87〕.
和名ゾウシキカニグモは八木沼(1960)に基づく.国外ではロシア極東地域,中国,韓国から記録がある〔小野09〕.
令査定に当っては背甲幅よりも眼間幅の方が個体変異が小さく,伸縮の変化も少ない.
眼間幅が0.5〜0.9mmが若令幼生,1〜1.3mmが幼生,1.4〜1.7mmが亜成体,1.8mm以上が成体.
飼育下では5令意向急激に死亡したが原因不明.餌量が少ないと小さい〔秋田AC28(2)〕.
1991年7月30日交尾を観察,雄は糸かけをした後,45分間交尾.翌日も28分交尾した〔佐藤幸K73〕.
雌雄モザイク発見(約1/4が雄性)〔有田AT29〕.
ヨコフカニグモ Xysticus transversomaculatus BOES. et STR., 1906
雌6〜7.5mm,雄3〜4mm.成体出現期3〜10月.海岸から山地まで分布するが,採集記録は少ない.草原,樹林地の周辺などの草間,低木の枝葉間
に生息.
産卵期には草の葉を曲げて簡単な住居を作り,その中に白色の円盤形の卵のうを作って,親グモはその上に乗って保護する〔新海06〕.
佐賀県金毘羅産1雌で記載〔小野88〕.
雄成体は5〜9月,3〜3.5mm,北海道・本州.海岸付近の低地の草間にいるが少ない〔ONO,AC44(1)〕.
日本固有種〔小野09〕.
宮城県名取川河川敷にて雌雄生息〔池田98〕.八王子市の駐車場脇の荒れ地で2009年4月12日に雄成体,5月31日に雌成体〔荘司K96〕.
卵のう保護行動はカニグモ科の大部分の種類に見られる共通の修正〔新海06〕.
オビボソカニグモ Xysticus trizonatus Ono, 1988
雌6〜7.5mm,雄4〜4.5mm.成体出現期5〜9月.平地から山地に生息.神社・寺院の林,公園の林の中,樹林地の中とその周辺,林道などの草
間,樹木の枝葉間,樹皮面を歩き回って獲物を探す.
冬季に樹皮より幼体で採集されることが多い〔新海06〕.
成体は5〜9月,雌6〜8mm,雄不明,本州・四国.樹の幹の上にいるが少ない.樹皮の下で越冬する〔東海84〕.
本州・四国・九州に分布〔小野88〕.日本固有種〔小野09〕.
自然環境指標種Bランク〔新海98〕.
ヤマジハエトリ Asianellus festivus (L. KOCH, 1834)
=Aelurillus festivus L. KOCH, 1834
雌6〜7mm,雄5〜6mm,成体出現期4〜7月.里山から山地にかけて生息.林道の地表面,岩場,崖地などに多い.下草の間,落葉の下や隙間に生息.
特に日当たりの良い枯れ葉の上をジャンプしながら獲物を探している姿をよく見かける〔新海06〕.
成体は4〜7月,雌6〜7mm,雄5〜6mm,北海道・本州・四国・九州.
山地の地上をはね歩いていることが多い〔東海84〕.旧北区に分布〔小野09〕.
旧北区系のクモである.山道で採集され,ミチオシヘのように足先を飛んでいる姿を見かけることが多い.
日本新記録〔片岡AT51/52〕.
5mm程の黒色のアリを捕食〔松本K40〕.
Aelurillus属とは異なるとの判断からログノフとマルシックは
『北方アジアのハエトリグモのカタログ』(2000)で
本種を基準属にしたAsianellus属に転属している〔池田50(1)〕.
自然環境指標種Aランク〔新海98〕.
タニカワヨリメハエトリ Asemonea tanikawai IKEDA, 1996
雌雄3.2〜4.8mm,成体出現期3〜7月.葉上をジャンプしながら獲物を探す〔新海06〕.
西表島を基準産地に記載.雄3.4mm,雌3.3〜4.2mm.3月に雌雄成体.沖縄本島にも分布する.
体色は緑色で腹背に8個の小黒点がある.類似種にカノウハエトリ(別属Onomastus)がある〔池田AC45(2)〕.
前中眼が白黒変化する.これは網膜部が動くためで他のハエトリでもある〔谷川K79〕.
ムツボシハエトリ Bavia sexpunctata (DOLESCALL, 1859)
雄8.6mm,雌8.6〜9.3mm,西表島から記録〔谷川AC42(1)〕.
西表島で12月に雄,1・8月に雌〔谷川K70〕.東南アジアからオーストラリアにかけて広く分布〔小野09〕.
マダラツヤハエトリ Bianor maculatus (KEYSERLING, 1883)
オーストラリアで記載.沖縄本島と西表島で雌雄が採集〔池田AC47(2)〕.
マツモトハエトリ Bristowia heterospinosa REIMOSER, 1934
雌雄2.5〜3.8mm,成体出現期6〜9月.都市部から山地まで広く生息.個体数は少ない.長い第1脚を上下に動かしながら落葉上や草間を歩き回って
獲物を探す.
下草の根元付近にも見られる〔新海06〕.
雄成体は6〜7月が主,雄2.5〜3.7mm,雌2.7〜3.8mm.クラカタウ島で記載された基準標本と比較して同種と判断した.
脚の棘が左右異なる特徴が学名に生かされたが偶々タイプ標本にした個体の特徴であって,種の特徴ではない.
所検標本は東京.神奈川.愛知・岡山・広島・西表島〔池田AC44(2)〕.
インドから東南アジアにかけて広く分布〔小野09〕.
Bristowia sp. として,神奈川県酒匂川の河原,三宅島,東京都日の出町から採集〔松本AT87〕.
1995年10月に東大演習林田無試験地で雌を記録〔宮下直.笹岡K73〕.
7月2日,町田市小山台緑地でアリの群れの中に雌雄成体〔伴K79〕.
ツルギハエトリ Burmattus pococki (THORELL, 1895)
=Plexippus pococki THORELL, 1895
雄4.9〜5.3mm,西表島の水田の畦の草間から稀に採集された.
ビルマが基準産地,ベトナムにも分布〔谷川AT100〕.
ネコハエトリ Carrhotus xanthogramma (LATREILLE, 1819)
雌雄7〜8mm,成体出現期4〜8月.平地から山地まで広く生息.人家の庭,生垣,公園など,人工的に作られた環境に多く見られる.その他,草原,樹林
地の周辺,林道などの低木の葉上,
草の上を歩き回って獲物を探す〔新海06〕.神奈川県と千葉県の東京湾沿岸地域と,房総半島周辺地域には雄を戦わせる遊びがあり,その地域ではこのクモの
雄をホンチ,雌をババとよぶ〔新海06〕.
成体は4〜8月,7〜8mm,全土.低木の葉の上に普通〔東海84〕.旧北区に分布〔小野09〕.
5〜6月に木の葉を集めて産室を作り,中に入って卵のうを保護する〔新海69,中平AT23/24〕.
雄は脱皮2〜3日前の亜成体雌の巣に行き,待つ.すでに別の雄がいる場合には雄同士の闘争となる.
先住効果はなく,背甲幅の大きい方が勝負に勝つ〔吉田裕AT83〕.
5月に多摩で,亜成体雌の巣に対し,小屋がけしている雄,巣の外で待機している雄を観察.
交接をすませた後,雄は雌と同居せず,去るものと思う〔斉藤慎AT84〕.
横浜市内では4月下旬がホンチの採集時期,10cm×8cmくらいの2枚のバルサ板上に出すとよく闘う.
負けると戦意を失う〔前川隆敏AT98/99〕.
佐藤幸子により,5月4日5日に,野外で前肢を振り上げる求婚を観察〔池田K87〕.
年1世代.5月下旬(〜8月上旬)卵のう形成,7月上旬2令幼生分散.1卵のう当たり卵数平均36.2+3.4.
最大3回産卵し,第1回目の産卵数が40.9+4.7で多い.,5〜6回程度脱皮し,翌年の3月中旬成体へ脱皮.
雄性先熟.令と背甲幅は1令0.71+0.01mm,2令0.84+0.01mm,亜成体2.09+0.08mm,成体(雄)2.56+0.08mm,
成体(雌)2.28+0.08mm.九州大学での調査〔吉田裕AT75〕.
葉の先端を巻き,複雑な平面式住居.長崎で樹皮下の住居で成体越冬が観察できる〔大利AT33/34〕.
樹皮下・樹上の枯葉中に袋状の巣を作り,亜生体越冬〔植村AT5〕.
脱皮が近づくと,各歩脚のふ節が黒ずんでくる〔前川.池田K63〕.
大和市で1992年5月11日クワの葉上で交尾〔池田K65〕.
求愛誇示と威嚇誇示は求愛誇示のとき雄の「顎出し」によって区別できる.雌のみに顎出しを行うものの,
麻酔で静止している雄にもマウントし,挿入しようとする.巣内の雌には顎出しはしない〔前川隆敏AT98/99〕.
海老名市で9月23日・10月2日に採集した雄亜成体を25℃で長日区(16L8D)と暗黒区(1L23D)に置き,餌を与えた.
1月3日までの間で成体になったのは長日区で2頭,暗黒区で3頭〔池田・前川K65〕.
2頭の雌に交尾・産卵させ,出のうした幼体(6頭,12頭)をキイロショウジョウバエで飼育したところ,
5齢までになった.小さい2齢幼体が3齢になったときのサイズは大きい幼体の2齢と同じ.
サイズと捕食量には関連があり,サイズが大きいほど多く捕食した(正のフィードバック).
日当り捕食量は成長に伴い,しだいに増加した.3齢では捕食量が多いほど齢期間は短くなった.
雌雄とも8齢で成体になるのと推測した〔前川・池田K66〕.
卵のう中の脱皮を加えると雌雄とも7回脱皮し亜成体で越冬,4・5月に最終脱皮をする.
雄先熟.成体雌は5〜8月に2〜3回産卵,クラッチサイズは平均32個
(後の卵のうほど減数し,3回目はふ化しなかった)〔宮下K71:宮下AC44(2)〕.
神奈川県海老名市で雌雄モザイク1頭(左半身が雌)を前川が採集した.雄として行動し,
雌に対しては求愛を,雄に対しては威嚇行動をした〔前川.池田AC41(1)〕.
5月23日,雌が同サイズの雌を共食い〔中島晴子K79〕.
ウデグロカタオカハエトリ Euophrys frontalis (WALCKENAER, 1802)
雄3mm内外.北海道のみで記録.日本の他の地域の記録はEuophrys kataokaiである〔池田AC45(1)〕.
旧北区に分布〔松本K40〕.
カタオカハエトリ Euophrys kataokai IKEDA, 1996
=カタオカハエトリ Euophrys frontalis (WALCKENAER, 1802)
=カキイロハエトリ Euophrys herbigrada (SIMON)
雌3〜4mm,雄2〜3mm.成体出現期5〜7月.海岸から山地まで広く生息.海岸や河原の小石の間,里山の竹やぶ,林の落葉の上,草原の地面や石の上
をジャンプしながら獲物を探す.
石の下のへこみに白色の小さな袋状住居を作り,その中に潜んでいることが多い〔新海06〕.
雌5mm内外,雄3.3mm内外.笹やぶ,潅木の下部,落葉の中に多い.成熟は5〜7月頃.千葉・福島・岩手・宮城に分布.
なお広く分布していると考えられる〔片岡AC27S〕.
カキイロハエトリとして,成体は5〜7月,雌3〜4mm,雄2〜3mm.1979年6月12日に神奈川県相模湖町で新海栄一が採集.記録〔森林87〕.
厚木・七沢で採集〔山川・熊田79〕.韓国・中国・ロシア極東地域にも分布〔小野09〕.
野庭高校教室内で雄を採集(1990年5月19日)〔谷川K62〕.
八木沼健夫より,ヨーロッパのEuophrys
frontalisと同定されたが,日本産の種は新種であった.雄は5〜6月に成体〔池田AC45(1)〕
マミジロハエトリ Evarcha albaria (L. KOCH, 1878)
=ランペルトハエトリ Hyllus lamperti BOES. et STR., 1906
雌7〜8mm,雄6〜7mm,成体出現期5〜8月.平地から山地にかけて広く生息.色彩変異が多く,灰色,黄色,オレンジ色,茶褐色など様々な個体が見
られる〔新海06〕.
成体は5〜8月,雌7〜8mm,雄6〜7mm,全土.草の葉や倒木の上を徘徊し数は多い〔東海84〕.
