クモ生理生態事典 2010

編集/池田博明


目   次

(1) 前 文,凡 例  (2) 参考文献  (3) 略人名索引
(4) 会誌出版年  (5) 種名一覧(和名と学名)  (6) 本  文

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******** 更新日 2010年7月3日 ********


2010年の前文

 2010年6月に『クモ分布図』CDに収録のための改訂を行った. 地方同好会(三重,中部,和歌山,大阪)会誌の記事は新海明氏が入力して下さった. Acta arachnologica,Kishidaiaの既発行分を入力,2008年の前文で「順次」入力予定と記した分を一部入力した.分類学的な記述は 『日本産クモ類』に譲る(ナミハグモの一部とマシラグモの一部は未入力).本事典の分類学的記述は統一されていない.(2010年7月3日記)

2008年の前文

 2008年5月に増補改訂作業を行った.主に谷川(2008)の日本産クモ類目録を参照して配列した. 前回は1999年で増補作業がストップし, 2000年から2008年までのデータを入力できていなかったが,Kishidaia全号と, Acta arachnologica, 53(2)と56(2)の日本語部分を除いて入力し終えたところである. ただし,記述がAtypus,Acta,Kishidaiaに限定されていて他の記載論文や他の同好会誌までは 入力できていない. 順次,八木沼健夫(1986)の図鑑と千国安之輔(1989,2008)の図鑑,新海栄一の図鑑(2006)の他, 吉田哉・小野展嗣・谷川明男らの記載文や安藤昭久の「サラグモ屋敷」を参照し,入力する予定である. (2008年5月28日記)

1998年の前文

 この事典の初版を1987年に自費出版したときには,多くの人々にこれほど利用されるとは思っていなかった. プロとアマの別なく研究者の論文を検索するための種ごとの短文つき記述という前版のスタイルはそのままである.
図を盛り込みたい.記述を整理したい.正確性を再検討したい.もっと多くの文献を参照したいといった希望はあったが, 編者に時間がなく,とりあえずのものとなってしまったことをおわびしたい.
 しかし,コンピューターやインターネットのお蔭で,情報の利用や検索は容易になったので, 修正も更新も日々行なわれる可能性が出てきたと思っている.多くの人に利用してほしいと思う.
 ただ,利用する方は文献引用をきちんと明示していただきたい. 資料は日本蜘蛛学会会誌と東京クモ談話会会誌に偏っているが,各々の会に入会するなりして 過去の文献も利用していただきたいと思っている.
 他に情報を発見された方はメールでお知らせいただければ有り難い.
(1998年9月15日記)

初版の前文

 この事典はこれまで調べられた生理生態記事を種ごとにまとめたものである. 編纂の動機は高校の生物部を指導するに当たって生徒に研究の指針を与えるためであった. あるクモを目前にした時,その種についてどれほどのことが今まで調べられているのかがわかれば, 研究の目やすもつけやすい.
 とはいうものの私の手元にある資料には限りがあった.完全を期すよりも, ともかくクモ学会の会誌を中心にして作成することにした. その他,いくつかの論文及び単行本も参考にしたが,完全なものではない. 原則として活字になったものを収録した. 学名や和名の変更等で以前の目録にあって, 正体不明のものや変更を要するものなどについては資料不足の為,今後の検討課題としたい.
 いくつかは記しておいたが記述に統一がとれていない. また種毎の分類学的記述及び生態的記述はもとの論文の記述量とは比例していない. 総じて長い論文ほど短くなった傾向がある.
 専門的に研究される方は是非,原文にも当たっていただきたい.省略したところに貴重な示唆があることが多い.
また八木沼健夫著「原色日本クモ類図鑑」(1986年,保育社)には種毎に生態記事や分布が記されている. この事典ではそれらのほとんどを省略した. なぜならこの事典を利用する人は八木沼の図鑑も持っていることを前提としているからである.
図鑑と合せて利用するものと思っていただきたい.
 折りよく吉倉真著「クモの生物学」(1987年,学会出版センター)も出版された. 日本のクモ研究も網羅した本である.この事典と重なる記述も数多い.
 もとの生態記事には貴重な図が含まれているが,ワープロでまとめる関係上,それらはすべて割愛した.
 今度改訂するときはできるだけ図を盛りこみたいと思う.また,できる限りの文献に当たって記述したいと考えている(初版1987年10月10日).