ランペルトハエトリとして,雌雄7・5mm内外,山野の草間に比較的普通の種.本州・四国・九州に分布〔関口AC5(4)〕.
マミクロハエトリによく似る.特に雌では区別困難で要注意〔池田AC〕.
中国・韓国・ロシア極東地域からも記録〔小野09〕.
オオヅカアリの運ぶさなぎ・卵・幼虫を略奪する〔井伊伸夫AC27S〕.
蛾にとびついて糸で宙吊りになった後,第3・第4脚を使い,糸をたぐって後向きに上昇してきた〔有田AT51/52〕シロブチサラグモの皿網内で網主を捕
食〔木庭H5(2)〕.
宮崎で5月頃産卵する〔松山他AT43〕.
葉を曲げてその中に平面式産室を設ける.長崎で7月頃産卵〔大利AT33/34〕.31卵〔大利26/27〕.
34卵〔大利AT29〕.
日下部光代により,6月10日採集した雌が飼育下で4回産卵し,幼体も出のうした.(1)6月14日産卵,17日後の
7月1〜2日に分散,幼体数29(卵殻43,脱皮殻1),(2)7月初旬産卵,7月26〜31日分散,幼体数25(卵殻25,脱皮殻33),
(3)8月1日産卵,17日後の8月18日-20日分散,幼体数11(卵殻11,脱皮殻11),(4)8月19日産卵,22日後の
9月10〜12日分散,幼体数18(卵殻20,脱皮殻18).親は産卵すると卵のうの中に入ったきりで絶食〔池田K87〕.
Evarcha albifrons KULCZYNSKI, 1895(マエシロハエトリ)と
Hyllus lamperti BOES. et STR., 1906(ランペルトハエトリ)は本種のシノニム〔八木沼AT92〕.
シッチハエトリ Evarcha arcuata (CLERCK, 1758)
雌6〜8mm,雄5〜7mm,成体出現期6〜9月.海岸から山地まで生息.沼や池などの周辺の湿地に見られる.
草の茎や葉上,地表面を歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
雌6〜8mm,雄5〜7mm,旧北区から知られる〔小野09〕.
アシブトハエトリ Evarcha crassipes (KARSCH, 1881)
Evarcha属からPancorius属へ転属〔池田〕.Plexxipus属からEvarcha属へ転属〔八木沼AT92〕.
マミクロハエトリ Evarcha fasciata SEO, 1992
雌6.5〜7.5mm,雄6〜7mm,成体出現期4〜10月.平地から山地まで生息.草原,河原,湿原,水田の周辺,樹林地の周辺,林道などの草や低木
の葉上などに見られる〔新海06〕.
韓国で雄により記載された種.雌を初記載した.成体は雄5月,雌6月,雄6.2〜7.1mm,雌5.5〜7.5mm.
静岡県天竜市以西から鹿児島県吹上浜まで分布.日本海側は石川県加賀市以西.マミジロハエトリに酷似する.
雄は額に白帯がない.雌は識別困難だったが,交配実験で確認できた結果,
第3脚と第4脚の蹠節長がW>Vならほぼ本種〔池田・斎藤慎AC46(2)〕.中国・韓国からも記録〔小野09〕
雌は背甲後部に首輪斑が明瞭でアルコールを飛ばすと見えてくる〔斎藤慎K93〕.
福井市と加賀市で調査.7月26日の卵のう中のふ化幼体数は29,31,39,44+,53,58.秋に成体雄と亜成体,
春に成体雄,梅雨期に成体雌〔斎藤慎AC46(2)〕.
産卵は6月に始まり,9月初旬まで.初夏に最終脱皮をして成熟する雄がいる.
6月に交尾実験を行った.卵のうにタマゴクロバチの一種が寄生〔斎藤慎K93〕.
フィッシャーハエトリ Evarcha flavocincta (C. L. KOCH, 1848)
=Hyllus fischeri BOES. et STR., 1906
雌雄6〜9mm,中国からジャワにかけて広く分布,日本からは本州・九州・南西諸島から記録〔小野09〕.
千国図鑑のフィッシャーハエトリは,Zabkaのベトナム産の
E. flavocincta雌とは外雌器が異なるため,本種は実質,正体不明種である〔池田〕.
ホオジロハエトリ Evarcha proszynskii Marusik et Logunov, 1997
=Evarcha flammata (CLERCK, 1758)
雌6〜7mm,雄5〜6mm,成体出現期5〜8月.北海道では平地から山地に広く生息.本州では1000m以上の高原,牧場,高山の林の周囲などに見られる.
樹木の葉上,草間,落葉上などをジャンプしながら獲物を探す〔新海06〕.
成体は5〜8月,雌6〜7mm,雄5〜6mm,本州(山地).山地の地上や低木の葉上を徘徊する.北海道にも分布すると思われる〔東海84〕.
Evarcha属の模式種だが,Marusikらの検討によれば日本産の種は新種だったという〔池田K79〕.
ロシア極東地域から北米にかけて記録〔小野05〕.
イソハエトリ Hakka himeshimensis (DOEN. et STR., 1906)
=Pseudicius himeshimensis (DOEN. et STR., 1906)
=Menemerus himeshimensis DOEN. et STR., 1906
雌9〜10mm,雄7〜8mm.成体出現期5〜8月.海岸性のクモ.海岸の岩場,堤防,石垣,テトラポット,流木,漁船などの他,海岸近くの公園や取水
口,河川の護岸や橋などにも生息.
干潮時には潮干帯も歩き回って獲物を探す.動きはきわめて敏捷で採集が難しい.海浜性の小動物を捕食する〔新海06〕.
成体は5〜8月,雌9〜10mm,雄7〜8mm,本州・四国・九州.
海岸の岩,堤防,テトラポッド,流木,漁船などの上を徘徊する〔東海84〕.
中国・韓国からも記録,ハワイからも知られる〔小野09〕.
下田での調査によると,干潮時には潮間帯も徘徊する.飼育管びん中の雌雄は共食いした.
産室は主に岩場の側壁の溝状の裂け目で幅0.5〜1cmの所を利用する.
厚く強い外膜と,内膜の二重の半楕円形の産室を5,6個隣接して作る.
産室作成後,中に閉じこもり1〜2日後,産卵する.飼育下では朝から午前中に行われた.
卵は直径1.3mm球形.産卵後,振動で卵塊が崩れると,親は触肢及び第1脚で卵を集め,
糸で互いに結ぶが,糸でくるむことはない.出のうするまで親は守る.交接は1度で2〜3回産卵出来る.
産卵間隔は38〜76日である.産卵時期は5月上旬〜9月上旬である.産卵後,越冬する親グモがいる.
野外(5月)の卵数は平均21個(8〜40個),飼育下(6月)では平均24個(16〜36個),2回目の卵塊では平均12個となり,半減した.
第3回目の卵塊のふ化率は低下する.
5月30日産卵された卵は,室温(10時に22〜24℃)で14〜19日後ふ化,その後13日で脱皮,脱皮は同調しない.3日後産室から出る.
親が死んでも子グモは出られる.第2回目の脱皮からは住居(脱皮室)を作る.
7月24日第1回脱皮の個体はその後,8月12日(第2回),8月28日(第3回),10月4日(第4回),11月越冬,翌年何回か脱皮して成体となる.
越冬巣は海岸の岩場の岩石の割れ目に作る.
成体は海浜性の小動物,フナムシ,ウミユスリカ,ハマトビムシ,ハエ,アリ,クモを補食,幼生の餌は不明である.
優劣の明らかでない徘徊中の個体が出会うと,闘争が起こる.
互いに向き合い,第1脚をV字型にあげて左右に小刻みに移動しながら近付く.
両者の距離が10cm位になる前に片方が逃避することが多い.片方が飛びかかることもある.
その瞬間,片方が逃げ出し,からみ合ったりしない.第1脚の長さにより優劣が決るようだ.
この闘争は雄雄,雄雌,雌雌,どの間でも起こる.行動範囲が広く,なわばりは認められなかった〔小林・関口AT68〕.
神奈川県逗子海岸で1939年7月28日,雌雄成体・幼体・卵のうを見る〔細野AC5(1)〕.
新記録,和名をイソハエトリとする〔植村AC2(3)〕.
テトラポット近くの木板面の裏に集団越冬〔徳本K66〕.
ユスリカを盛んに捕食〔中平92〕.
ボーダノビチらはPseudicius属に転属〔八木沼AT92〕.プルシンスキーらは本種をもとにHakka属を立てた〔池田〕.
ウデブトハエトリ Harmochirus insulanus (KISHIDA, 1914)
=ミナミウデブトハエトリ Harmochirus brachiatus (THORELL, 1877)とは別種だった〔小野09〕
雌雄4〜5mm,成体一年中.平地から山地まで広く生息.林の中や周囲の草間,林道などに生息.
草や低木の葉上,落葉上などをジャンプしながら獲物を探す.冬季は樹木の葉裏や枯れ葉の中に袋状住居を作って越冬する〔新海06〕.
成体は1年中,4〜5mm,本州・四国・九州・南西諸島.草や低木の上にいることが多い.枯葉に袋状の住居を作り越冬する〔東海84〕.
雌3.6〜4.8mm,雄2.4〜3.9mm〔Logunovら97〕.
長崎にて,山間の木本系の葉裏に袋状住居.冬はその中で成体越冬〔大利AT33/34〕.
熊本にて,冬期,崖の石下から亜成体を採集〔植村AT5〕.
ツバキ,ヒイラギ等潅木の葉裏に白い円形の絹布の巣を作り,その中で成体のままで越冬〔木庭AT19〕.
東洋区系のクモ.樹上生活,夏期は葉上を歩き回る.
似た別種がいる(下草上,石下.冬期は枯葉に袋状住居を作り成体越冬する)〔小野K29/32〕.
日本産の種は日本固有種で,岸田久吉が滋賀県の老人島の雌で記載した
オシマハエトリ Cirothecia insulanus とみなされる〔池田K79, Logunovら97〕.
アダンソンハエトリ Hasarius adansoni (AUDOUIN, 1826)
雌6〜8mm,雄5〜6mm,成体出現期6〜8月.屋内性.人家の壁や周囲の塀を歩き回ってハエや蚊などの昆虫を捕食する.
温暖化により北上しており,それまで屋内にいたミスジハエトリを追いだして住みつく〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌6〜8mm,雄5〜6mm,本州・四国・九州・南西諸島.暖かい地方の室内の壁,天井などを徘徊する.
海岸の堤防にいることもある〔東海84〕.Hasarius属の基準種で,汎世界的に分布〔小野09〕.
雄の求愛行動は第1脚を斜め前方にのばしたまま,ジグザグに雌の方へ寄っていく.
雌のacceptance postureは脚を縮めた姿勢で静止し,腹部末端を微妙に動かすもの.
雌が第3脚を後方から前方へ移動させると,雄は前進をやめ,後退する.
標本の雌に対しては雄の興奮状態による変化がみられる.
斜め前方から雌の上に馬乗りになり,体を少し回して右側から入った場合には右の触肢を使う.
1回の交接時間,交接回数は個体により差がある.2回が普通で4,5回を越えない.
離脱動作は突然,横に跳躍して離れる,そのまま走り去る,後ずさりするのどれかである.
雌が雄を餌とまちがえて傷つけることもあった〔井伊AT61〕.
成体雄の雄に対する誇示行動threat displayは,Crane (1949)を参考に注視期,
第1段階(左右運動前期,左右屈伸運動期,左右運動後期,前進),第2段階(闘争前段階),第3段階(闘争)と分けた.
闘争は横に伸ばした触肢,第1脚,第2脚の先を激しくうちあうものだが,
1〜2秒後どちらかが向きを変え,後方に逃避する.
体の大きい方が勝つ傾向がある.無血であり,定型的である.故に儀式化された行動である〔井伊AT59〕.
雌は上下二重の住居を設け,雄の来訪を上の室で待つ.
雄は長崎で6〜7月頃,よくはい回している.交接は上の室で,卵は下の室に産む.
ふ化するまで雌は上の室にいて保護する〔大利AT33/34〕.
人家や庭木等の日当たりのよいとたろをはい回する.
白色の触肢をうちふりながら歩いているが,驚くと触肢を顔面にピタッとつけて八字状斑を作る奇習がある〔中平AT23/24〕.
雌が産んだ卵を捕食,その後産んだ卵から子グモがふ化〔胡沢K60〕.
ヒゲナガハエトリ Evarcha longipalpis BOES. et STR., 1906はシノニム〔小野09〕.
都市環境指標種〔新海98〕.
ジュウノジハエトリ Hasarius crucifer DOEN. et.STR., 1906
体長4mm.冬期,樹皮下で採集〔植村AT5〕.
住居は袋状,両側が開く.住居を作る時は,ある点を中心に自分の体を回転させて作る〔大利AT28〕.
デーニッツハエトリ Plexippoides doenitzi (KARSCH, 1879)
=Hasarius doenitzi KARSCH, 1879
雌8〜9mm,雄6〜7mm.成体一年中.平地から山地まで広く息.公園,雑木林,草原,河原の草地,林道,樹木の葉上,枝や幹,草の上などを歩き回っ
て獲物を探す〔新海06〕.
成体は4〜10月,雌8〜9mm,雄6〜7mm,北海道・本州・四国・九州・奄美.草や低木の葉の間を徘徊し,
数は多い.落葉の下で越冬する〔東海84〕.
平地から低山地にかけて最も普通.中国・韓国からも記録〔小野09〕.
クモ卵で染色体調査,2n=28(雄)および30(雌),XXO型,雄の配偶子はn=13および15.
MITTAL(1964)によればアリグモ属以外のハエトリグモはXXO型である〔松本AC27S〕.
葉を2〜3枚重ねあわせその隙間に平面式住居を設ける.長崎で6・7月,住居内に産卵して,
ふ化まで保護する.冬は樹皮下に平面式住居を設け,成体越冬が見られる〔大利AT33/34〕.
樹皮下に袋状の巣を作り,幼体で越冬〔植村AT5〕.
6月頃,笹や草の葉を2〜3枚ひきよせ,綴って産室として産卵し,保護する〔中平AT23/24〕.19卵〔大利AT26/27〕.
山野の草間または塀等に見うけられる普通の種類.本州・四国・九州に分布〔関口AC5(4)〕.
高知市で網上のコシロカネグモにとびついて捕食〔K40〕.Plexippoides属へ転属〔Bohd. & Pros. 1987〕.
雌は1〜2回産卵する,1回目産卵では平均33.6個,2回目産卵では11.0個.6月中旬〜7月上旬に出のうした
幼体は雌雄とも4〜6回脱皮して9〜10月に成体となり越冬した.8月上旬に出のうした幼体の大部分はそのまま越冬し,
翌年の7〜9月に成体になった.脱皮は6〜8回であった〔宮下和AC51(2)〕.
雄の求愛誇示行動では視覚的な段階,いわゆる求愛ダンスがなく,直接第1脚で雌を触りにいく.
触られた雌は麻痺し受容姿勢を取る.雄同士の威嚇誇示行動も同様に視覚段階が無い〔池田2008〕.
チクニハエトリ Helicius chikunii (Logunov et Marusik, 1999)
雌4.0〜5.0mm,雄3.0〜4.0mm,千国(1989)によれば,関東以北に分布し,水辺の草間に見られる.ロシア極東地域からも記録〔小野
09〕.
Psedicius属として記載されたが,異なる〔池田K79〕.関東以南にも生息し,河川敷などによく見られる〔池田〕.
ログノフとマルシックは『北方アジアのハエトリグモのカタログ』(2000)で
Helicius属に転属したが,Helicius属に置くのも無理がある〔池田AC50(1),52(2)〕.
コジャバラハエトリ Helicius cylindratus (KARSCH, 1879)
雌4〜5mm,雄3〜4mm.成体出現期6〜8月.都市部の公園,里山の雑木林,林道まで広く生息.草や低木の葉上,落葉上などをジャンプしながら獲物
を探す.ジャバラハエトリによく似ている〔新海06〕.
雌雄3.3〜5.0mm,平地から丘陵地まで広く生息.韓国でも記録〔小野09〕.カルシュがTelamonia
cyrindratusとして記載,Prosyznskiが立てたHelicius属の基準種である〔池田K79〕.
BOHD. & PROS. (1987) 記載のコジャバラ雄と図示された触肢は,ジャバラハエトリのもので,これに依拠した千国89の写真も同様のミス〔池田
K79〕.
コジャバラハエトリ雄の正しい触肢が図示された〔小野09〕.
ジャバラハエトリグモの一種 Helicius kimjoopili KIM, 1995
千国図鑑にsp. として掲載されている雌.
韓国で記載されたが,本種はジャバラハエトリグモ属ではない〔池田AC52(2)〕.
ジャバラハエトリ Helicius yaginumai BOHD. et PROS., 1987
雌4〜5mm,雄3〜4mm.成体出現期5〜8月.山地の草原,林道,里山の雑木林やその周囲の草地によく見られる.地表面や落葉上などをジャンプしな
がら獲物を探す.
草や木の葉上にも見られる.コジャバラハエトリによく似ている〔新海06〕雌雄3〜5mm,韓国からも記録〔小野09〕.
プルシンスキーが1976年に記載したものでなく,1987年のものを原記載とみなす〔八木沼AT92〕.
コジャバラより小さく,丘陵から山地性と思われる.似た別種が生息するので同定には要注意〔池田〕.
チビクロハエトリ Heliophanus aeneus (HAHN, 1831)
成体は6〜8月,雌4〜5mm,雄3〜4mm,北海道・本州・九州.河原の草間,山地の葉の上を徘徊する〔東海84〕.
長野県常念岳の小屋付近(2500m)の高山植物葉上を徘徊,6〜7月に成体・幼体が採れる.雌5mm(糸いぼを含む),
雄4.2mm.異名クロミハイトリ・クロキハイトリ・アシキハイトリ.千国仮称ジョオネンハイトリ〔千国AC14(1)〕.
ウスリーハエトリの誤同定〔小野09〕.H. aeneusと同定した種のすべてがH. ussuricusかどうか,要検討〔池田〕.
他にチビクロハエトリがいるが確実な生息確認はできていない〔新海06〕.
タカノハエトリ Heliophanus lineiventris SIMON, 1868
=Heliophanus flavimaxillis BOES. et STR., 1906
雌5〜7mm,雄4.5〜6mm.成体出現期6〜9月.平地の河原に多く生息.
石の上や石の間,地表面,砂地,下草の間などをジャンプしながら獲物を探す.
石の下面の隙間やくぼみに袋状住居を作って潜んでいることも多い〔新海06〕.
千国図鑑に河川敷でよく見られるチビクロハエトリの一種で記述されているが,H. lineivebtris SIMONに似ている〔池田K79〕.
成体は4〜6月,雌4〜5mm,雄3.5〜4mm.1984年に柴田文子が石川県で80年ぶりに採集.H. flavimaxillisに同定し,和名をタ
カノハエトリに改称した〔森林87〕.旧北区に広く分布〔小野09〕.
ウスリーハエトリ Heliophanus ussuricus KULCZYNSKI, 1895
=チビクロハエトリ Heliophanus aeneus (HAHN, 1831)として記録〔小野09〕.
雌3.5〜5mm,雄2.5〜4mm.成体出現期4〜9月.北海道,東北地方では平地から山地まで生息.関東中部地方では800m以上の山地に見られ
る.
河原,樹林地,林道などの草間,低木の葉上,石の間などをジャンプしながら獲物を探す.石の下に袋状住居を作って潜んでいることが多い〔新海06〕.
他にチビクロハエトリがいるが確実な生息確認はできていない〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌4〜5mm,雄3〜4mm,北海道・本州・九州.河原の草間,山地の葉の上を徘徊する〔東海84〕.韓国・中国・ロシア極東地域・モン
ゴルからも記録〔小野09〕.
長野県常念岳の小屋付近(2500m)の高山植物葉上を徘徊,6〜7月に成体・幼体が採れる.雌5mm(糸いぼを含む),
雄4.2mm.異名クロミハイトリ・クロキハイトリ・アシキハイトリ.千国仮称ジョオネンハイトリ〔千国AC14(1)〕.
エキスハエトリ Laufeia aenea SIMON, 1889
雌雄3〜4mm.成体出現期11〜7月.大木のある神社や寺院の境内,公園,庭園などに生息.樹林地,人家の周囲などでも見られる.
主に樹木の表面を歩き回って獲物を探す.樹皮下に住む.
冬季はスギ,ヒノキなどの樹皮下に袋状住居を作って越冬する〔新海06〕.
成体は11〜7月,3〜4mm,本州・四国・九州.幹の上を徘徊することが多く,スギなどの樹皮の下で越冬する〔東海84〕.市街地や林の樹上で見られ,
樹皮下に袋状の住居を作り越冬する.韓国・中国にも分布〔小野09〕.
香川県にて,30〜40頭の幼体のコロニーが石垣上に5,6集団も見られた.雌雄も混ざっていた〔貞元K95〕.
自然環境指標種Cランク〔新海98〕.
トクノシマエキスハエトリ Laufeia sasakii IKEDA, 1998
成体は5月,雄4mm,徳之島のみ.外見はエキスにそっくり.雌不明.幹上徘徊〔池田AC47(1)〕.
オオハエトリ Marpissa milleri (Peckham et Peckham, 1894)
=Marpissa dybowskii (KULCZNSKI, 1895)
=Marpissa roemeri STRAND, 1906
=ヨシイエハエトリ Yoshiiyea agoana KISHIDA
雌10〜13mm,雄8〜10mm.成体出現期6〜11月.人家の周囲から高山の樹木までウススジハエトリに次いで広く生息.人家,神社,寺院の外側の
壁,板塀,ブロック塀,山地の大木の表面,樹皮下に見られる.
他のハエトリグモと異なり,壁や塀の隙間に作った住居を中心になわばりを持ち,その中に入って来る昆虫や小動物を捕食する〔新海06〕.
成体は6〜11月,雌10〜13mm,雄8〜10mm,全土.人家の外側の壁,板塀,大木の幹などにいる〔東海84〕.
塀の隙間などに袋状住居を作る〔新海69〕.学名の変遷の解説をした〔池田K79〕.
8〜9月に卵のうを作る.3〜4月にも成体がみられた〔山川・熊田73〕.
宮崎で8月下旬に産卵する〔松山他AT43〕.
樹皮下に大型の偏平なぶ厚い袋状住居〔大利AT33/34〕.
主として亜成体で越年するが,冬期,雄成体も採集された〔植村AT5〕.
1回の交接で2回産卵する〔鈴木勝K42〕.
母グモは未受精卵を食べてしまう〔鈴木勝K44〕.
富士山の富士屋旅館や長野県で,家屋の壁を歩行していた〔松本K39〕.
ヒマラヤスギの樹幹でアシヨレグモ幼体をくわえていた〔平松K67〕.
1987年にボーダノビチらが同定〔八木沼AT92〕
ヨシイエハエトリは旧名である〔千国,私信88〕,
北海道から本州まで分布する〔植村AC4(1)〕.
オスクロハエトリ Mendoza canestrinii (NINNI in CANESTRINII et PAVESI, 1868)
=Marpissa magister (KARSCH, 1879)
雌9〜11mm,雄8〜9mm.成体出現期6〜8月.河原,池や沼の周囲,水田,湿地などの水辺に多い.ススキやアシなどの葉上や茎上で生活し,飛んで
くる昆虫を捕える〔新海06〕.
5〜7月にかけてアシの葉や周辺の植物を引きよせて産室を作る〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌9〜11mm,雄8〜9mm,北海道・本州・四国・九州・南西諸島.イネ科植物の葉の上にいる〔東海84〕.
韓国・中国にも分布〔池田K63〕.学名の変遷の解説あり〔池田K79〕.中国・韓国・ロシア極東地域にも分布〔小野09〕.
5〜6月にかけて木本科植物の葉を3枚ほどよせて,三角錐状につづり,
あるいは広葉(ハンゲンショウ・ヨメナ)を柏餅状にして産室とする.産室の一部は外に開いている.
交接も産室内.1室内の卵のう数は1〜3個.1卵のう内の卵数は30〜90である〔中平AT23/24〕.
交接姿勢はチャスジハエトリと同じ(雄が第1脚で雌の腹部を横倒しにして押さえつけ,雌の外雌器に触肢を触れる)〔中平AT28〕.
本種の雌とヤハズハエトリの雌は酷似しているが別種である〔千国・八木沼AT66〕.
禾本科植物葉を3枚程引き寄せて袋状につづり合わせ,この中で交合,産卵を行う.
この室の一方は外に開いている.デーニッツハエトリも同様〔中平AC15(2)〕.