凡 例


主な参考文献

略人名索引

会誌出版年

種名一覧


本 文

 本ページにないクモ類については,以下のリンクをご確認下さい.

○コモリグモ科 Lycosidae

 コモリグモ科の系統を論ずる形態的特徴として,@前列眼の配列状態,A後牙堤歯の数, B第1脚腿節内側面先端の刺の数,C第1脚けい節内側面の刺の配列状態,D第1脚しょ節背面基部の聴毛の有無, E第1脚付節背面基部の聴毛の有無を重要とした.生態的特徴としては網の形成状態・生息場所など. その結果,造網習性を残すPirata属は最も原始的な属であり,TrochosaとLycosa属,ArctosaとTricca属および AlopecosaとXerolycosa属は近似した属とみなせる. Xerolycosa属はこの中で最も特殊化した形質を持ち,派生的存在である. 他方,Pardosa属は日本産コモリグモ中最も進化した形質を示し,その活動的習性からも,最も進化した属と考えられる〔田中AT87〕.

○サシアシグモ科 Trechaleidae

○キシダグモ科 Pisauridae

○ササグモ科 Oxyopidae

 草間,樹葉間をすばやく徘徊し,驚くとジャンプして逃走する.卵のうは葉の表面に作り,親はその上で保護する〔東海84〕.

○スオウグモ科 Zoropsidae

○ミヤマシボグモ科 Zoridae

○シボグモ科 Ctenidae

○タナグモ科 Agelenidae

○ナミハグモ科 Cybaeidae

 従来ミズグモ科に含まれているが,形態・生態面からミズグモ科からは遠く,コモリグモ科上科の基本となるべき位置にいる. 網の種類と補食法から造網性クモ類を三大別した. ナミハグモ系統とは,A系統ナミハグモ→コタナグモ→クサグモ・ヤチグモ・イソタナグモ・ミズグモ, B系統ナミハグモ→コモリグモ・ササグモ・キシダグモ・ホウシグモのふたつ. コタナグモからハタケグモに分かれる系もある〔新海AT66〕.

○ウシオグモ科 Desidae

○ハタケグモ科 Hahniidae

○ハグモ科 Dictynidae

○ガケジグモ科 Amaurobiidae

 (造網性クモ類の系統を三大別し,ひとつをガケジグモ系統とする. A系列は?→カヤシマグモ→ガケジグモ→ハグモ.カヤシマグモからイワガネグモに分かれる系列もある. B系列は?→ウズグモ.オオギグモ.マネキグモ.メダマグモ. C系列は?→ボロアミグモ,チリグモ,スオウグモ〔新海AT66〕.

○ヤマトガケジグモ科 Titanoecidae

○ヤチグモ科 Coelotidae

 Platnickの体系では,ヤチグモはすべてガケジグモ科 Amaurobiidaeに所属させている.しかし,新海栄一は篩板を重視する立場からヤチグモ類とガケジグモ類を峻別する. 生態的には網性とからんで篩板は重視される.ここでは篩板を持たないヤチグモ類とガケジグモ類を分けておく.篩板を重視する立場からはチリグモとヒラタグ モ,コタナグモとハグモも分類しなくてはならない.検討中〔池田2008〕.

○イヅツグモ科 Anyphaenidae

○ツチフクログモ科 Miturgidae

○フクログモ科 Clubionidae

○ウエムラグモ科 Liocranidae

○ネコグモ科 Corinnidae

○ホウシグモ科 Zodariidae

○ヒトエグモ科 Trochanteriidae

○イヨグモ科 Prodidomidae

○ワシグモ科 Gnaphosidae

○アワセグモ科 Selenopidae

○アシダカグモ科 Sparassidae

○エビグモ科 Philodromidae

○カニグモ科 Thomisidae

○ハエトリグモ科 Salticidae