前川隆敏によれば,海老名市で9月30日に雌は卵のうから出のうした幼体68頭をガードしていた.
9月下旬に雄は雌亜成体と同居し最終脱皮を待って交尾〔池田K63〕.
Hyctiaに転属された〔森林87〕.Mendozaに転属された〔池田K79〕.
ヤハズハエトリ Mendoza elongata (KARSCH, 1879)
=Marpissa elongata (KARSCH, 1879)
=ヒロセハエトリ Marpissa hiroseae (NAKATSUDI, 1942)
雌9〜11mm,雄8〜9mm.成体出現期6〜8月.河原,池や沼の周囲,水田,高原,林道に生息.主にススキやアシなどのイネ科植物の葉上や茎上で生
活し,飛んでくる昆虫を捕える〔新海06〕.
オスの幼体とメスではオスクロハエトリとの区別は難しい〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌9〜11mm,雄8〜9mm,全土.イネ科植物の葉の上で生活する〔東海84〕.
千葉県北部には多いが,南部にいくにつれ少なくなる〔新海K29/32〕.
Hyctiaに転属された〔森林87〕.Mendozaに転属された〔池田K79〕.中国・韓国・ロシア極東地域にも分布〔小野09〕.
ヒロセハエトリとして,伊豆諸島神津島の属島の只苗島(蛇島),7月26日の1雌でHyctia属で記載,鳥取県船岡山でも発見とある.原記載以来記録な
し〔小野AC43(1)〕.
ヒロセハエトリの基準産地で1994年に確認し,正体はヤハズハエトリだった〔池田〕.
キタヤハズハエトリ Mendoza ibarakiensis (BOHD. et PROS., 1987)
=Marpissa ibarakiensis BOHD. et PROS., 1987
雌8〜10mm,雄7〜9mm.成体出現期6〜8月.北海道では全域,本州では関東地方北東部の1000m以上の高地,東北地方に生息.
畑道,草原,林道,水辺の周囲などで見られる.ススキやアシなどの葉上や茎上で飛んでくる昆虫を捕える〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌8〜10mm,雄7〜9mm,北海道・本州(東北).寒地性.ススキやササの葉上で生活する〔東海84〕.
Hyctiaに転属された〔森林84〕.Mendozaに転属された〔池田K79〕.
雌8〜11mm,雄7〜8mm,宮城県・福島県・茨城県で記録〔池田AC42(2)〕.
茨城県金成で1966年6月25日に菅波洋平が採集した雌で記載された〔八木沼AT92〕.
シナノヤハズハエトリ Mendoza pulchra (PROSZNSKI, 1981)
=Marpissa pulchra (PROSZNSKI, 1981)
雌9〜11mm,雄7〜9mm.成体出現期6〜9月.中部地方・関東地方北部の1000m以上の高地の草原,林道,河原のススキ,アシなどの葉上や茎上
に生息する〔新海06〕.
成体は6〜9月,雌9〜11mm,雄7〜9mm,本州(中部地方の高地).イネ科植物の葉の上を徘徊する〔東海84〕.
Hyctiaに転属された〔森林87〕.Mendozaに転属された〔池田K79〕.中国・韓国・ロシア極東地域にも分布〔小野09〕.
ミナミヤハズハエトリ Mendoza ryukyuensis BABA, 2006
雄9.4〜11.6mm,雌9.7〜13.0mm,奄美大島産の雌雄(2005年7月9日,馬場採)を摸式標本に記載,
雌雄1999年10月3日中ノ島,雌1996年8月18日奄美大島湯湾,雌2004年6月16日.
雌はヤハズハエトリやオスクロハエトリに似ている〔馬場AC55(2)〕.
ヤバネハエトリ Marpissa pomatia (WALCK., 1802)
雌雄9〜10mm.成体出現期6〜8月.北海道では山地の草間に,本州では中部・関東・東北地方の1200m以上の高山に生息.高原,林道のクマザサや
低木の葉上に見られる.
徘徊型,待機型の両方がおり,クマザサの端を巻いて住居を作り,そこを中心に生活する個体もある〔新海06〕.
橙色・橙緑色・緑黒色・褐色型など色彩には変異が多い〔新海06〕.
成体は6〜8月,9〜10mm,北海道・本州(高地).寒地性.山地の草原にいて,ススキの葉の上によくみられる〔東海84〕.
全身黒色の雌個体あり(岩手県早池峰山)〔伴K70〕.
ヨダンハエトリ Marpissa pulla (KARSCH, 1879)
雌雄6〜7mm.成体出現期6〜7月.人家の周囲,公園,庭園,里山の雑木林,山地の草間などに,平地から山地まで広く生息.
草間,落葉上,地表面を歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
成体は6〜7月,6〜7mm,本州・四国・九州.地上の落葉の上を歩いていることが多い〔東海84〕.
中国・台湾・韓国・ロシア極東地域にも分布〔小野09〕.
葉の先端を曲げて筒状の住居を作る〔大利AT33/34〕.
雄成体がマミジロハエトリ雌亜成体に脚そろえまでを行い,求愛した〔池田・稲葉AT93〕.
アゴグロハエトリ Menemerus bivittatus (DUFOUL, 1831)
雌6.9〜8.6mm,雄4.9〜8.0mm,琉球列島から.汎熱帯性の分布〔小野09〕.ラオスから記録〔Jager他AC58(1)〕.
シラヒゲハエトリ Menemerus fulvus (L. KOCH, 1878)
=Menemerus confusus BOES. et STR., 1906
=アゴブトハエトリ Mememerus brachygnathus BOES. et STR., 1906
雌8〜10mm,雄7〜9mm.成体出現期7〜9月.人家,神社,寺院,公園内の建物などに生息する.
壁,板塀,ブロック塀に多いが,土台石,地表面,樹皮面にも見られる.
オオハエトリ同様,壁や塀の隙間に作った住居を中心になわばりを持つ〔新海06〕.
成体は7〜9月,雌8〜10mm,雄7〜9mm,本州・四国・九州・南西諸島.雨戸,塀などにみられる〔東海84〕.
トビイロケアリの運ぶさなぎ,アミメアリのさなぎ・幼虫や蛾,オオヅカアリの幼虫・さなぎ・アリ等を略奪する.
第3・4脚を地面より離さず,ただ伸ばす〔井伊伸夫AC27S〕.
長崎で7・8月頃が活動期じ樹皮下の垣根などに平面式住居を設ける〔大利AT33/34〕.
潅木に多い.獲物は普通,小甲虫や双し目だが,チャドクガの幼虫も捕らえる〔木庭AT19〕.
高知にて,ジガバチモドキが狩る〔中平23/24〕.
ハエトリグモとして,殆ど1年中人家の雨戸・塀・壁等に見らるる普通種.
7,8月頃に多く成熟せるをみる.本州・四国・九州に分布〔関口AC5(4)〕.1回の交接で2回産卵〔鈴木勝K42〕.
ボーダノビチらは,徳島県小松島の雌と大阪府の雌で,Menemerus fulvus (L. KOCH, 1877) キハエトリと同定している.
Menemerus brachygnathus BOES. et STR., 1906はシノニム〔八木沼AT92〕.
7/10産卵.7/30ふ化.8/13産室より脱出,この幼体のうち雄は1〜2回脱皮して越冬し,3回脱皮をして7〜8月に成熟.
雌は1〜2回脱皮後,越冬し,2〜3回脱皮して更に越冬する.3年目の夏に1〜3回脱皮して成体になった.
雌の産卵回数は4〜6回で,3年間に渡って産卵する個体もあった.
平均産卵数は1回目が24個,2回目が18個,3回目が14個,4回目が12個,5回目が12個.
一生の平均総卵数は72個だった〔宮下AC45(1)〕.
外雌器に表面がザラザラした赤褐色の塊がついていた〔松本,しのび3〕.
都市環境指標種〔新海98〕.
ヤガタアリグモ Myrmarachne elongata SZOMBATHY, 1915
雌5〜6mm,雄4〜5mm(上顎先端まで5〜6mm),成体一年中.平地に生息.樹林地とその周辺などの草や樹木の葉上,枝や茎の間に見られるが個体
数は少ない〔新海06〕.
タイリクアリグモによく似ている〔新海06〕.雌5〜6mm,雄4〜5mm,頭部は黒色,胸部は橙褐色,腹部中央に不明瞭な白い矢印模様(ヤガタの由来)
〔小野09〕.
大阪・兵庫・沖縄・八丈島・小笠原諸島で記録.1988年に石野田がミヤザキアリグモ M. sp. として報じた種は本種,
石野田のサドハラアリグモ M. sp. は不明〔池田AC53(2)〕.基準産地はアフリカ〔池田〕.
タイリクアリグモ Myrmarachne formicaria (DE GEER, 1778)
雌5〜6mm,雄4〜5mm(上顎先端まで5〜5.5mm),成体出現期5〜7月.平地から山地まで生息.個体数は少ない.
樹林地の中や周囲,林道などに生息.樹木,草の枝や葉上のほか,林内の落葉上,地表面を歩き回っているのもよく見られる〔新海06〕.
ヤガタアリグモによく似ている〔新海06〕.成体は5〜7月,雌5〜6mm,雄4〜5mm〔森林87〕.
ヤサアリグモ Myrmarachne inermichelis BOES. et STR., 1906
=Myrmarachne innermichelis
雌5〜6mm,雄4〜5mm(上顎先端まで6〜7mm),成体出現期5〜9月.平地から山地まで生息.樹林地とその周辺によく見られる.樹木,草の枝や
葉上を歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
成体は6〜7月,雌5〜6mm,雄4〜5mm,本州・四国・九州・南西諸島.木の葉の上や地上を徘徊している〔東海84〕.
クロアリグモとして,徘徊の途中で暮れると凹所(禾本科の樋状の葉,
可塑性の小葉,古巣等)を求めて天幕を作り一夜の宿とする.
捨てられた巣の利用や他固体の巣を奪うこともある.床は紡がない.
日当たりの良い草原や明るい森林に多い.微小昆虫や蚊等を餌とする.
著しい跳躍はしない.アリマキの甘露が付着した葉をなめることはあるが直接給餌されることはない.
長野県諏訪地方では6月下旬成熟し,
雄は亜成体雌(カエデ・エンジュ・フジ等の葉を綴り合わせたりフクログモ捨てたチマキを流用して最終脱皮に備える)を探し,
同居する.雌は間に白幕を紡ぐ.雄の訪問を受けない雌は住居内で待つ.
雌に対して大小の雌雄を配すると必ず小型の方が劣勢である.
7月に交接を観察した.1933年7月1日夕刻の例,巣内の雌に対して雄は大顎を拡げて巣口に突き入れる.
雌は食いかかるが大顎にくい止められる.雄は雌左側の脚下をくぐって頭胸を雌の腹側まで進める.
次ぎに自分の左側のT・U脚で雌の腹部をまたぐ.
雌腹部を付属肢で自分の方へねじまげて相手の外雌器にあてる.2分後,
後退して右側へ潜入し同様の動作をする.更に左へ替え,右側に移る.
この間9分位.突然雄は離れ,住居から出た.
雄はその後4日目に死ぬ.
雌は7月12日に卵のう製作(日当たりの良い細かい葉の重なり合ったところ,フクログモ科の捨てたチマキ,
樹皮等し白糸で厚い壁の部屋を作る.その床布へ産卵する).
円板状,30卵内外.出のうまで保護する.出のう後は徘徊するも食欲なく8月下旬には姿を消す.
越冬前に幼体はかなり成長する.10月下旬には姿を消し,1cm程の繭状の袋内に潜む.
翌春5月(最も早い記録は1933年4月28日)にそこを出る.
トビイロケアリやクロヤマアリの徘徊する所に多いが,アリの巣への侵入や強奪等は見られない.
アリに出会うと遠ざかる〔小松AC1(3)〕.
アリグモ Myrmarachne japonica (KARSCH, 1879)
雌7〜8mm,雄5〜6mm(上顎先端まで8〜9mm),成体出現期6〜8月.都市部の公園から山地まで広く分布.人家の塀,神社・寺院の林,庭園の樹
木,生け垣,里山の雑木林,
林道など様々な場所に見られる.樹木の葉上や枝の間,草の葉上を歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌7〜8mm,雄5〜6mm,本州・四国・九州・南西諸島.
広葉樹の葉上にいることが多い.アリとの関係はない〔東海84〕.
神奈川県大和市で6月20日,マサキ生け垣で亜成体雌の住居のそばで雄が待機する.雌は3日後に最終脱皮〔池田K66〕.
常時簡単なトンネル式住居を持つ.卵は赤色で20〜30個位,長崎で7・8月頃産卵〔大利AT33/34〕.
7月13日,綿密な袋状の産室で産卵.卵は更に密に糸で包まれ固定される.7月20日,26頭の子グモがふ化〔大利AT29〕.
冬期,アオキ・ヤツデ・タラヨウ等常緑樹の葉裏または樹皮下に偏平楕円形の袋を作り,亜成体で越冬〔植村AT5〕.
与えた餌のうち,ツマグロヨコバイを避けた.他の双し類,ハムシ幼虫とさなぎ,ウンカ幼虫は食べた.
アリ(トビイロケアリ,アミメアリ,オオハリアリ等)を避ける〔中平AT17,中平92〕.
MITTAL(1964)によると,ハエトリの性決定には2つあり,XXO型とアリグモ属のようなn=12(11常+1性)の型である.
アリグモはn=15(13常+2性)である〔松本AC27S〕.
7月2日,子グモが37体ふ化〔蓮沼K44〕.
雄間闘争において鋏角長差が小さいほど闘争はエスカレートするが,闘争時間には影響されなかった.
頭胸幅は勝敗への影響が検出できなかった.
雄の鋏角は雄の質を評価する装置として働く〔桝元AC48(2)〕.
雌が存在すると雄間サイズ差の小さい闘争は長く,レベルも上昇,中には一方を殺す例もあった.
勝敗は雌の有無にかかわらずきょう角の大きな個体が勝ちやすい〔桝元AC49(2)〕.
11月下旬に野鳥巣箱から採取されたクモの優占種〔甲野K87〕.
クマアリグモ Myrmarachne kuma KISHIDA
昭和12年6月17日東京都にて成体雌がユスリカの一種を捕食〔湯浅AC4(3)〕.
クワガタアリグモ Myrmarachne kuwagata YAGINUMA, 1967
雌4.5〜5mm,雄3.5〜4mm(上顎先端まで4.5〜5mm),成体出現期6〜8月.平地から山地まで生息.草原,樹林地とその周辺,林道などの
草や樹木の葉上,枝の間に見られる〔新海06〕.
羽黒町で6月7日に雄成体〔八木沼AT92〕.腹部のくびれ形に特徴がある〔池田〕.
マガネアリグモ Myrmarachne legon WANLESS, 1978
西表島から採集された.オスの触肢の径節突起の先端が曲がっていることからマガネと命名.山崎健史が研究中〔池田〕.
沖縄から採集〔池田AC53(2)〕.
シャラクアリグモ Myrmarachne lugubris (KULCZYNSKI, 1895)
沖縄から採集され,アリグモに酷似するもアリグモ M. japonicaとは別種か.外雌器が歌舞伎の隈取り模様を思わせる〔池田AC53(2)〕.
検討中〔池田〕.
オオアリグモ Myrmarachne magna S. SAITO, 19
斎藤三郎が台湾の標本で記載したがタイプが失われた〔池田〕.谷川が6月13日,沖縄島の与那覇岳で雌雄を採集〔谷川K86〕したが,
与那覇岳のこのアリグモ(池田はベトナムで記載されたM. gigantea ZABKA 1985と同種と同定)は,山崎健史および台湾の学生によれば,
斎藤のオオアリグモではないという〔池田〕.
キヨトネオンハエトリ Neon kiyotoi IKEDA, 1995
雌2.5〜2.8mm,雄2〜2.2mm,成体出現期11〜7月.山麓から山地に生息.スギ林の落葉中,土壌の隙間などを歩き回って獲物を探す.採集記
録が少ないため
詳細な生息環境は不明〔新海06〕.
成体は6〜12月,雌2.8mm,雄2mm,Neon robustus LOHMANDER
に酷似する.愛知県鳳来寺山に生息〔池田AC44(1)〕.愛知県内における分布〔緒方,しのび31〕.
コガタネオンハエトリ Neon minutus ZABKA, 1985
ベトナムで記載された.成体は1年中,雌1.7〜2.1mm,雄1.7〜1.9mm,本州.九州に広く生息〔池田AC44(1)〕.アラカシ林内の林縁
部に近い林床のハンド・ソーティングまたはシフティングにて採集,大熊がNeon sp. と同定〔菊屋H1(SUPPL)〕.
韓国・台湾・ベトナムに分布〔小野09〕.愛知県内における分布〔緒方,しのび31〕.
ニンギョウネオンハエトリ Neon ningyo IKEDA, 1995
Neon pixii GERTCH et IVIE, 1955に酷似する.成体は5〜6月,雌1.7mm,雄1.6mm,
岡山県人形峠.邑久町,鳥取県河原町に生息〔池田AC44(1)〕.
中国にも生息〔池田08〕.
ノジマネオンハエトリ Neon nojimai IKEDA, 1995
5月16日,雄(2mm)のみ岡山県寄居町干拓地に生息,雌は未知〔池田AC44(1)〕
雌は塩崎哲哉により三重県から採集された〔池田98〕.雌は吉田真により奄美大島からも採集された〔池田AC58(2)〕.
ネオンハエトリ Neon reticulatus (BLACKWALL, 1853)
雌3〜4mm,雄2.5〜3mm.成体出現期5〜8月.山麓から山地にかけて多く,林の中やその周囲に生息.落葉の間,落葉の上,地表面,土壌の隙間を
歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
6成体は5〜6月,雌2.3〜3.3mm,雄1.8〜2.4mm,北海道・本州〔池田AC44(1)〕.全北区に分布〔小野09〕.
成体は5〜8月,雌3〜4mm,雄2.5〜3mm,北海道・本州.地上を徘徊する〔東海84〕.愛知県内における分布〔緒方,しのび31〕.
コウライネオンハエトリ Neon rostratus SEO, 1995
=コガタネオンハエトリであった〔池田〕.
福岡県からベルレーゼ装置によって採集された.韓国で記載された種.キヨトネオンハエトリに酷似するが体色が雌雄とも赤褐色であることと雄の触肢に穂状
突起を欠く点が異なる〔池田AC45(2)〕.
オオクマハエトリ Nungia epigynalis ZABKA, 1985
ベトナムで雌で記載.石垣島・西表島で雌雄が採集されている〔池田AC47(2)〕.
カノウハエトリ Onomastus kanoi ONO, 1995
雌雄4.5〜5mm,成体出現期3〜8月.雑木林の周囲,山麓の樹木の枝葉間や草間に生息.葉上を歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
沖縄本島を基準産地に記載.体色緑色〔小野95〕.
3〜4月には,やや湿った場所の広葉の下面には必ず生息するが夏には発見できなかった〔池田98〕.
アシブトハエトリ Pancorius crassipes (KARSCH, 1881)
=Plexippus crassipes (KARSCH, 1881)
雌13〜14mm,雄9〜11mm,成体出現期5〜8月.平地から山地まで生息.関東地方(北部を除く)以南に分布.草間,人家の周囲の塀や壁などを歩
き回って獲物を探す.
産卵期には葉を2〜3枚集めて住居を作り,その中に卵のうを作る〔新海06〕.
Evarcha属に転属〔八木沼77〕.ログノフとマルシック(2000)により,Pancorius属に転属された〔池田AC50(1)〕.
草上徘徊性,葉を集めて住居をつくる〔新海69〕.旧北区に広く分布〔小野09〕.
葉を2〜3枚重ね合わせた隙間に平面式住居を作る.卵は黄燈色で約60ケ程を袋の中に産み,それを固定する.
ふ化まで保護する〔大利AT33/34〕.スギの樹皮下に糸の塊があり,指で裂くとアシブトハエトリが4頭出てきた〔緒方,蜘蛛29〕.
草間又は塀等にて見うけらるる.初夏より秋にかけて多し.本州・四国・九州に分布〔関口AC5(4)〕.
アギトハエトリ Pancorius magnus ZABKA, 1985
アギトアサヒスジハエトリとして,西表島で記録.基準産地はベトナム.上顎が大きい〔池田AC45(2)〕.
チャイロアサヒハエトリ Phintella abnormis (BOES. et STR., 1906)
=Jotus abnormis BOES. et STR., 1906
雌6〜7mm,雄5〜7mm,成体出現期6〜8月.都市部の公園から山地まで広く生息.公園,庭園,河原,草原,雑木林,林道などの草間,樹木の葉上を
歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
成体は6〜8月,雌6〜7mm,雄5〜7mm,本州・四国・九州・奄美.草の間や低木の葉上を徘徊する〔東海84〕.
韓国・中国・ロシア極東地域からも記録〔小野09〕.
長崎で6〜7月の産卵期にはテント式住居を作る.卵は黄燈色で住居内にバラバラに産み落とされる.
子がふ化し始めると住居を破って出る.通常は袋状住居〔大利AT33/34〕.
北満洲黒河山地帯にて1940年6月,雌5mm採集〔仲辻AC7(1)〕.
Phintellaに転属〔八木沼86〕.
キアシハエトリ Phintella bifurcilinea (BOES. et STR., 1906)
=Telamonia bifurcilinea BOES. et STR., 1906
=Phintella typica STR., 1906
雌4.5〜5mm,雄3.5〜4mm,成体出現期6〜8月.里山から山地に生息.平地ではほとんど見られない.
樹林地とその周辺の草地,林道の草間,ススキや低木の葉上樹木の葉上を歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
本属の仲間は夜間に樹木の葉や枝からぶら下がって寝ていることが多い〔新海06〕.Telamoniaから転属,Phintella属の基準種〔プルシ
ンスキーAC32(1)〕.
鳥取県,長崎県から記録〔八木沼AT92〕.中国・韓国・ベトナムからも記録〔小野09〕.
成体は6〜7月,4〜6mm,全土.草や低木の葉上を歩きまわる〔東海84〕.
6月19日,狭山湖で採集した個体が飼育下6月25日に産卵(13卵),
7月13日にヒメカマキリモドキが出ていた.前日までは卵があったが,13日には卵殻だけで食べカスは全くなかった.
ヒメカマキリモドキの脱皮殻は卵のう内と外に二つあった.
親グモの体に幼虫がいて,卵のう作成中に入ったものだろう〔蓮沼K45〕.TelamoniaからPhintellaへ転属〔プルシンスキー
AC32(1)〕.
夜間飼育箱の天井からしおり糸でぶら下がって眠る〔平松K73〕.
自然環境指標種Cランク〔新海98〕.
マガネアサヒハエトリ Phintella arenicolor (GRUBE, 1861)
=Phintella castriesiana (GRUBE, 1861)
=Phintella difficilis (BOES. et STR., 1906)
=Icius difficilis (BOES. et STR., 1906)
雌4.5〜6mm,雄3.5〜5mm,成体出現期5〜9月.平地から山地まで広く生息.樹林地とその周辺の草地,河原,草原,水田,林道などの草間,樹
木の葉上を歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
本属の仲間は夜間に樹木の葉や枝からぶら下がって寝ていることが多い〔新海06〕.
成体は6〜8月,5〜6mm,全土.草地の地上や低木の葉上を徘徊する〔東海84〕.
韓国・中国・ロシア極東地域からも記録〔小野09〕.
イネ,チガヤなどに袋状住居(管状に近い)を作る〔新海69〕.斑紋の変異が多い〔松本K40〕.
Phintellaに転属〔八木沼86〕.
ボーダノビチらは,宮城県,群馬県,和歌山県,長崎県から雄のみ本種に同定し,
Sitticus bilineatus SAITO, 1939 フタスジコハエトリ,
Euophrys aninotatus BOES. et STR., 1906 ワカバネコハエトリをシノニムとしている〔八木沼AT92〕.
Logunov et Wesolowska(1992)の見解により,arenicolorに同定〔池田K79〕
ワカバネコハエトリ Phintella castriesiana (GRUBE, 1881)
=syn. Euophrys anninotata BOES. et STR., 1906
雌5.0〜5.8mm,雄3.6〜4.7mm,マガネアサヒハエトリに酷似,旧北区に広く分布し,日本では本州および九州から記録.
Euophrys aninotatus BOES. et STR., 1906およびSitticus bilineatus SAITO, 1939
フタスジコハエトリはシノニム〔小野09〕.
マガネアサヒハエトリとの区別点は不明瞭,要検討〔池田〕.
メガネアサヒハエトリ Phintella linea (KARSCH, 1879)
=Icius linea (KARSCH, 1879)
=Jotus linea BOES. et STR., 1906
雌5〜6mm,雄5〜7mm,成体出現期5〜9月.平地から山地まで広く生息.樹林地とその周辺の草地,河原,草原,水田,林道などの草間や地表,樹木
の葉上を歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
本属の仲間は夜間に樹木の葉や枝からぶら下がって寝ていることが多い〔新海06〕.
成体は5〜9月,雌5〜6mm,雄4〜5mm,全土.草地の地上や低木の葉上を徘徊する〔東海84〕.
韓国・中国・ロシア極東地域からも記録〔小野09〕.
福岡の水田で2令幼生の出現が3〜4月及び6〜12月,越冬は全ステージ,
成体出現期は4〜10月「越冬と合わない(池田)」,年2化の可能性あり〔大熊AT68〕.
Phintellaに転属〔八木沼86〕.
ムロテハエトリ Phintella melloteei (SIMON, 1888)
ボーダノビチらは,北海道,大阪府,和歌山県,三重県から雌のみ本種に同定し,Sitticus pallicolor BOES. et
STR., 1906,Jotus difficilis BOES. et STR., 1906 マガネアサヒハエトリをシノニムとしている〔八木沼AT92〕.
多分,マガネアサヒハエトリ Phintella castriesiana の雌〔池田〕
アサヒハエトリの一種 Phintella pallidulus (NAKATSUDI, 1943)
=Icius pallidulus NAKATSUDI, 1943
パラオ諸島バベルダオブ島で8月23日1雌で記載〔小野AC43(1)〕.
アサヒハエトリ Phintella parva WESOLOWSKA, 1981
雌雄4〜5mm,韓国・中国・ロシア極東地域からも記録〔小野09〕.
メスジロハエトリ Phintella versicolor (C. L. KOCH, 1846)
雌6〜8mm,雄6〜7mm,成体出現期6〜7月.都市部から山麓にかけて分布し,山地ではほとんど見られない.人家や神社・寺院の周囲,生垣,塀,石
垣,樹林地やその周辺の草間に生息〔新海06〕.
成体は6〜7月,雌5〜6mm,雄6〜7mm,本州・四国・九州.低木の間や生垣にいる.雌雄二型〔東海84〕.
中国からスマトラに至る東南アジアにも広く分布〔小野09〕.
雄亜成体は雌そっくりである.最終脱皮(飼育下で6月20日)で雄型になる〔泉宏子K79〕.
葉裏に袋状住居を作る.多数群落を成すことが多い.冬はその中で越冬するが,
産卵期にはテント状住居,これには両側に扉がある〔大利AT33/34〕.
冬期,樹皮下やピソン属の古巣中に袋状住居を作り,潜む〔池田84〕.
樹皮下または枯葉の中で越冬.幼体または亜成体〔植村AT5〕.
江上信雄「雌と雄の話」『動物学教室』1950(講談社)に
クロスジハエトリとメガネハエトリはメスジロハエトリの雌雄であるとしている〔高島AC12(3/4)〕.
ボーダノビチらによると,トビイロアサヒハエトリ Jotus munitus BOES. et STR., 1906の一部と,
スジグロハエトリ Aelurillus dimorphus DOEN. et STR., 1906はシノニム〔八木沼AT92〕.
シンガポールのversicolorと日本の種は微妙に異なるらしく要検討〔池田〕.
タテジマハエトリ Phlegra fasciata (HAHN, 1826)
雌雄5〜7mm,旧北区に分布,北海道から記録〔小野09〕.
マダラスジハエトリ Plexippoides annulipedis (SAITO, 1939)
=Plexippus annulipedis SAITO, 1939
雌9〜10mm,雄8〜9mm.成体出現期4〜7月.里山から山地に生息.林道や樹林地,その周辺の草間に見られる.樹木の葉上,幹や枝を歩き回って獲
物を探す.
冬季はスギ,ヒノキなどの樹皮下に袋状住居を作って越冬する〔新海06〕.
成体は12〜7月,8〜10mm,北海道・本州・四国・九州.山地の低木の葉の上を徘徊している.
樹皮の下に袋状の住居を作り,中で越冬する〔東海84〕.
低山地の樹木や草本の葉上で見られる.中国・韓国からも記録〔小野09〕.
盛岡にて3月16日に杉皮下から,雌と共に採集した雄は4月22日〜25日に脱皮して成体となった〔片岡AT53〕.
東京都市山間部に生息,亜成体越冬の個体が多く,冬期樹皮下よりよく採集〔新海AC27S〕.
Plexippoidesに転属〔Bohd. & Prosz,87〕.外雌器に表面がザラザラした赤褐色の塊がついていた〔松本,しのび3〕.
自然環境指標種Bランク〔新海98〕.
チャスジハエトリ Plexippus paykulli (AUDOUIN, 1827)
雌10〜12mm,雄7〜11mm.成体出現期5〜8月.関東地方以南に分布する大型のハエトリグモ.屋内性.人家の天井・壁・窓・塀の他,公園のトイ
レや電話ボックス,海岸の堤防などの公共物,公共施設の周囲に生息.
住居周辺を歩き回り,接近してくる昆虫を捕食する〔新海06〕.温暖化により北上している〔新海06〕.
成体は5〜8月,雌12mm,雄7〜11mm,本州・四国・九州・南西諸島.暖地に多い.家屋の壁,窓ガラス,海岸の堤防などを歩きまわる〔東海84〕.
人為分布により汎世界的にみられる〔小野09〕.
石川ー茨城県を北限とする.屋内に優占〔松本AT68〕.
天井や壁などに平面式産室を作る.卵は黄色で平均50個程を袋状に包み,固定安置し,ふ化まで保護〔大利AT33/34〕.
7月2日,46卵〔大利AT29〕.22卵,40卵,28卵〔大利26/27〕.
5月17日,黄色の70卵,夕刻に続けて2度目の産卵〔大利AT28〕.ヤマシロオニグモを捕食〔木庭H5(2)〕.
求愛行動の観察.6月16日,高知にて,水平面上にて, 雄は第1脚を八字状に拡げて頭上にかかげ,雌の周囲をまわったり,前面を左右へ動く.
第2脚は膝節で下に折り曲げて顔の横に縦に置いて,かすかに震わせている.
雌は第1脚を膝節で軽く曲げ,狭い八字状に開いて頭上にかかげ,雄の動きを見守りながら静かに前進する.
両者,この動作を続ける.突然雌が立ち止まり,全脚を高くして体を持ち上げる.
雄はすかさず歩み寄り,雌の前方から体の下へ,クルリと反転しながら,もぐり込み,仰向けになった.
約4分後,とび離れた.雄がダンスを再開したが,雌が攻撃し,逃走.
6月9日,垂直面にて.雄は頭胸部を上方にグッとそらせ,第1脚を斜上に八字状にかかげ,
かすかにふるわせながら,雌の周囲を廻る.周りながら時々,雌に接近.
雌は腹ばい様で,雄の方を向く.2分後,雄は雌に近付く.向き合って30秒.雄が脚をつっぱり,体を高く持ち上げて,雌をまたいでその上に乗る.
雄の第1脚で雌の腹部をグイと横倒しにして圧えつけ,雌の外雌器を左右の触肢で同時にツンと突く.
雄はとび離れる.離れた所で,脚で顔をかくすようにしていた別の雄が,雌に求愛する.初めの雄が来るとダンスを中止して追い払う.
1cmまで雌に接近した時,雌が雄を攻撃し,雄は逃走〔中平AT28〕.
垂直に立てた鏡に対して反応.鏡をクモの方に傾けると確実に鏡の方に近づき自分の写っ た姿にとびつく〔水谷慶治,しのび1〕.
都市環境指標種〔新海98〕.
ミスジハエトリ Plexippus setipes KARSCH, 1879
雌7〜8mm,雄6〜7mm.成体出現期5〜8月.本来は屋内性であるが,アダンソンハエトリの侵入地では競争に負け,屋外で生活している.主に中部地
方以南では野外に生息.それ以北では屋内とその周辺に生息する.人家の壁・窓・塀,門柱,倉庫,フェンス,公園のトイレ,河川のコンクリート護岸,海岸の
堤防,
庭園,公園の低木や草の葉上,枝や幹などを歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
成体は5〜8月,雌7〜8mm,雄6〜7mm,本州・四国・九州・南西諸島.
建物の壁,門柱,堤防などを徘徊する.関東地方の雌は暗色で南にいくと淡色になる〔東海84〕.
中央アジアからベトナムにかけても分布〔小野09〕.
オオヅカアリの卵を略奪する〔井伊伸夫AC27S〕.関東では屋内に優位.山形ー宮城県以南に分布〔松本AT68〕.
前後左右に対して四支点歩行が基本である.
支点の数が減少する場合も四支点歩行の変形とみなすことができる.
支点が少ない程,速く大きく斜め方向に移動する.回転移動もどれかの脚端が支点になって行う〔福本AT48〕.
雌雄とも成体で越年する〔植村AT5〕.
雄がガガンボを捕食〔鈴木勝K47〕.
都市環境指標種〔新海98〕.
ケアシハエトリ Portia fimbriata (DOLESCHALL, 1859)
雌8〜9mm,雄7〜8mm.成体一年中.造網性のクモの網に侵入して網主を襲う.スズミグモ,ジョロウグモ,オオジョロウグモ,コガタコガネグモ,ヤ
サガタアシナガグモなど円網を張る
クモのほか,チリイソウロウグモやサラグモ類も襲われる.網に侵入したクモは網に付いている枯れ葉の上に乗り,それを足場に飛びかかって捕える〔新海06〕.
日本産の種はむしろ Portia quei ZABKA, 1985と思われるが,結論は留保する〔池田AC45(2)〕.
台湾新記録,ネパール.スリランカからオーストラリアまで〔Chan & TsoAC53(1)〕.
沖縄でジョロウグモ幼体,スズミグモ,シロカネグモを捕食.
池原・下謝名「沖縄の陸の動物」1975に,「他のクモの網の端で待機し,
近寄ってきたところを不意に襲う.コガタコガネグモ,ヤサガタアシナガグモ,
オオシロカネグモ,チリイソウロウグモ,
ヘリジロサラグモなどが犠牲」とある〔新海明K57〕.
狙われたジョロウグモが間の網を切った.襲いかかられたが,飛び降りて逃げた〔谷川K59〕.
飼育下で与えて食べたクモはユウレイグモ幼体.亜成体,シロホシヒメグモ幼体,デーニッツハエトリ幼体,
カニグモ幼体,シモングモ幼体.成体,アシダカグモ幼体,ササグモ幼体,オナガグモ幼体,
ナガマルコガネグモ幼体,相手によって捕獲戦略を変えている〔八幡K82〕
林内の道沿いの巨岩のくぼみに産室あり.糸製のかご中央に吊った枯葉の下面に卵のうがあり,雌がガード〔谷川K63〕.
ヤガタハエトリ Pseudeuophrys erratica (WALCKENAER, 1825)
=Euophrys erratica (WALCKENAER, 1825)
北海道で初記録(松田まゆみ91).雄成体は5〜6月に採集.雄3.2mm,雌4.2mm.広島・岡山でも発見〔池田AC45(1)〕.旧北区に分布
〔小野09〕.
イワテハエトリ Pseudeuophrys iwatensis (BOHD. et PROS., 1987)
=Euophrys iwatensis BOHD. et PROS., 1987
岩手県にて片岡佐太郎が雌雄を採集した標本で,新種記載された〔八木沼AT92〕.韓国・中国・ロシア極東地域に分布〔小野09〕.
北海道.東京.広島で記録.雄は5月に成体.ヤガタハエトリに酷似する〔池田AC45(1)〕
チクニハエトリ Pseudicius chikunii LOGUNOV et MARUSIK, 1999
ロシアのMaritime地区で採集された雌で新種記載.
千国の図鑑でジャバラハエトリの一種Aとして紹介されていた種である.
属には問題がある〔LOGUNOV & MARUSIK,AC48(1)〕.
コウライハエトリ Pseudicius koreanus (WESOLOWSKA, 1981)
雌4.6〜4.9mm,雄3.3〜4.3mm,韓国・中国からも記録〔小野09〕.
中平清が高知市で1964年6月に採集した雌雄で記載〔八木沼AT92〕.
中平によると,実際の採集地は「高知県幡多郡大方町入野」の松原である.
ウェソロウスカが1981年に北朝鮮から雌だけで新種記載した種.雌の体長は4.7mm,雄の体長は3.4〜4.3mm.
北朝鮮産のタイプ標本と日本産の標本では外雌器が異なって見える.
ボーダノビッチらは,これは図の描き方の違いによるものだろうが,新しい標本で再確認する必要があると言っている〔池田〕.
トカラハエトリ Pseudicius tokarensis (BOHD. et PROS., 1987)
雄は未知.鹿児島県トカラ列島中之島で1953年6月に筒井嘉隆採集で記載,記載文のトカラ島は間違い〔八木沼AT92〕.
オキナワハエトリ Pseudicius okinawaensis PROS., 1992
雌5.5〜5.6mm,雄は未知.沖縄から記録〔小野09〕.
イナヅマハエトリ Pseudicius vulpes (GRUBE, 1861)
=Euophrys undulatovittata BOES. et STR., 1906
=イナズマハエトリ
雌5〜6mm,雄4〜5mm.成体出現期4〜10月.神社・寺院の周囲,境内の大木の樹皮面,農家の板塀,木製の道標,看板,電柱など人工物にいること
が多い.
その他,山地の樹木の枝や幹にも見られる.行動範囲は狭い.接近する昆虫を捕えていると思われる.冬季は板の隙間や樹皮下で越冬〔新海06〕.
成体は6〜9月,雌5〜6mm,雄4〜5mm,本州・四国・九州・南西諸島〔東海84〕.樹皮上徘徊性.冬期は樹皮下に潜む〔新海69〕.
冬期,越冬巣としてミノムシのミノを利用するものがかなりある〔徳本・鍛冶AT82〕.
前川隆敏の記録;大和市泉の森産雌で7月24日産卵,8月4日ふ化,8月中旬出のう〔池田K63〕.
山形県羽黒町の雄で,和名はキツネハエトリとする.ただし,ボーダノビチらは
クラオキネコハエトリ Euophrys undulatovittata BOES. et STR., 1906,
イナヅマハエトリ Breda lambdaslgnata BOES. et STR., 1906,
クロカネハエトリ Euophrys breviaculeis BOES. et STR., 1906を本種のシノニムとしている〔八木沼AT92〕.
カラスハエトリ Rhene atrata (KARSCH, 1881)
=Rhene atratus
=Dendryphantes atratus (KARSCH, 1881)
雌6.5〜7.5mm,雄6〜7mm.成体出現期5〜8月.平地から山地まで広く生息.公園,庭園の草間,里山の雑木林,草原,河原の草間,林道の低木
の葉上や草間などをジャンプしながら獲物を探す〔新海06〕.色彩・斑紋には変異が多い〔新海06〕.
成体は5〜8月,5〜7mm,本州・四国・九州・南西諸島.草や低木の葉や細い枝の上をあるきまわる.
生垣にもよくいる.雄の色彩には変化が多い〔東海84〕.韓国・ロシア極東地域にも分布〔小野09〕.
3月20日,寺内でモクコクの梢に作られたドロバチの巣内に袋を作り,越冬.亜成体〔植村AT5〕.
八丈島の優占種〔植村AC12(3/4)〕.
Rhene属へ転属.RheneからDendryphantesへ転属.再びRheneへ戻る.
ミナミカラスハエトリ Rhene setipes ZABKA, 1985
雄4.3mm,雌4.3〜4.7mm,西表島から採集,雌を初記載〔谷川AC42(1)〕.
西表島で3月に雄,8月に雌〔谷川K70〕.中国からベトナムにも分布〔小野09〕.
ヒメカラスハエトリ Rhene albigera (C. L. KOCH, 1848)
雌雄4〜4.5mm.成体出現期6〜8月.平地から山地まで広く生息.低木の葉上や草間などをジャンプしながら獲物を探す〔新海06〕.
クサグモの網でチリイソウロウにかみついていた〔木村知K67〕.インド・韓国・スマトラにかけて東南アジアにも分布〔小野09〕.
キタツヤハエトリ Sibianor aurocinctus (OHLERT, 1865)
=Bianor aurocinctus (OHLERT, 1865)
北海道・大雪山から採集,松本誠治同定.その後,クロツヤハエトリ Harmochirus nigriculusが記載された.
この2種はわずかな違いなので日本の種はクロツヤハエトリの方と思われる〔池田97〕.旧北区に分布〔小野09〕.
ヤマトツヤハエトリ Sibianor japonicus (LOGUNOV, IKEDA et ONO, 1997)
=Bianor japonicus LOGUNOV, IKEDA et ONO, 1997
岡山県恩原の雄で記載(野嶋宏一採),2.7mm.Bianor
aemulusに酷似する〔Logunovら97〕.ロシア極東地域にも分布〔小野09〕.
ナカヒラハエトリ Sibianor kochiensis (BOHD. et PROS., 1987)
=Harmochirus kochiensis BOHD. et PROS., 1987
雄3.03〜3.46mm(4〜8月),雌3.84〜4.87mm(3〜5月),キレワハエトリよりも腹部の色が薄い.
福岡県の彦山ではキレワハエトリと同所的に生息する.秋田県・山梨県・三重県・高知県・福岡県で記録〔池田AC42(2)〕.
中平清採集の高知県梶ケ森産の雌で記載〔八木沼AT92〕.
クロツヤハエトリ Sibianor nigriculus (LOGUNOV et WESOLOWSKA, 1992)
=Harmochirus nigriculus LOGUNOV et WESOLOWSKA, 1992
雌3.2〜4.0mm,雄2.9〜3.2mm.岡山から採集された.
北朝鮮.ロシアにも分布.キタツヤハエトリ Bianor
aurocinctusに酷似する〔Logunovら97〕.韓国・ロシア極東地域にも分布〔小野09〕.
キレワハエトリ Sibianor pullus (BOES. et STR., 1906)
=Harmochirus pullus (BOES. et STR., 1906)
=Bianor pullus BOES. et STR., 1906
=Harmochirus nigrum KISHIDA, 1910 ミジンハエトリ
雌2.5〜3.5mm,雄1.5〜2.5mm,成体一年中.都市部の公園や庭園,里山の雑木林やその周囲,林道などに生息.落葉の間や地表面を歩き回っ
て獲物を探す.
ウデブトハエトリと異なり,草や木の葉上に上がって来ることは少ない〔新海06〕.
成体は1年中,雌2.5〜3.5mm,雄1.5〜2.5mm,本州・九州.落葉の間や地上を歩いていることが多い〔東海84〕.
プルシンスキーがBianorからHarmochirus属へ転属〔八木沼86〕.
岸田久吉の記載したミジンハエトリ H. nigrumは外雌器の形態から本種〔Logunovら97〕.
カラオビハエトリ Siler collingwoodi (O. P.-CAMBRIDGE, 1871)
=アオオビハエトリグモの一種 Silerella sp.
成体は1年中,雌雄は5〜6mm.頭胸部が緑色,腹部前方に赤と青の横帯を持つ〔森林87〕.
千国の図鑑のアオオビハエトリの1種〔池田AC45(2)〕.
アオオビハエトリ Siler vittatus (KARSCH, 1879)
=Silerella vittata (KARSCH, 1879)
=アカガネハエトリ Siler cupreus SIMON, 1889
雌雄5〜7mm,成体出現期6〜9月.平地から里山に多く,山地ではあまり見られない.
神社,寺院の境内,公園,庭園,雑木林の周囲,草原などの地表,落葉上,倒木や石の間を歩き回ってアリを捕える.
アリの多い草の葉上,樹木の幹や葉上にも生息する.
アリを見つけるとアリの後から攻撃し,逃げるアリの脚を数回にわたって噛みついては離れ,少しずつ弱らせて捕える〔新海06〕.
ボーダノビチらは鹿児島県の雌雄で同定し,アカガネハエトリの学名をアオビハエトリに当てているが疑問〔八木沼AT92〕.
学名には複雑な経緯がありKARSCHの学名vittatusを無効にし,SIMONの学名を生かしたPROSZYNSKIの判断は当面の措置〔池田1998〕.
タイプ標本の改変を理由にKARSCHの学名を疑問名として扱うのは不適当〔小野09〕.
成体は6〜8月,5〜6mm,本州・四国・九州・南西諸島.葉,石,倒木などの上を第1脚を上げて動かしながら徘徊し,アリに似る.
よくアリを捕える〔東海84〕.韓国・中国・台湾からも記録〔小野09〕.神奈川県では5月に雌雄成体出現〔池田10〕.
雄は他個体に気がつくと,体を高く構え,第1脚を上方やや斜め前にのばし,すばやく前後に小刻みに振り,
腹部も上下に振りながら,ジグザクに近付く.どちらかが第1脚を振るのをやめ,誇示姿勢(threat posture)を取る.
第1脚を下向きに折り曲げる,この姿勢をとった方が勝ちである.負けた方は逃げ,追い討ちや,闘いはない.
視覚的な威嚇誇示行動で決着し,直接的な接触行動は無い.
鏡に向かってもこの姿勢を取る.雌や亜成体同士ではこの姿勢はとらない.
第1脚を振り上げたままである.求愛を受け入れる雌はジグザクに近付いてきた雄に対して全脚を体の方へ引き寄せる.
雄は雌の前へ第1脚で触れる.次第に近付き,触肢を触れ,雌の前面からすり上がるようにして上に登っていく.
交接の体型,触肢の使い方,脚の位置はアダンソンハエトリと似ている.
すぐに分かれてしまった時には,また雄は始めから求愛行動をする〔井伊AT66〕.
アリの捕獲法は,ゆっくり歩いているか,または止まっているアリの後方から近づきアリの腹部をかむもの.
走りだしたアリはやがてけいれんして,立ち止まる.クモは前方へ移動し,触角を取り,
アリの首の下をかみ,仰向けにして食す.他のアリと体を接触しないし,アリの巣には入らない.
大型のアリ(クロオオアリ,クロヤマアリ,オオヅヘイアリ等)はよく補食され,
小型のアリ(アミメアリ,トビイロシワアリ,ルリアリ,オオヅ働きアリ)はあまり補食されない.
チャスジハエトリやアダンソンハエトリ(雌)のアリの捕獲法と異なる.シラヒゲハエトリに補食されることがある.
幼虫を運ぶアリ(オオヅ働きアリ,ルリアリ,トビイロシワアリ)に前から近づき,さっと幼虫をくわえる.
アリの運ぶ白い物にひかれるようだ.他のアリでも幼虫略奪がみられる〔井伊AT62〕.
アメイロケアリのくわえている幼虫をアリの真正面から襲いかかって略奪し,アリの列外に出て食する.
食べ終えるとまた待ち伏せする〔城AT32〕.
ハヤシケアリやアメイロアリを狩る〔中平AT61〕.
クロヤマアリの働きアリを一瞬とびついて喉を噛み,やがて(約2分後)弱ったアリを運んで付近の植生の陰で捕食(30〜65分)〔藤澤K96〕
アブラムシの背中を触肢でたたいて出る蜜を飲み込む〔植村AT35).
藤井悦子による観察で,6月2日二頭の雄が威嚇誇示行動,前肢を開いて震わせる,
折りたたんで胸元を押さえる動作をしながらジグザグに横歩き,前肢どうしを重ね合わせて約4秒静止した後,離れて逃走.
(池田註:井伊はアオオビでは直接的な接触による威嚇誇示行動は無いと判断しているが,
藤井によると,前肢を触れ合うという行動が記録されている)〔池田K87〕.
通常,葉裏にトンネル式住居を作る.冬は袋状住居にて越冬する.長崎で6〜7月頃産卵,
出口が1〜3ケ所もある大型のテント式住居を作り,
その中で黄色の卵を住居内にバラバラ産み落とす.まれに簡単に糸でかがってあることも多い.
ふ化まで保護する〔大利AT33/34〕.
アメイロアリの後方から襲いかかり,腹部を噛む.倒れたアリに前から近付き,触角を引く.
胸部を消化.1頭につき,狩りから捨てるまで10分.トビイロシワアリ,ムネホソアリ,ヒメアリを捕食しなかった〔中平AT9(観察は岡本)〕.
オオズアカアリ,トビイロケアリ,アメイロアリを捕る.
アリの群れの中にいるクモは,触肢を膝節で下方に折り曲げ,顔の前で小刻みに上下に打ち振り,第1脚は八字状に開いて頭上にかかげ,まねくように上下に振
る.
必ずアリに注目している〔中平AT23/24〕.
亜成体で越年する.樹皮下に多数,袋を作って入っている.プラタナスの樹皮下等〔植村AT5〕.
8月初めに出のう幼体を飼育,10月までに数回脱皮して越冬,5月より脱皮し6〜7月までに成体となった.
脱皮回数は3〜5回.6月末に採集した雌9頭は1〜2回産卵して越冬した.越冬中に半分が死亡し,うち1頭は7月に産卵した(3回目)〔宮下和
AT97〕.
メグロハエトリ Silerella barbata BOES. et STR., 1906
伊豆大島に分布〔新海69〕.
ヒトリコゲチャハエトリ Sitticus avocator (O. P.-CAMBRIDGE, 1885)
=ヒトリハエトリ
=カワラコゲチャハエトリ Sitticus distinguendus (SIMON, 1868)
雌4〜6mm,雄3.5〜4mm.成体出現期5〜9月.平地に多く生息.人家,ブロック塀,コンクリート建造物など人工物の周囲,庭園,公園の地表面な
ど,モンシロコゲチャハエトリと
同様の環境に生息する〔新海06〕.
雌4.0〜6.0mm,雄3.1〜4.2mm,中央アジア以東のユーラシアに広く分布〔小野09〕.
千国の図鑑のコゲチャハエトリの一種である.河川敷でよく見られる.
ログノフとマルシックの『北方アジアのハエトリグモのカタログ』(2000)では本種に同定し,Sitticus
avocatorと同定された種は本種の誤同定としている〔池田AC50(1)〕.
成体出現は7〜8月〔千国89〕.
6月12日,相模川の河原の石の下で卵のうを抱えていた〔木村知K66〕.
金沢市では成体は7〜10月〔徳本K62〕.
三重県三重大学の雄で同定,Sitticus numeratus BOES. et STR., 1906(シロカネハエトリ),Sitticus
viduus (KULC.)(ヒトリハエトリ)が本種のシノニム〔八木沼AT92〕.
モンシロコゲチャハエトリ Sitticus fasciger (SIMON, 1880)
雌4〜5.5mm,雄3〜4.5mm.成体一年中.人家,倉庫,物置,ブロック塀,コンクリート建造物,駅舎,橋の手すりや柱など人工物の周囲に生息す
る.壁,土台石,柱,塀などの隅,
くぼみや隙間などに袋状住居を作り,そこを中心に活動する〔新海06〕.
成体は1年中,雌4mm,雄3.5mm,本州.人家や物置の外側の壁板の上を徘徊していることが多い〔東海84〕.
中国・韓国・ロシア極東地域・米国からも記録,人家や倉庫,墓や塀など人工物周辺で見られ,人為的に移入された可能性もある〔小野09〕.
長野県では5月下旬から活動開始,6〜8月が最盛期である.
夏の終わりから秋にかけて成体となって越冬(壁や柱の隙間に巣袋を作る)した雌雄は翌年5月下旬から6月上旬に交接する.
6〜8月に産卵,壁や柱の隙間の袋状の巣の中に1回に6〜10個ほど産む.産卵回数は3〜5回(2回,6回もあり),卵数は回を重ねるにつれ,減る.
15日程して一斉にふ化する.10日程で一斉に脱皮,そのまま5〜6日間同居した後,出のうする.
その後,分散し,1ケ月ごとに脱皮をして3〜4令で秋,越冬に入る.次の年の5〜9月に脱皮を繰り返して,成体となって冬を越す.産卵した雌雄は冬に死ぬ
〔千国AT83〕.
都市環境指標種〔新海98〕.
マユミコゲチャハエトリ Sitticus floricola (C. L. KOCH, 1837)
雌3.8〜7.0mm,雄2.3〜2.8mm,北海道で記録〔小野09〕.
ヤスダコゲチャハエトリ Sitticus ranieri (PECKHAM et PECKHAM, 1909)
=Sitticus lineolatus (GRUBE, 1861)
雌4.5〜6.6mm,雄4.0〜4.6mm,全北区に広く分布〔小野09〕.北海道では風穴地の岩塊地に生息〔松田AC52(2)〕.
ニセアサヒハエトリ Sitticus pallicolor BOES. et STR., 1906
成体は6月,雌雄5〜6mm.全体に白色〔森林87〕.
シラホシコゲチャハエトリ Sitticus penicillatus (SIMON, 1875)
=Sitticus patellidens BOES. et STR., 1906
雌3〜4.5mm,雄2.5〜3.5mm,成体一年中.海岸や河口の河川敷から市街地の空き地,山地の河原まで広く分布.河原,草地,空き地,林道など
の石の上,地表面,倒木,
コンクリート片や発泡スチロールなどの不法投棄物の上,時には下草の葉上をジャンプしながら獲物を探す.石の下,倒木の下のへこみや隙間に袋状住居を作る
〔新海06〕.
雌3.0〜4.5mm,雄2.5〜3.5mm〔小野09〕.河原・河川敷・草原に多い.本州・四国・九州に分布〔八木沼86〕.旧北区に広く分布〔松本
K40〕.
アマミクチバハエトリ Spartaeus bani (IKEDA, 1995)
=Mintonia bani IKEDA, 1995
奄美大島湯湾岳公園で6月25日に採れた雄(体長6.7mm)で記載,
ムツバハエトリに近縁の多歯ハエトリである.雌不明〔池田AC44(2)〕.
徳之島三京で樹幹から雌雄採集(佐々木健志)された.
Spartaeusに転属〔池田AC47(2),池田K79,池田AC58(2)〕.
コミナミツヤハエトリ Stertinius kumadai LOGUNOV, IKEDA et ONO, 1997
八王子市(熊田憲一採)の雌3mmで記載(7月25日).雄は未知.愛知(緒方採).
岡山(野嶋採)でも記録〔Logunovら97〕.
アリガタハエトリ Synageles venator (LUCAS, 1836)
北海道豊頃町長節湖畔の湿地から6月から7月上旬に雄成体が採集.体長3.5〜4.0mm,松田まゆみが報告〔池田K79〕.
アメイロハエトリ Synagelides agoriformis STRAND, 1906
雌5〜6mm,雄4〜5mm.成体出現期12〜8月.里山から山地に分布.樹林地とその周辺,渓流の河原,林道に見られるが,個体数は多くない.落葉
上,地表面,石や倒木の上,下草の葉上を
歩き回って獲物を探す.冬季は樹皮下に袋状住居を作って越冬する〔新海06〕.
成体は12〜8月,4〜6mm,おもに地上を徘徊する.樹皮の下で越冬する〔東海84〕.
再記載〔ボーダノヴィッチAC28(2)〕.中国・韓国・ロシア極東地域にも分布〔小野09〕.
オオクマアメイロハエトリ Synagelides annae BOHDANOWICZ, 1979
雌3.5〜4mm,雄3〜3.5mm.成体出現期6〜8月.南方系のクモ.山地に分布.林道,渓流の河原,樹林地などに生息するが,個体数は少ない.石
の間,落葉上,倒木上,下草の間などを
歩き回って獲物を探す.冬季は樹皮下に袋状住居を作って越冬する〔新海06〕.
成体は8月.3.5〜4mm,彦山で採集〔ボーダノヴィッチAC28(2)〕.中国にも分布〔小野09〕.
キタアメイロハエトリ Synagelides zhilcovae PROSZYNSKI, 1979
雌3.5〜5.0mm(雄は未知).アメイロハエトリに酷似する.北海道から知られる.中国・韓国・ロシア極東地域にも分布〔小野09〕.
ヒメスジハエトリ Talavera ikedai LOGUNOV et KRONESTEDT, 2003
=Taravera trivittatus (SCHENKEL, 1963)
=Euophrys trivittatus SCHENKEL
雌雄2〜3mm,成体出現期5〜8月.海岸,河原,市街地の空き地,草地などに生息.最小のハエトリグモ.石の上,地表面,草間をジャンプしながら獲物
を探す.
落葉の下などに袋状住居を作る〔新海06〕.
成体は5〜6月,雌雄2〜3mm.1985年5月18日に石川県舳倉島で柴田文子が採集〔森林87〕.
LogunovによりTaravera属へ転属された.性的二型がない〔池田AC45(1)〕.河原や草むら,地表や下草の間を徘徊,韓国にも分布〔小野
09〕.
トサハエトリ Tasa nipponica BOHD. et PROS., 1987
中平によると,実際の採集地は「高知県幡多郡大方町入野」の松原である.新属新種である.
雌は未発見で,雄の体長は4mm程度,第1脚が最も長く(3.3mm),続いて第4脚が長い(3.2mm).
頭胸部は明るい褐色で金属光沢を持ち,T眼列上に少し白毛と黄刺がある.腹背は暗灰色で黒っぽい矢はず模様があり,
腹部側面には黄色の点が線状に並ぶが,大型個体ほど明るい.この属の記載種は2種だけだが,触肢には特徴があり,
脛節突起の基部に鋸状の歯がある(Wesolowska, 1981)〔池田〕.
1995年6月26日に茨城県土浦市宍塚大池で工藤泰恵により
雄が採集.2日後に岡山県倉敷市でも野嶋宏一により
雄が採れた〔池田AC44(2),池田K79〕.韓国・中国からも記録〔小野09〕.
タテスジハエトリ Telamonia vlijmi PROS., 1984
雌8〜8.5mm,雄7〜8mm.成体出現期6〜7月.山地の草間に生息〔新海06〕.
雌7.8〜9.0mm,雄6.8〜8.8mm,九州および琉球列島に分布.中国・韓国からも記録〔小野09〕.
対島産で同定,韓国,中国にも分布〔八木沼AT92〕.幼体は夜間,葉の裏に住居網を作って静止(池田1997).
アジアミカドハエトリ Thyene orientalis ZABKA, 1985
ベトナムで雄で記載.石垣島,西表島で雌雄が採集〔池田AC47(2)〕.
ムツバハエトリ Yaginumanis sexdentatus (YAGINUMA, 1967)
雌7〜9mm,雄6〜7mm,成体出現期5〜8月.里山から山地に生息.岩場,崖地,石垣の表面を特に好む.その他,山間部の薄暗い所にある神社,寺
院,祠の外側,
樹木の表面などに見られる.夜間は岩のくぼみ,塀の隙間に潜み,数本の糸を引いただけの簡単な住居を作る.
冬季は樹皮下に袋状住居を作るが,他のハエトリグモよりは糸が少なく,網目状に見える〔新海06〕.
成体は5〜8月,6〜8mm,本州・四国・九州・南西諸島.
山地の崖や岩場を徘徊していることが多い.樹皮の下に袋状の住居を作り,越冬する〔東海84〕.
雌7.3mm,雄6.4mm.本州・九州・奄美に分布〔八木沼AC20(2)〕.
自然環境指標種Bランク〔新海98〕.
エビスハエトリ Yaginumaella hyogoensis BOHD. et PROS., 1987
雌6.1〜6.2mm〔小野09〕.兵庫県西宮市で1962年7月8日に採集,ウススジハエトリの雌として送ったが,新種とされた〔八木沼AT92〕.
ウススジハエトリの個体変異と推定〔池田K79〕.
ウススジハエトリ Yaginumaella striatipes (GRUBE, 1861)
=Yaginumaella ususudi (YAGINUMA, 1972)
=P. incognitus DOEN. et STR.
雌6〜7mm,雄5〜6mm.成体出現期5〜7月.海岸から3000m級の高山まで生息.里山から山地にかけての草原,雑木林の周囲,林道沿いの低木や
草間に多く,
葉上や枝の上を歩き回って獲物を探す〔新海06〕.
成体は5〜8月,6〜7mm,全土.草や低木の間を歩きまわっている.
冬は樹皮の下に袋状の住居を作り,その中で過す〔東海84〕.
草上徘徊性〔新海69〕.
6〜7mm,成体5〜8月,平地から3000m級の高山まで生息しており,日本のクモの中では最も高低差が大きい.
草や木の葉上,落葉や石の間を徘徊する.日本全土に分布〔森林87〕.
Logunov & Wesolowska (1992)により,シベリアの種と同種と同定,
ハバロフスクでは本種の生息は標高250〜900mで,それより低い地点
100〜400mには別種Y. medvedeiが生息する,medvedeiは韓国には生息する〔池田K79〕.
ロシア極東地域からも記録〔小野09〕.
1989年5月27日15時07分〜16時43分まで左触肢で交尾〔板倉K59〕.
自然環境指標種Cランク〔新海98〕.